(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ドリフト層(13)上にチャネル層(14)が配置されると共に前記チャネル層にソース層(17)、ゲート層(15)、およびボディ層(16)が配置され、前記ドリフト層を挟んで前記チャネル層と反対側にドレイン層(11)が配置された接合型FETが形成された半導体装置の製造方法であって、
第1導電型の前記ドリフト層を有する基板(100)を用意することと、
エピタキシャル成長を行うことにより、前記ドリフト層上に前記ドリフト層よりも高不純物濃度となる第1導電型の前記チャネル層を構成して半導体基板(10)を形成することと、
イオン注入を行うことにより、前記チャネル層に、前記半導体基板の厚さ方向を深さ方向とすると、前記半導体基板のうちの前記チャネル層側の一面(10a)から前記深さ方向に沿って延びる第2導電型の前記ゲート層を形成することと、
イオン注入を行うことにより、前記チャネル層のうちの前記ゲート層と離れた位置に、前記半導体基板の一面から前記深さ方向に沿って延びる第2導電型の前記ボディ層を形成することと、
イオン注入を行うことにより、前記チャネル層のうちの前記ゲート層と前記ドリフト層との間に位置する部分に、前記ゲート層と離れた状態で前記ゲート層と対向し、前記ゲート層と異なる電位に維持される第2導電型のシールド層(18)を形成することと、を行い、
前記シールド層を形成することでは、前記半導体基板を形成することの後、前記半導体基板の一面からイオン注入を行うことで前記シールド層を形成し、
前記シールド層を形成することの後、イオン注入を行うことにより、前記チャネル層のうちの前記シールド層と前記ゲート層との間となる部分に、前記チャネル層よりも高不純物濃度となる第1導電型の分離層(19)を形成することを行い、
前記ゲート層を形成することは、前記分離層を形成することの後に行う半導体装置の製造方法。
ドリフト層(13)上にチャネル層(14)が配置されると共に前記チャネル層にソース層(17)、ゲート層(15)、およびボディ層(16)が配置され、前記ドリフト層を挟んで前記チャネル層と反対側にドレイン層(11)が配置された接合型FETが形成された半導体装置の製造方法であって、
第1導電型の前記ドリフト層を有する基板(100)を用意することと、
エピタキシャル成長を行うことにより、前記ドリフト層上に前記ドリフト層よりも高不純物濃度となる第1導電型の前記チャネル層を構成して半導体基板(10)を形成することと、
イオン注入を行うことにより、前記チャネル層に、前記半導体基板の厚さ方向を深さ方向とすると、前記半導体基板のうちの前記チャネル層側の一面(10a)から前記深さ方向に沿って延びる第2導電型の前記ゲート層を形成することと、
イオン注入を行うことにより、前記チャネル層のうちの前記ゲート層と離れた位置に、前記半導体基板の一面から前記深さ方向に沿って延びる第2導電型の前記ボディ層を形成することと、
イオン注入を行うことにより、前記チャネル層のうちの前記ゲート層と前記ドリフト層との間に位置する部分に、前記ゲート層と離れた状態で前記ゲート層と対向し、前記ゲート層と異なる電位に維持される第2導電型のシールド層(18)を形成することと、を行い、
前記ボディ層を形成することは、前記ボディ層のうちの前記シールド層と同じ深さに位置する下部ボディ層(16a)を形成することを含み、
前記シールド層を形成することおよび前記下部ボディ層を形成することの後、イオン注入を行うことにより、前記チャネル層のうちの、前記シールド層における前記半導体基板の一面側の部分と、前記下部ボディ層における前記半導体基板の一面側の部分との間に位置する部分に、前記チャネル層よりも高不純物濃度となる第1導電型の拡張領域(20)を形成することを行う半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0012】
(第1実施形態)
第1実施形態について、
図1〜
図3を参照しつつ説明する。まず、本実施形態のJFETが形成された半導体装置の構造について説明する。なお、
図1は本実施形態のJFETの1セル分を示す平面図であり、半導体装置は、
図1に示すセルが隣合うように複数配置されることで構成されている。また、
図1では、後述する層間絶縁膜24、ゲート電極25、上部電極26等を省略して示している。
【0013】
半導体装置は、N
