特許第6973523号(P6973523)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6973523PCB金属組織試験片操作システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6973523
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】PCB金属組織試験片操作システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/32 20060101AFI20211118BHJP
   G01N 1/28 20060101ALI20211118BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   G01N1/32 A
   G01N1/28 F
   H05K3/00 Q
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-23656(P2020-23656)
(22)【出願日】2020年2月14日
(65)【公開番号】特開2021-128093(P2021-128093A)
(43)【公開日】2021年9月2日
【審査請求日】2020年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】520054817
【氏名又は名称】陳斯明
(74)【代理人】
【識別番号】100087918
【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 耕平
(72)【発明者】
【氏名】陳斯明
【審査官】 佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−507882(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103753378(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第106985054(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第101030518(CN,A)
【文献】 中国実用新案第204259281(CN,U)
【文献】 特表2000−511695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 − 1/44 、
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子製品の製造品質を検査するための金属組織検鏡を行う前に予め完了するPCB金属組織試験片の研磨、仕上げ及びマイクロエッチングを含むプリセット処理に供される設備からなるPCB金属組織試験片操作システムであって、
基台枠を有する調整装置と、位置決めブロックと副クランプブロックとを有するクラン
プ具と、前記調整装置付近に設けられると共に、前記調整装置に向けて撮像を行って拡大
画像を撮影するための撮像装置と、前記撮像装置に電気的に接続される表示装置と、前記
表示装置に電気的に接続される基準線生成モジュールと、前記クランプ具を装着するために供される自動研磨仕上げ装置とを備えてなり、
前記基台枠によって作業空間が画定され、前記基台枠の頂部に昇降ネジレバーが螺着さ
れ、前記昇降ネジレバーは、前記作業空間内に位置する昇降嵌合ブロックに連結され、前記作業空間内に、縦方向と横方向に変位可能な可動ステージが設けられ、前記可動ステージが可動ステージ制御機構に連結され、
前記位置決めブロックの頂部と一の側面に、それぞれ上部嵌合溝と側部嵌合溝とが凹設され、前記位置決めブロックの底部からは主クランプブロックが凸出形成され、前記主クランプブロックに締付ネジレバーが螺着され、前記副クランプブロックの頂部は副クランプブロック嵌合部が凸出形成され、前記副クランプブロックに、ネジ孔が開設され、前記副クランプブロック嵌合部は、前記位置決めブロックの前記側部嵌合溝に嵌入するために用いられると同時に、前記ネジ孔は、前記締付ネジレバーをロックするために供され、そして前記位置決めブロックの前記上部嵌合溝は、前記調整装置の前記昇降嵌合ブロックと互いに嵌合するために用いられ、
