(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記操作量算出部は、前記通信遅延推定値が所定値を超える場合に、前記第2の操作量として、前記遠隔制御装置から入力される第1の操作量よりも小さい操作量を算出する、請求項1に記載の制御対象装置。
【背景技術】
【0002】
無線通信技術の発展に伴い、無人搬送車、ドローン、遠隔手術支援ロボット、建設機器等の制御対象装置を、無線を用いてネットワークに接続し、ネットワークを介して制御対象装置を操作する、無線遠隔制御技術が検討されている。無線遠隔制御技術により、移動する制御対象装置の導入が容易になる、制御対象装置の再配置が容易になる、配線の削除による軽量・省スペース化が可能となる等の利点が得られる。
【0003】
無線通信ネットワークでは、制御対象装置の移動に伴う電波状況の変化、制御対象装置の周辺物による電波の反射・回折、通信回線の混雑状況、他の無線アクセスポイントからの電波干渉や他の機器からのノイズ等の影響によって電波環境が大きく変動する。電波環境が変動することで、通信品質が劣化してしまう可能性がある。
【0004】
電波品質を表す指標として、電波指標値が用いられる。電波指標値は、無線通信の物理層を評価するための指標値で、端末が受信した信号の電力に基づいて算出される。例えば、3GPP(Third Generation Partnership Project)で標準化が進められているLTE(Long Term Evolution)では、RSSI(Received Signal Strength Indicator)、RSRP(Reference Signal Received Power)、RSRQ(Reference Signal Received Quality)、SINR(Signal to Interference and Noise Ratio)等が規定されている。
【0005】
無線通信ネットワークを介した制御対象装置の遠隔制御では、通信品質の変動の中でも特に通信遅延の変動が問題となる。制御コマンドが制御対象装置に届かない間、制御対象装置は操作不能となる。そのため、例えば、制御対象装置を所望の位置に移動させたい場合、無線通信ネットワークで大きな通信遅延が生じると制御対象装置をリアルタイムで正確に移動させることが困難となる。そして、制御対象装置が所望の位置付近で行ったり来たりする動作を繰り返してしまう等、作業効率が低下する可能性がある。そこで、遠隔制御装置と制御対象装置との間で通信遅延や通信遅延の変動が発生した場合にも、安定した遠隔制御を可能にする検討が行われている。
【0006】
例えば、特許文献1には、通信ネットワークで許容される最大遅延時間を考慮して、遠隔制御装置がフィールド機器からの第1データ(測定データ)を受信してから、遠隔制御装置が第2データ(制御データ)の生成を開始するまでの時間を調整することが記載されている。また、制御対象である流体の流量のモデルと通信ネットワークで許容される最大遅延時間とを用いて設計された遅延補償部が、ネットワークで生じ得る第1データ及び第2データの遅延を補償することが記載されている。これにより、通信遅延時間の変動による不安定なネットワーク(通信ネットワーク)を介してフィールド機器を制御する場合であっても、制御ループを安定して実行することを意図している。
【0007】
また、特許文献2には、コントローラが操作コマンドを送信した時刻を起点とし、実際に操作コマンドを受信するまでの時間を通信遅延時間とすることが記載されている。同様に、特許文献3には、受信タイミング情報が示す受信された時間から送信タイミング情報が示す送信された時間を差し引くことによって、通信遅延時間を算出することが記載されている。
【0008】
また、電波指標値を用いて、通信品質を推定する研究が検討されている。特許文献4に記載の技術では、電波指標値とセルの混雑情報(接続端末数)に基づいて、端末が通信遅延の平均値とスループットを推定している。具体的には、特許文献4に記載の技術では、まず、モバイルコア網に接続したトラフィック管理サーバに対し、無線アクセスポイントがセルの混雑情報を通知する。次に、トラフィッック管理サーバは、取得したセルの混雑情報を所定の端末に通知する。次に、端末は自身で測定したSINRと、取得した混雑情報とに基づいて通信遅延の平均値を推定する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係る制御対象装置40の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、制御対象装置40は、遅延測定部403、電波指標値測定部404、学習部406、通信遅延推定部407、制御部408を備える。また、学習部406は、対数変換部406A、平滑化部406B、モデル学習部406Cを備える。また、制御部408は、操作量算出部としての速度決定部408A、駆動部408Bを備える。
