(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の技術によると、ドアの内側板にクリップを挿入するための係合孔が形成されている。
【0005】
ドアの内側板に、ワイヤーハーネスを固定するための係合孔が形成されていると、ドアの止水性、遮音性に劣るという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、配線部材をドア等の構成部分であるボックス状部材に固定する構成において、配線部材を固定するための孔をなるべく少なくできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、第1の態様に係る配線部材一体型組込部品は、一方主面に配線部材収容溝が形成され、ボックス状部材の内外を仕切るように前記ボックス状部材に組込まれる組込部品と、延在方向の少なくとも一部が前記配線部材収容溝内に収容された状態で、前記組込部品に保持された配線部材とを備える。
【0008】
また、前記組込部品のうち前記配線部材収容溝の反対側の部分は、平面に形成された部分を含み、前記組込部品は、ドアの内側の金属製インナーパネルに、前記金属製インナーパネルの開口を塞ぐように組込まれるドア用部品とされている。
【0009】
第3の態様は、第1の態様に係る配線部材一体型組込部品であって、前記組込部品が樹脂部品とされている。
【0010】
第4の態様は、一方主面に配線部材収容溝が形成され、ボックス状部材の内外を仕切るように前記ボックス状部材に組込まれる組込部品と、延在方向の少なくとも一部が前記配線部材収容溝内に収容された状態で、前記組込部品に保持された配線部材と、を備え、前記組込部品が樹脂部品であり、前記配線部材収容溝のうち、その底とは反対側の開口部に、前記配線部材収容溝内の前記配線部材の抜けを抑制する熱溶潰部が形成されているものである。
【0011】
第5の態様は、第1、第3及び第4のいずれか1つの態様に係る配線部材一体型組込部品であって、前記組込部品のうち前記ボックス状部材の内側を向く部分又は外側を向く部分に前記配線部材収容溝が形成されているものである。
【0012】
第6の態様は、第1、第3から第5のいずれか1つの態様に係る配線部材一体型組込部品であって、前記組込部品に対して前記配線部材収容溝が形成される側に重ねられる防音部材をさらに備える。
【0013】
第7の態様は、一方主面に配線部材収容溝が形成され、ボックス状部材の内外を仕切るように前記ボックス状部材に組込まれる組込部品と、延在方向の少なくとも一部が前記配線部材収容溝内に収容された状態で、前記組込部品に保持された配線部材と、を備え、前記配線部材収容溝のうち、その底とは反対側の開口部に、前記配線部材収容溝内の前記配線部材の抜けを抑制する押え部が形成され、前記押え部に貫通孔が形成されているものである。
【0014】
第8の態様は、一方主面に配線部材収容溝が形成され、ボックス状部材の内外を仕切るように前記ボックス状部材に組込まれる組込部品と、延在方向の少なくとも一部が前記配線部材収容溝内に収容された状態で、前記組込部品に保持された配線部材と、を備え、前記配線部材収容溝内に充填されて、前記配線部材を前記配線部材収容溝内に固定する充填固定部をさらに備えるものである。
【0015】
第9の態様は、第1、第3から第7のいずれか1つの態様に係る配線部材一体型組込部品であって、前記配線部材は、前記配線部材収容溝内に、その延在方向に沿って移動可能な状態で保持されているものである。
【0016】
第10の態様は、第1、第3から第9のいずれか1つの態様に係る配線部材一体型組込部品であって、前記配線部材が複数の電線を含み、前記組込部品には、前記配線部材収容溝が並列状態で複数形成され、前記複数の電線が、前記複数の配線部材収容溝に分けられて、前記複数の配線部材収容溝内に保持されているものである。
【0017】
第11の態様は、第10の態様に係る配線部材一体型組込部品であって、前記複数の配線部材収容溝が、前記複数の電線の数に応じた数で、並列状態で複数形成され、前記複数の電線が、前記複数の配線部材収容溝内に個別に保持されているものである。
【0018】
第12の態様は、第1、第3から第11のいずれか1つの態様に係る配線部材一体型組込部品であって、前記組込部品の反対側から前記配線部材を覆う覆い部材をさらに備える。
【発明の効果】
【0019】
第1の態様によると、配線部材は、配線部材収容溝内に収容された状態で組込部品に保持されている。このため、配線部材収容溝によって配線部材を固定した部分では、配線部材を固定するためのクリップを挿入するための孔を形成しなくてもよい。これにより、配線部材をボックス状部材に固定する構成において、配線部材を固定するための孔をなるべく少なくできる。
【0020】
第1の態様によると、金属製インナーパネルの開口を塞ぐように組込まれるドア用部品である組込部品に、配線部材収容溝を形成し、この配線部材収容溝に配線部材を収容して保持するため、ドアの薄型化等、ボックス状部材の薄型化が可能となり、さらには、車室スペースを広くすることが可能となる。
【0021】
第3の態様によると、軽量化が可能となる。
【0022】
第4の態様によると、配線部材収容溝のうち、その底とは反対側の開口部に、配線部材収容溝内の前記配線部材の抜けを抑制する熱溶潰部が形成されているため、組込部品と配線部材とを溶着等せずに、配線部材を、配線部材収容溝内に保持することができる。
【0023】
第5の態様によると、組込部品のうちボックス状部材外側を向く分又は外側を向く部分に配線部材を保持することができる。
【0024】
第6の態様によると、防音部材によって配線部材を配線部材
収容溝内に保つことができる。
【0025】
