【実施例】
【0055】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、特性は以下の方法により測定、評価を行った。
但し、実施例19は参考例とする。
【0056】
(1)積層数
積層フィルムの積層数は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVの条件でフィルムの断面を観察し、断面写真を撮影、積層数を測定した。尚、場合によっては、コントラストを高く得るために、RuO
4やOsO
4などを使用した染色技術を用いた。また、1枚の画像に取り込められるすべての層の中で最も厚みの薄い層(薄膜層)の厚みにあわせて、薄膜層厚みが50nm未満の場合は10万倍、薄膜層厚みが50nm以上500nm未満である場合は4万倍、500nm以上である場合は1万倍の拡大倍率にて観察を実施した。
【0057】
(2)面内方向位相差(Re)、厚み方向位相差(Rth)、配向角
王子計測機器(株)製 位相差測定装置(KOBRA−21ADH)を用いた。サンプルをフィルム幅方向中央部から3.5cm×3.5cmで切り出し、フィルム幅方向が本測定装置にて定義されている角度0°となるように装置に設置し、波長590nmにおけるRe、Rth、及びその配向角を測定した。なお、Rthは、遅相軸を傾斜させて入射角0〜50°(10°毎)時の各位相差値の2次近似により算出した。Reは、入射角0°の値である。
【0058】
(3)Reの幅方向のバラツキ
フィルム幅が400mm以上の積層フィルムにおいて、フィルムの幅方向全体に50mm間隔に上記(2)項に記載の方法にてサンプリングした後、それぞれのサンプルの中央のReを測定し、Reの最大値と最小値の差を平均値で割って、%表示した値を本積層フィルムのReの幅方向のバラツキとした。ロール状の積層フィルムであれば、ロールの巻き方向をフィルム長手方向とし、それに直行する方向が幅方向に相当する。一方、カットされたシート状である場合には、フィルムの長辺方向と長辺方向に直交する方向の両末端(両端部よりそれぞれ25mm離れた箇所)においてReを計測し、フィルム中央との差が大きい方向を本発明でいう積層フィルムの幅方向とする。
【0059】
(4)Reの長手方向のバラツキ
長手方向が400mmの積層フィルムにおいて、フィルムの幅方向中央部を50mm間隔に上記(2)項に記載の方法にてサンプリングした後、それぞれのサンプルの中央のReを測定し、Reの最大値と最小値の差を平均値で割って、%表示した値を本積層フィルムのReの長手方向のバラツキとした。なお、該積層フィルムの長手方向とは上記(3)項に記載の幅方向に直行する方向とする。
【0060】
(5)配向角の幅方向のバラツキ
フィルム幅が400mm以上の積層フィルムにおいて、幅方向に中央部、および両端部よりそれぞれ25mm離れた箇所の計3箇所について上記(2)項に記載の方法にてサンプリングし、それぞれのサンプルの中央の配向角を測定し、両端部の値から中央部の値の差を取った場合の大きい方の値を本積層フィルムの配向角の幅方向のバラツキとした。なお、該積層フィルムの幅方向とは上記(3)項に記載した定義のことをさす。
【0061】
(6)ヤング率、破断伸度
サンプルは、フィルムの幅方向の中央部から、長手方向に15cm、幅方向に1.5cmで切り出し長手方向のヤング率測定用サンプルとした。同様に、幅方向に15cm、長手方向に1.5cmで切り出し幅方向のヤング率測定用サンプルとした。ヤング率、破断伸度は、JIS−K7127−1999に準拠した測定において、ロボットテンシロンRTA(オリエンテック製)を用いて、温度23℃、湿度65%RHにおいて測定した。なお、引っ張り速度は300mm/minとした。
【0062】
(7)フィルム厚み
接触式の膜厚計ミツトヨ社製ライトマチックVL−50A(10.5mmφ超硬球面測定子、測定荷重0.06N)にて測定した。測定は場所をかえて10回行い、その平均値を積層フィルムの厚みとした。
【0063】
(8)動的粘弾性(DMA)測定(E’及びtanδ)
サンプルをフィルム幅方向中央部から7cm×1cmで切り出し、測定長2cm×フィルム幅1cmのサンプルとなるようにサンプルホルダーに設置した。セイコーインスルメンツ(株)製 DMS6100を用い、引っ張りモードで室温20℃から240℃の温度範囲、変位 10μm、振動周波数1Hz、昇温速度2℃/minの条件で貯蔵弾性率E’及び損失係数tanδを測定した。tanδは、損失弾性率E’’と貯蔵弾性率E’との比で求められる。なお、フィルムの長手方向を測定長とした。
【0064】
(9)視認性テスト
PVA中にヨウ素を吸着・配向させて作成した偏光度99.9%の偏光板の一方の面にフィルムの幅方向中央部分から幅方向に420mm、長手方向に310mmのサイズで切り出したサンプルに貼り合わせてテストピースとした。作成したテストピースとフィルムを貼り付けていない偏光板とをクロスニコルの配置にて重ね合わせ白色LED光源(トライテック製A3−101)上においた場合の視認性を確認した。
SS:光漏れが少なく、干渉色が殆どみられない。
【0065】
S:干渉色はほとんどみられない。
【0066】
A:干渉色が若干見られるものの実用に問題ない。
【0067】
B:干渉色がはっきりみられるため、ディスプレイ用途には適さない。
【0068】
(10)UVカット性
