特許第6973384号(P6973384)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6973384結合型マルチコア光ファイバおよびそれを含む光伝送システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6973384
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】結合型マルチコア光ファイバおよびそれを含む光伝送システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/02 20060101AFI20211111BHJP
   G02B 6/255 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   G02B6/02 481
   G02B6/02 411
   G02B6/255
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-517060(P2018-517060)
(86)(22)【出願日】2017年5月10日
(86)【国際出願番号】JP2017017720
(87)【国際公開番号】WO2017195834
(87)【国際公開日】20171116
【審査請求日】2020年3月23日
(31)【優先権主張番号】特願2016-94345(P2016-94345)
(32)【優先日】2016年5月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 健美
(72)【発明者】
【氏名】林 哲也
(72)【発明者】
【氏名】田村 欣章
【審査官】 竹村 真一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−033627(JP,A)
【文献】 特開2016−033642(JP,A)
【文献】 特開平02−136807(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0035630(US,A1)
【文献】 米国特許第06097869(US,A)
【文献】 RYF,R. ET AL,1705-km Transmission over Coupled-Core Fibre Supporting 6 Spatial Modes,ECOC 2014,2014年09月,1-3頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02−6/08、6/255
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線に沿って延びた複数のコアと、前記複数のコアを包囲する単一のクラッドと、前記単一のクラッドを包囲する被覆と、前記複数のコアそれぞれの一方の端面が配置された接続端面と、をそれぞれが有する第1および第2のファイバ部を備え、
前記第1のファイバ部における前記複数のコアの前記一方の端面は、前記第2のファイバ部における前記複数のコアの前記一方の端面とそれぞれ直接または間接に接続されており、
前記第1および第2のファイバ部それぞれにおいて、前記複数のコアは、モード結合係数が1[1/m]以上になる隣接コアの組を含み、
前記第1および第2のファイバ部それぞれは、前記接続端面を含む遷移区間と、前記中心軸線に沿って前記遷移区間に隣接して配置された定常区間と、を有するとともに、前記定常区間は、前記複数のコアそれぞれのモードフィールド径が前記中心軸線に沿って略一定になっている区間であり、かつ、前記遷移区間は、前記複数のコアそれぞれのモードフィールド径が前記定常区間から前記接続端面に向けて連続的に拡大している区間であり、
前記第1および第2のファイバ部のうち少なくとも一方において、前記遷移区間の長さは、前記単一のクラッドの外径の3倍以上であり、かつ、前記遷移区間における前記複数のコアそれぞれの、前記接続端面での前記モードフィールド径は、前記定常区間における前記複数のコアそれぞれの前記モードフィールド径の1.5倍以上である
結合型マルチコア光ファイバ。
【請求項2】
第1のファイバ端面と、前記第1のファイバ端面に対向する第2のファイバ端面と、前記第1のファイバ端面から前記第2のファイバ端面に向かって延びた複数のコアと、前記複数のコアを包囲する単一のクラッドと、前記単一のクラッドを包囲する被覆と、を有し、前記複数のコアそれぞれが、前記第1のファイバ端面上に配置された一方の端面と、前記第2のファイバ端面上に配置された他方の端面と、を有する第3のファイバ部を更に備え、
前記第3のファイバ部において、前記複数のコアは、モード結合係数が1[1/m]以上となる隣り合ったコアの組を含み、
前記第3のファイバ部における前記複数のコアの前記一方の端面は、前記第1のファイバ部における前記複数のコアの前記一方の端面とそれぞれ直接に接続され、
前記第3のファイバ部における前記複数のコアの前記他方の端面は、前記第2のファイバ部における前記複数のコアの前記一方の端面とそれぞれ直接に接続され、
前記第3のファイバ部における前記複数のコアそれぞれのモードフィールド径は、前記第1および第2のファイバ部それぞれにおける前記複数のコアそれぞれの、前記接続端面での前記モードフィールド径と略等しい、請求項1に記載の結合型マルチコア光ファイバ。
【請求項3】
前記第1〜第3のファイバ部それぞれにおいて、前記複数のコアそれぞれは、シリカガラスからなり、前記単一のクラッドは、フッ素が添加されたシリカガラスからなり、かつ、前記被覆は、紫外線硬化性樹脂からなり、
