(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一態様は、正極、耐熱層、セパレータ及び負極がこの順で積層された電極体を有し、上記正極と上記耐熱層との間の剥離強度が、上記耐熱層と上記セパレータとの間の剥離強度よりも大きく、且つ上記耐熱層と上記セパレータの間の剥離強度が、上記セパレータと上記負極との間の剥離強度よりも大きい蓄電素子である。
【0012】
当該蓄電素子によれば、釘などの異物が刺さる等の正常ではない使われ方をした際にも、その際の短絡部の電流をより小さくすることが出来る。このような作用効果が生じる理由は定かでは無いが、以下の理由が推察される。当該蓄電素子においては、隣り合う正極と耐熱層とが相対的に強固に接着しているため、異物が耐熱層側から正極に突き刺さる際、耐熱層がこの異物に追随する。この追随した耐熱層によって、異物と正極との直接の接触が抑えられ、正極と負極との間の電気抵抗の低下が抑えられる(短絡部の電流をより小さくすることが出来る)と推察される。なお、本作用効果については、図に沿って後に詳述する。
【0013】
ここで、「耐熱層」とは、セパレータと比べて相対的に耐熱性が優れる層をいい、主成分(最も多い成分)の軟化点がセパレータの軟化点よりも高い層である。また、剥離強度の大小関係は以下の方法で特定することができる。正極、耐熱層、セパレータ及び負極がこの順で積層された電極体について、まず、正極と負極とを把持又は固定して剥離を行う。どちらか一方の最外層(正極又は負極)の剥離が生じた場合、残りの積層部分の両最外層を把持又は固定して剥離を行う。この剥離操作によって剥離されなかった層間が他の層間よりも強度が大きいとする。例えば、最初の剥離で、正極、耐熱層及びセパレータは剥離せず、セパレータと負極との間が剥離した場合、セパレータと負極との間の剥離強度が最も弱い。次に、正極、耐熱層及びセパレータを有する構造体について、正極とセパレータとを把持又は固定して剥離を行う。このとき、耐熱層とセパレータとの間が剥離した場合、正極と耐熱層との間の剥離強度が最も大きいことがわかる。仮に負極とセパレータが剥離せず、耐熱層とセパレータに剥離が生じた場合は、正極と耐熱層との間の剥離強度、及びセパレータと負極との間の剥離強度は、耐熱層とセパレータとの剥離強度に比べて大きいとみなすことができる。上記の通り耐熱層がセパレータ側と完全に剥離していない場合であっても、セパレータ側に残った耐熱層の重量よりも正極側に残った重量の方が大きければ正極と耐熱層の接着力の方がセパレータと耐熱層の接着力よりも大きいとみなすことができる。耐熱層の重量については、特に限定されるものではないが耐熱層にアルミナをフィラーとして含む場合はアルミナを酸で溶解した後にICP分析を行うことで大小を判断できる。また、簡易的には正極板上とセパレータ上の耐熱層の厚みの差でも判断可能である。なお、剥離の試験は、JIS−Z0237:2009の180°剥離試験に準じて行うことができる。また、上記方法で剥離強度の大小関係が特定できない場合、各層間の剥離強度を上記JISに準じて測定して、剥離強度の大小関係を特定することができる。その際には、剥離強度が0の場合があってもよい。
【0014】
上記セパレータが樹脂を主成分とする多孔質状の樹脂フィルムからなることが好ましい。このようなセパレータを用いることで、耐熱層とセパレータとの間の剥離強度が適度になることなどにより、釘などの異物が刺さる等の正常ではない使われ方をした際にも、その際の短絡部の電流を更に小さくすることが出来る。なお、「主成分」とは、質量基準で最も含有量が多い成分をいう。
【0015】
上記正極と耐熱層とが粘着性樹脂により接着されており、上記粘着性樹脂がディレードタック性を有する樹脂であることが好ましい。このような粘着性樹脂を用いることにより、正極と耐熱層との間の剥離強度が適度になり、釘などの異物が刺さる等の正常ではない使われ方をした際にも、その際の短絡部の電流を更に小さくすることが出来る。また、ディレードタック性を有する樹脂は、加圧や加温によってはじめて粘着性(接着性)が発現するため、効率的な製造を行うことができる。さらに、ディレードタック性を有する樹脂を用いた場合、釘などの異物が刺さる等の正常ではない使われ方をした際にも、その際に発生した摩擦熱等によって、釘などの異物に対する粘着性(接着性)が高まり得る。これにより、釘などの異物が刺さる等の正常ではない使われ方をした際にも、その際の短絡部の電流を更に小さくすることが出来るものと考えられる。なお、「粘着性樹脂」とは、粘着性又は接着性を有する樹脂をいう。「ディレードタック性」とは、常温では非粘着性かつ非接着性であるが、加熱及び加圧の少なくとも一方により粘着性又は接着性が発現し、発現後、常温常圧に戻しても粘着性又は接着性が持続する性質をいう。
【0016】
上記粘着性樹脂が水系エマルジョン樹脂を含むことが好ましい。粘着性樹脂として水系エマルジョン樹脂を用いることで、塗工性が高まり、釘などの異物が刺さる等の正常ではない使われ方をした際にも、その際の短絡部の電流を更に小さくすることが出来る。
