特許第6973650号(P6973650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6973650分離膜エレメントおよびその使用方法、ならびに水処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6973650
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】分離膜エレメントおよびその使用方法、ならびに水処理装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 63/10 20060101AFI20211118BHJP
   B01D 63/00 20060101ALI20211118BHJP
   C02F 1/44 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   B01D63/10
   B01D63/00 500
   C02F1/44 A
【請求項の数】12
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2020-537677(P2020-537677)
(86)(22)【出願日】2020年6月22日
(86)【国際出願番号】JP2020024361
(87)【国際公開番号】WO2020262290
(87)【国際公開日】20201230
【審査請求日】2021年6月15日
(31)【優先権主張番号】特願2019-119649(P2019-119649)
(32)【優先日】2019年6月27日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉冨 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】ガルグ アクシャイ
(72)【発明者】
【氏名】高木 健太朗
(72)【発明者】
【氏名】花田 茂久
【審査官】 富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/194833(WO,A1)
【文献】 国際公開第2018/021387(WO,A1)
【文献】 特開2015−110220(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/091027(WO,A1)
【文献】 特開2015−150545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 61/00−71/82
B01D 53/22
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有孔中心管と、供給側の面と透過側の面とを有する複数の分離膜と、供給側流路材と、透過側流路材と、を備え、
前記複数の分離膜は、供給側の面同士、および、透過側の面同士がそれぞれ向かい合うように配置されて重ねられ、前記供給側流路材は、前記分離膜の供給側の面同士の間に配置され、前記透過側流路材は、前記分離膜の透過側の面同士の間に配置され、前記有孔中心管のまわりに、前記分離膜、前記供給側流路材、前記透過側流路材が、前記分離膜の長手方向に巻回されてなり、
前記分離膜の供給側の面同士は、前記有孔中心管の長手方向における端面Aおよびその逆側の端面B、ならびに、前記有効中心管の長手方向と垂直の方向における外周端部Xおよび内周端部Yの内、前記端面Aが外周側の端から連続的に60〜95%閉止しており、前記端面Bが内周側の端から連続的に75〜100%閉止されており、前記内周端部Yが閉止しており
前記分離膜の透過側の面同士は、前記内周端部Yのみが開口しており、前記外周端部X、前記端面A、Bが閉止しており、
前記分離膜の供給側の面同士の前記端面Aおよび前記端面Bの開口部の長さを、それぞれOL(A)およびOL(B)とし、
前記分離膜の透過側の面同士の前記端面Aおよび前記端面Bを閉止するための部材の、前記有孔中心管の長手方向における内側の端の、前記端面Aおよび前記端面Bからの距離を、それぞれp(A)およびp(B)とし、
前記分離膜の供給側の面同士の前記端面Aおよび前記端面Bを閉止するための部材の、前記有孔中心管の長手方向における内側の端の、前記端面Aおよび前記端面Bからの距離を、それぞれq(A)およびq(B)とし、
前記分離膜の供給側の面同士の前記端面Aおよび前記端面Bを閉止するための部材の、前記分離膜と接している部分の、前記有孔中心管の長手方向の幅を、それぞれr(A)およびr(B)とすると、
p(A)≧q(A)かつp(B)≧q(B)であり、
少なくとも以下の(i)(ii)のいずれかの要件を満たす分離膜エレメント。
(i)前記分離膜の供給側の面同士の端面Bを閉止するための部材において、前記内周側の端から外周側に向かって、少なくともOL(A)以上の長さの部分のr(B)が3mm以上連続して存在する。
(ii)前記分離膜の供給側の面同士の端面Aを閉止するための部材において、前記外周側の端から内周側に向かって、少なくともOL(B)以上の長さの部分のr(A)が3mm以上連続して存在する。
【請求項2】
前記r(A)またはr(B)の変動係数が0.00以上0.20以下である、請求項1に記載の分離膜エレメント。
【請求項3】
前記分離膜の供給側の面同士は、前記端面Bが100%閉止されており、前記外周端部Xが5%以上開口している、請求項1または2に記載の分離膜エレメント。
【請求項4】
前記供給側の面同士の前記端面Aおよび前記端面Bを閉止するための部材が、ウレタン系接着剤あるいはエポキシ系接着剤である、請求項1〜3のいずれか一項記載の分離膜エレメント。
【請求項5】
前記分離膜は、前記分離膜の長手方向における長さLと前記分離膜の長手方向に対し垂直な方向における長さWとの比であるL/Wが、2.5以上である、請求項1〜4のいずれか一項記載の分離膜エレメント。
