(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
対応する第1のカルテット中心点および対応する第2のカルテット中心点が横軸上にある、デバイス平面内の第1のプルーフマスカルテットおよび第2のプルーフマスカルテットを備えることを特徴とする微小電気機械ジャイロスコープであって、
前記第1のプルーフマスカルテットを形成する4つのプルーフマスは、静止位置において、前記第1のカルテット中心点の周りに対称に配置され、
前記第1のカルテット中心点において、前記横軸が前記デバイス平面内で第1の交差軸に直交し、
前記第2のプルーフマスカルテットを形成する4つのプルーフマスは、静止位置において、前記第2のカルテット中心点の周りに対称に配置され、
前記第2のカルテット中心点において、前記横軸が前記デバイス平面内で第2の交差軸に直交し、
各プルーフマスカルテット内の第1のプルーフマスおよび第2のプルーフマスは、静止位置において前記横軸上で位置整合し、
前記第1のプルーフマスカルテット内の第3のプルーフマスおよび第4のプルーフマスは、静止位置において前記第1の交差軸上で位置整合し、
前記第2のプルーフマスカルテット内の第3のプルーフマスおよび第4のプルーフマスは、静止位置において前記第2の交差軸上で位置整合し、
対応する前記カルテット中心点に関する前記第1のプルーフマス、前記第2のプルーフマス、前記第3のプルーフマス、および前記第4のプルーフマスの相対位置は両方のカルテットにおいて同じであり、
前記第1のプルーフマスカルテット内の前記第2のプルーフマスは、前記第2のプルーフマスカルテット内の前記第1のプルーフマスに隣接し、機械的に結合されており、
前記ジャイロスコープは、前記第1のプルーフマスカルテットおよび前記第2のプルーフマスカルテットを一次振動運動に設定するための1つまたは複数の駆動トランスデューサと、前記ジャイロスコープが角回転を受ける場合に、コリオリの力によって誘導される前記第1のプルーフマスカルテットおよび前記第2のプルーフマスカルテットの二次振動運動を検出するための1つまたは複数のセンストランスデューサとをさらに備え、
前記ジャイロスコープは、前記第1のプルーフマスカルテットおよび前記第2のプルーフマスカルテットを固定支持構造から懸架するためのサスペンション構成をさらに備え、
前記構造は、前記第1のプルーフマスカルテットおよび前記第2のプルーフマスカルテットの前記一次振動運動および前記二次振動運動に対応するように構成されており、
前記駆動トランスデューサは、各プルーフマスカルテット内の4つのプルーフマスすべてを、第1の一次振動モードまたは第2の一次振動モードのいずれかにおいて、前記デバイス平面内の一次振動に設定するように構成されており、
結果、前記第1の一次振動モードにおいて、
−前記第1のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスが前記第1のカルテット中心点に向かっておよび前記第1のカルテット中心点から外方にともに半径方向に動き、前記第2のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスが前記第2のカルテット中心点に向かっておよび前記第2のカルテット中心点から外方にともに半径方向に動き、
−前記第2のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスが前記第2のプルーフマスカルテットから外方に半径方向に動くと、前記第1のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスが前記デバイス平面内で前記第1のカルテット中心点に向かって半径方向に動き、および、逆のときは逆の動きになり、
前記第2の一次振動モードにおいて、
−前記第1のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスが前記第1のカルテット中心点に対して時計回りおよび反時計回りに、前記デバイス平面内でともに接線方向に動き、前記第2のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスが前記第2のカルテット中心点に対して時計回りおよび反時計回りに、前記デバイス平面内でともに接線方向に動き、
−前記第2のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスが前記第2のカルテット中心点に対して反時計回りに、前記デバイス平面内で接線方向に動くと、前記第1のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスが前記第1のカルテット中心点に対して時計回りに、前記デバイス平面内で接線方向に動き、および、逆のときは逆の動きになり、
前記第1のプルーフマスカルテットおよび前記第2のプルーフマスカルテットの二次振動モードは、z軸二次モード、x軸二次モード、および/またはy軸二次モードを含み、結果、前記一次振動モードが前記第1の一次振動モードである場合、
−前記デバイス平面に垂直なz軸を中心とした前記ジャイロスコープの回転に応答して、前記z軸二次モードは、前記第2の一次振動モードと同じであり、
−前記横軸に平行なx軸を中心とした前記ジャイロスコープの回転に応答して、前記x軸二次モードは、各プルーフマスカルテット内の前記第3のプルーフマスおよび前記第4のプルーフマスによって形成される2つのプルーフマス対が前記デバイス平面から外方に接線方向に振動する動きを含み、
−前記第1の交差軸および前記第2の交差軸に平行なy軸を中心とした前記ジャイロスコープの回転に応答して、前記y軸二次モードは、各プルーフマスカルテット内の前記第1のプルーフマスおよび前記第2のプルーフマスによって形成される2つのプルーフマス対が前記デバイス平面から外方に接線方向に振動する動きを含み、
結果、各プルーフマスカルテットの前記一次振動モードが前記第2の一次振動モードである場合、
−前記z軸を中心とした前記ジャイロスコープの回転に応答して、前記z軸二次モードは、前記第1の一次振動モードと同じであり、
−前記x軸を中心とした前記ジャイロスコープの回転に応答して、前記x軸二次モードは、各プルーフマスカルテット内の前記第1のプルーフマスおよび前記第2のプルーフマスによって形成される前記2つのプルーフマス対が前記デバイス平面から外方に接線方向に振動する動きを含み、
−前記y軸を中心とした前記ジャイロスコープの回転に応答して、前記y軸二次モードは、各プルーフマスカルテット内の前記第3のプルーフマスおよび前記第4のプルーフマスによって形成される前記2つのプルーフマス対が前記デバイス平面から外方に接線方向に振動する動きを含む、
微小電気機械ジャイロスコープ。
前記第1のプルーフマスカルテット内の第2のプルーフマスは、前記第1のプルーフマスカルテット内の前記第2のプルーフマスおよび前記第2のプルーフマスカルテット内の前記第1のプルーフマスが、対応する交差軸を中心として反対の面外方向に同時に回転することを可能にする少なくとも1つの結合ばねによって、前記第2のプルーフマスカルテット内の前記第1のプルーフマスに機械的に結合されることを特徴とする、
請求項2に記載の微小電気機械ジャイロスコープ。
前記少なくとも1つの結合ばねは、前記第1のプルーフマスカルテット内の前記第2のプルーフマスおよび前記第2のプルーフマスカルテット内の前記第1のプルーフマスが、対応する垂直軸を中心として反対の面内方向に同時に回転することを可能にすることを特徴とする、
請求項2から3のいずれか一項に記載の微小電気機械ジャイロスコープ。
前記少なくとも1つの結合ばねは、前記第1のプルーフマスカルテット内の前記第2のプルーフマスおよび前記第2のプルーフマスカルテット内の前記第1のプルーフマスの、前記横軸に平行な、任意の交差軸に平行な、または任意の垂直軸に平行な方向における同時の同位相線形並進を可能にすることを特徴とする、
請求項2から4のいずれか一項に記載の微小電気機械ジャイロスコープ。
前記少なくとも1つの結合ばねは、前記第1のプルーフマスカルテット内の前記第2のプルーフマスおよび前記第2のプルーフマスカルテット内の前記第1のプルーフマスの、任意の交差軸または任意の垂直軸に平行な対向する方向における同時の逆位相線形並進に抵抗することを特徴とする、
請求項2から5のいずれか一項に記載の微小電気機械ジャイロスコープ。
前記少なくとも1つの結合ばねは、前記第1のプルーフマスカルテット内の前記第2のプルーフマスおよび前記第2のプルーフマスカルテット内の前記第1のプルーフマスの、前記横軸を中心とした反対方向における同時回転に抵抗することを特徴とする、
請求項2から6のいずれか一項に記載の微小電気機械ジャイロスコープ。
前記サスペンション構成は、前記第1のカルテット中心点に位置する第1の中央アンカーポイントから前記第1のプルーフマスカルテットを懸架する第1の中央サスペンション構成を備え、
前記サスペンション構成はまた、前記第2のカルテット中心点に位置する第2の中央アンカーポイントから前記第2のプルーフマスカルテットを懸架する第2の中央サスペンション構成をも備え、
前記第1の中央サスペンション構成および前記第2の中央サスペンション構成の少なくとも1つは、c1軸がc2軸と直交する、対応する前記第1の中央アンカーポイントまたは前記第2の中央アンカーポイントを中心とし、結果、前記c1軸は横方向または交差方向のいずれかであり、
前記中央サスペンション構成は、中央同期要素に囲まれた中央ジンバル要素を備え、
前記中央ジンバル要素は、対応する前記中央アンカーポイントからジンバルフレームまで延伸する内側ねじりばねと、前記ジンバルフレームから前記中央同期要素まで延伸する外側ねじりばねとを備え、
前記中央同期要素は、前記中央同期要素を囲む前記プルーフマスカルテット内の前記c1軸上に位置整合された前記2つのプルーフマスまで、前記c1軸に沿って反対方向に延伸する第1のc1トーションバーおよび第2のc1トーションバーを備え、
前記中央同期要素は、前記中央同期要素を囲む前記プルーフマスカルテット内の前記c2軸上に位置整合された前記2つのプルーフマスまで、前記c2軸に沿って反対方向に延伸する第1のc2トーションバーおよび第2のc2トーションバーを備えることを特徴とする、
請求項1から7のいずれか一項に記載の微小電気機械ジャイロスコープ。
前記中央同期要素は、前記中央ジンバル要素の対向する両側で前記c1軸上に位置整合された第1の剛体および第2の剛体を備え、結果、前記第1の剛体の第1の端部が前記第2の剛体の第1の端部に対向しており、前記第1の剛体の第2の端部が前記第2の剛体の第2の端部に対向しており、
前記中央ジンバル要素の前記外側ねじりばねは、それぞれ前記第1の剛体および前記第2の剛体まで延伸し、
前記第1のc1トーションバーおよび前記第2のc1トーションバーは、それぞれ前記第1の剛体および前記第2の剛体に取り付けられ、
前記中央同期要素はまた、前記第1の剛体の第1の端部から前記第1のc2トーションバーまで延伸する第1の屈曲部と、前記第2の剛体の第1の端部から前記第1のc2トーションまで延伸する第2の屈曲部と、前記第1の剛体の第2の端部から前記第2のc2トーションバーまで延伸する第3の屈曲部と、前記第2の剛体の第2の端部から前記第2のc2トーションバーまで延伸する第4の屈曲部とを備えることを特徴とする、
