【実施例1】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、本明細書においては、前後左右、上下の方向は図中に示す方向であるとして説明する。
【0012】
図1は本発明の実施例に係るディスクグラインダ1の全体構成を示す断面図(一部側面図)である。ディスクグラインダ1は、円筒形のモータハウジング100の内部に駆動源たるモータ3が収容され、モータ3によって駆動される作業機器(ここでは先端工具として砥石28を用いるグラインダ)を含む本体部(電動工具本体)2と、本体部2の後方側に設けられ作業者が把持するためのハンドル部60を有して構成される。ディスクグラインダ1は、本体部2とハンドル部60が、モータ3の回転軸線A1を中心に所定角度だけ回動可能(摺動可能)なように構成される。ハンドル部60は回転軸線A1回りに
図1の状態から一方側に90度、他方側に90度回転させることができ、その回転させた状態でハンドル部60をモータハウジング100に対して固定できる。この回転軸線A1まわりの回動を実現するために回動機構を介して本体部2とハンドル部60が接続される。回動機構はハンドル部60側に保持される中間部材55と、中間部材55を回転軸線A1まわりに回動可能なように軸支する支持部材50を含んで構成される。
【0013】
本体部2は、円筒形のモータハウジング100に収容される部分と、その前方側に接続された動力伝達機構により構成される。モータハウジング100の内部には、ブラシレス方式のモータ3が収容される。モータ3は、永久磁石を有するロータ4が内周側に配置され、外周側にコイルを有するステータ5を有し、モータハウジング100の前方側開口から内部に収容される。モータ3の回転軸8は、モータハウジング100の中央部付近に設けられる軸受10bと、モータハウジング100の前方側開口を覆うギヤケース20によって保持される前方側の軸受10aにより回動可能に保持される。動力伝達機構は、ギヤケース20に軸受22によって軸支されるスピンドル21に取付けられたディスク状の砥石28と、ホイルガード27を備える。ギヤケース20内には、一対の傘歯車23、24が配置され、モータ3の回転軸8の回転力を方向変換してスピンドル21に伝達する。スピンドル21の下端には、受け金具25を介して押さえ金具26によって砥石28が固定される。ギヤケース20の上部にはサイドハンドル取付孔20aが設けられ、ギヤケース20右側面及び左側面にも同様のサイドハンドル取付孔(図示せず)が設けられる。
【0014】
モータハウジング100の後端側開口からインバータ回路部30が挿入され、その後に開口部分は支持部材50と中間部材55によって覆われる。支持部材50は複数に分割された部材を接合して、その外周部を第1の弾性体たるゴムダンパー58にて固定する。この支持部材50の左右の分割片の接合の際に、中間部材55の揺動支持部55aを支持部材50の中心付近に挟み込む。インバータ回路部30の回路基板41はモータ3の外形よりもわずかに大きい径の略円環形の多層基板であり、その面が回転軸線A1と直交するように配置される。このように回路基板41を回転軸線A1と直交するように配置したので、電動工具の全長(前後方向の寸法)を短縮できる。回路基板41上には6つの絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等のスイッチング素子(後述)が搭載される。スイッチング素子を搭載した回路基板41は、容器状の円筒ケース31の内部に収容された状態でモータハウジング100内に配置される。インバータ回路部30を収容する部分のモータハウジング100の内径は、モータ3を収容する部分に比べてやや太くなるように形成される。回転軸線A1方向にみて軸受10bとステータ5の間には、円環状の小さなセンサ基板11が搭載される。センサ基板11は円環状の基板部分を有し、ステータ5と面する側に、ホールIC17a〜17c(後述)が60度間隔にて3つ搭載される。ホールIC17a〜17c(後述)は、ロータ4により発生する磁界を直接検出することによりロータ4の位置を検出する。センサ基板11はモータ3側ではなく、モータハウジング100側の取り付け部(
図5、
図6で後述)が設けられ、取り付け部に設けられた凹部に嵌合させて保持される。
【0015】
モータハウジング100の内側面には、径方向内方に向かって延出する底部129が設けられる。底部129は、後述する軸受ホルダ130、リブ131、風窓132を有する。モータ3の前方側であって軸受10aとの間には冷却ファン142が設けられる。冷却ファン142は遠心ファンであってモータ3側の空気を吸引して径方向外側に排出する。冷却ファン142によって起こされる空気流によって、モータハウジングの後方側から前方側への空気流を生成する。最初に、ハンドル部60側に形成されるスリット状の空気取入孔63から外気が取り込まれ、中間部材55と支持部材50に形成される貫通孔や風窓(
図1では図示されない)を流れてモータハウジング100の後方側開口からモータハウジング100の内部空間に流入する。流入した空気流は、最初にインバータ回路部30に搭載された電子部品を冷却し、インバータ回路部30の側方の切り込み部を通過し、インバータ回路部30の円筒ケース31の外周側であって、モータハウジング100との間の隙間を通って軸受ホルダ130付近に到達する。軸受ホルダ130の外周側には風窓132が複数形成されるので、その風窓132を通過して空気流はモータ3側に到達する。