前記第1および第2のファイバ部それぞれにおける前記遷移区間のフッ素分布は、前記中心軸線に沿って変化していることを特徴とする、請求項1または2に記載の結合型マルチコア光ファイバ。
【請求項4】
前記遷移区間と前記遷移区間に隣接する前記定常区間の一部を含み、かつ、前記被覆の一部が除去された前記第1および第2のファイバ部それぞれの先端区間に配置された、紫外線硬化性樹脂からなる再被覆を更に有するとともに、200kgf以上の破断強度を有する請求項に記載の結合型マルチコア光ファイバ。
【請求項5】
変調された光信号を出力する光送信器と、
前記光信号を受ける光受信器と、
前記光送信器と前記光受信器とを光学的に結合する、請求項1〜の何れか一項に記載の結合型マルチコア光ファイバと、を備え、
前記結合型マルチコア光ファイバは、前記光信号を伝送するとともに前記光信号にモード結合を与え、
前記光受信器は、モード結合された前記光信号をコヒーレント検出し、MIMO信号処理によってモード結合する前の前記光信号を復元する、光伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結合型マルチコア光ファイバおよびそれを含む光伝送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1,2には、結合型マルチコア光ファイバに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0114886号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Tetsuya Hayashi, et al., “Coupled-Core Multi-Core Fibers: High-Spatial-Density Optical Transmission Fibers with Low Differential Modal Properties,” Proc. ECOC 2015, We.1.4.1 (2015)
【非特許文献2】Masanori Koshiba et al., “Multi-core fiber design and analysis: coupled-mode theory and coupled-power theory,”, Optics Express Vol. 19, No. 26, pp. B102-B111 (2011)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明者らは、従来の結合型マルチコア光ファイバについて検討した結果、以下のような課題を発見した。すなわち、1本の光ファイバの中に複数のコアが設けられたマルチコア光ファイバ(以下、「MCF:Multi Core Fiber」と記す)は、情報伝送量の空間密度を高め、地中管路や海底ケーブルなどの限られた通信路の断面積の利用効率を高める技術として期待される。中でも、複数のコアの間で導波モード結合させる結合型マルチコア光ファイバ(以下、「CC−MCF:Coupled-Core Multi Core Fiber」と記す)によれば、コア間の距離が短いので、情報伝送量の空間密度をより高めることができる。
【0006】
CC−MCFにおいては、結合されたコアを伝搬した複数の導波モードの信号を区別するために、MIMO(Multi-Input Multi-Output)信号処理技術が必要となる。MIMO信号処理の計算量は、モード間の遅延時間差(DMD:Differential Mode Delay)の増大とともに増大するが、コア間の結合の強さを適切に設定することにより、DMDの増大を抑制することが可能である。すなわち、コア間の結合の強さを適切に設定すれば、モード間の群速度の差を小さくできる。更に、光ファイバの実用時に生じる曲がりや捻れによってモード結合を生じさせすることでDMDの蓄積をランダム化すれば、DMDの蓄積の速度をファイバ長の1乗に比例する値から1/2乗に比例する値まで低減できる。このようなMCFは、モード結合型CC−MCF(以下、「CM−CC−MCF:Coupled-Mode Coupled-Core Multi Core Fiber」と記す)と呼ばれる(例えば、非特許文献1を参照)。CM−CC−MCFは、典型的には1[1/m]以上のコア間モード結合係数、または、10[1/km]以上のコア間パワー結合係数を有する。
【0007】
しかしながら、CC−MCFをCM−CC−MCFに適用するためには、実使用時に十分な曲げや捻れを発生させることによりモード結合を促進する必要がある。曲げや捻れが少ない状態でCC−MCFが使用されると、モード結合が不十分となり、DMDが増大するという課題があった。