請求項8に記載の微小電気機械ジャイロスコープ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、対応する第1のカルテット中心点および対応する第2のカルテット中心点が横軸上にある、デバイス平面内の第1のプルーフマスカルテットおよび第2のプルーフマスカルテットを備える微小電気機械ジャイロスコープについて説明する。
【0016】
第1のプルーフマスカルテットを形成する4つのプルーフマスは、静止位置において、第1のカルテット中心点の周りに対称に配置され、第1のカルテット中心点において、横軸がデバイス平面内で第1の交差軸に直交する。第2のプルーフマスカルテットを形成する4つのプルーフマスは、静止位置において、第2のカルテット中心点の周りに対称に配置され、第2のカルテット中心点において、横軸がデバイス平面内で第2の交差軸に直交する。
【0017】
各プルーフマスカルテット内の第1のプルーフマスおよび第2のプルーフマスは、静止位置において横軸上で位置整合する。第1のプルーフマスカルテット内の第3のプルーフマスおよび第4のプルーフマスは、静止位置において第1の交差軸上で位置整合する。第2のプルーフマスカルテット内の第3のプルーフマスおよび第4のプルーフマスは、静止位置において第2の交差軸上で位置整合する。対応するカルテット中心点に関する第1のプルーフマス、第2のプルーフマス、第3のプルーフマス、および第4のプルーフマスの相対位置は、両方のカルテットにおいて同じである。
【0018】
第1のプルーフマスカルテット内の第2のプルーフマスは、第2のプルーフマスカルテット内の第1のプルーフマスに隣接し、機械的に結合されている。
【0019】
ジャイロスコープは、第1のプルーフマスカルテットおよび第2のプルーフマスカルテットを一次振動運動に設定するための1つまたは複数の駆動トランスデューサと、ジャイロスコープが角回転を受ける場合に、コリオリの力によって誘導される第1のプルーフマスカルテットおよび第2のプルーフマスカルテットの二次振動運動を検出するための1つまたは複数のセンストランスデューサとをさらに備える。
【0020】
ジャイロスコープは、第1のプルーフマスカルテットおよび第2のプルーフマスカルテットを固定支持構造から懸架するためのサスペンション構成をさらに備える。サスペンション構造は、第1のプルーフマスカルテットおよび第2のプルーフマスカルテットの一次振動運動および二次振動運動に対応するように構成されている。
【0021】
駆動トランスデューサは、各プルーフマスカルテット内の4つのプルーフマスすべてを、第1の一次振動モードまたは第2の一次振動モードのいずれかにおいて、デバイス平面内の一次振動に設定するように構成されている。
【0022】
第1の一次振動モードにおいて、第1のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスがデバイス平面内で第1のカルテット中心点に向かっておよび第1のカルテット中心点から外方にともに半径方向に動き、第2のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスがデバイス平面内で第2のカルテット中心点に向かっておよび第2のカルテット中心点から外方にともに半径方向に動く。第2のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスがデバイス平面内で第2のプルーフマスカルテットから外方に半径方向に動くと、第1のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスがデバイス平面内で第1のカルテット中心点に向かって半径方向に動き、および、逆のときは逆の動きになる。
【0023】
第2の一次振動モードにおいて、第1のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスが第1のカルテット中心点に対して時計回りおよび反時計回りに、デバイス平面内でともに接線方向に動き、第2のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスが第2のカルテット中心点に対して時計回りおよび反時計回りに、デバイス平面内でともに接線方向に動く。第2のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスが第2のカルテット中心点に対して反時計回りに、デバイス平面内で接線方向に動くと、第1のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスが第1のカルテット中心点に対して時計回りに、デバイス平面内で接線方向に動き、および、逆のときは逆の動きになる。
【0024】
第1のプルーフマスカルテットおよび第2のプルーフマスカルテットの二次振動モードは、z軸二次モード、x軸二次モード、および/またはy軸二次モードを含む。一次振動モードが第1の一次振動モードである場合、デバイス平面に垂直なz軸を中心としたジャイロスコープの回転に応答して、z軸二次モードは、第2の一次振動モードと同じであり、横軸に平行なx軸を中心としたジャイロスコープの回転に応答して、x軸二次モードは、各プルーフマスカルテット内の第3のプルーフマスおよび第4のプルーフマスによって形成される2つのプルーフマス対がデバイス平面から外方に接線方向に振動する動きを含み、第1の交差軸および第2の交差軸に平行なy軸を中心としたジャイロスコープの回転に応答して、y軸二次モードは、各プルーフマスカルテット内の第1のプルーフマスおよび第2のプルーフマスによって形成される2つのプルーフマス対がデバイス平面から外方に接線方向に振動する動きを含む。
【0025】
各プルーフマスカルテットの一次振動モードが第2の一次振動モードである場合、z軸を中心としたジャイロスコープの回転に応答して、z軸二次モードは、第1の一次振動モードと同じであり、x軸を中心としたジャイロスコープの回転に応答して、x軸二次モードは、各プルーフマスカルテット内の第1のプルーフマスおよび第2のプルーフマスによって形成される2つのプルーフマス対がデバイス平面から外方に接線方向に振動する動きを含み、y軸を中心としたジャイロスコープの回転に応答して、y軸二次モードは、各プルーフマスカルテット内の第3のプルーフマスおよび第4のプルーフマスによって形成される2つのプルーフマス対がデバイス平面から外方に接線方向に振動する動きを含む。
【0026】
本開示では、デバイス平面が例示され、xy平面と称される。z軸はxy平面に垂直である。プルーフマスがデバイス平面内で水平に維持される線形および/もしくは回転運動またはそれらの組み合わせは、「面内」運動または「デバイス平面内の運動」と称される場合があり、一方、プルーフマスが垂直方向に動く線形および/もしくは回転運動またはそれらの組み合わせは、「面外」運動または「デバイス平面から外方への運動」と称される場合がある。
【0027】
本開示では、z軸に平行な軸を中心とした回転は、単にz軸を中心とした回転と称される。同様に、x軸に平行な軸を中心とした回転はx軸を中心とした回転と称され、y軸に平行な軸を中心とした回転はy軸を中心とした回転と称される。
【0028】
本開示では、「半径方向」振動は、xy平面内の、中心点から外方への線形運動、およびその後の中心点に向かって戻る線形運動を指す。「接線方向」振動とは、中心点を中心とした仮想円の接線または外周に沿ったxy平面、xz平面、またはyz平面内の動きを指す。
【0029】
接線振動は、実際には線形運動と回転との混合である場合がある。サスペンション構成は、プルーフマスが接線方向においてどのように動くかを決定づける。通常、プルーフマスの寸法と比較して、振動振幅は小さく、すなわち、接線方向の振動は、回転成分を含有する場合でも、中心点から外方に外周上で実質的に線形になる。同じ考慮事項が、面外振動にも適用される。この振動は、サスペンション構成に依存する線形運動、または、回転運動と線形運動との組み合わせであり得る。面外振動は、xz平面またはyz平面内の接線方向の振動であり得る。
【0030】
x軸二次モードとy軸二次モードの両方における少なくとも1つのプルーフマス対の面外振動は、回転成分を含み得る。これは、第1のプルーフマスカルテットおよび第2のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマス対に適用される。特別な場合では、面外振動は、対応するカルテット中心点を中心とした、一対の対向するプルーフマスの回転運動であり得る。
【0031】
本開示全体を通して、「同期する(synchronize)」という用語、および「構造Aが振動モードXに同期する」などの語句は、以下の意味を有する。構造Aは、好ましくは所望のモードXにおいて振動すべきであるが、好ましくは望ましくないモードYにおいては振動すべきではない、相互接続されたマス要素のシステムにおいて機械的接続を構成する。選択されたモードにおける共振システムの剛性の増大、または言い換えれば、柔軟性の低下は、モードの共振周波数を増大させる。したがって、高い共振周波数および剛性は等価と考えることができる。構造Aは、振動モードXにおいて柔軟になり、結果、プルーフマス間でエネルギーを伝達し、結果、相互接続されたマス要素に関連付けられたサスペンション構成によって決定され、構造Aによって少なくとも部分的に決定される所望の共振周波数F
Xにおいて、単一の振動モードが作成される。望ましくないモードYの完全な抑制は可能でないかもしれないが、モードXに関連付けられる柔軟性および共振周波数F
Xを所望の値に維持しながら、少なくとも、モードYに関連付けられる剛性および共振周波数F
Yを可能な限り増加させることは、有益である。構造Aは、モードYの剛性とモードXの柔軟性との有益な組み合わせを呈し、結果、構造Aの存在により、システム内のモードXの共振周波数F
XとモードYの共振周波数F
Yとの間の関係が改善される。
【0032】
構造Aの存在は、たとえば、比F
Y/F
Xおよび/または差F
Y−F
Xを増加させることができる。この改善が測定される基準状態は、場合によっては、構造Aのないマス要素の同じシステムである場合がある。この場合、構造Aは同期および抑制にのみ必要である。他の場合、構造Aがマス要素の重量を支え、および/または、モードXにおいてマスシステムを共振させるのに必要なばね関数の少なくとも一部を提供するためにも必要であるとき、同期改善が測定される基準状態は、Aが、構造的な支持を与え、および/または、モードXにおいてマスシステムを共振させるためのばね関数を提供するのみである代替の標準構造Bに置き換えられたマス要素から成る同じシステムであってもよい。
【0033】
一般に、すべてのサスペンション構成は、支持、および、特定の方向の柔軟性と他の方向の剛性のために最適化されている。当該3つの変数は互いに競合する可能性があるため、最適化は、適切な妥協案を見つけることを意味する。ジャイロスコープのすべての要素が当該妥協に影響を与える可能性がある。
【0034】
本開示の図では、第1のプルーフマスカルテットおよび第2のプルーフマスカルテット内のプルーフマスの配置は、当該プルーフマスの静止位置に対応する。本開示の異なる実施形態におけるプルーフマスの振動方向、および、振動間の位相関係は、
図1に提示される記号を使用して示される。行11に示されている白矢印は、デバイス平面内で発生する一次振動モードを示している。行12の黒矢印は、ジャイロスコープがz軸を中心とした回転を受けるときにデバイス平面内で発生する二次モードを示している。行13に示されている記号の対は、ジャイロスコープがx軸を中心とした回転を受けるときのプルーフマス対の面外運動を示すために、常に同時に使用される。行14に示されている記号の対は、ジャイロスコープがy軸を中心とした回転を受けるときのプルーフマス対の面外運動を示すために、常に同時に使用される。