前記表示装置は、前記撮像装置によって撮影された拡大画像を表示させるために用いら
れ、
前記基準線生成モジュールは、前記表示装置の表示画面に少なくとも1本の基準線を生
成させるために用いられ、
前記基準線を基準にして、PCB金属組織試験片を所定の位置まで調整して締付ネジレバーを緊締し、
前記クランプ具を、前記調整装置から取り外した状態で、前記クランプ具の上部嵌合溝と、前記自動研磨仕上げ装置のチャック嵌合ブロックを嵌合させて前記PCB金属組織試験片を研磨することを特徴とするPCB金属組織試験片操作システム。
【請求項2】
前記自動研磨仕上げ装置は、研磨ステージを有し、前記研磨ステージは、少なくとも1
つの研磨盤と、仕上げ盤とを含み、各前記研磨盤と前記仕上げ盤は、それぞれモータに連
結され、前記研磨ステージ上に、また三軸駆動機構が設けられ、前記三軸駆動機構がチャ
ックに連結され、前記チャックは、少なくとも1つのチャック嵌合ブロックを有し、当該
チャック嵌合ブロックは、前記クランプ具の前記上部嵌合溝に嵌合するために用いられ、
前記三軸駆動機構と各前記モータは、同時に制御モジュールに電気的に接続されることを
特徴とする請求項1に記載のPCB金属組織試験片操作システム。
【請求項3】
電子製品の製造品質を検査するための金属組織検鏡を行う前に予め完了する金属組織試験片の研磨、仕上げ及びマイクロエッチングを含むプリセット処理工程からなるPCB金属組織試験片操作方法であって、
撮像装置を使用して調整装置に位置合わせて拡大画像を生成する撮像工程と、
前記撮像装置で録画されている画像を表示装置に表示させる表示工程と、
基準線生成モジュールを利用して前記表示装置の表示画面に少なくとも1本の基準線を
生成する基準線生成工程と、
埋込金属組織試験片を挟み込むクランプ具を前記調整装置に装着することで、前記埋込金属組織試験片の拡大画像を前記表示装置に表示させ、そして前記表示装置を観察しながら前記調整装置を操作することにより、前記クランプ具は、固定不動状態前記埋込金属組織試験片を、基準線を基準にして対応する所要位置まで調整し、その後、前記クランプ具で前記埋込金属組織試験片を緊挟持する標定工程と、
前記標定工程の完了後、前記クランプ具を調整装置から取り外した状態で、前記クランプ具の上部嵌合溝と、自動研磨仕上げ装置のチャック嵌合ブロックを嵌合させて研磨する自動研磨仕上げ工程を含むことを特徴とするPCB金属組織試験片操作方法。
【請求項4】
前記自動研磨仕上げ工程は、標定後、前記クランプ具を自動研磨仕上げ装置のチャックに装着すると共に、研磨と仕上げ作業のパラメータ値を入力し、前記自動研磨仕上げ装置により研磨と仕上げ作業を自動的に完了させることを特徴とする、請求項4に記載のPCB金属組織試験片操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業製品の処理設備及びステッププロセスに関するものであり、さらに詳しくは、PCB金属組織試験片操作システム及びPCB金属組織試験片の操作方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属組織検鏡は、PCB(Printed circuit board,プリント回路板)などの電子製品の製造品質を検査するために用いられている。そして金属組織検鏡を行う前に、まず、金属組織試験片を金型内に埋め込んでから、研磨、仕上げとマイクロエッチングなどを含むプリセット処理ステップを予め完了する必要があり、それにより作業員が金属組織試験片の所定位置の断面を顕微鏡を使って観察することを容易に行うことができる。
【発明の概要】
【0003】
