(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えば2台の第1、第2充填機を備える充填システムにおいて、第1運転モードでは、第1、第2充填機で別々の液体を順次容器に充填し、第2運転モードでは第2充填機のみを用いて1種類の液体のみを容器に充填しながら、使用していない第1充填機の洗浄を行う充填システムが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
同充填システムでは、第2運転モードにおいて、第1充填機をバイパスして第2充填機へと容器を直接搬送するためのバイパスホイールを備える。第1充填機やバイパスホイールの上流側に配置されるリンサからの容器を排出するリンサ排出ホイールは、第1運転モードでは、第1充填機へと容器を供給する第1搬送ホイールへと容器を受け渡し、第2運転モードでは、バイパスホイールへと容器を受け渡す。
【0004】
また第2運転モードにおいて第1充填機の洗浄を可能にするためには、第1充填機が配置される区画をバイパスホイールが配置される区画から隔離する必要がある。そのため特許文献1の構成では、第1搬送ホイール、第1供給ホイールを介して第1充填機に容器が供給され、第1排出ホイール、第2搬送ホイールを介して第1充填機から容器が排出される。そして第1搬送ホイールと第1供給ホイールの間、および第1排出ホイールと第2搬送ホイールの間には、仕切り壁が設けられ、それぞれシャッタを備えた開口部を通して容器の受け渡しが行われる。さらに、バイパスホイールが配置される第1チャンバおよび、第1充填機が配置される第2チャンバの圧力をそれぞれ調整する圧力調整手段が設けられており、使用していない第1充填機の洗浄を行う際、第2チャンバ内の雰囲気が第1チャンバ側に漏れ出さないように、第2チャンバ内の圧力を第1チャンバ内の圧力よりも低い圧力に制御している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態である充填システムの構成を示す平面図である。
【0013】
本実施形態の充填システム10は、例えば3台の充填機、第1〜第3フィラ12、14、16を備える。第1〜第3フィラ12、14、16は、容器搬送を行うセンターホイール(搬送ホイール)18の周囲に配置される。第1〜第3フィラ12、14、16、およびセンターホイール18は、一体的なチャンバ内に配置され、同チャンバ内は壁面で仕切られ、第1〜第3フィラ12、14、16が設置される第1〜第3充填室13、15、17と、センターホイール18が設置される搬送室19に区画される。
【0014】
また本実施形態において、第1〜第3フィラ12、14、16とセンターホイール18の間には、センターホイール18から空容器を受け取り、第1〜第3フィラ12、14、16の各々に受け渡すロータリ式の第1〜第3供給ホイール12A、14A、16Aと、第1〜第3フィラ12、14、16の各々から充填容器を受け取りセンターホイール18に受け渡すロータリ式の第1〜第3排出ホイール12B、14B、16Bが各々設けられる。第1〜第3充填室13、15、17と搬送室19との間には、それぞれ第1〜第3中間ゾーン(中間室)13M、15M、17Mが設けられ、第1〜第3供給ホイール12A、14A、16Aおよび第1〜第3排出ホイール12B、14B、16Bは、それぞれ対応する第1〜第3中間ゾーン13M、15M、17Mに配置される。
【0015】
すなわち、センターホイール18から第1フィラ12へは、第1供給ホイール12Aを介して容器が供給可能であり、第1フィラ12で充填処理された容器は、第1排出ホイール12Bを介してセンターホイール18へと排出される。同様に、センターホイール18から第2、3フィラ14、16には、それぞれ供給ホイール14A、16Aを介して容器が供給可能であり、充填された容器は、排出ホイール14B、16Bを介して第2、第3フィラ14、16からセンターホイール18へと排出される。
【0016】