【0035】
図2aは、第1のプルーフマスカルテットと第2のプルーフマスカルテットとを備えた微小電気機械ジャイロスコープを示している。
【0036】
ジャイロスコープは、第1のプルーフマスカルテットの第1のプルーフマス211、第1のプルーフマスカルテットの第2のプルーフマス212、第1のプルーフマスカルテットの第3のプルーフマス213、および第1のプルーフマスカルテットの第4のプルーフマス214を備える。ジャイロスコープは、第2のプルーフマスカルテットの第1のプルーフマス221、第2のプルーフマスカルテットの第2のプルーフマス222、第2のプルーフマスカルテットの第3のプルーフマス223、および第2のプルーフマスカルテットの第4のプルーフマス224を備える。
【0037】
第1のカルテット中心点は、横軸28が第1の交差軸291と交差する点である。第2のカルテット中心点は、横軸28が第2の交差軸292と交差する点である。第3の交差軸293は、
図2aに示すように、第1のプルーフマスカルテットの第2のプルーフマス212と第2のプルーフマスカルテットの第1のプルーフマス221との間で、横軸と交差する。第1の交差軸291および第2の交差軸292は、横軸28上で互いに分離されている。第1のプルーフマスカルテットの第2のプルーフマス212および第2のプルーフマスカルテットの第1のプルーフマス221は、第3の交差軸293の対向する両側で、第1のカルテット中心点と第2のカルテット中心点との間に位置決めされる。
【0038】
すべてのプルーフマスは、振動運動を可能にする部分的に柔軟なサスペンション構成(
図2aには図示せず)によって固定支持体から懸架され得る。ジャイロスコープはまた、容量性またはピエゾアクチュエータ(
図2aには図示せず)と、1つまたは複数の駆動電圧信号をアクチュエータに印加するように構成された制御ユニットとを備えることができる。結果、制御ユニットはプルーフマスの一次振動を駆動することができる。ジャイロスコープがx軸、y軸、および/またはz軸を中心とした回転を受けると、コリオリの力が、少なくとも一部のプルーフマスを二次振動に設定する。
【0039】
サスペンション構成は、特定の振動モードを同期させることもできる。ジャイロスコープは、結合ばねをさらに備えることができる。一部のプルーフマスは、アクチュエータに直接接続されない場合がある。1つのプルーフマスの動きを、アクチュエータに直接接続されていないプルーフマスに伝達する結合ばねによって、一部のプルーフマスの一次振動を間接的に作動させることができる。結合ばねは、いくつかの振動モードを同期させることもできる。
【0040】
サスペンション構成は、カルテット中心点の近くに形成された中央サスペンション構成と、ジャイロスコープの周辺により近い周辺サスペンション構成とを含んでもよい。所望の振動モードに柔軟に対応する任意の中央および周辺のサスペンダを使用することができ、サスペンダの形状はプルーフマスの形状に依存し得る。例示的なサスペンション構成を以下に説明する。
【0041】
振動モードの例
図2aおよび
図2bは、第1の一次振動モードおよび対応する二次振動モードを示している。当該一次振動モードにおいて、各プルーフマスは、対応するカルテット中心点に対して半径方向に直線的に動く。対応するカルテット中心点に対する各プルーフマスカルテット内の第1のプルーフマスの一次振動の位相は、同じカルテット中心点に対する同じプルーフマスカルテット内の第2のプルーフマス、第3のプルーフマスおよび第4のプルーフマスの一次振動の位相と同じである。言い換えれば、カルテット内のすべてのプルーフマスは、対応するカルテット中心点に向かっておよび対応するカルテット中心点から外方に同時に動く。当該振動モードでは、x軸に沿ったプルーフマス212および221の動きを、結合ばね255を用いて同期させることができる。結合ばね255の特性は、
図12a〜
図12cを参照して以下に説明される。
【0042】
図示されている瞬間において、第2のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスが第2のカルテット中心点に向かって同時に動く間に、第1のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスは、第1のカルテット中心点から外方に同時に動く。振動周期の反対の半周期では、第2のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスがカルテット中心点から外方に動く間に、第1のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスは、第1のカルテット中心点に向かって動く。
図2aに示されている振動モードは、拍動モードと呼ばれる場合がある。
【0043】
図2bは、対応する二次振動モードを示す。z軸を中心としたジャイロスコープの回転に応答して、コリオリの力はすべてのプルーフマスを接線方向に振動させる。第1の一次振動モードは、対応する二次振動モードを誘導する。当該モードでは、図示された位相において、第1のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスが時計回り方向に振動する一方、第2のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスは、反時計回り方向に振動する。
【0044】
容量性またはピエゾ測定トランスデューサを使用して、z軸二次振動モードにおける面内振動振幅を決定することができる。各プルーフマスに取り付けられた同様のトランスデューサからの電気信号の示差測定値を、誤差およびクロストークを相殺するために使用することができる。差分信号処理の以下の例では、カルテット内のプルーフマストランスデューサの幾何形状が回転対称であると想定され(プルーフマストランスデューサシステムがxy平面内でコピー、シフトおよび回転される)、トランスデューサからの電気信号は対応するプルーフマスの記号によって指定される。1つのカルテット内で、同じ位相にある信号を合計することができる、すなわち、211+212+213+214および221+222+223+224となる。2つのカルテットは逆位相であるため、対応する式の差をとることができ、最終的に合計信号211+212+213+214−221−222−223−224になる。各プルーフマスに、反対の電気極性を有する第2のトランスデューサを容易に追加することができる。トランスデューサを追加することにより、差分補償のレベルを1つ追加して増大することができる。また、任意のプルーフマスに反対の電気極性を有する単一のトランスデューサを使用することも可能であり、対応して式の信号の符号を変更する必要がある。
【0045】
x軸を中心としたジャイロスコープの回転に応答して、コリオリの力は、
図2bに示すように、各プルーフマスカルテット内の第3のプルーフマスおよび第4のプルーフマスによって形成されるプルーフマス対(213+214および223+224)をデバイス平面から外方に振動させる。この振動を促進する中央および/または周辺サスペンションならびに結合ばねについては、以下で説明する。逆位相の一次振動に起因して、プルーフマス対213+214および223+224は、逆位相で横軸28を中心として振動する。
【0046】
y軸を中心としたジャイロスコープの回転に応答して、コリオリの力は、
図2bに示すように、各プルーフマスカルテット内の第1のプルーフマスおよび第2のプルーフマスによって形成されるプルーフマス対(211+212および221+222)を、それぞれの交差軸291および292を中心とした相互回転において、デバイス平面から外方に振動させる。逆位相の一次振動に起因して、交差軸を中心としたこの二次振動も逆位相で発生する。
【0047】
容量性またはピエゾ測定トランスデューサを使用して、x軸二次振動モードおよびy軸二次振動モードにおける面外振動振幅を決定することができる。各プルーフマスに取り付けられた同様のトランスデューサからの電気信号の示差測定値を、誤差およびクロストークを相殺するために使用することができる。差分信号処理の以下の例では、トランスデューサからの電気信号は、対応するプルーフマスの記号によって指定される。1つのカルテット内で、反対位相にある信号の差をとることができる、すなわち、211−212および221−222となる。2つのカルテットは逆位相であるため、対応する式の差をとることができ、最終的に、y軸回転によって生成される信号を検出するための合計信号211−212−221+222となる。x軸回転について、213−214−223+224という同様の式を形成することができる。各プルーフマスに、反対の電気極性を有する第2のトランスデューサを追加することができる。トランスデューサを追加することにより、差分補償のレベルを1つ追加して増大することができる。また、任意のプルーフマスに反対の電気極性を有する単一のトランスデューサを使用することも可能であり、対応して式の信号の符号を変更する必要がある。
【0048】
図2cは、線形運動と回転との混合としての面内接線振動を示している。
図2dは、線形運動と回転との混合としての面外振動を示している。以下でより詳細に説明する、サスペンション構成、および、プルーフマス間の結合は、回転成分がどの程度存在するかを決定する。各プルーフマス対211+212および221+222が面外振動中に平面的(それぞれ軸281および282によって示されている)なままである
図2dに示すように、カルテットの中心の周りにプルーフマスの円形の遊星運動を生成する線形運動と回転運動との組み合わせを有することが有利な場合がある。ただし、対が面外振動において同じ平面にとどまらない
図2eに示すように、各プルーフマスの回転中心を、カルテットの中心に最も近いマスの縁部に近づけることも許容される。線形および回転振動に関するこれらの考慮事項は、本開示において説明するすべての接線振動モードおよび面外振動モードに適用される。上記のいずれかは、線形運動成分と回転運動成分の任意の混合であり得、線形運動成分の振幅はゼロでない。プルーフマスの純粋な回転運動はコリオリの力によって適切に結合されないが、線形運動と回転運動との適切な組み合わせにより、カルテットの中心付近のプルーフマスの総運動が減少し、これにより、以下に説明するように、半径方向モードおよび面外モードの同期に有利となり得る。
【0049】
図3aは、第2の一次振動モードを示している。参照符号311〜314、321〜324、355、38および391〜393は、それぞれ
図2a〜
図2eの参照符号211〜214、221〜224、255、28および291〜293に対応する。
図3bは、対応する二次振動モードを示す。
【0050】
第2の一次振動モードにおいて、各プルーフマスは、対応するカルテット中心点に対して接線方向に動く。ここでも、対応するカルテット中心点に対する各プルーフマスカルテット内の第1のプルーフマスの振動位相(時計回りまたは反時計回り)は、同じカルテット中心点に対する同じプルーフマスカルテット内の第2のプルーフマス、第3のプルーフマスおよび第4のプルーフマスの一次振動の位相と同じである。第1のプルーフマスカルテットの一次振動は、第2のプルーフマスカルテットの一次振動と逆位相にある。
【0051】