これまで、既に埋め込まれた金属組織試験片に対して研磨仕上げを行う場合においては、常に作業員自身の経験技術に頼って完成せざるを得ないことが多かった。従って、研磨仕上げを行う過程において、研磨が深すぎて所要の位置を超えてしまうのを避けるように、作業員が試験片を観察するためには作業の一時中断を繰り返する必要がある。しかし、この種の方式では、時間と手間がかなりかかって効率が悪かった上、研磨精密度も比較的に不足しており、かつ作業員の不注意または経験不足のせいで、過研磨が生じてしまって試験片を新たに製作する必要が生じることがあり、労働力コストと時間コストをさらに増加してしまうおそれがあった。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の第一の課題は、作業員にとって時間と労力をより省くことができるようにサポートすることが可能な金属組織検鏡のプリセット処理を完了する設備を提供することにある。また、本発明の第二の課題は、金属組織検鏡のプリセット方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、調整装置と、クランプ具と、撮像装置と、表示装置と、基準線生成モジュールと、自動研磨仕上げ装置とを備える。
調整装置は、基台枠を有し、基台枠によって作業空間が画定され、基台枠の頂部に昇降ネジレバーが螺着され、昇降ネジレバーは、また作業空間内に位置する昇降嵌合ブロックに連結され、昇降ネジレバーを回転させると、昇降嵌合ブロックを上下に変位させるように制御することができ、作業空間内に、また縦方向と横方向に変位可能な可動ステージが設けられ、可動ステージが可動ステージ制御機構に連結され、可動ステージ制御機構は、可動ステージの変位を制御するために用いられる。
クランプ具は、位置決めブロックと副クランプブロックとを有し、位置決めブロックの頂部と一側にそれぞれ上部嵌合溝と側部嵌合溝とが凹設され、位置決めブロックの底部からは主クランプブロックが凸出形成され、主クランプブロックに締付ネジレバーが螺着され、副クランプブロックの頂部からは副クランプブロック嵌合部が凸出形成され、副クランプブロックに、またネジ孔が開設され、副クランプブロック嵌合部は、位置決めブロックの側部嵌合溝に嵌入するために用いられると同時に、ネジ孔は、締付ネジレバーをロックするために供され、それにより副クランプブロックと主クランプブロックとで埋込試験片を一緒に挟み込んで係止することができ、そして位置決めブロックの上部嵌合溝は、調整装置の昇降嵌合ブロックと互いに嵌合するために用いられる。
撮像装置は、調整装置付近に設けられると共に、調整装置に向けて撮像を行い、その撮像装置は、拡大画像を撮影するために用いられる。
表示装置は、撮像装置に電気的に接続され、その表示装置は、撮像装置によって撮影された拡大画像を表示させるために用いられる。
基準線生成モジュールは、表示装置に電気的に接続され、その基準線生成モジュールは、表示装置の表示画面に少なくとも1本の基準線を生成させるために用いられる。
自動研磨仕上げ装置は、研磨ステージを有し、研磨ステージは、少なくとも1つの研磨盤と、仕上げ盤とを含み、各当該研磨盤と仕上げ盤は、それぞれモータに連結されて駆動により回転され、研磨ステージ上に、また三軸駆動機構が設けられ、三軸駆動機構がチャックに連結され、チャックは、少なくとも1つのチャック嵌合ブロックを有し、当該チャック嵌合ブロックは、クランプ具の上部嵌合溝に嵌合するために用いられ、三軸駆動機構と各モータは、同時に制御モジュールに電気的に接続され、制御モジュールは、作業員が研磨と仕上げ作業のためのパラメータ値を設定するために供され、制御モジュールは、また設定したパラメータ値に基づき、三軸駆動機構と各モータの作動を自動制御して研磨仕上げを完了する。
【0006】
また、PCB金属組織試験片操作方法を行う場合、撮像装置により調整装置に向けて拡大画像を生成すると共に、その拡大画像を表示装置に表示させ、かつ基準線生成モジュールにより表示装置の画面に基準線を生成し、その後、クランプ具を利用して既に埋め込まれた金属組織試験片を挟み込むが、緊挟持しておらず、それからクランプ具を調整装置の昇降嵌合ブロックに装着することで、埋込試験片を可動ステージに接触させ、次いで表示装置に、また埋込試験片の拡大画像を表示させ、そして昇降ネジレバーを利用して昇降嵌合ブロックとクランプ具を基準位置まで調整した後、表示装置に表示した拡大画像と基準線を観察しながら可動ステージ制御機構を操作し、クランプ具で埋込試験片を緊挟持していないため、埋込試験片を可動ステージに伴って変位し、次いで埋込試験片を埋込試験片画像の所定位置に位置合わせて基準線まで調整した後、それから締付ネジレバーを緊締してクランプ具で埋込試験片を緊挟持すれば、いわゆる標定を完了する。
