特許第6973564号(P6973564)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6973564音響効果制御装置、音響効果制御プログラムおよび音響効果制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6973564
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】音響効果制御装置、音響効果制御プログラムおよび音響効果制御方法
(51)【国際特許分類】
   G10H 1/18 20060101AFI20211118BHJP
   G10H 1/02 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   G10H1/18 Z
   G10H1/02
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-92696(P2020-92696)
(22)【出願日】2020年5月27日
(62)【分割の表示】特願2015-252183(P2015-252183)の分割
【原出願日】2015年12月24日
(65)【公開番号】特開2020-126281(P2020-126281A)
(43)【公開日】2020年8月20日
【審査請求日】2020年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】金田 涼美
(72)【発明者】
【氏名】濱口 伸哉
【審査官】 中村 天真
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6710964(JP,B2)
【文献】 特開2004−012842(JP,A)
【文献】 特開平11−073184(JP,A)
【文献】 特開平07−114378(JP,A)
【文献】 実開平06−085515(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10H 1/00−7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響効果に寄与する複数のパラメータの値を調整するためにそれぞれ操作される複数の操作子と、
音響効果の種類を選択する選択手段と、
選択された種類の音響効果に対応する複数のパラメータの種類を含む音響効果情報を取得する音響効果情報取得手段と、
検出される各操作子の操作に基づいて各パラメータの値を決定するパラメータ値決定手段と、
決定された各パラメータの値を出力するパラメータ出力手段とを備え、
前記パラメータ値決定手段は、取得された前記音響効果情報に基づいて、複数種類のパラメータを連動させるか否かを判定する、音響効果制御装置。
【請求項2】
前記パラメータ値決定手段は、操作が検出された操作子が基準操作子として設定されている場合に、前記複数種類のパラメータを連動させる場合、検出された操作に基づいて当該基準操作子に対応するパラメータの値を決定する、請求項1記載の音響効果制御装置。
【請求項3】
前記パラメータ値決定手段は、前記複数種類のパラメータを連動させる場合、前記決定したパラメータの値に基づいて、前記基準操作子よりも優先順位が低い他の操作子に対応するパラメータの調整可能なレンジを決定する、請求項2記載の音響効果制御装置。
【請求項4】
音響効果の種類を選択するステップと、
選択された種類の音響効果に対応する複数のパラメータの種類を含む音響効果情報を取得するステップと、
音響効果に寄与する複数のパラメータの値を調整するためにそれぞれ操作される複数の操作子のうち検出される各操作子の操作に基づいて各パラメータの値を決定するステップと、
決定された各パラメータの値を出力するステップとを、
コンピュータに実行させ、
前記各パラメータの値を決定するステップは、
取得された前記音響効果情報に基づいて、複数種類のパラメータを連動させるか否かを判定するステップを含む、音響効果制御プログラム。
【請求項5】
音響効果の種類を選択するステップと、
選択された種類の音響効果に対応する複数のパラメータの種類を含む音響効果情報を取得するステップと、
音響効果に寄与する複数のパラメータの値を調整するためにそれぞれ操作される複数の操作子のうち検出される各操作子の操作に基づいて各パラメータの値を決定するステップと、
決定された各パラメータの値を出力するステップとを含み、
前記各パラメータの値を決定するステップは、
取得された前記音響効果情報に基づいて、複数種類のパラメータを連動させるか否かを判定するステップを含む、音響効果制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響効果を制御する音響効果制御装置、音響効果制御プログラムおよび音響効果制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
音響効果を制御するための音響効果制御装置において、音響効果に寄与する複数のパラメータの値が種々の方法で調整される。例えば、複数の操作子に複数のパラメータがそれぞれ割り当てられ、ユーザがそれらの操作子を操作することにより、複数のパラメータの値が調整され、音響効果が制御される。
【0003】
