(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記旋回部が、一の旋回運動の旋回終了点から次の旋回運動の旋回開始点に移動する際に、前記旋回部である前記X線源と、前記X線カメラと、前記保持部のうちのいずれかは、前記一の旋回運動の旋回円と前記次の旋回運動の旋回円とを、前記旋回終了点と前記旋回開始点において滑らかに結ぶ軌道である特定移動軌道に沿って移動し、
前記特定移動軌道は、前記旋回終了点および/または前記旋回開始点において前記旋回部の線速度が連続となる軌道であることを特徴とする、請求項1に記載のX線検査装置。
前記特定移動軌道は、前記旋回終了点および/または前記旋回開始点において前記旋回部の線速度及び加速度が連続、または、前記旋回終了点および/または前記旋回開始点において前記旋回部の線速度、加速度及び躍度が連続となる軌道であることを特徴とする、請求項2に記載のX線検査装置。
前記一の旋回運動の旋回円における旋回開始点および/または旋回終了点は、前の旋回運動及び前記次の旋回運動の旋回円の中心と前記一の旋回運動の旋回円の中心を結んだ直線と前記一の旋回運動の旋回円との2つ交点の、前記一の旋回運動の旋回円上における短い方の円弧の中点であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のX線検査装置。
前記一の旋回運動の旋回円上における短い方の円弧が特定できない場合には、前記一の旋回運動の旋回終了点と、前記次の旋回運動の旋回開始点とは、各旋回運動の旋回円において所定の角度位置に配置されることを特徴とする、請求項6に記載のX線検査装置。
前記一の旋回運動の旋回終了点と、前記次の旋回運動の旋回開始点とは、各旋回運動の旋回円において同一の角度位置に配置されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のX線検査装置。
前記旋回部は、前記X線源と、前記X線カメラと、前記保持部のうちのいずれか2つであり、前記特定移動軌道は、前記X線源と、前記X線カメラと、前記保持部のうちのいずれか2つのうち、より大きな半径の旋回運動を行う方の、前記一の旋回運動の旋回円と前記次の旋回運動の旋回円とを、前記旋回終了点と前記旋回開始点において滑らかに結ぶ軌道であることを特徴とする、請求項2から5のいずれか一項に記載のX線検査装置。
前記X線源と、前記X線カメラと、前記保持部のうちのいずれか2つのうち、より小さな半径の旋回運動を行う方は、前記X線源と、前記X線カメラと、前記保持部のうちのいずれか2つのうち、より大きな半径の旋回運動を行う方と同時に、次の旋回運動の旋回円における前記旋回開始点に到達することを特徴とする、請求項9に記載のX線検査装置。
前記特定移動軌道は、前記旋回部である前記X線源と、前記X線カメラと、前記保持部のうちのいずれかの、線速度及び軸速度のいずれかが所定の許容速度を超えない範囲で決定されることを特徴とする、請求項2から5のいずれか一項に記載のX線検査装置。
前記特定移動軌道は、前記旋回部である前記X線源と、前記X線カメラと、前記保持部のうちのいずれかに作用する加速度が所定の許容加速度を超えない範囲で決定されることを特徴とする、請求項2から5のいずれか一項に記載のX線検査装置。
前記特定移動軌道は、前記旋回部である前記X線源と、前記X線カメラと、前記保持部のうちのいずれかの移動範囲が、所定の許容移動範囲を超えないように決定されることを特徴とする、請求項2から5のいずれか一項に記載のX線検査装置。
前記旋回部である前記X線源と、前記X線カメラと、前記保持部のうちのいずれかの移動範囲が、所定の許容移動範囲を超えないように、前記特定移動軌道における前記旋回部の移動時間が決定されることを特徴とする、請求項2から5のいずれか一項に記載のX線検査装置。
前記旋回部は、前記X線源と前記X線カメラであり、前記保持部はX線検査装置内の所定位置に保持されることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載のX線検査装置。
前記旋回部が、一の旋回運動の旋回終了点から次の旋回運動の旋回開始点に移動する際に、前記旋回部である前記X線源と、前記X線カメラと、前記保持部のうちのいずれかに、前記一の旋回運動の旋回円と前記次の旋回運動の旋回円とを、前記旋回終了点と前記旋回開始点において滑らかに結ぶ軌道である特定移動軌道に沿って移動させ、
前記特定移動軌道は、前記旋回終了点および/または前記旋回開始点において前記旋回部の線速度が連続となる軌道であることを特徴とする、請求項16に記載のX線検査方法。
前記特定移動軌道は、前記旋回終了点および/または前記旋回開始点において前記旋回部の線速度及び加速度が連続、または、前記旋回終了点および/または前記旋回開始点において前記旋回部の線速度、加速度及び躍度が連続となる軌道であることを特徴とする、請求項17に記載のX線検査方法。
前記一の旋回運動の旋回円における旋回開始点および旋回終了点は、前の旋回運動及び前記次の旋回運動の旋回円の中心と前記一の旋回運動の旋回円の中心を結んだ直線と前記一の旋回運動の旋回円との2つ交点の、前記一の旋回運動の旋回円上における短い方の円弧の中点であることを特徴とする、請求項16から20のいずれか一項に記載のX線検査方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、X線検査装置における被検査物の検査時間を短縮できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための本発明は、検査対象に照射するX線を発生するX線源と、
前記X線源から前記検査対象に照射されたX線によるX線画像を撮影するX線カメラと、
前記検査対象を保持する保持部と、を備え、
前記X線源と、前記X線カメラと、前記保持部のうちのいずれかが、旋回部として旋回運動することで、撮影方向を変更しつつ前記X線画像を撮影して、前記検査対象の3次元画像を取得して検査するX線検査装置であって、
前記旋回部は、複数の場所において順次旋回運動するとともに、一の旋回運動の旋回終了点から次の旋回運動の旋回開始点へ移動するための移動運動を行い、
前記旋回部が、前記旋回運動及び前記移動運動の途中で停止する停止区間が無いことを特徴とする、X線検査装置である。
【0009】
すなわち、本発明におけるX線検査装置においては、X線源と、X線カメラと、保持部のうちのいずれかが、旋回部として旋回運動することで、撮影方向を変更しつつ検査箇所のX線画像を撮影して、該検査箇所の3次元画像を取得して検査する。そして、旋回部は、複数の検査箇所について3次元画像を取得するために、異なる場所において順次旋回運動を行う。