【0016】
モータ3側に到達した空気流は、ロータ4とステータ5の間、及び、ステータ5とモータハウジング100の内壁部分との間を通過するように流れ、冷却ファン142の軸心付近から吸引されて冷却ファン142の径方向外側に流れ、軸受ホルダ130の外周側に形成された空気孔を通過する。軸受ホルダ130から排出される冷却風の一部は、ギヤケース20に形成された排気口(図示せず)を介して矢印29aのように外部に排出され、残りは軸受ホルダ130の下側付近の排気口(図示せず)を介して矢印29bのように外部に排出される。以上のように、冷却ファン142を用いてハンドル部60から外気を吸引して、モータハウジング100の後方側から前方側に空気を流す。この際、一番発熱の多いインバータ回路部30をモータ3(軸受10b)よりも風上側として一番冷えやすい位置に配置したので、インバータ回路部30に搭載される電子素子、特に半導体スイッチング素子を効率良く冷却できる。また、モータハウジング100を筒型の一体構成とすることで、軸線を含む断面にて分割可能としたモータハウジングで支持するよりも、モータ3を強固に軸支可能であり、十分な剛性を確保できる。
【0017】
ハンドル部60は、作業時に作業者が把持する部分となるもので、その筐体はプラスチックの成型によって左右二分割式にて構成されたハンドルハウジング61からなり、4本の図示しないネジによって固定される。ハンドル部60は回転軸線A1回りに
図1の状態から一方側に90度、他方側に90度回転させることができ、その回転させた状態でハンドル部60をモータハウジング100に対して固定できる。この回転軸線A1まわりの回転を実現するために回動機構は、中間部材55の後方側外周縁に形成されたリブ状に形成された回転レール56と、ハンドルハウジング61に形成された回動溝部62が嵌め合わされることにより実現される。
【0018】
中間部材55の前方側に中空状でコーン状(釣り鐘状)の揺動支持部55aが形成され、その釣り鐘状の外周面(曲面部分)が支持部材50にて保持される。支持部材50と中間部材55はハンドル部60の制振機構を実現するために配置され、中間部材55が支持部材50に対してわずかに揺動可能し、その揺動範囲内に後述する弾性体が配置される。ハンドルハウジング61の前方下側端部には、ハンドルハウジング61の回転軸線A1回りの回転を阻止するためのストッパ機構57が設けられる。ストッパ機構57は、回転軸線A1と平行方向(前後方向)に移動可能とされ、軸方向後方に延びるストッパ片が中間部材55に形成された窪み部(図示せず)のいずれかに係合することによりハンドル部60の回動方向の位置を固定する。
【0019】
中間部材55の後方には、制御回路部72が収容される。制御回路部72は、回転軸A1と直交する方向に延びるようにハンドルハウジング61により挟持される。制御回路部72は、浅い容器状のケースの内部に第2の回路基板たる制御回路基板(図示せず)を収容し、モータ3の制御回路(後述)が搭載される。このようにインバータ用と制御用の回路を別基板(回路基板41と制御回路部72内の図示しない回路基板)に分けることで、単一基板に全回路を集中させたときの回路基板の大型化を抑制でき、工具の小型化を達成できる。
【0020】
ハンドル部60の後端側には商用交流電源供給用の電源コード29が接続され、引き込まれた電源コード29に近い位置には、雑防用の電気部品を搭載するフィルタ回路部75が設けられる。フィルタ回路部75の構成は、制御回路部72の構成と同様に実現され、直方体で一面に開口部を有する図示しない収容ケース内に、チョークコイル、放電抵抗、コンデンサ、バリスタ、パターンヒューズ等のフィルタ回路を搭載した第三回路基板を収容した。ハンドルハウジング61の中央部分には、モータ3のオン・オフを制御するためのトリガスイッチ70が配置される。トリガスイッチ70は、トリガレバー71を操作させることでオン又はオフに切り換える。
【0021】
図2は、
図1のセンサ基板11付近の部分拡大断面図である。センサ基板11は中央に貫通穴が形成された円盤状のプリント基板であって、その中央にモータ3の回転軸8が貫通する。回転軸8の後端部分は径が細く形成され、その細径部が軸受10bによって軸支される。軸受10bはボールベアリングであり、その外輪側が軸受ホルダ130によって保持される。軸受ホルダ130はモータハウジング100と一体成形にて製造される部分である。センサ基板11の前方側には3つの後述するホールIC17(
図2では見えない)が搭載され、ホールICはロータ4のコアの内部に配置された永久磁石9により発生する磁界の変化を直接検出することにより、ロータ4の回転位置を検出する。すなわち、センサ基板11は、モータ3の駆動用に使用する永久磁石9の位置を直接検出することでロータ4の回転位置を検出するようにしたので、本実施例においてはロータ4の回転位置を検出するためのセンサマグネットを別途用意する必要がなく、コスト低減と小型化を図ることができる。センサ基板11の後側には合成樹脂製の円盤状のインシュレータ18が介在される。インシュレータ18と軸受10bの間には、ラビリンス機構を実現するための合成樹脂製のキャップ部材19が設けられる。センサ基板11の前側であってロータ4、ステータ5と面する部分には、合成樹脂製のカバー部材14が被される。カバー部材14の形状については