【0008】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、曲げや捻れが少ない状態で使用された場合であっても十分なモード結合を生じさせることができるCC−MCFを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、本実施形態に係るCC−MCF(結合型マルチコア光ファイバ)は、中心軸線に沿って延びた複数のコアと、複数のコアを包囲する単一のクラッドと、単一のクラッドを包囲する被覆と、複数のコアそれぞれの一方の端面が配置された接続端面と、をそれぞれが有する第1および第2のファイバ部を備える。また、第1のファイバ部における複数のコアの一方の端面は、第2のファイバ部における複数のコアの一方の端面とそれぞれ直接または間接に接続されている。特に、第1および第2のファイバ部は、何れも結合型マルチコア光ファイバであるため、以下、第1のファイバ部を第1のCC−MCFと記すとともに、第2のファイバ部を第2のCC−MCFと記す。これら第1および第2のCC−MCFそれぞれにおいて、複数のコアは、モード結合係数が1[1/m]以上になる隣接コアの組を含む。更に、第1および第2のCC−MCFそれぞれは、接続端面を含む遷移区間と、中心軸線に沿って該遷移区間に隣接配置された定常区間と、を有する。なお、定常区間は、複数のコアそれぞれのモードフィールド径(以下、「MFD」と記す)が中心軸線に沿って略一定になっている区間であり、遷移区間は、複数のコアそれぞれのMFDが定常区間から接続端面に向けて連続的に拡大している区間である。
【発明の効果】
【0010】
本実施形態に係るCC−MCFによれば、曲げや捻れが少ない状態で使用された場合であっても十分なモード結合を生じさせることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】は、第1実施形態に係るCC−MCFの中心軸線に沿った断面構造を模式的に示す図である。
図2】は、図1中のI-I線およびII-II線に沿った断面図であって、第1および第2のCC−MCFの種々の断面構造の例を示す図である。
図3】は、第2実施形態に係るCC−MCFの中心軸線に沿った断面構造を模式的に示す図である。
図4】は、図3中のIII-III線に沿った断面図であって、第2実施形態における第3のCC−MCFの断面構造の例を示す図である。
図5】は、第3実施形態に係る光伝送システムの構成を概略的に示す図である。
図6】は、比較例に係るCC−MCFの断面構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態の内容をそれぞれ個別に列挙して説明する。
【0013】
(1) 本実施形態に係るCC−MCF(結合型マルチコア光ファイバ)は、その一態様として、中心軸線に沿って延びた複数のコアと、複数のコアを包囲する単一のクラッドと、単一のクラッドを包囲する被覆と、複数のコアそれぞれの一方の端面が配置された接続端面と、をそれぞれが有する第1および第2のCC−MCF(第1および第2のファイバ部)を備える。また、第1のCC−MCFにおける複数のコアの一方の端面は、第2のCC−MCFにおける複数のコアの一方の端面とそれぞれ直接または間接に接続されている。これら第1および第2のCC−MCFそれぞれにおいて、複数のコアは、モード結合係数が1[1/m]以上になる隣接コアの組を含む。更に、第1および第2のCC−MCFそれぞれは、接続端面を含む遷移区間と、中心軸線に沿って該遷移区間に隣接配置された定常区間と、を有する。なお、定常区間は、複数のコアそれぞれのMFDが中心軸線に沿って略一定になっている区間であり、遷移区間は、複数のコアそれぞれのMFDが定常区間から接続端面に向けて連続的に拡大している区間である。
【0014】
(2)本実施形態に係るCC−MCFにおいて、第1および第2のCC−MCFそれぞれが、接続端面を含む遷移区間を有する。遷移区間では、複数のコアそれぞれのMFDが定常区間側から接続端面へ向けて拡大するように連続的に変化する。そのため、隣接するコア間のモードフィールドの重なりが増し、モード結合係数が定常区間側から接続端面に向けて連続的に増大する。そして、モード結合係数が連続的に増大することにより、強いモード結合が生じる。したがって、本実施形態に係るCC−MCFによれば、曲げや捻れが少ない状態で使用された場合であっても十分なモード結合を生じさせることができる。その結果、DMDの蓄積を遅らせ、DMDを低減することができる。
【0015】
(3) 本実施形態の一態様として、第1および第2のCC−MCFのうち少なくとも一方において、遷移区間の長さは、クラッドの外径の3倍以上であるのが好ましい。これにより、モード不整合による伝送損失を低く抑えることができる。加えて、遷移区間における複数のコアそれぞれの、接続端面でのMFDは、定常区間における複数のコアそれぞれのMFDの1.5倍以上であるのが好ましい。これにより、十分な強さのモード結合を生じさせることができる。
【0016】
(4)本実施形態に係るCC−MCFは、その一態様として、第1および第2のCC−MCFの間に配置される第3のCC−MCFを更に備えてもよい。この第3のCC−MCFは、第1のファイバ端面と、該第1のファイバ端面に対向する第2のファイバ端面と、第1のファイバ端面から第2のファイバ端面に向かって延びた複数のコアと、複数のコアを包囲する単一のクラッドと、単一のクラッドを包囲する被覆と、を有する。また、複数のコアそれぞれは、第1のファイバ端面上に配置された一方の端面と、第2のファイバ端面上に配置された他方の端面と、を有する。第3のCC−MCFにおいて、複数のコアは、モード結合係数が1[1/m]以上となる隣り合ったコアの組を含む。第1〜第3のCC−MCFを備えた構成において、第3のCC−MCFにおける複数のコアの一方の端面は、第1のCC−MCFにおける複数のコアの一方の端面とそれぞれ直接に接続される。また、第3のCC−MCFにおける複数のコアの他方の端面は、第2のCC−MCFにおける複数のコアの一方の端面とそれぞれ直接に接続される。更に、第3のCC−MCFにおける複数のコアそれぞれのMFDは、第1および第2のCC−MCFそれぞれにおける複数のコアそれぞれの、接続端面でのMFDは、と略等しいのが好ましい。このような第3のCC−MCFを介して第1および第2のCC−MCFそれぞれのコア同士が一対一に光学的に接続されることによって、モード不整合による伝送損失を低く抑えることができる。
