(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、プロジェクター100の構成図である。
プロジェクター100は、パーソナルコンピューターや各種映像プレーヤー等の外部の画像供給装置300に接続され、この画像供給装置300から供給される画像信号に基づく画像を投射対象に投射する。
画像供給装置300には、例えば、ビデオ再生装置や、DVD(Digital Versatile Disk)再生装置、テレビチューナー装置、CATV(Cable television)のセットトップボックス、ビデオゲーム装置等の映像出力装置、パーソナルコンピューター等を用いることができる。また、投射対象は、建物や物体等、一様に平らではない物体であってもよいし、スクリーンSCや、建物の壁面等の平らな投射面を有するものであってもよい。
図1には、投射対象が平面のスクリーンSCである場合を例示する。
【0021】
プロジェクター100は、画像供給装置300に接続するインターフェースとして、インターフェース部(以下、インターフェースをI/Fと略記する)151を備える。I/F部151は、本発明の「入力部」に相当する。
I/F部151は、ケーブルを接続するコネクター及びI/F回路(いずれも図示略)を備え、ケーブルを介して接続された画像供給装置300から供給される画像信号を入力する。I/F部151は、入力される画像信号を画像データ(以下、画像データD1と表記する)に変換して画像処理部155に出力する。
また、画像供給装置300から供給される画像信号には、垂直同期信号や水平同期信号等の同期信号が含まれる。I/F部151は、画像信号から同期信号を取得し、制御部170に出力する。制御部170に入力される垂直同期信号を、以下では、垂直同期信号V1と表記する。
この明細書において、画像データD1には、静止画のデータと、動画等の映像データとが含まれるものとする。
【0022】
I/F部151が備えるインターフェースは、例えば、Ethernet(登録商標)、IEEE1394、USB等のデータ通信用のインターフェースであってもよい。また、I/F部151のインターフェースは、MHL(登録商標)、HDMI(登録商標)、DisplayPort等の画像データ用のインターフェースであってもよい。
また、I/F部151は、コネクターとして、アナログ画像信号が入力されるVGA端子や、デジタル画像データが入力されるDVI(Digital Visual Interface)端子を備える構成であってもよい。さらに、I/F部151は、A/D変換回路を備え、VGA端子を介してアナログ画像信号が入力された場合に、A/D変換回路によりアナログ画像信号を画像データD1に変換して画像処理部155に出力する。
【0023】
プロジェクター100は、大きく分けて光学的な画像の形成を行う表示部110と、表示部110により表示される画像を電気的に処理する画像処理系とを備える。まず、表示部110について説明する。表示部110は、光源部111、光変調装置112、シフトデバイス20及び投射光学系114を備える。
【0024】
光源部111の光源には、キセノンランプ、超高圧水銀ランプ、LED(Light Emitting Diode)等が用いられる。また、光源部111は、光源が発した光を光変調装置112に導くリフレクター及び補助リフレクターを備えていてもよい。さらに、光源部111は、投射光の光学特性を高めるためのレンズ群(図示略)や偏光板を備えていてもよい。
【0025】
光源部111は、光源駆動部121により駆動される。光源駆動部121は、内部バス180に接続され、内部バス180に接続された制御部170の制御に従って動作する。制御部170の詳細については後述する。光源駆動部121は、制御部170の制御に従い、光源部111の光源を点灯又は消灯させる。
【0026】
光源部111から射出された光は、ダイクロイックミラー106a、106b(
図2参照)等の光学系によって光の3原色であるR,G,Bの各色成分に分離された後、光変調装置112に入射される。
【0027】
光変調装置112は、R,G,Bの各色成分に対応した3つの液晶パネル1121R、1121G,1121Bを備える。以下では、液晶パネル1121R,1121G,1121Bを区別して表記する必要がない場合に、液晶パネル1121と総称して表記する。
各液晶パネル1121は、一対の透明基板間に液晶が封入された構成を有している。液晶パネル1121は、複数の画素(図示略)がマトリックス状に配列された矩形状の画素領域を備えており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。
【0028】
光変調装置112には、液晶パネル1121R、1121G,1121Bのそれぞれを駆動する光変調装置駆動部122が接続される。光変調装置駆動部122は、内部バス180に接続される。
光変調装置駆動部122には、後述する画像処理部155からR、G、Bの3原色に分離された画像データが入力される。光変調装置駆動部122は、入力される各色の画像データを、対応する液晶パネル1121R、1121G、1121Bの動作に適したデータ信号Rv、Gv、Bvに変換する。光変調装置駆動部122は、変換したデータ信号Rv、Gv、Bvに対応した駆動電圧を液晶パネル1121R、1121G、1121Bの各画素に印加して、各液晶パネル1121に画像を描画する。
これにより、光源部111から射出される光が光変調装置112により画像光に変調される。
【0029】
シフトデバイス20は、光変調装置112と投射光学系114との間に配置され、光変調装置112の液晶パネル1121を透過した画像光の光軸(光路)をシフトさせる素子(又は装置)である。シフトデバイス20は、本発明の「画像変位部」に相当する。
シフトデバイス20は、ガラス板21(
図8〜
図11参照)を備え、光変調装置112の駆動に同期してガラス板21の姿勢(角度)を時分割で切り替える。これにより、液晶パネル1121の1つの画素を、スクリーンSC上では時分割で2つの画素として表示させることができる。例えば、1フレームを2つのサブフレームに分割し、分割した2つのサブフレームにおける画像の表示位置をシフトデバイス20によりシフトさせれば、液晶パネル1121の1つの画素を1フレームにおいて、2つの画素として表示することができる。これによって、液晶パネル1121の解像度よりも高い解像度(例えば、液晶パネル1121の解像度がフルハイビジョンであれば4K)の画像をスクリーンSCに投射することが可能になる。シフトデバイス20の詳細については後述する。
【0030】
シフトデバイス20には、信号処理部123が接続される。信号処理部123は、内部バス180に接続される。信号処理部123は、制御部170の制御に従い、シフトデバイス20に、シフトデバイス20を駆動させる駆動信号DSを出力する。駆動信号DSは、後述する駆動機構25のコイル252(
図10参照)に流す交流電流を指す。
【0031】
投射光学系114は、投射する画像の拡大・縮小及び焦点の調整を行うズームレンズや、フォーカスの調整を行うフォーカス調整機構等を備える。投射光学系114は、光変調装置112により変調され、シフトデバイス20で光軸をシフトさせた画像光をスクリーンSCに投射する。
【0032】
投射光学系114には、投射光学系駆動部124が接続される。投射光学系駆動部124は、内部バス180に接続される。
投射光学系駆動部124は、ステッピングモーターやギアー(いずれも図示略)を備え、制御部170の制御に従って投射光学系114のレンズ位置を調整し、ズーム調整やフォーカス調整を行う。
【0033】
ここで、表示部110の構成についてより詳細に説明する。
図2は、表示部110の構成図である。
表示部110は、ミラー104a、104b、104cと、ダイクロイックミラー106a、106bとをさらに備える。