++型の炭化珪素(以下では、SiCともいう)基板で構成されるドレイン層11を有する半導体基板10を備えている。そして、ドレイン層11上には、ドレイン層11よりも低不純物濃度とされたN
+型のバッファ層12が配置され、バッファ層12上には、バッファ層12よりも低不純物濃度とされたN
−型のドリフト層13が配置されている。なお、バッファ層12およびドリフト層13は、例えば、ドレイン層11を構成するSiC基板上にSiCのエピタキシャル膜を成長させることで構成される。
【0014】
ドリフト層13上には、ドリフト層13より高不純物濃度とされたN型のチャネル層14が配置されている。なお、チャネル層14は、後述するように、SiCのエピタキシャル膜を成長させることで構成される。また、本実施形態では、半導体基板10の一面10aは、チャネル層14の表面を含んで構成される。
【0015】
チャネル層14には、チャネル層14よりも高不純物濃度とされたP
+型のゲート層15およびP
+型のボディ層16が形成されている。本実施形態では、ボディ層16は、1セル領域における平面視において、一方向を長手方向とする四角枠状に形成されている。なお、
図1中では、紙面上下方向を長手方向とする四角枠状に形成されている。ゲート層15は、1セル領域における平面視において、ボディ層16の長手方向を長手方向とする長方形状とされ、ボディ層16内に位置しつつ、ボディ層16と離れるように形成されている。
【0016】
そして、半導体基板10の厚さ方向を深さ方向とすると、ゲート層15およびボディ層16は、半導体基板10の一面10a(すなわち、チャネル層14の表面)から深さ方向に沿って形成され、ボディ層16の方がゲート層15よりも深くまで形成されている。なお、後述するように、本実施形態のボディ層16は、半導体基板10の一面10a側から不純物がイオン注入されることで構成される。このため、ボディ層16は、深さ方向において、途中部分が膨らんだ形状となる。また、半導体基板10の深さ方向とは、言い換えると、ドレイン層11、ドリフト層13、チャネル層14の積層方向であるともいえる。
【0017】
チャネル層14の表層部には、ボディ層16と接するように、チャネル層14よりも高不純物濃度とされたN
+型のソース層17が形成されている。なお、特に限定されるものではないが、本実施形態では、
図4にも示されるように、ゲート層15およびボディ層16は、チャネル層14よりも不純物濃度が10倍程度高くされている。
【0018】
また、チャネル層14には、ゲート層15より深い位置に、ゲート層15から離れつつ、ゲート層15と対向するようにシールド層18が形成されている。つまり、チャネル層14には、ゲート層15とドリフト層13との間に位置する部分に、ゲート層15と対向するシールド層18が形成されている。
【0019】
本実施形態では、シールド層18は、ボディ層16と同等の不純物濃度とされたP
+型とされており、平面視において、ゲート層15の長手方向に沿った長方形状に形成されている。そして、シールド層18は、長手方向の長さがゲート層15の長手方向の長さよりも長くされており、長手方向における両端部がボディ層16と接続されることによってボディ層16と電気的に接続されている。つまり、本実施形態のシールド層18は、ボディ層16と同電位とされている。本実施形態では、このようにしてシールド層18がゲート層15と異なる電位に維持される。
【0020】
なお、後述するように、本実施形態のシールド層18は、半導体基板10の一面10a側から不純物がイオン注入されることで構成される。このため、シールド層18は、ゲート層15側の部分がゲート層15側と反対側の部分よりも膨らんだ形状となる。
【0021】
また、チャネル層14には、ゲート層15とシールド層18との間の部分に、N
+型の分離層19が形成されている。この分離層19は、ゲート層15とシールド層18層とを電気的に分離するものであり、
図4に示されるように、チャネル層14よりも高不純物濃度とされている。そして、
図2中の矢印Aに沿った部分では、不純物濃度は、ゲート層15と分離層19との境界および分離層19とシールド層18との境界で低くなり、分離層19の部分でピークを有する形状となる。
【0022】
さらに、チャネル層14には、シールド層18におけるゲート層15側の部分と、ボディ層16のうちの当該部分と同じ深さに位置する部分との間に、N型の拡張領域20が形成されている。この拡張領域20は、ボディ層16とシールド層18との間隔が狭くなり過ぎることを抑制するものであり、