第2のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスが第2のカルテット中心点を中心として時計回りに同時に動く間に、第1のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスは、第1のカルテット中心点を中心として反時計回りに同時に動く。振動周期の反対の半周期では、第2のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスが反時計回りに動く間に、第1のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスは、時計回りに動く。
【0052】
図3bは、対応する二次振動モードを示す。z軸を中心としたジャイロスコープの回転に応答して、コリオリの力はすべてのプルーフマスを半径方向に振動させる。ここでは、逆位相一次振動モードは、対応する逆位相二次振動モードを誘導する。当該モードでは、図示された位相において、第1のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスが外向きに振動する一方、第2のプルーフマスカルテット内のすべてのプルーフマスは、内向きに振動する。当該事例において、結合ばね355は、横方向において剛直である場合、z軸二次振動モードにおいてプルーフマス312および321の動きを同期させることができる。結合ばね355の他の特性は、
図12a〜
図12cを参照して以下に説明される。
【0053】
図2a〜
図2bと
図3a〜
図3bとを比較することによって、第1の一次振動モードによって生成される二次振動モードは第2の一次振動モードに対応し、第2の一次振動モードによって生成される二次振動モードは第1の一次振動モードに対応することが分かる。
【0054】
容量性またはピエゾ測定トランスデューサを使用して、z軸二次振動モードにおける面内振動振幅を決定することができる。各プルーフマスに取り付けられた同様のトランスデューサからの電気信号の示差測定値を、誤差およびクロストークを相殺するために使用することができる。差分信号処理の以下の例では、カルテット内のプルーフマストランスデューサの幾何形状が回転対称であると想定され(プルーフマストランスデューサシステムがxy平面内でコピー、シフトおよび回転される)、トランスデューサからの電気信号は対応するプルーフマスの記号によって指定される。1つのカルテット内で、同じ位相にある信号を合計することができる、すなわち、311+312+313+314および321+322+323+324となる。2つのカルテットは逆位相であるため、対応する式の差をとることができ、最終的に合計信号311+312+313+314−321−322−323−324になる。各プルーフマスに、反対の電気極性を有する第2のトランスデューサを容易に追加することができる。トランスデューサを追加することにより、差分補償のレベルを1つ追加して増大することができる。また、任意のプルーフマスに反対の電気極性を有する単一のトランスデューサを使用することも可能であり、対応して式の信号の符号を変更する必要がある。
【0055】
x軸を中心としたジャイロスコープの回転に応答して、コリオリの力は、
図3bに示すように、各プルーフマスカルテット内の第1のプルーフマスおよび第2のプルーフマスによって形成されるプルーフマス対(311+312および321+322)をデバイス平面から外方に振動させる。位相の一次振動に起因して、プルーフマス対311+312および321+322は、逆位相でそれぞれの交差軸391および392を中心として振動する。
【0056】
y軸を中心としたジャイロスコープの回転に応答して、コリオリの力は、
図3bに示すように、各プルーフマスカルテット内の第3のプルーフマスおよび第4のプルーフマスによって形成されるプルーフマス対(313+314および323+324)をデバイス平面から外方に振動させる。逆位相の一次振動に起因して、横軸を中心としたこの二次振動も逆位相で発生する。
【0057】
容量性またはピエゾ測定トランスデューサを使用して、x軸二次振動モードおよびy軸二次振動モードにおける面外振動振幅を決定することができる。各プルーフマスに取り付けられた同様のトランスデューサからの電気信号の示差測定値を、誤差およびクロストークを相殺するために使用することができる。差分信号処理の以下の例では、トランスデューサからの電気信号は、対応するプルーフマスの記号によって指定される。1つのカルテット内で、反対位相にある信号の差をとることができる、すなわち、311−312および321−322となる。2つのカルテットは逆位相であるため、対応する式の差をとることができ、最終的に、x軸回転によって生成される信号を検出するための合計信号311−312−321+322になる。y軸について、313−314−323+324という同様の式を形成することができる。各プルーフマスに、反対の電気極性を有する第2のトランスデューサを追加することができる。トランスデューサを追加することにより、差分補償のレベルを1つ追加して増大することができる。また、任意のプルーフマスに反対の電気極性を有する単一のトランスデューサを使用することも可能であり、対応して式の信号の符号を変更する必要がある。
【0058】
図3a〜
図3bには、プルーフマスの線形運動のみが示されている。
図2c〜
図2eと同様に、
図3a〜
図3bに示す線形成分に加えて、運動の回転成分が、
図3a〜
図3bのモードにも存在し得、上記の純粋な線形モードよりも有利であり得る。
【0059】
組み合わせて、
図2a〜
図2bおよび
図3a〜
図3bに示されている一次振動モードおよび二次振動モードは、ジャイロスコープを、外部外乱および振動モード外のエネルギーフローに対して非常にロバストにする。これは、ジャイロスコープの片側の運動している各プルーフマスの運動量が、ジャイロスコープの他方の側にある別のプルーフマスの反対の運動量によって平衡されるためである。
【0060】
プルーフマスカルテット幾何形状
すべてのプルーフマスカルテットは、例示を目的として、
図2a〜
図3bにおいて4つの正方形ブロックの集合として提示されており、中央に空の正方形領域がある。通常、プルーフマスが長方形の境界内でより密に詰め込まれた、面積節約型の幾何形状を使用する方が有利であり、当該形状は、典型的には、シリコンマイクロテクノロジーにおいて有利である。
【0061】
図4aは、正方形のプルーフマス41〜44が横軸48および交差軸49に対して45度傾斜している幾何形状を示している。この幾何形状により、カルテット中心点に近い密なグループ化が可能になる。
【0062】
図4bは、所与のマス面積に対して表面積の消費が少ない別の幾何形状を示している。プルーフマス41〜44は、直角三角形として成形されている。より一般的には、各プルーフマスの形状は二等辺三角形であってもよく、各二等辺三角形の先端は
図4bのようにカルテット中心点を指し得る。
【0063】
図4cは、プルーフマス41〜44が、三角形の先端が切り取られている、切頭二等辺(この場合は切頭直角)三角形として成形されている幾何形状を示す。この切頭三角形の形状は、サスペンションおよび結合装置が、カルテット中心点近くに配置する必要がある何らかのばねを含む場合に有益であり得る。
【0064】
図4a〜
図4cに示された幾何学形状のいずれも、本開示に提示された任意の実施形態で使用することができる。他の多くのプルーフマスの形状および構成を使用することもできる。たとえば、プルーフマスは、サスペンダおよび/または同期構造および/またはトランスデューサの配置を容易にするための切り欠きおよび/または開口部を含んでもよい。
【0065】
サスペンションおよび結合の例
一般に、「サスペンション」という用語は、本開示では、サスペンダと呼ばれる場合もあり、固定支持体からプルーフマスなどの部分的に可動な要素まで延伸する1つまたは複数の柔軟なばねの構成を指す。サスペンダが固定支持体に取り付けられている場所は、アンカーポイントと呼ばれる場合がある。「固定された」という用語は、支持体が、プルーフマスおよびサスペンションの振動モードに対しては実質的に動かないが、センサが全体として回転を受けるときに動くことを意味する。サスペンダの柔軟性により、プルーフマスが部分的に可動になり、結果、サスペンダを、駆動トランスデューサによって、プルーフマスの慣性およびサスペンションの適合性によって決定される共振周波数にあるか、またはそれに近い周波数にある、一次振動モードに設定することができる。
【0066】
本開示では、「結合」という用語は、振動するプルーフマスのシステムを所望の同期に向けて安定させる、結合ばねまたは同期ばねと呼ばれる場合がある1つまたは複数の柔軟なばねから成る構成を指す。結合構成は、剛性要素も含む場合がある。結合機能はまた、サスペンションに組み込まれてもよい。逆もまた同様にでき、結合要素は、共振周波数を決定するサスペンションの一部であってもよい。参照を容易にするために、一般的な用語「サスペンション構成」は、本開示では、サスペンションと結合の両方をカバーする。
【0067】
サスペンション構成は、第1のプルーフマスカルテットおよび第2のプルーフマスカルテットのすべての望ましい一次振動モードおよび二次振動モードに柔軟に対応すべきであり、好ましくはまた同期すべきでもある。また、サスペンション構成は好ましくは、望ましくない振動モード、特に、逆位相振動が所望の振動モードである場合の2つ以上のプルーフマスの望ましくない同位相振動に抵抗するべきである。すべての同位相振動が望ましくないわけではないが、本開示において論じられるすべての所望の逆位相振動モードについて、その振幅および周波数が所望の逆位相振動モードの振幅および周波数に近すぎる場合、測定を妨害する対応する同位相振動モードが存在する。したがって、サスペンション構成は好ましくは、当該モードの共振周波数を可能な限り高くシフトすることにより、これらの同位相振動モードを抑制すべきである。
【0068】
プルーフマスの重さを支持するが、プルーフマスを部分的に可動にし、またプルーフマスカルテット内の振動モードを同期させることもできる、1つのプルーフマスカルテットのサスペンション構成について最初に説明する。2つのプルーフマスカルテットを備えるジャイロスコープでは、両方のプルーフマスカルテットが懸架され得、同じ内部サスペンション構成と内部で結合され得る。両方のプルーフマスカルテットを懸架し、異なる内部サスペンション構成と内部結合することもできるが、当該事例において、2つのプルーフマスカルテット間の同期はより困難になる可能性がある。
【0069】
図5は、すべての振動モードに適用可能なサスペンション構成の一例を示している。各プルーフマスは開口部を備え、アンカーポイント55が各開口部の内側に配置される。サスペンション構成は、アンカーポイントから、アンカーポイントの対向する両側のジンバルフレーム57まで延伸する2つの内側蛇行ばね56をさらに備える。ジンバルフレーム57は、アンカーポイント55および内側蛇行ばね56を囲む。2つの外側蛇行ばね58が、ジンバルフレームから、ジンバルフレーム57の対向する両側の周囲のプルーフマスまで延伸する。外側蛇行ばね58は、内側蛇行ばね56に直交している。
【0070】