【0017】
上記耐熱層が、平均粒径が0.01μm以上10μm以下である棒状又は扁平状のフィラーを含むことが好ましい。耐熱層にこのようなフィラーを含有させておくことで、釘などの異物が刺さる等の正常ではない使われ方をした際にも、異物への追従性が高まる。従って、これにより、釘などの異物が刺さる等の正常ではない使われ方をした際にも、その際の短絡部の電流を更に小さくすることが出来る。なお、「棒状又は扁平状」とは、耐熱層の断面から確認される粒子の最大径とこの最大径に直交する方向の径との比(最大径/直交する方向の径)の平均が2以上であることをいう。この比の平均値は、耐熱層断面の顕微鏡観察における一の画像中において確認される10個の粒子から求める平均値とする。また、平均粒径は、上記10個の粒子の最大径の平均値とする。上記10個の粒子は、一の画像中において確認される粒子のうち、最大径の大きい上位10個の粒子を選択するものとする。
【0018】
本発明の一態様は、正極、耐熱層、セパレータ及び負極がこの順に積層された積層体を得ることと、上記積層体の積層方向への加熱圧着により、上記正極と耐熱層との間を上記耐熱層とセパレータとの間及び上記セパレータと負極との間よりも強固に接着させることとを有する蓄電素子の製造方法である。当該製造方法によれば、釘などの異物が刺さる等の正常ではない使われ方をした際にも、その際の短絡部の電流をより小さくすることが出来る蓄電素子を得ることができる。
【0019】
上記積層体が、上記正極と耐熱層との間に配設され、かつディレードタック性を有する粘着性樹脂を含むことが好ましい。このようにディレードタック性を有する粘着性樹脂を用いることで、積層体を形成後の任意のタイミングで、正極と耐熱層との間に粘着性を付与することができるため、生産性を高めることなどができる。
【0020】
以下、本発明の蓄電素子の一実施形態としての非水電解質二次電池(以下、単に「二次電池」と称することもある)及びその製造方法について詳説する。
【0021】
<二次電池(蓄電素子)>
図1の二次電池1は、電極体2と、この電極体2を収容する電池容器3とを備える。なお、
図1は、電池容器3の内部を透視した図としている。電極体2は、一対の電極(正極及び負極)がセパレータを介して捲回されることにより形成されている。正極とセパレータとの間には耐熱層が設けられている。電極体2については、以下に詳述する。正極は、正極リード4’を介して正極端子4と電気的に接続され、負極は、負極リード5’を介して負極端子5と電気的に接続されている。また、電池容器3内には、非水電解質が充填されている。
【0022】
(電極体)
電極体2は、
図2に示すように、正極11、耐熱層12、セパレータ13及び負極14がこの順に積層されてなる。電極体2においては、正極11の表裏面にそれぞれ耐熱層12及びセパレータ13が積層されている。
図2の積層構造の電極体2が捲回された状態で、電池容器3に収容される。なお、
図2の電極体2においては、セパレータ13と負極14との間を離間させて図示しているが、積層状態において実際には、これらは接触している。
【0023】
電極体2においては、正極11と耐熱層12との間の剥離強度が、耐熱層12とセパレータ13との間の剥離強度及びセパレータ13と負極14との間の剥離強度よりも大きい。耐熱層12とセパレータ13との間は、粘着性樹脂15により接着されている。なお、他の部材間(耐熱層12とセパレータ13との間、及びセパレータ13と負極との間)は、直接積層されているが、他の層が介されていても良い。各層間の剥離強度の強さの関係が上記のような関係を満たすことで、釘などの異物が刺さる等の正常ではない使われ方をした際にも、その際の短絡部の電流をより小さくすることが出来る。推察されるこの理由について、
図3を参照に説明する。
【0024】
図3は、正常ではない使われ方であるが、電極体2の負極14側から、導電性の異物である釘Xが差し込まれた状態を示す図である。釘Xが正極11にまで到達し、貫通する際、耐熱層12の一部が釘Xに追随し、正極11に引き込まれる。これは、正極11と耐熱層12とが相対的に強固に接着していることによる。逆に、耐熱層12とセパレータ13との間やセパレータ13と負極14との間の剥離強度が相対的に大きい場合、耐熱層12がセパレータ13から剥離され難くなるため、耐熱層12が釘Xに追随し難くなる。このように釘Xに追随した耐熱層12が、釘Xと正極11との接触を妨げる。これによって、正極11と負極14との間の短絡部の電流をより小さくすることが出来ると推察される。さらに後述するように、通常、正極11は導電性の正極基材及び正極活物質層を有し、負極は導電性の負極基材及び負極活物質層を有するが、これらの正極基材、正極活物質層、負極基材及び負極活物質層の中では、通常、正極活物質層が最も抵抗が高い。このような関係下において、当該二次電池1の電極体2は、釘Xが差し込まれたときに、相対的に抵抗の高い正極11側の抵抗を高めるように構成されているため、釘などの異物が刺さる等の正常ではない使われ方をした際にも、その際の短絡部の電流をより小さくすることが出来る効果が特に発揮される。
