(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、以下で説明する実施形態はあくまで本発明の一例であって、本発明の技術的範囲を限定的に解釈させるものではない。なお、各図面において、同一の構成要素には同一の符号を付しており、その説明を省略する場合がある。
【0009】
以下の説明においては、モータにおけるロータの回転の中心軸をCとしている。中心軸Cが伸びる方向を上下方向とする。ただし、本明細書における上下方向は、単に説明のために用いられる用語であって、実際の位置関係や方向を限定するものではない。すなわち、重力方向が必ずしも下方向となるわけではない。また、本明細書では、モータの回転軸と平行な方向を「軸方向」、モータの回転軸に直交する方向を「径方向」、モータの回転軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」とそれぞれ称する。
【0010】
また、本明細書において、「軸方向に延びる」とは、厳密に軸方向に延びる状態に加えて、軸方向に対して45度未満の範囲で傾いた方向に延びる状態も含む。同様に、本明細書において「径方向に延びる」とは、厳密に径方向に延びる状態に加えて、径方向に対して45度未満の範囲で傾いた方向に延びる状態も含む。
【0011】
<1.実施形態>
図1は、本実施形態のモータ1の外観斜視図である。
図2は、モータ1の断面図である。
図3はホルダ筒部及びホルダ底部を除いた状態のモータ1の外観斜視図である。
図4はホルダ筒部、ホルダ底部、及びコイル引出線支持部材を除いた状態のモータ1の外観斜視図である。
図5はホルダ筒部、ホルダ底部、ホルダ上部、及びコイル引出線支持部材を除いた状態のモータ1の外観斜視図である。なお、
図1ではモータの構成要素を見えやすくするために、ホルダ筒部21の上側の一部の表示を省略している。
【0012】
図1〜
図5に示されるように、モータ1は、ホルダ20、ロータ30、ステータ40、上側ベアリング51、下側ベアリング52、バスバー支持部材60、コイル引出線支持部材70、固定部材78、バスバー80、及び制御部10を備える。コイル引出線支持部材70からは、コイル引出線91U、91V、91W、92U、92V、及び92W(以下、「コイル引出線91U〜91W」または「コイル引出線90」と称することがある)が引き出されている。
【0013】
ホルダ20は、上下方向に筒状に延びるホルダ筒部21と、ホルダ筒部21の下側に位置するホルダ底部23とを有する。ホルダ20は、金属などの導電性の材料からなる。ホルダ20は、ロータ30及びステータ40などを収容する。ホルダ20は上側に開口部20aを有する。ホルダ筒部21は、中心軸Cを中心とする円筒状となっている。ホルダ筒部21内には、ホルダ上部50が配置される。本実施形態では、ホルダ上部50は、略円板状である。ホルダ筒部21の内周面20bは、ホルダ上部50の外周面50b、及びステータ40の外周面と接している。ホルダ筒部21は、ホルダ上部50及びステータ40に固定されている。ホルダ20の内側においてホルダ上部50よりも上側には、コイル引出線支持部材70及び制御部10が配置されている。より詳細には、コイル引出線支持部材70の下側の一部はホルダ上部50の貫通部53a及び53b(後述)に入り込んでいる。
【0014】
なお、ホルダ筒部21の形状は必ずしも円筒状でなくてもよく、内周面にステータ40及びホルダ上部50を固定可能な形状であれば、箱形などの任意の形状であってもよい。また、ホルダ筒部21は円筒形と、箱形などの他の形状を組み合わせた形状であってもよい。ホルダ筒部21の内周面20bは、全周にわたってステータ40及びホルダ上部50と接していなくてもよく、内周面20bの一部がステータ40及びホルダ上部50と接していてもよい。
【0015】
ホルダ底部23は、ステータ40の下側に配置され、下側ベアリング52を支持する下側ベアリング支持部23aと、ホルダ底部23を軸方向に貫通する出力軸孔22を有する。
【0016】
なお、本実施形態ではホルダ筒部21とホルダ底部23とが単一の部材であり、ホルダ上部50が別部材である。しかしながら、ホルダ筒部21とホルダ上部50とが単一部材であり、ホルダ底部23が別部材であってもよい。また、ホルダ筒部21、ホルダ底部23、及びホルダ上部50がそれぞれ別部材であってもよい。
【0017】
図6は、本実施形態のホルダ上部50を上側から見た平面図である。
図7はホルダ上部50を上側から見た斜視図である。
図8はホルダ上部50を下側から見た斜視図である。
