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特許6973391スイッチング装置、移動体及び電力供給システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6973391
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】スイッチング装置、移動体及び電力供給システム
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/59 20060101AFI20211111BHJP
   H01H 85/28 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   H01H33/59 B
   H01H33/59 D
   H01H85/28
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-528426(P2018-528426)
(86)(22)【出願日】2017年5月25日
(86)【国際出願番号】JP2017019615
(87)【国際公開番号】WO2018016179
(87)【国際公開日】20180125
【審査請求日】2020年4月27日
(31)【優先権主張番号】特願2016-141035(P2016-141035)
(32)【優先日】2016年7月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 直
【審査官】 太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−214235(JP,A)
【文献】 特開2013−257962(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0138683(US,A1)
【文献】 実開昭60−028434(JP,U)
【文献】 特開平6−342619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/28−33/59
H01H 9/54− 9/56
H01H 31/00−31/36
H01H 85/00−85/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を流す系統に設けられるスイッチと、
前記スイッチと並列に設けられ、導体が封止されているヒューズと、
前記スイッチが前記系統に対して開いた状態で前記スイッチと接続される抵抗と、
を備え、
前記ヒューズは、前記スイッチが前記系統に対して閉じられている状態で流れる電流では溶断せず、前記スイッチが前記系統に対して開いた状態で流れる電流により溶断し、
前記スイッチが前記系統に対して開いた状態から閉じた状態となることで、前記ヒューズが溶断されていないものに交換される、スイッチング装置。
【請求項2】
前記スイッチはメカニカルな機構を有する、請求項1に記載のスイッチング装置。
【請求項3】
前記スイッチが前記系統に対して開いた状態から閉じられている状態になると、溶断したヒューズから溶断していないヒューズに入れ替える入れ替え部を有する、請求項に記載のスイッチング装置。
【請求項4】
前記スイッチ及び前記ヒューズの後段に、前記ヒューズへの電流を制限する電流制限部を備える、請求項1〜のいずれか1項に記載のスイッチング装置。
【請求項5】
前記電流制限部は、前記スイッチから前記ヒューズへの順方向及び逆方向の双方に設けられる少なくとも一組のダイオードからなる、請求項に記載のスイッチング装置。
【請求項6】
前記電力は直流電力である、請求項1〜のいずれか1項に記載のスイッチング装置。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか1項に記載のスイッチング装置を備える、移動体。
【請求項8】
直流電力を供給するバッテリと、
前記バッテリから供給される直流電力による駆動する駆動部と、
前記バッテリと前記駆動部との間に設けられる、少なくとも1つの、請求項1〜のいずれか1項に記載のスイッチング装置と、
を備える、電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スイッチング装置、移動体及び電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