図5に示すプルーフマスカルテットでは、内側蛇行ばねは、第1のプルーフマス51および第2のプルーフマス52内では、交差方向に延伸し、内側蛇行ばねは、第3の試験室試験53および第4のプルーフマス54内では、横方向に延伸する。逆に、外側蛇行ばねは、第1のプルーフマス51および第2のプルーフマス52内では、横方向に延伸し、外側蛇行ばねは、第3のプルーフマス53および第4のプルーフマス54内では、交差方向に延伸する。
【0071】
内側蛇行ばね56および外側蛇行ばね58の折り畳まれた部分は、プルーフマスの面外並進および回転を可能にするのに十分な長さでなければならない。
【0072】
中央サスペンション構成
各カルテット中心点にアンカーポイントを配置し、対応するプルーフマスカルテットを当該アンカーポイントから懸架することが有益である場合が多い。カルテット中心点に位置するアンカーポイントを中心としたサスペンション構成は、中央サスペンション構成と呼ばれる場合がある。
【0073】
サスペンション構成は、第1のカルテット中心点に位置する第1の中央アンカーポイントから第1のプルーフマスカルテットを懸架する第1の中央サスペンション構成を備えることができる。サスペンション構成は、第2のカルテット中心点に位置する第2の中央アンカーポイントから第2のプルーフマスカルテットを懸架する第2の中央サスペンション構成を備えることもできる。
【0074】
第1の中央サスペンション構成および第2の中央サスペンション構成の少なくとも1つは、c1軸がc2軸と直交する、対応する第1の中央アンカーポイントまたは第2の中央アンカーポイントを中心とすることができる。c1軸は、横方向または交差方向のいずれかである。上記中央サスペンション構成は、中央同期要素に囲まれた中央ジンバル要素を備え、中央ジンバル要素は、対応する中央アンカーポイントからジンバルフレームまで延伸する内側ねじりばねと、ジンバルフレームから中央同期要素まで延伸する外側ねじりばねとを備える。
【0075】
中央同期要素は、上記中央同期要素を囲むプルーフマスカルテット内のc1軸上に位置整合された2つのプルーフマスまで、c1軸に沿って反対方向に延伸する第1のc1トーションバーおよび第2のc1トーションバーを備える。中央同期要素は、上記中央同期要素を囲むプルーフマスカルテット内のc2軸上に位置整合された2つのプルーフマスまで、c2軸に沿って反対方向に延伸する第1のc2トーションバーおよび第2のc2トーションバーを備える。
【0076】
図6は、第1の中央サスペンション構成および第2の中央サスペンション構成を含む典型的なサスペンション構成を示している。参照符号611〜614、621〜624、68および691〜692は、それぞれ
図2aの参照符号211〜214、221〜224、28および291〜292、ならびに、
図3aの参照符号311〜314、321〜324、38および391〜392に対応する。
【0077】
以下で説明する中央同期要素は、横軸と交差軸の両方に関して反射対称であるが、デバイス平面内で90°回転すると対称ではないため、「c1軸」および「c2軸」は以下のように定義される。c1軸は、横方向または交差方向のいずれかであり得る、すなわち、横軸68または交差軸691および692のいずれかに平行であり得る。c1軸が横方向である場合、c2軸は交差方向である。c1軸が交差方向である場合、c2軸は横方向である。中央同期要素は、両方の事例において同じように動作する。
【0078】
c1軸が横方向である場合、c1トーションバーは、第1の中央サスペンション構成内の631および632ならびに第2の中央サスペンション構成内の641および642である。当該事例において、c2トーションバーは、第1の中央サスペンション構成内の633および634ならびに第2の中央サスペンション構成内の643および644である。他方、c1軸が交差方向である場合、c1トーションバーは、第1の中央サスペンション構成内の633および634ならびに第2の中央サスペンション構成内の643および644である。当該事例において、c2トーションバーは、第1の中央サスペンション構成内の631および632ならびに第2の中央サスペンション構成内の641および642である。
【0079】
図2dに示すように、プルーフマス対611+612がカルテットの中心を中心とした反時計回りの接線方向面外運動を呈し、プルーフマス対621+622がカルテットの中心を中心とした時計回りの接線面外運動を示す場合、トーションバー633、634、643および644は、軸691および692を中心にねじることにより大きな制約なく当該運動を可能にし、一方、トーションバー631、632、641および642は、面外曲げに対する高い剛性に起因して、実質的に真っ直ぐなままになる。同様に、プルーフマス対613+614がカルテットの中心を中心とした反時計回りの接線方向面外運動を呈し、プルーフマス対623+624がカルテットの中心を中心とした時計回りの接線面外運動を示す場合、トーションバー631、632、641および642は、軸68を中心にねじることにより大きな制約なく当該運動を可能にし、一方、トーションバー633、634、643および644は、面外曲げに対する高い剛性に起因して、実質的に真っ直ぐなままになる。
図2cに示す面内接線方向運動では、すべてのトーションバーが、面内曲げによる回転成分を許容する。トーションバーは、製造技術の能力の範囲内で、少なくとも2、好ましくは10以上の大きい高さ対幅の比を有する必要がある。トーションバーの長さは、高い面外曲げ剛性を可能にするために可能な限り短くする必要があるが、ねじりトルクを低く保つのに十分な長さである必要がある。
【0080】
また、第1の中央サスペンション構成および第2の中央サスペンション構成は、
図6において単にボックスによって示されている中央部651および652を含む。ここで、これらの中央部について、以下、
図7、ならびに
図8a〜
図8c、
図9a〜
図9b、および
図10a〜
図10cを参照して説明する。中央部は典型的には、
図7に79として示されている中央アンカーポイントを備える。中央部はまた、中央アンカーポイント79からジンバルフレーム78まで延伸する内側ねじりばね771および772と、ジンバルフレーム78から中央同期要素まで延伸する外側ねじりばね773および774とを備える中央ジンバル要素も備える。中央同期要素は
図7には示されていない。
【0081】
中央ジンバル要素は、周囲の中央同期要素、および中央同期要素に接続された対向するプルーフマス対が、横軸または第1の交差軸/第2の交差軸のいずれかを中心にデバイス平面外に接線方向に振動することを可能にする。回転成分を含む
図2d〜2eの面外振動モードは、
図7のジンバル要素および
図6のトーションバー631〜634を有する中央同期要素によって可能になり、
図2dは、理想的な面外モードを示す一方、
図2eのモードは、実際の寸法では避けられない場合がある、中央サスペンション構成の、特にトーションバー631〜634のいくらかの面外柔軟性を許容する。
【0082】
ジンバルフレーム78は、変形に対して剛直でなければならず、任意の形状を有することができる。図のダイヤモンド形状は、表面積をほとんど消費しない。中央ジンバル要素は、内側のねじりばね771および772が交差方向になり、外側ねじりばね773および774が横方向になるように、またはその逆になるように、位置整合させることができる。これを
図7の右側に示す。代替的に、
図7の左側に示すように、内側および外側ねじりばねを横軸および交差軸に対して45°の角度に向けることができる。代替的に、内側および外側ねじりばねは、選択されている同期要素構造にとって有益であり得る、横軸および交差軸に対する任意の角度に向けられてもよい。当該向きの各々は、以下の
図8a〜
図8C、
図9a〜
図9b、および
図10a〜
図10cに示す任意の中央同期要素によって使用することができる。
【0083】
図8a〜
図8cは、中央同期要素の第1の例を示す。図に示すように、c1軸およびc2軸はジャイロスコープ中心点と交差する。c1軸が横方向であるかまたは交差方向であるかに応じて、参照符号833および834は、
図6の参照符号631および632、または
図6の参照符号633および634のいずれかに対応することができる。
【0084】
中央同期要素は、中央ジンバル要素の対向する両側でc1軸上に位置整合された第1の剛体881および第2の剛体882を備え、結果、第1の剛体881の第1の端部が第2の剛体882の第1の端部に対向しており、第1の剛体881の第2の端部が第2の剛体882の第2の端部に対向している。中央ジンバル要素の外側ねじりばねは、それぞれ第1の剛体881および第2の剛体882まで延伸し、第1のc1トーションバー833および第2のc1トーションバー834は、それぞれ第1の剛体881および第2の剛体882に取り付けられる。
【0085】
中央同期要素はまた、第1の剛体881の第1の(左)端部から第1のc2トーションバー831まで延伸する第1の屈曲部891と、第2の剛体882の第1の(左)端部から第1のc2トーションバー831まで延伸する第2の屈曲部892と、第1の剛体881の第2の(右)端部から第2のc2トーションバー832まで延伸する第3の屈曲部893と、第2の剛体882の第2の(右)端部から第2のc2トーションバー832まで延伸する第4の屈曲部894とをも備える。
【0086】
屈曲部891〜894は、たとえば、
図8aのように、一定の角度において剛体881/882から外方に延伸する直線バーであってもよい。当該角度は、c1軸に対して45°であってもよく、または30°〜60°の範囲内であってもよい。
図8aに示すように、屈曲部はc1軸に向かって延伸する必要がある。これによって、トーションバー831および832に取り付けられたプルーフマスの運動に適切な方向が確保されるためである。トーションバー833および834に取り付けられたプルーフマスがカルテットの中心に向かって動くと、屈曲部もカルテットの中心に向かって動く。
【0087】
図8aに示す同期要素は、屈曲部891〜894と剛体との間、および屈曲部対891/892および893/894の間の角度を変更することにより、
図2aに示す一次振動モードまたは
図3bに示すz軸二次振動モードを同期させる。理想的には、わずかな力を加えることで屈曲部の間の角度を変化させることを可能にするために、屈曲部891〜894は、ピボット継手によって互いに、および剛体881/882に接続されるレバーである。ただし、ピボット継手は、シリコンマイクロテクノロジーでは製造が非常に困難である。屈曲部891〜894は、レバーがピボット継手を中心に回転することによって実施するものとほぼ同じ幾何学的機能を、屈曲することによって実施する。すべてのプルーフマスが中心点に向かって内向きに動くと、剛体881および882が各屈曲部の一端をc2軸に向かって押す。次いで、屈曲部の他方の端部が、c2トーションバー831および832をc1軸に向かって押す。すべてのプルーフマスが同時に外向きに動くと、剛体が外向きに動き、屈曲部がc2軸から外方に曲がり、c2トーションバー831および832がc1軸から外方に押される。結果、屈曲部は、すべてのマスが半径方向に同時に動く振動モードを同期させる。
【0088】
トーションバー831および832に取り付けられたプルーフマスが内向きに動く一方で、トーションバー833および834に取り付けられたプルーフマスが外向きに動き、および逆のときは逆の動きをする差動モードは、
図8aの同期要素によって許容されない。また、c1トーションバー833および834に取り付けられたプルーフマスの同じ方向への動き、すなわち、一方のマスがc2軸に向かって動き、もう一方のマスがc2軸から外方に動く動きは、中央ジンバル要素による剛性支持に起因して許容されない。これによって、ジャイロスコープ出力信号がc1方向の振動に対して非感受性になる。