第7の態様によると、ドライバ等の工具を貫通孔に差込むことで、押え部を持上げて、配線部材収容溝から配線部材を取外すことができる。
【0026】
第8の態様によると、配線部材を配線部材収容溝内でより確実に固定できる。
【0027】
第9の態様によると、配線部材と組込部品との間で収縮膨張差が生じても、その差を吸収することができる。
【0028】
第10の態様によると、複数の電線が、並列状態で形成された複数の配線部材収容溝に分けられて、複数の配線部材収容溝内に保持されているため、複数の電線をなるべくフラットな状態で保持することができる。
【0029】
第11の態様によると、複数の電線が、並列状態で形成された前記複数の配線部材収容溝内に個別に保持されているため、複数の電線をよりフラットな状態で保持することができる。
【0030】
第12の態様によると、配線部材が組込部品から外れ難くなる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、実施形態に係る配線部材一体型組込部品について説明する。ここでは、組込部品がドアに組込まれる樹脂部品である例、全体として配線部材一体型ドア用樹脂部品の例を説明する。
図1は、配線部材一体型ドア用樹脂部品20が組込まれたドア10を示す概略側面図であり、
図2は
図1のII−II線概略断面図であり、
図3は
図1のIII−III線概略断面図であり、
図4は配線部材一体型ドア用樹脂部品20の概略分解斜視図であり、
図5は
図4のV−V線概略断面図である。
【0033】
ドア10は、全体として偏平な形状に形成されており、車両において車室内と車室外とを仕切るように開閉可能に設けられる部分である。ドア10は、運転席側ドア、助手席側ドア、後部座席用ドアである場合等が想定される。
【0034】
ドア10は、金属パネル12と、配線部材一体型ドア用樹脂部品20とを備える。
【0035】
金属パネル12は、金属製アウターパネル13と、金属製インナーパネル14とを備える。金属製アウターパネル13は、ドア10のうち車両外側に面する部分に設けられ、金属ボディと共に車両の外観を構成する部分である。金属製インナーパネル14は、金属製アウターパネル13の車室側に設けられている。金属製インナーパネル14及び金属製アウターパネル13の組合体は、ボックス状部材の一例である。金属製インナーパネル14には、開口15が設けられている。この開口15に、当該開口15を閉じるように配線部材一体型ドア用樹脂部品20が取付けられる。ドア用樹脂部品30は、ボックス状部材をなす金属製インナーパネル14及び金属製アウターパネル13の内外を仕切るように当該ボック状に組込まれる組込部品の一例である。
【0036】
配線部材一体型ドア用樹脂部品20は、ドア用樹脂部品30と、配線部材50とを備える。
【0037】
ドア用樹脂部品30は、開口15と同じ程度又は開口15よりも大きく広がる偏平な樹脂部品である。このドア用樹脂部品30は、金属製インナーパネル14の開口15に取付けられた状態で、当該開口15を塞ぐ。これにより、ドア用樹脂部品30は、車両の内側と外側とを仕切ることができる。ドア用樹脂部品30が金属製インナーパネル14の開口15に取付けられた状態で、ネジ止、係止構造等によって当該取付状態が保持される。例えば、ドア用樹脂部品30の周辺部のうち金属製インナーパネル14に重なる部分がネジ止等によって金属製インナーパネル14にネジ止されれば、それらの間の隙間を可及的に塞ぐことができる。
【0038】
ドア用樹脂部品30が金属製インナーパネル14に取付けられた状態で、金属製アウターパネル13と、金属製インナーパネル14及びドア用樹脂部品30との間に空間が形成される。この空間に、ドア10のウインドウを収納することができる。当該空間には、雨水環境に曝されるウインドウが収容され、また、当該空間の上方には、ウインドウが出入りするスリット状の開口が形成されている。このため、当該空間は、水が侵入する可能性がある空間である。また、当該空間は、外部空間と繋がる可能性のある空間であるため、外部からの風切り音等が侵入する恐れがある空間でもある。
【0039】
そこで、ドア用樹脂部品30は、金属製インナーパネル14と共に、車室空間と外部空間とをより完全に仕切る部材として設けられている。
【0040】
より具体的には、ドア用樹脂部品30は、樹脂によって金型成型された部品であり、主板部32と、収容空間形成部34とを含む。
【0041】
主板部32は、開口15を塞ぐことができる程度の大きさで板状に広がる部分である。収容空間形成部34は、主板部32の一方主面側(車室側)に開口すると共に、主板部32の他方主面側(外側)に突出する容器状に形成されている。収容空間形成部34は、開口15よりも小さい容器状に形成されている。
【0042】
ドア用樹脂部品30が金属製インナーパネル14の開口15に嵌め込まれた状態で、収容空間形成部34が開口15の内側に配設される。また、収容空間形成部34の開口縁部と開口15の周縁部との間が、主板部32によって塞がれる。
【0043】
ドア用樹脂部品30の収容空間形成部34等には、ドア10に組込まれる電気部品18を組込むことができる。電気部品18としては、ウインドウを開閉するモータ、ドア10をロック及びアンロックするためのアクチュエーター、各種スイッチであること等が想定される。
【0044】
また、ドア用樹脂部品30の収容空間形成部34の外周の一部から収容空間形成部34の内側に向けて配線支持突部36、38が突設されている。
【0045】
一方の配線支持突部36は、収容空間形成部34の外周の一部である前部から収容空間形成部34の内側に向けて前後方向に沿って延在するように突設されている。なお、前又は後は、車両を基準とする前又は後である。配線支持突部36は、主板部32の一方主面から収容空間形成部34の底の内面35に向けて順次高さ寸法が低くなる傾斜面37を有している。
