特許第6973572号(P6973572)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6973572
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】電子時計
(51)【国際特許分類】
   G04R 60/10 20130101AFI20211118BHJP
   G04G 21/04 20130101ALI20211118BHJP
   G04G 17/04 20060101ALI20211118BHJP
   G04G 17/00 20130101ALI20211118BHJP
   G04C 9/00 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   G04R60/10
   G04G21/04
   G04G17/04
   G04G17/00 H
   G04C9/00 301A
【請求項の数】4
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-108301(P2020-108301)
(22)【出願日】2020年6月24日
(62)【分割の表示】特願2015-175603(P2015-175603)の分割
【原出願日】2015年9月7日
(65)【公開番号】特開2020-165987(P2020-165987A)
(43)【公開日】2020年10月8日
【審査請求日】2020年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細渕 博幸
(72)【発明者】
【氏名】矢野 純朗
【審査官】 吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭53−102080(JP,A)
【文献】 実開昭58−112991(JP,U)
【文献】 実開昭59−183687(JP,U)
【文献】 特開2006−343240(JP,A)
【文献】 特開昭61−235789(JP,A)
【文献】 特開2014−62846(JP,A)
【文献】 特開2009−250667(JP,A)
【文献】 実開昭57−4777(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04R 20/00−60/14
G04C 1/00−99/00
G04G 3/00−99/00
H02P 8/00−8/42
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと、前記ステータと磁気的に接続されたコイルと、前記ステータの受容部に配置されたロータ磁石と、を備え、動作部を動作させるモータ、
を備える電子時計であって、
前記モータには、前記ロータ磁石を含む前記モータの一部を覆う帯状の個別耐磁板が配置され、
前記個別耐磁板は、前記ステータの長手方向に延在する帯状の部である第1の耐磁部と、前記第1の耐磁部に直交する方向に延在する帯状の部である第2の耐磁部とを有し、上面視において前記第1の耐磁部と前記第2の耐磁部とが交わる交点が前記ロータ磁石を覆う位置にあることを特徴とする電子時計。
【請求項2】
前記ロータ磁石は、上面視において略円形状に形成された円盤状又は円筒状であり、
前記第1の耐磁部と前記第2の耐磁部とが交わる交点は、上面視において前記ロータ磁石の上面を覆うように重なる位置にあることを特徴とする請求項1に記載の電子時計。
【請求項3】
電波を受信するアンテナ装置を更に備え、
前記個別耐磁板は、少なくとも前記アンテナ装置に対して所定の範囲内に配置された前記モータに対して配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の電子時計。
【請求項4】
前記モータは複数配置され、
複数の前記モータについてそれぞれ配置された前記個別耐磁板の一部又は全部は、前記モータ間において連結部により連結されていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の電子時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ステッピングモータ等のモータを複数備えるとともに、長波電波である標準電波を受信するアンテナ装置を備え、標準電波による時刻修正等を行う電子時計が知られている。
【0003】
モータの動作精度を重視すれば、モータの動作に影響を及ぼす外部磁界からモータを磁気的にシールドする耐磁板を配置することが好ましい。
しかし、耐磁板は比透磁率の高い材料で形成されるが、このような比透磁率の高い部材がアンテナ装置の近傍に配置されると、渦電流が発生しやすくなり、電気エネルギーの損失(渦電流損)を生じてアンテナ装置の受信感度が低下してしまう。
【0004】
そこで、外部磁界からモータを磁気的にシールドする耐磁板を設けるとともに、この耐磁板と重ならない位置にアンテナ装置を配置することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−062852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電子時計が腕時計等の小型の機器である場合、ケース内の限られたスペースの中に全てのモジュールを組み込まなければならないため、モータとアンテナ装置とが近接して配置されることも避けられない。
【0007】
この点、特許文献1に記載の技術では、耐磁板がモータを覆いつつアンテナ装置には重ならないようにするために、耐磁板を異形の形状としている。
しかし、耐磁板を異形の形状に形成するのは製造コストがかかるとともに、アンテナ装置の組み込み位置に応じて耐磁板の形状を変えなければならず、耐磁板を汎用化できないとの問題もある。
また、モータとアンテナ装置との配置によっては、耐磁板を異形の形状としても、耐磁板とアンテナ装置との間に十分な距離をあけることが難しい場合も考えられ、アンテナ装置の受信感度が低下するおそれがある。
【0008】
標準電波により時刻修正を行う電子時計においては、アンテナ装置の受信感度の低下は、時計としての本来的な性能を低下させることとなる。
このため、電子時計では、アンテナ装置の電波受信性能を確保するためにモータの耐磁性能をある程度犠牲にせざるを得なかった。
【0009】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、モータの動作精度の確保とアンテナ装置の電波受信性能の確保とを両立させることができる電子時計を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明に係る電子時計の一態様は、
ステータと、前記ステータと磁気的に接続されたコイルと、前記ステータの受容部に配置されたロータ磁石と、を備え、動作部を動作させるモータ、
を備える電子時計であって、
前記モータには、前記ロータ磁石を含む前記モータの一部を覆う帯状の個別耐磁板が配置され、