本実施形態では、センターホイール18の周囲において容器搬送方向の上流側から第1、第2、第3フィラ12、14、16の順で配置される。第1フィラ12は、例えば固形物フィラであり、第2フィラ14は、例えばウェイトフィラ(無ガス)である。また第3フィラ16は、例えばガスフィラ(ガス・無ガス)である。センターホイール18には、第1フィラ12よりも上流側において、搬送ホイール20、22、24を介して空の容器が供給される。搬送ホイール20、22、24は、例えば容器滅菌室21内に配置され、滅菌された空の容器が容器滅菌室21から搬送室19内のセンターホイール18へと供給される。
【0017】
本実施形態の充填システム10では、第1〜第3フィラ12、14、16の少なくとも1つにおいて、固体、液体、気体の何れかあるいはそれらを組み合わせた内容物が容器に充填される。そして各フィラにおいて充填作業が実施された容器はセンターホイール18へと受け渡される。
【0018】
またセンターホイール18の周囲において第3フィラ16の下流側には、例えば充填容器のキャッピングを行うキャッパが配置される。本実施形態では、例えば口径の異なるキャップに対応する複数のキャッパが配置され、図示例では、2台の第1キャッパ26および第2キャッパ28が設けられる。第1、2キャッパ26、28は、例えばキャッパ室27内に設置され、充填システム10において充填が完了した容器は、センターホイール18から第1、第2キャッパ26、28の何れかに受け渡され、キャッピングが完了すると更に下流側の処理装置へと搬出される。
【0019】
次に
図2を参照して、本実施形態における第1〜第3充填室13、15、17、第1〜第3中間ゾーン13M、15M、17M、搬送室19、第1〜第3フィラ12、14、16、供給ホイール12A、14A、16A、排出ホイール12B、14B、16B、センターホイール18の間の関係についてより詳細に説明する。なお、これらの配置は、第1〜第3充填室13、15、17において共通なので、以下の説明では各々の代表例を挙げて説明を行なう。
【0020】
図2は、搬送室、中間ゾーン(中間室)、充填室の間の関係を示す側断面図である。
図2において、第1〜第3充填室13、15、17は充填室30で代表され、第1〜第3フィラ12、14、16はフィラ(充填機)32で代表される。同様に供給ホイール12A、14A、16A、排出ホイール12B、14B、16Bは供給/排出ホイール34で代表され、第1〜第3中間ゾーン13(中間室)M、15M、17Mは中間ゾーン(中間室)36で代表される。
【0021】
図示されるように、搬送室19と中間ゾーン36の間は仕切壁36Aで仕切られ、中間ゾーン36と充填室30の間は仕切壁30Aで仕切られる。そして搬送室19内にはセンターホイール18、中間ゾーン36内には供給/排出ホイール34、充填室30内にはフィラ32が配置される。
【0022】
センターホイール18、供給/排出ホイール34、フィラ32は、例えばネック搬送を行い、各装置のホイールの外周には、容器Vの口部あるいは首部を保持するグリッパが周方向に沿って多数設けられる。例えばセンターホイール18にはグリッパ18Gが設けられ、供給/排出ホイール34にはグリッパ34(容器把持/保持手段)Gが設けられる。同様にフィラ32にはグリッパ32Gが設けられる。
【0023】
中間ゾーン36と充填室30の間を仕切る仕切壁30Aには、開口部30Bが設けられる。中間ゾーン36内に設置された供給/排出ホイール34のグリッパ34Gは、グリッパ34Gを支持する回転ホイール34Hとともに開口部30Bを通して充填室30内へと延出する。すなわち供給/排出ホイール34のグリッパ34Gは、充填室30内においてフィラ32のグリッパ32Gとの間で容器Vの受け渡しを行う。なお、開口部30Bの大きさや形状は、グリッパ34G、回転ホイール34H、容器Vが中間ゾーン36と充填室30との間で行き来するのに支障がなければなるべく小さい方が好ましい。
【0024】
充填室30内において、フィラ32のグリッパ32Gの上方には、フィラ32のホイール外周に沿って各グリッパ32Gに対応した位置に充填ヘッド(充填手段)38が各々設けられる。グリッパ32Gで保持される空の容器Vには、ホイール回転中に充填ヘッド38から所定の内容物が供給される。