図7及び
図8では、ホルダ上部50にコイル引出線支持部材70及び固定部材78が取り付けられている。
【0018】
ホルダ上部50は、
図4及び
図6〜
図8に示されるように、貫通部53a及び53bを有する円板状である。
図2に示されるように、ホルダ上部50は、ステータ40の上側に配置される。ホルダ上部50は、中心軸Cの周囲に開口部50aを有している。開口部50aは、ホルダ上部50を軸方向に貫通する貫通孔である。開口部50aの内側にはシャフト31の少なくとも一部が位置している。ホルダ上部50は、上側ベアリング51を支持する。ホルダ上部50の外周面50bは、ホルダ筒部21の内周面20bと接しており、ホルダ上部50はホルダ筒部21に固定されている。本実施形態では、ホルダ上部50は、焼き嵌めによりホルダ筒部21に固定される。なお、ホルダ上部50は、圧入などの他の方法によりホルダ筒部21に固定されてもよい。
【0019】
図3及び
図6に示されるように、ホルダ上部50の貫通部53a及び53bは、ホルダ上部50の外周面側から径方向内側に向かって切り欠かれ、周方向に延びる形状をしている。なお、ホルダ上部50の「外周面」とは、中心軸Cを中心とする円筒の外周部分を指しており、貫通部53a及び53bがホルダ筒部21と対向する面を含まない。
図3、
図7及び
図8に示されるように、貫通部53a及び53bの位置にはコイル引出線支持部材70が配置されている。貫通部53a及び53b内には、コイル引出線91U〜92Wが、コイル引出線支持部材70に支持されながら、下側から上側に向かって通されている。ホルダ上部50は、上側から下側に向かって凹む凹部54を有している。ホルダ上部50は、複数の固定用貫通孔56を有している。
【0020】
なお、貫通部53a及び53bは、本実施形態の切欠形状に限定されず、コイル引出線91U〜92Wの少なくとも1本をホルダ上部50の下側から上側に通す切欠形状であればよい。また、貫通部53a及び53bは、コイル引出線91U〜92Wの少なくとも1本をホルダ上部50の下側から上側に通す切欠であればよく、必ずしもコイル引出線91U〜92Wのすべてが通されていなくてもよい。この場合、貫通部53aまたは53bを通らないコイル引出線91U〜92Wは、貫通部53aまたは53bとは別にホルダ上部50に形成された貫通孔を通ってもよい。
【0021】
また、貫通部は、切欠形状に変えて、ホルダ上部50を貫通する貫通孔であってもよい。この場合、貫通孔内にコイル引出線支持部材70の少なくとも一部が配置される。貫通孔内には、コイル引出線91U〜92Wが、コイル引出線支持部材70に支持されながら、下側から上側に向かって通される。
【0022】
本実施形態において、上側ベアリング51及び下側ベアリング52は、玉軸受である。上側ベアリング51及び下側ベアリング52は、シャフト31を、中心軸Cを中心として周方向に回転可能に支持する。上側ベアリング51は、ホルダ上部50の上側ベアリング支持部50cにより支持される。下側ベアリング52は、ホルダ底部23の下側ベアリング支持部23aにより支持される。なお、上側ベアリング51及び下側ベアリング52は、玉軸受以外の他の種類の軸受であってもよい。
【0023】
ロータ30は、シャフト31を有している。本実施形態において、シャフト31は、略円柱状である。シャフト31は、中心軸Cに沿って上下方向に伸びる。なお、シャフト31は、中実でなくてもよく、中空であってもよい。
【0024】
ステータ40は、
図2〜
図5に示されるように、ホルダ20の内側であって、ロータ30の径方向外側に配置される。言い換えると、ステータ40は、ロータ30を周方向に囲う。ステータ40は、ステータコア41と、インシュレータ42と、コイル43とを有する。ステータコア41は、電磁鋼板を軸方向に積層した積層鋼板により形成される。本実施形態では、ステータコア41は、中心軸Cを中心とする円環状である。ステータコア41の内側面には、径方向内側に伸びる複数のティース41aが配置される。ティース41aは、ステータコアの内側面に周方向に間隔をあけて配置される。インシュレータ42は、樹脂などの絶縁体で形成され、各ティース41aに取り付けられる。コイル43は、インシュレータ42を介して各ティース41aに巻き回される導線により構成され、各ティース41aに配置される。既に説明したとおり、ステータ40の外周面はホルダ20の内周面20bに固定される。ステータ40は、周方向に整列して配置されたコイル43からそれぞれ延びる導線を有する。これらの導線は、コイル引出線と称されることもあるが、本実施形態では、コイル引出線支持部材70を貫通するコイル引出線91U〜92Wと区別するために、単に導線と称している。