直流給電でも交流給電でも、電力の切断時にはアーク放電が発生する。交流の場合、所定の時間毎(例えば10ミリ秒毎)に電圧がゼロとなる瞬間があるので、アーク放電は少なくとも上記所定の時間内(例えば10ミリ秒以内)に自然に止まる。しかし直流給電では、ゼロ電圧となる瞬間がないため、アーク放電は自然には止まらない。
【0003】
そのため、直流給電の場合に電力の切断時にアーク放電の発生を抑えることを目的とした技術が開示されている(特許文献1,2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−203721号公報
【特許文献2】特表2014−522088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アーク放電の発生は電極の劣化による故障などの原因となる。アークを消弧させるための機構もあるが、アークを何度も消弧させると、機構自体の劣化を招く。また大電流の遮断の際には機構自体が大型化する。
【0006】
そこで本開示では、簡易な構成により、スイッチによる電力の遮断時に、アークを発生させずに安全に直流電力を遮断させることが可能な、新規かつ改良されたスイッチング装置、移動体及び電力供給システムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、電力を流す系統に設けられるスイッチと、前記スイッチと並列に設けられ、導体が封止されているヒューズと、を備え、前記ヒューズは、前記スイッチが前記系統に対して閉じられている状態で流れる電流では溶断せず、前記スイッチが前記系統に対して開いた状態で流れる電流により溶断し、前記スイッチが前記系統に対して開いた状態から閉じた状態となることで、前記ヒューズが溶断されていないものに交換される、スイッチング装置が提供される。
【0008】
また本開示によれば、上記スイッチング装置を備える、移動体が提供される。
【0009】
また本開示によれば、直流電力を供給するバッテリと、前記バッテリから供給される直流電力による駆動する駆動部と、前記バッテリと前記駆動部との間に設けられる、少なくとも1つの、上記スイッチング装置と、を備える、電力供給システムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本開示によれば、簡易な構成により、スイッチによる電力の遮断時に、アークを発生させずに安全に直流電力を遮断させることが可能な、新規かつ改良されたスイッチング装置、移動体及び電力供給システムを提供することが出来る。
【0011】
なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施の形態に係るスイッチング装置100の構成例を示す説明図である。
図2図1に示した同実施の形態に係るスイッチング装置100におけるヒューズが溶断した状態を示す説明図である。
図3】同実施の形態に係るスイッチング装置100において、溶断されたヒューズが溶断されていないヒューズに入れ替わった状態を示す説明図である。
図4】同実施の形態に係るスイッチング装置100のスイッチ及びヒューズを通じて負荷に流れる電流の時間推移の例を示す説明図である。
図5】同実施の形態に係るスイッチング装置100のスイッチの構造例を示す説明図である。
図6】同実施の形態に係るスイッチング装置100のスイッチの構造例を示す説明図である。
図7】同実施の形態に係るスイッチング装置100の別の例を示す説明図である。
図8図7に示した同実施の形態に係るスイッチング装置100において、サーモスタットがオフになり、ヒューズが溶断した状態を示す説明図である。
図9】同実施の形態に係るスイッチング装置100のサーモスタット及びヒューズを通じて負荷に流れる電流の時間推移の例を示す説明図である。
図10】同実施の形態に係るスイッチング装置100の別の例を示す説明図である。
図11図10に示した同実施の形態に係るスイッチング装置100におけるヒューズが溶断した状態を示す説明図である。
図12図7に示したサーモスタットとヒューズとの後段に、双方向にダイオードを備えたスイッチング装置100の構成例を示す説明図である。
図13】スイッチング装置100を備えた移動体の機能構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.本開示の実施の形態
1.1.概要
1.2.構成例