【0025】
なお、電極体2においては、負極14以外の構成、すなわち正極11、耐熱層12及びセパレータ13が一体化されていることが好ましい。このとき、セパレータ13と負極14とは、単に隣接しているのみであり、粘着剤、接着剤、溶融等によって実質的には固着されていない状態である。このようにすることで、耐熱層12の釘Xへの追随性が高まることなどにより、釘などの異物が刺さる等の正常ではない使われ方をした際にも、その際の短絡部の電流を小さくすることが出来る効果がより十分に発揮される。
【0026】
(正極)
正極11は、正極基材、及びこの正極基材に直接又は中間層を介して配される正極活物質層を有する。正極11は、上記積層構造のシート(フィルム)である。
【0027】
上記正極基材は、導電性を有する。基材の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はそれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ及びコストのバランスからアルミニウム及びアルミニウム合金が好ましい。また、正極基材の形成形態としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの面から箔が好ましい。つまり、正極基材としてはアルミニウム箔が好ましい。なお、アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS−H−4000(2014年)に規定されるA1085P、A3003P等が例示できる。
【0028】
中間層は、正極基材の表面の被覆層であり、炭素粒子等の導電性粒子を含むことで正極基材と正極活物質層との接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば樹脂バインダー及び導電性粒子を含有する組成物により形成できる。なお、「導電性」を有するとは、JIS−H−0505(1975年)に準拠して測定される体積抵抗率が10
7Ω・cm以下であることを意味し、「非導電性」とは、上記体積抵抗率が10
7Ω・cm超であることを意味する。
【0029】
正極活物質層は、正極活物質を含むいわゆる正極合材から形成される。また、正極活物質層を形成する正極合材は、必要に応じて導電剤、バインダー(結着剤)、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
【0030】
上記正極活物質としては、例えばLi
xMO
y(Mは少なくとも一種の遷移金属を表す)で表される複合酸化物(層状のα−NaFeO
2型結晶構造を有するLi
xCoO
2,Li
xNiO
2,Li
xMnO
3,Li
xNi
αCo
(1−α)O
2,Li
xNi
αMn
βCo
(1−α−β)O
2等、スピネル型結晶構造を有するLi
xMn
2O
4,Li
xNi
αMn
(2−α)O
4等)、Li
wMe
x(XO
y)
z(Meは少なくとも一種の遷移金属を表し、Xは例えばP、Si、B、V等を表す)で表されるポリアニオン化合物(LiFePO
4,LiMnPO
4,LiNiPO
4,LiCoPO
4,Li
3V
2(PO
4)
3,Li
2MnSiO
4,Li
2CoPO
4F等)が挙げられる。これらの化合物中の元素又はポリアニオンは、他の元素又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。正極活物質層においては、これら化合物の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0031】
上記導電剤としては、電池性能に悪影響を与えない導電性材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、天然又は人造の黒鉛、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、金属、導電性セラミックス等が挙げられる。導電剤の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。
【0032】
上記バインダー(結着剤)としては、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。
【0033】
上記増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。また、増粘剤がリチウムと反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させておくことが好ましい。
【0034】
上記フィラーとしては、電池性能に悪影響を与えないものであれば特に限定されない。フィラーの主成分としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、シリカ、アルミナ、ゼオライト、ガラス、炭素等が挙げられる。
【0035】
(負極)