【0089】
剛体881と882との間の角度は変化するが、当該剛体の間の距離は変化しない、すなわち、剛体881および882が変位されずに回転されるように、屈曲部891および892の端部がc2軸に向かって動き、一方で、屈曲部893および894の端部がc2軸から外方に動くことが可能である。これによって、トーションバー831および832に接続されたプルーフマスが同じ方向において、一方がc1軸に向かい、他方がc1軸から外方に動くことが可能になり得、これにより、ジャイロスコープ出力信号がc2方向における振動に感受性になる。
【0090】
図8bに示される中央同期フレーム810が、上記リスクを軽減するために中央同期要素に含まれてもよい。中央同期フレーム810は、ジンバルフレーム87を囲み、中央ジンバル要素の外側ねじりばねは、中央同期フレーム810まで延伸する。前述のように、中央同期要素は、中央同期フレームの対向する両側でc1軸上に位置整合された第1の剛体881および第2の剛体882を備える。中央同期フレーム810は、剛性コネクタ8111および8112を用いて、剛体881および882に接続されている。
【0091】
同期フレーム810は、c1軸およびc2軸の方向において楕円形に変形することができ、したがって、剛体881および882の中心に向かうおよび中心から外方への動きを可能にする。同期フレーム810は、ジンバルが許容しないため、c1軸およびc2軸に対して45度の角度で楕円形に変形することはできない。結果として、コネクタ8111および8112の位置における同期フレームの回転も、ジンバル要素によって妨げられる楕円変形の一部であるため、妨げられる。したがって、コネクタ8111および8112を中心とした剛体881および882の回転は、同期フレーム810によって妨げられる。当該構成は、トーションバー831および832に接続された一対の対向するプルーフマスが同じ線形方向に同時に動くことに抵抗する。したがって、構成は線形振動の影響を受けない。同期フレームおよび剛体は、必ずしも円形または長方形である必要はない。
図8cは、同期フレーム810ならびに剛体881および882が中央ジンバル要素の周りに堅固に嵌め込まれている、面積節約型の幾何形状を示している。
図8cにおいて、同期フレームは準楕円形の変形を受け得る四芒星の形態を有する。多角形、角が丸い多角形、角が丸い四芒星など、準楕円変形を受けることができる他の同様の形状も可能である。
【0092】
図9aは、代替の中央サスペンション構成を示す。参照符号910、931〜934、97および981〜982は、それぞれ
図8a〜
図8cの参照符号810、831〜834、87および881〜882に対応する。
【0093】
図9aの中央同期要素は、ジンバルフレーム97を囲む剛性中央同期フレーム910を備え、中央ジンバル要素の外側ねじりばねは、中央同期フレーム910まで延伸する。中央同期要素はまた、中央同期フレーム910の対向する両側でc1軸上に位置整合された第1の剛体981および第2の剛体982をも備える。第1の剛体981の第1の端部は第2の剛体982の第1の端部と対向しており、第1の剛体981の第2の端部は第2の剛性フレーム981の第2の端部と対向している。
【0094】
第1の剛体981の第1の端部は、c2軸上に位置整合された第1のU字型屈曲部9141を用いて第2の剛体982の第1の端部に接合される。第1の剛体981の第2の端部は、c2軸上に位置整合された第2のU字型屈曲部9142を用いて第2の剛体982の第2の端部に接合される。第1のc2トーションバー931は、第1のU字型屈曲部9141の底部に取り付けられ、第2のc2トーションバー932は、第2のU字型屈曲部9142の底部に取り付けられる。
【0095】
中央同期要素はまた、中央同期フレーム910から第1のU字型屈曲部9141の第1の分枝まで延伸する第1の屈曲部991と、中央同期フレーム910から第1のU字型屈曲部9141の第2の分枝まで延伸する第2の屈曲部992と、中央同期フレーム910から第2のU字型屈曲部9142の第1の分枝まで延伸する第3の屈曲部993と、中央同期フレーム910から第2のU字型屈曲部9142の第2の分枝まで延伸する第4の屈曲部994とをも備える。
【0096】
屈曲部991〜994は、
図9aのように、一定の角度において中央同期フレーム910から外方に延伸する直線バーであってもよい。当該角度は、c1軸に対して45°であってもよく、または30°〜60°の範囲内であってもよい。中央同期要素は、第1の剛体981の第1の端部から第1のU字型屈曲部9141の第1の分枝まで延伸する第1のプッシュバー9131と、第2の剛体982の第1の端部から第1のU字型屈曲部9141の第2の分枝まで延伸する第2のプッシュバー9132とを備えることができる。対応して、中央同期要素は、第1の剛体981の第2の端部から第2のU字型屈曲部9142の第1の分枝まで延伸する第3のプッシュバー9133と、第2の剛体982の第2の端部から第2のU字型屈曲部9142の第2の分枝まで延伸する第4のプッシュバー9134とを備えることができる。
図9aに示すように、各プッシュバー9131〜9134はc1軸に平行にすることができる。
【0097】
図9aに示す同期要素は、第1のU字型屈曲部9141および第2のU字型屈曲部9142をc2軸に沿って動かす屈曲部991〜994の角度の変化を通じて、
図2aに示す一次振動モードまたは
図3bに示すz軸二次振動モードを同期させる。すべてのプルーフマスが中心点に向かって内向きに動くと、剛体881および882はc2軸に向かって動く一方、中央同期フレーム910は静止したままである。中央同期フレーム910上の直線屈曲部991〜994の取り付け点は支点として機能し、U字型屈曲部9141〜9142は、剛体981および982の動きが屈曲部991〜994の対向する端部に伝達されると、中心点に向かって押される。
【0098】
他方、剛体981および982に取り付けられたプルーフマスの外向きの動きは、U字型屈曲部を中心点から外方に引く。結果、中央同期要素は、4つのプルーフマスすべてが同時に半径方向に動く振動モードを同期させ、一部のマスが内向きに動く一方で他のマスが外向きに動く振動に抵抗する。
【0099】
トーションバー931および932に取り付けられたプルーフマスが内向きに動く一方で、トーションバー933および934に取り付けられたプルーフマスが外向きに動き、および逆のときは逆の動きをする差動モードは、
図9aの同期要素によって許容されない。また、c1トーションバー933および934に取り付けられたプルーフマスの同じ方向への動き、すなわち、一方のマスがc2軸に向かって動き、もう一方のマスがc2軸から外方に動く動きは、中央ジンバル要素による剛性支持に起因して許容されない。これによって、ジャイロスコープ出力信号がc1方向の振動に対して非感受性になる。
【0100】
ここでも、外部振動が剛体981および982の角度を変化させ、結果、剛体の第1の端部がc2軸から外方に動く一方で、第2の端部がc2軸に向かって動く、または逆のときは逆の動きをするリスクがあり得る。これによって、U字型屈曲部9141および9142ならびに取り付けられているプルーフマスがc2軸に沿って同じ方向において、一方がc1軸に向かい、他方がc1軸から外方に動くことが可能になり得、これにより、ジャイロスコープ出力信号が振動に感受性になる。
【0101】
図9bは、剛体981および982がそれぞれ曲げ要素9153および9154を含む中央同期要素を示す。これらの曲げ要素は、それぞれコネクタ9113および9114を用いて中央同期フレーム910に取り付けられる。コネクタ9113および9114は、c1軸上に位置整合される。
【0102】
中央同期フレーム910は、曲げ要素9153および9154の中心点に剛直に接続される。曲げ要素9153および9154は、C字型に屈曲することにより、c1軸に沿った剛体981および982の変位を可能にする。曲げ要素は、強制的にS字型にされるため、剛体981および982とc1軸との間の角度の変化に抵抗する。S字型への変形には、C字型への変形の8倍の力またはトルクが必要である。したがって、当該構成は、剛体981および982が容易に回転することを許容せず、したがって、c2軸に沿った同じ方向におけるU字型屈曲部9141および9142の動きが妨げられる。したがって、構成は線形振動の影響を受けない。
【0103】
図10aは、代替の中央サスペンション構成を示す。中央同期要素は、中央ジンバル要素の対向する両側においてc1軸上に位置整合された第1の剛体1081および第2の剛体1082を備える。第1の剛体1081の第1の端部は、第2の剛体1082の第1の端部と対向する。第1の剛体1081の第2の端部は、第2の剛体1082の第2の端部と対向する。中央同期要素はまた、中央ジンバル要素の対向する両側でc2軸上に位置整合された第3の剛体1083および第4の剛体1084をも備える。第3の剛体1083の第1の端部は第4の剛体1084の第1の端部と対向しており、第3の剛体1083の第2の端部は第4の剛体1084の第2の端部と対向している。
【0104】
第1のc1トーションバー1033および第2のc1トーションバー1034は、それぞれ第1の剛体1081および第2の剛体1082に取り付けられ、第1のc2トーションバー1031および第2のc2トーションバー1032は、それぞれ第3の剛体1083および第4の剛体1084に取り付けられる。
【0105】
中央同期要素は、ジンバルフレーム107を囲む実質的に四角形可撓性中央同期フレーム10100を備え、中央ジンバル要素の外側ねじりばねは、四角形可撓性中央同期フレーム10100の2つの対向するコーナまで、c1軸またはc2軸のいずれかに沿って延伸する。
【0106】
中央同期要素は、4対のプッシュバー10911+10912、10921+10922、10931+10932、10941+10942をさらに備える。プッシュパーの各対は平行である。第1の対10911+10912は、第3の剛体1083の2つの対向する端部から、四角形可撓性中央同期フレーム10100の隣接する辺10101および10102の中点まで延伸する。第2の対10921+10922は、第4の剛体1084の2つの対向する端部から、四角形可撓性中央同期フレーム10100の隣接する辺10103および10104の中点まで延伸する。同様に、第3の対10931+10932および第4の対10941+10942は、それぞれ第1の剛体1081および第2の剛体1082の2つの対向する端部から、それぞれ隣接する辺10102/10103および10101/10104の中点まで延伸する。
【0107】
図10aに示す同期要素は、可撓性中央同期フレーム10100の辺の曲げを通じて、
図2aに示す一次振動モードまたは
図3bに示すz軸二次振動モードを同期させる。すべてのプルーフマスが中心点に向かって内向きに動くと、当該フレームの各辺10101〜10104は、中点においてカルテット中心点に向かって内向きに曲がる。すべてのマスが外向きに動くと、上記辺は外向きに、カルテット中心点から外方に曲がる。一方のプッシュバーが辺10101〜10104の中点を内向きに引こうとする一方、他方が外向きに押すため、同期要素は、中心点に対して逆位相にある2つの隣接するプルーフマスの半径方向の動きに抵抗する。
【0108】