2.応用例
3.まとめ
【0015】
<1.本開示の実施の形態>
[1.1.概要]
本開示の実施の形態について詳細に説明する前に、本開示の実施の形態の概要について説明する。
【0016】
直流給電でも交流給電でも、電力の切断時には、電圧と電流がある所定の値以上になると、電極間の電位差によるスパークやアーク放電が発生する。交流の場合、所定の時間毎(例えば10ミリ秒毎)に電圧がゼロとなる瞬間があるので、アーク放電は少なくとも上記所定の時間内(例えば10ミリ秒以内)に自然に止まる。
【0017】
しかし直流給電では、交流給電と違って電圧がゼロとなる瞬間がないため、アーク放電は自然には止まらない。アーク放電は、金属の溶断、溶着といった接点の劣化を発生させ、電力給電の信頼性が低下するおそれがある。
【0018】
そのため、直流給電の場合に電力の切断時にアーク放電の発生を抑えることを目的とした技術が開示されている。例えば、コンデンサと抵抗とを用いたスナバ回路を揺動接触子の間に接続して回避する技術が従来から提案されている。
【0019】
しかし、直流給電の場合にスナバ回路を用いてアーク放電を防ぐためには、容量の大きなコンデンサと小さな抵抗を用いなければ十分な効果が得られず、十分な効果を得ようとするとスナバ回路が大型化してしまう。また、スナバ回路を用いてアーク放電を防ぐ場合、直流電力の切断後に直流電源に再度接続しようとすると、容量の大きなコンデンサにチャージされた電荷によるショート電流が大きくなり、接点が溶着してしまう。
【0020】
また差込プラグをプラグ受けに抜き差しすることによって直流給電を行う場合において、アーク放電の発生を防ぐために差込プラグに機械的スイッチを設け、差込プラグをプラグ受けから抜去する際にその機械的スイッチを操作することでアーク放電の発生を防ぐ技術もある。しかし、この技術では差込プラグの抜去時に機械的スイッチの操作という煩雑な操作を利用者に強いる必要が生じる。
【0021】
機械的にアーク放電を除去する方法もある。しかし機械的にアーク放電を除去するためには、接点の引き剥がし速度を上げたり、磁気回路によってアークを引き剥がしたりするなどの構造が必要となり、アーク放電を除去するための回路が大型化してしまう。
【0022】
直流給電の場合に電力の切断時にアーク放電の発生を抑えることを目的とした技術として、他に上記特許文献1,2等がある。
【0023】
上記特許文献1は、直流給電時に電流が流れる経路上にスイッチング素子を設け、プラグ受けからの差込プラグの抜去時にスイッチング素子をオフにすることで、アーク放電の発生を抑える技術を開示している。
【0024】
しかし、特許文献1に開示されている技術では、直流給電時に電流がスイッチング素子を流れるために、直流給電時にスイッチング素子において電力が消費されるとともに、直流給電時にスイッチング素子が発熱する。
【0025】
上記特許文献2も、直流給電時に電流が流れる経路上にスイッチング素子を備えるアーク吸収回路を設け、プラグ受けからの差込プラグの抜去時にスイッチング素子をオフにすることで、アーク放電の発生を抑える技術を開示している。
【0026】
しかし、特許文献2で開示されている技術では、アーク吸収回路として2つのスイッチング素子や、スイッチング素子をオフにするためのタイマを設けており、アーク電力を一時的に蓄えて、その蓄えた電力を放出するための回路が必要になり、回路が大型化する。
【0027】
アーク放電の発生は電極の劣化による故障などの原因となる。アークを消弧させるための機構として、他に、遮断器の接点間隔を大きくしたり、磁石を装填してアークを引き延ばしたりして消弧する機構もあるが、アークを何度も消弧させると、機構自体の劣化を招く。また大電流の遮断の際には機構自体が大型化する。
【0028】
そこで本件開示者は、上述した点に鑑みて、簡易な構成でありながら、電力の遮断時にアークの発生を抑えることが可能な技術について鋭意検討を行った。その結果、本件開示者は、以下で説明するように、電流が流れる系統にスイッチを設けるとともに、スイッチに並列にヒューズを設けることで、簡易な構成でありながら、スイッチによる電力の遮断時にアークの発生を抑えることが可能な技術を考案するに至った。
【0029】
以上、本開示の実施の形態の概要について説明した。続いて、本開示の実施の形態について詳細に説明する。
【0030】
[1.2.構成例]
図1は、本開示の実施の形態に係るスイッチング装置100の構成例を示す説明図である。以下、図1を用いて本開示の実施の形態に係るスイッチング装置100の構成例について説明する。