【0010】
また、旋回部は、
各旋回運動と、一の旋回運動の旋回終了点から次の旋回運動の旋回開始点へ移動するための移動運動を行う。そして、旋回運動から移動運動に停止することなく移行する。
【0011】
ここで、従前の技術においては、旋回運動から移動運動または、移動運動から旋回運動に移行する際に、旋回部は一旦停止する必要があった。そして、旋回運動の途中に加速運動と減速運動をするための助走距離、制動距離が必要となっていた。これに対し本発明では、旋回部は、旋回運動と移動運動の間の停止のための加速運動や減速運動が不要である。その結果、X線画像の撮影のための旋回運動の前後において加速減速のための追加の旋回運動を行う必要がなくなる。従って、複数の旋回運動と移動運動の合計の運動時間を低減し、検査時間を短縮することが可能となる。
【0012】
また、本発明においては、前記旋回部が、一の旋回運動の旋回終了点から次の旋回運動の旋回開始点に移動する際に、該記旋回部である前記X線源と、前記X線カメラと、前記保持部のうちのいずれかは、前記一の旋回運動の旋回円と前記次の旋回運動の旋回円とを、前記旋回終了点と前記旋回開始点において滑らかに結ぶ軌道である特定移動軌道に沿って移動し、前記特定移動軌道は、前記旋回終了点および/または前記旋回開始点において前記旋回部の線速度が連続となる軌道としてもよい。
【0013】
また、本発明においては、前記特定移動軌道は、前記旋回終了点および/または前記旋回開始点において前記旋回部の線速度及び加速度が連続、または、前記旋回終了点および/または前記旋回開始点において前記旋回部の線速度、加速度及び躍度が連続となる軌道としてもよい。そして、この場合、前記旋回終了点および/または前記旋回開始点において前記旋回部の加速度が0であってもよい。
【0014】
すなわち、本発明の特定移動軌道においては、旋回終了点および/または旋回開始点において旋回部の線速度が連続となることが要求される。そして、線速度及び加速度が連続であることが望ましい。また、線速度、加速度及び躍度が連続であることが理想である。また、加速度が連続の場合には、加速度が0であることが理想である。
【0015】
これによれば、旋回運動から移動運動へ、または移動運動から旋回運動へ移行する際に旋回部に作用する加速や衝撃を緩和することができる。その結果、検査時間をより短縮することが可能となる。
【0016】
また、本発明においては、前記特定移動軌道は、多項式によって定義されるようにしてもよい。これによれば、特定移動軌道を一般的な数学的解法により取得することが可能である。
【0017】
また、本発明においては、前記一の旋回運動の旋回円における旋回開始点および旋回終
了点は、前の旋回運動及び前記次の旋回運動の旋回円の中心と前記一の旋回運動の旋回円の中心を結んだ直線と前記一の旋回運動の旋回円との2つ交点の、前記一の旋回運動の旋回円上における短い方の円弧の中点としてもよい。これによれば、容易な演算により、旋回運動の旋回円における旋回開始点及び旋回終了点を特定移動軌道が最短となるように選ぶことが可能となる。
【0018】
すなわち、前記一の旋回運動の旋回円と前記次の旋回運動の旋回円とを、旋回終了点と旋回開始点において滑らかに結ぶ軌道は複数考えられるが、その軌道の長さが長い場合には、検査時間の短縮効果は限られたものとなる。それに対し、本発明においては、前記特定移動軌道は、前記一の旋回運動の旋回円と前記次の旋回運動の旋回円とを、前記旋回終了点と前記旋回開始点において滑らかに結ぶ軌道のうち最短の軌道とすることができるので、より確実に、検査時間を短縮することが可能である。
【0019】
そして、上記において、前記一の旋回運動の旋回円上における短い方の円弧が特定できない場合には、前記一の旋回運動の旋回終了点と、前記次の旋回運動の旋回開始点とは、各旋回運動の旋回円において所定の角度位置に配置されるようにしてもよい。これによれば、例えば、旋回円が横一列に並ぶ場合など、上記における短い方の円弧が特定できない場合でも、一の旋回運動の旋回終了点と、次の旋回運動の旋回開始点とを、任意の角度に設定することが可能であり、問題なく特定移動軌道を算出することができる。
【0020】
また、本発明においては、前記一の旋回運動の旋回終了点と、前記次の旋回運動の旋回開始点とは、各旋回運動の旋回円において同一の角度位置に配置されるようにしてもよい。例えば、一の旋回運動の旋回終了点と、次の旋回運動の旋回開始点とを、場合によらず、各旋回運動の旋回円における0度位置、あるいは0度以外の任意の角度位置に決めてもよい。
【0021】
また、本発明において、前記旋回部は、前記X線源と、前記X線カメラと、前記保持部のうちのいずれか2つであり、前記特定移動軌道は、前記X線源と、前記X線カメラと、前記保持部のうちのいずれか2つのうち、より大きな半径の旋回運動を行う方の、前記一の旋回運動の旋回円と前記次の旋回運動の旋回円とを、前記旋回終了点と前記旋回開始点において滑らかに結ぶ軌道であることとしてもよい。
【0022】
ここで、旋回部を、X線源と、X線カメラと、保持部のうちのいずれか2つとした場合には、検査箇所の3次元画像を取得するために、旋回部の一方が描く旋回運動の旋回円と、他方が描く旋回運動の旋回円は異なる場合が多い。そして、本発明においては、旋回部である、X線源、X線カメラ、保持部のうちのいずれか2つのうち、より大きな半径の旋回運動を行う方について、特定移動軌道を、一の旋回運動の旋回円と次の旋回運動の旋回円とを、旋回終了点と旋回開始点において滑らかに結ぶ軌道と定めた。さらに、一の旋回運動の旋回円における旋回開始点および旋回終了点は、前の旋回運動及び次の旋回運動の旋回円の中心と一の旋回運動の旋回円の中心を結んだ直線と一の旋回運動の旋回円との2つ交点の、一の旋回運動の旋回円上における短い方の円弧の中点とした。発明者らの鋭意研究によれば、このようにすることで、複数の旋回運動と移動運動の合計時間を減らすことができることが分かった。よって、これによれば、検査時間をより確実に短縮することが可能となる。
【0023】
また、本発明においては、前記X線源と、前記X線カメラと、前記保持部のうちのいずれか2つのうち、より小さな半径の旋回運動を行う方は、前記X線源と、前記X線カメラと、前記保持部のうちのいずれか2つのうち、より大きな半径の旋回運動を行う方と同時に、次の旋回運動の旋回円における前記旋回開始点に到達するようにしてもよい。
【0024】