また、制御対象装置40は、通信ネットワーク20(後述)を介して遠隔制御装置10(後述)と通信可能に接続されている。また、制御対象装置40は、通信ネットワーク20と無線接続している。そして、制御対象装置40は、通信ネットワーク20を介して遠隔制御装置10によって遠隔制御される。
【0026】
遅延測定部403は、遠隔制御装置10と制御対象装置40との間の通信遅延を測定する。また、遅延測定部403は、測定した通信遅延を学習部406の対数変換部406Aに入力する。
電波指標値測定部404は、電波指標値を測定する。また、電波指標値測定部404は、測定した電波指標値をモデル学習部406Cに入力する。
対数変換部406Aは、遅延測定部403が測定した通信遅延を対数変換する。また、対数変換部406Aは、対数変換した通信遅延を平滑化部406Bに入力する。
平滑化部406Bは、対数変換部406Aが対数変換した通信遅延を平滑化する。また、平滑化部406Bは、平滑化した通知遅延をモデル学習部406Cに入力する。
モデル学習部406Cは、電波指標値を用いて、対数変換され平滑化された通信遅延を推定する学習モデルを生成する。
通信遅延推定部407は、モデル学習部406Cによって生成された学習モデルと電波指標値とを用いて通信遅延推定値を算出する。また、通信遅延推定部407は、推定した通信遅延推定値を速度決定部408Aに入力する。
速度決定部408Aは、通信遅延推定部407によって推定された通信遅延推定値と、遠隔制御装置10から入力される第1の操作量とに基づいて、駆動部408Bに入力する第2の操作量を算出する。具体的には、速度決定部408Aは、通信遅延推定値が所定値を超える場合に、駆動部408Bに入力する操作量として、遠隔制御装置10から入力される第1の操作量よりも小さい第2の操作量を算出する。
【0027】
以上に説明した本発明に係る制御対象装置40によれば、電波指標値と学習モデルとを用いて通信遅延推定値を算出することができる。すなわち、制御対象装置40から遠隔制御装置10へパケットを送信することなく通信遅延推定値を算出することができる。また、学習モデルを用いることによって、高精度に通信遅延推定値を算出することができる。さらに、高精度に算出された通信遅延推定値と遠隔制御装置10から入力される第1の操作量とに基づいて、駆動部408Bに入力する第2の操作量を適切に算出することができる。そのため、制御対象装置40の作業効率を向上させることができる。これにより、高精度に遅延時間を推定でき、作業効率を向上することができる、制御対象装置40を提供することができる。
【0028】
実施の形態1
本発明の実施の形態1に係る遠隔制御システム100について説明する。
図2は、実施の形態1に係る遠隔制御システム100の一例を示す図である。
図2に示すように、遠隔制御システム100は、遠隔制御装置としてのコントローラ10、通信ネットワーク20、無線アクセスポイント30、制御対象装置40等を備える。
コントローラ10は、通信ネットワーク20を介して、制御対象装置40と通信可能に接続されている。また、制御対象装置40は、通信ネットワーク20と無線アクセスポイント30を介して無線通信可能に接続されている。すなわち、制御対象装置40は、無線アクセスポイント30及び通信ネットワーク20を介して、コントローラ10と通信可能に接続されている。
そして、コントローラ10が制御対象装置40を遠隔制御する際に、制御対象装置40は、コントローラ10と制御対象装置40との間の通信遅延を推定し、推定した通信遅延が長い場合には、オーバーシュート量を抑えるため、制御対象装置40自身の動作速度を調整する。以下、制御対象装置40における制御について、説明する。
【0029】
図3に、実施の形態1に係る制御対象装置40の一例を示す。
図3に示すように、制御対象装置40は、通信部401と、サンプリングレート決定部402と、遅延測定部403と、電波指標値測定部404と、制御信号受信部405と、学習部406と、通信遅延推定部407と、制御部408と、を備える。
【0030】