また、特許文献1に記載される音響効果データ生成方法においては、複数の音響効果タイプから1つの音響効果タイプが選択される。各音響効果タイプは、複数の音響効果パラメータを含む。タッチパネルディスプレイ上に表示される音響効果生成画面は、X軸およびY軸からなる座標平面を含む。選択された音響効果タイプの2つの音響効果パラメータが、座標平面のX軸およびY軸にそれぞれ割り当てられる。ユーザは、座標平面上で始点および終点をそれぞれ指定する。楽曲データの再生が開始されると、始点から終点までの線分上で、再生位置に対応する点が特定される。その点の座標に基づいて、各音響効果パラメータの値がそれぞれ決定され、決定された値に基づいて、音響効果データが生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−79189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、各音響効果パラメータの調整可能なレンジ(範囲)は予め定められている。このような一定のレンジ内で複数の音響効果パラメータの値がそれぞれ調整された場合、それらの音響効果パラメータの値の組み合わせによっては、ノイズ等のユーザの意図しない音の変化が生じることがある。ユーザが複数の音響効果パラメータの関係を熟知している場合には、各音響効果パラメータの値を適切なレンジ内で調整することが可能であるが、一般のユーザにとっては、そのような調整を行うことが困難である。
【0006】
本発明の目的は、特別な知識を必要とせずに、簡単な操作で音響効果を適切に制御することが可能な音響効果制御装置、音響効果制御プログラムおよび音響効果制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る音響効果制御装置は、音響効果に寄与する複数のパラメータの値を調整するためにそれぞれ操作される複数の操作子と、音響効果の種類を選択する選択手段と、選択された種類の音響効果に対応する複数のパラメータの種類を含む音響効果情報を取得する音響効果情報取得手段と、検出される各操作子の操作に基づいて各パラメータの値を決定するパラメータ値決定手段と、決定された各パラメータの値を出力するパラメータ出力手段とを備え、パラメータ値決定手段は、取得された音響効果情報に基づいて、複数種類のパラメータを連動させるか否かを判定する。
【0008】
この音響効果制御装置においては、選択された音響効果タイプに対応する音響効果情報が取得され、その音響効果情報に基づいて複数種類の音響効果パラメータを連動させるか否かが判定される。この場合、ユーザの意図しない音の変化が生じにくい音響効果タイプについては、複数種類の音響効果パラメータを連動させることなく、各音響効果パラメータをそれぞれ独立に調整して音響効果を高い自由度で制御することができる。このように、音響効果タイプに応じて音響効果パラメータの連動の有無を切り替えることにより、種々の音響効果を適切に制御することができる。したがって、ユーザは、特別な知識を必要とせずに、簡単な操作で聴感上の違和感を生じさせることなく音響効果を適切に制御することができる。
【0009】
また、音響効果の種類によって複数種類のパラメータを連動させるか否かが異なる。そのため、ユーザの意図しない音の変化が生じにくい音響効果については、複数種類のパラメータをそれぞれ独立に調整することによって音響効果を高い自由度で制御することができる。
【0010】
パラメータ値決定手段は、操作が検出された操作子が基準操作子として設定されている場合に、複数種類のパラメータを連動させる場合、検出された操作に基づいて当該基準操作子に対応するパラメータの値を決定してもよい。
【0011】
パラメータ値決定手段は、複数種類のパラメータを連動させる場合、決定したパラメータの値に基づいて、基準操作子よりも優先順位が低い他の操作子に対応するパラメータの調整可能なレンジを決定してもよい。
【0012】
この場合、他の操作子が操作された場合に、他の操作子に対応するパラメータの値は、基準操作子に対応するパラメータの値に依存した適切なレンジ内でのみ変化する。したがって、基準操作子に対応するパラメータの値と他の操作子に対応するパラメータの値との関係が適切に維持される。このようにして、複数の操作子のパラメータの値の関係が適切に維持されることにより、ノイズ等のユーザの意図しない音の変化が生じることが防止される。したがって、ユーザは、特別な知識を必要とせずに、簡単な操作で聴感上の違和感を生じさせることなく音響効果を適切に制御することができる。
【0013】
パラメータ値決定手段は、操作が検出された操作子が基準操作子として設定されている場合に、複数種類のパラメータを連動させない場合、基準操作子よりも優先順位が低い他の操作子に対応するパラメータの調整可能なレンジを予め定められた基準レンジとしてもよい。
【0014】
この場合、ユーザの意図しない音の変化が生じにくい音響効果については、複数種類のパラメータをそれぞれ独立に調整することによって音響効果を高い自由度で制御することができる。
【0015】
本発明に係る音響効果制御プログラムは、音響効果の種類を選択するステップと、選択された種類の音響効果に対応する複数のパラメータの種類を含む音響効果情報を取得するステップと、音響効果に寄与する複数のパラメータの値を調整するためにそれぞれ操作される複数の操作子のうち検出される各操作子の操作に基づいて各パラメータの値を決定するステップと、決定された各パラメータの値を出力するステップとを、コンピュータに実行させ、各パラメータの値を決定するステップは、取得された音響効果情報に基づいて、複数種類のパラメータを連動させるか否かを判定するステップを含む。
【0016】
本発明に係る音響効果制御方法は、音響効果の種類を選択するステップと、選択された種類の音響効果に対応する複数のパラメータの種類を含む音響効果情報を取得するステップと、音響効果に寄与する複数のパラメータの値を調整するためにそれぞれ操作される複数の操作子のうち検出される各操作子の操作に基づいて各パラメータの値を決定するステップと、決定された各パラメータの値を出力するステップとを含み、各パラメータの値を決定するステップは、取得された音響効果情報に基づいて、複数種類のパラメータを連動させるか否かを判定するステップを含む。