光源部111から射出された光は、まず、ダイクロイックミラー106aによって赤色光(R)とその他の光とに分離される。赤色光は、ミラー104aで反射された後、液晶パネル1121Rに入射し、その他の光は、ダイクロイックミラー106bによって緑色光(G)と青色光(B)とに分離される。分離された緑色光は、液晶パネル1121Gに入射され、青色光は、ミラー104b、104cで反射された後、液晶パネル1121Bに入射される。
【0034】
また、液晶パネル1121R、1121G、1121Bの各画素には、データ信号Rv、Gv、Bvに応じた駆動電圧が光変調装置駆動部122により印加される。これにより、液晶パネル1121の各画素は、画像処理部155による処理後の画像データ(以下、D4と表記する)に応じた光透過率に設定される。このため、光源部111から射出された光は、液晶パネル1121の画素領域を透過することによって変調され、画像データD4に応じた画像光が色光毎に形成される。形成された各色の画像光は、ダイクロイックプリズム109で合成され、ダイクロイックプリズム109からフルカラーの画像光LLが射出される。
ダイクロイックプリズム109と投射光学系114との間には、シフトデバイス20が配置される。ダイクロイックプリズム109から射出された画像光LLは、シフトデバイス20により光軸がシフトされ、投射光学系114によって拡大されてスクリーンSCに投射される。
図2には、シフトデバイス20の一部として、シフトデバイス20が備えるガラス板21(ガラス板については、
図8〜
図10参照)を示す。
【0035】
図3は、画像光LLの光軸をシフトさせた様子を示す図である。
シフトデバイス20は、ガラス板21を備える。ガラス板21は、画像光が入射される光入射面を有する。シフトデバイス20は、ガラス板21の姿勢を変更させることによって、ガラス板21を透過する画像光LLの光軸(光路)をシフトさせる。画像光LLの光軸を一方の側にシフトさせた場合のスクリーンSCにおける画像の表示位置を第1表示位置P1といい、画像光LLの光軸を他方の側にシフトさせた場合のスクリーンSCにおける画像の表示位置を第2表示位置P2という。第1表示位置P1と、第2表示位置P2とは、斜め方向(
図2の矢印方向)に半画素(すなわち、画素Pxの半分)ずれた位置となる。画素Pxは、液晶パネル1121の画素である。
また、画像の表示位置が第1表示位置P1にあるときのガラス板21の姿勢(角度)を第1状態といい、画像の表示位置が第2表示位置P2にあるときのガラス板21の姿勢(角度)を第2状態という。
【0036】
プロジェクター100は、スクリーンSCにおける画像の表示位置を、第1表示位置P1から第2表示位置P2に移動させ、また、第2表示位置P2から第1表示位置P1に移動させる。第1及び第2表示位置P1、P2に交互に画像を表示させることにより、スクリーンSCに投射される画像の見かけ上の画素数が増加し、画像の高解像度化が図られる。
【0037】
図1に戻り、プロジェクター100の構成について引き続き説明する。
プロジェクター100の本体には、ユーザーが操作を行うための各種スイッチ及びインジケーターランプを備えた操作パネル131が搭載される。操作パネル131は、操作受付部133に接続される。操作受付部133は、制御部170の制御に従い、プロジェクター100の動作状態や設定状態に応じて操作パネル131のインジケーターランプを適宜点灯又は点滅させる。操作パネル131のスイッチが操作されると、操作されたスイッチに対応した操作信号が操作受付部133から制御部170に出力される。
【0038】
プロジェクター100は、ユーザーが使用するリモコン5を有する。リモコン5は各種のボタンを備え、これらのボタンの操作に対応して赤外線信号を送信する。プロジェクター100の本体には、リモコン5が発する赤外線信号を受光するリモコン受光部132が搭載される。リモコン受光部132は、リモコン5から受光した赤外線信号をデコードして、リモコン5における操作内容を示す操作信号を生成し、制御部170に出力する。
【0039】
プロジェクター100は、無線通信部135を備える。無線通信部135は、内部バス180に接続される。無線通信部135は、図示しないアンテナやRF(Radio Frequency)回路等を備え、制御部170の制御の下、外部の装置との間で無線通信を実行する。無線通信部135の無線通信方式は、例えば無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、UWB(Ultra Wide Band)、赤外線通信等の近距離無線通信方式、又は携帯電話回線を利用した無線通信方式を採用できる。
【0040】
プロジェクター100は、姿勢検出部137を備える。姿勢検出部137は、例えば3軸の加速度センサーや、方位を検出する方位角センサー等を備える。姿勢検出部137は、加速度センサーにより、重力方向に対するプロジェクター100の姿勢、すなわち、ピッチ及びロールの各角度を検出する。また、姿勢検出部137は、方位角センサーで検出される基準方位に対する相対方位としてヨー角を検出する。姿勢検出部137は、検出結果を姿勢情報として制御部170に出力する。
【0041】
プロジェクター100の画像処理系は、プロジェクター100を制御する制御部170を中心に構成され、この他に、画像処理部155、フレームメモリー157、記憶部160を備える。制御部170、画像処理部155及び記憶部160は、内部バス180に接続される。
【0042】
画像処理部155は、制御部170の制御に従って、I/F部151から入力される画像データD1の属性を判定する。例えば、画像処理部155は、画像データD1に対し、画像サイズや解像度の判定、2D(平面)画像か3D(立体)画像かの判定、静止画像か動画像かの判定、フレームレートの判定等を行う。画像処理部155は、画像データD1をフレーム毎にフレームメモリー157に書き込み、書き込んだ画像に対して画像処理を実行する。
【0043】
図4は、画像処理部155の構成図である。理解の便宜のため、
図4にはI/F部151、制御部170及び光変調装置駆動部122を合わせて図示する。
画像処理部155は、フレームレートの変換処理を実行するフレームレート変換部530を備える。フレームレート変換部530は、入力処理部531とフレーム補間部532とを備える。また、画像処理部155は、画像補正部520、処理部540及びタイミングコントローラー510を備え、タイミングコントローラー510は制御部170により制御される。
【0044】
画像補正部520は、I/F部151から入力される画像データD1に対し、コントラスト調整処理、ブライトネス調整処理等の各種処理を実行し、実行後の画像データ(以下、D2と表記する)を入力処理部531に出力する。
【0045】
入力処理部531は、画像補正部520から入力される画像データD2をフレームメモリー157に書き込む。入力処理部531に入力される画像データD2には、少なくとも垂直同期信号V1が含まれる。入力処理部531は、垂直同期信号V1に従って、画像データD2を、1フレームごとにフレームメモリー157に書き込む。
【0046】
フレーム補間部532は、フレームメモリー157に書き込まれた画像データD2を、フレーム毎に読み出す。フレーム補間部532は、読み出したフレームをもとに、補間フレームを生成して、画像データD2のフレームレートよりも高いフレームレート(本実施形態では2倍のフレームレート)で、画像データD3を出力する。補間フレームは、画像データD2のフレームとフレームとの間に挿入される中間のフレームである。
本実施形態では、画像データD2のフレームレートが50Hzである場合、フレーム補間部532は、フレームレートが100Hzの画像データD3を生成する。また、画像データD2のフレームレートが60Hzである場合、フレーム補間部532は、フレームレートが120Hzの画像データD3を生成する。