サンプルをフィルム幅方向中央部から5cm×5cmで切り出し、日立ハイテクノロジーズ社製分光光度計(U−4100 Spectrophotomater)を用いて波長240〜800nmの透過率を測定した。積分球の内壁は、硫酸バリウムであり、標準板は、付属の酸化アルミニウムである。測定条件:スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、示査速度は600nm/分で測定し、入射角0度における波長380nmの透過率、及び波長240〜360nmの平均透過率を得た。UVカット性については、以下の基準で評価した。
【0069】
S:波長240〜360nmの平均透過率が2%以下
A:波長240〜360nmの平均透過率が3%以上5以下
B:波長240〜360nmの平均透過率が6%以上。
【0070】
(11)共重合ポリエチレンテレフタレート(Co−PET)の組成分析
本発明の共重合PETの組成は、ポリマー重合時に共重合成分のモノマー量をジオール成分とジカルボン酸成分の配合量で調整しているが、
1H-NMR及び熱分解GC/MS測定により、モノマー同定と組成比の算出を行うことができる。共重合PETチップを約30mg程度を採取し、重水素化クロロホルム(CDCl
3)と重水素化ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP-d2)の混液に溶解した後、40℃の温度で1H-NMR 測定を実施した。なお、混液の比率はCDCl
3:HFIP-d2=2:1とした。同定に際しては、スピログリコール、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサンジメタノール、イソソルビドの各種モノマーの単独スペクトルの既存データに基づき、また組成はスペクトルのピーク面積比率から共重合比率を算出した。
【0071】
(12)動摩擦係数(μd)
ASTM−D−1894にのっとり、スリップテスターで滑り速度150mm/min、荷重200gの条件で滑り始めた後に電気抵抗歪み計で検出された応力(抵抗値)を基に、下記式(1)にて算出した。なお、動摩擦係数は滑り出した後の安定領域での抵抗値である。
【0072】
摩擦係数=抵抗値(G)/荷重(G) ・・・式(1)
(13)樹脂組成物の結晶性、非晶性、及び結晶部分融解温度(Tmeta)
示差走査熱量計(DSC)を用いて25℃から290℃まで20℃/minで昇温し、用いる樹脂組成物について、JIS K7121、7122に従って、融点Tm、結晶融解エンタルピーΔHを求め、結晶性と非晶性のポリエステル樹脂の判断を行った。Tmが殆ど現れず、ΔHが6j/g未満を非晶とした。また、積層フィルムにおいて、融点Tm以下に現れる熱処理温度近傍の吸熱ピークを結晶部分融解温度Tmetaとして求めた。
装置:セイコーインスルメンツ(株)製:SII ロボットDSC(モデルDSC6220)
データ解析”standard Analysis”
サンプル質量:5mg。
(14)全光線透過率・ヘイズ
ヘイズメーター NDH5000(日本電飾工業製)を用いてJIS K 7361−1、JIS K 7136、ASTM−D1003に従い測定を実施した。
(15)ハードコート付与時の後加工性
積層フィルムに保護膜として、厚み1.5μmのハードコート層を形成した。塗布方法は、以下に示す塗剤を調整し、#10のバーコーターで均一にフィルムに塗布し、90℃の熱風対流式乾燥機で1分間乾燥して溶剤を除去した後、80W/cm、搬送速度5m/分の条件にて紫外線照射を行った。
UA−122P(新中村化学工業) ウレタンアクリレート 40部
タケネートB830(三井化学ポリウレタン) ブロック化イソシアネート 2.5部
イルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ) 光開始剤 1.5部
MEK 110部
端部の未塗工部をスリットし、ロール状に巻き取った。その際に、フィルム状態を観察し、後加工性を評価した。
S:皺がなく、平面性良好。
A:皺が一部みられるが、問題ないレベル
B:トタン皺、カールが顕著にみられる。
【0073】
(実施例1)
結晶性ポリエステルとして、融点が258℃のポリエチレンテレフタレート(PET)を用いた。熱可塑性樹脂Bとして、融点を持たない非晶性樹脂であるスピログリコール15mol%、シクロヘキサンジカルボン酸25mol%を共重合したエチレンテレフタレート(PE/SPG・T/CHDC)を用いた。上記PE/SPG・T/CHDC98質量%、UVAとして2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン2質量%がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、280℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットして熱可塑性樹脂組成物(B−1)を得た。
【0074】
準備したPETと熱可塑性樹脂組成物(B−1)を、それぞれ水分を含まないように十分真空高温下で乾燥した後、2台の単軸押出機に投入し280℃で溶融混練した。次いで、それぞれFSSタイプのリーフディスクフィルタを50枚介した後、PETからなる各層と熱可塑性樹脂組成物(B−1)からなる各層の積層比(PETからなる層の総厚み/熱可塑性樹脂組成物(B−1)からなる層の総厚み)が1.0となるようにギアポンプにて計量しながら、スリット数251個の積層装置にて合流させて、厚み方向に交互に251層積層された積層体としてTダイから押出し、25℃に表面温度を制御したキャストドラム上にキャストしてキャスティングフィルムを得た。積層体とする方法は、特開2007−307893号公報〔0053〕〜〔0056〕段の記載に従って行った。ここでは、スリット長さ、間隔は全て一定とした。得られた積層体は、PETからなる層が126層、熱可塑性樹脂組成物(B−1)からなる層が125層であり、厚み方向に交互に積層された積層構造を有していた。また、口金内部での拡幅比である口金リップのフィルム幅方向長さを口金の流入口部でのフィルム幅方向の長さで割った値を2.5となるようにした。