【0046】
他方の配線支持突部
38は、収容空間形成部34の外周の一部である後部(車両の後側部分)から収容空間形成部34の内側に向けて延在するように突設されている。ドア用樹脂部品30を室内側から観察すると、一方の配線支持突部36と他方の配線支持突部38とは、車両の前後方向に沿って形成されている。配線支持突部38は、主板部32の一方主面から収容空間形成部34の底の内面35に向けて順次高さ寸法が低くなる傾斜面39を有している。
【0047】
上記傾斜面37、39のうち収容空間形成部34の底側の端部は、収容空間形成部34の底の内面35に連なっている。
【0048】
なお、主板部32には、スピーカを組込むためのスピーカ組込孔33が形成されている。ドア用樹脂部品30にスピーカ組込孔33が形成されていることは必須ではない。例えば、金属製インナーパネルにスピーカ組込孔が形成されており、ドア用樹脂部品30は、金属製インナーパネルに対してスピーカが組込まれる部分を除く領域に組込まれる構成であってもよい。
【0049】
ドア用樹脂部品30の一方主面に配線部材収容溝41、42、43が形成されている。配線部材50は、延在方向の少なくとも一部が配線部材収容溝41、42、43内に収容された状態で、ドア用樹脂部品30に保持されている。
【0050】
より具体的には、配線部材収容溝41、42、43は、ドア用樹脂部品30に対する配線部材50の配設経路に沿って形成されている。ここでは、配線部材収容溝41、42、43は、第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42及び第3配線部材収容溝43を含む。
【0051】
ここでは、複数(ここでは3つ)の第1配線部材収容溝41が形成されている。第1配線部材収容溝41は、ドア用樹脂部品30の前部から後部に向けて車両前後方向に沿って形成されている。より具体的には、第1配線部材収容溝41は、主板部32の前縁部の上下方向中間部から当該主板部32の前側一方主面、傾斜面37、収容空間形成部34の底の内面35、傾斜面39、主板部32の後側他方主面を経由して、主板部32の後縁部の上下方向中間部に至るように形成されている。ドア用樹脂部品30を車室側から観察すると、第1配線部材収容溝41は、車両前後方向に沿って延在する直線状に形成されている。
【0052】
複数の第1配線部材収容溝41は、間隔をあけて並列状態で延在するように形成されている。それぞれの第1配線部材収容溝41は、第1電線51を1本ずつ収容可能な溝形状に形成されている。第1配線部材収容溝41の幅は、第1電線51の外径と同じかこれよりも大きいことが好ましい。第1配線部材収容溝41の深さは、第1電線51の外径と同じかこれよりも大きいことが好ましい。
【0053】
ドア10の配線部材50は、通常、ドア10のヒンジ側で車両と接続されており、ドア10の前側から後側に向う際に分岐して各種電気部品18に接続される。第1配線部材収容溝41は、ドア10の後部に組込まれる電気部品18、例えば、ドアロック及びアンロック用モータに接続される第1電線51を保持するのに用いることができる。
【0054】
第2配線部材収容溝42は、複数(ここでは2つ)形成されている。第2配線部材収容溝42は、ドア用樹脂部品30の前部から配線部材収容溝41内に向けて車両前後方向に沿って形成されている。より具体的には、第2配線部材収容溝42は、第1配線部材収容溝41の上側の位置であって、主板部32の前縁部の上下方向中間部から当該主板部32の前側一方主面を経て傾斜面37の延在方向中間部に至るように形成されている。ドア用樹脂部品30を車室側から観察すると、第2配線部材収容溝42は、車両前後方向に沿って延在する直線状に形成されている。
【0055】
複数の第2配線部材収容溝42は、間隔をあけて並列状態で延在するように形成されている。それぞれの第2配線部材収容溝42は、第1配線部材収容溝41と同様に、第2電線52を1本ずつ収容可能な溝形状に形成されている。
【0056】
第2配線部材収容溝42は、収容空間形成部34内の上側に組込まれる電気部品18に接続される第2電線52を保持するのに用いることができる。
【0057】
第3配線部材収容溝43は、複数(ここでは2つ)形成されている。第3配線部材収容溝43は、ドア用樹脂部品30の前部から配線部材収容溝41内に向けて車両前後方向に沿って形成されている。より具体的には、第3配線部材収容溝43は、第1配線部材収容溝41の下側の位置であって、主板部32の前縁部の上下方向中間部から当該主板部32の前側一方主面を経て傾斜面37の延在方向中間部に至るように形成されている。第3配線部材収容溝43は、第2配線部材収容溝42よりも長く形成されている。ドア用樹脂部品30を車室側から観察すると、第3配線部材収容溝43は、車両前後方向に沿って延在する直線状に形成されている。
【0058】
複数の第3配線部材収容溝43は、間隔をあけて並列状態で延在するように形成されている。それぞれの第3配線部材収容溝43は、第1配線部材収容溝41と同様に、第3電線53を1本ずつ収容可能な溝形状に形成されている。
【0059】
第3配線部材収容溝43は、収容空間形成部34内の下側に組込まれる電気部品18に接続される第3電線53を保持するのに用いることができる。
【0060】
ドア用樹脂部品30のうちヒンジ部に近い部分、即ち、主板部32のうち収容空間形成部34よりも前側の一方主面では、複数の第1配線部材収容溝41、複数の第2配線部材収容溝42、複数の第3配線部材収容溝43が等間隔で並列状に形成されている。そして、ドア用樹脂部品30の前部から後部に向うのに従って、第2配線部材収容溝42が無くなり、次に、第3配線部材収容溝43が無くなり、最終的に、第1配線部材収容溝41だけが後部に向けて延在する。