そうすれば、前記X線源と、前記X線カメラと、前記保持部のうちのいずれか2つのうち、より小さな半径の旋回運動を行う方を、前記X線源と、前記X線カメラと、前記保持部のうちのいずれか2つのうち、より大きな半径の旋回運動を行う方と同時に、次の旋回運動の旋回円における旋回開始点に到達させることができる。その結果、旋回部により早期に次の旋回運動を開始させることが可能である。
【0025】
また、本発明においては、前記特定移動軌道は、前記旋回部である前記X線源と、前記X線カメラと、前記保持部のうちのいずれかの
線速度、軸速度や加速度が所定の許容値(許容速度や許容加速度)を超えない範囲で決定されるようにしてもよい。これによれば、旋回部が特定移動軌道に沿って移動運動する際に、X線源、X線カメラ、保持部等の速度や加速度が過大になることを抑制でき、装置の故障を防止し、信頼性を向上させることが可能である。
【0026】
また、本発明においては、前記特定移動軌道は、前記旋回部である前記X線源と、前記X線カメラと、前記保持部のうちのいずれかの移動範囲が、所定の移動許容範囲を超えないように決定されるようにしてもよい。あるいは、前記旋回部である前記X線源と、前記X線カメラと、前記保持部のうちのいずれかの移動範囲が、所定の許容移動範囲を超えないように、前記特定移動軌道における前記旋回部の移動時間が決定されるようにしてもよい。これによれば、旋回部が特定移動軌道に沿って移動運動する際に、X線源、X線カメラ、保持部等が、装置内の構造物に衝突したり、ソフトウェアで定めた制限範囲を超えることでエラーが発生する等の不都合を防止でき、信頼性を向上させることが可能である。
【0027】
また、本発明においては、前記旋回部は、前記X線源と前記X線カメラであり、前記保持部はX線検査装置内の所定位置に保持されていることとしてもよい。この場合には、検査対象を固定し、検査対象の上下においてX線カメラとX線源に旋回運動と移動運動を行わせることで検査を行うことができ、X線検査装置内における
被検査物の移動機構、搬入機構等を単純化することが可能である。
【0028】
また、本発明は、検査対象に照射するX線を発生するX線源と、
前記X線源から前記検査対象に照射されたX線によるX線画像を撮影するX線カメラと、
前記検査対象を保持する保持部と、を備え、
前記X線源と、前記X線カメラと、前記保持部のうちのいずれかが、旋回部として旋回運動することで、撮影方向を変更しつつ前記X線画像を撮影して、前記検査対象の3次元画像を取得して検査するX線検査装置を用いたX線検査方法であって、
前記旋回部を、複数の場所において順次旋回運動させるとともに、一の旋回運動の旋回終了点から次の旋回運動の旋回開始点へ移動する際の移動運動を行い、
前記旋回部である前記X線源と、前記X線カメラと、前記保持部のうちのいずれかを、前記旋回運動から前記移動運動中に停止させずに移行させることを特徴とする、X線検査方法であってもよい。
【0029】
また、その際には、前記旋回部が、一の旋回運動の旋回終了点から次の旋回運動の旋回開始点に移動する際に、該記旋回部である前記X線源と、前記X線カメラと、前記保持部のうちのいずれかに、前記一の旋回運動の旋回円と前記次の旋回運動の旋回円とを、前記旋回終了点と前記旋回開始点において滑らかに結ぶ軌道である特定移動軌道に沿って移動させ、
前記特定移動軌道は、前記旋回終了点および/または前記旋回開始点において前記旋回部の線速度が連続となる軌道であるようにしてもよい。
【0030】
また、その際、前記特定移動軌道は、前記旋回終了点および/または前記旋回開始点に
おいて前記旋回部の線速度及び加速度が連続、または、前記旋回終了点および/または前記旋回開始点において前記旋回部の線速度、加速度及び躍度が連続となる軌道としてもよい。また、前記旋回終了点および/または前記旋回開始点において前記加速度が連続である場合には、加速度が0となるようにしてもよい。
【0031】
また、その際、前記特定移動軌道は、多項式によって定義されるようにしてもよい。
【0032】
また、その際、前記一の旋回運動の旋回円における旋回開始点および旋回終了点は、前の旋回運動及び前記次の旋回運動の旋回円の中心と前記一の旋回運動の旋回円の中心を結んだ直線と前記一の旋回運動の旋回円との2つ交点の、前記一の旋回運動の旋回円上における短い方の円弧の中点としてもよい。
【0033】
また、本発明は、コンピュータに、前記特定移動軌道を算出させるとともに、前記旋回部である前記X線源と、前記X線カメラと、前記保持部のうちのいずれかに、前記特定移動軌道に
沿って移動するための駆動信号を出力させる、プログラムであってもよい。
【0034】
以上のように本発明は、上記手段の少なくとも一部を含むX線検査装置として捉えることができる。また、本発明は、上記手段が行う処理の少なくとも一部を含むX線検査方法として捉えることもできる。また、これらの方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムや、当該プログラムを非一時的に記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体として捉えることもできる。上記構成および処理の各々は技術的な矛盾が生じない限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、X線検査装置における
被検査物の検査時間を短縮することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
〔適用例〕
以下に本発明の適用例の概要について一部の図面を用いて説明する。本発明は
図1に示すようなX線検査装置1に適用される。X線検査装置1では、X線源10から被検査物SにX線を照射し、透過光によるX線画像をX線カメラ20によって撮影する。X線源10およびX線カメラ20はそれぞれ旋回円121,122上を旋回運動し、軌道上の複数の位置において被検査物SのX線画像の撮影を行う。その後、別の検査箇所を検査するために、X線源10、X線カメラ20はともに、次の旋回円まで移動運動を行い、さらに旋回円上を移動しつつX線画像の撮影を行う。
【0038】
ここで、X線源10、X線カメラ20が旋回運動から移動運動に移行する場合には、
図2(a)に示すように、一旦停止する停止区間が設けられていた。これに伴い、旋回運動の前後において旋回円上の加速運動及び減速運動が追加されていた。本適用例では、
図2(b)に示すように、X線源10、X線カメラ20が旋回運動から移動運動に移行する場合の停止区間を無くした。余分な停止状態や余分な旋回運動が省略され、X線源10、X線カメラ20がより迅速に旋回円から次の旋回円に移動することが可能となる。
【0039】
また、本適用例では、