【0075】
得られたキャスティングフィルムを、95℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長400mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、延伸時のフィルム温度を103℃としながら、フィルム長手方向に3.3倍延伸し、その後一旦冷却した。続いて、この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、そのフィルム両面の処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着となるプライマー層を形成した。
【0076】
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、95℃の熱風で予熱後、1段目105℃、2段目140℃の温度でフィルム幅方向に4.5倍延伸した。ここで、横延伸区間を2分割した場合、横延伸区間中間点におけるフィルムの延伸量(計測地点でのフィルム幅−延伸前フィルム幅)は、横延伸区間終了時の延伸量の80%となるように2段階で延伸した。横延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で段階的に180℃から熱処理温度225℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度条件で幅方向に1%の弛緩処理を、さらに100℃まで急冷した後に幅方向に1%の弛緩処理を施し、その後、巻き取り積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
【0077】
(実施例2)
実施例1において、フィルム幅方向への延伸時の延伸倍率を3.6倍、熱処理温度を200℃とした以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
【0078】
(実施例3)
実施例2において、熱処理温度を235℃とした以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
【0079】
(実施例4)
実施例1において、スリット数51個の積層装置を用い、PET26層、熱可塑性樹脂組成物(B−1)25層とした以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
【0080】
(実施例5)
実施例1において、スリット数3個の積層装置を用い、PET2層、熱可塑性樹脂組成物(B−1)1層とした以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
【0081】
(実施例6)
実施例1において、スリット数801個の積層装置を用い、PET401層、熱可塑性樹脂組成物(B−1)400層とし、フィルム幅方向への延伸時の延伸倍率を3.6倍、熱処理温度を200℃とした以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表2に示す。
【0082】
(実施例7)
熱可塑性樹脂Bとして、融点を持たない非晶性樹脂である1,4−シクロヘキサンジメタノール30mol%を共重合したポリエチレンテレフタレート(PETG)を用いた。PETG96質量%、UVAとして2,2’−メチレンビス[6−(2Hベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]4質量%がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、280℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットして熱可塑性樹脂組成物(B−2)を得た。
【0083】
実施例1において、熱可塑性樹脂組成物(B−1)の代わりに熱可塑性樹脂組成物(B−2)とした以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表2に示す。
【0084】
(実施例8)
熱可塑性樹脂Bとして、融点を持たない非晶性樹脂であるイソフタル酸20mol%を共重合したポリエチレンテレフタレート(PET/I)を用いた。PET/I 96質量%、UVAとして2,2’−メチレンビス[6−(2Hベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]4質量%がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、280℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットして熱可塑性樹脂組成物(B−3)を得た。
【0085】
実施例1において、熱可塑性樹脂組成物(B−1)の替わりに上記の熱可塑性樹脂組成物(B−3)であるPET/Iとした以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表2に示す。
【0086】
(実施例9)