図4に示されるように、分離層19よりは低不純物濃度とされているものの、チャネル層14より高不純物濃度とされている。このため、
図2中の矢印Bに沿った部分では、不純物濃度は、拡張領域20の部分でピークを有する形状となる。なお、
図2中の矢印Cはボディ層16に沿ったものであるため、不純物濃度は、深さが深くなるにつれて徐々に低くなる。
【0023】
また、本実施形態では、チャネル層14の表層部には、
図1および
図3に示されるように、ゲート層15とボディ層16とを電気的に分離するSTI(Shallow Trench Isolationの略)分離部21が形成されている。具体的には、STI分離部21は、ゲート層15における長手方向の両端において、ゲート層15とボディ層16との間に形成されている。なお、本実施形態のSTI分離部21は、所定深さのトレンチ22に絶縁膜23が埋め込まれることで構成されている。
【0024】
半導体基板10の一面10a上には、層間絶縁膜24が形成されている。層間絶縁膜24には、ゲート層15を露出させる第1コンタクトホール24aが形成されていると共に、ボディ層16およびソース層17を露出させる第2コンタクトホール24bが形成されている。そして、層間絶縁膜24上には、第1コンタクトホール24aを通じてゲート層15と電気的に接続されるようにゲート電極25が配置されている。また、層間絶縁膜24上には、第2コンタクトホール24bを通じてボディ層16およびソース層17と電気的に接続されるように上部電極26が形成されている。
【0025】
そして、半導体基板10の他面10b側には、ドレイン層11と電気的に接続される下部電極27が形成されている。
【0026】
以上が本実施形態における半導体装置の構成である。なお、本実施形態では、N
−型、N型、N
+型、N
++型が第1導電型に相当し、P
+型が第2導電型に相当している。また、本実施形態では、上記のように、ドレイン層11、バッファ層12、ドリフト層13、チャネル層14、ゲート層15、ボディ層16、ソース層17、およびシールド層18を含んで半導体基板10が構成されている。そして、本実施形態では、上記のように、ドレイン層11は、SiC基板で構成されており、バッファ層12、ドリフト層13、チャネル層14等は、SiCのエピタキシャル膜を成長させることで構成されている。このため、本実施形態の半導体装置は、SiC半導体装置であるともいえる。
【0027】
上記のような半導体装置は、ゲート層15に所定のゲート電圧が印加されていない場合に上部電極26と下部電極27との間に電流が流れるノーマリオン型とされていてもよいし、逆に電流が流れないノーマリオフ型とされていてもよい。
【0028】
そして、ボディ層16が形成されているため、サージ電流が発生した際に当該サージ電流がボディ層16へと流れる。このため、ゲート層15にサージ電流が集中することを抑制できる。さらに、ゲート層15の下方には、ボディ層16と接続されるシールド層18が形成されている。このため、ミラー容量比の低減を図ることができ、スイッチング損失の低減を図ることができる。
【0030】
まず、
図5Aおよび
図6Aに示されるように、ドリフト層13を有する基板100を用意する。本実施形態では、バッファ層12およびドリフト層13がドレイン層11を構成するSiC基板上にSiCのエピタキシャル膜を成長させることで構成されるため、基板100は、ドレイン層11およびバッファ層12も有している。そして、ドリフト層13上に、例えば、SiCのエピタキシャル膜を成長させることによってチャネル層14を形成することにより、半導体基板10を構成する。
【0031】
なお、
図5Aおよび
図6Aでは、ドリフト層13の下方に位置するドレイン層11およびバッファ層12を省略して示してある。また、後述の
図5B〜
図5Gおよび
図6B〜
図6Gにおいても、ドリフト層13の下方に位置するドレイン層11およびバッファ層12を省略して示してある。
【0032】
次に、
図5Bおよび
図6Bに示されるように、チャネル層14上に、ボディ層16およびシールド層18の形成予定領域が開口するようにマスク201を形成する。なお、マスク201としては、例えば、酸化膜またはレジスト等が用いられる。また、後述する各マスク202〜205も同様である。
【0033】
そして、アルミニウム等のP型の不純物をイオン注入することにより、ボディ層16の下部を構成する下部ボディ層16aおよびシールド層18を形成する。その後、マスク201を除去する。なお、下部ボディ層16aとは、ボディ層16のうちのシールド層18と同じ深さに形成されている部分のことである。また、この工程では、シールド層18は、長手方向の両端において下部ボディ層16aと接続されるように形成される。つまり、下部ボディ層16aおよびシールド層18は、一体的に形成される。