【0017】
この音響効果制御プログラムおよび音響効果制御方法によれば、選択された音響効果タイプに対応する音響効果情報が取得され、その音響効果情報に基づいて複数種類の音響効果パラメータを連動させるか否かが判定される。この場合、ユーザの意図しない音の変化が生じにくい音響効果タイプについては、複数種類の音響効果パラメータを連動させることなく、各音響効果パラメータをそれぞれ独立に調整して音響効果を高い自由度で制御することができる。このように、音響効果タイプに応じて音響効果パラメータの連動の有無を切り替えることにより、種々の音響効果を適切に制御することができる。したがって、ユーザは、特別な知識を必要とせずに、簡単な操作で聴感上の違和感を生じさせることなく音響効果を適切に制御することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、特別な知識を必要とせずに、簡単な操作で音響効果を適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態に係る音響効果制御装置を含む電子音楽装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態に係る音響効果制御装置の機能的な構成を説明するためのブロック図である。
図3】各音響効果タイプに対応する音響効果情報の例について説明するための図である。
図4】操作子の状態とパラメータ値との関係を示す図である。
図5】操作レンジの変化態様の一例を示す図である。
図6】操作レンジの変化態様の他の例を示す図である。
図7】音響効果制御処理の一例を示すフローチャートである。
図8】音響効果制御処理の一例を示すフローチャートである。
図9】パラメータ更新処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態に係る音響効果制御装置、音響効果制御プログラムおよび音響効果制御方法について図面を用いて詳細に説明する。
【0021】
(1)電子音楽装置の構成
図1は本発明の実施の形態に係る音響効果制御装置を含む電子音楽装置の構成を示すブロック図である。図1の電子音楽装置1によれば、ユーザは演奏を行うことができるとともに楽曲の制作等の音楽制作を行うことができる。
【0022】
電子音楽装置1は、演奏データ入力部2、入力I/F(インタフェース)3、設定操作部4、検出回路5、表示部6、複数の操作子7および検出回路8を備える。演奏データ入力部2は、鍵盤またはマイク等を含み、入力I/F3を介してバス19に接続される。ユーザの演奏動作に基づく演奏データが演奏データ入力部2により入力される。設定操作部4は、オンオフ操作されるスイッチ、回転操作されるロータリエンコーダ、またはスライド操作されるリニアエンコーダ等を含み、検出回路5を介してバス19に接続される。この設定操作部4は、音量の調整、電源のオンオフおよび各種設定を行うために用いられる。
【0023】
表示部6は、例えば液晶ディスプレイを含み、バス19に接続される。表示部6により、演奏または設定等に関する各種情報が表示される。表示部6がタッチパネルディスプレイにより構成されてもよい。その場合、設定操作部4および操作子7の少なくとも一部がタッチパネルディスプレイ上の画像として実現されてもよい。
【0024】
複数の操作子7は、検出回路8を介してバス19に接続される。各操作子7は、例えば、回転操作されるロータリエンコーダを含む。各操作子7には、音響効果に寄与するパラメータ(以下、音響効果パラメータと呼ぶ)が割り当てられる。ユーザは、各操作子7を操作することによって、各音響効果パラメータの値を調整することができる。操作子7と音響効果パラメータとの関係については後述する。
【0025】
電子音楽装置1は、RAM(ランダムアクセスメモリ)9、ROM(リードオンリメモリ)10、CPU(中央演算処理装置)11、タイマ12および記憶装置13をさらに備える。RAM9、ROM10、CPU11および記憶装置13はバス19に接続され、タイマ12はCPU11に接続される。外部記憶装置15等の外部機器が通信I/F(インタフェース)14を介してバス19に接続されてもよい。RAM9、ROM10、CPU11およびタイマ12がコンピュータを構成する。
【0026】
RAM9は、例えば揮発性メモリからなり、CPU11の作業領域として用いられるとともに、各種データを一時的に記憶する。ROM10は、例えば不揮発性メモリからなり、システムプログラム、音響効果制御プログラム等のコンピュータプログラムを記憶する。CPU11は、ROM10に記憶された音響効果制御プログラムをRAM9上で実行することにより後述する音響効果制御処理を行う。タイマ12は、現在時刻等の時間情報をCPU11に与える。
【0027】
記憶装置13は、ハードディスク、光学ディスク、磁気ディスクまたはメモリカード等の記憶媒体を含む。この記憶装置13には、一または複数の楽曲データが記憶される。楽曲データは、楽曲を表す音響信号(オーディオデータ)であり、例えば、楽曲の音の変化を表す波形信号を所定のサンプリング周期でサンプリングすることにより得られる複数のサンプリング値からなる。演奏データ入力部2から入力される演奏データに基づいて楽曲データが生成され、記憶装置13に記憶されてもよい。また、上記の音響効果制御プログラムが記憶装置13に記憶されてもよい。また、記憶装置13には、後述の音響効果情報が記憶される。