通信部401は、無線アクセスポイント30との間で無線通信を行う。これにより、制御対象装置40は、無線アクセスポイント30と無線通信により通信可能に接続される。例えば、通信部401は、コントローラ10から通信ネットワーク20及び無線アクセスポイント30を介して送信された制御信号を制御信号受信部405に入力する。また、通信部401は、コントローラ10から通信ネットワーク20及び無線アクセスポイント30を介して送信された計測用データ(後述)を遅延測定部403に入力する。また、通信部401は、無線アクセスポイント30から送信された無線信号を電波指標値測定部404に入力する。
【0031】
サンプリングレート決定部402は、遅延測定部403が測定する通信遅延のサンプリングレートを決定し、遅延測定部403に決定したサンプリングレートを通知する。サンプリングレート決定部402による当該サンプリングレートの決定方法の詳細については、後述する。
【0032】
遅延測定部403は、コントローラ10との間で、通信遅延を計測するための計測用データを送受信することにより、通信遅延を測定する。具体的には、遅延測定部403は、通信部401と、無線アクセスポイント30と、通信ネットワーク20と、を介してコントローラ10との間で計測用データを送受信する。そして、遅延測定部403は、計測用データの送信時刻と受信時刻との差から往復遅延時間を算出し、算出された往復遅延時間に基づいて通信遅延を計測する。なお、通信遅延は、往復遅延時間の半分とすることができる。
【0033】
電波指標値測定部404は、無線アクセスポイント30から送られてくる無線信号を用いて、電波指標値を測定する。ここで、電波指標値とは、例えば、RSSI(Received Signal Strength Indicator)、RSRP(Reference Signal Received Power)、RSRQ(Reference Signal Received Quality)、SINR(Signal to Interference and Noise Ratio)等である。
【0034】
制御信号受信部405は、コントローラ10から送信された制御信号を受信し、例えばモータの回転数等の第1の操作量xに変換する。また、制御信号受信部405は、第1の操作量xを制御部408の速度決定部408Aに入力する。
【0035】
学習部406は、電波指標値測定部404から出力される電波指標値を説明変数として、遅延測定部403から出力される通信遅延を目的変数として、電波指標値測定部404により測定される電波指標値に基づいて、通信遅延を推定するための学習モデルを生成する。
具体的には、学習部406は、学習部406は、対数変換部406Aと、平滑化部406Bと、モデル学習部406Cと、学習モデル記憶部406Dと、を備える。また、学習部406は、CPU(Central Processing Unit)501、記憶部502、通信インターフェース503等を備える。そして、CPU501が記憶部502に格納されたプログラムを実行することにより、学習部406における全ての処理が実現する。
また、学習部406のそれぞれの記憶部502に格納されるプログラムは、CPU501に実行されることにより、学習部406のそれぞれにおける処理を実現するためのコードを含む。なお、記憶部502は、例えば、このプログラムや、学習部406における処理に利用される各種情報を格納することができる任意の記憶装置を含んで構成される。記憶装置は、例えば、メモリ等である。
【0036】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non−transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0037】
対数変換部406Aは、遅延計測部403で測定した通信遅延の対数を算出する。通信遅延を対数化することで、対数で表現される電波指標値の変動と変動のレンジを合わせることができる。対数変換部406Aは、対数変換した通信遅延を平滑化部406Bに入力する。
【0038】
平滑化部406Bは、対数変換部406Aで算出された通信遅延の対数を平滑化する。ここで、平滑化部406Bは、通信遅延の対数の時系列データをローパスフィルタに通すことにより、通信遅延を平滑化してもよい。また、平滑化部406Bは、通信遅延の対数の時系列データの移動平均を算出することにより、通信遅延を平滑化してもよい。また、平滑化部406Bは、他の方法を用いて、通信遅延を平滑化してもよい。平滑化部406Bは、平滑化した通知遅延をモデル学習部406Cに入力する。
【0039】
モデル学習部406Cは、対数変換され平滑化された通信遅延を目的変数、電波指標値測定部404から入力された電波指標値を説明変数として、通信遅延を推定するための機械学習を行う。このとき機械学習で用いる学習モデルは、ランダムフォレストを用いた回帰モデルでもよいし、重回帰モデルでもよいし、他のモデルでもよい。モデル学習部406Cは、所定の期間又は所定のサンプル数の機械学習を行うことによって生成した学習モデルを学習モデル記憶部406Dに入力する。