図3に示すように、旋回円から次の旋回円に移動する際の移動運動の軌道として、旋回円と次の旋回円とを、旋回終了点と旋回開始点において滑らかに結ぶ軌道を用いることとした。これにより、X線源10、X線カメラ20
に過度な加速度や衝撃を与えることなく、より迅速に移動することが可能となる。なお、その際、
図4に示すような方法で、旋回円における旋回終了点と次の旋回円における旋回開始点の距離を最短とし、その旋回終了点と旋回開始点を滑らかに結ぶことが可能である。
【0040】
なお、本発明は、
図1に示すように、被検査物Sを固定し、その上下においてX線源10とX線カメラ20を旋回運動させるX線検査装置1に適用可能であると同時に、
図10に示すように、X線源10を固定し、X線カメラ20及び被検査物Sを旋回運動させるX線検査装置11に適用することも可能である。
【0041】
以下に各図面(上記の適用例で一旦説明した図も含む)を順次参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている具体的構成は、特に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
〔実施例1〕
【0042】
本発明の実施例1に係るX線検査装置は、例えば、プリント基板にはんだ付けされた電子部品のはんだ付け状態やボールグリッドアレイ(BGA)のバンプ等の良否判定をする装置である。より具体的には、X線源と被検査物とを相対的に移動させて複数回のX線撮影を行い、検査対象場所の内部の状態を取得し、適切な位置での断面画像を生成して、当該断面画像に基づいて良否を検査する。
【0043】
<装置構成>
図1には、本発明の実施例1に係るX線検査装置1における、X線源10、被検査物Sを保持する保持部40、X線カメラ20の配置図を示す。X線検査装置1においては、搬送ローラ(不図示)によって搬送され保持部40に保持される被検査物Sにおける各検査箇所について、複数の撮影位置においてX線画像を撮影して3次元データを取得する。具体的には、X線源10から被検査物SにX線を照射し、透過光によるX線画像をX線カメ
ラ20によって撮影する。X線源10、X線カメラ20はともに、ステージ(不図示)によって移動可能である。X線源10およびX線カメラ20はこれらのステージによってそれぞれ旋回円121,122上を移動し、旋回円上の複数の位置において撮影が行われる。
【0044】
X線検査装置1における各部の制御は制御部100からの制御信号に基づいて行われる。X線検査装置1は、制御部100として、カメラ用XYステージ制御部101、カメラ制御部102、X線源用XYステージ制御部107を備える。加えて、高さ計測部103、検査対象位置制御部104、X線源制御部105、撮像高さ制御部106を備える。さらに、X線検査装置1は、演算部111、主記憶部112、補助記憶部113、入力部114、出力部115を備える。
【0045】
カメラ用XYステージ制御部101は、カメラ用XYステージ(不図示)を駆動しX線カメラ20の水平方向の移動を行うための制御信号を送信する。カメラ制御部102は、X線カメラ20によるX線画像の撮影を行うための制御信号を送信する。高さ計測部103は、変位計30からの信号を受信して被検査物Sの被検箇所の高さを計測する。検査対象位置制御部104は、搬送ローラ及び被検査物Sの保持部40に制御信号を送信し被検査物Sの水平方向位置及び垂直方向位置を撮影に最適な位置に制御する。
【0046】
X線源制御部105は、X線源10によるX線の照射の開始、終了の他、X線強度を調整するための信号を送信する。撮像高さ制御部106は、X線源10及びX線カメラ20の高さ制御用の信号を送信する。X線源用XYステージ制御部107は、X線源用XYステージ(不図示)を駆動しX線源10の水平方向の移動を行うための信号を送信する。カメラ用XYステージ制御部101、カメラ制御部102、検査対象位置制御部104、X線源制御部105、撮像高さ制御部106、X線源用XYステージ制御部107から出力される信号は演算部111の演算結果及び、主記憶部112、補助記憶部113に記憶された情報に基づいて決定される。
【0047】
特に演算部111の撮像命令部111aは、カメラ制御部102を含む各部に対し、X線画像取得に必要な情報を送信する。また、軌跡算出部111bは、後述する手法により、X線源10及びX線カメラ20が沿うべき軌跡を算出する。また、ユーザとの間の設定情報、検査結果等の情報の授受は、入力部114及び出力部115を介して行われる。
【0048】
X線カメラ20は、X線源10から照射され、被検査物Sを透過したX線を検出する2次元X線検出器である。X線カメラ20としては、I.I.(Image Intensifier)管や
、FPD(フラットパネルディテクタ)を用いることができる。ここでは1つのみのX線カメラ20が採用されているが、複数個のX線カメラを用いても構わない。
【0049】
変位計30は、被検査物Sまでの距離を、被検査物Sの複数の位置について計測する。したがって、変位計30によって被検査物Sの反りや傾きを計測することが可能である。被検査物Sの製造過程においては、反りや傾きが生じることがあり、その量は個体によって異なる。そこで、それぞれの被検査物Sの反りや傾きを計測して、保持部40の高さ位置を調整して適切なX線撮影が行えるようにする。
【0050】
以上の構成により、X線検査装置1は、様々な方向から基板を撮像できるように、X線源10とX線カメラ20の位置を制御することができる。本実施例では、このように様々な方向からの撮像結果を基に、CT(Computed Tomography)と呼ばれる3次元データ生
成手法を用いて、被検査物Sの被検箇所の3次元データを生成する。
【0051】
なお、演算部111としては、CPU(中央演算処理装置)と呼ばれる一般的な汎用演
算装置を用いることができる。主記憶部112としてはRAMなどのメモリを用いることができる。補助記憶部113は、ROMやHDDなどを用いることができる。入力部114は、キーボード、ボタン、スイッチ、マウスなど、ユーザが演算部111に対して指示を入力可能な任意の装置である。出力部115は、ディスプレイ、スピーカなど、映像や音声等によって演算部111からの出力をユーザに提示可能な任意の装置である。すなわち、一般的なコンピュータシステムを用いて、これらの機能部を実現することができる。補助記憶部113に格納されたプログラムを演算部111が読み込んで実行することにより、以下に示す、X線源10およびX線カメラ20の移動制御が行われる。
【0052】
ここで、