図5、
図6にて後述する。
【0022】
次に
図3を用いてモータ3の駆動制御系の主な回路構成を説明する。整流回路82にはブリッジダイオード83等によって構成される整流回路が含まれる。商用交流電源99からブリッジダイオード83に至る回路中には、トリガスイッチ70(
図1参照)と、フィルタ回路部75に搭載されるが、ここではそれらの図示を省略している。整流回路82の出力側であって、ブリッジダイオード83とインバータ回路88との間には平滑回路84が接続される。インバータ回路88は6つのスイッチング素子Q1〜Q6を含んで構成され、演算部90から供給されるゲート信号H1〜H6によってスイッチング動作が制御される。インバータ回路88の出力は、モータ3のコイルのU相、V相、W相に接続される。ブリッジダイオード83の出力側には低電圧電源回路89が接続される。低電圧電源回路89は演算部90が稼働するための安定した基準電圧(低電圧)の直流を供給する公知の電源回路である。
【0023】
ブリッジダイオード83は商用交流電源99から入力される交流を全波整流し、平滑回路84へ出力する。平滑回路84は、ブリッジダイオード83によって整流された電流の中に含まれている脈流を、直流に近い状態に平滑化してインバータ回路88へ出力する。平滑回路84は、電解コンデンサ85aとコンデンサ85bと放電用の抵抗86を含んで構成される。インバータ回路88は、3相ブリッジ形式に接続された6個のスイッチング素子Q1〜Q6を含んで構成される。ここで、スイッチング素子Q1〜Q6は、IGBTを用いているが、FETを用いるようにしても良い。
【0024】
モータ3のステータ5の内側では、永久磁石を有するロータ4が回転する。ロータ4の近傍には3つのホールIC17(17a〜17c)による回転位置検出素子が設けられ、演算部90はロータ4の出力を監視することによりロータ4の回転位置を検出する。ホールIC17を搭載するセンサ基板11(
図2参照)は、ロータ4の片側端面に対面する位置に配置される。
【0025】
演算部90は、モータのオン・オフ及び回転制御を行うための制御部であって、図示しないマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と称する)を用いて主に構成される。演算部90は制御回路部72の回路基板(図示せず)に搭載され、トリガスイッチ70の操作に伴い入力される起動信号に基づき、モータ3を回転させるためにコイルU、V、Wへの通電時間と駆動電圧を制御する。尚、ここでは図示していないが、モータ3の回転速度を設定する変速ダイヤルを設けて、変速ダイヤルによって設定された速度に合わせるように演算部90がモータ5の速度調整をしても良い。演算部90の出力は、インバータ回路88の6個のスイッチング素子Q1〜Q6の各ゲートに接続される。
【0026】
インバータ回路88の6個のスイッチング素子Q1〜Q6の各エミッタ又は各コレクタは、スター接続されたコイルのU相、V相、W相に接続される。スイッチング素子Q1〜Q6は、演算部90から入力されるゲート信号H1〜H6に基づきスイッチング動作を行い、商用交流電源99から整流回路82を介して供給された直流電圧を、3相(U相、V相、W相)電圧Vu、Vv、Vwとして、モータ3に供給する。モータ3に供給される電流の大きさは、平滑回路84とインバータ回路88との間に接続されたシャント抵抗87の両端の電圧値を検出することにより演算部90によって検出される。
【0027】
次に
図4の展開図を用いてモータハウジング100とその後方側に収容されるインバータ回路部30の内部構造を説明する。モータハウジング100は、合成樹脂の一体成形によって製造されるもので、モータ3を収容するモータ収容部102の前方側に外径が大きく形成されたファン収容部101が形成される。ファン収容部101の内部には冷却ファン142(
図1参照)を収容するために外径が大きく形成されるとともに、外周の4箇所には、ギヤケース20(
図1参照)をネジで固定するためのネジボス部105a〜105d(但し、図では105bは見えない)が形成される。モータハウジング100の後方開口部付近には、インバータ回路部30を収容するための大径の回路基板収容部104が形成される。ここでは、モータ収容部102の直径に対して回路基板収容部104の直径が大きいように形成される。そのため、モータ収容部102から回路基板収容部104に至る接続部分は、テーパー状に広がるテーパー部103となっている。テーパー部103の内側部分には、軸受10bを保持する部分となる軸受ホルダ130と風窓132(ともに
図1参照)が形成される。
【0028】