【0031】
図1に示したように、本開示の実施の形態に係るスイッチング装置100は、スイッチSW1と、ヒューズF1、F2、・・・、Fnと、抵抗R1と、を含んで構成される。スイッチング装置100は、電圧Vsを有する直流電源(図示せず)から負荷10への電力の供給と遮断とを切り替えるための装置である。
【0032】
スイッチSW1は、例えばメカニカルスイッチである。スイッチSW1は、電圧Vsを有する直流電源(図示せず)からの電流の負荷10への供給時(通常時)には接点aと接点cとが接続され、直流電源からの電流の遮断時には接点bと接点cとが接続される構成を有する。スイッチSW1の接点の切り替えは、手動で行われても良いし、遠隔操作によって行われても良い。
【0033】
図1には、スイッチSW1と並列にヒューズF1、F2、・・・、Fnが設けられている構成が示されている。ヒューズF1、F2、・・・、Fnは、それぞれ導体がガラス管などで封止されており、所定の定格で、例えば10V、2Aの20W程度で溶断するようなものが用いられる。またヒューズF1、F2、・・・、Fnは、スイッチSW1の接点bと接点cとが接続される状態で、直流電源からヒューズF1、F2、・・・、Fnを通じて負荷10へ流れる電流により溶断する定格を有する。なお、ヒューズF1、F2、・・・、Fnの中の1つのみが、スイッチSW1と並列に接続されている。
【0034】
直流電源から電力が負荷10に供給されている状態で、スイッチSW1の接点bと接点cとが接続される状態になると、直流電源から負荷10への電流はヒューズF1を流れる。直流電源から負荷10への電流は、ヒューズF1を溶断させる電流であるので、スイッチSW1の接点bと接点cとが接続される状態になるとヒューズF1は溶断する。
【0035】
図2は、本開示の実施の形態に係るスイッチング装置100におけるスイッチSW1の接点bと接点cとが接続され、ヒューズF1が溶断した状態を示す説明図である。従って、スイッチSW1の接点が切り替わることによっても、スイッチSW1にアークが発生することはない。
【0036】
負荷10の抵抗の状況によっては、スイッチSW1の接点bと接点cとが接続される状態になって直流電源からヒューズF1に電流が流れる場合に、その電流ではヒューズF1が溶断しない場合もある。
【0037】
そのような場合を考慮して、スイッチング装置100は、図1に示したようにスイッチSW1及びヒューズF1の後段に抵抗R1が接続されている構成を有している。抵抗R1は、ヒューズF1が溶断するような電流を直流電源から流すための抵抗値を有する。スイッチング装置100は、抵抗R1を有することにより、スイッチSW1の接点bと接点cとが接続される状態になった場合に負荷10の抵抗の状況によらずとも、ヒューズF1を溶断させることができる。
【0038】
言い換えれば、負荷10の抵抗の状況がどのような場合であってもヒューズF1を溶断させることが出来れば、スイッチング装置100に抵抗R1が設けられていなくても良い。
【0039】
図1に示したスイッチング装置100は、スイッチSW1の接点bと接点cとが接続された状態から、再度、接点aと接点cとが接続された状態になると、スイッチSW1に並列に接続されるヒューズが新しいもの(溶断されていないもの)に入れ替わる。
【0040】
図3は、スイッチング装置100において、スイッチSW1に並列に接続されるヒューズが、溶断されていないヒューズF2に新たに入れ替わった状態を示す説明図である。このように、スイッチSW1に並列に接続されるヒューズ新しいものに入れ替わることで、再びスイッチSW1の接点bと接点cとが接続されても、スイッチSW1のアークの発生を防ぐことができる。なお、溶断したヒューズは回収されうる。
【0041】
図4は、図1に示したスイッチング装置100のスイッチSW1及びヒューズF1を通じて負荷10に流れる電流の時間推移の例を示す説明図である。スイッチSW1の接点aと接点cとが接続される状態では、一定の電流がスイッチSW1に流れている一方で、ヒューズF1には殆ど電流が流れない。
【0042】
ある時点で、スイッチSW1の接点bと接点cとが接続される状態になると、スイッチSW1に流れる電流は0になる一方、ヒューズF1には直流電源から電流が流れる。またヒューズF1に流れる電流は、負荷10に流れる電流と、抵抗R1を通じて流れる電流(Vs/R1)の和となる。このヒューズF1に流れる電流は、ヒューズF1を溶断させるのに充分な電流であるとする。そして、ヒューズF1に電流が流れ続けると、ある時点でヒューズF1が溶断し、直流電源から負荷10に流れる電流は0となる。
