(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記交通環境に関する情報は、ナビゲーション装置が利用する地図情報、及び、GPS受信部が受信するGPS信号に含まれるか、通信手段を用いて、インターネット上のサーバから入手するもの、又は、標識を認識して取得したものであることを特徴とする請求項1記載の運転支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下においては、本発明に係る運転支援装置を自動運転車両である自動四輪車に適用した例について説明するが、適用対象はこれに限定されることなく変更可能である。例えば、本発明に係る運転支援装置を、他のタイプの車両(例えば、自動二輪車、自動三輪車等の鞍乗型車両)に適用してもよい。
【0014】
なお、自動運転式ではない手動運転式の車両の場合についても、本発明は有効に作用する。具体的には、運転者が疲労等で漫然運転状態(通常より注意力が低下している状態)に陥っている場合である。このような漫然運転状態では、運転中における車両コントロールの主体は、運転者ではなく自車両に搭載した運転支援装置に頼ることが多くなるので、本発明が有効に作用する。
【0015】
<概要>
荷台から貨物が落下するという事象は、突然に始まるのではなく、前兆現象がある。本件発明者は、先行車両の荷台に載置された貨物を継続して監視すれば貨物の落下を予測できると考えた。
【0016】
そこで、本件発明者は、自車両の前方を走行し、荷台を備えた先行車両(以下、貨物車両ともいう)の荷台に積載された貨物を、例えば、所定の間隔で連続的に撮影し、ある時点の画像とその後の画像とを比較して、当該貨物の外観の変化を継続的に監視し、当該変化の量に基づいて貨物が落下するか否か判定することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】
すなわち、本発明の運転支援装置は、自車両の前方を走行する先行車両(貨物車両)を撮影する撮像手段と、前記撮像手段により撮影した画像に基づいて前記先行車両の荷台に積載された貨物の映像又は前記貨物の付随物の映像の時系列の変化から前記貨物の落下の発生を予測する貨物落下予測手段と、前記貨物落下予測手段が前記貨物の落下の発生を予測した場合に、前記貨物の落下に関する情報を提供する情報提供手段と、を具備することを特徴とする。
【0018】
ここで、貨物とは、一定の容積があり、塊として認識可能な物をいう。貨物の具体例としては、箱物(包装材として箱を使用した貨物)、長尺物(例えば、角材)、及び、土壌(土、砂、石等)が挙げられる。長尺物は、荷台に納まらないので、荷崩れによる落下の影響は甚大であり、長尺物を積載した車両は監視が最も必要な車両の一つである。
【0019】
また、貨物の付随物とは、貨物を運搬する際に貨物に付き従う物品をいう。付随物は、例えば、貨物を荷台に固定する固定用品を含む。固定用品の具体例としては、ロープ、ベルト、シート等が挙げられる。
【0020】
また、貨物又は貨物の付随物の映像の時系列の変化は、貨物又は貨物の付随物のプロフィールの変化であることが好ましい。
【0021】
プロフィールとは、貨物又は貨物の付随物の外部から観察できる状態をいい、外観、外郭、外形及び輪郭を包含する。
【0022】
貨物のプロフィールの変化は、例えば、複数の貨物を荷台に横方向に平積みしたり、積み重ねたり、している場合、複数の貨物全体を捉えて監視することができる。また、一般には、荷台上の高い位置にある荷物が揺られて動きやすく、落下することが多いので、複数の貨物全体の上部のプロフィールの変化が重要であるので、その部分を抽出して変化を監視してもよい。
【0023】
貨物の付随物のプロフィールの変化は、例えば、ロープ、ベルト、シート等の弛みによって生じる。ロープ等が緩むと貨物が落下しやすい。そこで、ロープ、ベルトの長さの変化又はシートの外観の変化を捉え、監視することにより、貨物の落下の前兆を捉えることができる。
【0024】
なお、貨物をシートで覆っていた場合、走行風にてシートがたなびくことがあるが、シートの単なるたなびきと、荷崩れによるシートの連続的な外観の変化とは、ほとんどの場合識別が可能であり、問題にはなり難い。