【0034】
また、本実施形態では、半導体基板10を構成した後にイオン注入によって下部ボディ層16aおよびシールド層18を形成するため、不純物を半導体基板10の一面10aから深い位置に注入することになる。このため、シールド層18の上方には、P型の不純物が残存する残存領域31が形成される。同様に、下部ボディ層16aの上方には、P型の不純物が残存する残存領域32が形成される。
【0035】
さらに、この工程では、半導体基板10の一面10aから深い位置まで不純物を注入するため、イオン注入する際の加速電圧が大きくなり易い。このため、半導体基板10に注入された不純物は、半導体基板10の面方向にも広がり易くなる。したがって、下部ボディ層16aおよびシールド層18は、半導体基板の一面10a側の部分が半導体基板の他面10b側の部分よりも膨らんだ構成となる。以下では、下部ボディ層16aのうちの半導体基板10の一面10a側の部分を下部ボディ層16aの上部とも称する。同様に、シールド層18のうちの半導体基板10の一面10a側の部分をシールド層18の上部とも称する。
【0036】
次に、
図5Cおよび
図6Cに示されるように、チャネル層14上に、分離層19の形成予定領域が開口するようにマスク202を形成する。そして、窒素等のN型の不純物をイオン注入することにより、シールド層18の上方に分離層19を形成する。
【0037】
続いて、
図5Dおよび
図6Dに示されるように、チャネル層14上に、拡張領域20の形成予定領域が開口するようにマスク203を形成する。そして、窒素等のN型の不純物をイオン注入することにより、下部ボディ層16aの上部とシールド層18の上部との間に位置する部分に拡張領域20を形成する。なお、拡張領域20は、ボディ層16よりも不純物濃度が十分に小さいため、マスク203を配置せずにイオン注入されることで形成されるようにしてもよい。
【0038】
すなわち、上記のように
図5Bおよび
図6Bの工程を行うことにより、下部ボディ層16aおよびシールド層18は、上部側が下部側よりも膨らんだ構成となる。この際、下部ボディ層16aの上部とシールド層18の上部との間隔が狭くなり過ぎるとピンチオフしてしまう可能性がある。このため、拡張領域20を形成することにより、下部ボディ層16aとシールド層18の上部との間隔をピンチオフしない間隔となるようにする。
【0039】
なお、
図5Cおよび
図6Cの工程と、
図5Dおよび
図6Dの工程とは、いずれを先に行ってもよい。すなわち、拡張領域20を形成した後に分離層19を形成するようにしてもよい。
【0040】
続いて、
図5Eおよび
図6Eに示されるように、チャネル層14上に、ボディ層16の形成予定領域が開口するようにマスク204を形成する。そして、アルミニウム等のP型の不純物をイオン注入することにより、ボディ層16の中間部を構成する中間ボディ層16bを形成し、マスク204を除去する。なお、中間ボディ層16bとは、ボディ層16のうちの分離層19と同じ深さに形成されている部分のことである。
【0041】
次に、
図5Fおよび
図6Fに示されるように、チャネル層14上に、ゲート層15およびボディ層16の形成予定領域が開口するようにマスク205を形成する。そして、アルミニウム等のP型の不順物をイオン注入することにより、ボディ層16の上部を構成する上部ボディ層16cを形成することでボディ層16を構成すると共に、ゲート層15を形成する。なお、上部ボディ層16cとは、ボディ層16のうちのゲート層15と同じ深さに形成されている部分のことである。また、この工程が終了した後では、
図6Fに示されるように、残存領域31によってゲート層15とボディ層16とが接続された状態になる。
【0042】
次に、
図6Gに示されるように、ゲート層15とボディ層16との間であって、シールド層18を形成する際に構成された残存領域31が位置する部分にSTI分離部21を形成する。本実施形態では、所定深さのトレンチ22を形成してトレンチ22内に絶縁膜23を埋め込み、CMP(Chemical Mechanical Polishingの略)法等で平坦化することにより、STI分離部21を形成する。これにより、ゲート層15とボディ層16とが分離された状態となる。なお、STI分離部21は、ゲート層15の長手方向の両端側に形成される。このため、