【0017】
(5)本実施形態の一態様として、第1〜第3のCC−MCFそれぞれにおいて、複数のコアそれぞれは、シリカガラスからなり、単一のクラッドは、フッ素(F)が添加されたシリカガラスからなり、かつ、被覆は、紫外線硬化性樹脂からなるのが好ましい。また、第1および第2のCC−MCFそれぞれの遷移区間におけるフッ素分布は、中心軸線に沿って変化している。更に、本実施形態の一態様として、第1および第2のCC−MCFそれぞれの先端区間に、上述の被覆に替えて、紫外線硬化性樹脂からなる再被覆が設けられてもよく、この場合、当該CC−MCFは、200kgf以上の破断強度を有するのが好ましい。なお、先端区間とは、遷移区間と該遷移区間に隣接する定常区間の一部を含み、かつ、上述の被覆が除去された区間を意味する。
【0018】
(6)本実施形態に係る光伝送システムは、光送信器と、光受信器と、上述のような構造を有するCC−MCF(本実施形態に係るCC−MCF)と、を備えるのが好ましい。光送信器は、変調された光信号を出力する。光受信器は、光送信器から出力された光信号を受ける。本実施形態に係るCC−MCFは、光送信器と光受信器とを光学的に結合する。特に、本実施形態に係るCC−MCFは、光信号を伝送するとともに光信号にモード結合を与える。また、光受信器は、モード結合された光信号をコヒーレント検出し、MIMO信号処理によってモード結合する前の前記光信号を復元する。
【0019】
(7)このような光伝送システムによれば、上記種々の態様に係るCC−MCFを備えることによって、長い距離を伝送してもDMDの蓄積が低く抑えられ、光受信器におけるMIMO信号処理の計算量が小さくなる。その結果、信号処理に伴う信号の遅延および消費電力が低減される。
【0020】
以上、この[本願発明の実施形態の説明]の欄に列挙された各態様は、残りの全ての態様のそれぞれに対して、または、これら残りの態様の全ての組み合わせに対して適用可能である。
【0021】
[本願発明の実施形態の詳細]
以下、本実施形態に係るCC−MCFおよび光伝送システムの具体的な構造を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、図面の説明において同一の要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。なお、以下の説明において、個別のコアで定義される光学特性(各コアの光学特性)は、1つのコアに着目し、他のコアが存在しないと仮定した場合に生じる光学特性をいう。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るCC−MCF1Aの中心軸線に沿った断面構造を模式的に示す図である。図2は、当該CC−MCF1Aを構成するCC−MCF10、20の中心軸線に垂直な断面の構成例を示す図である。図1に示されたように、本実施形態に係るCC−MCF1Aは、第1のファイバ部に相当するCC−MCF10(第1のCC−MCF)と、第2のファイバ部に相当するCC−MCF20(第2のCC−MCF)とを備える。なお、図2は、図1中のI-I線およびII-II線に沿った、CC−MCF10,20の断面構造の種々の例を示す図であり、図1に示されたCC−MCF10,20それぞれは、タイプAの断面構造を有する。
【0023】
なお、CC−MCF10は、端面10a(接続端面)を含む遷移区間16と、中心軸線に沿って遷移区間16に隣接配置された定常区間15を有する。また、CC−MCF20は、端面20a(接続端面)を含む遷移区間26と、中心軸線に沿って遷移区間26に隣接配置された定常区間25を有する。定常区間15,25は、コア11,21それぞれのMFDが中心軸線に沿って略一定になっている区間である。遷移区間16,26は、コア11,21それぞれのMFDが中心軸線に沿って変化している区間である。以下の説明において、CC−MCF10,20それぞれの構造について言及する場合には、遷移区間16,26が形成される前の状態、すなわち、定常区間15,25の構造を意味するものとする。
【0024】
図2のタイプAに示されたように、CC−MCF10は、中心軸線C1(当該CC−MCF10の断面中心を通過する線)を取り囲むように配置された複数のコア11と、該複数のコア11を包囲する単一のクラッド12と、該単一のクラッド12を包囲する被覆13とを有する。同様に、CC−MCF20も、中心軸線C1を取り囲むように配置された複数のコア21と、該複数のコア21を包囲する単一のクラッド22と、該単一のクラッド22を包囲する被覆23とを有する。複数のコア11の配置と、複数のコア21の配置とは互いに同一である。図2に示されたタイプAは、クラッド12(22)にそれぞれが包囲された6個のコア11(21)が、中心軸線C1周りに略対称的に等角度間隔で配置されている例である。クラッド12(22)および被覆13(23)は、中心軸線C1を中心とする略同心円状に配置されている。なお、コアの数および配置は、上記の内容に限定されるものではなく、図2のタイプB〜Eに示されたように、コアの数は4〜7個であってもよく、中心軸線C1上にコア11(21)を有していてもよい。特に、中心軸線C1上にコア11(21)を有するタイプC〜Eの配置は、当該CC−MCF10、20それぞれの中心軸を挟んで対向するコア間でのモード結合が強まり、モード間の光学特性の均一性を高まり、前述のMIMO処理がより有効に作用するため好ましい。
