【実施例】
【0037】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが本発明は、実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
水92.54gに、ポリアクリル酸ナトリウム(日本触媒社製、分子量500万)4.96gを加え、ディスパにて攪拌した。続いて、この高分子溶液に、アジリジン系化合物(日本触媒社製、PZ−33)の10倍希釈水溶液0.15gを加えて、20分間攪拌した。続いて、塩化カルシウムの100倍希釈水溶液2.34gを加えてさらに攪拌した。以上により、5%架橋ポリアクリル酸ナトリウム水溶液を作製した。
【0038】
作製した5%架橋ポリアクリル酸ナトリウム水溶液を0.5%まで水で希釈し、シャーレに移し、40℃で乾燥した。得られたフィルムを20×50mm角に切り取った。さらに、105℃減圧乾燥を5時間行った。23.3℃および46%の湿度に調整された調湿ブースに3日間保管した。以上により、引張試験用サンプルとしてのバインダを得た。後述するように、このバインダについて引張試験を行った。
【0039】
(引張試験とその結果)
本発明者は、実施例1で得られたバインダについて、引張試験を実施した。
図3(a)は、実施例1で作製したバインダの引張試験結果を示すグラフである。また、
図3(b)は、この引張試験により破断した後のバインダを示す写真図である。
図3(a)に示すように、実施例1では、不可逆結合による架橋に、可逆結合による架橋を加えたことで、伸びが1000%を示した。これは、架橋ムラを抑制していることを示し、バインダ中の局所的な負荷の集中を抑制し、破断しにくいバインダを作製できたことによる。さらに、不可逆結合による架橋も備えることから、
図3(b)に示すように、引張試験後のサンプルは、破断前とほぼ同じ形状及び寸法に復帰することができた。
【0040】
(実施例2)
実施例1で作製した5%架橋ポリアクリル酸ナトリウム水溶液33.53gに水8.06gを加えてディスパにて攪拌した。続いて、50%アクリル酸マレイン酸共重合体水溶液0.18gを加えてさらに攪拌した。次に、Si粒子(2.5μm)5.88gとアセチレンブラック(AB)1.18gと気相成長炭素繊維(VGCF)1.18gを加えて攪拌した。続いて、フィルミックスで本分散し、負極スラリを得た。
【0041】
得られた負極スラリを集電体に塗布した。集電体としては、厚さ12μmの銅箔を使用した。負極スラリは、1.0mg/cm
2の目付量になるように、ドクターブレードにて塗布した。続いて、80℃で30分間予備乾燥した。これを密度が1.0g/cm
3になるようプレスした。最後に、105℃で5時間減圧乾燥を行った。これにより、電極(負極)を得た。得られた電極を用いて、ハーフコインセルを作成してサイクル評価を行った。
【0042】
(実施例3)
水94.84gに、ポリアクリル酸ナトリウム(日本触媒社製、分子量500万)2.97gを加え、ディスパにて攪拌した。続いて、この高分子溶液に、アジリジン系化合物(日本触媒社製、PZ−33)の10倍希釈水溶液0.09gを加えて、20分間攪拌した。続いて、塩化カルシウムの100倍希釈水溶液2.10gを加えてさらに攪拌した。以上により、3%架橋ポリアクリル酸ナトリウム水溶液を作製した。
【0043】
作製した3%架橋ポリアクリル酸ナトリウム水溶液41.91gに水1.78gを加えてディスパにて攪拌した。続いて、50%アクリル酸マレイン酸共重合体水溶液0.13gを加えてさらに攪拌した。次に、Si粒子(2.5μm)4.41gとアセチレンブラック(AB)0.88gと気相成長炭素繊維(VGCF)0.88gを加えて攪拌した。続いて、フィルミックスで本分散し、負極スラリを得た。
【0044】
得られた負極スラリを集電体に塗布した。集電体としては、厚さ12μmの銅箔を使用した。負極スラリは、1.0mg/cm
2の目付量になるように、ドクターブレードにて塗布した。続いて、80℃で30分間予備乾燥した。これを密度が1.0g/cm
3になるようプレスした。最後に、105℃で5時間減圧乾燥を行った。これにより、電極(負極)を得た。
【0045】
(実施例4)