【0043】
図5及び図6は、スイッチSW1の構造例を示す説明図である。スイッチSW1は、ヒューズホルダ113を備えるスイッチレバー111で構成される。スイッチレバー111は、レバー支点112を中心に所定の範囲だけ回動する。スイッチレバー111は、人間の手によって操作されるものであっても良く、遠隔操作されるものであっても良い。
【0044】
図5に示したのは、接点bと接点cとが接続される状態になるスイッチSW1の例である、すなわち、ヒューズF1は溶断している状態である。またヒューズホルダ113には、溶断していないヒューズF2がセットされている。この状態から、図6に示したように、接点aと接点cとが接続される状態になると、ヒューズF1はヒューズF2によって押し出され、溶断していないヒューズF2が装着される。
【0045】
すなわち、図1に示したスイッチング装置100は、スイッチレバー111の操作により、ヒューズの溶断と、溶断していない新しいヒューズのセットとが繰り返されることになる。
【0046】
スイッチング装置の別の例を示す。図7は、本開示の実施の形態に係るスイッチング装置100の別の例を示す説明図である。以下、図7を用いて本開示の実施の形態に係るスイッチング装置100の別の例を説明する。
【0047】
図7に示したスイッチング装置100は、サーモスタットT1と、ヒューズF1と、を含んで構成される。サーモスタットT1は、電圧Vsを有する直流電源(図示せず)から負荷10への電力の供給経路上に設けられる。またヒューズF1は、サーモスタットT1と並列に設けられる。ヒューズF1は、所定の定格で、例えば10V、2Aの20W程度で溶断するようなものである。またヒューズF1は、サーモスタットT1がオフに状態で、直流電源からヒューズF1を通じて負荷10へ流れる電流により溶断する定格を有する。
【0048】
サーモスタットT1は、負荷10の温度が所定値以上になるとオフ状態となるよう構成されている。この所定値は、例えば、負荷10に想定以上の電流が流れたり、負荷10が故障したりした際に達しうる温度に設定される。図7に示したスイッチング装置100は、負荷10の温度が所定値以上になるとサーモスタットT1がオフになり、直流電源から負荷10への電流はヒューズF1のみを通って流れる。直流電源から負荷10への電流はヒューズF1のみを通って流れると、ヒューズF1は溶断する。図8は、図7に示したスイッチング装置100においてサーモスタットT1がオフになり、ヒューズF1が溶断した状態を示す説明図である。
【0049】
ヒューズF1が設けられていないと、サーモスタットT1がオフになるとサーモスタットT1にアークが発生しうる。ヒューズF1を設けて直流電源からの電流をヒューズF1に流し、ヒューズF1を溶断させることで、図7に示したスイッチング装置100は、負荷10の温度が所定値以上になった場合に、サーモスタットT1でのアークの発生を防ぐことができる。
【0050】
図9は、図7に示したスイッチング装置100のサーモスタットT1及びヒューズF1を通じて負荷10に流れる電流の時間推移の例を示す説明図である。サーモスタットT1がオンの状態では、一定の電流がサーモスタットT1に流れている一方で、ヒューズF1には殆ど電流が流れない。
【0051】
ある時点で、サーモスタットT1がオフの状態になると、サーモスタットT1に流れる電流は0になる一方、ヒューズF1には直流電源から電流が流れる。このヒューズF1に流れる電流は、ヒューズF1を溶断させるのに充分な電流であるとする。そして、ヒューズF1に電流が流れ続けると、ある時点でヒューズF1が溶断し、直流電源から負荷10に流れる電流は0となる。
【0052】
スイッチング装置の別の例を示す。図10は、本開示の実施の形態に係るスイッチング装置100の別の例を示す説明図である。以下、図10を用いて本開示の実施の形態に係るスイッチング装置100の別の例を説明する。
【0053】
図1には、メカニカルスイッチとヒューズとが並列に接続されたスイッチング装置100の例を示した。図10に示したのは、メカニカルスイッチ及びヒューズの後段に、双方向にダイオードを設けたスイッチング装置100の例である。
【0054】