【0047】
また、フレーム補間部532は、変換後のフレームレートに対応する垂直同期信号(以下、V2と表記する)を生成する。フレーム補間部532は、生成した垂直同期信号V2を制御部170に出力する。また、フレーム補間部532は、生成した垂直同期信号V2を画像データD3とともに処理部540に出力する。
例えば、変換後のフレームレートが100Hzの場合、フレーム補間部532は、周波数が100Hzの垂直同期信号V2を生成する。また、変換後のフレームレートが120Hzの場合、フレーム補間部532は、周波数が120Hzの垂直同期信号V2を生成する。
光変調装置112が、変換後の垂直同期信号V2の周波数に応じた速度で、液晶パネル1121に画像を描画すれば、画像データD1の1フレームの表示期間に2つの画像を表示することができる。すなわち、1フレームを2つ分割したサブフレームの各期間において、画像をそれぞれに表示することができる。
また、シフトデバイス20が、変換後の垂直同期信号V2の周波数に同期して、画像の表示位置をシフトさせれば、各サブフレームにおいて表示される画像の表示位置を異なる位置とすることができる。
【0048】
処理部540は、フレーム補間部532から出力される画像データD3に対して、各種処理を実行する。処理部540は、上述した解像度変換処理、デジタルズーム処理、輝度補正処理、幾何補正処理等の各種処理を実行する処理モジュールである。処理部540は、上記の処理のうちのいずれか1以上を実行する。上記の複数の処理に対応して、画像処理部155が複数の処理部を備えた構成とすることも勿論可能であるが、ここでは理解の便宜のため、一つの処理部540を図示する。処理部540による処理後の画像データを画像データD4と表記する。処理部540は、処理後の画像データD4をフレームメモリー157から読み出し、垂直同期信号V2と共に光変調装置駆動部122に出力する。
【0049】
タイミングコントローラー510は、制御部170の制御に従って、フレームレート変換部530が備える入力処理部531及びフレーム補間部532を制御する。
タイミングコントローラー510には、書き込み及び読み出しのタイミングを設定するパラメーターが制御部170から入力される。タイミングコントローラー510は、入力されたパラメーターに従って、フレームメモリー157に1フレームの画像データD2を書き込むタイミングを、入力処理部531に指定する。
また、タイミングコントローラー510は、入力されたパラメーターに従って、フレームメモリー157から画像データD2の1フレームを読み出すタイミングを、フレーム補間部532に指定する。
また、タイミングコントローラー510は、フレーム補間部532が生成する補間フレームの数、フレーム補間部532が生成する垂直同期信号V2の出力タイミング等を指定する。
【0050】
図1に戻り、プロジェクター100の構成について引き続き説明する。
記憶部160は、フラッシュメモリー、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性のメモリーにより構成される。記憶部160は、制御部170が処理するデータや制御部170が実行する制御プログラムを不揮発的に記憶する。
また、記憶部160は、遅延時間テーブル165を記憶する。遅延時間テーブル165には、制御信号CSの出力タイミングを規定する情報が登録される。制御信号CSは、信号処理部123が出力する駆動信号DSを制御する信号であり、制御部170から信号処理部123に出力される。
プロジェクター100は、複数のフレームレートで画像を表示することができる。このため、遅延時間テーブル165には、プロジェクター100が表示可能な画像のフレームレートと、駆動信号DSの出力タイミングとを対応付ける情報が登録される。
本実施形態の遅延時間テーブル165には、垂直同期信号V1の周波数と、制御部170が垂直同期信号V1を入力してから制御信号CSを出力するまでの遅延時間を設定した情報とが登録される。垂直同期信号V1の周波数が、プロジェクター100が表示可能な画像のフレームレートに対応し、遅延時間が、駆動信号DSの出力タイミングに対応する。
【0051】
制御部170は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のハードウェア(いずれも図示略)を備え、プロジェクター100の各部を統括制御する。ROMは、フラッシュROM等の不揮発性の記憶装置であり、制御プログラムやデータを格納する。RAMは、CPUのワークエリアを構成する。CPUは、ROMや記憶部160から読み出した制御プログラムをRAMに展開し、展開された制御プログラムを実行してプロジェクター100の各部を制御する。
【0052】
また、制御部170は、機能ブロックとして、シフト制御部175を備える。この機能ブロックは、CPUが、ROMや記憶部160に記憶された制御プログラムを実行することで実現される。
【0053】
シフト制御部175は、信号処理部123がシフトデバイス20に駆動信号DSを出力する出力タイミングを制御する。また、シフト制御部175は、信号処理部123が出力する駆動信号DSの電流を制御する。
【0054】
シフト制御部175には、I/F部151から同期信号(垂直同期信号V1)が入力される。また、シフト制御部175には、画像処理部155から垂直同期信号V2が入力される。
シフト制御部175は、I/F部151から入力される垂直同期信号V1の周波数を検出する。シフト制御部175は、検出した垂直同期信号V1の周波数に対応付けられた遅延時間の情報を遅延時間テーブル165から取得する。シフト制御部175は、取得した遅延時間の情報に基づき、信号処理部123に制御信号CSを出力する。制御信号CSは、信号処理部123がシフトデバイス20に駆動信号DSを出力する出力タイミングを制御する信号である。また、制御信号CSは、信号処理部123が出力する駆動信号DSの電流値を規定する信号である。
信号処理部123は、制御信号CSの入力タイミングに合わせて、シフトデバイス20に駆動信号DSを出力する。また、信号処理部123は、入力される制御信号CSに含まれる電流値に基づき、駆動信号DSの電流値を変更する。
これにより、コイル252に交流電流である駆動信号DSが流れるタイミング、及び駆動信号DSの電流値が制御され、シフトデバイス20の可動部22を揺動させる揺動タイミングや、揺動のスピードが調整される。
【0055】
ここで、画像データD4の垂直同期信号V2の周波数と、制御信号CSの出力タイミングとの関係について説明する。
図5及び
図6は、垂直同期信号V2の周波数と、制御信号CSの出力タイミングとの関係を説明する説明図である。
図5及び
図6には、垂直同期信号V2及び制御信号CSの出力タイミングと、シフトデバイス20のガラス板21の姿勢とを示す。
図5及び
図6において、垂直同期信号V2を示す矩形の波形には「V2_1」、「V2_2」、「V2_3」、「V2_4」の文字を付す。また、制御信号CSを示す矩形の波形には「CS_1」、「CS_2」、「CS_3」、「CS_4」の文字を付して示す。また、
図5は、画像データD4に基づく画像が、液晶パネル1121に描画される際に、シフトデバイス20のガラス板21の角度が所定の角度となっていない場合を示す。また、
図6は、画像データD4に基づく画像が、液晶パネル1121に描画される際に、ガラス板21の角度が所定の角度となっている場合を示す。所定の角度とは、シフトデバイス20のガラス板21が第1状態又は第2状態となっている場合を指す。液晶パネル1121に画像が描画される際に、ガラス板21の傾きが不足したり、逆に傾き過ぎたりした場合、ガラス板21を透過する画像光LLの光軸が好ましい方向からずれ、高解像度化の効果が薄れてしまう。
【0056】
また、
図5及び
図6には、ターゲット区間及びシフト有効区間を示す。
図5及び