実施例1において、スリット長さ線形に変化させ、隣接するA層とB層の平均層厚みが40〜55nmとなるようにスリット設計し、各層厚みが徐々に変化する積層体とした。次いで、積層フィルムの厚みが13μmとなるように縦延伸温度を105℃に変更し、熱処理温度を215℃とし、熱処理前半部で約3%の熱処理追延伸の条件に変更する以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。全光線透過率91%、ヘイズ0.7%の透明なフィルムであった。得られた積層フィルムの評価結果を表2に示す。
【0087】
(実施例10)
実施例9の熱処理温度を190℃に変更する以外は、実施例9と同様にして、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表2に示す。
【0088】
(実施例11)
厚み以外は、実施例10と同じ条件で得られた積層フィルムをさらに縦延伸に導き、150℃で1.2倍の再延伸を行い、次いで190℃で弛緩処理を実施した。得られた積層フィルムの評価結果を表3に示す。
【0089】
(実施例12)
熱可塑性樹脂Bとして、融点を持たない非晶性樹脂であるスピログリコール21mol%、シクロヘキサンジカルボン酸5mol%を共重合したエチレンテレフタレート(PE/SPG・T/CHDC)を用いた。その他は、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表3に示す。なお、動的粘弾性測定において、低温側にあったtanδピークが高温側に移動してきたため、tanδピークの数は、見かけ上、1つとなった。
【0090】
(実施例13)
熱可塑性樹脂Bとして、融点を持たない非晶性樹脂であるイソソルビド5mol%、シクロヘキサンジメタノール24mol%を共重合したエチレンテレフタレート(PET/ISB・CHDM)を用いた。その他は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表3に示す。
【0091】
(実施例14)
熱可塑性樹脂Bとして、融点を持たない非晶性樹脂であるイソソルビド5mol%、シクロヘキサンジメタノール24mol%を共重合したエチレンテレフタレート(PET/ISB・CHDM)と融点を持たない非晶性樹脂であるスピログリコール20mol%、シクロヘキサンジカルボン酸30mol%を共重合したエチレンテレフタレート(PE/SPG・T/CHDC)を1:1でコンパウンドしたものを用いた。その他は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表3に示す。
【0092】
(実施例15)
熱可塑性樹脂Aとして、融点を持たない非晶性樹脂であるイソソルビド15mol%、シクロヘキサンジメタノール24mol%を共重合したエチレンテレフタレート(PET/ISB・CHDM)とポリエチレンテレフタレートを1:3の割合でコンパウンドしたアロイ樹脂を用いた。一方、熱可塑性樹脂Bとして、同じく融点を持たない非晶性樹脂であるイソソルビド15mol%、シクロヘキサンジメタノール20mol%を共重合したエチレンテレフタレート(PET/ISB・CHDM)とイソフタル酸成分20モル%のPET/Iを1:1の割合でコンパウンドしたアロイ樹脂を用いた。また、積層装置を変更し、熱可塑性樹脂Aを401層、熱可塑性樹脂Bを400層を交互に積層し、A層/B層の積層比を0.33と変更し、それ以外は、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表3に示す。得られたフィルムの視認性は非常に良く、最も優れたものであった。また、配向角の変化が大きく、クロスニコル下での光漏れが大きかったため、ブラックアウトし難い特性が備わっているため、ITO基材用フィルムに好適なものであった。
【0093】
(実施例16)
厚み以外は、実施例14と同じ条件で得られた積層フィルムをさらに縦延伸に導き、150℃で1.2倍の再延伸を行い、次いで190℃で弛緩処理を実施した。得られた積層フィルムの評価結果を表4に示す。
【0094】
(実施例17)
実施例9のPETにイソフタル酸成分20モル%の共重合PETを20質量%添加し、積層比を0.6、縦延伸倍率3.4倍とする以外は、実施例9と同様にして、厚み13μmの積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表4に示す。得られた積層フィルムの片面にハードコート層を付与したものは、85℃貯蔵弾性率E’は、2.8GPaであった。
【0095】
(実施例18)
キャスト速度、縦延伸温度105℃、熱処理温度140℃に変更する以外は、実施例1と同じ条件で得られた積層フィルムをさらに縦延伸に導き、160℃で1.3倍の再延伸を行い、次いで130〜190℃で段階的に熱処理を実施し、100℃で長手及び幅方向の弛緩処理を施した。得られた積層フィルムの評価結果を表4に示す。なお、得られる積層フィルムの厚みが13μmとなるようにキャスト速度は調整した。配向角および位相差がフィルム幅方向で均一なサンプルを採取することに成功した。なお、分子の配向方向は、位相差測定装置の結果から長手方向を示していることを確認した。
【0096】
(実施例19)
結晶性ポリエステルとして、融点が265℃のポリエチレンナフタレート(PEN)を用いた。熱可塑性樹脂Bとして、融点を持たない非晶性樹脂であるイソソルビド15mol%、シクロヘキサンジメタノール20mol%を共重合したエチレンテレフタレート(PET/ISB・CHDM)を用いた。
【0097】