スイッチSW1の接点aと接点cとが接続されている状態では、接点間に接点抵抗が発生する。その接点抵抗と、ヒューズF1とが持つ抵抗とで、負荷10に流れる電流が分流する。従って、スイッチSW1を投入する(接点aと接点cとが接続状態になることをいう)際のラッシュ電流や、負荷10の故障時などにより、スイッチSW1の接点aと接点cとが接続されている状態でもヒューズF1が溶断してしまう可能性がある。
【0055】
そこで、図10に示したスイッチング装置100は、スイッチSW1及びヒューズF1の後段に、双方向にダイオードD1、D2を備えている。このダイオードD1、D2は、本開示の電流制限部の一例であり、ある電圧がスイッチSW1の接点間に発生するまではヒューズF1に分流させないためにものである。接点間のアークは、例えば15V程度から発生することが分かっている。従って、図10に示したスイッチング装置100は、ダイオードD1、D2の順方向電圧降下を利用し、ある一定の電圧がスイッチSW1の端子間に発生しないとヒューズF1に分流させないようにしている。
【0056】
図11は、本開示の実施の形態に係るスイッチング装置100におけるスイッチSW1の接点bと接点cとが接続され、ヒューズF1が溶断した状態を示す説明図である。このように、スイッチSW1の接点が切り替わることによっても、ヒューズF1に電流が流れるために、スイッチSW1にアークが発生することはない。そしてヒューズF1は、やがて直流電源から負荷10に流れる電流によって溶断するため、スイッチング装置100は、安全に直流電源から負荷10を切り離すことができる。
【0057】
図7に示したスイッチング装置100にも同じことがいえる。すなわち、サーモスタットT1がオン状態では、接点間に接点抵抗が発生する。その接点抵抗と、ヒューズF1とが持つ抵抗とで、負荷10に流れる電流が分流する。従って、サーモスタットT1を投入する(サーモスタットT1の両端の端子が接続した状態になることをいう)際のラッシュ電流や、負荷10の故障時などにより、サーモスタットT1がオン状態でもヒューズF1が溶断してしまう可能性がある。図12は、図7に示したサーモスタットT1とヒューズF1との後段に、双方向にダイオードD1、D2を備えたスイッチング装置100の構成例を示す説明図である。
【0058】
このように、サーモスタットT1とヒューズF1との後段に、双方向にダイオードD1、D2を備えることで、ある一定の電圧がサーモスタットT1の端子間に発生しないとヒューズF1に分流させないようにしている。
【0059】
<2.応用例>
図13は、スイッチング装置100を備えた移動体40の機能構成例を示す説明図である。移動体40は、例えば、ガソリン車のようにエンジンを動力源とする移動体であってもよく、電気自動車、ハイブリッド車、電気オートバイ等の、充放電可能なバッテリを主な動力源とする移動体であってもよい。また移動体40は、飛行機や船舶などの移動体であってもよい。図13には、移動体40に、バッテリ210と、バッテリから供給される電力により駆動する駆動部220と、が備えられた場合の例が示されている。駆動部220には、例えばワイパー、パワーウィンドウ、ライト、カーナビゲーションシステム、エアーコンディショナのような車両に備えられる装備品や、モーター等の移動体40を駆動させる装置などが含まれうる。
【0060】
そして図13に示した移動体40には、バッテリ210から駆動部220へ直流電力が供給される経路の途中に、スイッチング装置100が設けられている。図13に示した移動体40は、バッテリ210から駆動部220へ直流電力が供給される経路上に、スイッチング装置100が設けられることで、例えばバッテリ210を一時着脱させる際等にアーク放電の発生を抑えることが出来る。
【0061】
なお図13には、スイッチング装置100が1つだけ備えられている移動体40の例を示したが、本開示は係る例に限定されるものではない。すなわち、スイッチング装置100は直流電力が供給される経路の途中に複数設けられても良い。またスイッチング装置100は、バッテリ210から駆動部220へ直流電力が供給される経路の途中だけでなく、他の場所、例えばバッテリ210を直流電力で充電する際の経路の途中に設けられても良い。移動体40は、バッテリ210を直流電力で充電する際の経路の途中にスイッチング装置100を設けることで、安全にバッテリ210を直流電力で充電することができる。
【0062】
本実施の形態に係るスイッチング装置100が移動体40に設けられることで、故障時などに駆動部220に想定を超えた大きな電流が流れる場合に、アークを発生させること無く、安全に電流を遮断することができる。