図6において、垂直同期信号V2間に配置され、破線で示す区間がターゲット区間に該当する。また、制御信号CS間に配置され、「Y」の文字が付された区間がシフト有効区間に該当する。
ターゲット区間は、液晶パネル1121が備える矩形状の画素領域のうち、中心付近に位置する画素に対する描画が行われる区間を示す。例えば、ターゲット区間は、液晶パネル1121を縦方向に3分割した真ん中の領域の画素に対して画像が描画される区間であるとする。
光変調装置駆動部122は、垂直同期信号V2が入力され、液晶パネル1121への画像の描画を開始すると、例えば、矩形状の画素領域の1番上の1ライン目から画像の描画を開始する。画素領域の1番上の1ライン目から描画を開始した光変調装置駆動部122が、3分割された真ん中の領域の画素に対する画像の描画を行う区間がターゲット区間となる。
また、シフト有効区間は、シフトデバイス20のガラス板21が、第1状態又は第2状態にあると見なすことができる区間である。すなわち、ガラス板21の姿勢が傾き過ぎたり、傾きが不足したりした状態にはない区間である。例えば、あるシフト有効区間において、ガラス板21を透過した画像光LLの光軸と、このあるシフト有効区間の前又は後のシフト有効区間においてガラス板21を透過した画像光LLの光軸とは、半画素ずれた状態にあると見なすことができる。
【0057】
信号処理部123には、制御部170から制御信号CSが入力される。
信号処理部123は、制御部170から制御信号CSが入力されたタイミングで、シフトデバイス20に駆動信号DSを出力する。これにより、シフトデバイス20に駆動信号DSが入力されるタイミングが調整され、シフト有効区間が、ターゲット区間内に位置するように調整される。
図5には、シフト制御部175が、垂直同期信号V2を入力してから「t1」時間の経過後に、信号処理部123に制御信号CSを出力する場合を示す。すなわち、制御信号CSの出力タイミングを、垂直同期信号V2よりも「t1」時間だけ遅延させた場合を示す。この場合、シフトデバイス20のシフト有効区間が、ターゲット区間よりも前に位置し、液晶パネル1121に画像が表示されるタイミングと、シフトデバイス20が第1状態又は第2状態になるタイミングとにずれが生じる。このため、スクリーンSCに投射される画像の表示品質が低下してしまう。
図6には、シフト制御部175が、垂直同期信号V2を入力してから「t2」時間の経過後に、信号処理部123に制御信号CSを出力する場合を示す。すなわち、制御信号CSの出力タイミングを、垂直同期信号V2よりも「t2」時間だけ遅延させた場合を示す。遅延時間「t2」は、遅延時間「t1」よりも長く設定されている。この場合、
図6に示すように、シフトデバイス20のシフト有効区間が、ターゲット区間内となり、シフトデバイス20が第1状態又は第2状態となるタイミングを、液晶パネル1121に画像が表示されるタイミングに合わせることができる。
【0058】
画像供給装置300から供給される画像データの種別が変更され、画像のフレームレートが変更されたとする。この場合に、フレームレートの変更前と変更後とにおいて、信号処理部123が同一のタイミングでシフトデバイス20を動作させると、シフトデバイス20のシフト有効区間が、ターゲット区間に合わないという問題が生じる。シフトデバイス20のシフト有効区間が、ターゲット区間に合わないと、スクリーンSCに投射される画像の表示品質が低下してしまう。
そこで、本実施形態では、シフト制御部175が、画像データD1に付された垂直同期信号V1の周波数を検出し、検出した周波数に対応した遅延時間の情報を遅延時間テーブル165から取得する。そして、シフト制御部175は、画像処理部155から垂直同期信号V2が入力されると、垂直同期信号V2の入力から、遅延時間テーブル165から取得した遅延時期間だけ出力タイミングを遅延させて、制御信号CSを信号処理部123に出力する。従って、ターゲット区間内で、シフトデバイス20の姿勢を第1状態又は第2状態とすることができ、投射される画像の表示品質の低下を防止することができる。
【0059】
また、シフト制御部175は、検出した垂直同期信号の周波数が予め設定されたフレーム周波数に一致しているか否かを判定する。予め設定されたフレーム周波数とは、例えば、60Hzや50Hz、48Hz、24Hz等のプロジェクター100で表示可能な予め設定された周波数である。
例えば、画像処理部155が、垂直同期信号V1の周波数が60Hzの画像データD1を周波数が120Hzの画像データD4に変換し、表示部110が、120Hzのフレームレートで画像データD4に基づく画像を表示しているとする。
シフト制御部175は、I/F部151から入力される垂直同期信号V1の周波数を検出し、検出した周波数が60Hzに一致するか否かを判定する。すなわち、シフト制御部175は、検出した垂直同期信号V1の周波数が、例えば、59.9Hzや60.1Hz、60.2Hz等に変動しているか否かを判定する。シフト制御部175は、I/F部151からの垂直同期信号V1の入力タイミングとシステムクロックとを比較して、垂直同期信号の周波数が変動しているか否かを判定する。
【0060】
シフト制御部175は、検出した垂直同期信号の周波数が変動していると判定した場合、遅延時間テーブル165から取得した遅延時間の情報を補正する。シフト制御部175は、予め設定された60Hzや50Hz等の周波数と、I/F部151から入力される垂直同期信号V1から検出した周波数との差に基づき補正値を算出し、算出した補正値により、遅延時間テーブル165から取得した遅延時間を補正する。
例えば、シフト制御部175は、検出した周波数が、予め設定された周波数よりも小さい場合に、遅延時間を増加させ、駆動信号DSの出力タイミングを遅くする補正値を算出する。また、シフト制御部175は、検出した周波数が、予め設定された周波数よりも大きい場合に、遅延時間を減少させ、駆動信号DSの出力タイミングを早める補正値を算出する。
補正値に基づき補正された遅延時間を補正遅延時間という。シフト制御部175は、補正遅延時間の情報に基づき、制御信号CSを信号処理部123に出力する出力タイミングを変更する。
なお、シフトデバイス20の特性によっては、検出した周波数が、予め設定された周波数よりも小さい場合に、遅延時間を減少させて駆動信号DSの出力タイミングを早めるように構成する場合もある。また、シフトデバイス20の特性によっては、検出した周波数が、予め設定された周波数よりも大きい場合に、遅延時間を増加させて駆動信号DSの出力タイミングを遅くするように構成する場合もある。
【0061】
また、シフト制御部175は、信号処理部123がシフトデバイス20に出力する駆動信号DSの電流値を、I/F部151から入力される垂直同期信号V1の周波数に応じて変更する。シフト制御部175は、垂直同期信号V1の周波数を検出し、検出した周波数に対応する電流値を指定する情報を含む制御信号CSを生成して、信号処理部123に出力する。
例えば、シフト制御部175は、画像データD1に付された垂直同期信号V1の周波数が50Hzの場合の駆動信号DSの電流値を、画像データD1に付された垂直同期信号V1の周波数が60Hzの場合の駆動信号DSの電流値よりも小さくする。また、シフト制御部175は、画像データD1に付された垂直同期信号V1の周波数が48Hzの場合の駆動信号DSの電流値を、画像データに付された垂直同期信号V1の周波数が50Hzの場合の駆動信号DSの電流値よりも小さくする。垂直同期信号V1の周波数が50Hzの場合が、本発明の「予め設定された周波数」に相当する。
駆動信号DSの電流値を変更することで、可動部22の振幅が目的の振幅となるまでにかかる時間を、画像データD1の周波数に応じて変更することができる。
【0062】