【0025】
また、中間ゾーン36と搬送室19の間を仕切る仕切壁36Aには、開口部36Bが設けられる。供給/排出ホイール34のグリッパ34Gは、グリッパ34Gを支持する回転ホイール34Hとともに開口部36Bを通して搬送室19内へと延出する。すなわち供給/排出ホイール34のグリッパ34Gは、搬送室19内においてセンターホイール18のグリッパ18Gとの間で容器Vの受け渡しを行う。なお、開口部36Bは略矩形の開口であり、その大きさはグリッパ34G、回転ホイール34H、容器Vが中間ゾーン36と搬送室19との間で行き来するのに支障がない大きさとされる。
【0026】
開口部36Bには、その近傍に開口部36Bを閉鎖可能なシャッタ(開閉扉、開閉手段)40が設けられる。シャッタ40は、例えば後述するようにラックアンドピニオン機構により駆動され、同機構はチャンバ外側に設けたモータ40Mにより駆動される。また、この実施例では、シャッタ40により仕切り壁36Aの開口部38Bを完全に密閉することができず、僅かな隙間が生じる。
【0027】
また、シャッタ40により開口部36Bを閉鎖するには、開口部36Bを通して搬送室19内へと延出する供給/排出ホイール34の回転ホイール34Hおよびこれに取り付けられたグリッパ34Gを開口部36Bから移動する必要がある。
【0028】
本実施形態では、後述するように、回転ホイール34Hの一部円弧区画に対応する可動区画341を、これに取り付けられるグリッパ34Gとともに、可動区画341以外の回転ホイール34Hの円弧区画を構成する固定区画340に対して少なくとも上下の一方の側に相対的に昇降可能とし、中間ゾーン36内において上下の何れか一方に可動区画341をずらした後、これを回転ホイール34Hの回転軸を中心に固定区画340に対して相対回転可能とし、可動区画341を固定区画340の上方または下方に位置する退避位置にまで回転移動可能としている。
【0029】
本実施形態において可動区画341は、供給/排出ホイール34に設けられる昇降シリンダ42Cにより昇降され、回転機構42Rにより供給/排出ホイール34の回転軸を中心に回転される。なお
図2には、可動区画341が固定区画340に対して上方へ相対移動可能な例が示される。
【0030】
開口部36Bをシャッタ40で閉鎖する際には、可動区画341を退避位置にまで移動した後、回転ホイール34Hを回転して、退避された可動区画341が退避前に配置されていた部分を開口部36Bに配置し、これにより回転ホイール34Hを開口部36Bから退避させ、開口部36Bを閉鎖するシャッタ40と回転ホイール34Hが干渉しないようにされる。
【0031】
また、充填システム10は、圧力制御装置(圧力制御手段)44を備える。圧力制御装置44は、フィラ32を使用する場合、すなわちセンターホイール18、供給/排出ホイール34、フィラ32の間で容器が受け渡しされる場合(第1運転モード)には、搬送室19、中間ゾーン36、充填室30の順で圧力が高くなるようにエアの供給が制御される(搬送室19<中間ゾーン36<充填室30)。一方、フィラ32を除く他のフィラが使用され、フィラ32を洗浄する場合(第2運転モード)、すなわち可動区画341が退避位置に移動され、開口部36Bがシャッタ40により閉鎖される場合には、中間ゾーン36、充填室30、搬送室19の順で圧力が高くなるように各区画36、30、19へのエアの供給が制御される(中間ゾーン36<充填室30<搬送室19)。この制御により、中間ゾーン36内の圧力を、第2運転モード時に、充填室30内および搬送室19内よりも陰圧に維持することができる。その結果、充填室30内の雰囲気が開口部38Bから漏れ出て、搬送室19内に流入することを防止することができる。
【0032】
図3は、搬送室19から開口部36Bを通して供給/排出ホイール34が設置された中間ゾーン36を見た矢視図である。