水94.32gに、ポリアクリル酸ナトリウム(日本触媒社製、分子量500万)2.96gを加え、ディスパにて攪拌した。続いて、この高分子溶液に、アジリジン系化合物(日本触媒社製、PZ−33)の10倍希釈水溶液0.09gを加えて、20分間攪拌した。続いて、塩化カルシウムの100倍希釈水溶液2.62gを加えてさらに攪拌した。以上により、3%架橋ポリアクリル酸ナトリウム水溶液を作製した。
【0046】
作製した3%架橋ポリアクリル酸ナトリウム水溶液41.91gに水1.78gを加えてディスパにて攪拌した。続いて、50%アクリル酸マレイン酸共重合体水溶液0.13gを加えてさらに攪拌した。次に、Si粒子(2.5μm)4.41gとアセチレンブラック(AB)0.88gと気相成長炭素繊維(VGCF)0.88gを加えて攪拌した。続いて、フィルミックスで本分散し、負極スラリを得た。
【0047】
得られた負極スラリを集電体に塗布した。集電体としては、厚さ12μmの銅箔を使用した。負極スラリは、1.0mg/cm
2の目付量になるように、ドクターブレードにて塗布した。続いて、80℃で30分間予備乾燥した。これを密度が1.0g/cm
3になるようプレスした。最後に、105℃で5時間減圧乾燥を行った。これにより、電極(負極)を得た。
【0048】
(実施例5)
水93.81gに、ポリアクリル酸ナトリウム(日本触媒社製、分子量500万)2.96gを加え、ディスパにて攪拌した。続いて、この高分子溶液に、アジリジン系化合物(日本触媒社製、PZ−33)の10倍希釈水溶液0.09gを加えて、20分間攪拌した。続いて、塩化カルシウムの100倍希釈水溶液3.14gを加えてさらに攪拌した。以上により、3%架橋ポリアクリル酸ナトリウム水溶液を作製した。
【0049】
作製した3%架橋ポリアクリル酸ナトリウム水溶液41.91gに水1.78gを加えてディスパにて攪拌した。続いて、50%アクリル酸マレイン酸共重合体水溶液0.13gを加えてさらに攪拌した。次に、Si粒子(2.5μm)4.41gとアセチレンブラック(AB)0.88gと気相成長炭素繊維(VGCF)0.88gを加えて攪拌した。続いて、フィルミックスで本分散し、負極スラリを得た。
【0050】
得られた負極スラリを集電体に塗布した。集電体としては、厚さ12μmの銅箔を使用した。負極スラリは、1.0mg/cm
2の目付量になるように、ドクターブレードにて塗布した。続いて、80℃で30分間予備乾燥した。これを密度が1.0g/cm
3になるようプレスした。最後に、105℃で5時間減圧乾燥を行った。これにより、電極(負極)を得た。
【0051】
(実施例6)
水94.11gに、ポリアクリル酸ナトリウム(日本触媒社製、分子量500万)4.93gを加え、ディスパにて攪拌した。続いて、この高分子溶液に、アジリジン系化合物(日本触媒社製、PZ−33)の10倍希釈水溶液0.67gを加えて、20分間攪拌した。続いて、塩化カルシウムの100倍希釈水溶液0.29gを加えてさらに攪拌した。以上により、5%架橋ポリアクリル酸ナトリウム水溶液を作製した。
【0052】
作製した5%架橋ポリアクリル酸ナトリウム水溶液33.53gに水8.06gを加えてディスパにて攪拌した。続いて、50%アクリル酸マレイン酸共重合体水溶液0.18gを加えてさらに攪拌した。次に、Si粒子(2.5μm)5.88gとアセチレンブラック(AB)1.18gと気相成長炭素繊維(VGCF)1.18gを加えて攪拌した。続いて、フィルミックスで本分散し、負極スラリを得た。
得られた負極スラリを集電体に塗布した。集電体としては、厚さ12μmの銅箔を使用した。負極スラリは、1.0mg/cm
2の目付量になるように、ドクターブレードにて塗布した。続いて、80℃で30分間予備乾燥した。プレスは行わなかった。最後に、105℃で5時間減圧乾燥を行った。これにより、電極(負極)を得た。
【0053】
(実施例7)
水93.89gに、ポリアクリル酸ナトリウム(日本触媒社製、分子量500万)4.93gを加え、ディスパにて攪拌した。続いて、この高分子溶液に、アジリジン系化合物(日本触媒社製、PZ−33)の10倍希釈水溶液0.59gを加えて、20分間攪拌した。続いて、塩化カルシウムの100倍希釈水溶液0.58gを加えてさらに攪拌した。以上により、5%架橋ポリアクリル酸ナトリウム水溶液を作製した。