負極14は、負極基材、及びこの負極基材に直接又は中間層を介して配される負極活物質層を有する。負極14は、上記積層構造のシート(フィルム)である。上記中間層は正極の中間層と同様の構成とすることができる。
【0036】
上記負極基材は、導電性を有する。上記負極基材は、正極基材と同様の構成とすることができるが、材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属又はそれらの合金が用いられ、銅又は銅合金が好ましい。つまり、負極基材としては銅箔が好ましい。銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等が例示される。
【0037】
負極活物質層は、負極活物質を含むいわゆる負極合材から形成される。また、負極活物質層を形成する負極合材は、必要に応じて導電剤、バインダー(結着剤)、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー等の任意成分は、正極活物質層と同様のものを用いることができる。
【0038】
負極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材質が用いられる。具体的な負極活物質としては、例えばSi、Sn等の金属又は半金属;Si酸化物、Sn酸化物等の金属酸化物又は半金属酸化物;ポリリン酸化合物;黒鉛(グラファイト)、非晶質炭素(易黒鉛化性炭素又は難黒鉛化性炭素)等の炭素材料等が挙げられる。
【0039】
さらに、負極合材(負極活物質層)は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Ta、Hf、Nb、W等の遷移金属元素を含有してもよい。
【0040】
(セパレータ)
セパレータ13は、多孔性のフィルム(シート)である。セパレータ13の材質としては、例えば織布、不織布、多孔質状の樹脂フィルム等が用いられる。これらの中でも、強度などの観点から多孔質状の樹脂フィルム(多孔質樹脂フィルム)が好ましい。多孔質状の樹脂フィルムからなるセパレータ13は、樹脂を主成分とするものである。この樹脂としては、強度の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。また、これらの樹脂を複合してもよい。セパレータ13における樹脂の含有量の下限としては、60質量%が好ましく80質量%がより好ましく、95質量%がさらに好ましい。
【0041】
(耐熱層)
耐熱層12は、正極11とセパレータ13との間に介在する層である。この耐熱層12は、セパレータ13の一方の面側に積層(固着)された層である。このように、耐熱層12がセパレータ13の表面に固着した状態で積層されていることで、例えば、正極11と負極14との短絡に伴う発熱によるセパレータ13の収縮を抑えることなどができる。セパレータ13の表面に固着された耐熱層12は、セパレータ13の表面に耐熱層形成材料を塗工し、乾燥させることによって形成することができる。また、セパレータ13と耐熱層12とが一体となったものとして販売されている複層セパレータ(無機コートセパレータ等)を用いることもできる。
【0042】
耐熱層12は、多孔質である。耐熱層12が多孔質状であることで、正負極間のイオン(非水電解質)の伝導性を確保することができる。
【0043】
耐熱層12は、上記無機層は、通常、フィラーとこのフィラーを結着させるバインダーとを含む。
【0044】
上記フィラーとしては、無機粒子及び有機粒子のいずれであってもよいが、耐熱性などの点からは無機粒子が好ましい。無機粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄等の無機酸化物、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の無機窒化物、その他、シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリンクレー、カオリナイト、ベーマイト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、アルミノシリケート、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂、ガラス等を挙げることができる。
【0045】
上記フィラーは、棒状又は扁平状のフィラーであることが好ましい。このような棒状又は扁平状のフィラーは、通常、耐熱層12中において、面方向に配向して存在している。このような配向性のあるフィラーは、釘などの異物が刺さる等の正常ではない使われ方をした際にも、釘等への追従性が高い。従って、釘などの異物が刺さる等の正常ではない使われ方をした際にも、その際の短絡部の電流を小さくすることが出来る効果をより高めることができる。このような棒状又は扁平状のフィラーとしては、カオリナイト、ベーマイト等を挙げることができる。
【0046】