【請求項6】
前記p(B)およびq(B)について、q(B)/p(B)≧0.5である、請求項1〜5のいずれか一項記載の分離膜エレメント。
【請求項7】
前記p(A)およびq(A)について、q(A)/p(A)≧0.5である、請求項1〜6のいずれか一項記載の分離膜エレメント。
【請求項8】
前記分離膜の供給側の面同士の内周側の開口部から供給流体を供給し、
前記分離膜の供給側の面同士の外周側の開口部から濃縮流体を排出する、請求項1〜7のいずれか一項記載の分離膜エレメントの使用方法。
【請求項9】
前記分離膜の供給側の面同士の外周側の開口部から供給流体を供給し、
前記分離膜の供給側の面同士の内周側の開口部から濃縮流体を排出する、請求項1〜7のいずれか一項記載の分離膜エレメントの使用方法。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか一項記載の分離膜エレメントと、
前記分離膜の供給側の面同士の内周側の開口部に連通するように接続され供給流体を供給する供給流体供給部と、
前記分離膜の供給側の面同士の外周側の開口部に連通するように接続され濃縮流体を排出する濃縮流体排出部を有する水処理装置。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか一項記載の分離膜エレメントと、
前記分離膜の供給側の面同士の外周側の開口部に連通するように接続され供給流体を供給する供給流体供給部と、
前記分離膜の供給側の面同士の内周側の開口部に連通するように接続され濃縮流体を排出する濃縮流体排出部を有する水処理装置。
【請求項12】
有孔中心管と、供給側の面と透過側の面とを有する複数の分離膜と、供給側流路材と、透過側流路材と、を備え、
前記複数の分離膜は、供給側の面同士、および、透過側の面同士がそれぞれ向かい合うように配置されて重ねられ、かつ、その長手方向に巻回されており、
前記供給側流路材は、前記分離膜の供給側の面同士の間に配置され、
前記透過側流路材は、前記分離膜の透過側の面同士の間に配置され、
前記分離膜の供給側の面同士は、前記有孔中心管の長手方向における端面Aおよび端面Bの内の前記端面A、および、前記有効中心管の長手方向と垂直の方向における外周端部Xおよび内周端部Yの内の前記外周端部Xが、5%以上開口しており、かつ、前記端面Bおよび前記内周端部Yが、いずれも閉止されており、
前記分離膜の透過側の面同士は、前記内周端部Yのみが開口しており、かつ、前記外周端部X、前記端面A、Bが閉止しており、
前記分離膜の透過側の面同士の前記端面Aおよび前記端面Bを閉止するための部材の、前記有孔中心管の長手方向における内側の端の、前記端面Aおよび前記端面Bからの距離を、それぞれp(A)およびp(B)とし、
前記分離膜の供給側の面同士の前記端面Aおよび前記端面Bを閉止するための部材の、前記有孔中心管の長手方向における内側の端の、前記端面Aおよび前記端面Bからの距離を、それぞれq(A)およびq(B)とし、
前記分離膜の供給側の面同士の前記端面Aおよび前記端面Bを閉止するための部材の、前記分離膜と接している部分の、前記有孔中心管の長手方向の幅を、それぞれr(A)およびr(B)とすると、以下の関係を満たす分離膜エレメント。
p(A)>q(A)、p(B)>q(B)、かつ、r(B)≧3mm
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離膜エレメントおよびその使用方法、ならびに水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
海水およびかん水等に含まれるイオン性物質を除くための技術においては、近年、省エネルギーおよび省資源のためのプロセスとして、分離膜エレメントによる分離法の利用が拡大している。分離膜エレメントによる分離法に使用される分離膜は、その孔径や分離機能の点から、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜、および正浸透膜に分類される。これらの膜は、例えば海水、かん水、および有害物を含んだ水等からの飲料水の製造、工業用超純水の製造、並びに、排水処理および有価物の回収等に用いられており、目的とする分離成分および分離性能によって使い分けられている。
【0003】
分離膜エレメントとしては様々な形態があるが、分離膜の一方の面に供給流体を供給し、他方の面から透過流体を得る点では共通している。分離膜エレメントは、束ねられた複数の分離膜を備えることで、1個の分離膜エレメント当たりの有効膜面積が大きくなるように、つまり1個の分離膜エレメント当たりに得られる透過流体の量が多くなるように形成されている。分離膜エレメントとしては、用途や目的に合わせて、スパイラル型、中空糸型、プレート・アンド・フレーム型、回転平膜型、および平膜集積型等の各種の形状が提案されている。
【0004】
例えば、逆浸透ろ過には、図1に一例を示すようなスパイラル型分離膜エレメントが広く用いられる。スパイラル型分離膜エレメント1は、有孔中心管2と、有孔中心管2の周囲に巻回された分離膜ユニットとを備える。分離膜ユニットは、供給流体101(つまり被処理流体)を分離膜表面へ供給する供給側流路材3、供給流体101に含まれる分離成分を分離する分離膜4、および該分離膜4を透過し供給流体101から分離された透過流体102を有孔中心管2へと導くための透過側流路材5が積層されることで形成される。スパイラル型分離膜エレメント1は、供給流体に圧力を付与することで透過流体を多く取り出すことができる点で、好ましく用いられている。
【0005】
そして近年では、スパイラル型分離膜エレメントのさらなる高性能化の要求に応えるべく、その内部での流体の挙動を変化させる技術が、複数提案されている(特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2018/021387号