【0025】
本発明の運転支援装置において、貨物が荷台に対して後方又は側方へ地面に向って移動したことを検知する落下物検知手段をさらに具備することが好ましい。また、この場合において、貨物落下予測手段が貨物の落下の発生を予測した場合に、自車両及び貨物車両の間を走行する鞍乗型車両を監視する鞍乗型車両監視手段をさらに具備することが好ましい。
【0026】
また、情報提供手段は、貨物の落下に関する情報を、自車両、対向車両、自車両が走行する車線に隣接する他の車線を走行する車両、及び、後方車両のうち少なくとも1つに提供することが好ましい。
【0027】
また、情報提供手段は、貨物の落下に関する情報を、貨物車両に提供することが好ましい。
【0028】
貨物の落下に関する情報は、例えば、運転者に落下物発生の前兆があることの警告情報である。
【0029】
上記のような自車両から他車両(貨物車両を含む)への情報の提供は、例えば、車車間通信を用いて行うことができるが、特に限定されない。
【0030】
また、貨物落下予測手段は、貨物の落下が発生する可能性がないと判断した場合であっても、自車両の進路の交通環境に関する情報に基づいて貨物の落下の予測を継続することが好ましい。
【0031】
ここで、交通環境とは、道路の線形(カーブ等の平面線形及び登り坂及び下り坂等の縦断線形を含む)、交差点、一時停止位置、信号機の設置位置などを含む。
【0032】
貨物落下予測手段が落下の可能性が無いと判断した場合であっても、今後の進路上において、例えば、カーブ、坂道、信号機、一次停止位置等が存在すれば、貨物車両が荷台に積載した貨物に慣性力が働くため、落下が発生する可能性がある。従って、このような場合には貨物の落下の予測を継続することで、予防安全効果が一層向上する。
【0033】
交通環境に関する情報は、例えば、ナビゲーション装置が利用する地図情報、及び、GPS受信部が受信するGPS信号に含まれるが、通信手段を用いて、インターネット上のサーバから入手することも可能である。また、車載カメラが撮影した画像から標識等を認識し、交通環境に関する情報を取得することも可能である。このように、交通環境に関する情報の取得先及び取得方法は特に限定されない。
【0034】
<運転支援装置>
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照してより詳細に説明する。まず、本実施の形態に係る運転支援装置100の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る運転支援装置の概略構成図である。なお、運転支援装置100が適用される自動運転式の自車両1において、自動四輪車が通常備えている構成(エンジン、タイヤ等)は備えているものとし、説明は省略する。
【0035】
本実施の形態に係る運転支援装置100(
図1参照)は、処理部の一例であるECU(Electronic Control Unit)101を備えている。ECU101は、例えば、各種処理を実行するプロセッサにより構成される。
【0036】
ECU101は、処理部としてプログラムを実行することにより、貨物落下予測手段102と、前方監視手段103と、落下物検知手段104と、情報提供手段105と、車車間通信制御手段106と、自動運転制御手段107と、を実現可能に構成されている。
【0037】
また、運転支援装置100は、自車両1の前方を撮影する撮影手段の一例として、前方カメラ111を備え、その出力がECU101に入力されるように電気的に接続されている。前方カメラ111は、動画を撮影するビデオカメラ又は所定の間隔で連続的に写真(静止画)を撮影するデジタルカメラである。前方カメラ111は、夜間も撮影可能な高感度監視カメラであることが好ましい。
【0038】
また、運転支援装置100は、自動運転のための各種センサとして、例えば、ジャイロセンサ112、加速度センサ113及び車速センサ114を備え、それらの出力がECU101に入力されるように電気的に接続されている。
【0039】