【0061】
配線部材50は、ドア10に設けられ、当該ドア10に設けられた電気部品18に接続される電気的な配線である。ここでは、配線部材50は、複数の電線51、52、53を含む。電線51、52、53としては、金属で構成された芯線の周囲に被覆が形成された電線を用いることができる。芯線は、単芯線であってもよいし、撚り合せ線であってもよい。
【0062】
ここでは、複数の電線51、52、53は、第1電線51、第2電線52、第3電線53を含む。第1電線51は複数(ここでは3本)設けられ、第2電線52も複数(ここでは2本)設けられ、第3電線53も複数(ここでは2本)設けられている。
【0063】
第1電線51、第2電線52、第3電線53は、それぞれの一端側では並列状態に集合されている。第1電線51、第2電線52及び第3電線53の一端部は、束ねられた状態で、ドア10のヒンジ側から当該ドア10から延出し、車両本体内に導かれ、共通コネクタ等を介して車両本体内の他のコネクタに接続されることが想定される。第1電線51は、第2電線52及び第3電線53に対して最も長く延在し、第2電線52及び第3電線53は、第1電線51の延在方向中間部で分岐している。第1電線51、第2電線52及び第3電線53のそれぞれの他端部には、コネクタ56が取付けられており、当該コネクタ56を介して電気部品18に接続される。
【0064】
複数の第1電線51、第2電線52及び第3電線53は、複数の第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42及び第3配線部材収容溝43に分けられて、当該複数の第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42及び第3配線部材収容溝43内に保持されている。ここでは、複数の第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42及び第3配線部材収容溝43は、それぞれ複数の第1電線51、第2電線52及び第3電線53に応じた数、並列状態で形成されている。複数の第1電線51、第2電線52及び第3電線53は、複数の第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42及び第3配線部材収容溝43内に個別に保持されている。
【0065】
より具体的には、複数の第1電線51のそれぞれは、複数の第1配線部材収容溝41のそれぞれに1つずつ収容されて保持されている。従って、複数の第1電線51は、複数の第1配線部材収容溝41に沿って、主板部32の前縁部の上下方向中間部から当該主板部32の前側一方主面、傾斜面37、収容空間形成部34の底の内面35、傾斜面39、主板部32の後側他方主面を経由して、主板部32の後縁部の上下方向中間部に至る一定経路に沿って保持されている。複数の第1電線51は、ドア用樹脂部品30の後端部から延出して電気部品18に接続される。
【0066】
複数の第2電線52のそれぞれは、複数の第2配線部材収容溝42のそれぞれに1つずつ収容されて保持されている。従って、複数の第2電線52は、第1電線51の上側で、複数の第2配線部材収容溝42に沿って、主板部32の前縁部の上下方向中間部から当該主板部32の前側一方主面を経由して傾斜面37の途中迄に至る一定経路に沿って保持されている。
【0067】
複数の第3電線53のそれぞれは、複数の第3配線部材収容溝43のそれぞれに1つずつ収容されて保持されている。従って、複数の第3電線53は、第1電線51の下側で、複数の第3配線部材収容溝43に沿って、主板部32の前縁部の上下方向中間部から当該主板部32の前側一方主面を経由して傾斜面37の途中迄に至る一定経路に沿って保持されている。
【0068】
複数の第2電線52及び複数の第3電線53は、傾斜面37の途中で第2配線部材収容溝42、第3配線部材収容溝43から出て、収容空間形成部34内に導かれ、当該収容空間形成部34内の電気部品18に接続される。
【0069】
本実施形態では、複数の第1電線51、第2電線52、第3電線53が、個別に第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42、第3配線部材収容溝43に収容されているが、複数の電線の全てが共通する配線部材収容溝に収容されて保持されてもよい。また、複数の電線が複数のグループに分けられると共に、当該複数のグループに応じた数の配線部材収容溝が形成され、複数の電線が複数のグループ毎に複数の配線部材収容溝に収容されて保持されてもよい。
【0070】
第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42、第3配線部材収容溝43のうちその底とは反対側の開口部に、第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42、第3配線部材収容溝43内の第1電線51、第2電線52、第3電線53の抜けを抑制する熱溶潰部48が形成されている(
図1及び
図3参照)。
【0071】
ここでは、第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42、第3配線部材収容溝43のうち主板部32の前側を通る部分、傾斜面37を通る部分に、熱溶潰部48が形成されている。また、第1配線部材収容溝41のうち収容空間形成部34の底を通る部分、傾斜面39を通る部分、主板部32の後側を通る部分に、熱溶潰部48が形成されている。
【0072】