【特許文献2】国際公開第2017/019282号
【特許文献3】米国特許出願公開第2012/0117878号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許文献に示されるような供給流体を高流速化したスパイラル型分離膜エレメントでは、通常の分離膜エレメントよりも供給流体の圧力損失が大きくなるので、巻回体が変形してしまうテレスコーピングが起こりやすく、そのため供給流体のショートパスが起こってしまい分離性能が充分に発揮されない問題があった。又、供給側に高圧が印加された際には、図13の分離膜ユニット部分断面模式図に示すように、透過側への膜面の落ち込み(透過側と供給側の圧力差により透過側へ膜面が押される現象)が生じたりや、供給側閉止部材6など端部を閉止している部材の変形が起こり、膜面が損傷し、分離性能が著しく低下してしまう問題もあった。
【0008】
そこで、本発明は、供給流体の圧力損失が大きいような場合でも巻回体の変形や膜面の損傷を防ぎ、安定的な透過性能と分離性能とを両立しながらの運転が可能な、分離膜エレメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明は、主に、以下のいずれかの構成を具備する。
(1)有孔中心管と、供給側の面と透過側の面とを有する複数の分離膜と、供給側流路材と、透過側流路材と、を備え、
前記複数の分離膜は、供給側の面同士、および、透過側の面同士がそれぞれ向かい合うように配置されて重ねられ、前記供給側流路材は、前記分離膜の供給側の面同士の間に配置され、前記透過側流路材は、前記分離膜の透過側の面同士の間に配置され、前記有孔中心管のまわりに、前記分離膜、前記供給側流路材、前記透過側流路材が、前記分離膜の長手方向に巻回されてなり、
前記分離膜の供給側の面同士は、前記有孔中心管の長手方向における端面Aおよびその逆側の端面B、ならびに、前記有効中心管の長手方向と垂直の方向における外周端部Xおよび内周端部Yの内、前記端面Aが外周側の端から連続的に60〜95%閉止しており、前記端面Bが内周側の端から連続的に75〜100%閉止されており、前記内周端部Yが閉止しており
前記分離膜の透過側の面同士は、前記内周端部Yのみが開口しており、前記外周端部X、前記端面A、Bが閉止しており、
前記分離膜の供給側の面同士の前記端面Aおよび前記端面Bの開口部の長さを、それぞれOL(A)およびOL(B)とし、
前記分離膜の透過側の面同士の前記端面Aおよび前記端面Bを閉止するための部材の、前記有孔中心管の長手方向における内側の端の、前記端面Aおよび前記端面Bからの距離を、それぞれp(A)およびp(B)とし、
前記分離膜の供給側の面同士の前記端面Aおよび前記端面Bを閉止するための部材の、前記有孔中心管の長手方向における内側の端の、前記端面Aおよび前記端面Bからの距離を、それぞれq(A)およびq(B)とし、
前記分離膜の供給側の面同士の前記端面Aおよび前記端面Bを閉止するための部材の、前記分離膜と接している部分の、前記有孔中心管の長手方向の幅を、それぞれr(A)およびr(B)とすると、
p(A)≧q(A)かつp(B)≧q(B)であり、
少なくとも以下の(i)(ii)のいずれかの要件を満たす分離膜エレメント。
(i)前記分離膜の供給側の面同士の端面Bを閉止するための部材において、前記内周側の端から外周側に向かって、少なくともOL(A)以上の長さの部分のr(B)が3mm以上連続して存在する。
(ii)前記分離膜の供給側の面同士の端面Aを閉止するための部材において、前記外周側の端から内周側に向かって、少なくともOL(B)以上の長さの部分のr(A)が3mm以上連続して存在する。
(2) 前記分離膜の供給側の面同士の内周側の開口部から供給流体を供給し、
前記分離膜の供給側の面同士の外周側の開口部から濃縮流体を排出する、前記(1)に記載の分離膜エレメントの使用方法。
(3) 前記(1)に記載の分離膜エレメントと、
前記分離膜の供給側の面同士の内周側の開口部に連通するように接続され供給流体を供給する供給流体供給部と、
前記分離膜の供給側の面同士の外周側の開口部に連通するように接続され濃縮流体を排出する濃縮流体排出部を有する水処理装置。
(4) 前記(1)に記載の分離膜エレメントと、
前記分離膜の供給側の面同士の外周側の開口部に連通するように接続され供給流体を供給する供給流体供給部と、
前記分離膜の供給側の面同士の内周側の開口部に連通するように接続され濃縮流体を排出する濃縮流体排出部を有する水処理装置。
(5) 有孔中心管と、供給側の面と透過側の面とを有する複数の分離膜と、供給側流路材と、透過側流路材と、を備え、
前記複数の分離膜は、供給側の面同士、および、透過側の面同士がそれぞれ向かい合うように配置されて重ねられ、かつ、その長手方向に巻回されており、
前記供給側流路材は、前記分離膜の供給側の面同士の間に配置され、
前記透過側流路材は、前記分離膜の透過側の面同士の間に配置され、
前記分離膜の供給側の面同士は、前記有孔中心管の長手方向における端面Aおよび端面Bの内の前記端面A、および、前記有効中心管の長手方向と垂直の方向における外周端部Xおよび内周端部Yの内の前記外周端部Xが、5%以上開口しており、かつ、前記端面Bおよび前記内周端部Yが、いずれも閉止されており、
前記分離膜の透過側の面同士は、前記内周端部Yのみが開口しており、かつ、前記外周端部X、前記端面A、Bが閉止しており、
前記分離膜の透過側の面同士の前記端面Aおよび前記端面Bを閉止するための部材の、前記有孔中心管の長手方向における内側の端の、前記端面Aおよび前記端面Bからの距離を、それぞれp(A)およびp(B)とし、
前記分離膜の供給側の面同士の前記端面Aおよび前記端面Bを閉止するための部材の、前記有孔中心管の長手方向における内側の端の、前記端面Aおよび前記端面Bからの距離を、それぞれq(A)およびq(B)とし、