【0040】
学習モデル記憶部406Dは、モデル学習部406Cによって生成された学習モデルを記憶する。
【0041】
通信遅延推定部407は、モデル学習部406Cによって生成された学習モデルと電波指標値とを用いて通信遅延推定値を算出する。具体的には、通信遅延推定部407は、制御信号受信部405が制御信号を受信すると、学習モデル記憶部406Dに記憶されている学習モデルを用いて、電波指標値測定部404によって測定された電波指標値に基づいて、通信遅延推定値d
estを推定する。また、通信遅延推定部407は、推定した通信遅延推定値d
estを制御部408の速度決定部408Aに入力する。
【0042】
制御部408は、学習部406と同様に、CPU501、記憶部502、通信インターフェース503等を備える。そして、CPU501が記憶部502に格納されたプログラムを実行することにより、制御部408における全ての処理が実現する。具体的には、CPU501が記憶部502に格納されたプログラムを実行することにより、制御対象装置40の各部の処理が実現する。
また、制御部408のそれぞれの記憶部502に格納されるプログラムは、CPU501に実行されることにより、制御部408のそれぞれにおける処理を実現するためのコードを含む。なお、記憶部502は、例えば、このプログラムや、制御部408における処理に利用される各種情報を格納することができる任意の記憶装置を含んで構成される。記憶装置は、例えば、メモリ等である。
【0043】
なお、学習部406と制御部408とは、1つの構成要素として、制御対象装置40に備えられていてもよい。すなわち、学習部406及び制御部408の処理は、
図4に示す1つの情報処理装置500によって実現されてもよい。
【0044】
具体的には、制御部408は、例えば、第1の操作量xと、通信遅延推定値d
estとに基づいて、駆動部408Bに入力する第2の操作量yを決定することにより、制御対象装置を駆動する。より具体的には、制御部408は、操作量算出部としての速度決定部408Aと、駆動部408Bと、を備える。
【0045】
速度決定部408Aは、制御信号受信部405から入力された第1の操作量xと、通信遅延推定部407から入力された通信遅延推定値d
estとを用いて、駆動部408Bに入力する第2の操作量yを算出する。具体的には、速度決定部408Aは、制御対象装置を動作させるための第2の操作量yを、次の式(1)及び式(2)を用いて算出する。
【数1】
【数2】
ここで、d
th(d
th>0)は、制御対象装置40の操縦者が違和感なく制御対象装置40を操作できる通信遅延の上限の対数を表すパラメータである。また、x
maxは、コントローラ10から制御対象装置40に送信される制御信号を変換して得られる第1の操作量xの上限値である。d
thとx
maxとは固定値であってもよいし、可変値であってもよい。駆動部408Bは、速度決定部408Aによって算出された第2の操作量yに従って動作する。例えば、駆動部408Bがモータである場合、第2の操作量yで決定される回転速度で回動する。
【0046】
なお、遅延測定部403が、電波指標値よりも低いサンプリングレートで通信遅延を測定した場合、遅延変動に追従できなくなる。そのため、通信遅延推定部407における通信遅延の推定精度が低下してしまう。一方で、説明変数である電波指標値の変動は小さいため、遅延測定部403による通信遅延の測定のサンプリングレートを、電波指標値に比べて過度に高めても、通信遅延推定部407における通信遅延の推定精度はほとんど向上しない。また、遅延測定部403による通信遅延の測定のサンプリングレートを高め過ぎると、通信遅延測定に必要な電力と、無線アクセスポイント30の無線周波数資源の消費量が増大してしまう。そこで、サンプリングレート決定部402では、電波指標値のサンプリングレートに応じて、遅延測定部403による通信遅延の測定のサンプリングレートを決定し、決定した当該サンプリングレートを遅延測定部403に通知する。サンプリングレート決定部402が遅延測定部403に通知するサンプリングレートの値は、所定の値でもよいし、チップセットから出力される電波指標値を直接取得できる特殊な端末を用いて測定した電波指標値のサンプリングレートの値でもよいし、他の方法で決定した値でもよい。
【0047】
次に、
図5及び
図6を参照しながら、本実施の形態1に係る制御対象装置40において実施される制御方法について説明する。