【0028】
外部記憶装置15は、記憶装置13と同様に、ハードディスク、光学ディスク、磁気ディスクまたはメモリカード等の記憶媒体を含む。楽曲データ等の各種データ、音響効果情報または音響効果制御プログラムは、外部記憶装置15に記憶されてもよい。
【0029】
なお、本実施の形態における音響効果制御プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に格納された形態で提供され、ROM10または記憶装置13にインストールされてもよい。また、通信I/F14が通信網に接続されている場合、通信網に接続されたサーバから配信された音響効果制御プログラムがROM10または記憶装置13にインストールされてもよい。
【0030】
電子音楽装置1は、音源16、効果回路17およびサウンドシステム18をさらに備える。音源16および効果回路17はバス19に接続され、サウンドシステム18は効果回路17に接続される。音源16は、演奏データ入力部2から入力される演奏データまたは記憶装置13から与えられる楽曲データ等に基づいて楽音信号を生成する。
【0031】
効果回路17は、複数種類の音響効果パラメータの値(以下、パラメータ値と呼ぶ。)を記憶する複数のレジスタを含む。この効果回路17は、各レジスタに格納されるパラメータ値に基づいて、音源16により生成される楽音信号に音響効果を付与する。
【0032】
サウンドシステム18は、デジタルアナログ(D/A)変換回路、増幅器およびスピーカを含む。このサウンドシステム18は、音源16から効果回路17を通して与えられる楽音信号をアナログ音信号に変換し、アナログ音信号に基づく音を発生する。それにより、楽音信号が再生される。電子音楽装置1において、主として設定操作部4、複数の操作子7、検出回路5,8、RAM9、ROM10、CPU11、記憶装置13および効果回路17が音響効果制御装置100を構成する。
【0033】
複数種類の音響効果パラメータは、複数の音響効果タイプに分類される。音響効果タイプとしては、例えば、“Low Pass Filter”(ローパスフィルタ)、“Delay”(ディレイ)、“Oscillator”(オッシレータ)、“LFO”(低周波発信器)、“Distortion”(ディストーション)、ロータリースピーカー等がある。“Low Pass Filter”に対応する音響効果パラメータの種類としては、“Cutoff Frequency”(カットオフ周波数)、“Resonance”(レゾナンス)、“Dry/Wet”(原音とエフェクト音との音量バランス)等がある。“Delay”に対応する音響効果パラメータの種類としては、“Delay Time”(ディレイタイム)、“Feedback”(フィードバック量)、“Pan”(音の定位)等がある。
【0034】
ユーザは、設定操作部4を操作することにより、1つの音響効果タイプを選択する。後述の音響効果情報に基づいて、選択された音響効果タイプに対応する音響効果パラメータが各操作子7に割り当てられる。
【0035】
(2)音響効果制御装置100の機能的な構成
図2は、本発明の実施の形態に係る音響効果制御装置100の機能的な構成を説明するための図である。図2に示すように、本実施の形態では、ロータリエンコーダからなる3つの操作子7が設けられる。以下、3つの操作子7を区別するため、3つの操作子7をそれぞれ操作子7A,7B,7Cと呼ぶ。操作子7A〜7Cの各々は、凸状の基準部STを有する。また、操作子7A〜7Cの各々の外周を取り囲むように、円弧状の目盛SCが付される。目盛SCの一端SCaは、各操作子に対応するパラメータ値の調整可能なレンジ(以下、操作レンジと呼ぶ。)の下限値に対応し、他端SCbは操作レンジの上限値に対応する。ユーザは、操作子7A〜7Cを回転させて、各基準部STを目盛SCの一端SCaから他端SCbまでの間の任意の位置に合わせる。以下、操作子7A〜7Cの基準部STが指す目盛SCの位置を目盛位置と呼ぶ。
【0036】
図1のCPU11がROM10または記憶装置13に記憶された音響効果制御プログラムを実行することにより、基準操作子設定部21、操作検出部22、選択部23、音響効果情報取得部24、パラメータ種類取得部26、パラメータ値決定部27およびパラメータ出力部28の機能が実現される。これらの機能部は、電子回路等のハードウエアにより実現されてもよい。
【0037】
基準操作子設定部21は、操作子7A〜7Cのうちの1つを「基準操作子」に設定する。「基準操作子」の詳細については後述する。操作検出部22は、図1の設定操作部4および操作子7A〜7Cの操作を検出する。また、操作検出部22は、操作子7A〜7Cの状態を検出する。本例において、操作子7A〜7Cの状態とは、操作子7A〜7Cの目盛位置に相当する。選択部23は、操作検出部22により検出される設定操作部4の操作に基づいて、音響効果タイプの選択を受け付ける。音響効果情報取得部24は、選択された音響効果タイプに対応する音響効果情報を取得する。例えば、全ての音響効果タイプに対応する音響効果情報が、図2の記憶装置13に予め記憶されている。その場合、音響効果情報取得部24は、記憶装置13から該当の音響効果情報を読み出す。音響効果情報は、通信I/F14により外部記憶装置15から取得されてもよく、または通信網を経由して取得されてもよい。
【0038】
パラメータ種類取得部26は、取得された音響効果情報に基づいて、操作子7A〜7Cにそれぞれ対応する複数の音響効果パラメータの種類(以下、パラメータ種類と呼ぶ。)を取得する。パラメータ値決定部27は、操作子7A〜7Cにそれぞれ対応する複数のパラメータ値を決定する。この場合、パラメータ値決定部27は、取得された音響効果情報に基づいて、複数種類の音響効果パラメータを連動させるか否かを判定する。複数種類の音響効果パラメータを連動させる場合、パラメータ値決定部27は、「基準操作子」に対応するパラメータ値に基づいて、他の操作子7に対応するパラメータ値の操作レンジを決定する。