前記分離膜の供給側の面同士の前記端面Aおよび前記端面Bを閉止するための部材の、前記分離膜と接している部分の、前記有孔中心管の長手方向の幅を、それぞれr(A)およびr(B)とすると、以下の関係を満たす分離膜エレメント。
【0010】
p(A)>q(A)、p(B)>q(B)、かつ、r(B)≧3mm
【発明の効果】
【0011】
本発明の分離膜エレメントによれば、透過側への膜面の落ち込みや、積層された複数の分離膜同士の端部を閉止している部材の変形、さらには膜面損傷を防ぐことができ、供給流体の圧力損失が大きいような場合でも、供給側流路内での流体流速を高めた高回収率運転が可能となり、又、供給側流路内での濃度分極が抑制されることで、ファウリングやスケールの発生が減少し、安定的な透過性能および分離性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】分離膜エレメントの一例を示す分解斜視図である。
図2】本発明の分離膜エレメントの構造の一例を示す模式図(分離膜ユニットの展開図)である。
図3】分離膜ユニット巻囲後に外部から接着剤を塗布することにより供給側の端面Bを閉止した場合の、分離膜ユニット断面の一例を示す模式図(展開図)である。
図4】分離膜ユニット巻囲前に接着剤を塗布することにより供給側の端面Bを閉止した場合の、分離膜ユニット断面の一例を示す模式図(展開図)である。
図5】本発明の分離膜エレメントをベッセルに装填した状態の一例を示す模式図である。
図6】本発明の分離膜エレメントをベッセルに装填した状態の一例を示す模式図である。
図7】本発明の分離膜エレメントの逆L型の使用方法の一例を示す模式図(分離膜ユニットの展開図)である((a)供給側、(b)透過側)。
図8】本発明の分離膜エレメントのL型の使用方法の一例を示す模式図(分離膜ユニットの展開図)である((a)供給側、(b)透過側)。
図9】本発明の分離膜エレメントの逆S型の使用方法の一例を示す模式図(分離膜ユニットの展開図)である((a)供給側、(b)透過側)。
図10】本発明の分離膜エレメントのS型の使用方法の一例を示す模式図(分離膜ユニットの展開図)である((a)供給側、(b)透過側)。
図11】本発明の分離膜エレメントの逆SL型の使用方法の一例を示す模式図(分離膜ユニットの展開図)である((a)供給側、(b)透過側)。
図12】本発明の分離膜エレメントのSL型の使用方法の一例を示す模式図(分離膜ユニットの展開図)である((a)供給側、(b)透過側)。
図13】膜面の落ち込みの一例を示す模式図(分離膜ユニットの部分断面展開図)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。また、本明細書においては、本発明の分離膜エレメントの概略構成を説明するにあたり図1を用いるが、図1に示す分離膜エレメントには、本発明における各分離膜ユニットの供給流体や透過流体の流路は反映されておらず、それらは図2〜12を用いて詳細を説明する。
【0014】
本発明の分離膜エレメントは、図1図2に示すように、有孔中心管2と、供給側の面10と透過側の面11とを有する複数の分離膜4と、供給側流路材3と、透過側流路材5と、を備えることを必要とする。又、本発明の分離膜エレメント1Aが備える複数の分離膜4は、供給側の面10同士、および、透過側の面11同士がそれぞれ向かい合うように配置されて重ねられ、かつ、図1に一例を示すように、その長手方向に巻回されている。なお、本発明においては、説明の便宜上、複数の分離膜4の間に供給側流路材3もしくは透過側流路材5を挟んだ状態のものを分離膜ユニットと称する。
【0015】
(1)分離膜
本発明の分離膜エレメント1Aが備える分離膜4としては、使用方法、目的等に応じた分離性能を有する膜が用いられる。分離膜4は、単一層であっても構わないし、分離膜4の強度または寸法安定性等の観点から、分離機能層と基材とを備える複合膜であっても構わない。又、複合膜においては、分離機能層と基材との間に、さらに多孔性支持層があっても構わない。ここで分離膜4が複合膜である場合、分離機能層を備える面を供給側の面10、分離機能層を備える面とは反対側の面を透過側の面11という。
【0016】
分離機能層は、分離機能および支持機能の両方を有する層であっても構わないし、分離機能のみを有していても構わない。なお、「分離機能層」とは、少なくとも分離機能を有する層をいう。
【0017】
分離機能層が分離機能および支持機能の両方を有する場合、分離機能層としては、セルロース、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホンおよびポリスルホンからなる群から選ばれるポリマーを主成分として含有する層が好ましい。
【0018】
一方で、分離機能層としては、孔径の制御が容易であり、かつ耐久性に優れるという観点から、架橋高分子の層が好ましい。中でも、供給流体101中の分離成分の分離性能に優れるという観点から、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを重縮合させて得られるポリアミド分離機能層や、有機無機ハイブリッド機能層等が好ましい。これらの分離機能層は、多孔性支持層上でモノマーを重縮合することによって形成することができる。
【0019】
ポリアミドを主成分として含有する分離機能層は、公知の方法により、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを界面重縮合することで形成することができる。例えば、多孔性支持層上に多官能アミン溶液を塗布し、余分な多官能アミン溶液をエアーナイフなどで除去し、その後、多官能酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液を塗布することで、重縮合が起きてポリアミド分離機能層が形成される。
【0020】