図5Gと
図6Gとは同じ工程における断面図であるが、STI分離部21は、
図6Gにのみ示される。
【0043】
その後は特に図示しないが、適宜マスクを形成して窒素またはリン等のN型の不純物をイオン注入してソース層17を形成する。そして、半導体基板10の一面10a側に層間絶縁膜24、ゲート電極25、および上部電極26を形成すると共に、半導体基板10の他面10b側に下部電極27を形成することにより、
図1に示す半導体装置が製造される。
【0044】
以上説明したように、本実施形態では、チャネル層14を形成した後は、適宜イオン注入を行うことによって半導体装置が製造される。このため、容易な方法でシールド層18を有するJFETが形成された半導体装置を製造できる。つまり、容易な方法でミラー容量比を低減できるJFETが形成された半導体装置を製造できる。
【0045】
また、本実施形態では、シールド層18を形成した後に分離層19を形成し、その後にゲート層15を形成するようにしている。このため、シールド層18とゲート層15とが電気的に接続された状態となることを抑制できる。
【0046】
さらに、本実施形態では、下部ボディ層16aおよびシールド層18を形成した後に拡張領域20を形成することにより、下部ボディ層16aの上部とシールド層18の上部とが所定間隔離れるようにしている。このため、ピンチオフが発生することを抑制した半導体装置を製造できる。
【0047】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して製造方法を変更したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0048】
まず、本実施形態の半導体装置の構成について説明する。本実施形態の半導体装置は、
図7〜
図9に示されるように、基本的には上記第1実施形態と同様の構成とされているが、分離層19、拡張領域20、およびSTI分離部21が備えられていない構成とされている。
【0050】
まず、
図10Aおよび
図11Aに示されるように、基板100を用意した後、SiCのエピタキシャル膜を成長させることでチャネル層14のうちのドリフト層13側の部分を構成する下層チャネル層14aを形成する。なお、下層チャネル層14aの厚さは、シールド層18が形成される部分の厚さ以上とされている。
【0051】
次に、
図10Bおよび
図11Bに示されるように、下層チャネル層14a上に、ボディ層16およびシールド層18の形成予定領域が開口するようにマスク301を形成する。そして、アルミニウム等のP型の不純物をイオン注入することにより、下部ボディ層16aおよびシールド層18を形成する。その後、マスク301を除去する。
【0052】
なお、この工程では、下層チャネル層14aの表面からイオン注入を行って下部ボディ層16aおよびシールド層18を形成する。このため、上記第1実施形態のように、チャネル層14を全て形成した後にイオン注入を行って下部ボディ層16aおよびシールド層18を形成する場合と比較して、イオン注入を行う際の加速電圧を小さくできる。したがって、下部ボディ層16aおよびシールド層18を形成する際に不純物が半導体基板10の面方向に拡散することを抑制できる。これにより、本実施形態の下部ボディ層16aおよびシールド層18は、上記第1実施形態の下部ボディ層16aおよびシールド層18と比較すると、上部側の膨らみが抑えられた構成となる。このため、本実施形態では、拡張領域20を形成する工程を行わない。
【0053】
続いて、
図10Cおよび
図11Cに示されるように、下層チャネル層14a上に、再びSiCのエピタキシャル膜を成長させることで上層チャネル層14bを形成する。これにより、チャネル層14が構成され、半導体基板10が構成される。なお、本実施形態では、下層チャネル層14aおよび上層チャネル層14bがチャネル層構成層に相当する。
【0054】
次に、
図10Dおよび
図11Dに示されるように、ボディ層16の形成予定領域が開口するようにマスク302を形成する。そして、Al等のP型の不純物をイオン注入することにより、中間ボディ層16bを形成し、マスク302を除去する。なお、本実施形態においても残存領域32は形成されるが、当該残存領域32は、後述の上部ボディ層16cに置き換わるため、特に図示していない。
【0055】
そして、
図10Eおよび