インバータ回路部30は、回路基板41に電子部品が搭載されたIGBT回路素子群40と、それらを収容するための容器状の円筒ケース31によって形成される。円筒ケース31は略円筒状の外周面33の一方側(前方側)を底面32にて塞いだもので、その内部空間にIGBT回路素子群40が収容される。このように円筒ケース31内にモータ駆動用のスイッチング素子群を配置することにより、モータ3に近い部分にスイッチング素子を搭載して回路基板41からモータ3への配線を短くすることができる。また、インバータ回路部30の製造とモータハウジング100への組立ては、モータ3のモータハウジング100への組み込みとは独立して行うことができるので効率の良い組立てが可能となるととともに、無駄な配線を巡らせる分の空間を省略することで電動工具の大型化を抑制できる。円筒ケース31は、開口側がハンドル部60側(後向き)、即ち空気の吸気側になるように配置され、閉鎖面である底面32がモータ3側(前向き)になるように配置される。
【0029】
インバータ回路部30がモータハウジング100の後方側の回路基板収容部104の内部に収容されると、その後方側から支持部材50が装着される。支持部材50は、中間部材55(
図1参照)を支持部材50に対してわずかに摺動できるような状態にて支持するものである。支持部材50の中心軸付近には貫通孔51a、51bが形成され、中間部材55(
図1参照)に形成されるコーン状に拡径する揺動支持部55a(
図1参照)を挟み込む。支持部材50は右側部50aと左側部50bが接合された状態で4つのネジ穴54a〜54d(
図4ではネジ穴54aと54cは見えない)を用いて図示しないネジによりモータハウジング100の後方側開口部分に固定される。
【0030】
モータハウジング100の後方側開口部分にはネジを貫通させるに穴の形成されたネジボス106a〜106dが形成される。またネジボス106a〜106dの近傍には円筒ケース31の外周面を保持するための軸方向に延びるレール部108a、108b(図では108bは見えない)が形成される。支持部材50の外周部であってネジが貫通する部分には、前方側に延在する半円筒状の押さえ部材53a〜53dが形成される。押さえ部材53a〜53dはモータハウジング100側のネジボス106a〜106dの円筒状の外周面と当接すると共に、円筒ケース31の後方側開口縁の一部を保持する。貫通孔51a、51bよりも径方向外側には網状構成により、軸方向に風を流すための複数の風窓52が形成される。
【0031】
円筒ケース31の外周形状は、モータハウジング100の回路基板収容部104の内側形状に沿った形で軸方向に連続する窪みが形成される。回り止め保持部34a〜34dは、モータハウジング100の円筒状のネジボス106a〜106dを避けるために窪ませた部分である。円筒ケース31の左右両側部分は、支持部材50の軸方向後方側から流れてIGBT付近に当たった冷却風をモータ3側へ流す風路として作用する。
【0032】
回路基板41に搭載される主要な電子部品は、6つの半導体スイッチング素子Q1〜Q6(図ではQ4、Q5は見えない)である。スイッチング素子Q1〜Q3には、独立した金属製の放熱板が取り付けられ、その面方向が左右及び前後方向に延びるように、即ち冷却風の流入方向に対して平行になるように配置される。スイッチング素子Q1〜Q3の上方側には3つのスイッチング素子Q4〜Q6(図ではQ4、Q5は見えない)がその面方向が左右及び前後方向に延びるように配置される。これらのスイッチング素子Q4〜Q6のエミッタ端子は共通に接地されるため共通の左右方向に長い金属の放熱板が設けられる。スイッチング素子Q1とQ2とQ3とQ4〜Q6は、非導電部材からなる仕切り板42によって遮蔽される。回路基板41の上部にはブリッジダイオード83が設けられる。ブリッジダイオード83の下側部分には、2つのコンデンサ85a、85bが搭載される。回路基板41には、トリガスイッチ70から接続される電力線を半田付けするための端子と、モータ3へU相、V相、W相の駆動電力を伝達する電力線を半田付けするための端子(図示せず)と、制御回路部72との接続用ワイヤハーネスのコネクタ端子(図示せず)が設けられる。モータ3に接続される電力線は、円筒ケース31の外周部の窪み部とモータハウジング100の内壁面との間にできる空間を介してステータ5(
図1参照)のコイルに配線される。
【0033】
図5はモータハウジング100に前方側から装着されるセンサ基板11とカバー部材14の形状を示す斜視図である(後側から見た図)。
図4にて示したようにモータハウジング100の後方側にはインバータ回路部30が収容され、支持部材50にて固定される。これらインバータ回路部30と支持部材50は、モータハウジング100の後方側から回転軸線A1方向前方に向けて挿入されるものである。一方、モータハウジング100の前方側からはモータ3が、回転軸線A1方向後方に向けて挿入される。このモータ3を挿入する前に、モータハウジング100には3つのホールIC17(図示せず)を搭載したセンサ基板11が取り付けられる。センサ基板11の前方側には、センサ基板11の略半分以上の面を覆うためのカバー部材14が装着される。