標定完了後、クランプ具を調整装置から取り外した状態で、自動研磨仕上げ装置のチャック嵌合ブロックに装着すると共に、制御モジュールに研磨と仕上げ作業のパラメータ値を入力し、そして研磨仕上げ作業を起動した後、制御モジュールにより三軸駆動機構を自動制御してチャックを順次に回転する各研磨盤と仕上げ盤付近まで駆動し、埋込試験片の研磨仕上げ作業を完了させる。
【0007】
かくして、本発明の要旨は、次の(1)〜(6)に記載の通りのものである。
【0008】
(1)基台枠を有する調整装置と、位置決めブロックと副クランプブロックとを有するクランプ具と、前記調整装置付近に設けられると共に、前記調整装置に向けて撮像を行って拡大画像を撮影するための撮像装置と、前記撮像装置に電気的に接続される表示装置と、前記表示装置に電気的に接続される基準線生成モジュールとを備えるPCB金属組織試験片操作システムであって、
前記基台枠によって作業空間が画定され、前記基台枠の頂部に昇降ネジレバーが螺着され、前記昇降ネジレバーは、また前記作業空間内に位置する昇降嵌合ブロックに連結され、前記作業空間内に、また縦方向と横方向に変位可能な可動ステージが設けられ、前記可動ステージが可動ステージ制御機構に連結され、
前記位置決めブロックの頂部と一側にそれぞれ上部嵌合溝と側部嵌合溝とが凹設され、前記位置決めブロックの底部からは主クランプブロックが凸出形成され、前記主クランプブロックに締付ネジレバーが螺着され、前記副クランプブロックの頂部からは副クランプブロック嵌合部が凸出形成され、前記副クランプブロックに、またネジ孔が開設され、前記副クランプブロック嵌合部は、前記位置決めブロックの前記側部嵌合溝に嵌入するために用いられると同時に、前記ネジ孔は、前記締付ネジレバーをロックするために供され、そして前記位置決めブロックの前記上部嵌合溝は、前記調整装置の前記昇降嵌合ブロックと互いに嵌合するために用いられ、
前記表示装置は、前記撮像装置によって撮影された拡大画像を表示させるために用いられ、
前記基準線生成モジュールは、前記表示装置の表示画面に少なくとも1本の基準線を生成させるために用いられることを特徴とするPCB金属組織試験片操作システム。
【0009】
(2)前記クランプ具を装着するために供される自動研磨仕上げ装置をさらに備えることを特徴とする前記(1)に記載のPCB金属組織試験片操作システム。
【0010】
(3)前記自動研磨仕上げ装置は、研磨ステージを有し、前記研磨ステージは、少なくとも1つの研磨盤と、仕上げ盤とを含み、各当該研磨盤と前記仕上げ盤は、それぞれモータに連結され、前記研磨ステージ上に、また三軸駆動機構が設けられ、前記三軸駆動機構がチャックに連結され、前記チャックは、少なくとも1つのチャック嵌合ブロックを有し、当該チャック嵌合ブロックは、前記クランプ具の前記上部嵌合溝に嵌合するために用いられ、前記三軸駆動機構と各前記モータは、同時に制御モジュールに電気的に接続されることを特徴とする前記(2)に記載のPCB金属組織試験片操作システム。
【0011】
(4)当該研磨盤と前記仕上げ盤の底面からは重量バランス部が凸出形成されることを特徴とする前記(3)に記載のPCB金属組織試験片操作システム。
【0012】
(5)撮像装置を使用して調整装置に位置合わせて拡大画像を生成する撮像工程と、
前記撮像装置で録画された画像を表示装置に表示させる表示工程と、
基準線生成モジュールを利用して前記表示装置の表示画面に少なくとも1本の基準線を生成する基準線生成工程と、
埋込試験片を挟み込むクランプ具を前記調整装置に装着することで、前記埋込試験片の拡大画像を前記表示装置に表示させ、そして前記表示装置を観察しながら前記調整装置を操作することにより、前記クランプ具は、固定不動状態で前記埋込試験片の画像を基準線に対応する所要位置まで調整し、その後、前記クランプ具で前記埋込試験片を緊挟持する標定工程とを含むことを特徴とするPCB金属組織試験片操作方法。
【0013】
(6)前記標定工程の後の自動研磨仕上げ工程をさらに含み、標定後、前記クランプ具を自動研磨仕上げ装置のチャックに装着すると共に、研磨と仕上げ作業のパラメータ値を入力し、前記自動研磨仕上げ装置により研磨と仕上げ作業を自動的に完了させることを特徴とする前記(5)に記載のPCB金属組織試験片操作方法。