前記個別耐磁板は、前記ステータの長手方向に延在する帯状の部である第1の耐磁部と、前記第1の耐磁部に直交する方向に延在する帯状の部である第2の耐磁部とを有し、上面視において前記第1の耐磁部と前記第2の耐磁部とが交わる交点が前記ロータ磁石を覆う位置にあることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、モータの動作精度の確保とアンテナ装置の電波受信性能の確保とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態における電子時計の正面図である。
図2】第1の実施形態において、地板上に配置されたアンテナ装置及びモータを示す平面図である。
図3】(a)は、第1の実施形態におけるモータ及び個別耐磁板を示す平面図であり、(b)は、(a)におけるb-b線に沿う要部断面図であり、(c)は、(a)におけるc-c線に沿う要部断面図である。
図4】(a)は、ステータの長手方向に直交する方向からモータに進入する外部磁界の流れを示した説明図であり、(b)は、ステータの長手方向に直交する方向に延在してモータに配置される第2の耐磁部を模式的に示す平面図である。
図5】(a)は、ステータの長手方向からモータに進入する外部磁界の流れを示した説明図であり、(b)は、ステータの長手方向に延在してモータに配置される第1の耐磁部を模式的に示す平面図である。
図6】(a)は、モータで発生した磁束の流れを示した説明図であり、(b)は、(a)に示す磁束の流れを打ち消す方向から進入する外部磁界の流れを示した説明図である。
図7】従来例における地板上に配置されたアンテナ装置及びモータを示す平面図である。
図8】(a)は、第1の実施形態の一変形例におけるモータ及び個別耐磁板を示す平面図であり、(b)は、(a)におけるb-b線に沿う要部断面図であり、(c)は、(a)におけるc-c線に沿う要部断面図である。
図9】第1の実施形態の一変形例において、地板上に配置されたアンテナ装置及びモータを示す平面図である。
図10】第1の実施形態の一変形例において、地板上に配置されたアンテナ装置及びモータを示す平面図である。
図11】第2の実施形態において、地板上に配置されたアンテナ装置及びモータを示す平面図である。
図12】第2の実施形態の一変形例において、地板上に配置されたアンテナ装置及びモータを示す平面図である。
図13】第3の実施形態において、地板上に配置されたアンテナ装置及びモータを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明に係る電子時計の好適な実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0014】
[第1の実施形態]
まず、図1から図7を参照しつつ、本発明に係る電子時計の第1の実施形態について説明する。なお、以下においては、電子時計を単に「時計」とする。
【0015】
図1は、本発明に係る時計(電子時計)を示す正面図である。
図1に示すように、本実施形態における時計100は、ケース(以下、実施形態において「時計ケース1」とする。)を備えている。時計ケース1は、例えばステンレスやチタニウム等の金属やセラミック、各種の合成樹脂等で形成されている。なお、時計ケース1を形成する材料はここに例示したものに限定されない。
本実施形態の時計ケース1は、中空の短柱形状に形成されており、時計100の表面側(時計における視認側)には、透明なガラス等で形成された風防部材11が取り付けられている。
また、時計100の裏面側には、図示しない裏蓋が取り付けられている。
この時計ケース1の図1における上下両端部、つまりアナログ方式の時計における12時方向側の端部及び6時方向側の端部には、図示しない時計バンドが取り付けられるバンド取付け部12が設けられている。
また、時計100は、時計ケース1の側部等に操作ボタン13を備えている。
操作ボタン13は、その挿入側の端部が時計ケース1内部に収容されている図示しないモジュールと接続されている。また、操作ボタン13は、操作ボタン13を押し込み又は回転させることによって各種操作が可能となるように構成されている。
【0016】
時計ケース1の内部であって、風防部材11の下側には、表示部14が設けられている。
本実施形態の表示部14は、図1に示すように、文字板15及びこの文字板15の上方に配置された時針、分針、秒針等の指針17を備えるアナログ方式の表示部である。
文字板15の表面側の周縁部には、指針17によって示される時刻の目安となる時字部材16が配置されている。
なお、表示部14の構成等は図示例に限定されず、さらに機能針を備える小表示部等が表示部内に設けられていてもよい。また、表示部14は、液晶パネル等を備えるデジタル方式の表示部であってもよいし、指針を備えるアナログ方式の表示部と液晶パネル等を有するデジタル方式の表示部の両方を含んでいてもよい。
【0017】
時計ケース1内には、例えば指針17を運針させるための輪列機構やモータ4(図2参照)等で構成される図示しない時計ムーブメントやアンテナ装置3(図2参照)、各種電子部品等を実装した回路基板23(図3(b)及び図3(c)参照)、時計100の各機能部に電力を供給するためのバッテリ(図示せず)等を含む図示しないモジュールが収容されている。そして、指針軸18がモジュール側から文字板15のほぼ中央部を貫通して文字板15の上に突出している。
本実施形態の指針軸18は、時針用、分針用、秒針用等の複数の回転軸が同一軸上に重ねて配置されたものであり、指針17(例えば時針、分針、秒針)は指針軸18の各回転軸にそれぞれ接続されている。
時計ムーブメントの動作によって指針軸18が回転すると、指針軸18の各回転軸に取り付けられた各種指針17が、指針軸18の軸周りに文字板15の上面をそれぞれ個別に回転するようになっている。
なお、指針軸18に取り付けられ指針軸18の軸周りに運針される指針17の数等は、図示例に限定されない。例えば指針17は1つのみでもよいし、時針、分針、秒針の他に各種機能に関する表示を行う機能針が指針17として設けられていてもよい。また、時針等を支持する指針軸18の他に機能針を支持する指針軸が別途設けられていてもよい。
【0018】
図2は、地板上に配置されたアンテナ装置及びモータを示す平面図である。
本実施形態では、図2に示すように、アンテナ装置3及び複数のモータ4(本実施形態ではモータ4a〜4fの6個)が地板21の上に配置された状態でモジュール内に設けられている。
なお、図2に示すアンテナ装置3及びモータ4の数や配置等は一例であり、ここに例示したものに限定されない。
【0019】
本実施形態のアンテナ装置3は、時刻情報を含む標準電波を受信するものである。
アンテナ装置3は、例えば磁性材料であるアモルファス金属やフェライト等からなるコア31とこれに巻回されたコイル32とを備えている。
時計100は、アンテナ装置3によって受信された標準電波に基づいて時刻修正等を行う。
【0020】