【0025】
コア11,21およびクラッド12,22は、GeまたはFが添加されたシリカガラスを主成分として構成される。特に、クラッド12,22には、Fが4000ppm以上20000ppm未満、より好ましくは8000ppm以上16000ppm未満、添加されていることが好ましい。Fは拡散速度が速く、かつガラスの屈折率を下げる効果が大きい。そのため、光ファイバを加熱することによってFを拡散させることでMFDを効率的に変化させることが可能になる。なお、コア11,21およびクラッド12,22は、プリフォーム(preform)作成時の脱水工程で混入する塩素(Cl)を含有していてもよい。また、コア11,21およびクラッド12,22には、ガラスの粘性を下げる効果を有するNa,K,Rb,Cs,Caなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含有されてもよい。被覆13,23は、紫外線硬化性樹脂により構成されている。被覆13,23は、複数の層により構成されてもよい。例えば、クラッド12,22側(内側)の層が、外側の層(例えば最外層)よりも低いヤング率を有している構成では、CC−MCF10,20の外周に作用するランダムな外力のうちガラス部分(コア11,21およびクラッド12,22)に作用してマイクロベンドを生じさせる成分を減衰させることができる。また、外部から視認される被覆13,23の最外層が着色されることにより、CC−MCF10,20の識別を容易にすることができる。
【0026】
CC−MCF1Aの定常区間15,25(遷移区間16,26の形成前のCC−MCF)において、コア11,21の直径は、例えば6μm以上18μm以下である。これにより、個別のコア11,21において定義される基底モードを適切な強さで閉込めて伝搬させることができる。更に、ファイバ曲げにより高次モードを減衰させることで該高次モードの伝搬を防ぎ、結果、DMDの増大を防ぐことができる。クラッド12,22の外径は、例えば124μm以上126μm以下である。これにより、広く用いられている光コネクタへの接続が容易となる。被覆13,23の外径は、例えば240μm以上260μm以下である。これにより、実使用時に生じる断続的な微小な曲げ(マイクロベンド)による損失を低く抑えることができる。
【0027】
隣接するコア同士の間隔(コア間隔)は好ましくはコア直径以上30μm以下であり、CC−MCF10において隣接するコア11間のモード結合係数、およびCC−MCF20において隣接するコア21間のモード結合係数は、共に1[1/m]以上である。或いは、CC−MCF10において隣接するコア11間のパワー結合係数、およびCC−MCF20において隣接するコア21間のパワー結合係数は、共に10[1/km]以上である。ここで、「コア間隔」とは、コア中心同士を結んだ線分の長さで規定される。また、隣接するコアとは、該当する組のコアの中心同士を結んだ線分が、他の何れの組のコアの中心同士を結んだ線分との交差しない(当該組の線分の両端以外において他の組の線分と接しない)ようなコアの組を指す。また、「モード結合係数」とは、あるモードが単位長さを伝搬する際に別のモードに結合する成分の複素振幅の比率である。より詳細には、非特許文献2に記載されているように、モード結合方程式の係数として定義される。本明細書では記述を簡潔にするために、隣接するコアにおける基底モード間のモード結合係数を、コア間のモード結合係数と呼ぶ。また、「パワー結合係数」とは、あるモードが単位長さを伝搬する際に別のモードに結合する成分のパワーの比率である。より詳細には、非特許文献2に記載されているように、パワー結合方程式の係数として定義される。本明細書では記述を簡潔にするために、隣接するコアにおける基底モード間のパワー結合係数を、コア間のパワー結合係数と呼ぶ。更に、コア11,21は中心軸線C1を中心として、中心軸線C1に沿って螺旋状に伸びてもよい。螺旋の周期は、例えば0.5(m)以下である。これにより、モード結合を効率良く生じさせ、DMDの蓄積の速度をファイバ長の0.5〜0.7乗に比例する速度にまで低減することができる。
【0028】
CC−MCF10の端面10aと、CC−MCF20の端面20aとは、中心軸線C1周りの角度が調整された状態で、例えば融着等によって互いに接続されている。これにより、端面10aにおける各コア11と、端面20aにおける各コア21とが互いに直接に接続される。このとき、CC−MCF10のコア11の配置とCC−MCF20のコア21の配置は、製造のバラツキなどにより必ずしも厳密には一致しない場合がしばしば生じる。そのため、一対一に対応するコア同士の間での位置ズレ(コア中心のズレ)の絶対値の平均値が最小となるように、中心軸線周りの角度が調整された状態で2つのCC−MCF10,20が接続されることが好ましい。より好ましくは、位置ズレの絶対値の平均値が2μm以下、もしくは1μm以下であることが好ましい。なお、被覆13,23は、融着接続のために端面10a,20aを含む所定長の区間において除去される。ただし、融着接続後、被覆13,23が除去された区間には紫外線硬化性樹脂からなる再被覆5が形成され、該再被覆5により融着接続部分が被覆される。更に、本実施形態において、融着接続部分を含む区間は、200kgf以上の破断強度を有していることが好ましい。これにより、本実施形態の接続されたCC−MCF1Aを光ケーブルに用適用することが可能になる。そのような破断強度を確保するために、当該CC−MCF1Aは、200kgf以上の張力を0.1秒以上の時間に渡って印加するスクリーニングを経ていることが好ましい。