【発明の効果】
【0014】
よって、従来のように、労働力を用いて埋込試験片の研磨仕上げ作業を完了する時に比較的に時間と労力がかかるものに比べ、本発明は、予め埋込試験片を必要位置に標定することにより、自動研磨仕上げ装置の使用に合わせて、埋込試験片に対して精密な研磨仕上げを行うことができると共に、省時化と省力化の効果を達成できることから、進歩性をかなり有する創作と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るPCB金属組織試験片操作システムを示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るPCB金属組織試験片操作システムの調整装置とクランプ具を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るPCB金属組織試験片操作システムの撮像装置、表示装置と基準線生成モジュールを示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係るPCB金属組織試験片操作システムのクランプ具を調整装置に装着する態様を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係るPCB金属組織試験片操作システムの調整装置によってクランプ具を基準位置に変位させる作動図である。
図6】本発明の一実施形態に係るPCB金属組織試験片操作システムの標定実行時の作動図である。
図7】本発明の一実施形態に係るPCB金属組織試験片操作システムの標定実行時の別の作動図である。
図8】本発明の一実施形態に係るPCB金属組織試験片操作システムの自動研磨仕上げ装置を示す斜視図である。
図9】本発明の一実施形態に係るPCB金属組織試験片操作方法のステップを示すプロセス図である。
図10】本発明の一実施形態に係るPCB金属組織試験片操作システムの研磨盤が重量バランス部を有する態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1図3及び図8に示すように、本発明に係るPCB金属組織試験片操作システムは、埋込試験片Sに対して金属組織検鏡のプリセット処理を行う。操作システムは、調整装置1と、クランプ具2と、撮像装置3と、表示装置4と、基準線生成モジュール5と、自動研磨仕上げ装置6とを備える。
【0017】
調整装置1は、基台枠11を有し、基台枠11によって作業空間111が画定され、基台枠11の頂部に昇降ネジレバー12が螺着され、昇降ネジレバー12は、また作業空間111内に位置する昇降嵌合ブロック13に連結され、昇降ネジレバー12を回転させることにより、昇降嵌合ブロック13を上下に変位させるように制御することができ、作業空間111内に、また縦方向と横方向に変位可能な可動ステージ14が設けられ、可動ステージ14が可動ステージ制御機構15に連結され、可動ステージ制御機構15は、複数個のノブを有し、異なるノブを回転させることにより、可動ステージ14の変位を制御することができる。
クランプ具2は、位置決めブロック21と副クランプブロック26とを有し、位置決めブロック21の頂部と一側にそれぞれ上部嵌合溝22と側部嵌合溝23とが凹設され、位置決めブロック21の底部からは主クランプブロック24が凸出形成され、主クランプブロック24に締付ネジレバー25が螺着され、副クランプブロック26の頂部からは副クランプブロック嵌合部27が凸出形成され、副クランプブロック26に、またネジ孔28が開設され、副クランプブロック嵌合部27は、位置決めブロック21の側部嵌合溝23に嵌入するために用いられると同時に、ネジ孔28は、締付ネジレバー25をロックするために供され、それにより副クランプブロック26と主クランプブロック24とで埋込試験片Sを一緒に挟み込んで係止することができ、そして位置決めブロック21の上部嵌合溝22は、調整装置1の昇降嵌合ブロック13と互いに嵌合するために用いられる。
撮像装置3は、調整装置1付近に設けられると共に、調整装置1に向けて撮像を行い、その撮像装置3は、拡大画像を撮影するために用いられる。
表示装置4は、撮像装置3に電気的に接続され、その表示装置4は、撮像装置3によって撮影された拡大画像を表示させるために用いられる。