モータ4は、動作部を動作させるものである。本実施形態では、6個のモータ4(すなわち、モータ4a〜4f)が設けられている。
本実施形態では、動作部として3つの指針17(すなわち、秒針、分針、時針)を図示しているが、時計100に設けられる動作部はこれに限定されず、さらに多くの動作部が設けられていてもよい。
図3(a)は、本実施形態におけるモータの平面図であり、図3(b)は、図3(a)のb-b線に沿う要部断面図であり、図3(c)は、図3(a)のc-c線に沿う要部断面図である。
なお、図3(b)及び図3(c)では、図3(a)において表されていない部材について二点鎖線で示している。
【0021】
図3(a)から図3(c)に示すように、モータ4(モータ4a〜4f)は、ステータ41と、このステータ41と磁気的に接続されたコイル42と、ステータ41の受容部411に配置されたロータ43とを備えている。
モータ4(モータ4a〜4f)は、ステータ41と磁気的に連結されたコイル42に適宜駆動パルスを印加することによりロータ43が所定のステップ角で回転するステッピングモータである。
【0022】
ステータ41は、モータ4の長手方向(図3(a)及び図3(b)における横方向)に延在する板状の部材である。
ステータ41は、例えばパーマロイ等の高透磁率材料によって形成されている。なお、ステータ41を形成する材料は、パーマロイに限定されるものではない。
図3(a)に示すように、ステータ41は、ロータ43を収容する受容部411を有している。
受容部411は、ほぼ円形の孔部であり、本実施形態では、ステータ41の長手方向(本実施形態において、図3(a)及び図3(b)における横方向であり、モータ4の長手方向)のほぼ中央部に配置されている。
また、受容部411の内側面には、ほぼ対向する位置に2つの内側凹部(内ノッチ)412が形成されている。
内側凹部412は、ロータ43が安定して停止する位置(安定静止位置)を決めるための位置決め部を構成するものである。
ロータ43のロータ磁石431は、より近くにある金属に吸着しようとする特性を有する。そのため、モータ4は、ロータ磁石431の2つの極が内側凹部412の設けられていない部分と対向している状態、すなわち、2つの内側凹部412とロータ43のロータ磁石431の分極位置とが対向している状態において最も保持トルクが大きくなる。このため、後述するコイル42に駆動パルスが印加されていない非通電状態では、ロータ43は、図3(a)に示すように、内側凹部412とロータ磁石431の分極位置とが対向している位置で磁気的に安定して停止する。
なお、内側凹部412は、内側凹部412の最深部同士を繋ぎ受容部411の円中心を通る線が、受容部411の円中心を通りステータ41の長手方向に延在する線から所定角度ずれるように配置されている。
上記所定角度をどの程度とするかについては、モータ4の仕様等の各種条件により多少異なるが、30度から50度程度の間で適宜設定されることが好ましく、本実施形態では45度に設定されている(図4(b)参照)。
【0023】
また、ステータ41の外側面であって受容部411を挟んだほぼ対向位置には、一対の外側凹部(外ノッチ)413が形成されている。
外側凹部413は、ステータ41における磁束飽和位置を決めるものである。
各外側凹部413と受容部411との間の領域は、ステータ41の幅が狭くなっており、他の部分と比較して磁気飽和が起き易い可飽和部となる。
可飽和部は、ロータ43の磁束によっては磁気飽和しないが、後述するコイル42が励磁されたときに磁気飽和して磁気抵抗が大きくなる磁束飽和位置となるように構成されている。
なお、内側凹部(内ノッチ)412及び外側凹部(外ノッチ)413の形状、大きさ、配置等は図示例に限定されない。
【0024】
コイル42は、長尺なコイルコア421の一部に巻き線を施すことで形成されている。
コイルコア421は、パーマロイ等の高透磁率材料によって形成されている。
コイルコア421の長手方向の両端部は、それぞれステータ41の長手方向の両端部と磁気的に接合されており、これによりコイル42はステータ41と磁気的に接続されている。
モータ4は、コイルコア421の長手方向の両端部とステータ41の長手方向の両端部とを重ね合わせて地板21上にねじ止めする等により、地板21上に固定されている。
【0025】
図3(a)に示すように、本実施形態において、ロータ43は、上面視においてほぼ円形状に形成された円盤状又は円筒状のロータ磁石431を備えている。
ロータ磁石431は、径方向に2極(S極及びN極)に着磁されている。
ロータ磁石431を構成する磁石としては、例えば希土類磁石等(例えば、サマリウムコバルト磁石等)の永久磁石が好適に用いられるが、ロータ磁石431を構成する磁石の種類はこれに限定されない。
ロータ磁石431の円中心には、ロータ回転軸432が設けられている。
図3(b)及び図3(c)に示すように、ロータ回転軸432の一端側は、地板21に形成された軸受部211内に回転可能に配置されている。そして、ロータ回転軸432の他端側は、軸受部材22に形成された軸受部221内に回転可能に配置されている。
ロータ43は、後述するステータ41の受容部411に収容され、ロータ回転軸432を回転中心として回転可能に配置されている。本実施形態において、ロータ43は、コイル42に駆動パルスが印加されることにより、受容部411内において所定のステップ角で回転可能となっている。
【0026】
ロータ回転軸432にはロータカナ433が設けられている。ロータカナ433には、例えば時計100の指針17を運針させるための輪列機構を構成する図示しない歯車等が連結されている。そして、ロータ43が回転することにより、ロータカナ433と噛み合っている歯車等が回転するようになっている。
【0027】
図2に示すように、本実施形態では、複数のモータ4(すなわち、モータ4a〜4f)の全てについて、個別耐磁板5がそれぞれ配置されている。
個別耐磁板5は、ロータ磁石431の径と同等以上の幅を有し、ロータ磁石431を含むモータ4の一部を覆う帯状の部材である。
具体的には、本実施形態の個別耐磁板5は、図3(a)に示すように、ステータ41の長手方向に延在する帯状の部である第1の耐磁部51と、第1の耐磁部51に直交する方向(すなわち、ステータ41の長手方向と直交する方向)に延在する帯状の部である第2の耐磁部52とを有している。
第1の耐磁部51は、ロータ磁石431の径と同等以上の幅を有する。さらに、第1の耐磁部51は、その延在方向における長さが、ステータ41における長手方向の長さよりも大きく形成されている。また、第2の耐磁部52は、ロータ磁石431の径と同等以上の幅を有する。さらに、第2の耐磁部52は、その延在方向における長さが、モータ4におけるステータ41の長手方向に直交する方向の長さよりも大きく形成されている。
ここで、ロータ磁石431の径と同等以上の幅とは、ロータ磁石431の径とほぼ同じかこれよりも大きな幅をいう。ロータ磁石431の径よりも大きくする場合、どの程度大きい幅とするかは、モータ4の大きさや求められる耐磁性能等に応じて適宜設定される。