上記フィラーの平均粒径の上限としては、10μmが好ましく、5μmがより好ましい。このように比較的小さいフィラーは、釘などの異物が刺さる等の正常ではない使われ方をした際にも、釘等への追従性が高い。従って、釘などの異物が刺さる等の正常ではない使われ方をした際にも、その際の短絡部の電流を小さくすることが出来る効果をより高めることができる。一方、このフィラーの平均粒径の下限としては、耐熱性等の観点から、0.01μmが好ましく、0.05μmがより好ましい。
【0047】
上記バインダーは、フィラーを固定でき、非水溶媒に溶解せず、かつ使用範囲で電気化学的に安定であるものが、通常用いられる。上記バインダーとしては、正極活物質層に用いられるバインダーとして上述したもの等を挙げることができる。
【0048】
耐熱層12の平均厚さとしては特に限定されないが、下限としては1μmが好ましく、2μmがより好ましく、5μmがさらに好ましい。また、この上限としては、10μmが好ましく、5μmがより好ましい。耐熱層12の平均厚さを上記下限以上とすることで、釘などの異物が刺さる等の正常ではない使われ方をした際にも、十分な量の耐熱層12が異物に追随することができる。また、耐熱層12の平均厚さを上記上限以下とすることで、電極体2全体の薄膜化、ひいては二次電池1の高エネルギー密度化を図ること等ができる。
【0049】
(粘着性樹脂)
粘着性樹脂15は、正極11と耐熱層12との間に層状に積層され、両者間を接着する。粘着性樹脂15は、正極11又は耐熱層12の表面に塗工することで積層することができる。なお、この粘着性樹脂15の種類や積層量等によって、正極11と耐熱層12との間の剥離強度を調整することができる。また、後述する加熱圧着の際の温度や圧力によっても強度を調整することができる。
【0050】
粘着性樹脂15は、ディレードタック性を有する樹脂であることが好ましい。ディレードタック性を有する樹脂は、通常、熱可塑性樹脂、粘着付与樹脂及び固体可塑剤を含有する。
【0051】
熱可塑性樹脂としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート等のエチレン系共重合体、ポリアクリル酸エステル、アクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン等を挙げることができる。
【0052】
上記粘着付与樹脂としては、例えばテルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロン−インデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノ−ル樹脂、ロジン誘導体等を挙げることができる。
【0053】
上記固体可塑剤としては、例えばフタル酸ジフェニル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジヒドロアビエチル、イソフタル酸ジメチル、安息香酸スクロース、二安息香酸エチレングリコール、三安息香酸トリメチロールエタン、三安息香酸グリセリド、四安息香酸ペンタエリトリット、八酢酸スクロース、クエン酸トリシクロヘキシル、N−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミド等を挙げることができる。
【0054】
上記ディレードタック性を有する樹脂の粘着性発現温度の下限としては、45℃が好ましく、60℃がより好ましい。一方、この温度の上限としては、100℃が好ましく、80℃がより好ましい。粘着性発現温度が上記範囲内であることにより、生産効率を高め、また、釘などの異物が刺さる等の正常ではない使われ方をした際にも、その際の短絡部の電流を小さくすることが出来る効果より高めることなどができる。
【0055】
粘着性樹脂15が、水系エマルジョン樹脂を含むことが好ましい。水系エマルジョン樹脂とは、水を分散媒としてエマルジョンを形成する樹脂をいう。具体的には、上記熱可塑性樹脂として列挙したエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート等のエチレン系共重合体、ポリアクリル酸エステル、アクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン等を挙げることができる。
【0056】
粘着性樹脂15は、水系エマルジョン樹脂としてのポリオレフィンをはじめとした熱可塑性樹脂の水分散体の塗工により形成されていてもよい。なお、この水系エマルジョン樹脂には、粘着付与樹脂及び固体可塑剤の一方又は両方が含有されていなくてもよい。この場合、塗工及び乾燥により熱可塑性樹脂の層が形成され、加熱により熱可塑性樹脂が溶融することで接着性あるいは粘着性が発現される。換言すれば、正極11と耐熱層12とは、熱融着した樹脂(好ましくは熱可塑性樹脂)により接着されていてもよい。
【0057】
粘着性樹脂15は、1種又は2種以上の樹脂から形成されていてよい。また、粘着性樹脂15を形成する樹脂は、コアシェルタイプであってもよい。その他、粘着性樹脂15には、フィラー、分散剤等が含有されていてもよい。ディレードタック性を有する樹脂等は、市販品を用いることができる。