交流電流である駆動信号DSの周波数成分には、48Hz、50Hz、60Hzといった基本周波数の逓倍の周波数成分が含まれる。例えば、基本周波数が50Hzの場合、駆動信号DSには、100Hz、150Hzといった逓倍の周波数成分(高調波成分)が含まれる。駆動信号DSの高調波成分が、シフトデバイス20の共振周波数に一致してしまうと、シフトデバイス20の振幅が意図したものよりも大きく変化する。
【0063】
図7は、駆動信号DSの周波数と、シフトデバイス20の振幅との関係を示す図である。特に、
図7には、基本周波数である48Hz、50Hz、60Hzの3倍周波数(144Hz、150Hz、180Hz)と、シフトデバイス20の振幅との関係を示す。
図7を参照すると明らかなように、周波数が小さいほど、シフトデバイス20の振幅は大きくなる。このため、本実施形態では、垂直同期信号V1の周波数が50Hzの場合の駆動信号DSの電流値を、垂直同期信号V1の周波数が60Hzの場合の駆動信号DSの電流値よりも小さくする。また、垂直同期信号V1の周波数が48Hzの場合の駆動信号DSの電流値を、垂直同期信号V1の周波数が50Hzの場合の駆動信号DSの電流値よりも小さくする。
なお、
図7に示した駆動信号DSの周波数と、シフトデバイス20の振幅との関係は、あくまでも一例であり、シフトデバイス20によっては、駆動信号DSの周波数によらず、振幅が一定となる場合もある。このような場合には、駆動信号DSの電流値を、垂直同期信号V1の周波数に応じて変更しなくてよい。
【0064】
次に、プロジェクター100に組み込まれたシフトデバイス20について説明する。
図8及び
図9は、プロジェクター100が有するシフトデバイス20を示す図である。特に、
図8は、シフトデバイス20の上面斜視図を示し、
図9は、シフトデバイス20の背面斜視図を示す。
また、
図10及び
図11は、シフトデバイス20の断面図である。特に、
図10は、
図8に示すA−A線断面図であり、
図11は、
図8に示すB−B線断面図である。
なお、
図8〜
図11には、説明の便宜上、互いに直交する3軸として、x軸、y軸及びz軸を適宜に図示しており、その図示した矢印の先端側を「+側」、基端側を「−側」とする。また、以下では、x軸に平行な方向を「x軸方向」とも言い、y軸に平行な方向を「y軸方向」とも言い、z軸に平行な方向を「z軸方向」とも言い、+z側を「上」、−z側を「下」とも言う。
【0065】
シフトデバイス20は、光透過性を有すると共に画像光LLを偏向させるガラス板21と、このガラス板21を保持する可動部22と、可動部22を揺動自在に支持する支持部23と、支持部23に対して可動部22を揺動させる駆動機構(アクチュエーター)25とを有する。
このシフトデバイス20は、例えば、+z側がダイクロイックプリズム109側、−z側が投射光学系114側を向くようにプロジェクター100内に配置される。
【0066】
ガラス板21は、略長方形の平面視形状を有し、その長手方向がx軸方向とほぼ平行になるように配置される。このガラス板21は、その姿勢が変化することで、すなわち画像光LLの入射角度が変化することで、入射した画像光LLを屈折させつつ透過させることができる。したがって、目的とする入射角度になるように、ガラス板21の姿勢を変化させることにより、画像光LLの偏向方向や偏向量を制御することができる。このガラス板21の大きさは、ダイクロイックプリズム109から出射する画像光LLを透過させることができるように適宜に設定される。また、ガラス板21は、実質的に無色透明であることが好ましい。また、ガラス板21の画像光LLの入射面及び出射面には反射防止膜が形成されていてもよい。
【0067】
ガラス板21の構成材料としては、例えば、白板ガラス、硼珪酸ガラス、石英ガラスのような各種ガラス材料を用いることができる。また、本実施形態では、光学部材としてガラス板21を用いるが、光学部材は、光透過性を有する材料で構成されたものであれば特に限定されず、例えば、水晶、サファイアのような各種結晶材料、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂のような各種樹脂材料などで構成されたものであってもよい。ただし、光学部材としては、本実施形態のようにガラス板21を用いることが好ましく、これにより、ガラス板21の剛性を特に大きくすることができるので、ガラス板21において偏向される光の偏向ムラを特に抑制することができる。
【0068】
可動部22は、平板状をなし、その中央部に貫通孔221を有する。そして、この貫通孔221にガラス板21が嵌め込まれており、ガラス板21は、例えば、接着剤等によって可動部22に接着される。なお、貫通孔221は、その周面に段差を有し、この段差でガラス板21を受け止める。これにより、可動部22へのガラス板21の配置が簡単となる。
【0069】
支持部23は、可動部22の周囲を囲う矩形の枠部23aと、矩形のガラス板21の対向する一対の角部にて可動部22と枠部23aとをそれぞれ連結する一対の軸部24a及び24bとを備える。これにより、支持部23は、一対の軸部24a,24bをつなぐ揺動軸Jを基準にして可動部22を揺動自在に支持することができる。
軸部24a、24bは、平面視で、x軸方向、及びy軸方向にずれた位置に形成され、揺動軸Jはx軸、及びy軸の両軸に対して約45°傾斜した軸に設定される。したがって、可動部22に保持されたガラス板21による画像光LLの偏向方向を、x軸方向及びY軸方向の両軸に対して均等にずらすように、可動部22を揺動させることができる。また、シフトデバイス20では、平面視で、軸部24a、24bがガラス板21の中心に対して点対称に配置されるため、可動部22(ガラス板21)の揺動バランスが良好となる。
【0070】
可動部22、支持部23、及び軸部24a、24bは、一体形成される。これにより、支持部23と軸部24a、24bとの境界部分や、軸部24a、24bと可動部22との境界部分における耐衝撃性や長期耐久性を高くし易くなる。
【0071】
可動部22、支持部23及び軸部24a、24bは、ガラス板21の構成材料よりもヤング率が小さい材料で構成される。可動部22、支持部23及び軸部24a、24bの構成材料としては、樹脂を含むことが好ましく、樹脂を主成分とすることがより好ましい。これにより、可動部22の揺動に伴って発生する応力がガラス板21自体の不要な振動に繋がるのを効果的に抑えることができる。
また、ヤング率が比較的小さい可動部22でガラス板21の側面を囲うことで、ガラス板21の姿勢を変更する際に、ガラス板21に生じる応力を小さく抑え、応力分布に伴ってガラス板21に発生する不要な振動を小さく抑えることができる。その結果、ガラス板21によって偏向された画像が、意図しない方向に偏向されてしまうのを防止することができる。
【0072】
また、可動部22、支持部23及び軸部24a、24bの構成材料として用いることができる樹脂には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フッ素樹脂等を用いることができる。また、これらのうちの少なくとも1種を含む樹脂を用いることができる。
【0073】
次に、可動部22を揺動させる駆動機構25について説明する。
駆動機構25は、永久磁石251と、コイル252とを備える。駆動機構25は、信号処理部123から出力される交流電流の駆動信号DSをコイル252に流すことによって電磁力を発生させる電磁アクチュエーターとして動作する。駆動機構25として、電磁アクチュエーターを用いることで、可動部22を揺動させるのに十分な力を発生させることができ、可動部22をスムーズに揺動させることができる。
永久磁石251は、可動部22の縁部に設けられており、y軸方向に沿った長手形状を有する。また、永久磁石251は、z軸方向(可動部22の厚さ方向)に磁化される。この永久磁石251としては、例えば、ネオジム磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