図5にて図示しているインシュレータ6は、モータ3のステータ5の端部に設けられる部品を図示したものである。モータ3をモータハウジング100に突き当たる所定位置まで挿入させると、ステータ5の後端部に位置する合成樹脂製のインシュレータ6がセンサ基板11を後方に押すことによって、センサ基板11がモータハウジング100とモータ3によって挟まれた挟持状態となり、センサ基板11がモータハウジング100に安定して保持される。すなわち、モータ3の回転軸方向におけるセンサ基板11の一方側の面(前面)と他方側の面(後面)のうち、モータ3に面する一方側の面がステータ5に設けられるインシュレータ6の一部に当接し、ハンドルハウジング61に面する他方側の面がモータハウジング100の一部である底部129に当接することで、前後方向の位置が固定されるようにしてセンサ基板11が保持される。このように本願発明では、センサ基板11を固定するために特殊な固定具やネジボス等を必要としないので、センサ基板11やモータハウジング100を小さくすることができる。センサ基板11から延びる図示しないリード線は、モータハウジング100の風窓132を通して後方側に配線され、制御回路部72に接続される。
【0034】
センサ基板11は、回路パターンが印刷されたプリント基板であって、円環状に形成された環状部12を有し、環状部12の外側に延在部13が形成されたものである。センサ基板11には回転軸線A1を中心に60度の間隔で3つのホールIC17を搭載することが目的であり、環状部12は半周程度以上の長さを有すれば十分である。しかしながら、本実施例ではモータハウジング100とモータ3の挟持状態によりセンサ基板11を安定的に保持させる関係から、センサ基板11を円環状に形成した。また、延在部13は環状部12の外周部において、ロータ4の回転方向で、角度にして180度離間した2箇所から径方向外側に延出させるようにして回転対称となるような形状としたため、延在部13をモータハウジング100に形成された取付基台部たる凹部133、134(
図6、
図7にて後述)に嵌合させることで、ロータ4の軸を中心として回転しないように保持することができる。センサ基板11には2つの位置決め用の貫通穴12b、13aが形成される。ここでは2つの貫通穴12b、13aを、モータハウジング100の底部129に形成された位置決め用の突起121a、121b(
図7にて後述)に貫通させることによりセンサ基板11の精度の良い取付けが可能となる。
【0035】
カバー部材14は、合成樹脂製の覆い部材であってセンサ基板11の印刷回路パターンと、そこに搭載されている電子素子(ここではホールIC17等)を保護するものである。従って、カバー部材14は保護対象の部分を覆うのに十分な大きさであれば良く、ここでは周方向の半周分よりも大きい程度の半円環状に形成される。センサ基板11に対するカバー部材14の固定方法は任意であるが、ここではカバー部材14の外縁付近に4箇所の爪部15a〜15dを形成し、爪部15a〜15dによってセンサ基板11に掛止されるようにすることで、ネジ等の固定部材を必要とせずにカバー部材14を取り付け可能とした。カバー部材14は、冷却風とともに流入する塵埃がセンサ基板11に搭載されたホールICにあたらないようにするプロテクタである。そのため非導電体の材料で製造すると好ましく、ここでは合成樹脂製の成形品として平板状に形成する。また、センサ基板11側と良好に当接するように、カバー部材14のセンサ基板11側に複数の径方向に延びるリブ16が形成される。リブ16はホールIC17の搭載位置と干渉しない位置に配置され、カバー部材14とセンサ基板11間の密閉性を確保するとともに、ホールIC17とカバー部材14が接触しないようにし、さらにはカバー部材14の剛性を高めている。
【0036】
インシュレータ6は、積層鉄心によって形成されるステータ5のコアの後端側に設けられるもので、コイルを巻くためのボビンの巻き取り部の一部となる。回転軸A1の軸方向から見たインシュレータ6の投影形状は、ステータ5の投影形状と同じとする。従って、インシュレータ6は円環部6aから内周側に伸びる複数本の巻付部6bが形成され、巻付部6bの最内周側は周方向に延在するティース部6cが形成される。円環部6aには、軸方向に突出する複数の突出部6d、6fが形成される。突出部6fはセンサ基板11の延在部13に当接する部分である。突出部6dは、モータ3の軸方向の位置決めを行う突き当て部となるもので、突出部6dがモータハウジング100の軸受ホルダ130よりも外周側のリブ131と外周壁との連結部分に当接することによりモータ3の軸方向後方位置を決定する。インシュレータ6にはさらにステータ5に巻かれるコイルの端部に半田付けされた電極を保持する3つの端子保持部6eが形成される。
【0037】
図6はモータハウジング100に前方側から装着されるセンサ基板11とカバー部材14を見た斜視図である。モータハウジング100の回転軸線A1に近い部分には軸受10bを保持するための軸受ホルダ130が形成される。モータハウジング100の内側には、モータ3の外周面を保持するために軸方向に延びる複数のリブが形成される(詳細は
図7にて後述)。また、モータハウジング100の内側には、ステータ5の回転軸A1方向回りの回転を防ぐための凹部を形成するリブ111、112が形成される。さらに、モータハウジング100の内周面には、ステータ5の外周面と当接することによりモータ3を保持するための、軸方向に連続する複数のリブ117〜120が形成される。リブ118の後方側付近のリブ131との連結部付近には、センサ基板11の位置決めをするための凹部134が形成される。凹部134と回転対称の位置には更に凹部133(