【0054】
作製した5%架橋ポリアクリル酸ナトリウム水溶液33.53gに水8.06gを加えてディスパにて攪拌した。続いて、50%アクリル酸マレイン酸共重合体水溶液0.18gを加えてさらに攪拌した。次に、Si粒子(2.5μm)5.88gとアセチレンブラック(AB)1.18gと気相成長炭素繊維(VGCF)1.18gを加えて攪拌した。続いて、フィルミックスで本分散し、負極スラリを得た。
得られた負極スラリを集電体に塗布した。集電体としては、厚さ12μmの銅箔を使用した。負極スラリは、1.0mg/cm
2の目付量になるように、ドクターブレードにて塗布した。続いて、80℃で30分間予備乾燥した。プレスは行わなかった。最後に、105℃で5時間減圧乾燥を行った。これにより、電極(負極)を得た。
【0055】
(実施例8)
水93.22gに、ポリアクリル酸ナトリウム(日本触媒社製、分子量500万)4.95gを加え、ディスパにて攪拌した。続いて、この高分子溶液に、アジリジン系化合物(日本触媒社製、PZ−33)の10倍希釈水溶液0.37gを加えて、20分間攪拌した。続いて、塩化カルシウムの100倍希釈水溶液1.48gを加えてさらに攪拌した。以上により、5%架橋ポリアクリル酸ナトリウム水溶液を作製した。
【0056】
作製した5%架橋ポリアクリル酸ナトリウム水溶液33.53gに水8.06gを加えてディスパにて攪拌した。続いて、50%アクリル酸マレイン酸共重合体水溶液0.18gを加えてさらに攪拌した。次に、Si粒子(2.5μm)5.88gとアセチレンブラック(AB)1.18gと気相成長炭素繊維(VGCF)1.18gを加えて攪拌した。続いて、フィルミックスで本分散し、負極スラリを得た。
得られた負極スラリを集電体に塗布した。集電体としては、厚さ12μmの銅箔を使用した。負極スラリは、1.0mg/cm
2の目付量になるように、ドクターブレードにて塗布した。続いて、80℃で30分間予備乾燥した。プレスは行わなかった。最後に、105℃で5時間減圧乾燥を行った。これにより、電極(負極)を得た。
【0057】
(実施例9)
水92.55gに、ポリアクリル酸ナトリウム(日本触媒社製、分子量500万)4.96gを加え、ディスパにて攪拌した。続いて、この高分子溶液に、アジリジン系化合物(日本触媒社製、PZ−33)の10倍希釈水溶液0.15gを加えて、20分間攪拌した。続いて、塩化カルシウムの100倍希釈水溶液2.34gを加えてさらに攪拌した。以上により、5%架橋ポリアクリル酸ナトリウム水溶液を作製した。
【0058】
作製した5%架橋ポリアクリル酸ナトリウム水溶液33.53gに水8.06gを加えてディスパにて攪拌した。続いて、50%アクリル酸マレイン酸共重合体水溶液0.18gを加えてさらに攪拌した。次に、Si粒子(2.5μm)5.88gとアセチレンブラック(AB)1.18gと気相成長炭素繊維(VGCF)1.18gを加えて攪拌した。続いて、フィルミックスで本分散し、負極スラリを得た。
得られた負極スラリを集電体に塗布した。集電体としては、厚さ12μmの銅箔を使用した。負極スラリは、1.0mg/cm
2の目付量になるように、ドクターブレードにて塗布した。続いて、80℃で30分間予備乾燥した。プレスは行わなかった。最後に、105℃で5時間減圧乾燥を行った。これにより、電極(負極)を得た。
【0059】
(実施例10)
水92.32gに、ポリアクリル酸ナトリウム(日本触媒社製、分子量500万)4.97gを加え、ディスパにて攪拌した。続いて、この高分子溶液に、アジリジン系化合物(日本触媒社製、PZ−33)の10倍希釈水溶液0.07gを加えて、20分間攪拌した。続いて、塩化カルシウムの100倍希釈水溶液2.64gを加えてさらに攪拌した。以上により、5%架橋ポリアクリル酸ナトリウム水溶液を作製した。
【0060】
作製した5%架橋ポリアクリル酸ナトリウム水溶液33.53gに水8.06gを加えてディスパにて攪拌した。続いて、50%アクリル酸マレイン酸共重合体水溶液0.18gを加えてさらに攪拌した。次に、Si粒子(2.5μm)5.88gとアセチレンブラック(AB)1.18gと気相成長炭素繊維(VGCF)1.18gを加えて攪拌した。続いて、フィルミックスで本分散し、負極スラリを得た。