【0025】
バスバー支持部材60は、バスバー80を支持する。バスバー80は、コイル43から導出された導線を、必要な箇所で電気的に接続させる導電部材である。バスバー支持部材60は、絶縁性の樹脂部材であり、バスバー80と周囲に配置される導電性部材とが接触してショートすることを防止することができる
【0026】
コイル引出線支持部材70は、ホルダ上部50の上側に配置され、貫通部53a及び53bを覆う。コイル引出線支持部材70の少なくとも一部は、貫通部53a及び53b内に挿入される。コイル引出線支持部材70は、絶縁性を有する樹脂材料(例えば絶縁性のゴム材料など)から構成され、コイル引出線91U〜92Wが、互いに接触してショートすること及び他の導電性部材と接触してショートすることを防止することができる。
図9及び
図10に示されるように、コイル引出線支持部材70は、下側から上側に向かうコイル引出線挿通孔71U、71V、71W、72U、72V、及び72W(以下、「コイル引出線挿通孔71U〜72W」または「コイル引出線挿通孔71」と称することがある)を有している。
【0027】
図11は、コイル引出線支持部材70の部分断面図である。
図7〜
図11に示されるように、コイル引出線支持部材70は、突起部73、ベース部70a、嵌合部70b、及び凸部75を有する。突起部73は、突起部73U〜74Wの総称である。突起部73U、73V、73W、74U、74V、及び74W(「突起部73U〜74W」と称することがある)は、ベース部70aから上側に突出している。
【0028】
嵌合部70bは、ベース部70aの下側に2つ配置され、底面部70c及び壁部70dを含む。嵌合部70bは、
図8及び
図10に示されるように、ベース部70aに対して、平面視で、周方向または径方向の少なくとも一方の長さが短い。すなわち、軸方向において、嵌合部70bの投影面積はベース部70aの投影面積よりも小さい。
【0029】
図8に示されるように、嵌合部70bの外側の面は、貫通部53a及び53bの内側の面に接している。これにより、ホルダ上部50にコイル引出線支持部材70を固定することができる。なお、嵌合部70bの外側の面は、全周にわたって貫通部53a及び53bの内側の面に接していてもよいし、一部において貫通部53a及び53bの内側の面に接していてもよい。壁部70dは、底面部70cの外側の面から下側に向かって延びる筒状である(
図8、
図10、
図11参照)。
図11に示されるように、コイル引出線挿通孔71は、コイル引出線支持部材70の底面部70cから、嵌合部70b及びベース部70aを通って、突起部73の上端まで貫通している。
【0030】
なお、嵌合部70bは、壁部70dに代えてまたは壁部70dとともに、下側に突出してコイル引出線が通される貫通孔を有する凸状の形状であってもよい。
【0031】
凸部75は、ベース部70aから下側に向かって突出している。ホルダ上部50は、
図6に示されるように、凸部75に対向する上側の位置に凹部54を有している。コイル引出線支持部材70の凸部75は、ホルダ上部50の凹部54と上下方向に嵌め合わされる。凸部75は、凹部54内に、例えば軽圧入などにより、固定される。これによって、コイル引出線支持部材70とホルダ上部50とが互いに固定される。また、コイル引出線支持部材70は2つの凸部75を有しているため、より確実にコイル引出線支持部材70とホルダ上部50とを固定することができる。なお、ホルダ上部50は、凹部54に代えて、凸部75と嵌合する孔部を有していてもよい。また、コイル引出線支持部材70は3以上の凸部75を有してもよい。
【0032】
図1〜
図3に示されるように、コイル引出線挿通孔71U〜72Wには、それぞれコイル引出線91U〜92Wが、ホルダ上部50の下側から上側に向かって通される。コイル引出線挿通孔71U〜72Wは、中心軸Cを中心とする同心円弧状に、周方向に整列して配置される。コイル引出線支持部材70が嵌合部70bを有しているため、コイル引出線91U〜92Wは、ホルダ20と接触してショートすることが防止することができ、形成時にベース部70aにヒケなどの変形が生じることが抑制される。また、コイル引出線支持部材70がベース部70aを有するため、コイル引出線支持部材70がホルダ上部50から抜けることを抑制できる。これにより、モータの製造時において、作業者等がコイル引出線支持部材70のコイル引出線挿通孔71Uから72Wにコイル引出線91U〜92Wを容易に通すことができ、モータの製造における工程を削減することができる。