図6では見えない)が設けられる。ここでは凹部133、134の窪み部分には軸方向に窪むような段差が形成されたものであり、モータハウジング100の製造時に成形によって一体に形成される。このように、一体の筒型として成形したモータハウジング100で支持することで、分割式のモータハウジングの場合と比較してステータ5(モータ3)を強固に保持することができ、モータ3の高出力化に対応できる。特に、ステータ5は積層鉄心で形成されて比重が大きく総重量が重いので、モータハウジング100を一体成型で形成するのは強度的に好適である。
【0038】
図7はモータハウジング100の正面図であり、(1)はインシュレータ6、カバー部材14、センサ基板11を装着している状態で、(2)は(1)からインシュレータ6を取り外した状態であり、(3)は(2)からカバー部材14、センサ基板11を取り外した状態である。尚、
図7(1)〜(3)は各部位の範囲を明確にするために、部分的に網掛け線を引いているが、これらは断面を示すものではなく、外部から(軸方向前方側から)視認できる部位を色分けしたものである。
【0039】
図7(1)の状態は
図5、6で示した3つの部品、即ちインシュレータ6、カバー部材14、センサ基板11を取り付けた状態で、軸方向前方から見た図である。尚、実際のモータ5ではコイルが巻かれた状態ではインシュレータ6はステータ5と分離できずに、インシュレータ6の取り付けはモータ3全体のモータハウジング100内への装着を意味する。ここではさらにコイル部分の図示は省略している。インシュレータ6は合成樹脂等の非導電体の部材により構成され、外周側に円筒部分が形成され、その内側に向けて6本の巻付部6bが突出する。巻付部6bの先端側には周方向に延在させたティース部6cとなっている。巻付部6bとティース部6cの軸方向から見た形状は、積層鉄心からなるステータ5の断面形状と同じ形状とされ、その外径もステータ5と同じ径にされる。モータ3のステータ5には、軸方向の前側と後方側に2つのインシュレータ7が設けられ、これらのインシュレータ6,7間において、ステータコアの磁極を囲むようにして6つのコイルが巻かれる。モータ3の外周面は、モータハウジング100の内周側に形成された軸方向に連続する複数の保持用のリブ113〜120(113〜115は(3)参照)に密着することにより、がたつくことなくモータ3が安定してモータハウジング100内に保持される。リブ113〜120はそれぞれ2本ずつの突起を有する。また、モータハウジング100の上下部分には、ステータ5の上方側と下方側に突出する2本のキー5a、5b(
図9にて後述)を収容する大きめのリブ111、112が形成される。尚、キー5a、5bが位置するリブ111と112の間の部分には、さらに、キー5a、5bの外周面を保持する小さめのリブ111a、112a((3)参照)がさらに形成される。
【0040】
図7(2)は、(1)の状態からインシュレータ6を取り外した状態、即ちモータ3を取り外した状態を示す図である。この図から理解できるように、環状部12と延在部13からなるセンサ基板11と、そのカバー部材14はモータ3側でなくてモータハウジング100側に保持される。モータハウジング100の内周側の2箇所には、センサ基板11を保持するための凹部133、134が形成され、凹部133、134にセンサ基板11の延在部13が嵌合する。この状態だけでセンサ基板11を保持することも可能であるが、センサ基板11には貫通穴12a、12bが形成され、それぞれに突起121a、121bを貫通させることで、センサ基板11をモータハウジング100側により強固に保持させる。センサ基板11の固定部材となる突起121a(121b)及び貫通穴12a(12b)は、径方向において、それぞれ軸受10bよりも外方に位置し、且つインシュレータ6の外周よりも内方に位置するように構成される。この位置関係によって、インシュレータ6の外周よりも小さいセンサ基板11をモータハウジング100に固定することが可能となる。尚、貫通穴12bの径は突起121bの外径と略同一とさせているが、貫通穴12bの径を突起121bの外径より小さく形成することで、突起121bを貫通穴12bに圧入するようにしてもよい。これによって、センサ基板11に対する軸方向の固定力を増幅できる。また、貫通穴12bに突起121bを貫通させることにより保持するのでは無く、貫通穴12bにネジを通してネジ止めするようにしても良い。ネジ止めすることでも同様に、センサ基板11に対する周方向及び軸方向の固定力を得ることができる。このように、本願発明では、特にインシュレータ6(円環部6a)の外径よりも小さいセンサ基板11であっても安定してモータハウジング100に固定することができるので、センサ基板11を十分モータ5に近接させることができ、ロータ4の回転位置検出の精度を向上させることができる。
【0041】