【0058】
粘着性樹脂15の積層量(塗布量)としては特に限定されないが、固形分換算で例えば、0.1g/m
2以上10g/m
2以下とすることができる。積層量を上記範囲とすることで、好適な剥離強度を発現させることができる。
【0059】
(非水電解質)
上記非水電解質は、非水溶媒に電解質塩が溶解したものである。
【0060】
上記非水溶媒としては、一般的な蓄電素子用非水電解質の非水溶媒として通常用いられる公知の非水溶媒を用いることができる。上記非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、エステル、エーテル、アミド、スルホン、ラクトン、ニトリル等を挙げることができる。これらの中でも、環状カーボネート又は鎖状カーボネートを少なくとも用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用することがより好ましい。環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用する場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの体積比(環状カーボネート:鎖状カーボネート)としては、特に限定されないが、例えば5:95以上50:50以下とすることが好ましい。
【0061】
上記環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、スチレンカーボネート、カテコールカーボネート、1−フェニルビニレンカーボネート、1,2−ジフェニルビニレンカーボネート等を挙げることができる。
【0062】
上記鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジフェニルカーボネート等を挙げることができる。
【0063】
上記電解質塩としては、一般的な蓄電素子用非水電解質の電解質塩として通常用いられる公知の電解質塩を用いることができる。上記電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等を挙げることができるが、リチウム塩が好ましい。
【0064】
上記リチウム塩としては、LiPF
6、LiPO
2F
2、LiBF
4、LiClO
4、LiN(SO
2F)
2等の無機リチウム塩、LiSO
3CF
3、LiN(SO
2CF
3)
2、LiN(SO
2C
2F
5)
2、LiN(SO
2CF
3)(SO
2C
4F
9)、LiC(SO
2CF
3)
3、LiC(SO
2C
2F
5)
3等のフッ化炭化水素基を有するリチウム塩などを挙げることができる。これらの中でも、無機リチウム塩が好ましい。
【0065】
上記非水電解質における上記電解質塩の含有量の下限としては、0.1Mが好ましく、0.3Mがより好ましく、0.5Mがさらに好ましく、0.7Mが特に好ましい。一方、この上限としては、特に限定されないが、2.5Mが好ましく、2Mがより好ましく、1.5Mがさらに好ましい。
【0066】
上記非水電解質は、本発明の効果を阻害しない限り、上記非水溶媒、及び電解質塩以外の他の成分を含有していてもよい。上記他の成分としては、一般的な蓄電素子用非水電解質に含有される各種添加剤を挙げることができる。
【0067】
<二次電池(蓄電素子)の製造方法>
本発明の一実施形態に係る二次電池の製造方法は、
正極、耐熱層、セパレータ及び負極がこの順に積層された積層体を得ること(工程(I))と、
上記積層体の積層方向への加熱圧着により、上記正極と耐熱層との間を上記耐熱層とセパレータとの間及び上記セパレータと負極との間よりも強固に接着させること(工程(II))と
を有する。
【0068】
上記工程(II)を経ることで、上記積層体は、正極と耐熱層との間の剥離強度が、耐熱層とセパレータとの間の剥離強度及びセパレータと負極との間の剥離強度よりも大きい電極体となる。上記積層体が、上記正極と耐熱層との間に配設され、かつディレードタック性を有する粘着性樹脂を含むことが好ましい。
【0069】
上記工程(I)は、上記積層体が得られれば具体的方法は特に限定されるものではない。例えば、多孔質状の樹脂フィルムからなるセパレータの一方の面に耐熱層が積層された無機コートセパレータを用意する。この無機コートセパレータの耐熱層側面にディレードタック性を有する樹脂を塗布し乾燥させる。その後、無機コートセパレータの耐熱層側に正極を積層させ、セパレータ側に負極を積層させることで積層体が得られる。
【0070】
上記工程(II)も、上記積層体の積層方向への加熱圧着により、上記正極と耐熱層との間を上記耐熱層とセパレータとの間及び上記セパレータと負極との間よりも強固に接着させることができれば、具体的方法は特に限定されるものではない。上記加熱圧着は、工程(I)の後であってもよいし、工程(I)と同時でもよい。すなわち、積層体形成時に加熱しながら積層体を形成し、押圧することで、工程(I)と工程(II)とを同時に行うことができる。また、工程(I)で得られた積層体を電池ケースに収容し、電池ケースに対して加熱押圧することで工程(II)を行ってもよい。