【0028】
個別耐磁板5は、モータ4に当接せず、モータ4との間に多少の間隙を空けて配置されることが好ましい。本実施形態では、個別耐磁板5は、各モータ4に対応する位置であって回路基板23の上に配置されている。
すなわち、本実施形態では、図3(b)及び図3(c)に示すように、軸受部材22の上方(図3(b)及び図3(c)における上方)に回路基板23が配置されている。そして、個別耐磁板5は、回路基板23の一面(本実施形態では回路基板23の上側の面)に配置されている。
なお、個別耐磁板5の配置は、ここに例示したものに限定されない。例えば、個別耐磁板5は、地板21の一面(例えば、図3(b)等における地板21の下側の面)に配置されていてもよい。
個別耐磁板5は、例えば、SPCC(Cold-reduced carbon steel sheets and strips 冷間圧延鋼板及び鋼帯)等により形成されている。
なお、個別耐磁板5は、磁界を集めやすいものであればよく、個別耐磁板5を形成する材料はSPCCに限定されない。例えばパーマロイ等で形成されていてもよい。
【0029】
次に、図4(a)、図4(b)から図6(a)、図6(b)及び図7を参照しつつ、本実施形態における時計(電子時計)100の作用について説明する。
【0030】
時計100を組み立てる際には、地板21の上にアンテナ装置3及びモータ4を配置し、アンテナ装置3及びモータ4を間に挟み込むようにして軸受部材22を配置し、その上に回路基板23を重畳する。
さらに、回路基板23上であって各モータ4に対応する位置に、第1の耐磁部51がステータ41の長手方向に沿い、第1の耐磁部51に直交する方向に第2の耐磁部52が沿うような向き及び配置で、個別耐磁板5を配置する。
そして、アンテナ装置3及びモータ4が配置された地板21と、軸受部材22と、個別耐磁板5が配置された回路基板23をモジュール内に収める。
さらに、このモジュールや文字板15を含む表示部14等を時計ケース1内に収め、時計ケース1の視認側の開口部に風防部材11を取り付け、裏面側の開口部に裏蓋を取り付ける。
これにより時計100が完成する。
【0031】
時計100の内部には、外部から磁界が進入するが、この外部磁界がモータ4に作用すると、モータ4の動作精度に影響を及ぼす。特に、モータ4は、図3(a)に示すように、ステータ41の長手方向に直交する方向から進入する外部磁界と、ステータ41の長手方向に沿う方向から進入する外部磁界の影響を受けやすい。
【0032】
まず、図4(a)及び図4(b)を参照しつつ、ステータ41の長手方向に直交する方向から進入する外部磁界のモータ4に対する影響について説明する。
前述のように、受容部411には、ロータ43が安定して停止する位置を決めるための位置決め部として一対の内側凹部412が設けられている。この内側凹部412は、内側凹部412の最深部同士を繋ぎ受容部411の円中心を通る線が、受容部411の円中心を通りステータ41の長手方向に延在する線から45度程度ずれるように配置されている。このため、本来、非通電状態では、ロータ43は、内側凹部412とロータ磁石431の分極位置とが対向している位置で磁気的に安定して停止する。そして、コイル42に駆動パルスが印加されると、この状態を初期状態としてロータ43が回転するように駆動制御が行われる。
しかし、ステータ41の長手方向と直交する方向に外部磁界が通過した場合には、外部磁界の流れの上流側がN極、下流側がS極となる。ロータ磁石431はこの外部磁界の流れによって生じた極に引きずられて、図4(a)に示すように、外部磁界により生じたN極側にロータ磁石431のS極が、外部磁界により生じたS極側にロータ磁石431のN極がくるように移動し、本来の静止位置からずれてしまう。この状態でコイル42に駆動パルスが印加されると、ロータ43の動作が不安定となり、回転不良に繋がる原因の1つとなる。
なお、この状態が起こる外部磁界の向きは、厳密にステータ41の長手方向に直交する方向に限られない。図4(b)に示すように、受容部411の円中心を通りステータ41の長手方向に延在する線から90度±45度程度の範囲の向きの外部磁界がモータ4を通過した場合には、上記の状況が生じるおそれがある。
また、ロータ43の静止位置を決める内側凹部412が設けられる位置は、前述のように、内側凹部412の最深部同士を繋ぎ受容部411の円中心を通る線が、受容部411の円中心を通りステータ41の長手方向に延在する線から所定角度程度ずれた位置であり、厳密に45度である場合に限られず、多少の幅を持つものである。ただ、内側凹部412の設けられる位置が多少ずれている場合でも、受容部411の円中心を通りステータ41の長手方向に延在する線から90度±45度程度の範囲の向きの外部磁界がモータ4を通過した場合に、上記のような状況が生じるおそれがある。
【0033】
この点、本実施形態の個別耐磁板5は、ステータ41の長手方向に直交する方向に延在する第2の耐磁部52を有している。このため、ステータ41の長手方向と直交する方向(すなわち、受容部411の円中心を通りステータ41の長手方向に延在する線から90度)又は当該方向±45度の範囲から流れ込んでくる外部磁界は第2の耐磁部52に導かれ、モータ4に作用せずに第2の耐磁部52に沿って通過していく。
特に、本実施形態では、この第2の耐磁部52が、モータ4におけるステータ41の長手方向に直交する方向の長さよりも長く形成されている。このため、図4(b)に示すように、第2の耐磁部52内に流れ込んだ外部磁界は、第2の耐磁部52内を通過したのちモータ4の外に抜けていき、ほとんどモータ4に影響を及ぼさない。これにより、ロータ43は本来の停止位置(すなわち、内側凹部412とロータ磁石431の分極位置とが対向している位置)から移動せず、ロータ43の動作が不安定となることを防止できる。
【0034】
次に、図5(a)及び図5(b)を参照しつつ、ステータ41の長手方向に沿う方向から進入する外部磁界の影響について説明する。
例えば、コイル42に駆動パルスが印加され、図5(a)において白抜きで示す矢印の方向の磁束が発生した場合に、図5(a)において実線矢印で示すように、ステータ41の長手方向に沿って、コイル42で発生した磁束の流れと逆方向から外部磁界がモータ4に進入した場合を想定する。この場合、コイル42で発生した磁束と外部磁界とが打ち消し合ってしまい、モータ4が本来の性能を発揮できない場合が生じる。
【0035】
この点、本実施形態の個別耐磁板5は、ステータ41の長手方向に延在する第1の耐磁部51を有している。このため、ステータ41の長手方向に沿って流れ込んでくる外部磁界は第1の耐磁部51に導かれ、モータ4に作用せずに第1の耐磁部51に沿って通過していく。
特に、本実施形態では、この第1の耐磁部51が、モータ4におけるステータ41の長手方向の長さよりも長く形成されている。このため、図5(b)に示すように、第1の耐磁部51内に流れ込んだ外部磁界は、第1の耐磁部51内を通過したのちモータ4の外に抜けていき、ほとんどモータ4に影響を及ぼさない。これによりコイル42において発生した磁束を打ち消す方向に外部磁界が作用することを防止することができる。