また、運転支援装置100は、自動運転のために、自動運転制御手段107による制御下で、車速の変更や方向転換のための速度制御手段115及び操舵制御手段116がECU101により制御可能なように電気的に接続されている。
【0040】
また、ECU101には、記憶手段121、音声出力手段122、通信手段123、表示手段124及びナビゲーション装置125及びGPS受信部126が、相互に信号を送受信、或いは、一方向で信号を送信又は受信が可能なように電気的に接続されている。
【0041】
なお、ナビゲーション装置125は、表示手段124及びGPS受信部126に電気的に接続され、表示手段124を制御すると共に、GPS受信部126からGPS信号が入力されるように構成されている。
【0042】
貨物落下予測手段102は、後述のように、前方カメラ111により撮影した自車両1の前方画像(撮影画像)に基づいて、貨物の落下の発生を予測するように構成されている。
【0043】
前方監視手段103は、前方画像に基づいて、先行車両(貨物車両及び鞍乗型車両を含む)及び路面上の障害物(路面に落ちた後の落下物を含む)を認識し、継続して監視し、回避が必要かどうか判断するように構成されている。
【0044】
落下物検知手段104は、貨物が貨物車両の荷台に対して後方及び左右側面方向の三方向へ地面に向って移動したことを検知するように構成されている。
【0045】
情報提供手段105は、音声出力手段122、通信手段123及び表示手段124を制御して、自車両1の運転手、貨物車両、隣接車両、対向車両に対して各種情報を提供するように構成されている。情報提供の詳細については後述する。
【0046】
車車間通信制御手段106は、通信手段123を制御し、他車両との車車間通信を実行するように構成されている。車車間通信には、相手方の車両からの肯定応答(ACK)なしで情報を送信するブロードキャスト通信と、相手方の車両からの肯定応答があった後に情報を送受信する一対一通信とがある。
【0047】
自動運転制御手段107は、主に自車両1の自動運転制御を実行する。ジャイロセンサ112、加速度センサ113、車速センサ114、地図情報を提供するナビゲーション装置125及びGPS受信部126からの出力に基づいて、速度制御手段115及び操舵制御手段116を制御して、自車両1の加速、減速及び操舵を行うように構成されている。
【0048】
また、運転支援装置100(
図1)において、記憶手段121は、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体で構成される。
【0049】
音声出力手段122は、例えば、スピーカ(不図示)から音声合成された案内文を出力するように構成されている。
【0050】
音声出力手段122に代えて、警報音発生手段を備えていてもよい。警報音発生手段は、自車両1の運転者に対して警報を行うものである。警報音発生手段は、例えば、警報音発生器及びスピーカで構成されてもよい。
【0051】
通信手段123の一例は、車車間通信を行うための無線通信手段である。
【0052】
表示手段124としては、例えば、後述のナビゲーション装置125が備えたディスプレイを利用してもよいし、例えばフロントガラスに画像を投影するオーバーヘッドディスプレイ(不図示)を用いてもよい。
【0053】
また、表示手段124としては、インストルメントパネル(不図示)のディスプレイを用いてもよい。また、表示手段124に代えて、インストルメントパネルが備える警告灯を用いて警告等の情報提供を行ってもよい。
【0054】
ナビゲーション装置125は、例えば、自らの内部に備えた記憶手段に格納された地図情報に基づいて自らが備えたディスプレイ(表示手段124の一例)に地図を表示するように構成されている。
【0055】
GPS受信部126は、GPS衛星からGPS信号を受信し、ECU101及びナビゲーション装置125へ出力するように構成されている。
【0056】
以上、