得られた負極スラリを集電体に塗布した。集電体としては、厚さ12μmの銅箔を使用した。負極スラリは、1.0mg/cm
2の目付量になるように、ドクターブレードにて塗布した。続いて、80℃で30分間予備乾燥した。プレスは行わなかった。最後に、105℃で5時間減圧乾燥を行った。これにより、電極(負極)を得た。
【0061】
(実施例11)
水92.55gに、ポリアクリル酸ナトリウム(日本触媒社製、分子量500万)4.96gを加え、ディスパにて攪拌した。続いて、この高分子溶液に、アジリジン系化合物(日本触媒社製、PZ−33)の10倍希釈水溶液0.15gを加えて、20分間攪拌した。続いて、塩化カルシウムの100倍希釈水溶液2.34gを加えてさらに攪拌した。以上により、5%架橋ポリアクリル酸ナトリウム水溶液を作製した。
【0062】
作製した5%架橋ポリアクリル酸ナトリウム水溶液33.53gに水8.06gを加えてディスパにて攪拌した。続いて、50%アクリル酸マレイン酸共重合体水溶液0.18gを加えてさらに攪拌した。次に、Si粒子(100nm)5.88gとアセチレンブラック(AB)1.18gと気相成長炭素繊維(VGCF)1.18gを加えて攪拌した。続いて、フィルミックスで本分散し、負極スラリを得た。
得られた負極スラリを集電体に塗布した。集電体としては、厚さ12μmの銅箔を使用した。負極スラリは、1.0mg/cm
2の目付量になるように、ドクターブレードにて塗布した。続いて、80℃で30分間予備乾燥した。最後に、105℃で5時間減圧乾燥を行った。これにより、電極(負極)を得た。
【0063】
(比較例1)
水24.00gに、ポリアクリル酸ナトリウム(日本触媒社製)1.00gを加え、ディスパで攪拌した。続いて、この高分子溶液に、アジリジン系化合物(PZ−33)の10%水溶液0.10gを加えて、室温下、20分間攪拌した。続いて、50%アクリル酸マレイン酸共重合体水溶液0.11gを加えて攪拌した。次に、Si粒子(100nm)3.53gとアセチレンブラック(AB)0.71gと気相成長炭素繊維(VGCF)0.71gを加えて攪拌した。続いて、フィルミックスで本分散し、負極スラリを得た。
【0064】
得られた負極スラリを集電体に塗布した。集電体としては、厚さ12μmの銅箔を使用した。負極スラリは、1.0mg/cm
2の目付量になるように、ドクターブレードにて塗布した。続いて、80℃で30分間予備乾燥した。最後に、105℃で5時間減圧乾燥を行った。これにより、電極(負極)を得た。
【0065】
(充放電評価とその結果)
(1)コインセルの作製
本発明者は、実施例2〜11、比較例1で得られた電極を用いて、コインセルを作成して繰り返しの充放電評価(すなわち、サイクル評価)を行った。
具体的には、実施例2〜11、比較例1で得られた電極(負極)と、Li極(正極)とを用いて、コインセルを作成した。そして、このコインセルについて、充電1600mA/g、放電1600mA/gで、0.01V〜1.0Vの電圧範囲で充放電を繰り返し、サイクル評価を行った。
【0066】
放電容量の維持率は、(所定のサイクルでの放電容量)/(1サイクル目での放電容量)×100で算出した。コインセルは2032型を使用した。電極は、直径15mmの円板に打ち抜き、Li極は、直径18mmの円板に打ち抜いて、評価を行なった。コインセルは、電極及びLi極、セパレータ(旭化成社、ハイポア ND525)を基本構成とした。電解液は、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とが3:7(wt/wt)の混合溶液に、LiPF
6を1Mとなるように加えたものに、フルオロエチレンカーボネート(FEC)10質量%加えたものを使用した。
【0067】
(2)架橋量と寿命特性との関係について
本発明者は、実施例2〜5で得られたコインセルを用いてサイクル評価を行い、バインダの架橋量と、寿命特性との関係を調査した。
図4は、実施例2〜5のサイクル評価結果であり、バインダの架橋量と寿命特性との関係を示すグラフである(バインダの架橋結合した反応基の割合と、コインセルの寿命との関係を評価した結果を示す図である。)。ここでは、寿命特性として、各サイクルでの放電容量の維持率(%)を算出した。
【0068】