多孔性支持層に使用される素材や、その形状は特に限定されないが、例えば、多孔性樹脂によって基材上に形成されたものでも構わない。多孔性支持層としては、例えば、ポリスルホン、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂若しくはそれらの混合物の層、または、それらの層を積層したものが挙げられるが、化学的、機械的および熱的に安定性が高く、孔径が制御しやすい、ポリスルホンを含有する層が好ましい。
【0021】
ポリスルホンを含有する多孔性支持層は、例えば、ポリスルホンのN,N−ジメチルホルムアミド溶液を、基材(例えば、密に織ったポリエステル不織布)の上に一定の厚みに注型し、それを水中で湿式凝固させることによって形成することができる。
【0022】
又、多孔性支持層は、“オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法に従って形成することができる。なお、所望の形態を得るために、ポリマー濃度、溶媒の温度または貧溶媒は、適宜調整可能である。
【0023】
分離膜4の基材としては、強度または流体透過性の観点から、繊維状の基材を用いることが好ましく、長繊維不織布または短繊維不織布を用いることがより好ましい。
【0024】
本発明の分離膜エレメントを構成するためには分離膜4は長方形状に形成される。そして、そのような形状の分離膜4が、図1に示すように、有孔中心管2の周りに巻回される。分離膜4の巻回方向の長さ、すなわち分離膜4の長手方向における長さLと、分離膜4の長手方向に垂直な方向における長さW(すなわち、有孔中心管2の長手方向の長さ)と、の比であるL/Wの値が大きいほど、分離膜4を供給流体101が通過する際の流速が増加するため、濃度分極の抑制の観点から好ましい。具体的には、L/Wの値は、2.5以上であることが好ましい。なお上記長さLは、750mm以上であることが好ましい。
【0025】
(2)供給側流路材
本発明の分離膜エレメント1Aが備える供給側流路材3は、分離膜4の供給側の面10同士の間に挟まれるように配置され、分離膜4に供給流体を供給する流路(すなわち供給側流路)を形成する。供給側流路材3は、供給流体101の濃度分極を抑制するために、供給流体101の流れを乱すような形状になっていることが好ましい。
【0026】
供給側流路材3は、フィルム若しくはネット、または、空隙を有するシートに凸状物が設けられたような連続形状を有している部材であっても構わないし、あるいは、分離膜4に対して0より大きく1未満である投影面積比を示す、不連続形状を有するものであっても構わない。又、供給側流路材3は分離膜4と分離可能であっても構わないし、分離膜4に固着していても構わない。
【0027】
なお、供給側流路材3の素材は特に限定されず、分離膜4と同素材であっても異素材であっても構わない。
【0028】
供給側流路に関しては、流路を安定に形成することも重要であるが、通過する流体が透過側流路よりも多量であるため、圧力損失を低減することも重要である。そのため、分離膜4に対する供給側流路材3の投影面積比は、0.03〜0.80であることが好ましく、0.05〜0.50であることがより好ましく、0.08〜0.35であることがさらに好ましい。
【0029】
分離膜4に対する供給側流路材3の投影面積比は、供給側流路材3を膜面に垂直な方向からマイクロスコープで撮影した画像を解析することによって算出することができる。
【0030】
供給側流路材3の厚みが過度に大きいと、分離膜エレメント1A当たりの有効膜面積が小さくなる。一方で、供給側流路材3の厚みが過度に小さいと、供給側流路の圧力損失が大きくなり、分離性能や透過性能が低下してしまう。そのため、供給側流路材3の厚みは0.08〜2.0mmが好ましく、0.20〜1.00mmがより好ましい。
【0031】
供給側流路材3の厚みは、市販の厚み測定器により直接測定することができる。
【0032】
(3)透過側流路材
本発明の分離膜エレメント1Aが備える透過側流路材5は、分離膜4の透過側の面11同士の間に挟まれるように配置され、分離膜4を透過した流体を透過側出口端面まで導く流路(すなわち透過側流路)を形成する。
【0033】
透過側流路材5は、透過側流路の流動抵抗を低減し、かつ加圧ろ過下においても分離膜4の透過流体流路への落ち込みを抑制し、流路を安定に形成するため、その横断面積比が0.3〜0.75であることが好ましく、0.4〜0.6であることがより好ましい。透過側流路材5としては、例えば、従来のトリコット、繊維の目付量を低減した緯編物、不織布のような多孔性シートに突起物を配置したシート、または、フィルムや不織布を凹凸加工した凹凸加工シートが挙げられる。
【0034】
ここで、透過側流路材の横断面積比について説明する。透過側流路材を分離膜エレメントに装填した際、集水管の長手方向に沿って透過側流路材の凸部を通るように切断し、その断面について、凸部の中心と隣接する凸部の中心との距離(ピッチとも言う)と透過側流路材の高さの積に対する、凸部の中心と隣接する凸部の中心との間に占める透過側流路材の横断面積との比が横断面積比である。具体的な測定方法としては、上述のように透過側流路材を切断し、顕微鏡画像解析装置を用いて算出することができる。
【0035】
上記のような特定の横断面積比を有する透過側流路材5を本発明の分離膜エレメント1Aに配置することにより、透過側流路の流動抵抗をより低減することができる。それに伴い、流動抵抗が大きい流路材を含む分離膜エレメントと対比で、同じ回収率で運転した際、供給流体101の流速が速まり濃度分極を小さくでき、特に高回収率運転下における濃度分極の増加やスケールの発生をさらに抑制することができる。
【0036】
透過側流路材5の厚みが過度に大きいと、分離膜エレメント1A当たりの有効膜面積が小さくなる。一方で、透過側流路材5の厚みが過度に小さいと、透過側流路の圧力損失が大きくなる。そのため、透過側流路材5の厚みは0.05〜0.50mmが好ましく、0.10〜0.40mmがより好ましい。