図1を参照して自車両1として自動四輪車に搭載された運転支援装置100について説明した。自車両1の他の例である鞍乗型車両の一例に運転支援装置100を搭載することも可能である。自動四輪車と鞍乗型車両との相違は、まず、表示手段124に情報を表示させる代わりに、例えば、ヘルメットに内蔵された外部通信機器(不図示)に、通信手段123を用いて情報を送信し、例えば音声により情報を運転者に提供する点にある。もちろん、自動四輪車の場合と同様に、鞍乗型車両に搭載された車載機器を用いてもよい。
【0057】
また、外部通信機器として、スマートグラスのようなヘッドマウントディスプレイ(表示手段124の一例)を用い、情報を表示させることも可能である。
【0058】
しかしながら、自動四輪車と鞍乗型車両とで運転支援装置100が同じ構成であってもよいことは言うまでもない。なお、以下の説明で単に自車両1と説明した場合には、自動四輪車及び鞍乗型車両の両方を意味している。
【0059】
次に、本実施の形態に係る運転支援装置100の制御フローについて説明する。
図2〜
図4は、本実施の形態に係る運転支援装置100の制御フローを示す図である。
【0060】
まず、前方監視手段103(
図1参照)は、自車両1の前方を継続的に監視し、監視範囲内を走行する他車両が貨物車両か否か判定する(ST101)。この判定は、例えば、前方カメラ111が撮影した画像に含まれる先行車両を後ろから見て荷台を検出できるか否かで行うことができる。荷台には、フラット型のトラックの荷台の他、普通乗用車のルーフキャリアも含まれる。
【0061】
前方監視手段103は、ST101において、判定がNOであれば、ST101を繰り返す。判定がYESであれば、荷台に貨物が積載されているか否か判定する(ST102)。ST102において、判定がNOであれば、ST101へ戻る。
【0062】
<貨物落下予測処理>
ST102において、判定がYESであれば、貨物落下予測手段102(
図1参照)は、貨物落下予測処理を実施する(ST103)。
【0063】
本実施の形態において、貨物落下予測手段102は、前方カメラ111により撮影した画像に基づいて貨物車両の荷台に積載された貨物のプロフィールの時系列の変化から貨物の落下の発生を予測する。
【0064】
前方カメラ111がビデオカメラである場合、動画から所定の間隔(例えば、数秒)毎に静止画を抽出し、ある時点の画像とその次の画像とを比較し、貨物のプロフィールの変化量を求める。当該変化量が閾値を超える場合には、貨物が落下する前兆があり、落下が発生する可能性があると判定する。
【0065】
また、前方カメラ111がデジタルカメラである場合、所定の間隔で連続的に撮影し、ある時点の画像とその次の画像とを比較し、貨物のプロフィールの変化量を求める。当該変化量が閾値を超える場合には、貨物が落下する前兆があり、落下が発生する可能性があると判定する。
【0066】
貨物を固定するためにロープが用いられている場合、ある時点の画像とその次の画像とを比較するときに、ロープの映像を抽出して、その変化からロープの弛み量(外観の変化の一例)を求める。弛み量が閾値を超える場合に、貨物が落下する前兆があり、落下が発生する可能性があると判定することもできる。固定用品がベルトである場合も同様である。
【0067】
貨物のプロフィールの変化量及びロープ等の弛み量の両方が閾値を超える場合に貨物が落下する可能性があると判定することも可能である。
【0068】
次いで、
図2に示すように、貨物落下予測手段102(
図1参照)は、貨物落下予測処理(ST103)の結果に基づいて貨物落下の可能性があるか否か判定を行う(ST104)。ST104において、判定がNOであれば、貨物落下予測手段102は、ナビゲーション装置125と連携し、自車両1の進路上に交通環境の一例であるカーブが存在するか否か判定する(ST105)。ST105において、判定がYESであれば、ST103に戻り、貨物落下予測処理を再び行う。ST105において、判定がNOであれば、ST101に戻る。
【0069】
一方、ST104において、判定がYESであれば、貨物落下予測手段102は、自車両1が自動運転中か否か判定する(ST106)。ST106において、判定がYESであれば、
図3に示す自動運転中の制御フローに進み、判定がNOであれば
図4に示す手動運転中の制御フローに進む。
【0070】