実施例2のバインダの架橋量は、バインダの架橋結合できる反応基の全数に対し、0.9mol%に相当する量である。実施例3のバインダの架橋量は、バインダの架橋結合できる反応基の全数に対し、1.3mol%に相当する量である。実施例4のバインダの架橋量は、バインダの架橋結合できる反応基の全数に対し、1.6mol%に相当する量である。実施例5のバインダの架橋量は、バインダの架橋結合できる反応基の全数に対し、1.9mol%に相当する量である。実施例2〜5のいずれも良好な維持率を示し、20サイクル後で70%以上の維持率を示した。また、0.01mol%より少ない架橋量であると架橋効果は得られなかった。
【0069】
(3)可逆結合/不可逆結合の割合と、寿命特性との関係について
本発明者は、実施例6〜10で得られたコインセルを用いてサイクル評価を行い、バインダにおける可逆結合/不可逆結合の割合と、寿命特性との関係を調査した。
図5は、実施例6〜10のサイクル評価結果であり、バインダにおける可逆結合/不可逆結合の割合と、寿命特性との関係を示すグラフである。ここでも、寿命特性として、各サイクルでの放電容量の維持率(%)を算出した。実施例6〜10を用いた評価では、架橋量を0.9mol%に固定し、可逆結合と不可逆結合の架橋の比を検討した。
【0070】
実施例6では、可逆結合による架橋で消費される主バインダ及び補助バインダの各反応基数の総和は、不可逆結合による架橋で消費される主バインダの反応基数の0.1倍である。つまり、実施例6では、可逆結合による架橋で消費されるバインダの反応基数は、不可逆結合による架橋で消費されるバインダの反応基数の0.1倍である。
実施例7では、可逆結合による架橋で消費されるバインダの反応基数は、不可逆結合による架橋で消費されるバインダの反応基数の0.3倍である。実施例8では、可逆結合による架橋で消費されるバインダの反応基数は、不可逆結合による架橋で消費されるバインダの反応基数の1倍である。実施例9では、可逆結合による架橋で消費されるバインダの反応基数は、不可逆結合による架橋で消費されるバインダの反応基数の4倍である。実施例10では、可逆結合による架橋で消費されるバインダの反応基数は、不可逆結合による架橋で消費されるバインダの反応基数の9倍である。
【0071】
放電容量の維持率は、実施例6〜10のいずれも15サイクル後に80%以上の維持率を示した。特に、望ましくは、実施例8および実施例9、実施例10に示す1倍以上の架橋量である。つまり、可逆結合による架橋で消費されるバインダの反応基数が、不可逆結合による架橋で消費されるバインダの反応基数よりも多いときが、特に望ましい。このとき、放電容量の維持率は85%以上となり、寿命特性がより優れることがわかった。
【0072】
(4)ナノシリコンの有無と寿命との関係について
本発明者は、実施例11、比較例1で得られたコインセルを用いてサイクル評価を行い、可逆結合による架橋の有無と、寿命特性との関係を調査した。
図6は、実施例11、比較例1のサイクル評価結果であり、バインダにおける可逆結合の有無と、容量との関係を示すグラフである。ここでは、寿命特性として、各サイクルでの、活物質1gあたりの容量値(mAhg
−1)を求めた。
【0073】
なお、実施例11では、実施例2と実施例9に相当するバインダを用いた。また、実施例11、比較例1では、負極の活物質にそれぞれナノシリコンを用いた。ナノシリコンを用いることで、寿命試験における活物質の劣化による要素を抑え、バインダの効果を反映しやすい結果になる。
図6に示すように、実施例11の可逆結合と不可逆結合による架橋は、150サイクルにわたり、安定な容量を得ることができる。一方で、比較例1の不可逆結合のみの架橋は、徐々に容量が低下した。これは、バインダの安定性の差である。
【0074】
(付記)
以上、本発明について実施形態及び実施例を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態及び実施例に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に多様な変更または改良を加えることが可能であり、また、上記実施形態及び実施例を任意に組み合わせてもよい。その様な変更等が加えられた態様も本発明の技術的範囲に含まれ得る。