【0029】
図1では、複数のコア11および複数のコア21のうち、各3本のコア11,21が示されている。図1に示されたように、CC−MCF10は、定常区間15および遷移区間16を有する。遷移区間16は、端面10aを含み、定常区間15と端面10aとの間に設けられた区間である。定常区間15は、CC−MCF10の全区間のうち遷移区間16を除く残りの区間である。定常区間15では、コア11それぞれのMFDが中心軸線C1に沿って略一定である。
【0030】
遷移区間16では、コア11それぞれのMFDが、定常区間15と同じ大きさから、端面10aに向けて連続的に拡大している。このようなMFDの変化は、例えばコア11の径が、定常区間15と同じ大きさから端面10aに向けて次第に拡大することによって実現される。或いは、例えばコア11の屈折率が、定常区間15と同じ大きさから端面10aに向けて次第に小さくなることによって実現される。遷移区間16の長さは、例えばクラッド12の外径の3倍以上、10倍以上、若しくは30倍以上である。そして、コア11それぞれのMFDは、遷移区間16の定常区間15側の端から端面10aにかけて1.5倍以上(若しくは2倍以上)変化する。すなわち、端面10a上におけるコア11それぞれのMFDは、定常区間15におけるコア11それぞれのMFDの1.5倍以上となる。遷移区間16では、コア11それぞれのMFDの拡大に伴って、隣り合うコア11間でのモードフィールドの重なりが増大する。これにより、遷移区間16では、モード結合係数が端面10aに向かって連続的に増大する。より好ましくは、遷移区間16において、コア11それぞれのMFDの変化に係わらず、クラッド径は実質的に一定に保たれる。これにより、応力の集中や不十分な断面積に起因する当該CC−MCF1Aの破断強度の低下が防がれ、高い機械的信頼性が実現され得る。
【0031】
CC−MCF20も同様に、定常区間25および遷移区間26を有する。遷移区間26は、端面20aを含み、定常区間25と端面20aとの間に設けられた区間である。定常区間25は、CC−MCF20の全区間のうち遷移区間26を除く残りの区間である。定常区間25では、コア21それぞれのMFDが中心軸線C1に略一定である。
【0032】
遷移区間26では、コア21それぞれのMFDが、定常区間25と同じ大きさから、端面20aに向けて連続的に拡大する。このようなMFDの変化は、例えばコア21の径が、定常区間25と同じ大きさから端面20aに向けて次第に拡大することによって実現される。或いは、例えばコア21の屈折率が、定常区間25と同じ大きさから端面20aに向けて次第に小さくなることによって実現される。遷移区間26の長さは、例えばクラッド22の外径の3倍以上、10倍以上、若しくは30倍以上である。そして、コア21それぞれのMFDは、遷移区間26の定常区間25側の端から端面20aにかけて1.5倍以上(若しくは2倍以上)変化する。すなわち、端面20a上におけるコア21それぞれのMFDは、定常区間25におけるコア21それぞれのMFDの1.5倍以上となる。遷移区間26では、コア21それぞれのMFDの拡大に伴って、隣り合うコア21間でのモードフィールドの重なりが増大する。これにより、モード結合係数が端面20aに向かって連続的に増大する。
【0033】
なお、コア11,21それぞれの径を端面10a,20aに近づくに従って次第に拡大する方法としては、例えば光ファイバの屈折率分布を形成するために光ファイバに添加されているGeやFなどのドーパントを、プロパンなどの可燃性ガスの火炎を用いて熱的に拡散させる方法が有効である。このような方法および方法を実現する装置は特許文献1に開示されている。また、コア11,21それぞれの屈折率を端面10a,20aに近づくに従って次第に小さくする方法としても、上述のGeやFなどのドーパントを熱的に拡散させる方法を有効に用いることができる。より好ましくは、クラッド12,22に添加されたFがコア11,21に拡散することで、上記のコア径および/または屈折率の変化が実現される。Geや他の元素に比べて拡散速度が速いFの拡散を利用することで加える熱量を低減し、当該CC−MCF1Aの生産性と安全性を高めることができる。
【0034】
次に、上述の本実施形態に係るCC−MCF1Aによって得られる効果について説明する。図6は、比較例に係るCC−MCF100の断面構造を示す模式図である。CC−MCF100は、CC−MCF110,120を備える。CC−MCF110は複数のコア111を有する。CC−MCF120は複数のコア121を有する。
【0035】
CC−MCF100と本実施形態に係るCC−MCF1Aとの相違点は、CC−MCF110,120が遷移区間を有していない点である。すなわち、CC−MCF110の全区間において、コア111それぞれのMFDは中心軸線C1に沿って略一定である。同様に、CC−MCF120の全区間においても、コア121それぞれのMFDは中心軸線C1に沿って略一定である。なお、これ以外のCC−MCF100の構成は、本実施形態に係るCC−MCF1Aと同様である。
【0036】
上述のような構造を有するCC−MCF100では、コア111においてモードM1〜M3がそれぞれ伝搬する。これらモードM1〜M3は、CC−MCF110とCC−MCF120との境界面を経てコア121にそれぞれ入射し、コア121においてそれぞれ伝搬する。モードM1〜M3は、CC−MCF110,120が本来有する捻れや、実使用時に生じる曲げや捻れによって互いに結合する。すなわち、モードM1〜M3間にモード結合Maが生じる。これにより、CC−MCF100がCM−CC−MCFとしての機能を有することになる。このとき、DMDの蓄積がランダム化され、DMDの蓄積の速度が低減され得る。しかしながら、CC−MCF100の場合、実使用時に十分な曲げや捻れが発生しなければ、十分なモード結合が得られないことがある。