<自動運転>
まず、
図3を参照して自動運転中の制御フローについて説明する。車車間通信制御手段106(
図1参照)は、貨物車両と車車間通信が可能か否か判定する(ST201)。当該判定は、車車間通信制御手段106が通信手段123を制御し、貨物車両に対して通信要求(REQ)を送信し、所定の時間内に貨物車両から肯定応答(ACK)を受信できたか否かに基づいて行うことができる。
【0071】
ST201において、判定がNOであれば、情報提供手段105は、車車間通信制御手段106と協働して、自車両1の周囲を走行する他車両に対して、貨物が落下する前兆があり、落下の可能性があることを警告する警告情報を送信する(ST202)。
【0072】
ここで、他車両とは、自車両1と同一の車線を走行する後方車両、自車両1が走行する車線に隣接する車線を、自車両1と同一の方向に走行する隣接車両、及び、自車両1に対して対向車線を走行する対向車両を含む。
【0073】
自車両1から他車両への警告情報の送信は、肯定応答なしのブロードキャスト送信により行われる。
【0074】
警告情報を受信した他車両の通信機器は、警告情報に基づいて他車両の運転者に貨物車両から貨物が落下する前兆があり、自らの前方を注視する必要があることを警告するため、表示手段により警告を表示するか、又は、音声出力手段により警告文を出力する。
【0075】
次いで、自車両1(
図1参照)においては、落下物検知手段104が、落下物検知処理を実施する(ST203)。具体的には、落下物検知手段104は、前方カメラ111により撮影した画像に基づいて、貨物車両に積載された貨物が荷台に対して後方又は側方へ地面に向って移動したか否かを検知する。
【0076】
前方カメラ111により撮影した画像としては、貨物落下予測処理(ST103)について説明した場合と同様に、動画から抽出した画像(静止画)、及び、連続的に撮影した写真(静止画)を用いることができる。
【0077】
貨物が荷台に対して貨物が後方に移動して地面に向って移動(落下)したか否かの検知は、例えば、特許文献1に記載されているように、先行車両の荷台を基準に設定された水平ラインを物体が横切ったことを検出することに基づいて行うことができる。
【0078】
また、貨物が荷台に対して貨物が側方へ移動して地面に向って移動(落下)したか否かの検知は、例えば、先行車両の側面を基準に設定された垂直ラインを物体が横切ったことを検出することに基づいて行うことができる。
【0079】
落下物の検知は、上述の方法に限定されることがなく、当業者が公知技術を適宜採用することができることは言うまでもない。
【0080】
落下物検知手段104は、落下物検知処理(ST203)の検知結果に基づいて、落下物があったか否か判定する(ST204)。ST204において、判定がNOであれば、前方監視手段103(
図1参照)により貨物車両がまだ前方に存在するか判定する(ST205)。ST205で、判定がYESであれば、ST203に戻り、落下物の検知を継続する。一方、ST205でNOであれば、ST213の運転終了判定(後述)に進む。
【0081】
ST204において、判定がYESであれば、前方監視手段103が自車両1の前方に鞍乗型車両が存在するか否か判定する(ST206)。ST206において、判定がYESであれば、前方監視手段103は、鞍乗型車両監視処理を開始する(ST207)。
【0082】
鞍乗型車両監視処理では、前方監視手段103が、鞍乗型車両を継続的に監視し、転倒等の、自車両1による回避対応が必要となる事象を検知する。
【0083】
ST206において、判定がNOであれば、ST207を行わず、ST208に進む。
【0084】
ST208では、前方監視手段103が路面監視処理を開始する。路面監視処理では、前方監視手段103が、前方の路面を継続的に監視し、落下物を含む障害物により自車両1による回避対応が必要となる事象を検知する。
【0085】
その後、自動運転制御手段107は、鞍乗型車両監視処理及び路面監視処理の結果、回避対応が必要な事象が発生した否かを判定する(ST209)。ST209において、判定がYESであれば、自動運転制御手段107は、回避対応処理を実施する(ST210)。回避対応としては、減速による車間距離の確保、操舵による車線変更及び進路変更等が含まれる。鞍乗型車両への対応及び落下物への対応は異なってもよいし、同じであっても良い。