【0071】
この後、積層体(電極体)を電池ケースに収容し、この電池ケースに上記非水電解質を注入する。注入後、注入口を封止することにより二次電池(蓄電素子)を得ることができる。なお、上記非水電解質の注入後に電池ケースに対して加熱押圧することで、上記工程(II)を行ってもよい。
【0072】
<その他の実施形態>
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。例えば、上記実施形態の蓄電素子においては、セパレータと負極との間が接着されていない構成としたが、正極と耐熱層との間の剥離強度よりも剥離強度が弱ければ、セパレータと負極との間を接着させてもよい。また、単層のセパレータと、単層の耐熱層からなる耐熱シートとを用意し、セパレータと耐熱層(耐熱シート)とを接着させてもよい。なお、各部材間の接着は、粘着性樹脂を用いてもよいし、熱融着等、その他の手段により行ってもよい。ディレードタック性の粘着性樹脂以外の一般的な粘着性樹脂等を用いることもできる。
【0073】
また、上記実施の形態においては、蓄電素子が非水電解質二次電池である形態を説明したが、その他の蓄電素子であってもよい。その他の蓄電素子としては、キャパシタ(電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ)や、電解質が水を含む二次電池などが挙げられる。
【0074】
さらに、本発明に係る蓄電素子の構成については特に限定されるものではなく、円筒型電池、角型電池(矩形状の電池)、扁平型電池等が一例として挙げられる。本発明は、上記の蓄電素子を複数備える蓄電装置としても実現することができる。蓄電装置の一実施形態を
図4に示す。
図4において、蓄電装置30は、複数の蓄電ユニット20を備えている。それぞれの蓄電ユニット20は、複数の蓄電素子(二次電池1)を備えている。上記蓄電装置30は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源として搭載することができる。
【実施例】
【0075】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0076】
[実施例1]
正極活物質がNCM111(LiNi
1/3Co
1/3Mn
1/3O
2)である正極板と、負極活物質がグラファイトである負極板とをそれぞれ作製した。また、平均厚み25μmのポリエチレン製の多孔性シートであるセパレータを用意した。このセパレータに、フィラーとしてのアルミナ(平均粒径0.7μm)、バインダーとしてのアクリル樹脂を含む耐熱層形成材料を調製した。この耐熱層形成材料をセパレータの片面に塗工し、乾燥させた。これにより、セパレータの表面に平均厚みが5μmの耐熱層を形成した。次いで、この耐熱層の表面に水系バインダー樹脂(三井化学株式会社製の「ケミパール」)を固形分換算で2.0g/m
2塗工し、乾燥させた。なお、この水系バインダー樹脂は、水系エマルジョン樹脂としてのポリオレフィンを含むものである。
【0077】
次いで、正極、耐熱層、セパレータ及び負極の順になるように積層した。この積層体を積層方向に80℃で加熱しながら押圧した。これにより、正極と耐熱層との間を接着させ、正極と耐熱層とセパレータとが一体化された電極体を得た。
【0078】
[比較例1]
水系バインダー樹脂の塗工、及び積層体の加熱圧着を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の蓄電素子を得た。比較例1の電極体においては、耐熱層とセパレータとのみが一体化されている。
【0079】
[比較例2]
加熱温度を60℃に低下させたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の蓄電素子を得た。比較例2の電極体においては、正極と耐熱層とセパレータとが一体化されている。
【0080】
[比較例3]
水系樹脂を耐熱層側では無く、セパレータ側に塗工したこと以外は実施例1と同様にして、比較例3の蓄電素子を得た。比較例3の電極体においては、耐熱層とセパレータと負極とが一体化されている。
【0081】
[比較例4]
水系樹脂を耐熱層側とセパレータ側との両面に塗工したこと以外は実施例1と同様にして、比較例4の蓄電素子を得た。比較例4の電極体においては、正極と耐熱層とセパレータと負極とが一体化されている。
【0082】
[評価]
(相対的剥離強度)
上記各実施例及び比較例と同様にして、別途それぞれの電極体を作製した。この電極体について上記した方法によって、各層間の剥離強度の大小関係を調べた。結果として、最も剥離強度の大きい箇所を表1に示す。最も剥離強度が大きい箇所が2箇所ある場合は、その2カ所を表1に記載している。また、表1には、各実施例及び比較例の電極体において、一体化した部材をあわせて示す。
【0083】
【表1】
【0084】
(釘刺し試験)