【0037】
これに対し、本実施形態に係るCC−MCF1Aにおいては、CC−MCF10,20が、端面10a,20aに隣接する遷移区間16,26を有する。遷移区間16,26では、コア11,21それぞれのMFDが端面10a,20aに近づくに従って連続的に拡大する。これにより、隣接するコア間のモードフィールドの重なりが増し、モード結合係数が端面10a,20aに向けて連続的に増大する。そして、モード結合係数が連続的に増大することにより、強いモード結合Mbが生じる。従って、本実施形態のCC−MCF1Aによれば、曲げや捻れが少ない状態で使用された場合であっても十分なモード結合を生じさせ、CM−CC−MCFを実現することができる。これにより、DMDの蓄積を更に遅らせ、DMDをより効果的に低減することができる。更に、中心軸線C1に沿ったモード不整合に伴う伝送損失を低減することができる。特に、隣接するコア間のモードフィールドの重なりで規定されるクロストークが、1つの遷移区間あたり−40dB以上、より好ましくは−30dB以上であることが好ましい。また、遷移区間は10km以上100km以下に1回の頻度で存在することが好ましい。これにより、1000kmから10000kmの長距離伝送(long-haul transmission)において、モードが十分に結合され、モード間の光学特性の均一性が高められる。
【0038】
また、本実施形態のように、CC−MCF10,20の遷移区間16,26の長さは、クラッド12,22の外径の3倍以上、10倍以上、若しくは30倍以上であってもよい。これにより、モード不整合による伝送損失を低く抑えることができる。また、個別のコア11,21において定義されるモードフィールド径は、遷移区間16,26において1.5倍以上、若しくは2倍以上変化してもよい。これにより、十分な強さのモード結合Mbを生じさせることができる。
【0039】
また、上述のように、CC−MCF10,20の間の融着接続部は再被覆5によって被覆される。再被覆5が柔軟な樹脂により形成されることによって、遷移区間16、26を屈曲可能とすることができる。屈曲を加えることにより、遷移区間16、26における強いモード結合Mbが更に強められ、DMDが更に低減される。
【0040】
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態に係るCC−MCF1Bの中心軸線に沿った断面構造を模式的に示す図である。図4は、CC−MCF1Bを構成するCC−MCF30の中心軸線に垂直な断面構造の例を示す図である。図3に示されたように、第2実施形態に係るCC−MCF1Bは、第1実施形態に係るCC−MCF10,20に加えて、第3のファイバ部に相当するCC−MCF30(第3のCC−MCF)を更に備える。なお、図4は、図3中のIII-III線に沿ったCC−MCF30の断面構造の例を示す図であり、CC−MCF10、20それぞれの断面構造(図2のタイプA)に対応した断面構造を示す。
【0041】
図4に示されたように、CC−MCF30は、複数のコア31と、該複数のコア31を包囲する単一のクラッド32と、該単一のクラッド32を包囲する被覆33とを有する。複数のコア31の配置は、CC−MCF10の複数のコア11、およびCC−MCF20の複数のコア21の配置と同一である。図4の例では、図2に示されたタイプAに対応して6個のコア31が、中心軸線C1周りに略対称的に等角度間隔で配置されている。クラッド32および被覆33は、略同心円状に配置されている。コア31およびクラッド32の構成材料は、CC−MCF10,20のコア11,21およびクラッド12,22と同様である。被覆33の構成材料は、CC−MCF10,20の被覆13,23と同様である。
【0042】
コア31の直径は、CC−MCF10,20の定常区間15,25でのコア11,21の直径よりも大きい。なお、図3の例では、コア31の直径は、CC−MCF10,20の端面10a,20aにおけるコア11,21の直径と略等しい。コア31それぞれのMFDは、CC−MCF10,20の定常区間15,25におけるコア11,21それぞれのMFDの1.5倍以上(より好ましくは2倍以上)である。なお、図3の例では、コア31それぞれのMFDは、CC−MCF10,20におけるコア11,21それぞれの、端面10a,20aでのMFDと略等しい。CC−MCF30において隣接するコア31間のモード結合係数は1[1/m]以上であり、定常区間15,25におけるコア11間およびコア21間のモード結合係数よりも大きい。或いは、CC−MCF30において隣接するコア31間のパワー結合係数は10[1/km]以上であり、定常区間15,25におけるコア11間およびコア21間のパワー結合係数よりも大きい。一例では、コア31間のモード結合係数(若しくはパワー結合係数)は、CC−MCF10,20の端面10a,20aにおけるコア11間、コア21間のモード結合係数(若しくはパワー結合係数)と略等しい。
【0043】
クラッド32の外径は、CC−MCF10,20のクラッド12,22の外径と等しい。被覆33の外径は、CC−MCF10,20の被覆13,23の外径と等しい。
【0044】