【0036】
また、コイル42に駆動パルスが印加され、図6(a)において白抜きで示す矢印の方向の磁束が発生した場合、前述のように、コイル42と磁気的に接続されているステータ41に磁束が流れて、外側凹部413と受容部411との間の可飽和部(ステータ41の幅が狭い部分)において磁気飽和が発生する。この磁気飽和が生じると、図6(a)において実線矢印で示すような磁力線の流れが生じて、ステータ41がN極とS極とに分極する。
この場合に、図6(b)に実線矢印で示すように、当該磁力線の流れが打ち消される方向から外部磁界が作用すると、モータ4の性能に悪影響が及ぶと考えられる。
この点、本実施形態の個別耐磁板5のように、ステータ41の長手方向に延在する第1の耐磁部51を有する場合には、磁力線の流れが打ち消される方向から進入する外部磁界が第1の耐磁部51に導かれ、モータ4に作用せずに第1の耐磁部51に沿って通過していく。このため、外部磁界により磁力線の流れが打ち消されることも防止することができる。
【0037】
図7は、従来の時計に設けられていた耐磁板と、アンテナ装置及びモータとの位置関係を表した平面図である。
図7に示すように、従来は、地板21の上に設けられているモータ4をほぼ全て覆う耐磁板50を設けることによって、モータ4(4a〜4f)に対する外部磁界の影響を抑え、耐磁性能を高めていた。
しかし、このように、すべてのモータ4を覆うように耐磁板50を配置すると、耐磁板50がアンテナ装置3に近接した位置まで配置されることになる。
耐磁板50は比透磁率の高い材料で形成された部材であるため、アンテナ装置3が電波を受信する際にアンテナ装置3の近傍に耐磁板50が配置されていると、磁束が耐磁板50の中を通過しやすい。
磁束が耐磁板50内を通過すると、これにより渦電流が発生し、電気エネルギーの損失(渦電流損)を生じてアンテナ装置3の受信感度が低下してしまう。
このような渦電流の発生を防ぐためには、できるだけ耐磁板50をアンテナ装置3から離すことが好ましい。しかし、その場合にはモータ4もアンテナ装置3の近傍に配置することができなくなり、複数のモータ4を搭載しなければならない場合にその配置が限られてしまう。
また、コイル42を含むモータ4全体を耐磁板50で覆うと、モータ4で発生した磁束の一部も耐磁板50に吸収されてしまい、モータ4の性能が低下するおそれもある。
【0038】
この点、本実施形態の時計100では、モータ4に悪影響を及ぼす外部磁界を排除することのできる最小限度の個別耐磁板5を各モータ4について設けている。このため、モータ4をアンテナ装置3の近傍に配置しても個別耐磁板5がアンテナ装置3に与える影響が小さく、個別耐磁板5による渦電流の発生を抑え、アンテナ装置3の受信感度を良好に保つことができる。
また、個別耐磁板5の第2の耐磁部52はモータ4のコイル42の一部を覆うように配置されているが、従来のように耐磁板50でモータ4全体を覆う場合と異なり、第2の耐磁部52はモータ4で発生した磁束の流れる方向であるステータ41の長手方向と直交する方向に延在して配置されるため、モータ4で発生した磁束に影響を及ぼしにくく、モータ4の性能を落とすことなく耐磁性能の向上を図ることができる。
【0039】
以上のように、本実施形態によれば、ロータ磁石431の径と同等以上の幅を有し、ロータ磁石431を含むモータ4の一部を覆う帯状の個別耐磁板5を配置している。
これにより、個別耐磁板5によってモータ4が磁気的にシールドされ、モータ4の動作に影響を及ぼす外部磁界がモータ4に到達し難くなる。このため、モータ4の誤作動等を防いで動作精度が向上し、例えば耐磁時計としてJIS規格(日本工業規格)で要求されているような高度な耐磁規格を満たすことも可能となる。
すなわち、外部磁界による悪影響も最も受けやすいロータ磁石431に外部磁界が作用するのを防ぐことにより、モータ4の耐磁性能を向上させることができる。
そして、このような個別耐磁板5を設けたモータ4をアンテナ装置3の近傍に配置した場合でも、個別耐磁板5は小さいものであるため、モータ4全体を覆う耐磁板50を設ける場合と比較して渦電流の発生が少なく、アンテナ装置3の受信感度を良好に保つことができる。
また、図7に示すような平面状の耐磁板の場合、耐磁板により集磁された外部磁界は特に流れる方向が規制されることなく平面上を自由に流れていく。この点、本実施形態の個別耐磁板5は帯状の第1の耐磁部51と第2の耐磁部52で構成されている。このように、外部磁界を集磁する部分が細長い帯状である場合には、集磁された外部磁界は、例えば耐磁板(すなわち、第1の耐磁部51及び第2の耐磁部52)の長手方向に沿って流れるように、一定の方向に方向づけられる。このため、外部磁界をより効果的かつ速やかにモータ4の外に逃がすことができる。
また、前述のように、特に、モータ4は、図3(a)に示すように、ステータ41の長手方向から進入する外部磁界と、ステータ41の長手方向に直交する方向から進入する外部磁界の影響を受けやすい。この点、本実施形態の個別耐磁板5は、ステータ41の長手方向に延在する第1の耐磁部51と、第1の耐磁部51に直交する方向に延在する第2の耐磁部52とを有している。このため、ステータ41の長手方向から進入する外部磁界を第1の耐磁部51によって吸収し、ステータ41の長手方向に直交する方向から進入する外部磁界を第2の耐磁部52によって吸収することができ、モータ4が影響を受けやすい方向から進入する外部磁界の影響を効果的に低減させることができる。
さらに、第1の耐磁部51は、その延在方向における長さが、モータ4におけるステータ41の長手方向の長さよりも大きく形成されており、第2の耐磁部52は、その延在方向における長さが、モータ4におけるステータ41の長手方向に直交する方向の長さよりも大きく形成されている。このため、個別耐磁板5によって集磁された外部磁界をより効果的にモータ4の外に逃がすことができる。
また、個別耐磁板5は小さいため、従来のように全てのモータ全体を覆う耐磁板を設ける場合と比較してモータの耐磁性能を向上させつつも製品全体の軽量化を図ることができる。さらに、モータ全体を覆う耐磁板と比較して個別耐磁板5は少ない材料で形成することができ、装置コストの低減を図ることもできる。
そして、電波受信用のアンテナ装置3を備え、モータ4で各動作部を駆動させる時計100(電子時計)において、本実施形態を採用することで、モータ4の動作精度の確保とアンテナ装置3の電波受信感度の確保との両立が可能となる。これにより、耐磁性能を犠牲にすることなく、標準電波に基づく正確な時刻合わせが可能な時計100を実現することができる。
また、本実施形態を採用することにより、アンテナ装置3とモータ4との配置関係の自由度が向上するため、製品デザインの自由度を高める効果も期待できる。
【0040】
なお、本実施形態では、個別耐磁板5を構成するステータ41の長手方向に延在する帯状の部である第1の耐磁部51と、第1の耐磁部51に直交する方向に延在する帯状の部である第2の耐磁部52とが一繋がりの部材である場合を例示したが、ステータ41の長手方向に延在する第1の耐磁部51と、第1の耐磁部51に直交する方向に延在する第2の耐磁部52とは別部材であってもよい。