上記熱溶潰部48は、第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42、第3配線部材収容溝43のうち底とは反対側の開口部周縁部に、当該底とは反対側に突出する部分を形成し、この突出部分を熱によって溶かし潰して前記開口を狭くするように或は閉じるようにした部分である。
【0073】
上記熱溶潰部48は、第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42、第3配線部材収容溝43の開口を狭くするように或は閉じるようにしているが、内部の第1電線51、第2電線52、第3電線53には溶着していない。これにより、第1電線51、第2電線52、第3電線53は、第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42、第3配線部材収容溝43内でその延在方向に沿って移動可能な状態で保持される。これにより、第1電線51、第2電線52、第3電線53と、ドア用樹脂部品30との間で、熱膨張係数差等によって伸縮量に違いが生じる場合等でも、第1電線51、第2電線52、第3電線53に無理な引っ張り力等が作用し難い。
【0074】
もっとも、熱溶潰部48は、第1電線51、第2電線52、第3電線53に溶着していてもよい。
【0075】
上記第1電線51、第2電線52、第3電線53を、ドア用樹脂部品30に取付ける手順について説明する。
【0076】
上記第1電線51、第2電線52、第3電線53を、ドア用樹脂部品30に取付ける前の状態においては、ドア用樹脂部品30のうち熱溶潰部48が形成される部分に、突出部分49が形成されている(
図4及び
図5参照)。突出部分49は、第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42、第3配線部材収容溝43のうち熱溶潰部48が形成される部分の開口両側部に形成されている。突出部分49は、ドア用樹脂部品30の主面から突出する方向に突出している。
【0077】
第1電線51、第2電線、第3電線を、それぞれ第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42、第3配線部材収容溝43に収容する。
【0078】
この状態で、ドア用樹脂部品30の突出部分49を軟化可能な温度に加熱された熱溶解用ヘッド60を、突出部分49に押し当てる(
図5及び
図6参照)。すると、熱溶解用ヘッド60によって突出部分49が軟化し、押潰される。軟化して押潰された突出部分49は、第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42、第3配線部材収容溝43の開口上方に押広げられる。これにより、第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42、第3配線部材収容溝43の開口が狭まり或は閉じられた状態となる。なお、熱溶解用ヘッド60は、複数の突出部分49に接触可能な先端面を有し、ヒータ等の加熱部によって加熱される装置である。
【0079】
これにより、第1電線51、第2電線、第3電線が、それぞれ第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42、第3配線部材収容溝43に収容された状態で保持される。
【0080】
なお、突出部分49を押潰しすぎると、押潰された部分が第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42、第3配線部材収容溝43内に入り込み、第1電線51、第2電線52、第3電線53に溶着される可能性がある。このため、押潰された突出部分49が第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42、第3配線部材収容溝43内に入り込み過ぎない程度で、熱溶解用ヘッド60を突出部分49に押し当てることが好ましい。
【0081】
熱溶解用ヘッド60の押し当ての程度は、当該熱溶解用ヘッド60の先端面とドア用樹脂部品30の主面との距離を制御することで調整することができる。当該押し当ての程度を一定に規制するために、
図7に示すように、ドア用樹脂部品30の主面であって第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42、第3配線部材収容溝43の両側部に、高さ調整用突部70を形成しておくとよい。高さ調整用突部70は、熱溶解用ヘッド60のうち高さ調整用突部70を軟化させる程度に加熱されない部分、例えば、側方部分と対向する位置に設けられている。また、高さ調整用突部70の突出寸法は、熱溶解用ヘッド60の先端面を、ドア用樹脂部品30の主面から所定距離離れた位置に規制する大きさに設定されている。所定距離は、熱溶解用ヘッド60により熱溶解された突出部分49が第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42、第3配線部材収容溝43の開口を狭めるか塞ぐことができるが、第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42、第3配線部材収容溝43内に入り込み難くするような大きさであり、実験的、経験的に決定され得る。
【0082】
そして、熱溶解用ヘッド60が高さ調整用突部70に接触するまで、熱溶解用ヘッド60を突出部分49に押し当てて当該突出部分49を押潰せば、当該突出部分49がほぼ一定の程度で熱溶解される。これにより、突出部分49によって、第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42、第3配線部材収容溝43内でより確実に第1電線51、第2電線52、第3電線53を保持することができ、かつ、突出部分49が第1電線51、第2電線52、第3電線53に溶着されてしまうことを抑制できる。