コイル252は、永久磁石251とz軸方向に対向するように、保持部材26を介して支持部23に固定される。また、コイル252は、筒状の空芯コイルであって、その内側に永久磁石251の一部が挿入される。これにより、コイル252から発生する磁界を効率的に永久磁石に作用させることができる。
また、シフトデバイス20の低背化を図ることができる。なお、永久磁石251とコイル252は、Z軸方向に所定のギャップを介して配置されてもよく、この場合には、コイル252は中心付近まで配線が巻かれていてもよい。
【0075】
なお、コイル252の配置としては、永久磁石251に磁界を作用させることが可能な範囲であれば、特に限定されない。また、本実施形態は、可動部22に永久磁石251を配置した所謂「ムービングマグネット型」の駆動機構25であるが、永久磁石251とコイル252の配置を逆にしてもよい。
すなわち、可動部22にコイル252を配置した所謂「ムービングコイル型」の駆動機構25であってもよい。ただし、本実施形態のような「ムービングマグネット型」の駆動機構25とすることで、通電による発生するコイル252の熱が可動部22やガラス板21に伝わり難く、熱による振動特性の変化(共振周波数の変化)や、ガラス板21の撓み等を効果的に抑えることができる。
【0076】
図12及び
図13は、可動部22の動作状態を示す要部斜視図である。
図12は、可動部22が一方の側に揺動し、第1状態となった場合を示す。また、
図13は、可動部22が他方の側に揺動し、第2状態となった場合を示す。
本構成の駆動機構25は、次のようにして可動部22を揺動させる。
信号処理部123からコイル252に駆動信号DSが流れていない場合、可動部22は、実質的にxy平面と平行となる。そして、信号処理部123によりコイル252に交流電流の駆動信号DSが供給され、コイル252を流れる駆動信号DSの向きが切り替わることで、可動部22が支持部23に対して揺動軸Jまわりに揺動(回動)する。これにより、可動部22は、
図12に示す状態と、
図13に示す状態とを繰り返す。そして、このような可動部22の揺動によって、画像光LLの光軸が、
図3に示すようにシフトされ、第1及び第2表示位置P1、P2に交互に画像が表示される。よって、見かけ上の画素数が増加し、画像の高解像度化が図られる。
【0077】
駆動信号DSの周波数としては、プロジェクター100のフレームレート(1秒当たりの画像数)によっても異なるが、例えば、フレームレートが120fpsである場合に、60Hzとする。
【0078】
図14は、第1実施形態のプロジェクター100の動作を示すフローチャートである。
プロジェクター100は、画像供給装置300から画像信号の供給がない場合(ステップS1/NO)、画像信号の供給が開始されるまで待機する。
画像供給装置300から画像信号の供給が開始されると(ステップS1/YES)、I/F部151は、入力される画像信号を画像データD1に変換して画像処理部155に出力する。また、I/F部151は、画像信号から同期信号を取り出して制御部170に出力する。
【0079】
シフト制御部175は、I/F部151から入力される同期信号のうち、垂直同期信号V1の周波数を検出する(ステップS2)。
シフト制御部175は、検出した垂直同期信号V1の周波数が、前回、受信した画像信号から取得した垂直同期信号V1の周波数に一致するか否かを判定する(ステップS3)。
肯定判定の場合(ステップS3/YES)、シフト制御部175は、前回、画像信号を受信した際に設定した駆動電流の設定と同一の設定を含む制御信号CSを生成する。そして、シフト制御部175は、前回、画像信号を受信した際と同一の出力タイミングで制御信号CSを信号処理部123に出力する。これにより、信号処理部123は、前回、画像信号を受信した際と同一の出力タイミングで駆動信号DSをシフトデバイス20に出力する(ステップS4)。また、信号処理部123は、シフトデバイス20に、前回、画像信号を受信した際と同一の電流値の駆動信号DSを出力させる(ステップS4)。
【0080】
また、否定判定の場合(ステップS3/NO)、シフト制御部175は、検出した垂直同期信号V1の周波数に対応する遅延時間の情報を遅延時間テーブル165から取得する。また、シフト制御部175は、検出した垂直同期信号V1の周波数に対応する駆動電流の設定を含む制御信号CSを生成する。そして、シフト制御部175は、画像処理部155から垂直同期信号V2が入力されると、垂直同期信号V2の入力から、取得した遅延時間の経過後に制御信号CSを信号処理部123に出力する。これにより、信号処理部123がシフトデバイス20に駆動信号DSを出力する出力タイミングが、画像データD1の周波数に対応したタイミングに変更される(ステップS5)。また、信号処理部123が出力する駆動信号DSの電流値が、画像データD1の周波数に対応した電流値に変更される(ステップS5)。
【0081】
画像処理部155は、I/F部151から入力される画像データD1をフレームメモリー157に書き込み、書き込んだ画像データD1に対してコントラスト調整処理、ブライトネス調整処理等の処理を行い、画像データD2を生成する。
また、画像処理部155は、フレームメモリー157から読み出した画像データD2をもとに補間フレームを生成し、画像データD2のフレームレートの2倍のフレームレートで、画像データD3を出力する。さらに画像処理部155は、変換後のフレームレートに対応する垂直同期信号V2を生成する。画像処理部155は、生成した垂直同期信号V2を制御部170に出力する。また、画像処理部155は、画像データD3に対して、解像度変換処理や、輝度補正処理等の各種処理を行い、処理後の画像データD4を垂直同期信号V2と共に光変調装置駆動部122に出力する。
【0082】
信号処理部123は、シフト制御部175から制御信号CSが入力されると、シフトデバイス20に駆動信号DSを出力する。これにより、ターゲット区間内において、シフトデバイス20の姿勢が第1状態又は第2状態となる。また、信号処理部123は、制御信号CSに含まれる電流値の設定に従って、駆動信号DSの電流値を調整する。これにより、シフトデバイス20の振幅が意図した振幅よりも大きく変化しないようにし、シフトデバイス20の振幅を最適に制御することができる。また、可動部22の振幅が目的の振幅となるまでにかかる時間を、画像データD1の周波数に応じて変更することができる。
【0083】
次に、シフト制御部175は、I/F部151から引き続き入力される垂直同期信号V1の周波数を検出する(ステップS6)。そして、シフト制御部175は、検出した周波数が予め設定された周波数に一致するか否かを判定する(ステップS7)。シフト制御部175は、検出した周波数と、予め設定された周波数のうち、検出した周波数に最も近い周波数とを比較して、両者が一致するか否かを判定する。シフト制御部175は、検出した周波数が、予め設定された周波数に一致すると判定した場合(ステップS7/YES)、画像供給装置300からの画像信号の受信が終了したか否かを判定する(ステップS9)。否定判定の場合(ステップS9/NO)、シフト制御部175は、ステップS6に戻り、ステップS6〜S9の処理を繰り返す。また、肯定判定の場合(ステップS9/YES)、シフト制御部175は、この処理フローを終了させる。
【0084】
また、シフト制御部175は、検出した周波数が、予め設定された周波数に一致しないと判定した場合(ステップS7/NO)、検出した周波数と、予め設定された周波数との差分を検出し、検出した差分に基づき、遅延時間を補正する補正値を算出する。シフト制御部175は、算出した補正値により遅延時間を補正して補正遅延時間を生成する。シフト制御部175は、生成した補正遅延時間に基づき、信号処理部123に制御信号CSを出力する出力タイミングを変更する。信号処理部123が、制御信号CSの入力タイミングに合わせて駆動信号DSをシフトデバイス20に出力することで、シフトデバイス20がガラス板21の姿勢を変更するタイミングが補正される(ステップS8)。これにより、シフトデバイス20の姿勢を変化させるタイミングを、垂直同期信号V1の周波数の変化に対応して変更させることができる。