図5は、制御対象装置40の学習部406における学習モデルの生成方法を示す説明するフローチャートである。また、
図6は、制御対象装置40における駆動部408Bの制御方法を示すフローチャートである。
【0048】
最初に、
図5を参照して、学習モデルの生成方法について説明する。
まず、遅延測定部403は、サンプリングレート決定部402によって決定されたサンプリングレートに従って、コントローラ10と制御対象装置40との間の通信遅延を測定する(ステップS101)。具体的には、遅延測定部403は、コントローラ10に対してパケットを送信し、送信時刻を記憶する。コントローラ10は、制御対象装置40から送信されたパケットを受信し、当該パケットに対する応答のパケットを制御対象装置40に送信する。制御対象装置40は、コントローラ10から送信されたパケットを受信する。遅延測定部403は、当該受信時刻と記憶した送信時刻との差分から往復の通信遅延を算出する。また、遅延測定部403は、算出した往復の通信遅延を2で割ることにより、片道の通信遅延を算出する。そして遅延測定部403は、対数変換部406Aに対し、算出した片道の通信遅延を入力する。
【0049】
次に、対数変換部406Aは、ステップS101において算出された片道の通信遅延を対数変換する(ステップS102)。そして、対数変換部406Aは、平滑化部406Bに対数変換した通信遅延を入力する。
【0050】
次に、平滑化部406Bは、ステップS102において対数変換された片道の通信遅延を平滑化する(ステップS103)。そして、平滑化部406Bは、モデル学習部406Cに、平滑化した通信遅延を入力する。
【0051】
また、電波指標値測定部404は、電波指標値を測定する(ステップS104)。なお、上述したように、電波指標値測定部404による電波指標値の測定のサンプリングレートは、遅延測定部403による通信遅延の測定のサンプリングレート以下であればよい。したがって、電波指標値測定部404による電波指標値の測定のタイミングは、ステップS104の位置に限定されるものではない。換言すれば、ステップS104の処理は、ステップS101、ステップS102、ステップS103における処理と並行して行われてもよい。そして、電波指標値測定部404は、測定した電波指標値をモデル学習部406Cに入力する。
【0052】
次に、モデル学習部406Cは、ステップS103において平滑化された片道の通信遅延と、ステップS104において測定された電波指標値とを用いて、通信遅延を推定する学習モデルを更新する(ステップS105)。
【0053】
次に、モデル学習部406Cは、ステップS105における学習のサンプル数が所定の数以上であるかの判定を行う(ステップS106)。
ステップS106において、ステップS105における学習のサンプル数が所定の数未満の場合(ステップS106;No)、ステップS101に戻る。
ステップS106において、ステップS105における学習のサンプル数が所定の数以上の場合(ステップS106;Yes)、モデル学習部406Cが生成した学習モデルを学習モデル記憶部406Dに入力し、学習モデル記憶部406Dが当該学習モデルを記憶し(ステップS107)、当該学習モデルの生成方法の処理が終了する。
【0054】
次に、
図6を参照して、制御対象装置40における駆動部408Bの制御方法について説明する。
まず、制御対象装置40の通信部401は、コントローラ10から送信された制御信号を受信する(ステップS201)。また、通信部401は、当該制御信号を制御信号受信部405に入力する。また、制御信号受信部405は、当該制御信号を、例えばモータの回転数等の第1の操作量xに変換する。また、制御信号受信部405は、速度決定部408Aに、当該第1の操作量xを入力する。
【0055】
次に、電波指標値測定部404は、電波指標値を測定する(ステップS202)。そして、電波指標値測定部404は、通信遅延推定部407に、測定した電波指標値を入力する。
【0056】
次に、通信遅延推定部407は、電波指標値測定部404から入力された電波指標値と、学習モデル記憶部406Dに記憶されている学習モデルとに基づいて、通信遅延推定値d
estを算出する(ステップS203)。そして、通信遅延推定部407は、推定した通信遅延推定値d
estを制御部408の速度決定部408Aに入力する。
【0057】
次に、速度決定部408Aは、通信遅延推定部407から入力された通信遅延推定値d
estと、制御信号受信部405から入力された第1の操作量xとに基づいて、駆動部408Bに入力する第2の操作量yを算出する(ステップS204)。具体的には、速度決定部408Aは、上述の式(1)及び式(2)を用いて、第2の操作量yを算出する。