CC−MCF10の端面10a(接続端面)は、CC−MCF30の端面30a(第1のファイバ端面)と接続され、CC−MCF20の端面20a(接続端面)は、CC−MCF30の端面30b(第2のファイバ端面)と接続されている。これにより、端面10aにおけるコア11と、端面20aにおけるコア21とが、CC−MCF30のコア31を介してそれぞれ間接的に接続される。すなわち、CC−MCF30を介して、コア11とコア21が一対一に光学的に接続されている。
【0045】
CC−MCF30の端面30aと、CC−MCF10の端面10aとは、中心軸線C1周りの角度が調整された状態で、例えば融着等によって互いに接続されている。これにより、端面30aにおけるコア31と、端面10aにおけるコア11とがそれぞれ互いに直接に接続される。なお、被覆13,33は、融着接続のために端面10a,30aを含む所定長の区間において除去される。ただし、融着接続後、被覆13,33が除去された区間には紫外線硬化性樹脂からなる再被覆5aが形成され、該再被覆5aにより融着接続部分が被覆される。
【0046】
また、CC−MCF30の端面30bと、CC−MCF20の端面20aとは、中心軸線C1周りの角度が調整された状態で、例えば融着等によって互いに接続されている。これにより、端面30bにおけるコア31と、端面20aにおけるコア21とがそれぞれ互いに直接に接続される。なお、被覆23,33は、融着接続のために端面30bおよび端面20aを含む所定長の区間において除去される。ただし、融着接続後、被覆23,33が除去された区間には再被覆5bが形成され、該再被覆5bにより融着接続部分が被覆される。
【0047】
上述のような構造を有するCC−MCF1Bでは、第1実施形態と同様に、CC−MCF10,20の定常区間15,25においてモードM1〜M3間のモード結合Maが生じ、遷移区間16,26において更に強いモード結合Mbが生じる。加えて、本実施形態では、CC−MCF30においてモードM1〜M3間に更に強いモード結合Mcが生じる。これにより、遷移区間16、CC−MCF30、および遷移区間26の間にほぼ完全なモード結合が生じることになる。したがって、CC−MCF10,20が有するコア間の群遅延差や伝送損失差を全てのモードに分散させ、コアの特性のばらつきの影響を低減することができる。また、CC−MCF30が、CC−MCF10,20の端面10a,20aにおけて拡大されたMFDおよびモード結合係数と同等のMFDおよびモード結合係数を有することにより、モード不整合による伝送損失を低く抑えることができる。
【0048】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に遷移区間16、26が屈曲可能なように再被覆5a,5bが形成されることにより、モード結合をより強め、DMDを更に低減することができる。
【0049】
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態に係る光伝送システム7の構成を概略的に示す図である。図5に示されたように、この光伝送システム7は、光送信器71、光増幅器72、光受信器73、およびCC−MCF1Cを備える。光送信器71は、変調された光信号Laを出力する。光増幅器72は、この光信号Laを増幅する。例えば、光増幅器72は、エルビウムが添加されたシリカガラスに励起光を入力して反転分布を形成することにより、導波される複数のモードの光を増幅する。
【0050】
CC−MCF1Cは、光増幅器72を介して、光送信器71と光受信器73とを光学的に結合する。なお、図5の例では、CC−MCF1Cは、第2実施形態に係る2本のCC−MCF1Bを含む。一方のCC−MCF1Bは、光送信器71と光増幅器72とを光学的に結合し、光送信器71から出力された光信号Laをモード結合させながら光増幅器72へ伝搬させる。他方のCC−MCF1Bは、光増幅器72と光受信器73とを光学的に結合し、光増幅器72から出力された増幅後の光信号Laを更にモード結合させながら光受信器73へ伝搬させる。
【0051】
光受信器73は、増幅された光信号Laを受ける。例えば、光受信器73は、モード結合された光信号Laと、略等しい光周波数を有する局部発信光とを干渉させてコヒーレント検出を行い、デジタル信号処理によって分散および非線形歪みの影響を補正するとともに、MIMO信号処理によってモード結合する前の光信号Laを復元する。
【0052】
本実施形態に係る光伝送システム7によれば、CC−MCF1Cを備えることによって、長い距離を伝送してもDMDの蓄積が低く抑えられ、光受信器73におけるMIMO信号処理の計算量が小さくなる。その結果、信号処理に伴う信号の遅延および消費電力が低減される。なお、CC−MCF1Cは、少なくとも一方のCC−MCF1Bに代えて、第1実施形態のCC−MCF1Aを含んでもよい。
【0053】
本発明に係る結合型マルチコア光ファイバは、上述の実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上述の実施形態それぞれを、必要な目的および効果に応じて互いに組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1A〜1C…CC−MCF、5,5a,5b…再被覆、7…光伝送システム、10…第1のCC−MCF、11,21,31…コア、12,22,32…クラッド、13,23,33…被覆、15,25…定常区間、16,26…遷移区間、20…第2のCC−MCF、30…第3のCC−MCF、71…光送信器、72…光増幅器、73…光受信器、C1…中心軸線、La…光信号、M1〜M3…モード、Ma,Mb,Mc…モード結合。
図1
図2
図3
図4
図5
図6