【0083】
また、第1電線51、第2電線52、第3電線53の他端部の導出先が異なっていること等の理由により、第1電線51、第2電線52、第3電線53を、第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42、第3配線部材収容溝43内に同時に配設することが困難な場合がある。このような場合には、第1電線51、第2電線52、第3電線53を複数のグループに分割し、グループ別に配設作業を行ってもよい。例えば、第1電線51、第2電線52、第3電線53を別々の作業タイミングで、第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42、第3配線部材収容溝43に順次配設してもよい。また、この場合に、第1電線51、第2電線52、第3電線53別に、熱溶潰部48を形成する作業を行うとよい。さらに、この場合、熱溶潰部48が、第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42、第3配線部材収容溝43毎に延在方向にずれる位置に形成されていてもよい。
【0084】
以上のように構成された配線部材一体型ドア用樹脂部品20によると、配線部材50(第1電線51、第2電線52、第3電線53)は、配線部材収容溝41、42、43内に収容された状態で、ドア用樹脂部品30に保持されている。このため、配線部材収容溝41、42、43によって配線部材50を保持した部分では、当該配線部材50を保持するためのクリップを挿入するための孔を形成しなくてもよい。これにより、配線部材50をドア10に保持する構成において、配線部材50を固定するための孔をなるべく少なくすることができる。
【0085】
また、組込部品の一例であるドア用樹脂部品30は樹脂部品であるため、軽量化が可能となる。
【0086】
なお、配線部材50のうち配線部材収容溝41、42、43によって保持する部分以外では、クリップによって配線部材50を保持してもよい。この場合であっても、クリップ保持用の孔をなるべく少なくできるからである。
【0087】
また、金属製インナーパネル14の開口15を塞ぐように組込まれるドア用樹脂部品30に、配線部材収容溝41、42,43を形成し、この配線部材収容溝41、42,43に、配線部材50を収容して保持するため、ドア10の薄型化、さらには、車室スペースを広くすることができる。
【0088】
また、配線部材収容溝41、42,43のうち、その底とは反対側の開口部に、配線部材50の抜けを抑制する熱溶潰部48が形成されているため、ドア用樹脂部品30と配線部材50とを溶着等せずに、配線部材50をより確実に配線部材収容溝41、42、43内に保持することができる。
【0089】
すなわち、配線部材をドア用樹脂部品に保持する構成としては、例えば、配線部材をドア用樹脂部品に溶着する構成も考えられるが、その場合、配線部材の被覆材料とドア用樹脂部品の材料とを溶着性良好な材料の組合せにしないと接着性に劣る可能性がある。また、被覆材料に対する熱的影響が過大とならないように工夫を講じる必要も乗じる。本実施形態では、熱溶潰部48によって配線部材50を溶着するのではなく、熱溶潰部48によって配線部材収容溝41、42、43の開口を狭くし又は塞ぐことによって、配線部材50を配線部材収容溝41、42、43内に保持している。このため、配線部材50の被覆材料、ドア用樹脂部品30の材料等の組合わせ、また、被覆材料に対する熱的影響等を考慮しなくてもよくなる。
【0090】
また、配線部材50は、配線部材収容溝41、42、43内をその長手方向に沿って移動可能であるため、配線部材50とドア用樹脂部品30との間で熱収縮膨張差等が生じても、配線部材50が配線部材収容溝41、42、43内を移動することで、その差を吸収することができ、配線部材50に無理な引っ張り力等が作用し難い。
【0091】
また、配線部材50である第1電線51、第2電線52、第3電線53は、並列状態で形成された第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42、第3配線部材収容溝43に分けられて、第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42、第3配線部材収容溝43内に保持されているため、第1電線51、第2電線52、第3電線53をなるべくフラットな状態で保持することができる。
【0092】
しかも、複数の第1電線51、第2電線52、第3電線53は、第1配線部材収容溝41、第2配線部材収容溝42、第3配線部材収容溝43内に個別に保持されているため、第1電線51、第2電線52、第3電線53をよりフラットな状態で保持することができる。
【0093】
{変形例}
上記実施形態を前提として各種変形例について説明する。
【0094】
上記実施形態では、配線部材収容溝41、42、43のそれぞれにおいて、底とは反対側の開口部周縁部の両側の突出部分を熱によって溶かし潰して前記開口を狭くするように或は閉じるようにした例を説明した。しかしながら、
図8に示す第1変形例のように、ドア用樹脂部品30に対応するドア用樹脂部品130に形成された配線部材収容溝141に電線151を収容した状態で、配線部材収容溝141のそれぞれにおいて、底とは反対側の開口部周縁部の一方側の突出部分148pを熱によって配線部材収容溝141の開口に向けて倒すように溶潰して熱溶潰部148を形成し、もって配線部材収容溝141の開口を狭くするように或は閉じるようにしてもよい。突出部分148p等の樹脂の溶潰は、樹脂がある程度柔らかくなった状態でなされればよい。つまり、樹脂が加熱によりある程度柔らかくなり、元の形状が潰れて開口を少なくとも部分的に閉じるように変形できればよい。