基準線生成モジュール5は、表示装置4に電気的に接続され、その基準線生成モジュール5は、表示装置4の表示画面に少なくとも1本の基準線Lを生成させるために用いられる。
自動研磨仕上げ装置6は、研磨ステージ61を有し、研磨ステージ61は、3つの研磨盤611と、仕上げ盤612とを含み、各当該研磨盤611と仕上げ盤612は、それぞれモータ613に連結されて駆動により回転され、粒度の異なる3つの当該研磨盤611を用いてそれぞれ粗研磨、中研磨、細研磨と段階的研磨を行うことができ、研磨ステージ61上に、また三軸駆動機構62が設けられ、三軸駆動機構62がチャック63に連結され、チャック63は、少なくとも1つのチャック嵌合ブロック631を有し、当該チャック嵌合ブロック631は、クランプ具2の上部嵌合溝22に嵌合するために用いられ、三軸駆動機構62と各モータ613は、同時に制御モジュール64に電気的に接続され、制御モジュール64は、作業員が作業のためのパラメータ値を設定するために供される設定パネルを有し、制御モジュール64は、また設定したパラメータ値に基づき、三軸駆動機構62と各モータ613の作動を自動制御する。
【0018】
図1図3及び図8に示すように、その内、昇降嵌合ブロック13、副クランプブロック嵌合部27と当該チャック嵌合ブロック631は、いずれも鳩尾ブロック状に形成され、上部嵌合溝22と側部嵌合溝23は、いずれも鳩尾溝状に形成される。
【0019】
図1図3に示すように、PCBなどの電子製品から切り取って製作した金属組織試験片に対して金属組織検鏡を行う前に、まず、順次に埋め込み、研磨と仕上げなどのプリセット処理を行う必要があることは一般的に知られる如くであり、ここでの埋込試験片Sとは、既に金型内に埋め込まれた金属組織試験片(重点ではないため、ここでは金属組織試験片が金型内に埋め込まれた状態を詳細に図示しない)を指し、なお、以下では、如何にして本システムを使用して埋め込み後の処理作業を完了するかを詳述する。
【0020】
図4に示すように、まず、クランプ具2の副クランプブロック嵌合部27を側部嵌合溝23に嵌入すると共に、締付ネジレバー25をネジ孔28内にロックすることで、主クランプブロック24と副クランプブロック26とで埋込試験片Sを軽く挟み込むが、埋込試験片Sをまだ緊挟持していない状態にあり、そして位置決めブロック21の上部嵌合溝22と調整装置1の昇降嵌合ブロック13を互いに嵌合させ、嵌合後、クランプ具2を昇降嵌合ブロック13の横方向に沿って撮像装置3によって撮像可能な位置までスライド移動させ、表示装置4に金属組織試験片の拡大画像を表示させて出力する。
【0021】
図5に示すように、表示装置4に金属組織試験片の拡大画像を表示させて出力することを確認した後、それから昇降ネジレバー12を回転させて昇降嵌合ブロック13とクランプ具2を共に基準位置まで変位させると共に、埋込試験片Sを可動ステージ14に接触させる。
【0022】
図6図7に示すように、埋込試験片Sを可動ステージ14に接触させた後、可動ステージ制御機構15の各個のノブを回転させて可動ステージ14の縦方向と横方向へのスライド移動を制御することができ、しかもクランプ具2の主クランプブロック24と副クランプブロック26とで単に埋込試験片Sを挟み込むが、緊挟持していないと共に、クランプ具2自体も既に昇降嵌合ブロック13に嵌合して位置決めされるので、埋込試験片Sを可動ステージ14に伴ってクランプ具2に対応してスライド移動させることができ、この時、表示装置4は、同時に金属組織試験片の拡大画像と基準線生成モジュール5によって生成された基準線Lを表示させるので、金属組織試験片の画像が表示画面中の上下左右に移動することを観察することにより、作業員が基準線Lを基準にして埋込試験片Sを所要の位置まで調整することができ、例を挙げて言えば、基準線Lは、上から下に順次に3本生成され、下から上への3本の基準線Lは、後続に粗研磨、中研磨と細研磨を行う時にそれぞれ到達すべき位置を示す線である。そのため、作業員が金属組織試験片の観察しようとする位置を最上方の基準線Lに位置合わせることで、後続に3つの研磨と仕上げを完了した後、金属組織試験片の観察しようとする断面を露出させて埋込試験片Sを所要の位置まで調整した後、作業員は、工具を用いて締付ネジレバー25を緊締することで、クランプ具2で埋込試験片Sを緊挟持することができ、そしてこのような過程は、標定と称される。