【0039】
パラメータ出力部28は、操作子7A〜7Cに対応するパラメータ種類およびパラメータ値を音響効果データとして出力する。パラメータ出力部28から出力された音響効果データは、図1の効果回路17に与えられる。効果回路17において、与えられたパラメータ種類に対応するレジスタに格納されるパラメータ値が、与えられたパラメータ値に更新される。
【0040】
(3)音響効果情報
図3は、音響効果情報の例について説明するための図である。図3には、音響効果タイプの例である“Low Pass Filter”および“Delay”にそれぞれ対応する音響効果情報が示される。また、図3においては、操作子7Aに対応する音響効果パラメータが「パラメータA」と表され、操作子7Bに対応する音響効果パラメータが「パラメータB」と表され、操作子7Cに対応する音響効果パラメータが「パラメータC」と表される。操作子7A〜7Cには、優先順位が設定される。図3の例では、操作子7A,7B,7Cの優先順位が、それぞれ1位、2位および3位に設定される。優先順位は固定されていてもよく、変更可能であってもよい。また、音響効果タイプ毎に操作子7A〜7Cの優先順位が設定されていてもよい。
【0041】
各音響効果情報は、パラメータA〜Cのパラメータ種類および基準レンジを含む。基準レンジは、パラメータ種類毎に予め定められた基準となるレンジであり、例えば、最大の操作レンジである。例えば、“Low Pass Filter”に対応する音響効果情報は、パラメータ種類として、“Cutoff Frequency”、“Resonance”および“Dry/wet”を含み、これらの基準レンジとして、“10Hz〜20kHz”、“−20dB〜+20dB”および“0%〜100%”を含む。
【0042】
また、各音響効果情報は、複数の音響効果パラメータを連動させるか否かを表す連動情報を含む。以下の説明では、n(nは、正の整数)位の操作子7およびn+1位の操作子7に対応する2つの音響効果パラメータに関して、n位の操作子7に対応する音響効果パラメータを上位のパラメータと呼び、n+1位の操作子7に対応する音響効果パラメータを下位のパラメータと呼ぶ。連動情報がオンである場合、上位のパラメータの値に依存して、下位のパラメータの操作レンジが変化する。本例では、パラメータBの操作レンジがパラメータAの値に依存し、パラメータCの操作レンジがパラメータBの値に依存する。音響効果パラメータの連動の詳細については後述する。連動情報がオフである場合、各音響効果パラメータの操作レンジが他のパラメータの値に依存しない。
【0043】
音響効果情報は、連動情報がオンである場合、下位のパラメータの操作レンジの変化態様をさらに含む。図3の例では、“Low Pass Filter”に対応する音響効果情報が、パラメータB,Cの変化態様として、“パターンA”および“パターンB”を含む。操作レンジの変化態様は、例えば、マップ、テーブルまたは数式で表される。なお、本例では、音響効果タイプ毎に、連動情報のオンオフが予め定められるが、ユーザが連動情報のオンオフを切換可能であってもよい。
【0044】
(4)音響効果パラメータの連動
複数の音響効果パラメータの連動について具体的に説明する。ここでは、音響効果タイプが“Low Pass Filter”であり、パラメータA(“Cutoff Frequency”)の値に依存してパラメータB(“Resonance”)の操作レンジが変化する例を説明する。
【0045】
図4は、操作子7A,7Bの状態と、パラメータA,Bの値との関係を示す図である。図5は、パラメータBの操作レンジの変化態様の一例を示す図である。図5の例は、図3のパターンAに相当する。図5において、横軸は、パラメータAの値を表し、縦軸は、パラメータBの操作レンジの上限値を表す。直線L1は、パラメータAの値と、パラメータBの操作レンジの上限値との関係を表す。具体的には、パラメータAの値の増加に伴い、パラメータBの操作レンジの上限値が直線的に減少する。なお、本例では、パラメータBの操作レンジは、下限値の絶対値が上限値と等しくなるように変化する。
【0046】
最も優先順位が高い操作子7Aに対応するパラメータAの操作レンジは、基準レンジと一致する。そのため、図4(a)および図4(b)の例において、パラメータAの操作レンジは、“10Hz〜20kHz”である。パラメータAの操作レンジ内において、操作子7Aの状態に基づいて、パラメータAの値が決定される。図4(a)の例では、パラメータAの値が“TA1”であり、図4(b)の例では、パラメータAの値が“TA2”である。
【0047】
図5に示すように、パラメータAの値が“TA1”である場合、パラメータBの操作レンジの上限値は“+TB1r”であり、パラメータAの値が“TA2”である場合、パラメータBの操作レンジの上限値は“+TB2r”である。そのため、図4(a)の例において、パラメータBの操作レンジは、“−TB1r〜+TB1r”となり、図4(b)の例において、パラメータBの操作レンジは、“−TB2r〜+TB2r”となる。
【0048】
パラメータBの操作レンジ内において、操作子7Bの状態に基づいて、パラメータBの値が決定される。図4(a)の例および図4(b)の例において、操作子7Bの状態は互いに同じである。しかしながら、パラメータBの操作レンジが互いに異なる。そのため、パラメータBの値も異なり、図4(a)の例では、パラメータBの値が“TB1”となり、図4(b)の例では、パラメータBの値が“TB2”となる。