ここでも、剛体1081〜1084がc1軸またはc2軸に沿って変位されることに加えて、または変位される代わりに、中心点を中心として回転することを許容される場合、外部振動に対する望ましくない感受性が発生し得る。たとえば、剛体1083および1084が中心点を中心に回転すると、取り付けられた2つのプッシュバー(10911および10922など)が他の2つ(10912および10921)よりもc1軸に近くなり、または、逆の場合も同様である。同じことが、剛体1081および1082、プッシュバー10932、10942、10931および941、ならびにc2軸までのプッシュバーの距離にも当てはまる。
図10bは、曲げ要素10151〜10154を用いて可撓性中央同期フレーム10100の各コーナを対応する剛体に取り付けることにより、当該リスクが低減された中央同期要素を示す。
【0109】
可撓性中央同期フレーム10100は、曲げ要素10151〜10154の中心点に剛直に接続される。曲げ要素10151〜10152は、C字型に屈曲することにより、その位置整合軸に沿った剛体1081〜1084の変位を可能にする。曲げ要素は、強制的にS字型にされるため、剛体1081〜1084の中心点を中心とした回転に抵抗する。したがって、構成は線形振動の影響を受けない。
【0110】
図10cは、可撓性中央同期フレーム10100が剛性中央同期フレーム1012を囲む代替形態を示している。剛性中央同期フレームは、中央ジンバル要素を囲み、結果、ジンバル要素の外側ねじりばねは、ジンバルフレーム107から剛性中央同期フレームまで延伸する。剛性中央同期フレーム1012は、図に示されるように、可撓性中央同期フレーム10100のコーナに接続される。剛性同期フレームは、同期要素のサイズを実質的に増加させることなく、また製造工程に影響を与えることなく、同期要素の剛性をより高次の曲げモードに増大させる。
【0111】
周辺サスペンション構成
中央サスペンション構成は、いくつかの事例において、プルーフマスカルテットの全重量を支え、所望の共振モードおよび所望の共振周波数においてプルーフマスのシステムを共振させるばね力を提供するのに十分であり得る。ただし、ほとんどの場合、1つまたは複数のアンカーポイントをプルーフマスカルテットの周辺近くにも配置し、プルーフマスカルテットを当該周辺アンカーポイントからも懸架することが有益である。プルーフマスカルテットの周辺付近のサスペンション構成は、周辺サスペンション構成と呼ばれる場合がある。
【0112】
したがって、サスペンション構成は、1つまたは複数の第1の周辺アンカーポイントから第1のプルーフマスカルテットを懸架する第1の周辺サスペンション構成を備えてもよく、また、サスペンション構成は、1つまたは複数の第2の周辺アンカーポイントから第2のプルーフマスカルテットを懸架する第2の周辺サスペンション構成を備えてもよい。
【0113】
第1の周辺サスペンション構成および第2の周辺サスペンション構成の少なくとも1つは、ジャイロスコープ中心点に対して対称にプルーフマスカルテットの周辺に配置された4つのコーナ要素を備えることができる。隣接するコーナ要素の各対は、1つまたは複数の周辺サスペンダによって相互接続することができる。上記1つまたは複数の周辺サスペンダは、隣接するプルーフマスに取り付けることができる。各コーナ要素は、半径方向に柔軟なサスペンダによって1つまたは複数の周辺アンカーポイントから懸架することができる。
【0114】
図11は、
図2a〜
図2eおよび
図3a〜
図3bに示した振動モードに対応する周辺サスペンション構成の一例を示している。参照符号1111〜1114は、
図2a〜
図2eの参照符号211〜214もしくは221〜224、または、
図3a〜
図3bの参照符号311〜314または321〜324に対応することができる。参照符号115は、
図6の参照符号651または652に対応する。
【0115】
図11に示すジャイロスコープは、プルーフマスおよびジャイロスコープ中心点の周りに対称に配置された4つのコーナ要素1131〜1134を備える。
図4a〜
図4cに示す形状例のように、プルーフマスカルテットがともにほぼ正方形の正方形領域をカバーする場合、1つのコーナ要素がこの正方形の各コーナに配置され得る。プルーフマスカルテットが、たとえば
図2a〜
図2eおよび
図3a〜
図3bに示されている十字型など、何らかの他の形状の領域をカバーする場合、コーナ要素は当該形状を包囲する正方形のコーナに配置され得る。任意のプルーフマス形状については、コーナ要素は有利には、横軸および交差軸に対して45°の角度に向けられ、プルーフマスカルテットの中心点と交差する軸上に対称的に配置される。コーナ要素は剛性であり、任意の形状を有してもよい。
【0116】
隣接するコーナ要素から成る各対は、1つまたは複数の接線方向サスペンダ11111〜11112、11121〜11122、11131〜11132および11141〜11142によって相互接続することができる。各接線方向サスペンダは、隣接するプルーフマスに取り付けられる。
図11は、たとえば、第1の接線方向サスペンダ11111が第1のコーナ要素から第1のプルーフマス1111まで延伸し、第2の接線方向サスペンダ11112が第2のコーナ要素1132から第1のプルーフマス1111まで延伸するデバイスを示す。代替的に、1つの長い接線方向サスペンダが、第1のコーナ要素1131から第2のコーナ要素1132まで延伸し、中央において第1のプルーフマス1111に取り付けられてもよい。
【0117】
接線方向サスペンダ11111〜11112、11121〜11122、11131〜11132および111414〜11142は、プルーフマス上の半径方向運動に柔軟に対応するように、半径方向に柔軟である。接線方向サスペンダは、x軸およびy軸二次振動モードに対応するように、面外方向にも柔軟である。ただし、各コーナ要素1131〜1134は、垂直方向に剛性の半径方向サスペンダのセットによってデバイス平面内に保持される。
【0118】
半径方向サスペンダ1141〜1144は、それぞれ、プルーフマス間にある内側アンカーポイント1151〜1154に取り付けられる。他方、半径方向サスペンダ1161〜1164は、プルーフマスの外側にある外側アンカーポイント1171〜1174に取り付けられる。
図11に示されるように、複数の半径方向サスペンダを各コーナ要素1131〜1134に接続することができ、1つのコーナ要素を内側アンカーポイントと外側アンカーポイントの両方に接続することができる。代替的に、半径方向サスペンダは1つだけ使用されてもよい。
【0119】
いずれの場合でも、半径方向サスペンダは好ましくは、
図11の左下隅から右上隅に延伸する3つの半径方向軸などの半径方向軸上で正確に位置整合されるべきである。結果、半径方向サスペンダは、
図2bおよび
図3aに示す面内接線振動モードに対応することができる。半径方向サスペンダは、x軸二次振動モードをy軸二次振動モードに結合し、結果、x軸とy軸との回転検知を混合する可能性のある、コーナ要素1131〜1134の回転または線形運動に抵抗するために、垂直方向に剛性であるべきである。
【0120】
すべてのマスが同時に接線方向に動くと、半径方向サスペンダが弾性エネルギーを保存および放出することができるため、
図11に示す周辺サスペンション構成は、構造的支持の提供に加えて、
図2bおよび
図3aに示す接線振動モードを同期させることができる。半径方向サスペンダおよびコーナ要素は、2つの隣接するプルーフマスが反対方向に動く動きに抵抗する。
【0121】
半径方向サスペンダは、曲げによって許容される接線方向の動き、および、接線方向サスペンダが中央の面内曲げによって対応する半径方向拍動運動を除き、プルーフマスのすべての面内運動に抵抗する。半径方向サスペンダはまた、C字型への面外曲げによって接線方向サスペンダが対応する、一対の対向するプルーフマス(1111+1112または1113+1114)の回転運動を除く、すべての面外運動も妨げる。プルーフマス1111および1112のx軸を中心とした回転、ならびに、プルーフマス1113および1114のy軸を中心とした回転は、接線方向サスペンダを強制的にS字型に曲げるため、抵抗される。前述したように、S字型に変形するには、C字型に変形するよりも8倍の力またはトルクが必要である。
【0122】
プルーフマスカルテット間の同期
図12aは、第1のプルーフマスカルテットと第2のプルーフマスカルテットとの間の同期構成の一例を示す。参照符号1211〜1214および1221〜1224は、それぞれ
図2a〜
図2eの参照符号211〜214および221〜224、ならびに
図3a〜
図3bの参照符号311〜314および321〜324に対応する。参照符号124は、それぞれ
図2aおよび
図3bの参照符号255および355に対応する。
【0123】
プルーフマス1212と1221との間に結合ばね124が取り付けられている。ばね124は、プルーフマス1212から1221へ、またはその逆に、横方向、交差方向、および面外方向の運動を伝達し、結果、プルーフマス対1211+1212および1221+1222の一次振動モード、z軸二次振動モード、および1つの面外二次振動モードが効率的に同期される。プルーフマス対1213+1214および1223+1224の動きは、結合ばね124によって直接同期されないが、ばね124によって与えられる同期は、上記の中央同期要素を介して、または以下に説明する周辺同期要素を介して、対1211+1212から対1213+1214および1223+1224に間接的に伝達することができる。
【0124】
結合ばね124は、交差方向の線形運動に対して比較的剛性であり得、結果、1つのマスが正のy方向に動く一方、他方のマスが負のy方向に動く、1212と1221との間の交差方向逆位相運動が妨げられる。結合ばね124は、z軸を中心とした回転に対して柔軟であり得、プルーフマス1212と1221との間の面内傾斜角を可能にする。ばねはまた、第3の交差軸1293を中心とした回転に対しても柔軟であり得、結果、プルーフマス間の傾斜角を許容することによりプルーフマスの面外回転運動を可能にするが、1212と1221との間の逆位相面外運動は許容しない。
【0125】
図12bおよび
図12cは、結合ばね124の可能な構造を、断面図および面内図として示している。ばね124は、交差軸1293の方向に少なくとも1つのバー125を含むことができ、バー125は、面内柔軟性およびねじれ柔軟性を有するが、面外曲げに対しては剛性である。プルーフマス1212または1221の一方はバー125の中点に取り付けられ、他方のプルーフマスはバーの端部に取り付けられる。好ましくは、ばね124は、端部において互いに取り付けられ、中点においてプルーフマスに取り付けられた2つのバー125を含み、対称である。他のばね構造物を使用することもできる。
【0126】
一般に、第1のプルーフマスカルテット内の第2のプルーフマスは、デバイス平面内で第3の交差軸1293上に位置整合された少なくとも1つの結合ばね124によって第2のプルーフマスカルテット内の第1のプルーフマスに機械的に結合され得る。
【0127】
少なくとも1つの結合ばね124は、第1のプルーフマスカルテット内の第2のプルーフマス1212および第2のプルーフマスカルテット内の第1のプルーフマス1221が、対応する交差軸を中心として反対の面外方向に同時に回転することを可能にすることができる。これらの対応する交差軸は第1の交差軸および第2の交差軸であってもよく、結果、1212が第1の交差軸を中心として回転する一方で、1221が第2の交差軸を中心として回転し、または、それらの交差軸は、それぞれプルーフマス1212および1221を通過する交差軸であってもよい。