図1に示すように、X線源10およびX線カメラ20は、X線源用XYステージ制御部107及びカメラ用XYステージ制御部101からの制御信号に基づいて、夫々旋回円121,122上を移動し、軌道上の複数の位置においてX線画像の撮影が行われる。そして、被検査物S上の各検査箇所に対して旋回円121、122上を旋回運動することで、当該検査箇所の3次元画像の作成が可能となる。そして、被検査物Sの検査を行う場合には、検査箇所の位置が複数あるために、X線源10およびX線カメラ20は一回の360度に亘る旋回運動(以下、n回目の旋回運動ともいう)を行って当該検査箇所のX線画像を取得した後に、次の被検箇所を撮影可能な位置まで移動運動を行い、その位置から次の360度に亘る旋回運動(以下、n+1回目の旋回運動ともいう)を開始する。
【0053】
図2には、X線源10またはX線カメラ20が、n回目の旋回運動を行い、移動運動を行い、n+1回目の旋回運動を行う場合のX線源10またはX線カメラ20の軌跡を示す。その際、
図2(a)に示すように、より詳細には、n回目の旋回運動を行う前に加速運動が行われ、n回目の旋回運動は等速で行われ、n回目の旋回運動(360度)が完了した後に、減速運動が行われ一旦停止する。そして、その後に、予め決められた軌跡に沿って移動運動が行われる。これは、X線源10またはX線カメラ20の旋回運動中は、高速で高画質なX線画像の撮影を行うため、高速で等速円運動を行う必要があるからである。
【0054】
そして、同様に、X線源10またはX線カメラ20が、移動運動が終了して停止後に、再度加速運動が行われ、X線源10またはX線カメラ20は旋回運動の開始点に到達する前に所定の速度まで加速され、その後n+1回目の旋回運動(360度)が開始される。換言すると、X線源10またはX線カメラ20は、X線画像の撮影のための旋回運動の前後に、停止区間において一旦停止していた。そして、その停止前後の加減速のための旋回運動を追加して行っている。このように、従来の制御においては、X線源10またはX線カメラ20の停止及び、停止前後の加減速のための旋回運動が必要である為に、検査時間が長くなってしまう不都合があった。
【0055】
それに対し、本実施例においては、
図2(b)に示すように、n回目の旋回運動からn+1回目の旋回運動への移動運動中において停止区間を無くし、X線画像の撮影のための旋回運動の他に、停止前後の加減速のための旋回運動を行わないこととした。
【0056】
そして、本実施例では、移動運動の軌跡を、n回目の旋回運動の旋回円とn+1回目の旋回運動の旋回円とを、旋回終了点と旋回開始点において滑らかに繋ぐ軌跡のうち、最短の軌跡とすることにした。ここで、n回目の旋回運動の旋回円とn+1回目の旋回運動の旋回円を滑らかに繋ぐ軌跡とは、旋回終了点および/または旋回開始点においてX線源10またはX線カメラ20の線速度が連続となる軌跡であってもよい。または、旋回終了点および/または旋回開始点においてX線源10またはX線カメラ20の線速度及び加速度が連続となる軌跡であることが望ましい。または、旋回終了点および/または旋回開始点においてX線源10またはX線カメラ20の線速度、加速度及び躍度が連続であることが理想である。また、加速度が連続の場合には、加速度が0であることが理想である。
【0057】
図3には、その場合の移動運動の軌跡の例を示す。図中の矢印と丸1〜丸3の番号は、各々n回目の旋回運動、移動運動、n+1回目の旋回運動に相当する。
図3(a)は、X線カメラ20の移動運動の軌跡の例を示す。
図3(a)に示すように、X線カメラ20の移動運動の軌跡123aは、n回目の旋回運動の旋回円122aと、n+1回目の旋回運動の旋回円122bとを、両者の最上の点(以下、この点を0度位置または360度位置ともいう)において滑らかに繋ぐ曲線のうち最短の曲線となっている。
【0058】
図3(b)には、同様に、X線源10の移動運動の軌跡の例を示す。
図3(b)に示すように、X線源10の移動運動の軌跡123bは、n回目の旋回運動の旋回円121aと、n+1回目の旋回運動の旋回円121bとを、両者の最下の点(以下、この点を180度位置ともいう)において滑らかに繋ぐ曲線のうち最短の曲線となっている。ここで、
図3(a)と
図3(b)とで、移動運動の軌跡と各旋回運動の旋回円とが繋がる場所が180度異なっているのは、X線源10とX線カメラ20は、被検査物Sの検査箇所を挟んで点対称となる位置に配置される必要があり、X線カメラ20が0度位置または360度位置に配置された場合には、X線源10は180度位置に配置される必要があるからである。
【0059】
なお、
図3に示すような、n回目の旋回運動の旋回円と、n+1回目の旋回運動の旋回円とを、所定の点において滑らかに繋ぐ曲線は、公知の数学的な手法によって多項式として導出可能であるので、ここでは曲線の導出方法については特に説明しない。また、n回目の旋回運動の旋回円と、n+1回目の旋回運動の旋回円を所定の点において滑らかに繋ぐ曲線のうち、最短の曲線を導出する方法については、公知の方法で求まった多項式の曲線の各項の係数等の数学的パラメータを振り、繰り返し演算により長さが最短のものを選択しても良い。
【0060】
なお、
図3においては、X線カメラ20が
図3(a)に示す軌跡123aに沿って移動運動した場合の移動時間と、X線源10が
図3(b)に示す軌跡123bに沿って移動運動した場合の移動時間が一致するように、両者のうち移動時間が長い方の移動運動における速度を高めて両者が同時に移動完了するようにしても構わない。そうすることで、両者が同時に移動運動を完了し、次の旋回運動に移行することが可能となる。
【0061】
以上のように、本実施例においては、X線源10とX線カメラ20が、n回目の旋回運動から移動運動に移行し、移動運動からn+1回目の旋回運動に移行する際の停止区間を無くし、X線源10とX線カメラ20が停止しないこととした。これにより、X線画像の撮影のための旋回運動において、停止区間の前後に加減速のための旋回運動を付加する必要がなくなり、旋回運動の終了後、直ちに次の旋回運動への移動運動に移行することができ、移動運動の終了後、直ちに次の旋回運動に移行することができる。その結果、X線検査装置1における検査時間を短縮することが可能となる。
【0062】
また、本実施例においては、n回目の旋回運動からn+1回目の旋回運動に移行する際の移動運動の軌跡を、n回目の旋回運動の旋回円とn+1回目の旋回運動の旋回円とを、旋回終了点と旋回開始点(
図3ではともに0度位置)において滑らかに結ぶ曲線のうち最短の曲線とした。これにより、X線源10とX線カメラ20を、旋回運動から移動運動に、または移動運動から旋回運動に、より円滑に(過度な加速度や衝撃がX線源10やX線カメラ20に作用することなく)移行することができ、旋回運動における速度が高い場合でも、より確実に、移動運動の途中で加減速運動を行うことが可能となる。また、X線源10とX線カメラ20を、旋回運動から移動運動に、または移動運動から旋回運動に、より迅速に移行することが可能となる。