【0023】
図8に示すように、標定完了後、クランプ具2を調整装置1から取り外した状態で、それからクランプ具2の上部嵌合溝22と自動研磨仕上げ装置6のチャック嵌合ブロック631を嵌合させ、そして作業員が制御モジュール64に、粗研磨値、中研磨値や細研磨値などを含む研磨と仕上げ作業のパラメータ値を制御することができ、設定が完了して作業を起動した後、制御モジュール64により三軸駆動機構62を制御してチャック63を移動させるように駆動することで、チャック63で埋込試験片Sを順次に粗研磨盤611、中研磨盤611、細研磨盤611と仕上げ盤612付近に持ち込むと共に、パラメータ値に基づいて順次に粗研磨、中研磨、細研磨と仕上げ作業を自動的に完了させる。なお、事前に既に標定を介して埋込試験片Sを所要の位置に緊挟持させたので、設定した適切なパラメータ値に合わせて、金属組織試験片を精密研磨することができ、研磨が深すぎる状況の発生を回避することができる。
【0024】
図1図9に示すように、上記の操作システムの使用プロセスは、PCB金属組織試験片操作方法として見なすことができる。そのステップは、次のP1〜P5を含む。
撮像工程P1にて、撮像装置3を使用して調整装置1に位置合わせて拡大画像を生成する。
表示工程P2にて、撮像装置3で録画された画像を表示装置4に表示させる。
基準線生成工程P3にて、基準線生成モジュール5を利用して表示装置4の表示画面に少なくとも1本の基準線Lを生成する、
標定工程P4にて、埋込試験片Sを挟み込むクランプ具2を調整装置1に装着することで、埋込試験片Sの拡大画像を表示装置4に表示させ、そして表示装置4を観察しながら調整装置1を操作することにより、クランプ具2は、固定不動状態で埋込試験片Sの画像を基準線Lに対応する所要位置まで調整し、その後、クランプ具2で埋込試験片Sを緊挟持する。
自動研磨仕上げ工程P5にて、標定後、クランプ具2を自動研磨仕上げ装置6のチャック63に装着すると共に、研磨と仕上げ作業のパラメータ値を入力し、自動研磨仕上げ装置6により研磨と仕上げ作業を自動的に完了させる。
【0025】
図8図10に示すように、このほかに自動研磨仕上げ装置6の研磨盤611と仕上げ盤612の底面外縁からループ状の重量バランス部614が凸出形成されることで、研磨盤611と仕上げ盤612の底面を回動させる時、本来、軸受けと90度の角度を持つ離心ベクトル力を下向きに傾斜させると、90度の角度よりも小さい離心ベクトル力が得られ、このようにして軸受けボールを回動させる時、隙間が下向きに集中することが避けられない。しかるに、こうして研磨盤611と仕上げ盤612は、異なる研磨圧力を受けても、安定な研磨基準面(図中、研磨盤611のみを例として挙げる)を保持することができる。
【0026】
本発明のPCB金属組織試験片操作システム及び方法によれば、その利点は、標定を介して埋込試験片を所要の位置に緊挟持すると共に、自動研磨仕上げ機の使用に合わせて研磨仕上げを行った後、金属組織試験片を精密に所定の位置まで研磨することができ、研磨が深すぎる状況の発生を回避できると共に、省時化と省力化の効果を有するということである。
【符号の説明】
【0027】
1 調整装置
11 基台枠
111 作業空間
12 昇降ネジレバー
13 昇降嵌合ブロック
14 可動ステージ
15 可動ステージ制御機構
2 クランプ具
21 位置決めブロック
22 上部嵌合溝
23 側部嵌合溝
24 主クランプブロック
25 締付ネジレバー
26 副クランプブロック
27 副クランプブロック嵌合部
28 ネジ孔
3 撮像装置
4 表示装置
5 基準線生成モジュール
6 自動研磨仕上げ装置
61 研磨ステージ
611 研磨盤
612 仕上げ盤
613 モータ
614 重量バランス部
62 三軸駆動機構
63 チャック
631 チャック嵌合ブロック
64 制御モジュール
S 埋込試験片
L 基準線
P1 撮像工程
P2 表示工程
P3 基準線生成工程
P4 標定工程
P5 自動研磨仕上げ工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10