図11Eに示されるように、ゲート層15およびボディ層16の形成予定領域が開口するようにマスク303を形成する。そして、アルミニウム等のP型の不順物をイオン注入することにより、上部ボディ層16cを形成することでボディ層16を構成すると共に、ゲート層15を形成する。
【0056】
なお、本実施形態では、チャネル層14を2回に分けて形成しているため、シールド層18を形成する際にシールド層18の上方に残存領域31が形成されない。このため、本実施形態では、分離層19を形成しなくてもゲート層15とシールド層18とが分離された状態となる。また、本実施形態では、STI分離部21を形成しなくても、ゲート層15とボディ層16とが分離した状態となる。
【0057】
その後は、特に図示しないが、ソース層17、ゲート電極25、上部電極26、下部電極27を適宜形成することにより、本実施形態の半導体装置が製造される。
【0058】
以上説明したように、チャネル層14を2回のエピタキシャル成長で構成するようにしても、シールド層18を有するJFETが形成された半導体装置を容易に製造できる。
【0059】
また、本実施形態では、下層チャネル層14aを形成した後に下部ボディ層16aおよびシールド層18を形成し、その後に上層チャネル層14bを形成する。このため、分離層19を形成しなくてもシールド層18とゲート層15とを分離でき、分離層19を形成する工程を省略できる。
【0060】
さらに、本実施形態では、下層チャネル層14aを形成した後に下部ボディ層16aおよびシールド層18を形成している。このため、下部ボディ層16aおよびシールド層18を形成する際の加速電圧を小さくでき、不純物が半導体基板10の面方向に広がることを抑制できる。したがって、拡張領域20を形成する工程を省略できる。
【0061】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態に対して製造方法を変更したものである。その他に関しては、第2実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0063】
本実施形態では、
図12Aおよび
図13Aに示されるように、
図10Bおよび
図11Bの工程を行った後、下層チャネル層14a上に、SiCのエピタキシャル膜を成長させることで中層チャネル層14cを形成する。なお、中層チャネル層14cは、ゲート層15とシールド層18との間隔に相当する厚さとされる。また、本実施形態では、中層チャネル層14cは、チャネル層構成層に相当する。
【0064】
次に、
図12Bおよび
図13Bに示されるように、ボディ層16の形成予定領域が開口するようにマスク401を形成する。そして、Al等のP型の不純物をイオン注入することにより、中間ボディ層16bを形成し、マスク401を除去する。
【0065】
その後、
図12Cおよび
図13Cに示されるように、中層チャネル層14c上に、SiCのエピタキシャル膜を成長させることで上層チャネル層14bを形成する。これにより、チャネル層14が構成されて半導体基板10が構成される。
【0066】
その後は、上記
図10Dおよび
図11D以降の工程を行うことにより、第2実施形態の半導体装置が製造される。
【0067】
以上説明したように、チャネル層14を3回のエピタキシャル成長で構成するようにしても、上記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0068】
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
【0069】
例えば、上記各実施形態では、第1導電型をN型とし、第2導電型をP型とした例について説明したが、第1導電型をP型とし、第2導電型をN型とすることもできる。
【0070】
また、上記各実施形態では、SiC半導体装置を例に挙げて説明したが、他の化合物半導体装置、若しくは、シリコン基板にヘテロエピタキシー成長させた半導体装置としてもよい。
【0071】
さらに、上記第2、第3実施形態において、チャネル層14は、さらに複数のエピタキシャル成長を行うことによって構成されるようにしてもよい。つまり、チャネル層14は、さらに複数のチャネル層構成層が積層されることで構成されるようにしてもよい。
【0072】
また、上記各実施形態では、シールド層18は、例えば、長手方向と交差する方向においてボディ層16と接続されるようにしてもよい。また、シールド層18は、ゲート層15と別電位に維持されるのであれば、ボディ層16と接続されていなくてもよい。