【0063】
表1には、X線検査装置におけるn回目の旋回運動と、移動運動と、n+1回目の旋回
運動に要する時間を、本発明を適用しない場合と、本発明を適用した場合で比較した結果を示す。
【0064】
【表1】
本発明をX線検査装置に適用することで、経過時間が13%程度改善されていることが分かる。ここで、
図3におけるX線カメラ20の移動運動の軌跡123a及びX線源10の移動運動の軌跡123bは、本実施例において特定移動軌道に相当する。この点は以下の変形例、実施例についても同じである。また、本実施例においては、X線カメラ20の移動運動の軌跡123a及びX線源10の移動運動の軌跡123bは、旋回円どうしを滑らかに結ぶ曲線のうち最短の曲線としたが、必ずしも最短である必要はなく、旋回円どうしを滑らかに結ぶ曲線のうち充分に検査時間を短縮できる長さのものであれば良い。
【0065】
<変形例>
次に、本実施例における変形例について示す。この変形例においては、n回目の旋回運動における旋回終了点とn+1回目の旋回運動における旋回開始点とを最適化する例について説明する。この例では、n回目の旋回運動における旋回終了点とn+1回目の旋回運動における旋回開始点とを、0度位置や180度位置に固定するのではなく、n回目の旋回運動からn+1回目の旋回運動に移行する際の移動運動の軌跡がより短くなるように定める。
【0066】
図4に示すように、本変形例では、例えば、n回目の旋回運動の旋回円122nの旋回終了点を算出する際には、旋回円122nにおいて、一つ前のn−1回目の旋回運動の旋回円122n−1と旋回円122nの中心を結んだ直線と旋回円122nとの交点を求める。また、旋回円122nと一つ後の旋回円122n+1の中心を結んだ直線と旋回円122nとの交点を求める。そして、それらの2つの交点で挟まれる円弧のうちの短い方の円弧の中央の点Pnを、n回目の旋回運動の旋回円122nの旋回終了点とする。
【0067】
また、n+1回目の旋回運動の旋回円122n+1の旋回開始点を算出する際には、旋回円122n+1において、一つ前のn回目の旋回運動の旋回円122nと旋回円122n+1の中心を結んだ直線と旋回円122n+1との交点を求める。また、旋回円122n+1と一つ後の旋回円122n+2の中心を結んだ直線と旋回円122n+1との交点を求める。そして、それらの2つの交点で挟まれる円弧のうち短い方の円弧の中央の点Pn+1を、n+1回目の旋回運動の旋回円122n+1の旋回開始点とする。そして、PnとPn+1とを滑らかに結ぶ曲線123nで結ぶ。これによれば、n回目の旋回運動の旋回円と、n+1回目の旋回運動の旋回円とを、より短い曲線で滑らかに結ぶことが可能となる。
【0068】
図5には、この手法に沿って決定した移動運動の軌跡の例を示す。
図5(b)に示すのは、X線源10のn回目の旋回運動の旋回円121aとn+1回目の旋回運動の旋回円121bとの間の移動運動の軌跡123bである。
図5(a)に示すのは、X線カメラ20のn回目の旋回運動の旋回円122aとn+1回目の旋回運動の旋回円122bとの間の移動運動の軌跡123aである。
【0069】
図5では、
図5(b)に示す軌跡123bが最短となるように、旋回円121aにおける旋回終了点と、旋回円121bにおける旋回開始点とを
図4に示す手法で決定し、さら
に、その旋回終了点と旋回開始点において旋回円121aと旋回円121bとを滑らかに結ぶ曲線のうち最短の曲線を求めている。そして、
図5(a)においては、X線カメラ20のn回目の旋回運動の旋回円122aとn+1回目の旋回運動の旋回円122bとを、旋回終了点と旋回開始点において滑らかに結ぶ曲線のうち最短の曲線として軌跡123aを求めている。
図5(a)における旋回終了点と旋回開始点は、各々
図5(b)における旋回終了点と旋回開始点と180度位相の異なる点として求まる点である。
【0070】
表2には、X線検査装置におけるn回目の旋回運動と、移動運動と、n+1回目の旋回運動に要する時間を、変形例に係る本発明を適用しない場合と、本発明を適用した場合で比較した結果を示す。
【0071】
【表2】
本発明をX線検査装置に適用することで、経過時間が16%程度改善されていることが分かる。なお、例えば旋回円が横一列に並ぶような場合のように、
図4に示す手法によって、2つの交点で挟まれる円弧のうちの短い方の円弧が特定できない場合がある。本実施例においては、このような場合には、旋回運動における旋回終了点と旋回開始点とを、所定の角度位置に設定するようにしてもよい。この場合、0度位置や180度位置に固定してもよいし、旋回円毎に変えるようにしてもよい。こうすれば、旋回運動における旋回終了点と旋回開始点が算出できないという事態を回避することができる。
【0072】
次に、
図6には、n回目の旋回運動の旋回円とn+1回目の旋回運動の旋回円の距離が比較的長い場合(例えば、旋回円の中心同士の距離が旋回円の直径の3倍以上)の移動運動の軌跡の例123a、123bを示す。
図6(a)では、X線カメラ20のn回目の旋回運動の旋回円122aにおける旋回終了点とn+1回目の旋回運動の旋回円122bにおける旋回開始点を0度位置に固定し、n回目の旋回運動の旋回円122aとn+1回目の旋回運動の旋回円122bとを、0度位置において滑らかに結ぶ曲線のうち最短の曲線を軌跡123aとして求めている。
【0073】
また、
図6(b)では、X線源10のn回目の旋回運動の旋回円121aにおける旋回終了点とn+1回目の旋回運動の旋回円121bにおける旋回開始点を180度位置に固定し、n回目の旋回運動の旋回円121aとn+1回目の旋回運動の旋回円121bとを、180度位置において滑らかに結ぶ曲線のうち最短の曲線を軌跡123bとして求めている。
【0074】
また、
図7には、一回目の旋回運動の旋回円と二回目の旋回運動の旋回円の距離が比較的長い場合(例えば、旋回円の中心同士の距離が旋回円の直径の3倍以上)の移動運動の軌跡の例123a、123bを示す。
図7(b)には、X線源10のn回目の旋回運動の旋回円121aにおける旋回終了点とn+1回目の旋回運動の旋回円121bにおける旋回開始点を
図4の手法によって最適化し、さらに、n回目の旋回運動の旋回円121aとn+1回目の旋回運動の旋回円121bとを、最適化された旋回終了点と旋回開始点において滑らかに結ぶ曲線のうち最短の曲線を軌跡123bとして求めている。
【0075】