【0033】
また、嵌合部70bは、底面部70cと壁部70dとを有する中空状になっているため、嵌合部70bを中空状にしない凸状の形状とする場合と比較して、コイル引出線支持部材70を形成する材料を削減することができる。また、コイル引出線支持部材70では、嵌合部70bを中空状にしない形状と比較すると、嵌合部70bの肉厚を薄くすることができるため、ベース部70aの成形時のヒケなどの変形を抑制することができる。
【0034】
また、モータ1では、コイル引出線支持部材70が突起部73を有しているため、コイル引出線91U〜92Wと制御部10との電気的な絶縁を図りつつ、コイル引出線91U〜92Wを支持することができる。
【0035】
また、モータ1では、嵌合部70bの外側の面が貫通部53a及び53bの内側の面に接しているため、ホルダ上部50とコイル引出線支持部材70との絶縁を行うことが可能となる。
【0036】
また、コイル引出線支持部材70は、1つのベース部70aと、2つの嵌合部70bを有しているため、コイル引出線支持部材70とホルダ上部50とを強固に固定されることができる。なお、コイル引出線支持部材70は、1つのベース部70aに対して嵌合部70bを3つ以上有してもよい。特に、貫通部と嵌合部の数が増えた場合には、コイル引出線支持部材70がホルダ上部50からより抜けにくくなる。
【0037】
固定部材78は、絶縁性を有する樹脂材料で構成される。
図5及び
図8に示されるように、平面視において、固定部材78は、略円弧状である。固定部材78は、ホルダ上部50の下側に配置される。固定部材78は、上側に向かって突出する固定用突起79を有する。固定用突起79は、ホルダ上部50の固定用貫通孔56を下側から上側に貫通し、コイル引出線支持部材70の下側の凹部77に挿入され、例えば熱溶着等により固定される。なお、凹部77は、貫通孔であってもよい。
【0038】
固定部材78は、コイル引出線支持部材70とホルダ上部50を挟む。すなわち、例えば金属のホルダ上部50を、樹脂の固定部材78及びコイル引出線支持部材70が挟む。これにより、樹脂の固定部材78と樹脂性のコイル引出線支持部材70とが熱溶着等により、強固に固定される。また、本実施形態では、固定部材78とコイル引出線支持部材70とが同じ樹脂材料から構成される。そのため、モータの内部から発生した熱等が固定部材78およびコイル引出線支持部材70に伝わった場合であっても、熱膨張係数の差に影響されて、固定部材78およびコイル引出線支持部材70が変形または割れることを抑えられる。
【0039】
コイル引出線90(91U〜92W)は、コイル43の導線から引き出された導線である。
図2に示されるように、コイル引出線90(91U〜92W)はステータ40から引き出され、バスバー支持部材60の貫通孔61(
図4参照)、及びコイル引出線挿通孔71U〜72Wを、下側から上側に向かって通る。また、コイル引出線90(91U〜92W)は、制御部10に半田付けなどの方法で電気的に接続される。本実施形態におけるモータ1は、U相、V相、及びW相の組を2組有する2系統の構成である。モータの駆動時においては、第1の系統におけるU相、V相、及びW相の各相を構成するコイル引出線91U〜91Wに、それぞれ電流が流され、第2の系統におけるU相、V相、及びW相の各相を構成するコイル引出線92U〜92Wにも、それぞれ電流が流される。上記構成により、モータの駆動時において、例えばインバータの故障等により、一方の系統のコイルへの通電が停止した場合であっても、他方の系統におけるコイルに通電が可能であるため、モータを回転させることができる。
【0040】
なお、本実施形態におけるモータは、U相、V相、及びW相の組を2組有する2系統の構成としたが、この系統数については任意に設計可能である。すなわち、モータ1では、1系統の構成とすることも可能であるし、3系統、または4系統以上の構成とすることも可能である。
【0041】
図11に示されるように、コイル引出線90は、コイル引出線支持部材70のコイル引出線挿通孔71を通っている。コイル引出線挿通孔71は、