【0058】
次に、速度決定部408Aは、駆動部408Bに、第2の操作量yを入力することにより、駆動部408Bを動作させる。駆動部408Bは、速度決定部408Aから入力された第2の操作量yに従って動作する(ステップS205)。具体的には、第2の操作量yがモータの回転速度である場合、駆動部408Bであるモータは、第2の操作量y決定される回転速度で回動する。
【0059】
以上に説明した実施の形態1に係る制御対象装置40によれば、電波指標値と学習モデルとを用いて通信遅延推定値を算出することができる。すなわち、制御対象装置40からコントローラ10へパケットを送信することなく通信遅延推定値を算出することができる。また、学習モデルを用いることによって、高精度に通信遅延推定値を算出することができる。さらに、高精度に算出された通信遅延推定値とコントローラ10から入力される第1の操作量とに基づいて、駆動部408Bに入力する第2の操作量を適切に算出することができる。そのため、制御対象装置40の作業効率を向上させることができる。これにより、高精度に遅延時間を推定でき、作業効率を向上することができる、制御対象装置40を提供することができる。
【0060】
また、通信遅延推定部407によって推定された通信遅延推定値d
estが所定値d
thを超える場合に、速度決定部408Aは、第2の操作量yとして、コントローラ10から入力される第1の操作量xよりも小さい操作量を算出する。具体的には、通信遅延推定部407によって推定された通信遅延推定値d
estが所定値d
thを超える場合に、速度決定部408Aは、第2の操作量yを所定の上限値x
max以下となるように算出し、当該上限値x
maxは、第1の操作量x以下の値である。これにより、通信遅延推定値d
estが所定値d
thを超える場合に、駆動部408Bに入力される第2の操作量yを抑えることができる。そのため、通信遅延が長い場合に生じるオーバーシュート量を低減することができ、制御対象装置40における作業効率を改善することができる。
【0061】
また、モデル学習部406Cが学習モデルを生成した後は、通信遅延推定部407は、電波指標値に基づいて通信遅延推定値を推定する。したがって、モデル学習部406Cが学習モデルを生成した後は、制御対象装置40がコントローラ10との間で通信遅延測定のための計測用パケットを送受信する必要がない。そのため、計測用パケットを用いた通信遅延測定に比べて、制御対象装置40の消費電力を抑えることができる。さらに、無線アクセスポイント30の帯域を消費せずに通信遅延推定値を推定できるため、無線アクセスポイント30を介する他の通信の通信速度の低下を抑制できる。
【0062】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、遅延測定部403は、コントローラ10と制御対象装置40との間の片道の通信遅延時間を測定してもよい。
【0063】
上述の実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明は、
図5及び
図6のフローチャートに記載の処理手順を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0064】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
通信ネットワークと無線接続しており、前記通信ネットワークを介して遠隔制御装置によって遠隔制御される制御対象装置であって、
前記遠隔制御装置と前記制御対象装置との間の通信遅延を測定する遅延測定部と、
測定した通信遅延を対数変換する対数変換部と、
前記対数変換した通信遅延を平滑化する平滑化部と、
電波指標値を測定する電波指標値測定部と、
測定した電波指標値を用いて、対数変換され平滑化された通信遅延を推定する学習モデルを生成するモデル学習部と、
前記学習モデルと電波指標値とを用いて通信遅延推定値を算出する通信遅延推定部と、
前記通信遅延推定値と、前記遠隔制御装置から入力される第1の操作量とに基づいて、駆動部に入力する第2の操作量を算出する操作量算出部と、
を備える、制御対象装置。
(付記2)
前記操作量算出部は、前記通信遅延推定値が所定値を超える場合に、前記第2の操作量として、前記遠隔制御装置から入力される第1の操作量よりも小さい操作量を算出する、付記1に記載の制御対象装置。
(付記3)
前記通信遅延推定値が所定値を超える場合に、
前記操作量算出部は、前記第2の操作量を所定の上限値以下となるように算出し、