カバー部材14は、センサ基板11の延在部13の周方向両側に係止するための爪部15a〜15dが延在部13に掛止されることにより固定される。カバー部材14の主目的は、センサ基板11に取り付けられる3つのホールIC17(図示せず)やその周囲の回路パターンにゴミや粉塵等があたって損傷を与えることを防止するものである。特に、本実施例のセンサ基板11はインシュレータ6に接触しているのでセンサ基板11とモータ3の距離が近くなるところ、ロータ4の回転で跳ね返った粉塵等がセンサ基板11(ホールIC17等)に接触することを抑制するため、カバー部材14はモータ3に面する側に配置される。カバー部材14の大きさは、3つのホールIC17(図示せず)とその周囲の回路パターンを覆うことができれば良いので、センサ基板11の全周にわたって覆う必要は必ずしも無い。尚、センサ基板11とカバー部材14を装着した状態でも、格子状のリブ131の間の風窓132が十分露出するので、冷却風が後方側から前方側に流れることが理解できよう。
【0042】
図7(3)は、(2)の状態からカバー部材14とセンサ基板11を取り外した状態を示す図である。軸線を通る断面にて分割されない一体型のモータハウジング100には、その内周面から内方に向かって延出する底部129が形成されており、底部129の中央部分には軸受10bを保持するための円筒状の軸受ホルダ130が形成される。軸受ホルダ130を支えるためにモータハウジング100の内壁との間には複数のリブ131が格子状に形成される。リブ131は回転軸A1に対して平行に配置された支持壁であって、それらの間は風窓132となっている。すなわち底部129は、軸受ホルダ130と複数のリブ131と風窓132を有する。リブ131が、上下及び左右方向に延在する板状の部位によって格子状に形成されることで、筒型一体のモータハウジング100の強度を大幅に向上できる。凹部133の近傍に位置するリブ131には、センサ基板11の貫通穴12aに貫通させるための突起121aが形成されている。また、軸受ホルダ130の外周部分の1箇所には、センサ基板11の貫通穴12bに貫通させるための突起121bが形成される。
【0043】
図8は
図7(1)のA−A部の断面図である。ここでは
図7(1)に示す状態、即ち、モータハウジング100にセンサ基板11、カバー部材14、モータ3と取り付けた状態を示している。但し、モータ3はインシュレータ6の部分だけを図示している。この状態ではインシュレータ6の2つの突出部6fがセンサ基板11の延在部13(
図7参照)の前側に当接する。この結果、センサ基板の延在部13は、突出部6fとモータハウジング100にて挟持されることになる。尚、延在部13(
図7参照)がモータハウジング100に当接する領域、即ち凹部134(
図7(3)参照)には位置合わせ用の突起121bが形成されるので、そこにもセンサ基板11の貫通穴13aを位置づけることによりセンサ基板11の位置決めをさらに精度良く行うことができ、モータ3の組み付け後であって電動工具の使用時に、振動や衝撃等によってセンサ基板11が回転方向に移動しないように保持することができる。軸受ホルダ130の後方側はインバータ回路部30を収容するための空間となっており、内周面には溝部107aやネジボス106a、106d等が形成される。
【0044】
図9はステータ5の形状を示す外観斜視図であり、(1)は斜め前方から見た図であり、(2)は斜め後方から見た図である。ステータ5は積層鉄心によって形成される磁路部分の軸方向両端に非磁性体のインシュレータ6、7が装着されることにより構成される。ステータ5の外周面には、径方向外側に突出するものであって軸方向に連続した凸部たるキー5a、5bが形成される。インシュレータ6、7には外周側の円環部6a、7aから径方向内側に延びるように突出する巻付部6b、7bが形成され、巻付部6b、7bの最内周側にはティース部6c、7cが形成される。モータ5のコイル(図示せず)は、前方の巻付部7bから、後方の巻付部6bにわたるようにして銅線を複数回巻き付ける。巻き付けて形成された6組のコイルは、スター結線又はデルタ結線にて相互に接続される。インシュレータ7の円環部7aには、軸方向前方側に延びる複数の突出部7d〜7jが形成される。突出部7d〜7jはコイルを巻回する際のガイドとして働く。
【0045】
図9(2)は斜め後方から見た図である。インシュレータ6の円環部6aの後面には、軸方向後方側に突出する複数の突出部が形成される。3つの端子保持部6eには図示しない平板状の金属端子が軸方向に挿入される。2箇所の突出部6dはモータ5をモータハウジング100の外周側の連結部(ここでは
図7(3)で示すリブ131の一部)に突き当てる部分である。また、周方向に角度にして180度離れた位置に配置される2つの突出部6fは、センサ基板11を挟持するための部分であって、その軸方向(前後方向)の長さは、突出部6dの軸方向長さよりもわずかに短い。このようにインシュレータ6に設けられた4つの軸方向に凸状に形成された部分、突出部6d、6fによってモータ3の軸方向後端側がモータハウジング100に直接又はセンサ基板11を介して間接的に当接する。このインシュレータ6のモータハウジング100への当接は、円環部6aの面で行われるのでは無く、4つの突出部6d、6fにて行われるので、周方向における4つの突出部6d、6fの間に空気が通る隙間を設けることができる。これによって後方側から風窓132(
図7参照)を介して流入する冷却風を、ステータ5のコアの内側と外側の双方に効率良く流すことが可能となる。
【0046】
図10はモータハウジング100にステータ5を装着した状態の縦断面図である。
図10は
図7と比べて断面位置が異なり鉛直面の断面である。また、