【0085】
上述したフローチャートのステップS5では、信号処理部123が、シフトデバイス20に駆動信号DSを出力する出力タイミングと、駆動信号DSの電流値との両方を変更する場合について説明した。ステップS5の変形例として、シフトデバイス20に駆動信号DSを出力する出力タイミングだけを変更するように信号処理部123を動作させてもよい。
【0086】
以上説明したように本発明のプロジェクター及びプロジェクターの制御方法を適用した第1実施形態のプロジェクター100は、I/F部151と、表示部110と、シフトデバイス20と、信号処理部123と、シフト制御部175とを備える。
I/F部151は、画像供給装置300から供給される画像信号を入力する。
表示部110は、I/F部151により入力された画像信号に基づく画像をスクリーンSCに表示させる。
シフトデバイス20は、表示部110が表示する画像の表示位置を変化させる。
信号処理部123は、シフトデバイス20に駆動信号DSを出力してシフトデバイス20を駆動させる。
シフト制御部175は、信号処理部123が出力する駆動信号DSを制御する。また、シフト制御部175は、画像信号を変換した画像データD1の周波数の変化に対応して、駆動信号DSの出力タイミングを変更する。
従って、シフトデバイス20により画像の表示位置が変更されるタイミングを、表示部110が表示する画像を切り替えるタイミングに合わせることができる。このため、高品位の画像をスクリーンSCに表示することができる。
【0087】
また、第1実施形態のプロジェクター100は、記憶部160を備え、記憶部160は、画像データD1の周波数と、駆動信号DSの出力タイミングとを対応付けて登録した遅延時間テーブル165を記憶する。
シフト制御部175は、画像データD1の周波数に対応する出力タイミングを遅延時間テーブル165から取得し、取得した出力タイミングで信号処理部123に駆動信号DSを出力させる。また、シフト制御部175は、画像データD4の垂直同期信号V2に対する、駆動信号DSの出力タイミングの遅延時間を設定する。
従って、シフトデバイス20が画像の表示位置を変更するタイミングを、表示部110が表示する画像を切り替えるタイミングに容易に合わせることができる。
【0088】
また、シフト制御部175は、画像データD1の周波数が、60Hz、50Hz、48Hz、24Hz等の予め設定された周波数とは異なる場合に、駆動信号DSの出力タイミングを変更する。
具体的には、シフト制御部175は、検出した画像データD1の周波数が、60Hz、50Hz、48Hz、24Hz等の予め設定された周波数とは異なる場合に、駆動信号DSの出力タイミングを補正する補正値を算出する。そして、シフト制御部175は、算出した補正値をもとに遅延時間テーブル165から取得した遅延時間の情報を補正し、補正した遅延時間の情報を信号処理部123に出力する。
従って、画像データD1の周波数の変化に対応して、シフトデバイス20が画像の表示位置を変更するタイミングを変更することができる。
【0089】
また、シフト制御部175は、検出した周波数が、予め設定された周波数よりも小さい場合に、遅延時間を増加させ、駆動信号DSの出力タイミングを遅くする補正値を算出する。
また、シフト制御部175は、検出した周波数が、予め設定された周波数よりも大きい場合に、遅延時間を減少させ、駆動信号DSの出力タイミングを早める補正値を算出する。
従って、画像データD1の周波数の変化に対応して、シフトデバイス20が画像の表示位置を変更するタイミングを変更することができる。
【0090】
また、シフトデバイス20は、ガラス板21と、ガラス板21を保持する可動部22と、可動部22を揺動させる駆動機構25とを備える。
シフト制御部175は、駆動信号DSとしてシフトデバイス20に供給される交流電流の電流値を、画像データD1の周波数に応じて変更する。
従って、可動部22の振幅を目的の振幅とするまでにかかる時間を、画像データD1の周波数に応じて変更することができる。
また、駆動信号DSに含まれる基本周波数の逓倍の周波数成分が、シフトデバイス20の共振周波数に一致すると、シフトデバイス20の振幅が意図したものよりも大きく変化してしまう場合がある。そこで、駆動信号DSの電流値を、画像データD1の周波数に応じて変更することで、シフトデバイス20の振幅が意図したものよりも大きく変化してしまうのを防止し、シフトデバイス20の振幅を、画像データD1の周波数によらずに目的の振幅とすることができる。
【0091】
また、シフト制御部175は、画像データD1の周波数が、予め設定された周波数である50Hzよりも大きい60Hz等の周波数である場合に、シフトデバイス20に供給される駆動電流の電流値を大きくする。また、シフト制御部175は、画像データD1の周波数が、予め設定された周波数である50Hzよりも小さい24Hz等の周波数である場合に、シフトデバイス20に供給される駆動電流の電流値を小さくする。
従って、シフトデバイス20の振幅を、画像データD1の周波数によらずに目的の振幅とすることができる。
【0092】
[第2実施形態]
次に、添付図面を参照して本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態の構成は、上述した第1実施形態の構成と同一である。このため、第2実施形態の構成についての説明は省略する。
【0093】
プロジェクター100は、通常、台座等に載置して使用する据置き姿勢と、据置き姿勢から上下反転させた状態で天井等から吊り下げて使用する天吊り姿勢との2通りの姿勢で使用される。据置き姿勢の場合、プロジェクター100を載置する台座が水平ではなく、台座に載置されたプロジェクター100が傾く場合もある。また、プロジェクター100の投射画像がスクリーンSC内に納まらない場合に、プロジェクター100の本体を傾けて投射画像がスクリーンSCの範囲内に納まるようにする場合もある。また、天吊り姿勢の場合も、ユーザーの使用環境によっては、プロジェクター100の本体を、水平よりも傾けて設置される場合がある。
【0094】
プロジェクター100の本体が傾いた姿勢で設置されると、シフトデバイス20の姿勢もプロジェクター100の本体の影響を受け、シフトデバイス20の可動部22を揺動させた際に、第1状態及び第2状態との少なくとも一方において、ガラス板21が傾き過ぎたり、傾きが不足したりする状態になる場合がある。
このため本実施形態のシフト制御部175は、姿勢検出部137により検出される姿勢情報を入力し、入力した姿勢情報に基づき、駆動信号DSのデューティー比を設定する。
姿勢検出部137は、プロジェクター100の本体の姿勢を検出するため、ロール、ピッチ及びヨーのオイラー角を検出する。姿勢検出部137は、検出したオイラー角の情報を姿勢情報として制御部170に出力する。
シフト制御部175は、入力される姿勢情報に基づき、信号処理部123が出力する駆動信号DSのデューティー比を調整する。
【0095】
図15は、プロジェクター100が傾いた姿勢で設置された場合のシフトデバイス20の姿勢を示す。また、
図16は、駆動信号DSの波形を変形後のシフトデバイス20の姿勢を示す図である。
【0096】
図15には、信号処理部123からシフトデバイス20に出力される駆動信号DSの波形と、プロジェクター100が傾いた姿勢で設置された場合のシフトデバイス20の姿勢とを示す。
図15において、プロジェクター100が傾いた状態で設置された場合のシフトデバイス20の姿勢を実線で示し、プロジェクターが水平に設置された場合のシフトデバイス20の姿勢を破線で示す。駆動信号DSの1周期は、区間Aと、区間Bとの2つの区間から構成される。交流電流である駆動信号DSは、区間Aにおいて、コイル252の第1の方向に流れ、区間Bにおいて、第1の方向とは逆方向であるコイル252の第2の方向に流れる。