【0086】
ST209において、判定がNOであれば、ST213の運転終了判定(後述)に進む。
【0087】
一方、ST201(
図3参照)において、判定がYESであれば、情報提供手段105は、車車間通信制御手段106と協働して、貨物車両に対して、貨物が落下する前兆があり、落下の可能性があることを警告する警告情報を送信する(ST211)。
【0088】
自車両1から貨物車両への警告情報の送信は、肯定応答ありの一対一通信により行われる。
【0089】
警告情報を受信した貨物車両の通信機器は、警告情報に基づいて他車両の運転者に貨物車両から貨物が落下する前兆があり、自らの前方を注視する必要があることを警告するため、表示手段124により警告を表示するか、又は、音声出力手段122により警告文を出力する。
【0090】
次に、自車両1においては、前方監視手段103が、貨物車両が停止行動を開始したか否かを判定する(ST212)。当該判定は、例えば、貨物車両のブレーキランプの点灯、ハザードランプの点滅、又は、貨物車両が路肩等に進路変更したことに基づいて行うことができる。
【0091】
ST212において、判定がNOであれば、ST202に進む。判定がYESであれば、ST213の運転終了判定に進む。
【0092】
ST213では、運転終了判定として、ECU101(
図1参照)は、運転が終了しているかどうかを例えばエンジン稼働中かどうかに基づいて判定する。ST213において、判定がNOであれば、
図2に示すST101に戻り、判定がYESであれば全体の処理を終了する。
【0093】
<手動運転>
次に、
図4を参照して手動運転中の制御フローについて説明する。特に明記する場合を除き、
図3に示す制御フローと同様の点については説明を省略する。車車間通信制御手段106(
図1参照)は、貨物車両と車車間通信が可能か否か判定する(ST301)。
【0094】
ST301において、判定がNOであれば、情報提供手段105は、自車両1及び自車両1の周囲を走行する他車両に対し、警告情報を提供する(ST302)。まず、情報提供手段105は、自車両1の運転者に貨物車両から貨物が落下する前兆があり、自らの前方を注視する必要があることを警告するため、表示手段124により警告を表示するか、又は、音声出力手段122により警告文を出力する。
【0095】
さらに、情報提供手段105は、車車間通信制御手段106と協働して、自車両1の周囲を走行する他車両に対して、貨物が落下する前兆があり、落下の可能性があることを警告する警告情報を送信する。
【0096】
以降のST303〜ST309の処理については、
図3を参照して説明した制御フローのST203〜ST209と同様の処理である。
【0097】
ST309において、判定がYESであれば、情報提供手段105は、自車両1の運転者に対して案内を発令する(ST310)。
【0098】
案内には、(A)回避応答を行うことを促す案内、(B)路面への注視を促す案内、(C)鞍乗型車両への注意を促す案内がある。
【0099】
案内は、情報提供手段105が、表示手段124及び音声出力手段122を制御することにより行うことができる。
【0100】
一方、ST301(
図4参照)において、判定がYESであれば、情報提供手段105は、車車間通信制御手段106と協働して、貨物車両に対して、貨物が落下する前兆があり、落下の可能性があることを警告する警告情報を送信する(ST311)。
【0101】
次に、自車両1においては、前方監視手段103が、貨物車両が停止行動を開始したか否かを判定する(ST312)。
【0102】
ST312において、判定がNOであれば、ST302に進む。判定がYESであれば、情報提供手段105は、自車両1の運転者に対して、貨物車両に対する注視を促す案内を発令する(ST313)。その後、ST313の運転終了判定に進む。
【0103】
ST313の運転終了判定において、判定がNOであれば、