図10はインシュレータ6だけでなくステータ5のコア部、インシュレータ7が装着され、ファンガイド140にて塞がれた状態を示している。ファンガイド140の前方側は、モータハウジング100開口保持部材となるギヤケース20(
図1参照)によって塞がれる。ファンガイド140には外
周側の外筒部140aと、内筒部140bと、内筒部140bの前方側開口を内側に向けて斜めに絞り込む絞り部140cが形成され、内筒部140bの後端面にてステータ5のキー5a、5bを保持することによりステータ5の軸方向の動きを抑制する。センサ基板11の前方側にはカバー部材14が設けられるが、
図10ではカバー部材を透明としてホールIC17bの配置状況を示している。ホールIC17bはステータ5のコア部分に十分近づけることが可能となる。
【0047】
図11はセンサ基板11とステータ5との位置関係を説明するための図である。この図は
図10のB−B断面付近から後方側を透視した状態を図示している。なお、
図11においては、永久磁石9を透明にし、センサ基板11の内周縁を実線で表すことで位置関係を把握しやすくした。センサ基板11の大きさは、3つのホールIC17a〜17cを搭載するために十分な大きさとされる。従って、環状部12のように周方向に連続させずに、ホールIC17a〜17cを搭載するに十分な程度の大きさ、例えば半周分の環状部材としても良い。本実施例の環状部12の外縁の大きさが半径R
2であり、点線にて示す内縁の大きさが半径R
1である。これに対して、ロータ4の外周部(キー5a、5bを除く)の半径はR
4であり、R
1<R
4<R
2の関係となる。ロータ4の内側には回転軸8が貫通し、4つの板状の永久磁石9が回転軸8と平行になるように回転軸8の周囲に配置される。ここでホールIC17a〜17cの最内周位置の半径R
3は、回転するロータ4に設けられる永久磁石9の最外周位置の半径R
5とほぼ同じ位置、又はわずかにホールIC17a〜17cが外側に位置する。ホールIC17a〜17cの理想的な搭載位置は、永久磁石9の最外周位置の半径R
5より内側に配置させて、永久磁石9の回転領域の軸方向投影範囲内である。しかしながら、センサ基板11の理想的な位置にホールIC17a〜17cを搭載することが難しい。これは、モータ3をモータハウジング100に挿入して組み立てる際に、
図7(2)の状態において、軸受10bを取り付けた状態のままの回転軸8をセンサ基板11の貫通穴12aに通す必要があるからである。よって、貫通穴12aの半径R
1を軸受10b(
図2参照)の半径よりも大きくすることが必須となる。一方、センサ基板11の外周側の大きさ(半径R
2)はインシュレータ6の円環部6aよりも小さくして、風窓132(
図7参照)をなるべく塞がないようにすることが重要である。このように本実施例では環状部12の内側にセンサ基板11を配置するので、インシュレータ6の形状を設定するにあたりセンサ基板11の固定のための形状的な制約を受けることが無い。
【0048】
以上、本実施例によればモータ3はモータハウジング100に対して軸方向に装着されるものであって、センサ基板11は、モータ3の回転軸方向における一方側の面がステータ5の一部(インシュレータ6)に、他方側の面がモータハウジング100の一部に当接して位置決めされている。すなわち、ステータ5の一部とモータハウジング100の一部とでセンサ基板11が挟持されるようにしたので、センサ基板11をロータ4に十分近づけて配置でき、永久磁石9の磁界を直接検出することができるようになった。この結果、センサ用の専用のマグネットを回転軸8の後端付近に設ける必要が無くなり、電動工具1の全長の短縮化を図ることができ、同時に低コスト化を図ることができた。同時に、センサ基板11をインシュレータ6の内側部分に配置できるようになったので、さらに高精度な回転位置の検出が可能となった。更に、モータ5にセンサ基板11を固定せず、かつ筒型一体のモータハウジング100を使用した場合であっても、容易にセンサ基板11を保持することが可能となった。また、モータハウジング100の内周面から径方向内方に延びる壁部分の底部129にセンサ基板11を固定することで、モータハウジング100の内周面より外径の小さいセンサ基板11、特にインシュレータ6(円環部6a)の外径よりも小さく、インシュレータ6の内部に入り込むことができる程度に小さなセンサ基板11であってもモータハウジング100に固定することができるので、その設計の自由度が高くなった。特に、センサ基板11の固定箇所を、軸受10bよりも外方、且つインシュレータ6の円環部6の内径よりも内方の位置にすることで、固定のためにモータハウジング100の内周面までセンサ基板11を延ばす必要がなく、センサ基板11を小型にすることができる。また、センサ基板11とモータ3との間の空間を小さくできるので、前後方向(モータ3の回転軸の延在方向)の全長を小型化できる。さらに、センサ基板11をインシュレータ7に固定しないようにしたので、インシュレータ7及びセンサ基板11に、センサ基板11を固定するためのネジ及びネジボス等を設ける必要がなくなり、インシュレータ7及びセンサ基板11を小型にできるので、インシュレータ7を含めたモータ3を支持するモータハウジング100を小型にでき、ひいてはディスクグラインダ1を細く小型にすることができる。