【0049】
なお、図5の例において、パラメータAの値が下限値“10Hz”である場合、パラメータBの操作レンジの上限値は“+TB3r”である。“+TB3r”は、例えば、パラメータBの基準レンジの上限値“20(dB)”である。
【0050】
このようにして、上位のパラメータの値に基づいて、下位のパラメータの操作レンジが決定される。図4および図5の例では、パラメータAの値に基づいてパラメータBの操作レンジが決定されるが、同様にして、パラメータBの値に基づいてパラメータCの操作レンジが決定される。
【0051】
図5の例では、上位のパラメータ(“Cutoff Frequency”)の値に依存して、下位のパラメータ(“Resonance”)の操作レンジの下限値および上限値がそれぞれ変化するが、下位のパラメータの操作レンジの下限値および上限値の一方のみが変化してもよい。例えば、図3の“Dry/Wet”が下位のパラメータである場合、下位のパラメータの操作レンジの下限値は、基準レンジの下限値“0%”に固定され、上位のパラメータ(“Resonance”)の値に依存して、下位のパラメータの操作レンジの上限値のみが変化してもよい。
【0052】
また、図5の例では、パラメータBの操作レンジの上限値が下限値の絶対値と等しいので、直線L1に基づいて操作レンジの上限値が決定されることによって下限値も一義的に決定されるが、操作レンジの上限値および下限値がそれぞれ独立に決定されてもよい。例えば、上位のパラメータの値と下位のパラメータの操作レンジの上限値を表す直線、および上位のパラメータの値と下位のパラメータの操作レンジの下限値を表す直線が、それぞれ別個に設定されてもよい。
【0053】
図6は、操作レンジの変化態様の他の例を示す図である。図6(a)〜(c)において、横軸は、上位のパラメータの値を表し、縦軸は、下位のパラメータの操作レンジの上限値または下限値を表す。図6(a)〜(c)の例が図5の例と異なる点を説明する。図6(a)および図6(b)の例では、上位のパラメータの値と下位のパラメータの操作レンジとの関係が、直線でなく曲線L1a,L1bで表される。図6(c)の例では、直線L1cで表されるように、上位のパラメータの増加に伴って下位のパラメータの操作レンジが直線的に増加する。上位および下位のパラメータの種類の組み合わせに応じて、このような種々の態様で下位のパラメータの操作レンジが変化する。なお、図3の例では、下位のパラメータの操作レンジの変化態様が予め定められているが、ユーザが予め記憶された複数の変化態様から使用すべき変化態様を選択可能であってもよい。あるいは、ユーザが変化態様を任意に設定可能であってもよい。
【0054】
(5)音響効果制御処理
図7および図8は、図2の各機能部による音響効果制御処理の一例を示すフローチャートである。図7の音響効果制御処理は、図1のCPU11がROM10または記憶装置13に記憶された音響効果制御プログラムを実行することにより行われる。
【0055】
まず、図2の基準操作子設定部21は、優先順位が1位の操作子7を「基準操作子」に設定する(ステップS1)。次に、音響効果情報取得部24が、各操作子7の「現在のパラメータ値」および「現在のレンジ」を一時的に記憶するための領域を記憶装置13に確保する(ステップS2)。次に、CPU11は、音響効果制御処理の終了のための操作が操作検出部22により検出されたか否かを判定する(ステップS3)。終了のための操作は、例えば、音響効果以外の設定を行うための操作である。終了のための操作が検出された場合、CPU11は、音響効果制御処理を終了する。
【0056】
終了のための操作が検出されていない場合、選択部23は、音響効果タイプの選択のための操作が操作検出部22により検出されたか否かを判定する(ステップS4)。選択のための操作が検出された場合、音響効果情報取得部24が、選択された音響効果タイプに対応する音響効果情報を取得する(ステップS5)。
【0057】
次に、パラメータ種類取得部26が、取得された音響効果情報により表されるパラメータ種類を操作子7毎に取得する(ステップS6)。次に、パラメータ値決定部27が、取得された音響効果情報の連動情報に基づいて、取得された複数種類の音響効果パラメータを連動させるか否かを判定する(ステップS7)。複数種類の音響効果パラメータを連動させない場合、パラメータ値決定部27が、取得された音響効果情報により表される基準レンジ、および操作検出部22により検出される各操作子7の状態に基づいて、各操作子7に対応するパラメータ値を算出する(ステップS8)。この場合、各操作子7に対応する音響効果パラメータの操作レンジは、音響効果情報により表される基準レンジに設定される。次に、パラメータ出力部28が、取得されたパラメータ種類および算出されたパラメータ値を音響効果データとして出力する(ステップS9)。
【0058】
ステップS7で複数種類の音響効果パラメータを連動させる場合、基準操作子設定部21およびパラメータ値決定部27が、パラメータ更新処理を行い(ステップS10)、記憶装置13に記憶される「現在のパラメータ値」および「現在のレンジ」を更新する。パラメータ更新処理の詳細については後述する。次に、パラメータ出力部28が、取得されたパラメータ種類および更新された「現在のパラメータ値」を音響効果データとして出力する(ステップS11)。
【0059】