前記上限値は、前記第1の操作量以下の値である、付記1又は2に記載の制御対象装置。
(付記4)
通信ネットワークと無線接続しており、前記通信ネットワークを介して遠隔制御装置によって遠隔制御される制御対象装置において実施される制御方法であって、
前記制御対象装置が、
前記遠隔制御装置と前記制御対象装置との間の通信遅延を測定し、
測定した通信遅延を対数変換し、
前記対数変換した通信遅延を平滑化し、
電波指標値を測定し、
測定した電波指標値を用いて、対数変換され平滑化された通信遅延を推定する学習モデルを生成し、
前記学習モデルと電波指標値とを用いて通信遅延推定値を算出し、
前記通信遅延推定値と、前記遠隔制御装置から入力される第1の操作量とに基づいて、駆動部に入力する第2の操作量を算出する、制御方法。
(付記5)
前記通信遅延推定値が所定値を超える場合に、
前記制御対象装置は、前記第2の操作量を算出する際に、前記第2の操作量として、前記遠隔制御装置から入力される前記第1の操作量よりも小さい操作量を算出する、付記4に記載の制御方法。
(付記6)
前記通信遅延推定値が所定値を超える場合に、
前記制御対象装置は、前記第2の操作量を算出する際に、前記第2の操作量を所定の上限値以下となるように算出し、
前記上限値は、前記第1の操作量以下の値である、付記4又は5に記載の制御方法。
(付記7)
通信ネットワークと無線接続しており、前記通信ネットワークを介して遠隔制御装置によって遠隔制御される制御対象装置のための非一時的なコンピュータ可読媒体であって、
前記制御対象装置に、
前記遠隔制御装置と前記制御対象装置との間の通信遅延を測定する処理と、
測定した通信遅延を対数変換する処理と、
前記対数変換した通信遅延を平滑化する処理と、
電波指標値を測定する処理と、
測定した電波指標値を用いて、対数変換され平滑化された通信遅延を推定する学習モデルを生成する処理と、
前記学習モデルと電波指標値とを用いて通信遅延推定値を算出する処理と、
前記通信遅延推定値と、前記遠隔制御装置から入力される第1の操作量とに基づいて、駆動部に入力する第2の操作量を算出する処理と、
を実行させる、非一時的なコンピュータ可読媒体。
(付記8)
前記通信遅延推定値が所定値を超える場合に、
前記制御対象装置は、前記第2の操作量を算出する処理において、前記第2の操作量として、前記遠隔制御装置から入力される前記第1の操作量よりも小さい操作量を算出する、付記7に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
(付記9)
前記通信遅延推定値が所定値を超える場合に、
前記制御対象装置は、前記第2の操作量を算出する処理において、前記第2の操作量を所定の上限値以下となるように算出し、
前記上限値は、前記第1の操作量以下の値である、付記7又は8に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
(付記10)
遠隔制御装置と、前記遠隔制御装置と通信ネットワークを介して接続される制御対象装置と、を備える遠隔制御システムであって、
前記制御対象装置は、
前記通信ネットワークと無線接続しており、
前記遠隔制御装置と前記制御対象装置との間の通信遅延を測定する遅延測定部と、
測定した通信遅延を対数変換する対数変換部と、
前記対数変換した通信遅延を平滑化する平滑化部と、
電波指標値を測定する電波指標値測定部と、
測定した電波指標値を用いて、対数変換され平滑化された通信遅延を推定する学習モデルを生成するモデル学習部と、
前記学習モデルと電波指標値とを用いて通信遅延推定値を算出する通信遅延推定部と、
前記通信遅延推定値と、前記遠隔制御装置から入力される第1の操作量とに基づいて、駆動部に入力する第2の操作量を算出する操作量算出部と、
を備える、遠隔制御システム。
(付記11)
前記操作量算出部は、前記通信遅延推定値が所定値を超える場合に、前記第2の操作量として、前記遠隔制御装置から入力される第1の操作量よりも小さい操作量を算出する、付記10に記載の遠隔制御システム。
(付記12)
前記通信遅延推定値が所定値を超える場合に、
前記操作量算出部は、前記第2の操作量を所定の上限値以下となるように算出し、
前記上限値は、前記第1の操作量以下の値である、付記10又は11に記載の遠隔制御システム。
【0065】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0066】
この出願は、2018年6月13日に出願された日本出願特願2018−112819基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。