例えば、第1の耐磁部51と第2の耐磁部52とを同じ形状の帯状部材とし、この帯状部材を複数製造して、これを十字に組み合わせて配置することで個別耐磁板5を構成すれば、簡易かつ安価に個別耐磁板5を形成することができる。
【0041】
また、個別耐磁板5がステータ41の長手方向に延在する第1の耐磁部と第1の耐磁部に直交する方向に延在する第2の耐磁部とを有する場合に、第1の耐磁部51と第2の耐磁部52とを別部材とした場合には、一方をモータ4の上側に配置し、他方をモータ4の下側に配置してもよい。
例えば、図8(a)から図8(c)では、第1の耐磁部61を地板21の下面側(図8(b)において下面側)に配置し、第2の耐磁部62を回路基板23の上面側(図8(b)において上面側)に配置した場合を例示している。なお、第1の耐磁部61及び第2の耐磁部62の配置は図示例に限定されない。
【0042】
また、本実施形態では、個別耐磁板5が回路基板23の上面(図3(b)において上面)に配置されている場合を例示したが、個別耐磁板5が設けられる位置はこれに限定されない。
例えば、回路基板23の下面(図3(b)において下面)に配置されていてもよいし、軸受部材22の上面(図3(b)において上面)や地板21の下面(図3(b)において下面)等に配置されていてもよい。
【0043】
さらに、個別耐磁板5をモータ4の表裏(図3(b)における上下)にそれぞれ配置して、個別耐磁板5によりモータ4を挟むようにしてもよい。この場合には、より一層効果的に外部磁界を集磁してモータ4の耐磁性能を向上させる効果が期待できる。
なお、この場合、モータ4の表裏(図3(b)における上下)に配置される個別耐磁板5は同じものであってもよいし、形状の異なるものであってもよい。例えば、モータ4の表側(図3(b)における上側)には第1の耐磁部51及び第2の耐磁部52を備えるほぼ十字形状の個別耐磁板5を配置し、モータ4の裏側(図3(b)における下側)には、帯状の第1の耐磁部51又は第2の耐磁部52と同様の形状の個別耐磁板を配置してもよい。
【0044】
また、本実施形態では、個別耐磁板5が、ステータ41の長手方向に延在する第1の耐磁部51と、第1の耐磁部51に直交する方向に延在する第2の耐磁部52との両方を有するほぼ十字形状のものである場合を例示したが、個別耐磁板の形状は十字形状に限定されない。
例えば、図9に示すように、個別耐磁板は、ステータ41の長手方向に延在する第1の耐磁部に相当する部分だけで構成された帯状の個別耐磁板71であってもよいし、図10に示すように、個別耐磁板は、ステータ41の長手方向に直交する方向に延在する第2の耐磁部に相当する部分だけで構成された帯状の個別耐磁板72であってもよい。
なお、この場合も、ステータ41の長手方向に延在する帯状の個別耐磁板71は、モータ4のロータ磁石431と同等以上の幅を有し、その延在方向における長さが、モータ4におけるステータ41の長手方向の長さよりも大きく形成されていることが好ましい。また、ステータ41の長手方向に直交する方向に延在する帯状の個別耐磁板72は、モータ4のロータ磁石431と同等以上の幅を有し、その延在方向における長さが、モータ4におけるステータ41の長手方向に直交する方向の長さよりも大きく形成されていることが好ましい。
モータ4の動作に影響を及ぼす外部磁界の向き、すなわち、モータ4により強く影響してモータ4の耐磁性能を下げる原因となる外部磁界の向きは、モータ4のサイズや形状によって左右されるものであり、必ずしもステータ41の長手方向から進入する外部磁界とステータ41の長手方向に直交する方向から進入する外部磁界との両方がモータに動作を不安定にするとは限らない。
このため、モータ4の仕様によっては、図9に示すような、ステータ41の長手方向に延在して配置される個別耐磁板71、図10に示すような、ステータ41の長手方向に直交する方向に延在して配置される個別耐磁板72のうち、いずれか一方のみを配置することでモータ4の耐磁性能を十分に確保できる場合もありうる。
このように、個別耐磁板として、ステータ41の長手方向に延在して配置される個別耐磁板71又はステータ41の長手方向に直交する方向に延在して配置される個別耐磁板72のいずれか一方のみを設ける場合には、その分耐磁板の面積が少なくて済み、アンテナ装置3への影響をより低減させることができるとともに、装置の軽量化を図ることができる。また、個別耐磁板の製造コスト(材料コスト)も低減させることができる。
【0045】
なお、時計100に設けられる個別耐磁板はすべて同じ形状である必要はなく、上記のような各種形状・態様の個別耐磁板(すなわち、十字形状の個別耐磁板5や帯状の個別耐磁板71,72等)を各モータ4によって適宜使い分けてもよい。
【0046】
[第2の実施形態]
次に、図11を参照しつつ、本発明に係る電子時計の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、耐磁板の構成のみが第1の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0047】
図11は、本実施形態においてモジュール内に設けられているアンテナ装置及びモータを示す平面図である。
図11に示すように、本実施形態では、第1の実施形態と同様、1つのアンテナ装置3及び6個のモータ4(モータ4a〜4f)が地板21の上に配置された状態でモジュール内に設けられている。
そして、この複数のモータ4(本実施形態ではモータ4a〜4f)のうち、少なくともアンテナ装置3に対して所定の範囲内に配置されたモータ4(図11では、モータ4a〜4c)については、第1の実施形態で示したものと同様の個別耐磁板5がそれぞれ配置されている。
すなわち、モータ4a〜4cに配置される個別耐磁板5は、ロータ磁石431の径と同等以上の幅を有し、ロータ磁石431を含むモータ4の一部を覆う帯状の部材である。
【0048】
さらに本実施形態において、時計は、複数のモータ4のうち、アンテナ装置3に対して所定の範囲外に配置されたモータ4の一部又は全部を覆う面状耐磁板8をさらに備えている。面状耐磁板8を形成する材料等は、個別耐磁板5と同様であるため、その説明を省略する。
本実施形態では、図11に示すように、モータ4d〜4fを覆うほぼ扇型の面状耐磁板8が配置されている。
なお、面状耐磁板8の形状、大きさ、面状耐磁板8によって覆われるモータ4の数等は特に限定されない。
面状耐磁板8は、アンテナ装置3に対して所定の範囲外に配置された全てのモータ4を覆うものである必要はなく、そのうちの一部のみを覆うものであってもよい。
また、面状耐磁板8は1つでなくてもよく、2つ以上に分割されていてもよい。
【0049】