図3(A)は、シャッタ40が開かれ、可動区画341が退避前の位置で回転ホイール34Hの一部を構成し、グリッパ34Gがセンターホイール18との間で容器を受け渡す第1運転モードの状態を示し、
図3(B)は、可動区画341が退避位置にまで移動され、グリッパ34Gが駆動されず(センターホイール18から容器を受け取らず)、シャッタ40が閉じられた第2運転モードでの状態が示される。なお、充填システム10における第1運転モードと第2運転モードの間の切り替えは、図示しない制御部によって行われる。
【0033】
図3(A)、(B)に示されるように、例えばシャッタ40の上辺はサポート部材40Sにより保持され、サポート部材40Sは、ラック40Rによって支持される。ラック40Rは、モータ40Mにより駆動されるピニオンとギヤボックス40Gにおいて係合し、モータ40Mの回転により昇降され、これによりシャッタ40が開口部36Bを開閉するように昇降可能である。
【0034】
図4は、充填室30、中間ゾーン36、搬送室19における供給/排出ホイール34の配置を示す平面図であり、
図4(A)は、充填室30のフィラ32が使用される第1運転モードで運転される場合、
図4(B)は、充填室30のフィラ32が使用されず、供給/排出ホイール34の可動区画341を退避させシャッタ40を閉じてフィラ32の洗浄が行われる状態において、センターホイール18および他のフィラが使用される第2運転モードで運転される場合を示す。
【0035】
図4(A)に示されるように、フィラ32が使用される場合には、供給/排出ホイール34において、可動区画341は、固定区画340とともに円形の回転ホイール34Hを構成し、回転ホイール34Hの一部は開口部36Bを通して搬送室19へと突出し、回転ホイール34Hの外周に設けられたグリッパ34Gは、搬送室19において搬送ホイール18のグリッパと容器の受け渡しができる位置にまで延出する。なおこのとき、搬送ホイール18、供給/排出ホイール34、フィラ32の回転は、当然のことながら各グリッパ間において容器Vの受け渡しができるように同期されている。
【0036】
図4(B)の状態では、フィラ32と供給/排出ホイール34の運転は停止され、搬送ホイール18は、他のフィラの供給/排出ホイールへと容器を搬送している。
図4(B)に示されるように、可動区画341は、固定区画340の上方に重ねた退避位置に移動され、可動区画341が取り除かれた回転ホイール34Hの円弧部分が、開口部36Bに正対され、モータ40Mの駆動によりシャッタ40が閉じられる。
【0037】
以上のような構成において、本実施形態の充填システム10、例えば以下のように運用される。例えば第1フィラ12で容器Vに固形物を投入し、第2フィラ14で、液体を投入する場合には、第1、第2フィラ12、14が運転されるとともに、シャッタ40が開かれた状態で、第1、第2供給ホイール12A、14A、第1、第2排出ホイール12B、14Bが
図3(A)、
図4(A)の状態で運転される。なお、このとき第3フィラ16は運転されない。
【0038】
一方、例えば、液体を投入する第2フィラ14およびガスを投入する第3フィラ16のみが使用され、固体を投入する第1フィラ12は使用されない場合には、第1フィラ12、第1供給ホイール12A、第1排出ホイール12Bの運転は停止され、第1供給ホイール12A、第1排出ホイール12Bの可動区画341が退避位置に移動され、2台のシャッタ40により、供第1給ホイール12A、第1排出ホイール12Bに対応して第1中間ゾーン13Mの仕切り壁36Aに設けられた2つの開口部36Bが閉じられる。これにより、第1フィラ12が設置される充填室13および第1中間ゾーン13Mが、センターホイール18が設置される搬送室19から分離され、センターホイール18の運転を行い、第2、第3フィラ14、16へ容器を搬送しながら、第1フィラ12の洗浄を行うことができる。
【0039】
以上のように、本実施形態によれば、一部の充填機で充填作業を行いつつ、使用していない充填機の洗浄作業が可能な充填システムであって、洗浄作業中の充填機を配置したチャンバ内の雰囲気が、他のチャンバへ流入することを防止することができる。