【0095】
また、
図9に示す第2変形例のように、第1変形例において、ドア用樹脂部品130の反対側から配線部材(電線151)を覆う覆い部材210を設けてもよい。覆い部材210は、樹脂フィルム、樹脂シート、不織シート等の薄い部材である。覆い部材210が、発泡樹脂(発泡ウレタン等)、不織シート等のサイレンサとしての機能を有する場合、覆い部材210は、防音部材であると捉えることもできる。
【0096】
覆い部材210は、クランプ或はクリップと呼ばれる部材、両面テープ、粘着テープ、接着剤、熱溶着、超音波溶着等によって、ドア用樹脂部品130に取付けられる。この例によると、配線部材(電線151)が覆い部材210によって覆われるため、配線部材(電線151)に対して当該配線部材(電線151)をドア用樹脂部品130から脱落させる力が作用し難くなり、配線部材(電線151)がドア用樹脂部品130から外れ難くなる。
【0097】
また、上記実施形態では、ドア用樹脂部品30のうちボックス状部材の外側を向く部分、即ち、自動車において内側を向く部分に配線部材収容溝41、42、43を設けた例で説明した。しかしながら、
図10に示す第3変形例のように、ドア用樹脂部品30に対応するドア用樹脂部品330のうちボックス状部材の内側を向く部分、即ち、自動車において外側を向く部分に配線部材収容溝341を形成し、当該配線部材収容溝341に電線351を収容してもよい。この場合、電線351は、ボックス状をなす金属製インナーパネル14及び金属製アウターパネル13の内側に保持されることになる。なお、この変形例では、ドア用樹脂部品330には、収容空間形成部34が形成されず、全体的に平坦な形状とされている。もちろん、ドア用樹脂部品330には、電気部品等を配設するための凹凸部分が形成されていてもよい。電気部品がドアの内部に設けられている場合には、このようなレイアウトを適してもよい。
【0098】
いずれにせよ、組込部品の一例であるドア用樹脂部品330には、ボックス状部材の内側を向く分又は外側を向く部分に配線部材(電線351)を保持することができる。
【0099】
図11及び
図12に示す第4変形例のように、上記実施形態におけるドア用樹脂部品30に対応するドア用樹脂部品430に対して配線部材収容溝41、42、43が形成される側に防音部材410が重ねられていてもよい。ここでは、ドア用樹脂部品430は、平坦な形状として描かれているが、電気部品等を収容するための凹凸部分が形成されていてもよい。防音部材410は、音を減らす部材である。防音部材は、吸音材によって構成されていてもよいし、遮音材によって構成されていてもよい。吸音材は、厚み方向の断面を見て空間があるものである。吸音材は、例えば、入射した音エネルギーを吸収等することで、音の反射をなるべく少なくする。吸音材としては、例えば、発泡樹脂(発泡ウレタン等)、不織シート等、内部に細かい空間が多数存在する材料を用いることができる。遮音材は、厚み方向の断面を見て空間がないものである。遮音材は、例えば、音エネルギーを吸収したり反射したりすることで音をなるべく遮る。防音部材として、吸音材、遮音材のいずれが用いられてもよい。防音部材は、吸音材としての機能と遮音材としての機能を兼ね備えていてもよい。
【0100】
ここでは、防音部材410は、クランプ又はクリップと呼ばれる固定部品420によってドア用樹脂部品430に固定されている。固定部品420は、頭部421と柱状部422と抜け止突部423とを備えており、樹脂等で形成される。柱状部422は、棒状に形成されている。柱状部422の一端部に板状の頭部421が形成されている。抜け止突部423は、先端側に向けて徐々に細くなると共に基端部にドア用樹脂部品430に形成された孔に抜け止係止可能な抜け止部423aが形成された構成とされている。
【0101】
そして、抜け止突部423が防音部材410及びドア用樹脂部品430の孔に貫通した状態で、頭部421が防音部材410の外面に当接すると共に、抜け止突部423がドア用樹脂部品430の孔の周縁部に抜け止係止している。防音部材410は、複数箇所、特に、複数の配線部材収容溝41、42、43の両側の位置で、固定部品420によってドア用樹脂部品430に固定されている。
【0102】
この変形例によると、防音部材410によって、ボックス状をなす金属製インナーパネル14及び金属製アウターパネル13の内外で防音することができる。ここでは、車室内外で防音することができる。また、配線部材収容溝41、42、43内で電線51、52、53が振動することによって異音が発生したとしても、その異音が外部に漏れることを抑制することができる。また、防音部材410によって、配線部材(電線51、52、53)が覆われるため、配線部材(電線51、52、53)がドア用樹脂部品130から外れ難くなる。この点において、防音部材410は、覆い部材の一種であるともいえる。このように、防音部材410によって、防音対策、配線部材(電線51、52、53)の外れ対策を行える。
【0103】
図13に示す第5変形例のように、第4変形例において、ドア用樹脂部品430の反対側から配線部材(電線51、52、53)を覆う覆い部材510がさらに設けられてもよい。覆い部材510は、上記覆い部材210と同様構成であり、防音部材410の外側から配線部材(電線51、52、53)及び防音部材410を覆っている。これにより、配線部材(電線51、52、53)がさらにドア用樹脂部品430から外れ難くなる。
【0104】
覆い部材は、上記実施形態及び他の変形例に適用されてもよい。
【0105】