図7(a)には、X線カメラ20のn回目の旋回運動の旋回円122aにおける旋回終了点とn+1回目の旋回運動の旋回円122bにおける旋回開始点を、
図7(b)における旋回終了点と旋回開始点に対して
180度位相を変化させた位置として決定している。そして、n回目の旋回運動の旋回円122aとn+1回目の旋回運動の旋回円122bとを、決定された旋回終了点と旋回開始点おいて滑らかに結ぶ曲線のうち最短の曲線を軌跡123aとして求めている。表3に、
図7に示した場合における検査時間の短縮効果について示す。
【0077】
表3に示すように、X線カメラ20のn回目の旋回運動の旋回円122aにおける旋回終了点とn+1回目の旋回運動の旋回円122bにおける旋回開始点を0度位置に固定し、X線源10のn回目の旋回運動の旋回円121aにおける旋回終了点とn+1回目の旋回運動の旋回円121bにおける旋回開始点を180度位置に固定した場合には、12%程度の改善効果が見られた。
【0078】
また、X線カメラ20及びX線源10のn回目の旋回運動の旋回円122a、121aにおける旋回終了点とn+1回目の旋回運動の旋回円
122b、121bにおける旋回開始点を最適化した場合には、18%程度の改善効果が見られた。
【0079】
次に、
図8にはn回目の旋回運動の旋回円とn+1回目の旋回運動の旋回円の距離が比較的長い場合の移動運動の軌跡の例であって、X線カメラ20及びX線源10のn回目の旋回運動の旋回円における旋回終了点とn+1回目の旋回運動の旋回円における旋回開始点を最適化した場合について示す。
【0080】
図8(a)には、X線源10のn回目の旋回運動の旋回円における旋回終了点とn+1回目の旋回運動の旋回円における旋回開始点を
図4の手法で最適化し、X線カメラ20のn回目の旋回運動の旋回円における旋回終了点とn+1回目の旋回運動の旋回円における旋回開始点はX線源10の旋回終了点と旋回開始点に対し、各々180度位相を変化させた場合についての移動運動の軌跡123a、123bを示す。この場合、X線カメラ20がn+1回目の旋回運動の旋回円122bにおける旋回開始点に到達するのと同時に、X線源10がn+1回目の旋回運動の旋回円121bにおける旋回開始点に到達するように、X線源10の移動運動時の速度が調整される。
【0081】
図8(b)には、X線カメラ20のn回目の旋回運動の旋回円122aにおける旋回終了点とn+1回目の旋回運動の旋回円122bにおける旋回開始点を
図4の手法で最適化し、X線源10のn回目の旋回運動の旋回円121aにおける旋回終了点とn+1回目の旋回運動の旋回円121bにおける旋回開始点はX線カメラ20の旋回終了点と旋回開始点に対し、各々180度位相を変化させた場合について示す。
図8を見て分かるように、この場合の移動時間は、
図8(a)の場合には1.674s、
図8(b)の場合には、1.552sであった。
【0082】
このように、発明者らの鋭意研究によれば、n回目の旋回運動の旋回円とn+1回目の旋回運動の旋回円の距離が比較的長い場合(例えば、旋回円の中心同士の距離が旋回円の直径の3倍以上)の移動運動の軌跡の例であって、X線カメラ20及びX線源10のn回目の旋回運動における旋回終了点とn+1回目の旋回運動における旋回開始点を最適化した場合には、X線カメラ20とX線源10のうち、旋回半径が大きい方に対して、n回目の旋回運動における旋回終了点とn+1回目の旋回運動における旋回開始点を最適化した
方が、移動運動における時間短縮効果が大きいことが分かってきた。
【0083】
よって、n回目の旋回運動の旋回円とn+1回目の旋回運動の旋回円の距離が比較的長い場合には、X線カメラ20とX線源10のうち、旋回半径が大きい方に対して、n回目の旋回運動における旋回終了点とn+1回目の旋回運動における旋回開始点を最適化するとよい。
【0084】
次に、本実施例における演算部111及び制御部100による制御のフローについて説明する。
図9には、本実施例におけるX線源10及びX線カメラ20の移動制御ルーチンのフローチャートを示す。本ルーチンは、主記憶部112に記憶されたプログラムであり、演算部111及び制御部100により実行される。
【0085】
本ルーチンが実行されると、先ずステップS01において、X線源10が描く旋回円とX線カメラ20が描く旋回円のうち、半径の大きい方の旋回円について、旋回終了点と旋回開始点を最適化する。より詳細には、
図4に示した演算方法によって両者の距離がより短くなる旋回終了点と旋回開始点が算出される。ここでは、X線カメラ20が描く旋回円の方が、X線源10が描く旋回円より大きいことを前提として説明を続ける。ステップS01の処理が終了するとステップS02に進む。
【0086】
ステップS02においては、上記の2つの旋回円をステップS01において算出された旋回終了点と旋回開始点とにおいて滑らかに結ぶ軌跡を算出する。これは多項式を算出する数学的に公知の手法で実行されるので、ここでは詳細な説明は省略する。ステップS02の処理が終了するとステップS03に進む。
【0087】
ステップS03においては、ステップS02で算出された移動運動の軌跡と、X線カメラ20の移動速度から、移動時間を算出する。ステップS03の処理が終了するとステップS04に進む。ステップS04においては、ステップS03において算出された移動時間で移動した場合に、X線カメラ20の線速度及び軸速度のいずれかが許容速度を超えるか否かと、X線カメラ20に作用する加速度が許容加速度を超えるか否かと、X線カメラ20の旋回運動と移動運動における運動範囲が許容移動範囲を超えるか否かが判定される。
【0088】
ここで、X線カメラ20の線速度及び軸速度のいずれかが許容速度を超えるか、X線カメラ20に作用する加速度が許容加速度を超えるか、または、X線カメラ20の運動範囲が許容移動範囲を超えると判定された場合には、モータやボールねじの許容回転数を超えるか、X線カメラ20が加速度に耐えられず劣化するか、X線カメラ20がX線検査装置1内の部材に衝突する虞があると判断されるので、X線カメラ20に作用する加速度が低くなり、または、X線カメラ20の運動範囲が狭くなるように曲線の数学パラメータを変更の後、再度ステップS02の処理に戻る。そして、ステップS02〜ステップS05のルーチンを、ステップS04において、X線カメラ20の線速度及び軸速度のいずれかが許容速度を超えず、且つX線カメラ20に作用する加速度が許容加速度を超えず、且つX線カメラ20の運動範囲が許容移動範囲を超えないと判定されるまで繰り返し実行する。
【0089】