ここで、モータ4がアンテナ装置3に対して所定の範囲内に配置されているか否かを分ける基準は、モータ4全体を覆う耐磁板(面状耐磁板8)を設けることでアンテナ装置3の受信感度が影響を受ける程度によって適宜設定される。耐磁板(面状耐磁板8)がアンテナ装置3から離れれば離れるほど、受信感度への影響は小さくなり、具体的には、アンテナ装置3の受信感度のレベルや、アンテナ装置3やモータ4等が実装される時計ケース1のサイズ等を考慮して、アンテナ装置3とモータ4との具体的な距離や配置関係等が個別的に判断されることが好ましい。
本実施形態では、アンテナ装置3に直接対峙しているモータ4(図11においてアンテナ装置3と対峙している一列目のモータ4a〜4c)をアンテナ装置3に対して所定の範囲内に配置されているものとし、これ以外のモータ4(図11においてモータ4d〜4f)をアンテナ装置3に対して所定の範囲外に配置されているものとする例を示している。
【0050】
なお、その他の構成は、第1の実施形態と同様であることから、同一部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0051】
次に、本実施形態における時計(電子時計)の作用について説明する。
まず、アンテナ装置3に対して所定の範囲内に配置されているモータ4(図11おいてモータ4a〜4c)については、第1の実施形態と同様に、ステータ41の長手方向に延在する帯状の第1の耐磁部と、これと直交する方向に延在する帯状の第2の耐磁部とを有する個別耐磁板5を配置する。
そして、アンテナ装置3に対して所定の範囲外に配置されているモータ4(図11おいてモータ4d〜4f)については、これら全体を覆う面状耐磁板8を配置する。
【0052】
この場合、モータ4d〜4fについては、面状耐磁板8によってモータ4全体を覆うことで外部磁界から磁気的にシールドされる。
また、アンテナ装置3に対して所定の範囲内に配置されているモータ4a〜4cについては、比較的大きさが小さく、渦電流の発生が少ない個別耐磁板5によって、モータ4の動作に特に悪影響を及ぼす方向からの外部磁界を効率よく集磁することで外部磁界からのシールドを行う。このため、アンテナ装置3の受信感度を低下させることなく、モータ4の動作精度が確保される。
【0053】
なお、その他の点については、第1の実施形態と同様であることから、その説明を省略する。
【0054】
以上のように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得られる他、以下の効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態では、アンテナ装置3に対して所定の範囲内に配置されているモータ4a〜4cについてのみ個別耐磁板5を設け、アンテナ装置3に対して所定の範囲外に配置されているモータ4d〜4fについては、面状耐磁板8によって外部磁界からの磁気的シールドを行う。
このため、全てのモータ4について個別耐磁板5を設ける場合と比較して部品点数が少なくなり、組み立て工数の削減等を図ることができる。
この場合でも、アンテナ装置3に対して所定の範囲内に配置されているモータ4a〜4cについては個別耐磁板5によってモータ4の動作に特に悪影響を及ぼす方向からの外部磁界を効率よく集磁することで外部磁界からのシールドを行うため、耐磁板を設けることによるアンテナ装置3への影響を最小限度に抑えることができる。このため、アンテナ装置3の受信感度を低下させることなく、モータ4の動作精度が確保される。
【0055】
なお、アンテナ装置3に対して所定の範囲内に配置されているモータ4(図11においてモータ4a〜4c)に適用される個別耐磁板5の形状や構成は、図示例に限定されない。
例えば、前述のように、ステータ41の長手方向に延在する帯状の個別耐磁板(図9の個別耐磁板71参照)や、ステータ41の長手方向に直交する方向に延在する帯状の個別耐磁板(図10の個別耐磁板72参照)等であってもよい。
また、個別耐磁板はすべて同じ形状である必要はなく、上記のような各種形状・態様の個別耐磁板を各モータ4によって適宜使い分けてもよい。
【0056】
また、本実施形態では、各個別耐磁板5と面状耐磁板8とが別個独立に設けられている場合を例示したが、耐磁板の構成はこれに限定されず、個別耐磁板の一部又は全部が面状耐磁板と連結されていてもよい。
具体的には、図12に示すように、耐磁板80は、アンテナ装置3に対して所定の範囲外に配置されているモータ4(図12においてモータ4d〜4f)に適用される面状耐磁板81と、アンテナ装置3に対して所定の範囲内に配置されているモータ4(図12においてモータ4a〜4c)にそれぞれ適用される個別耐磁板82とを備え、これらが互いに連結されていてもよい。
例えば、図12では、ステータ41の長手方向に延在する第1の耐磁部821とステータ41の長手方向に直交する方向に延在する第2の耐磁部822とを有する個別耐磁板82が連結部823により面状耐磁板81と連結されている。
このように、個別耐磁板の一部又は全部を面状耐磁板と連結した場合には、耐磁板をそれぞれ個別に製造して組み付ける場合と比較して、部品点数が少なくなる。そのため、組み立て工数も少なくて済む。
また、アンテナ装置3に与える影響の少ない側において個別耐磁板を面状耐磁板と連結することで、アンテナ装置3の受信感度を低下させることなく、個別に耐磁板を設ける場合よりもより効果的に外部磁界を集磁することができる。そのため、モータ4の動作精度をより確実に高めることが期待できる。
また、個別耐磁板82はその全てが面状耐磁板81と連結されていなくてもよく、例えば、図12においてモータ4a,4bについて設けられた個別耐磁板82のみが連結部823により面状耐磁板81と連結され、モータ4cについて設けられた個別耐磁板82は別個独立に配置されていてもよい。
さらに、連結部823により面状耐磁板81と連結された個別耐磁板82同士が連結部によって連結されていてもよい。
【0057】
[第3の実施形態]
次に、図13を参照しつつ、本発明に係る電子時計の第3の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、耐磁板の構成のみが第1の実施形態等と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態等と異なる点について説明する。
【0058】
図13は、本実施形態においてモジュール内に設けられているアンテナ装置及びモータを示す平面図である。
図13に示すように、本実施形態では、第1の実施形態と同様、1つのアンテナ装置3及び6個のモータ4(モータ4a〜4f)が地板21の上に配置された状態でモジュール内に設けられている。
そして、この複数のモータ4(本実施形態ではモータ4a〜4f)について、第1の実施形態で示したものと同様に、ロータ磁石431の径と同等以上の幅を有し、ロータ磁石431を含むモータ4の一部を覆う帯状の個別耐磁板9(図13において個別耐磁板9a〜9f)がそれぞれ配置されている。
個別耐磁板9(図13において個別耐磁板9a〜9f)は、第1の実施形態と同様に、ステータ41の長手方向に延在する帯状の第1の耐磁部91と、これと直交する方向に延在する帯状の第2の耐磁部92とを有している。