図15において、区間Aの長さと区間Bの長さとは同一の長さに設定されている。
【0097】
また、
図15及び
図16の説明において、区間Aにおけるシフトデバイス20の姿勢を第1状態といい、区間Bにおけるシフトデバイス20の姿勢を第2状態という。
図15に示すシフトデバイス20の姿勢では、第1状態において、シフトデバイス20の傾きが不足し、第2状態において、シフトデバイス20が傾き過ぎた状態になっている。
【0098】
図16には、駆動信号DSの波形と、
図15と同様の姿勢のプロジェクター100において、駆動信号DSの波形を変更した場合のシフトデバイス20の姿勢とを示す。
図16では、区間A及び区間Bの長さを変更し、区間Aの長さを区間Bよりも長くしている。
図15では、プロジェクター100の本体の傾きの影響により、区間Aにおいて、シフトデバイス20の傾きが不足し、区間Bにおいて、シフトデバイス20が傾き過ぎた状態になっていた。このため、シフト制御部175は、姿勢検出部137から入力される姿勢情報に基づき信号処理部123を制御して、交流電流である駆動信号DSが、コイル252の第1の方向に流れる区間Aの長さを、コイル252の第2の方向に流れる区間Bの長さよりも長くしている。これによって、区間Aにおいて、傾きが不足していたシフトデバイス20をさらに傾け、区間Bにおいて、傾き過ぎていたシフトデバイス20が傾き過ぎないように調整される。
【0099】
図17に示すフローチャートを参照して第2実施形態のプロジェクターの動作を説明する。なお、
図17に示すフローでは、プロジェクター100の電源がオンされた直後に、プロジェクター100が処理を開始する場合を示すが、ユーザーの操作を、リモコン5や操作パネル131で受け付けた際に、処理を開始するものであってもよい。
【0100】
シフト制御部175は、プロジェクター100の電源がオンされると(ステップS11/YES)、姿勢検出部137に姿勢情報の取得要求を出力する(ステップS12)。そして、シフト制御部175は、姿勢情報の入力がない場合(ステップS13/NO)、姿勢検出部137から姿勢情報が入力されるまで待機する。また、シフト制御部175は、姿勢情報が入力されると(ステップS13/YES)、入力された姿勢情報に基づき、コイル252の第1の方向に駆動信号DSを流す時間と、コイル252の第2の方向に駆動信号DSを流す時間とを設定する(ステップS14)。設定した時間情報は、記憶部160に記憶される。シフト制御部175は、画像供給装置300から画像信号の供給が開始されると、記憶部160から時間情報を読み出し、読み出した時間情報に基づき、駆動信号DSの信号波形を設定した設定情報を生成する。シフト制御部175は、生成した設定情報を含む制御信号CSを生成し、駆動信号DSの出力タイミングに合わせて制御信号CSを信号処理部123に出力する。
【0101】
以上説明したように本発明のプロジェクター及びプロジェクターの制御方法を適用した第2実施形態のプロジェクター100は、姿勢検出部137によりプロジェクター100の姿勢を検出する。
シフトデバイス20は、揺動自在に保持されるガラス板21を備え、ガラス板21の姿勢に応じて、表示部110により表示される画像の表示位置を第1表示位置P1と第2表示位置P2とに変化させる。
シフト制御部175は、姿勢検出部137が検出したプロジェクター100の姿勢に応じて信号処理部123が出力する駆動信号DSの波形を設定する。
従って、駆動信号の波形を調整することで、光学部材としてのガラス板21の姿勢の変化を制御できる。このため、第1表示位置P1と第2表示位置P2とで適切に画像を表示することができる。
【0102】
また、シフトデバイス20は、ガラス板21を保持する可動部22と、可動部22を揺動させる駆動機構25とを備えることを特徴とする。従って、ガラス板21を保持する可動部22を、駆動機構25によって揺動させることができる。
【0103】
上述した実施形態は、本発明の好適な実施の形態である。ただし、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形実施が可能である。
例えば、上述の第1及び第2実施形態では、シフトデバイス20のシフト量を半画素に相当する量にして高解像度化を図る場合を説明したが、半画素に限定されない。
図3に示した第1及び第2表示位置P1、P2のずれ量を、1画素未満の規定量に設定すれば、見かけ上の画素を増加させ、高解像度化を図ることができる。例えば、シフト量を一画素の1/4にしてもよいし、1/8にしてもよい。
【0104】
また、上述した第1実施形態では、シフト制御部175は、I/F部151から入力される垂直同期信号V1の周波数に対応する遅延時間の情報を遅延時間テーブル165から取得する構成を説明した。
この他の構成として、シフト制御部175が、I/F部151から入力される垂直同期信号V1、又は画像処理部155から入力される垂直同期信号V2に基づき、シフトデバイス20のシフト有効区間がターゲット区間に収まるように遅延時間を算出してもよい。
【0105】
また、上述の第1及び第2実施形態では、画像変位部として、シフトデバイス20を用いる場合を説明したが、シフトデバイス20以外の構成を用いてもよい。また、画像光が入射する光入射面を有する光学部材として、ガラス板21を用いる場合を説明したが、ガラス板21に限らず、光反射性を有するミラーであってもよい。このような場合には、本発明の光学デバイスを光走査用の光学デバイスや、光スイッチ、光アッテネーター等として利用可能となる。
【0106】
上述した第1及び第2実施形態では、光源が発した光を変調する光変調装置112として、RGBの各色に対応した3枚の透過型の液晶パネルを用いた構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、3枚の反射型液晶パネルを用いた構成としてもよいし、1枚の液晶パネルとカラーホイールを組み合わせた方式を用いてもよい。或いは、3枚のデジタルミラーデバイス(DMD)を用いた方式、1枚のデジタルミラーデバイスとカラーホイールを組み合わせたDMD方式等により構成してもよい。光変調装置として1枚のみの液晶パネルまたはDMDを用いる場合には、クロスダイクロイックプリズム等の合成光学系に相当する部材は不要である。また、液晶パネルおよびDMD以外にも、光源が発した光を変調可能な光変調装置であれば問題なく採用できる。また、光変調装置112として、LCOS(Liquid crystal on silicon, LCoSは登録商標)等の反射型の液晶表示素子を用いてもよい。
【0107】
また、上述した実施形態では、プロジェクター100として、スクリーンSCの前方から投射するフロントプロジェクション型のプロジェクター100を示したが、本発明はこれに限定されない。
また、
図1に示した各機能部は機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に制限されない。つまり、必ずしも各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサーがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上記実施形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアで実現してもよく、あるいは、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。その他、プロジェクター100の他の各部の具体的な細部構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。