以下の方法により釘刺し試験を行った。耐熱層を付与したセパレータ/負極/耐熱層を付与したセパレータ/正極/耐熱層を付与したセパレータ/負極/耐熱層を付与したセパレータ/正極/耐熱層を付与したセパレータを積層させた。なお、耐熱層が正極側になるように、各「耐熱層を付与したセパレータ」を配置した。この積層体の両面にそれぞれの中央に釘よりも大きな穴を設けた厚み1mmのシリコンゴムシート、2mmのアクリル板、5mmのSUS板を配置し、4ヶ所をボルトで締めた。ボルトにより固化したものを直流抵抗計を用い、正負極の抵抗を測定しながら中央に設けた穴の部分にφ5mmの釘を1mm/sで差し込み、その際の正負極の抵抗を計測した。その測定結果を
図5に示す。
図5は、短絡点からの釘刺し深さと電気抵抗との関係を示したものである。
【0085】
図5に示されるように、実施例1の蓄電素子は、比較例1〜4に比べて、釘刺し試験において電気抵抗の減少が大きく抑えられている(短絡部の電流を小さくすることが出来ている)ことがわかる。実施例1は、正極と耐熱層とのの剥離強度が最も強いため、
図3等にて説明したように、正極に刺し込まれた釘に耐熱層が効果的に追随することで、正極と負極との間の短絡が抑制されるものと考えられる。なお、非水溶媒(エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを30:70の体積比で混合したもの)中に浸漬させた後でも同一の結果となった。
【0086】
一方、比較例1〜4において、抵抗が大きく減少する理由は以下のことが考えられる。正極と耐熱層との間を接着させていない比較例1、3は、釘が正極に刺さる際に耐熱層が釘に追随しない。また、比較例3においては、負極とセパレータとの間が強く接着されているため、釘が負極に刺さる際にセパレータなどが釘に追随すると考えられるが、負極は正極に比べて抵抗が低いことから、抵抗減少抑制効果が低い。また、セパレータが追随する場合、耐熱層が追随する場合と比べて抵抗減少抑制効果が低い。
【0087】
正極と耐熱層との間が強く接着しておらず、耐熱層とセパレータとの間と同じ剥離強度である比較例2においては、釘刺し込み時に、耐熱層がセパレータ側に残りやすくなるため、釘に追随し難く、抵抗が大きく減少する。セパレータと負極との間も強く接着している比較例4においても、耐熱層およびセパレータが釘に追随し難く、抵抗が大きく減少する。
【0088】
以下のような態様にて実施することができる。
1 正極、耐熱層、セパレータ及び負極がこの順で積層された電極体を有し、上記正極と上記耐熱層との間の剥離強度が、上記耐熱層と上記セパレータとの間の剥離強度よりも大きく、且つ上記耐熱層と上記セパレータの間の剥離強度が、上記セパレータと上記負極との間の剥離強度よりも大きい蓄電素子。
2 態様1において、上記セパレータが上記負極と直接対向する蓄電素子。
3 態様1、又は2において、上記正極と耐熱層とが粘着性樹脂により接着されており、上記粘着性樹脂がディレードタック性を有する樹脂である蓄電素子。
4 態様1、又は2において、上記粘着性樹脂が水系エマルジョン樹脂を含む蓄電素子。
5 態様1、又は2において、上記記耐熱層が、平均粒径が0.01μm以上10μm以下である棒状又は扁平状のフィラーを含む蓄電素子。
6 正極、耐熱層、セパレータ及び負極がこの順に積層された電極体を得ることと、上記電極体の長側面の平坦部方向への加熱圧着により、上記正極と耐熱層との間を上記耐熱層とセパレータとの間及び上記セパレータと負極との間よりも強固に接着させることとを有する蓄電素子の製造方法。
7 態様6において、上記電極体が、上記正極と耐熱層との間に配設され、かつディレードタック性を有する粘着性樹脂を含む蓄電素子の製造方法。
【0089】
8 態様7において、上記電極体が積層体である蓄電素子の製造方法。
9 態様1、又は2において、上記耐熱層の積層量が0.1g/m
2以上である蓄電素子。
10 態様1、又は2において、上記耐熱層の積層量が10g/m
2以下である蓄電素子。
11 態様1、又は2において、上記耐熱層の厚さが1μm以上である蓄電素子。
12 態様1、又は2において、上記耐熱層の厚さが10μm以下である蓄電素子。
13 態様1、又は2において、上記正極と上記耐熱層とが粘着性樹脂により接着されており、上記粘着性樹脂の粘着性発現温度が45℃以上である蓄電素子。
14 態様1、又は2において、上記正極と上記耐熱層とが粘着性樹脂により接着されており、上記粘着性樹脂の粘着性発現温度が60℃以上である蓄電素子。
15 態様1、又は2において、上記正極と上記耐熱層とが粘着性樹脂により接着されており、上記粘着性樹脂の粘着性発現温度が100℃以下である蓄電素子。
16 態様1、又は2において、上記正極と上記耐熱層とが粘着性樹脂により接着されており、上記粘着性樹脂の粘着性発現温度が80℃以下である蓄電素子。
17 態様1、又は2において、上記正極と上記耐熱層とが粘着性樹脂により接着されており、上記粘着性樹脂がポリオレフィン樹脂を含む蓄電素子。
18 態様1、又は2において、上記正極と、耐熱層と、セパレータが一体化されている蓄電素子。