【0037】
透過側流路材5の厚みは、市販の厚み測定器により直接測定することができる。
【0038】
透過側流路材5の素材は、スパイラル状により容易に巻回することを可能とするため、その圧縮弾性率が、0.1〜5.0GPaであることが好ましい。その圧縮弾性率が0.1〜5.0GPaである素材としては、例えば、ポリエステル、ポリエチレンまたはポリプロピレンが挙げられる。
【0039】
透過側流路材5の圧縮弾性率は、精密万能試験機を用いて圧縮試験を行い、応力ひずみ線図を作成することによって測定することができる。
【0040】
(4)分離膜エレメント
<分離膜エレメントの概要>
本発明の分離膜エレメントは、供給側流路が長くとれるスパイラル型分離膜エレメントであるが、かかる分離膜エレメントにおいて、上記分離膜4の供給側の面10同士は、図2の分離膜ユニット展開図に例示するように、上記有孔中心管2の長手方向における端面Aおよび逆側の端面B、上記有孔中心管2の長手方向と垂直の方向における外周端部Xおよび内周端部Yの内、上記端面Aが外周側の端から連続的に60〜95%閉止しており、上記端面Bが内周側の端から連続的に75〜100%閉止しており、上記内周端部Yが閉止している。すなわち、分離膜4の供給側の面10同士は、端面Aにおける内周端部近傍が開口しているとともに、端面Bにおける外周端部近傍および/または外周端部Xが開口している。一方、上記分離膜4の透過側の面11同士は、上記内周端部Yのみが開口しており、その他の外周端部X、端面A、Bは閉止している必要がある。重ねられた複数の分離膜をこのように接着することにより、供給流体101の流れを巻回方向とすることができる。そのため、特に上記分離膜4の、巻回方向における長さLと上記有効中心管2の長手方向における長さWとの比であるL/Wが、2.5以上の分離膜エレメント1Aにおいては、有孔中心管2に対して平行に供給流体101が流れる従来の分離膜エレメント1に対して、供給流体101の流速を高めることができ、よりファウリングやスケーリングに強いエレメントとすることができる。また、分離膜4の透過側の面11同士の内周端部Yは、圧力損失低減の観点から、90%以上開口していることが好ましい。
【0041】
図5および図6は、本発明の分離膜エレメント1Aをベッセル23に装填した状態の一例を示す模式図である。図5および図6に示す態様における分離膜エレメント1Aは、積層され巻回された分離膜ユニットの外周面に、流体を通過させる複数の孔を有する多孔性部材20が、さらに巻回されている。多孔性部材20としては、例えば、ネット、または孔性フィルム等が挙げられる。
【0042】
なお図5および図6に示す態様においては、ベッセル23内で供給流体101、透過流体102、濃縮流体103が混合されることがないよう、分離膜エレメント1Aとベッセル23との隙間に、ブラインシール22が配置されている。
【0043】
<逆L型分離膜エレメント>
本発明の分離膜エレメント1Aには、供給流体の流れ方向の点で分類された複数種の分離膜エレメントが包含される。そのうちの一種が逆L型分離膜エレメントである。逆L型分離膜エレメントにおける分離膜の接着箇所およびその使用方法の一態様では、図7(分離膜ユニットの展開図)に示すように、分離膜4の供給側の面10同士の上記端面Aの開口部から供給流体101を供給し、分離膜4の供給側の面10同士の外周端部Xの開口部から濃縮流体103を排出する。このような使用方法が適用される分離膜エレメント1Aを、ここでは逆L型分離膜エレメントという。
【0044】
逆L型分離膜エレメントにおいて、分離膜4の供給側の面10同士は、例えば上記端面Aおよび外周端部Xが5%以上開口しており、かつ、上記端面Bおよび上記内周端部Yが、いずれも閉止されていることが好ましい。また、分離膜4の透過側の面11同士は、上記内周端部Yのみ開口し、かつ、外周端部X、端面A、Bはいずれも閉止されている必要がある。すなわち、逆L型分離膜エレメントでは、分離膜4の供給側の面10同士の上記端面Bは完全に閉止される。一方、分離膜4の供給側の面10同士の上記端面Aは、供給側流路内の供給流体101の流れを均質化する観点から、上記内周端部の近傍が開口しており、5〜40%開口していることがより好ましい。なお上記端面Aにおいて開口した部分(開口部)は一箇所に限定されず、複数に分かれていても構わない。分離膜の供給側の面10同士の上記外周端部Xは、濃縮流体103出口近傍の流速を高めるため、開口率を小さくしても構わない。なお外周端部Xにおける開口部も一箇所に限定されず、複数に分かれていても構わない。本発明において開口率とは、該開口部が設けられた分離膜の辺における、分離膜4の全長さに対する開口部の長さの比である。開口部長さOL(A)は図7に示すように開口部の内周端から外周端までの長さであり、開口部が複数に分かれている場合には、最も内周側の開口部の内周端から、最も外周側の開口部の外周端までの長さとする。
【0045】
<L型分離膜エレメント>
本発明の分離膜エレメント1AにはL型分離膜エレメントも包含される。L型分離膜エレメントにおける分離膜の接着箇所およびその使用方法の一態様では、図8(分離膜ユニットの展開図)に示すように、分離膜4の供給側の面10同士の上記外周端部Xの開口部から供給流体101を供給し、分離膜4の供給側の面10同士の上記端面Aの開口部から濃縮流体103を排出する。このような使用方法が適用される分離膜エレメント1Aを、ここではL型分離膜エレメントという。
【0046】