図11に示されるように、少なくとも一部において上側の内径が小さくなっている。コイル引出線挿通孔71の内側のコイル引出線90は、内径が狭くなった突起部73内の境界Aよりも下の位置に絶縁皮膜を有した絶縁部90bを有し、境界Aよりも上の位置には絶縁皮膜が剥がれた導電部90aを有する。そのため、境界Aよりも下の位置では、コイル引出線90の内径が大きくなっている。コイル引出線挿通孔71は、境界Aの位置で絶縁部90bよりも内径が小さくなっており、境界Aでコイル引出線挿通孔71の内側にコイル引出線90が接している。すなわち、絶縁部90b外径がコイル引出線挿通孔71の内径よりも大きい。そのため、コイル引出線挿通孔71内において、絶縁部90bが軽圧入により保持される。
【0042】
突起部73の内側の境界Aより上の位置で、コイル引出線90の表面が導電体となっているため、コイル引出線90の表面に絶縁皮膜があって絶縁体となっている場合に比べて、コイル引出線90の摩擦係数が小さくなっている。そのため、モータの製造時において、作業者等がコイル引出線90をコイル引出線挿通孔71に通しやすくすることができる。また、コイル引出線90の表面が導電体であるため、接着剤を用いた場合に、コイル引出線90とコイル引出線支持部材70との接続を強固にすることなどができる。また、コイル引出線挿通孔71内において絶縁部90bが軽圧入により保持されるため、コイル引出線90がイル引出線挿通孔71内から抜けることを抑制することができる。
【0043】
制御部10は、ホルダ20の内側であってホルダ上部50の上側に配置される。制御部10は、スイッチング素子などの種々の電子部品が搭載された回路基板である。本実施形態では、制御部10は、例えば、リジッド基板である。制御部10は、例えば矩形状であって、四方に端部を有する。外部電源等(図示省略)は、制御部10を介して、コイル引出線91U〜92Wのそれぞれに必要な駆動電力を供給する。制御部10には、モータ1を駆動するインバータ回路などが搭載されている。上述のように、コイル引出線91U〜92Wは、ホルダ上部50の径方向外側に位置する貫通部53a及び53bを通って、上側に引き出される。そのため、制御部10がホルダ20の内側に配置されると、制御部10の端部近傍にコイル引出線91U〜92Wを電気的に接続することができる。その結果、制御部10上において、配線や電子部品を配置するスペースを広く確保することができる。また、コイル引出線支持部材および切欠を介してコイル引出線が引き出されるため、コイル引出線を引き出すスペースを小さくすることができ、モータを小型化することが可能である。
【0044】
なお、制御部10は必ずしもホルダ20の内側に配置されずに、ホルダ20の外側に配置されてもよい。例えば、制御部10は、ホルダ上部50の上側であって、ホルダ20の内側面よりも径方向内側に配置されてもよい。制御部10をこのように配置した場合であっても、制御部10の端部近傍にコイル引出線91U〜92Wを電気的に接続することができ、制御部10の配置スペースを比較的広く確保することなどが可能である。
【0045】
<2.変形例>
モータ1は、上記のような実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態から考え得る種々の形態をも包含する。例えば、モータ1は、以下のような変形例の構成であってもよい。なお、上述の実施形態と同様の構成については同じ名称または参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0046】
<2−1.変形例1>
図12〜
図14は、本発明にかかる一つの変形例に関する図である。
図12は、本変形例のホルダ上部50dを上側から見た平面図である。
図13は、ホルダ上部50dを下側から見た平面図である。
図14は、ホルダ上部50dからコイル引出線支持部材70e及び固定部材78aを取り外した状態を上側から見た図である。
図12及び
図13では、ホルダ上部50dに固定部材78a及びコイル引出線支持部材70eが取り付けられている。
【0047】
図12に示されるように、ホルダ上部50dの上側にはコイル引出線支持部材70eが配置されている。ホルダ上部50dの下側には、固定部材78aが配置されている。ホルダ上部50dは、固定部材78a及びコイル引出線支持部材70eにより上下方向に挟まれている。
【0048】
図12に示されるように、コイル引出線支持部材70eは、貫通孔である孔部77aを複数有している。コイル引出線支持部材70eは、下側に向かって突出する凸部75を有する。固定部材78aは、上側に向かって突出する固定用突起79aを複数有している。
図14に示されるように、ホルダ上部50dは、2つの貫通部53c及び53d、軸方向に対して垂直な方向における断面が円形状の孔部50e、及び軸方向に対して垂直な方向における断面が長円形状の孔部50f、及び複数の固定用貫通孔56aを有している。孔部50fは、径方向に延びている断面である。なお、孔部50fの断面形状は径方向に延びる形状であればよく、楕円形状または長方形状などであってもよい。