【0128】
結合ばね124はまた、第1のプルーフマスカルテット内の第2のプルーフマス1212および第2のプルーフマスカルテット内の第1のプルーフマス1221が、対応する垂直軸を中心として反対の面内方向に同時に回転することを可能にすることもできる。これらの対応する垂直軸は、第1のカルテット中心点および第2のカルテット中心点と交差する垂直軸であってもよく、結果、1212は第1のカルテット中心点と交差する垂直軸を中心として回転し、一方、1221は第2のカルテット中心点と交差する垂直軸を中心として回転する、またはそれらの垂直軸は、それぞれプルーフマス1212および1221を通過する垂直軸であってもよい。
【0129】
少なくとも1つの結合ばね124は、第1のプルーフマスカルテット内の第2のプルーフマス1212および第2のプルーフマスカルテット内の第1のプルーフマス1221の、横軸に平行な、任意の交差軸に平行な、または任意の垂直軸に平行な方向における同時の同位相線形並進をさらに可能にし得る。
【0130】
少なくとも1つの結合ばね124は、第1のプルーフマスカルテット内の第2のプルーフマス1212および第2のプルーフマスカルテット内の第1のプルーフマス1221の、対応する交差軸を中心とした同じ面外方向における同時回転にさらに抵抗し得る。これらの対応する交差軸は第1の交差軸および第2の交差軸であってもよく、結果、1212が第1の交差軸を中心として回転する一方で、1221が第2の交差軸を中心として回転し、または、それらの交差軸は、それぞれプルーフマス1212および1221を通過する交差軸であってもよい。
【0131】
少なくとも1つの結合ばね124は、第1のプルーフマスカルテット内の第2のプルーフマス1212および第2のプルーフマスカルテット内の第1のプルーフマス1221の、対応する垂直軸を中心とした同じ面内方向への同時回転にさらに抵抗し得る。これらの対応する垂直軸は、第1のカルテット中心点および第2のカルテット中心点と交差する垂直軸であってもよく、結果、1212は第1のカルテット中心点と交差する垂直軸を中心として回転し、一方、1221は第2のカルテット中心点と交差する垂直軸を中心として回転する、またはそれらの垂直軸は、それぞれプルーフマス1212および1221を通過する垂直軸であってもよい。
【0132】
少なくとも1つの結合ばね124は、第1のプルーフマスカルテット内の第2のプルーフマス1212および第2のプルーフマスカルテット内の第1のプルーフマス1221の、任意の交差軸または任意の垂直軸に平行な対向する方向における同時の逆位相線形並進にさらに抵抗し得る。
【0133】
最後に、少なくとも1つの結合ばね124はまた、第1のプルーフマスカルテット内の第2のプルーフマスおよび第2のプルーフマスカルテット内の第1のプルーフマスの、横軸を中心とした対向する方向における同時回転にも抵抗し得る。
【0134】
プルーフマスカルテット内の他のプルーフマスは、たとえば
図13aに示す種類の周辺同期要素と接続することができる。参照符号1311〜1314および1321〜1324は、それぞれ
図2a〜
図2eの参照符号211〜214および221〜224、ならびに
図3a〜
図3bの参照符号311〜314および321〜324に対応する。
【0135】
図13aに示すように、同期構造は、横軸の上方にある上部と、横軸の下方にある別個の下部とを備えている。下部のみを詳細に説明する。同じ考慮事項が上部にも当てはまる。
【0136】
図13aに示される下部同期構造は、第3の交差軸上で位置整合されたアンカーポイント1351を含む。アンカーポイント1351は、必ずしもそうである必要はないが、第1のカルテット内の第4のプルーフマス1314と第2のカルテット内の第4のプルーフマス1324との間に位置してもよい。アンカーポイントはまた、同期構造の外側に位置してもよい。当該構造は、交差方向のトーション/たわみバー1361〜1362によって、アンカーポイント1351、ならびに、プルーフマス1314および1324に接続された相対的に剛性の横方向シーソー1371をさらに備える。これらのトーション/たわみバーは、面内曲げおよびねじれに対して柔軟であるが、面外曲げに対しては剛性である。これらのトーション/たわみバーは、横方向シーソー1371が第3の交差軸を中心として回転することを可能にし、結果、x軸およびy軸二次振動モードにおいて第4のプルーフマス1314および1324の動きを同期させることを可能にする。
【0137】
上部同期構造は、対応して、第3のプルーフマス1313および1323の動きを同期させることができる。トーション/たわみバー1361〜1362はまた、垂直軸に沿った横方向シーソー1371の線形運動にも抵抗することができ、結果、第4のプルーフマス1314および1324の面外同位相振動モードを防止することができる。上部同期構造は、対応して、第3のプルーフマス1313および1323の同位相面外振動に抵抗することができる。
【0138】
トーション/たわみバー1361〜1362はまた、横方向シーソー1371が垂直軸を中心として回転することを可能にし、結果、
図2aおよび
図3bに示す第4のプルーフマス1314および1324の半径方向の面内逆位相振動を同期させることを可能にすることもできる。上部同期構造は、対応して、第3のプルーフマス1313および1323の面内逆位相振動を同期させることができる。トーション/たわみバー1361〜1362はまた、交差軸に沿った横方向シーソー1371の線形運動に抵抗することもでき、結果、第4のプルーフマス1314および1324の半径方向の面内同位相振動モードを防止することができる。上部同期構造は、対応して、第3のプルーフマス1313および1323の面内同位相振動に抵抗することができる。
【0139】
トーション/たわみバー1362は、面内曲げに対して柔軟であり、したがって、
図2bおよび
図3aに示されるプルーフマス1314および1324の面内接線方向逆位相振動を可能にするが、当該逆位相振動を同期させず、対応する同位相振動も防止しない。対応して、上部同期構造は、第3のプルーフマス1313および1323の面内接線方向逆位相振動を可能にするが、当該逆位相振動を同期させず、対応する同位相振動も防止しない。
【0140】
図13bは、
図13aを参照して上述した第1の横方向シーソー1371および第2の横方向シーソー1372を備える拡張周辺同期構造を示している。当該構造は、ジャイロスコープの対向する両側に2つの横方向アンカーポイント1352および1353をさらに備える。第1の交差方向シーソー1381は、トーションバーを用いて第1の横方向アンカーポイント1352に取り付けられ、第2の交差方向シーソー1382は、トーションバーを用いて第2の横方向アンカーポイント1353に取り付けられる。
【0141】
当該交差方向シーソー1381および1382の端部は、
図13bに示されるように横方向シーソー1371および1372の端部に取り付けられ、結果、シーソーはともに、プルーフマスカルテットの周りにフレーム状構造を形成する。これにより、プルーフマス対1313+1314の面外振動が、x軸およびy軸二次振動モードにおけるプルーフマス対1323+1324の面外振動と逆位相に同期されることが可能になる。
【0142】
面外振動はまた、本開示に示されていない他の手段によって同期されてもよい。
【0143】
駆動およびセンストランスデューサ
一次振動を促進するために、容量性またはピエゾ駆動トランスデューサをジャイロスコープに組み込むことができる。ジャイロスコープは、駆動トランスデューサに駆動電圧信号を印加するように構成された制御ユニットを備えることができる。駆動電圧信号の周波数は、一次振動モードの共振周波数を部分的に決定することができ、駆動電圧信号の振幅は、一次振動モードの振幅を部分的に決定することができる。同じ駆動電圧信号を複数の駆動トランスデューサに印加することができる。代替的に、2つの別個の駆動電圧信号が使用されてもよく、第1の駆動電圧信号と第2の駆動電圧信号との間の位相差は180度であってもよい。第1の駆動電圧信号が、第1のプルーフマスカルテット内の駆動トランスデューサに印加されてもよく、第2の駆動電圧信号が、第2のプルーフマスカルテット内の駆動トランスデューサに印加されてもよい。同じプルーフマスカルテット内のマスに、異なる駆動電圧信号を印加することもできる。一次振動を駆動するために、他の多くの駆動信号の代替形態も可能である。
【0144】
コリオリの力によって誘導される二次振動モードを測定するために、容量性またはピエゾセンストランスデューサをジャイロスコープに組み込むことができる。制御ユニットは、センストランスデューサからのセンス電圧信号を測定するように構成することができる。センス電圧信号の振幅を使用して、対応する角回転速度を計算することができる。センス電圧信号は、別個のセンストランスデューサから取り出される、いくつかのセンス信号成分の合計として生成することができる。
【0145】
図14aは、4つの容量性外側駆動トランスデューサ1411を備えたプルーフマスカルテットを示している。各トランスデューサは、部分的に可動なプルーフマス上のロータフィンガ電極のセットと、隣接する固定構造上の固定フィンガ電極のセットとを備える(固定構造は図示されていない)。この幾何形状では、容量性駆動トランスデューサを使用して、第1の一次振動モードを駆動することができる。
【0146】
図14bは、4つの容量性外側駆動トランスデューサ1412および4つの容量性内側駆動トランスデューサ1422を備えたプルーフマスカルテットを示している。内部駆動トランスデューサは、それぞれのプルーフマス内に形成された開口部内に位置する。この幾何形状では、容量性駆動トランスデューサを使用して、第2の一次振動モードを駆動することができる。
【0147】
センストランスデューサについても同様の構成を行うことができる。
図15aは、4つの容量性外側センストランスデューサ1512および4つの容量性内側センストランスデューサ1522を備えたプルーフマスカルテットを示している。一部のセンストランスデューサが横方向に向けられたフィンガを備え、他のセンストランスデューサが交差方向に向けられたフィンガを備えるとき、半径方向と接線方向の両方の面内運動を検出することができる。
【0148】
図15bは、第1のプルーフマス151、第2のプルーフマス152、および面外振動を検出するための容量性センストランスデューサを備えたプルーフマスカルテットを示している。センストランスデューサは、プルーフマスの上方および/または下方に平面電極を備えている。上の図では、平面電極の位置が破線で示されている。
図15bに示すように、平面電極の領域がプルーフマスの領域内に含有され得るか、または、プルーフマスの領域が平面電極の領域内に含有され得る。これらの領域間の重複は、マスが面内振動を受けるときに変化しないことが望ましい。これは、面外センス信号に望ましくない変調を加える可能性があるためである。
【0149】
図15bの下側部分は、支持基板159の表面上の平面電極1511および1512を示している。対向する平面電極(図示せず)がプルーフマス151および152上に形成され得、結果、x軸およびy軸二次モードが検出されると、容量性平行平板測定を実行することができる。代替的に、プルーフマス151および152は、それ自体が容量性センストランスデューサの第2の平面電極として使用されてもよい。