図14に示す第6変形例では、ドア用樹脂部品30に対応するドア用樹脂部品630に、配線部材収容溝641、642が形成されている。配線部材収容溝641(図では2つの配線部材収容溝641が例示)に電線651が収容される。配線部材収容溝641のうち、その底とは反対側の開口部に、配線部材収容溝641内の配線部材である電線651の抜けを抑制する押え部610が形成されている。つまり、押え部610は、配線部材収容溝641の開口を少なくとも部分的に閉じるように延在し、配線部材収容溝641の開口をその長手方向において部分的又は全体的(ここでは部分的)に狭くする又は閉じている。押え部610は、上記実施形態及び第1変形例と同様に、突片610aを熱溶潰して形成した部分であってもよい。押え部610は、ドア用樹脂部品630の製造当初から金型成形等によって他の部分と共に形成されていた部分であってもよい。後者の場合、押え部610を弾性変形させて電線651を配線部材収容溝641内に押込めばよい。ここでは、前者であるとして説明する。
【0106】
押え部610には、貫通孔610hが形成されている。貫通孔610hは、押え部610の外側から配線部材収容溝641内に向けて貫通する孔である。押え部610を熱溶潰するとしても、当初の突片に貫通孔を形成しておけば、当該貫通孔が残る程度の熱で、突片を熱溶潰すれば、押え部610に貫通孔610hを形成することができる。或は、熱溶潰する治具自体に、貫通孔610hを形成するための突部を形成しておき、熱溶潰と同時に貫通孔610hを形成してもよい。
【0107】
ドア用樹脂部品630に電線651を保持した初期状態では、他の配線部材収容溝642には、電線651は保持されていない。他の配線部材収容溝642は、予備用の溝である。配線部材収容溝641内に収容された電線651に何らかの不都合がある場合には、マイナスドライバ等の工具620を上記貫通孔610hに差込んで梃子の原理等で押え部610を上方に持上げれば、電線651を配線部材収容溝641から外すことができる。この際、押え部610が破壊されてしまうことがあり得る。このような場合には、予備用の配線部材収容溝642内に電線651を収容し、突部610
aを熱溶潰すれば、当該予備用の配線部材収容溝642を利用して代りの電線651を保持することができる。予備用の配線部材収容溝642は、仕様変更(電線を追加する仕様変更がなされた場合)用に用いられてもよい。
【0108】
図15に示す第7変形例では、ドア用樹脂部品30に対応するドア用樹脂部品730に配線部材収容溝741が形成されている。熱溶潰部が形成される代りに、配線部材収容溝741内に収容された電線751が充填固定部710によって当該配線部材収容溝741内に固定されている。充填固定部710は、流動体を電線751が収容された配線部材収容溝741に充填した状態で固化することにより形成される。流動体としては、ホットメルト接着剤等のように、加熱によって流動状態となり冷却されることによって固化するもの、2液混合対応の接着剤、光硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、湿気硬化型接着剤等を用いることができる。
【0109】
この例によると、充填固定部710は、配線部材収容溝741内に充填された状態で電線751を配線部材収容溝741内に固定しているため、電線751をしっかりと配線部材収容溝741内に固定できる。また、電線751は、配線部材収容溝741内で振動し難く、異音の発生を抑制できる。
【0110】
なお、上記実施形態では、金属製インナーパネル14の開口15に組込まれるドア用樹脂部品30に配線部材収容溝41、42、43を形成し、ここに配線部材50を保持した例を説明した。配線部材は、その他のドア用樹脂部品に組込まれてもよい。例えば、金属パネル12の車室側に取付けられる樹脂トリムの内側に配線部材収容溝を形成し、この配線部材収容溝に配線部材を収容して保持するようにしてもよい。この場合、金属パネル12自体は、樹脂トリムを装着可能な開口を有するボックス状をなすボックス状部品の一例である。
【0111】
上記実施形態及び各変形例では、ドア用樹脂部品で配線部材を保持する例を説明した。しかしながら、配線部材を保持する部材は、ボックス状部材の内外を仕切るようにボックス状部材に組込まれる組込部品であればよい。例えば、ルーフとその内側に設けられるルーフ内装部品は、それらの間に扁平な空間を形成するボックス状部材となる。ルーフ内装部品に、配線部材収容溝が形成されて、当該配線部材収容溝に配線部材が保持されてもよい。ボックス状部品として、電池収容ボックスが想定され、組込部品は、電池収容ボックスの開口に組込まれる蓋であってもよい。この場合、例えば、蓋の裏(ボックス内側)に配線部材が保持されてもよい。これにより、配線部材を、蓋の裏と電池収容ボックス内の収容物(電池)との間の空間を利用して配索できるというメリットがある。
【0112】
また、上記実施形態及び各変形例では、組込部品の一例であるドア用樹脂部品が樹脂製である例で説明した。しかしながら、組込部品は、金属製の部品等であってもよい。例えば、ドア用樹脂部品は、金属板であり、当該金属板にプレス成形或は切削加工等によって、配線部材収容溝が形成されていてもよい。
【0113】
上記実施形態では、配線部材が電線である場合を説明したが、配線部材は、複数の線状導体を並列状態で被覆した帯状の配線部材、例えば、フレキシブルフラットケーブル等であってもよい。
【0114】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。例えば、覆い部材210は、実施形態で説明した配線部材一体型ドア用樹脂部品20、他の変形例に適用されてもよい。
【0115】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。