【0063】
<3.まとめ>
以上説明したように本開示の実施の形態によれば、メカニカルスイッチ、またはサーモスタットと並列にヒューズを備える、スイッチング装置、及びこのようなスイッチング装置を備える移動体、電力供給システムが提供される。
【0064】
本開示の実施の形態に係るスイッチング装置は、メカニカルスイッチ、またはサーモスタットが電源からの電力を負荷に供給している状態ではヒューズは溶断せず、メカニカルスイッチ、またはサーモスタットが電源からの電力供給を遮断する状態でヒューズに流れる電流によりヒューズが溶断する。
【0065】
このように、メカニカルスイッチ、またはサーモスタットが電源からの電力供給を遮断する状態でヒューズに電流を流し、ヒューズを溶断させることで、本開示の実施の形態に係るスイッチング装置は、メカニカルスイッチ、またはサーモスタットが電源からの電力供給を遮断する際のアークの発生を防ぐことができる。
【0066】
なお、上述の例では、直流電源からの電流を遮断する場合について説明したが、本開示は係る例に限定されるものでは無い。大きな電圧や電流を供給する交流電源からの電流の遮断時にもアークは発生しうる。従って、交流電源からの電力を遮断するためにも上述したスイッチング装置100が用いられても良い。
【0067】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0068】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0069】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
電力を流す系統に設けられるスイッチと、
前記スイッチと並列に設けられ、導体が封止されているヒューズと、
を備え、
前記ヒューズは、前記スイッチが前記系統に対して閉じられている状態で流れる電流では溶断せず、前記スイッチが前記系統に対して開いた状態で流れる電流により溶断し、
前記スイッチが前記系統に対して開いた状態から閉じた状態となることで、前記ヒューズが溶断されていないものに交換される、スイッチング装置。
(2)
前記スイッチが前記系統に対して開いた状態で前記スイッチと接続される抵抗を備える、前記(1)に記載のスイッチング装置。
(3)
前記スイッチはメカニカルな機構を有する、前記(1)または(2)に記載のスイッチング装置。
(4)
前記スイッチが前記系統に対して開いた状態から閉じられている状態になると、溶断したヒューズから溶断していないヒューズに入れ替える入れ替え部を有する、前記(3)に記載のスイッチング装置。
(5)
前記スイッチは、前記電力を受ける負荷の温度が所定値以上になると開いた状態となる熱反応型スイッチである、前記(1)に記載のスイッチング装置。
(6)
前記スイッチ及び前記ヒューズの後段に、前記ヒューズへの電流を制限する電流制限部を備える、前記(1)〜(6)のいずれかに記載のスイッチング装置。
(7)
前記電流制限部は、前記スイッチから前記ヒューズへの順方向及び逆方向の双方に設けられる少なくとも一組のダイオードからなる、前記(6)に記載のスイッチング装置。
(8)
前記電力は直流電力である、前記(1)〜(7)のいずれかに記載のスイッチング装置。
(9)
前記(1)〜(8)のいずれかに記載のスイッチング装置を備える、移動体。
(10)
直流電力を供給するバッテリと、
前記バッテリから供給される直流電力による駆動する駆動部と、
前記バッテリと前記駆動部との間に設けられる、少なくとも1つの、前記(1)〜(8)のいずれかに記載のスイッチング装置と、
を備える、電力供給システム。
【符号の説明】
【0070】
40 :移動体
100 :スイッチング装置
111 :スイッチレバー
112 :レバー支点
113 :ヒューズホルダ
210 :バッテリ
220 :駆動部
D1 :ダイオード
D2 :ダイオード
F1 :ヒューズ
F2 :ヒューズ
R1 :抵抗
SW1 :スイッチ
T1 :サーモスタット
図1
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図3
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図5
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図13