ステップS4で音響効果タイプの選択のための操作が検出されていない場合、ステップS9が実行された場合、またはステップS11が実行された場合、CPU11は、いずれかの操作子7の操作が操作検出部22により検出されたか否かを判定する(図8のステップS12)。いずれの操作子7の操作も検出されない場合、CPU11は、ステップS3に戻る。いずれかの操作子7の操作が検出された場合、パラメータ値決定部27が、取得されている音響効果情報の連動情報に基づいて、複数種類の音響効果パラメータを連動させるか否かを判定する(ステップS13)。
【0060】
ステップS9またはステップS11が実行された場合には、ステップS5で取得された音響効果情報に基づいて、ステップS13の判定が行われる。一方、音響効果制御処理の開始直後であって、ステップS4で音響効果タイプの選択のための操作が選択されていない場合には、予め取得されている音響効果情報に基づいて、ステップS13の判定が行われる。例えば、音響効果制御処理の開始時に、デフォルトの音響効果タイプに対応する音響効果情報、または前回の音響効果制御処理の終了時に選択されていた音響効果タイプに対応する音響効果情報が取得され、その音響効果情報に基づいて、ステップS13の判定が行われる。
【0061】
複数種類の音響効果パラメータを連動させない場合、パラメータ値決定部27が、図7のステップS8と同様に、基準レンジおよび各操作子7の状態に基づいて、各操作子7に対応するパラメータ値を算出する(ステップS14)。次に、パラメータ出力部28が、ステップS6で取得されたパラメータ種類およびステップS14で算出されたパラメータ値を音響効果データとして出力し(ステップS15)、図7のステップS3に戻る。
【0062】
ステップS13で複数種類の音響効果パラメータを連動させる場合、基準操作子設定部21は、操作が検出された操作子7を「基準操作子」に設定する(ステップS16)。次に、基準操作子設定部21およびパラメータ値決定部27が、後述のパラメータ更新処理を行い(ステップS17)、記憶装置13に記憶される「現在のパラメータ値」および「現在のレンジ」を更新する。次に、パラメータ出力部28が、ステップS6で取得されたパラメータ種類および更新された「現在のパラメータ値」を音響効果データとして出力し(ステップS18)、図7のステップS3に戻る。
【0063】
図7のステップS10および図8のステップS17のパラメータ更新処理について説明する。図9は、パラメータ更新処理の一例を示すフローチャートである。まず、パラメータ値決定部27は、「基準操作子」に対応する「現在のレンジ」および「基準操作子」の状態に基づいて、「基準操作子」に対応するパラメータ値を算出する(ステップS21)。ステップS10のパラメータ更新処理の開始時において、「基準操作子」は、優先順位が1位の操作子7であり、「現在のレンジ」は、優先順位が1位の操作子7に対応する基準レンジである。ステップS17のパラメータ更新処理の開始時において、「基準操作子」は、直前のステップS12で操作が検出された操作子7であり、「現在のレンジ」は、前回のパラメータ更新処理で更新された操作レンジである。パラメータ値の算出方法は、基準レンジの代わりに「現在のレンジ」を用いる点を除いて、図7のステップS8および図8のステップS14におけるパラメータ値の算出方法と同様である。
【0064】
次に、パラメータ値決定部27は、「基準操作子」に対応する「現在のパラメータ値」を、ステップS21で算出されたパラメータ値に更新する(ステップS22)。次に、パラメータ値決定部27は、「基準操作子」の優先順位が最下位であるか否かを判定する(ステップS23)。「基準操作子」の優先順位が最下位でない場合、パラメータ値決定部27は、「基準操作子」に対応する「現在のパラメータ値」、および取得されている音響効果情報により表される操作レンジの変化態様に基づいて、「基準操作子」よりも優先順位が1つ下の操作子7(以下、「下位操作子」と呼ぶ。)の操作レンジを算出する(ステップS24)。この場合、「基準操作子」に対応する音響効果パラメータが上位のパラメータに相当し、「下位操作子」に対応する音響効果パラメータが下位のパラメータに相当する。ステップS24では、図4および図5の例のように、上位のパラメータの値に基づいて、下位のパラメータの操作レンジが決定される。
【0065】
次に、パラメータ値決定部27は、「下位操作子」に対応する「現在のレンジ」を、ステップS24で算出された操作レンジに更新する(ステップS25)。次に、パラメータ値決定部27は、「下位操作子」に対応する「現在のレンジ」および「下位操作子」の状態に基づいて、ステップS21と同様に、「下位操作子」に対応するパラメータ値を算出する(ステップS26)。
【0066】
次に、パラメータ値決定部27は、「下位操作子」に対応する「現在のパラメータ値」を、ステップS26で算出されたパラメータ値に更新する(ステップS27)。次に、基準操作子設定部21が、「下位操作子」を「基準操作子」に設定し(ステップS28)、ステップS23に戻る。
【0067】
ステップS23において、「基準操作子」の優先順位が最下位である場合、基準操作子設定部21が、優先順位が1位の操作子7を「基準操作子」に設定し(ステップS29)、処理を終了する。
【0068】
このようにして、優先順位に従って複数の操作子7が順に「基準操作子」に設定され、「基準操作子」の「現在のレンジ」および「現在のパラメータ値」が順次更新される。図7のステップS10においては、最初に優先順位が1位の操作子7が「基準操作子」に設定されているため、全ての操作子7の「現在のレンジ」および「現在のパラメータ値」が更新される。図8のステップS17においては、操作が検出された操作子7が最初に「基準操作子」に設定されているため、操作が検出された操作子7およびそれより優先順位が低い操作子7の「現在のレンジ」および「現在のパラメータ値」が更新される。