L型分離膜エレメントにおいて、分離膜4の供給側の面10同士は、例えば、上記端面Aおよび外周端部Xが5%以上開口しており、かつ、上記端面Bおよび上記内周端部Yが、いずれも閉止されていることが好ましい。また、分離膜4の透過側の面11同士は、上記内周端部Yのみ開口し、かつ、外周端部X、端面A、Bはいずれも閉止されている必要がある。すなわち、L型分離膜エレメントでは、分離膜4の供給側の面10同士の上記端面Bは完全に閉止される。そして、L型分離膜エレメントは逆L型分離膜エレメントと同様の接着方法となるが、分離膜4の供給側の面10同士の上記端面Aから濃縮流体103を排出することになるので、上記端面Aの上記内周端部Yの近傍の開口率は逆L型分離膜エレメントの場合よりも小さいことが好ましい。同様に分離膜4の供給側の面10同士の上記外周端部Xは、供給流体101を供給するため、外周端部Xの開口率は90%以上とすることが好ましい。なお、上記端面Aおよび外周端部Xにおける開口部は、いずれも、一箇所に限定されず、複数に分かれていても構わない。開口部長さOL(A)は図8に示すように開口部の内周端から外周端までの長さである。
【0047】
<逆S型分離膜エレメント>
本発明の分離膜エレメント1Aには、逆S型分離膜エレメントも包含される。逆S型分離膜エレメントにおける分離膜の接着箇所およびその使用方法の一態様では、図9(分離膜ユニットの展開図)に示すように、分離膜4の供給側の面10同士の上記端面Aの内周近傍の開口部から供給流体101を供給し、分離膜4の供給側の面10同士の上記端面Bの外周近傍の開口部から濃縮流体103を排出する。このような使用方法が適用される分離膜エレメント1Aを、ここでは逆S型分離膜エレメントという。
【0048】
逆S型分離膜エレメントでは、分離膜4の供給側の面10同士の上記外周端部Xは完全に閉止される。分離膜4の供給側の面10同士の供給流体101が供給される上記端面Aは、供給側流路内の供給流体101の流れを均質化する観点から、上記内周端部Yの近傍が開口しており、5〜40%開口していることがより好ましい。なお上記端面Aにおいて開口した部分(開口部)は一箇所に限定されず、複数に分かれていても構わない。分離膜4の供給側の面10同士の濃縮流体103が排出される上記端面Bは、供給側流路内の供給流体101の流れを均質化する観点から、上記外周端部Xの近傍が開口しており、濃縮流体103出口近傍の流速を高めるため、供給側の端面よりも開口率を小さくしても構わない。なお、上記端面Bにおける開口部も一箇所に限定されず、複数に分かれていても構わない。開口部長さOL(A)およびOL(B)は、図9に示すように開口部の内周端から外周端までの長さであり、開口部がそれぞれの端面において複数に分かれている場合には、それぞれの端面において、最も内周側の開口部の内周端から、最も外周側の開口部の外周端までの長さとする。
【0049】
<S型分離膜エレメント>
本発明の分離膜エレメント1Aには、S型分離膜エレメントも包含される。S型分離膜エレメントにおける分離膜の接着箇所およびその使用方法の一態様では、図10(分離膜ユニットの展開図)に示すように、分離膜4の供給側の面10同士の上記端面Bの外周近傍の開口部から供給流体101を供給し、分離膜4の供給側の面10同士の上記端面Aの内周近傍の開口部から濃縮流体103を排出する。このような使用方法が適用される分離膜エレメント1Aを、ここではS型分離膜エレメントという。
【0050】
S型分離膜エレメントでは、分離膜4の供給側の面10同士の上記外周端部Xは完全に閉止される。S型分離膜エレメントは逆S型分離膜エレメントと同様の接着方法となるが、分離膜4の供給側の面10同士の上記端面Aの内周端部Yの近傍の開口部から濃縮流体103を排出することになるので、上記端面Aの内周端部の近傍の開口率は逆S型分離膜エレメントの場合よりも小さいことが好ましい。同様に分離膜4の供給側の面10同士の上記端面Bの外周端部X近傍の開口部は、供給流体101を供給するので、内周端部Y近傍の開口部よりも大きいことが好ましい。なお端面A、Bにおける開口部は、いずれも、一箇所に限定されず、複数に分かれていても構わない。開口部長さOL(A)およびOL(B)は、図10に示すように開口部の内周端から外周端までの長さであり、開口部がそれぞれの端面において複数に分かれている場合には、それぞれの端面において、最も内周側の開口部の内周端から、最も外周側の開口部の外周端までの長さとする。
【0051】
<逆SL型分離膜エレメント>
本発明の分離膜エレメント1Aには、逆SL型分離膜エレメントも包含される。逆SL型分離膜エレメントにおける分離膜の接着箇所およびその使用方法の一態様では、図11(分離膜ユニットの展開図)に示すように、分離膜4の供給側の面10同士の上記端面Bの外周近傍および分離膜4の供給側の面10同士の上記外周端部Xが開口しており、分離膜4の供給側の面10同士の上記端面Aの内周近傍が開口している。この分離膜エレメント1Aにおいて、内周端部Y近傍の端面Aの開口部から供給流体101を供給する使用方法を逆SL型エレメントという。この分離膜エレメントは、逆S型と逆L型を組み合わせたような分離膜エレメント、すなわち、上述の逆S型分離膜エレメントと逆L型分離膜エレメントとを足し合わせたような形態となっている。外周端部Xの開口位置については限定されない。開口部長さOL(A)およびOL(B)は図11に示すように開口部の内周端から外周端までの長さである。
【0052】
<SL型分離膜エレメント>
本発明の分離膜エレメント1Aには、SL型分離膜エレメントも包含される。SL型分離膜エレメントにおける分離膜の接着箇所およびその使用方法の一態様では、図12(分離膜ユニットの展開図)に示すように、分離膜4の供給側の面10同士の上記端面Bの外周近傍および分離膜4の供給側の面10同士の上記外周端部Xが開口しており、分離膜4の供給側の面10同士の上記端面Aの内周近傍が開口している。この分離膜エレメント1Aにおいて、外周端部Xおよび端面Bの開口部から供給流体101を供給する使用方法をSL型エレメントという。この分離膜エレメントはS型とL型を組み合わせたような分離膜エレメント、すなわち、上述のS型分離膜エレメントとL型分離膜エレメントとを足し合わせたような形態となっている。外周端部Xの開口位置については限定されない。開口部長さOL(A)およびOL(B)は図12に示すように開口部の内周端から外周端までの長さである。