準備したPENと熱可塑性樹脂Bを、それぞれ水分を含まないように十分真空高温下で乾燥した後、2台の単軸押出機に投入し300℃で溶融混練した。次いで実施例1と同様にして、スリット数131個の積層装置にて合流させて、厚み方向に交互に131層積層された積層体としてTダイから押出し、25℃に表面温度を制御したキャストドラム上にキャストしてキャスティングフィルムを得た。積層体とする方法は、特開2007−307893号公報〔0053〕〜〔0056〕段の記載に従って行った。ここでは、間隙は一定とてスリット長さを徐々に変化させ、平均層厚みが40〜55nmとなるようにスリット設計した。得られた積層体は、PENからなる層が66層、熱可塑性樹脂Bからなる層が65層であり、厚み方向に交互に積層された積層構造を有していた。また、口金内部での拡幅比である口金リップのフィルム幅方向長さを口金の流入口部でのフィルム幅方向の長さで割った値を2.5となるようにした。
【0098】
得られたキャスティングフィルムを、140℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長400mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、延伸時のフィルム温度を143℃としながら、フィルム長手方向に3.3倍延伸し、その後一旦冷却した。続いて、この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、そのフィルム両面の処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着となるプライマー層を形成した。
【0099】
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、150℃の熱風で予熱後、1段目145℃、2段目155℃の温度でフィルム幅方向に4.5倍延伸した。ここで、横延伸区間を2分割した場合、横延伸区間中間点におけるフィルムの延伸量(計測地点でのフィルム幅−延伸前フィルム幅)は、横延伸区間終了時の延伸量の80%となるように2段階で延伸した。横延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で205℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度条件で幅方向に1%の弛緩処理を、さらに100℃まで急冷した後に幅方向に1%の弛緩処理を施し、その後、巻き取り積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表4に示す。
【0100】
(実施例20)
実施例5において、熱可塑性樹脂Bを実施例14と同じものを用いて、また、積層数以外の製膜条件は実施例14とすることで、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表4に示す。
【0101】
(実施例21)
PET/ポリエーテルイミド(PEI)5質量%/平均粒径1.1μmの炭酸カルシウム0.025質量%/平均粒径0.3μmの架橋ポリスチレン0.1質量%をを二軸押出機に原料供給し、280℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットして熱可塑性樹脂組成物(A−1)を得た。
【0102】
実施例17において、PETの代わりに熱可塑性樹脂組成物(A−1)とした以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表5に示す。得られたフィルムの全光線透過率は90%、ヘイズ1.5%であり、視認性は非常に良く、後加工性には適用できるものであった。また、配向角の変化が大きく、クロスニコル下での光漏れが大きかったため、ブラックアウトし難い特性が備わっているため、ITO基材用フィルムに好適なものであった。
【0103】
(比較例1)
実施例1において、PET単膜とした以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表5に示す。
【0104】
(比較例2)
実施例1において、延伸区間中間点におけるフィルムの延伸量(計測地点でのフィルム幅−延伸前フィルム幅)は、横延伸区間終了時の延伸量の50%となるように変更し、さらに、段階的な昇温もなく、横延伸終了後に熱処理温度を245℃とした以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表5に示す。
【0105】
(比較例3)
実施例1において、縦延伸工程において、フィルム両面からラジエーションヒーターによる急速加熱の出力を下げ、延伸時のフィルム温度を85℃とし、フィル徐冷時の弛緩率を5%とした以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表5に示す。
【0106】
(比較例4)
実施例1において、キャスト速度を調整し、フィルム厚みを45μmとした以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表6に示す。厚み方向の位相差が大きく、視認性テストでは斜め方向から観察した際に強く干渉色が見られた。
【0107】
(比較例5)
実施例1において、フィルム幅方向に5.3倍延伸した以外は、実施例と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表6に示す。
【0108】
(比較例6)
実施例1において、熱可塑性樹脂組成物(B−1)の代わりに熱可塑性樹脂組成物(B−2)とし、フィルム幅方向に5.3倍延伸した以外は、実施例と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表6に示す。
【0109】
【表1】
【0110】
【表2】
【0111】
【表3】
【0112】
【表4】
【0113】
【表5】
【0114】
【表6】