【0069】
(6)効果
本実施の形態に係る音響効果制御装置100においては、いずれかの操作子7が基準操作子に設定され、その基準操作子のパラメータ値に基づいて、基準操作子よりも優先順位が低い操作子7(下位操作子)の操作レンジが決定される。これにより、下位操作子が操作された場合に、下位操作子に対応するパラメータ値は、基準操作子に対応するパラメータ値に依存した適切なレンジ内でのみ変化する。したがって、基準操作子に対応するパラメータ値と下位操作子に対応するパラメータ値との関係が適切に維持される。このようにして、複数の操作子7のパラメータ値の関係が適切に維持されることにより、ノイズ等のユーザの意図しない音の変化が生じることが防止される。したがって、ユーザは、特別な知識を必要とせずに、簡単な操作で聴感上の違和感を生じさせることなく音響効果を適切に制御することができる。
【0070】
また、下位操作子の操作レンジおよび下位操作子の状態に基づいて、下位操作子に対応するパラメータ値が決定される。それにより、ユーザは、下位操作子を操作することにより、基準操作子に対応するパラメータ値に依存した適切な操作レンジ内で、下位操作子に対応するパラメータ値を任意に調整することができる。
【0071】
また、本実施の形態では、選択された音響効果タイプに対応する音響効果情報が取得され、その音響効果情報に基づいて複数種類の音響効果パラメータを連動させるか否かが判定される。この場合、ユーザの意図しない音の変化が生じにくい音響効果タイプについては、複数種類の音響効果パラメータを連動させることなく、各音響効果パラメータをそれぞれ独立に調整して音響効果を高い自由度で制御することができる。このように、音響効果タイプに応じて音響効果パラメータの連動の有無を切り替えることにより、種々の音響効果を適切に制御することができる。
【0072】
(7)他の実施の形態
(a)上記実施の形態では、複数の音響効果タイプから1つの音響効果タイプが選択され、選択された音響効果タイプに対応する音響効果パラメータが各操作子7に割り当てられるが、本発明はこれに限らない。対象の音響効果タイプが予め1つに固定され、かつ各操作子に割り当てられる音響効果パラメータが予め1つに固定されていてもよい。
【0073】
(b)上記実施の形態では、一の操作子7に対応するパラメータ値に基づいて、その操作子7より優先順位が1つ下の操作子7の操作レンジが決定されるが、本発明はこれに限らず、一の操作子7に対応するパラメータ値に基づいて、その操作子7より優先順位が低い複数の操作子7の操作レンジが決定されてもよい。例えば、図4のパラメータAの値に基づいて、パラメータBの操作レンジおよびパラメータCの操作レンジの両方が決定されてもよい。また、複数の操作子7のうち、一部の操作子7に対応する音響効果パラメータのみが連動され、他の操作子7に対応する音響効果パラメータは任意に調整可能であってもよい。例えば、パラメータBの操作レンジはパラメータAの値に依存するが、パラメータCの操作レンジはパラメータA,Bのいずれにも依存せず、一定のレンジ(例えば基準レンジ)に固定されてもよい。
【0074】
(c)上記実施の形態では、優先順位が最も高い音響効果パラメータの操作レンジおよび連動の対象でない音響効果パラメータの操作レンジが、音響効果情報により表される基準レンジに設定されるが、ユーザがこれらの操作レンジの上限値および下限値を設定可能であってもよい。
【0075】
(d)各操作子7は、ロータリエンコーダに限らず、スライド操作されるリニアエンコーダから構成されてもよく、タッチパネルディスプレイ上に表示される画像であってもよく、これらの組み合わせから構成されてもよい。また、操作子7の数は3つに限らず、2つまたは4つ以上の操作子7が設けられてもよい。
【0076】
(e)音響効果制御装置100は、電子音楽装置1に限らず、パーソナルコンピュータ、スマートデバイス(smart device)、ゲーム機器等の電子機器に適用されてもよい。
【0077】
(8)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることができる。
【0078】
上記実施の形態では、音響効果制御装置100が音響効果制御装置の例であり、音響効果パラメータがパラメータの例であり、操作子7が操作子の例であり、操作検出部22が操作検出手段の例であり、パラメータ値決定部27がパラメータ値決定手段の例であり、パラメータ出力部28がパラメータ出力手段の例であり、選択部23が選択手段の例であり、パラメータ種類取得部26がパラメータ種類取得手段の例であり、音響効果情報取得部24が連動情報取得手段の例である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、操作子を操作して音響効果を制御する種々の音響効果制御装置に有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0080】
1…電子音楽装置,2…演奏データ入力部,3…入力I/F,4…設定操作部,5…検出回路,6…表示部,7…操作子,8…検出回路,9…RAM,10…ROM,11…CPU,12…タイマ,13…記憶装置,16…音源,17…効果回路,18…サウンドシステム,21…基準操作子設定部,22…操作検出部,23…選択部,24…音響効果情報取得部,26…パラメータ種類取得部,27…パラメータ値決定部,28…パラメータ出力部,100…音響効果制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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