図2に示すST101に戻り、判定がYESであれば全体の処理を終了する。
【0104】
以上説明した運転支援装置100における制御フローに示した各処理の順番は一例であり、当業者であれば変更が可能であることは容易に理解できるであろう。
【0105】
以上説明したように、本実施の形態に係る運転支援装置100によれば、連続的に撮影された前方画像に含まれる、貨物又は貨物の付随物の映像から、貨物又は付随物のプロフィール等の時系列の変化に基づいて、当該貨物の少なくとも一部が落下する前兆を捉え、落下の発生を予測する。落下が予測された場合に貨物の落下に関する情報(警告情報等)を提供するので、予防安全を向上することができる。
【0106】
自車両1においては、手動運転時には、警告情報に基づいて、自車両1の運転者が自車両1の前方に注視することを促す(
図4中ST302)ので、当該運転者は、落下が突然に起こった場合に比べて、落下物(貨物)の発見が容易になり、落下物を避けやすくなる。
【0107】
また、自車両1において、落下物検知手段104により、貨物が貨物車両の荷台に対して後方又は側方に移動して地面に向って移動(落下)したことを検知し(
図3中ST203及び
図4中ST303)、落下物を検知したときは、前方監視手段103により路面を継続的に監視する(
図3中ST208及び
図4中ST308)。そして、回避対応が必要な場合(
図3中ST309及び
図4中ST309)には、自動運転時であれば、自動運転制御手段107に回避対応を実施させ(
図3中ST210)、手動運転時であれば、回避対応を促す案内を発令し(
図4中ST310)、運転者に回避対応を行わせることができる。この結果、予防安全をより向上できる。
【0108】
特に、本実施の形態のように、貨物の落下を荷台に対して後方及び左右側面方向の三方向への移動を監視することにより、落下物の検知を精度良く行うことができる。
【0109】
さらに、落下物を検知したときは、前方監視手段103(
図1参照)により、自車両1と貨物車両との間を鞍乗型車両が走行しているか否かを検知し、鞍乗型車両3を継続的に監視する(
図3中ST206及びST207、並びに、
図4中ST306及びST307)。
図5は、本実施の形態において自車両1と貨物車両との間を鞍乗型車両が走行している状態を示す模式図である。
図6は、本実施の形態に係る運転支援装置100において、前方カメラ111が撮影した前方画像を示す模式図である。
【0110】
なお、
図5及び
図6中、符号4は、隣接車線を走行している他車両である自動四輪車を示す。また、
図5中、破線Aは、自車両1からの監視範囲を示す。
図6中、破線Bは、貨物車両2の貨物の映像の範囲を示す。また、符号6は、隣接車線を走行している他車両である鞍乗型車両を示す。さらに、矢印Cは、貨物11のプロフィールが時系列で変化する方向を示す。
【0111】
図5及び
図6に示すように、自車両1と貨物車両2との間を、鞍乗型車両3が走行している場合がある。貨物車両2の荷台2aには、複数の貨物11が積載され、ロープ12で固定され、かつ、シート13で上部が覆われている。なお、
図6中、便宜上、シート13は省略している。このような状態で、例えば、ロープ12が緩み、シート13がはがれて、貨物車両2の荷台2aから一つの貨物11aが荷台2aの後方から道路に向って落下すると、突然落下してきた落下物14を回避しようとして、鞍乗型車両3がバランスを崩して横転する可能性がある。
【0112】
本実施の形態では、このような危険な状況であっても、前方監視手段103(
図1参照)が、鞍乗型車両3を継続的に監視しているので、横転等が発生して、自車両1が回避対応を行う必要が生じたならば(
図3中ST209及び
図4中ST309)、自動運転時であれば、自動運転制御手段107に回避対応を実施させ(
図3中ST210)、手動運転時であれば、回避対応を促す案内を発令し(
図4中ST310)、運転者に回避対応を行わせることができる。この結果、予防安全をより向上できる。
【0113】
また、本実施の形態では、情報提供手段105は、警告情報を、対向車両、隣接車両、及び、後方車両に送信している(