【0049】
固定部材78aの固定用突起79aは、ホルダ上部50dの固定用貫通孔56aを上側に貫通し、コイル引出線支持部材70eの孔部77aに挿入され嵌合される。コイル引出線支持部材70の凸部75のうち、一方はホルダ上部50dの孔部50eに挿入され、他方はホルダ上部50dの孔部50fに挿入される。本実施形態では、2つの凸部75はどちらも円筒状であり、断面が円形状の孔部50eに挿入された凸部75は外周面全体が孔部50eの内周面に接して嵌合される。一方、断面が長円形状で径方向に延びる孔部50fに挿入された凸部75は、外周面の一部が孔部50fの内周面に接して嵌合される。これにより、モータの製造時において、孔部50eによりコイル引出線支持部材70eの径方向の位置調整を行い、孔部50fによりコイル引出線支持部材70eの周方向の位置調整を行うことが可能となる。なお、軸方向に対して垂直な方向における凸部75の断面は必ずしも円形状でなくてもよく、多角形状などの他の形状であってもよい。また、凸部75が挿入される孔部50e及び50fの断面形状についても同様に、多角形状などの他の形状であってもよい。
【0050】
<2−2.変形例2>
図15〜
図18は、本発明にかかる一つの変形例に関する図である。
図15及び
図16は、本変形例のホルダ上部50hを上側から見た平面図であり、
図16ではコイル引出線支持部材70fが取り外されている。
図17は、本変形例のコイル引出線支持部材70fを上側から見た斜視図である。
図18は、本変形例のコイル引出線支持部材70fを下側から見た斜視図である。
【0051】
図15及び
図16に示されるように、ホルダ上部50hは2つの貫通部53dを有しており、その周方向の両側にそれぞれ孔部50gを有している。
【0052】
図17及び
図18に示されるように、コイル引出線支持部材70fは、実施形態と異なり、3つのコイル引出線挿通孔71U〜71Wを有し、3本のコイル引出線90を支持しながら通すことができる形状になっている。コイル引出線支持部材70fは、両端部に、下側に突出する凸部75aを有している。凸部75aはそれぞれ2つが組となっている。凸部75aは、周方向または径方向に弾性変形が可能な部位である。コイル引出線支持部材70fは、ホルダ上部50hの貫通部53cまたは53dに挿入されるとともに、凸部75が孔部50gに弾性変形しながら挿入される。これにより、コイル引出線支持部材70fは、嵌合部70bが貫通部53cまたは53dに嵌合するだけでなく、凸部75が孔部50gの内部を押圧するため、より強固にホルダ上部50hに固定される。
【0053】
なお、ホルダ上部50を固定部材78及びコイル引出線支持部材70が挟む場合には、ベース部に貫通孔を設ける必要がある。しかし、
図17および
図18に示す構造では、当該貫通孔をベース部に設ける必要がなく、ベース部に貫通孔を形成する部分の樹脂材料を削減することができ、また、ベース部を成型する金型の形状を簡易なものとすることができる。
【0054】
<2−3.変形例3>
図19は、本発明の一変形例に係るホルダ上部50iの貫通部53近傍の拡大平面図である。より詳細には、
図19は、貫通部53にコイル引出線支持部材70が嵌めあわされた際における断面図である。本変形例のコイル引出線支持部材70は、周方向に凸部76を有している。ホルダ上部50iは、凸部76に対向する周方向の位置に凹部55を有している。本変形例では、コイル引出線支持部材70の凸部76と、ホルダ上部50iの凹部55とが周方向に嵌め合わされる。これによって、コイル引出線支持部材70とホルダ上部50iとが互いに強固に固定されている。
【0055】
上記モータ1によれば、コイル引出線支持部材70が凸部76を有し、ホルダ上部50iが凸部76に嵌めあう凹部55を有しているため、コイル引出線支持部材70とホルダ上部50とを互いに強固に固定させることが可能となる。また、コイル引出線支持部材70とホルダ上部50iとの位置決めを容易にすることができる。
【0056】
<3.その他>
以上、本発明の実施形態及び変形例についての具体的な説明を行った。上記説明では、あくまで一実施形態としての説明であって、本発明の範囲はこの一実施形態に留まらず、当業者が把握可能な範囲にまで広く解釈されるものである。例えば、上記実施形態及び各変形例は、互いに組み合わせて実施することが可能である。