ステップS04において、X線カメラ20の線速度及び軸速度のいずれかが許容速度を超えず、且つX線カメラ20に作用する加速度が許容加速度を超えず、且つ、X線カメラ20の運動範囲が許容移動範囲を超えないと判定された場合には、ステップS06に進む。ここで、許容速度とは、モータやボールねじの許容回転数を超えない閾値として予め定められた速度値である。許容加速度とは、X線カメラ20に作用してもX線カメラが劣化しない閾値として予め定められた加速度値である。許容移動範囲とは、X線カメラ20が装置内の他部材に衝突等しない運動範囲の閾値として予め定められた運動範囲である。
【0090】
ステップS06においては、移動時間の算出が完了する。ステップS06の処理が終了するとステップS07に進む。なお、ステップS01〜ステップS06までの処理は演算部111において実行される。
【0091】
次に、ステップS07においては、算出された移動時間を制御部100が受取る。また、ステップS08においては、移動する位置座標、旋回速度、旋回中心、旋回半径など、X線源10及びX線カメラ20の移動運動に必要な情報を受取る。ステップS07及びステップS08の処理が終了するとステップS09に進む。
【0092】
ステップS09においては、次の移動先である旋回開始点への移動の軌跡を算出する。ここでは、S07で受取った移動時間に対応する移動の軌跡を再度算出する。ステップS09の処理が終了するとステップS10に進む。ステップS10においては、X線源10及びX線カメラ20が、次の旋回開始点への軌跡に沿って移動するための出力を、X線源10及びX線カメラ20の運動を
制御するXYステージの駆動モータ(不図示)に出力する。なお、ステップS07〜ステップS10までの処理は制御部100において実行される。
【0093】
本ルーチンにおいては、S04において、速度(線速度及び軸速度のいずれか)、加速度、移動位置の全てが許容値を超えないと判定されるまで、ステップS02とステップS03において、旋回終了点と旋回開始点とを滑らかに結ぶ軌跡と移動時間とが算出された。しかしながら、速度(線速度及び軸速度のいずれか)、加速度、移動位置のうちのいずれかが許容値を超えないと判定されるまで、旋回終了点と旋回開始点とを滑らかに結ぶ軌跡と移動時間とが算出されるようなフローとしても構わない。
<実施例2>
【0094】
次に、本発明の実施例2について説明する。実施例1においては、被検査物Sの位置を固定し、その上下においてX線カメラ20とX線源10とを旋回運動させる形式のX線検査装置1に対して、本発明を適用した例について説明した。実施例2においては、X線源10を固定し、被検査物S及び、X線カメラ20を旋回させる形式のX線検査装置11に対して、本発明を適用した例について説明する。
【0095】
図10には、本実施例におけるX線検査装置11における、X線カメラ20、
被検査物S、X線源10の配置の例を示す。
図10(a)に示すのは、X線カメラ20が被検査物Sの上側、X線源10が被検査物Sの下側に配置される例、
図10(b)に示すのは、X線源10が被検査物Sの上側、X線カメラ20が被検査物Sの下側に配置される例である。いずれの場合においても、X線源10が固定され、X線カメラ20及び被検査物Sが旋回運動を行う。
【0096】
図11には、本発明を
図10に示す配置を採用したX線検査装置11に適用した場合であって、X線カメラ20及び被検査物Sのn回目の旋回運動の旋回円における旋回終了点及び、n+1回目の旋回運動の旋回円における旋回開始点を0度位置とした場合の、X線カメラ20と被検査物Sの旋回運動及び移動運動の軌跡を示す。実施例1の場合と異なり、X線カメラ20と被検査物Sとで、n回目の旋回運動の旋回円における旋回終了点及び、n+1回目の旋回運動の旋回開始点がともに0度位置となっている。
図11(a)はX線カメラ20の旋回運動及び移動運動の軌跡である。
図11(b)は被検査物Sの旋回運動及び移動運動の軌跡である。
【0097】
図12には、本発明を
図10(a)に示す配置を採用したX線検査装置11に適用した場合であって、X線カメラ20及び被検査物Sのn回目の旋回運動の旋回円における旋回
終了点及び、n+1回目の旋回運動の旋回円における旋回開始点を最適化した場合の、X線カメラ20と被検査物Sの旋回運動及び移動運動の軌跡を示す。
図12(a)はX線カメラ20の旋回運動及び移動運動の軌跡である。
図12(b)は被検査物Sの旋回運動及び移動運動の軌跡である。表4には、本実施例における移動時間の短縮効果を示す。
【0098】
【表4】
本実施例の配置に係るX線検査装置11に本発明を適用した場合においても、
図11に示した場合で19%、
図12に示した場合で23%の移動時間の短縮効果があることがわかる。
【0099】
なお、以下には本発明の構成要件と実施例の構成とを対比可能とするために、本発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
<発明1>
検査対象に照射するX線を発生するX線源(10)と、
前記X線源(10)から前記検査対象に照射されたX線によるX線画像を撮影するX線カメラ(20)と、
前記検査対象を保持する保持部(40)と、を備え、
前記X線源(10)と、前記X線カメラ(20)と、前記保持部(40)のうちのいずれかが、旋回部(10、20、40)として旋回運動することで、撮影方向を変更しつつ前記X線画像を撮影して、前記検査対象(S)の3次元画像を取得して検査するX線検査装置(1、11)であって、
前記旋回部(10、20、40)は、複数の場所において順次旋回運動するとともに、一の旋回運動の旋回終了点から次の旋回運動の旋回開始点へ移動するための移動運動を行い、
前記旋回部が、前記旋回運動及び前記移動運動の途中で停止する停止区間が無いことを特徴とする、X線検査装置。
<
発明16>
検査対象に照射するX線を発生するX線源(10)と、
前記X線源から前記検査対象に照射されたX線によるX線画像を撮影するX線カメラ(20)と、
前記検査対象を保持する保持部(40)と、を備え、
前記X線源(10)と、前記X線カメラ(20)と、前記保持部(40)のうちのいずれかが、旋回部(10、20、40)として旋回運動することで、撮影方向を変更しつつ前記X線画像を撮影して、前記検査対象の3次元画像を取得して検査するX線検査装置(1、11)を用いたX線検査方法であって、
前記旋回部を、複数の場所において順次旋回運動させるとともに、一の旋回運動の旋回終了点から次の旋回運動の旋回開始点へ移動するための移動運動を行い、
前記旋回部である前記X線源(10)と、前記X線カメラ(20)と、前記保持部(40)のうちのいずれかを、前記旋回運動から前記移動運動に停止させずに移行させることを特徴とする、X線検査方法。