図3中ST202及び
図4中ST302)。これにより、これらの他車両の運転手は、当該運転者は、落下が突然に起こった場合に比べて落下物の発見が容易になり、予防安全を向上できる。
【0114】
図7は、本実施の形態において自車両1、貨物車両2及び対向車両の関係を示す模式図である。
図7において、貨物車両2の荷台2aに積載されている複数の貨物11のうち、落下する可能性がある貨物11aだけを示している。なお、
図5及び
図6と同様の構成については同一の番号を付し、説明を省略する。
【0115】
図7に示すように、道路20がカーブしている場合、対向車両21では、運転者の視線は、
図7中に二点鎖線の矢印Dで示されるように、対向車両21の前方であるため、貨物車両2の荷台2aの上は、見えない、又は、見えにくい状況になりやすい。しかし、このような状況であっても、自車両1からは、貨物11の落下を検知できるので、自車両1の情報提供手段105(
図1参照)が、警告情報を対向車両21に送信することが可能である(
図3中ST202及び
図4中ST302)。これにより、対向車両21の運転手は、対向車両21の通信装置から警告情報を受けて、道路20の路面に注視し、道路20の対向車線に落下物14が落下したとしても、落下が突然に起こった場合に比べて落下物14の発見が容易になり、予防安全を向上できる。
【0116】
図8は、本実施の形態において貨物が長尺物である場合の映像を示す模式図である。なお、
図5〜
図7と同様の構成については同一の番号を付し、説明を省略する。
図8に示すように、貨物が長尺物31である場合も、長尺物31のプロフィールの時系列的な変化又はロープ12の弛み量に基づいて、長尺物31の落下の前兆を捉え、落下の発生を予測することができる。
図7に示すように道路20がカーブしているときに、長尺物31が道路20の対向車線に落下すると、対向車両21に与える被害は甚大である。しかし、このような状況であっても、自車両1の情報提供手段105(
図1参照)が、警告情報を、対向車両21に送信している(
図3中ST202及び
図4中ST302)。これにより、対向車両21の運転手は、対向車両21の通信装置から警告情報を受け、道路20の路面に注視しているので、落下が突然に起こった場合に比べて、長尺物31を避けやすくなり、予防安全を向上できる。
【0117】
また、本実施の形態に係る運転支援装置100によれば、情報提供手段105(
図1参照)は、警告情報を貨物車両に提供する(
図3中ST211及び
図4中ST311)。これにより、貨物車両の運転手に貨物の荷崩れを確認し、荷物を正しく積載し直すことを促すことができる。この結果、危険な貨物の落下を未然に防止し、予防安全を向上できる。
【0118】
また、本実施の形態に係る運転支援装置100によれば、貨物落下予測手段102(
図1参照)は、貨物の落下が発生する可能性がないと判断した場合(
図2中ST104)であっても、自車両1の進路の交通環境に関する情報に基づいて貨物の落下の予測を継続する(
図2中ST105)。これにより、例えば、
図2示したカーブの他にも、坂道、一時停止、信号機での停止などによって、自車両1に慣性力が働き、落下が発生する場合にも対応でき、予防安全をより向上できる。
【0119】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0120】
例えば、上記の実施の形態において、前方カメラ111(
図1参照)で撮影した画像を記憶手段121に記憶しておき、貨物が落下したために交通事故が発生し、万一、係争(裁判)に発展した場合、貨物の落下が原因であることを立証する有力な証拠資料として活用することもできる。
【0121】
また、
図8を参照したように貨物車両2の荷台2aに積載されている貨物が長尺物31である場合、前方監視手段103により長尺物31を画像認識し、他車両へ送信する警告情報に貨物の種類が長尺物であることを示す付加情報を含めておくこともできる。これにより、対向車両21の運転者は長尺物31が落下する可能性があることを考慮し、前方の路面に注視しているので、長尺物31をより避けやすくなり、予防安全をより向上できる。