【0059】
さらに本実施形態では、個別耐磁板9の一部又は全部が連結部93により連結されている。耐磁板の長手方向が大よそ揃うもの同士を連結することにより、繋げた方向の耐磁性能を高めることが可能である。
具体的には、モータ4a〜4cについて設けられている個別耐磁板9a〜9cがそれぞれ連結部93によって連結され、連結耐磁板90を構成している。
また、同様に、モータ4d〜4fについて設けられている個別耐磁板9d〜9fがそれぞれ連結部93によって連結され、連結耐磁板90を構成している。
なお、本実施形態では3つの個別耐磁板9を連結した連結耐磁板90が2つ設けられている場合を例示したが、連結耐磁板90の構成はこれに限定されず、例えば、6個の個別耐磁板9a〜9fが連結部93によって全て一繋がりに連結され、1つの連結耐磁板90を構成していてもよい。
【0060】
なお、その他の構成は、第1の実施形態等と同様であることから、同一部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0061】
次に、本実施形態における時計(電子時計)の作用について説明する。
まず、複数のモータ4(図13おいてモータ4a〜4f)それぞれについては、第1の実施形態と同様に、ステータ41の長手方向に延在する帯状の第1の耐磁部91と、これと直交する方向に延在する帯状の第2の耐磁部92とを有する個別耐磁板9(図13おいて個別耐磁板9a〜9f)を配置する。
そして、これらの個別耐磁板9のうち、長手方向が大よそ揃うものとして、モータ4a〜4cについて設けられている個別耐磁板9a〜9cについて連結部93によって連結して連結耐磁板90を形成する。また、同様に、長手方向が大よそ揃うものとして、モータ4d〜4fについて設けられている個別耐磁板9d〜9fをそれぞれ連結部93によって連結し、連結耐磁板90を形成する。
【0062】
この場合も、モータ4a〜4fは、比較的大きさが小さく、渦電流の発生が少ない個別耐磁板9a〜9fによって、モータ4の動作に特に悪影響を及ぼす方向からの外部磁界を効率よく集磁することで外部磁界からのシールドを行う。このため、アンテナ装置3の受信感度を低下させることなく、モータ4の動作精度が確保される。
さらに、個別耐磁板9a〜9c及び個別耐磁板9d〜9fがそれぞれ連結部93によって連結されて連結耐磁板90を構成しているため、連結方向においては、より高い集磁効果、耐磁性能の向上を期待することができる。
【0063】
なお、その他の点については、第1の実施形態等と同様であることから、その説明を省略する。
【0064】
以上のように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得られる他、以下の効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態では、個別耐磁板9a〜9c及び個別耐磁板9d〜9fがそれぞれ連結部93によって連結されて連結耐磁板90を構成している。このため、連結方向においては、個々の個別耐磁板9a〜9fによる場合よりも高い集磁効果・耐磁性能の向上を期待することができる。
また、個別耐磁板9の一部又は全部を連結して一繋がりの部材とすることにより、全てのモータ4について別個独立の個別耐磁板5を設ける場合と比較して部品点数が少なくなる。このため、組み立て工数の削減等を図ることができる。
【0065】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0066】
例えば、本実施形態では、アンテナ装置3の近傍に耐磁板を配置する必要がある場合を例として個別耐磁板の配置について説明したが、個別耐磁板を配置する場面は、アンテナ装置3の近傍に耐磁板を配置する場合に限定されない。
例えば、耐磁板を近傍に配置することで影響を受ける部品(例えば、磁気センサー等)を実装する場合に、本実施形態で示した個別耐磁板を適用することによって、耐磁性能の向上と部品精度の確保との両立を図ることが可能となる。
【0067】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
電波を受信するためのアンテナ装置と、
ステータと、前記ステータと磁気的に接続されたコイルと、前記ステータの受容部に配置されたロータ磁石と、を備え、動作部を動作させるモータと、
を備える電子時計であって、
少なくとも前記アンテナ装置に対して所定の範囲内に配置された前記モータには、前記ロータ磁石の径と同等以上の幅を有し、前記ロータ磁石を含む前記モータの一部を覆う帯状の個別耐磁板が配置されていることを特徴とする電子時計。
<請求項2>
前記個別耐磁板は、前記ステータの長手方向に延在し、その延在方向における長さが、前記モータにおける前記ステータの長手方向の長さよりも大きく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子時計。
<請求項3>
前記個別耐磁板は、前記ステータの長手方向に直交する方向に延在し、その延在方向における長さが、前記モータにおける前記ステータの長手方向に直交する方向の長さよりも大きく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子時計。
<請求項4>
前記個別耐磁板は、前記ステータの長手方向に延在する第1の耐磁部と、前記第1の耐磁部に直交する方向に延在する第2の耐磁部とを有し、
前記第1の耐磁部は、その延在方向における長さが、前記モータにおける前記ステータの長手方向の長さよりも大きく形成されており、
前記第2の耐磁部は、その延在方向における長さが、前記モータにおける前記ステータの長手方向に直交する方向の長さよりも大きく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子時計。
<請求項5>
前記モータは複数配置され、
前記個別耐磁板は、前記各モータについてそれぞれ配置されており、
前記個別耐磁板の一部又は全部は、連結部により連結されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子時計。
<請求項6>
前記モータは複数配置され、
複数の前記モータのうち、前記アンテナ装置に対して所定の範囲外に配置された前記モータの一部又は全部を覆う面状耐磁板をさらに備えていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子時計。
<請求項7>
前記個別耐磁板の一部又は全部は、前記面状耐磁板と連結部により連結されていることを特徴とする請求項6に記載の電子時計。
【符号の説明】
【0068】
3 アンテナ装置
4 モータ
5 個別耐磁板
17 指針(動作部)
21 地板
22 軸受部材
23 回路基板
51 第2の耐磁部
52 第1の耐磁部
100 時計
431 ロータ磁石
図1
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