【0053】
<分離膜の閉止方法・閉止箇所>
上述の各種分離膜エレメントを製造するにあたり、分離膜4の供給側の面10同士の、有孔中心管2の長手方向の端面Aおよび端面Bを閉止する方法としては、巻囲前に行う場合と巻囲後に行う方法がある。巻囲前に行う方法としては、接着剤による接着、ホットメルト樹脂による接着、粘着テープによる接着、が挙げられる。巻囲後に行う場合は、外部から接着剤を塗布し接着する方法などが挙げられる。
【0054】
また、有孔中心管2の長手方向の端面Aおよび端面Bには、図1に示すように、巻回体のテレスコーピングを防ぐため端板21を装着しても良い。端面Aに装着される端板21には、流体が出入りするため、孔が存在することが必要である。端面Bに装着される端板21には、端面Bから流体が出入りする場合は孔が存在しており、端面Bから流体が出入りしない場合は孔が存在してもしなくてもどちらでも良い。端板21の素材としては、例えば、ABS、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンまたはポリプロピレンが挙げられる。
【0055】
分離膜4の供給側の面10同士の内周端部Y若しくは外周端部Xを閉止する方法としては、例えば、接着剤による接着、ホットメルト樹脂による接着、粘着テープによる接着、分離膜4の折り畳み、が挙げられる。
【0056】
一方、分離膜4の透過側の面11同士の、有孔中心管2の長手方向と垂直の方向の外周端部Xおよび内周端部Yを閉止する方法としては、例えば、接着剤による接着、ホットメルト樹脂による接着、粘着テープによる接着などが挙げられる。
【0057】
供給側の面10同士および透過側の面11同士を閉止するための供給側閉止部材6および透過側閉止部材7としては、接着強度や硬化時の硬度、ハンドリング性などを加味し、ウレタン系接着剤、または、エポキシ系接着剤を使用することが望ましい。また、接着剤の硬化前の粘度は、その取り扱いを容易なものとしつつ、分離膜4を巻回する際のしわの発生を抑制する観点から、4〜15Pa・sであることが好ましく、5〜12Pa・sであることがより好ましい。
【0058】
以上のように、有孔中心管2、分離膜4、供給側流路材3および透過側流路材5を配置し端部X、Yおよび端面A、Bを閉止または開口することによって、供給流体101の流れを分離膜4の長手方向に沿う方向にすることができるため、供給流体101を高流速化したスパイラル型分離膜エレメントとすることができる。しかし、単純に上述の方法で供給流体101を高流速化したスパイラル型分離膜エレメントとしただけでは、通常の分離膜エレメント1よりも供給流体101の圧力損失が大きくなるので、巻回体が変形してしまうテレスコーピングが起こりやすく、そのため供給流体101のショートパスが起こってしまい分離性能が充分に発揮されない問題があった。また、供給側流路に高圧が印加された際に、透過側へ膜面が押されることによる透過側への膜面の落ち込みや、端部を閉止している部材の変形が起こることにより膜面の機能層が損傷し、分離性能が著しく低下してしまう問題もあった。
【0059】
これに対して、本発明においては、図3図4の分離膜ユニット断面図(但しいずれの図も端面B側の端部を示している)ならびに図7図12の分離膜ユニットの展開図に例示するように、分離膜エレメント1Aが、分離膜4の供給側の面10同士の端面Aおよび端面Bの開口部の長さをそれぞれOL(A)およびOL(B)とし、分離膜4の透過側の面11同士の端面Aおよび端面Bを閉止するための透過側閉止部材7の、有孔中心管2の長手方向における内側の端の、該端面Aおよび端面Bからの距離をそれぞれp(A)およびp(B)とし、分離膜4の供給側の面10同士の端面Aおよび端面Bを閉止するための供給側閉止部材6の、有孔中心管2の長手方向における内側の端の、該端面Aおよび端面Bからの距離をそれぞれq(A)およびq(B)とし、分離膜4の供給側の面10同士の端面Aおよび端面Bを閉止するための供給側閉止部材6の、分離膜4と接している部分の、有孔中心管2の長手方向の幅をそれぞれr(A)およびr(B)とすると、p(A)≧q(A)かつp(B)≧q(B)であり、かつ、少なくとも以下の(i)(ii)のいずれかの要件を満たすものとする。
(i)分離膜4の供給側の面10同士の端面Bを閉止するための供給側閉止部材6において、内周側の端から外周側に向かって、少なくともOL(A)以上の長さの部分のr(B)が3mm以上連続して存在する。
(ii)分離膜4の供給側の面10同士の端面Aを閉止するための供給側閉止部材6において、外周側の端から内周側に向かって、少なくともOL(B)以上の長さの部分のr(A)が3mm以上連続して存在する。
【0060】
ここで、p、q、rは、それぞれ、分離膜ユニットを展開した状態で、巻囲方向に向かって20mm間隔で測定した平均値である。また、内周、外周とは、分離膜ユニットを展開した状態で有孔中心管2に最も近い部分を内周、有孔中心管2から最も遠い部分を外周という。
【0061】
本発明においては、分離膜4の全域においてp(A)≧q(A)かつp(B)≧q(B)とすることにより、分離膜4の供給側の面10の有効膜部分に供給側閉止部材6が接しないため、膜面の損傷を防ぐことができる。
【0062】
そして、例えば図7、9、11に示すように、端面Aの内周端に設けた長さOL(A)の開口部から供給流体を流入せしめる場合、該開口部とは逆側の端面Bの内周側の供給側閉止部材6で流動抵抗による荷重を支えることになる。また、例えば図10、12に示すように、端面Bに設けた長さOL(B)の開口部から供給流体を流入せしめる場合は、該開口部とは逆側の端面Aの供給側閉止部材6で流動抵抗による荷重を支えることになる。また、例えば図8に示すように、外周端部Xに設けた開口部から供給流体を流入せしめる場合は、端面Aおよび端面Bの両方の供給側閉止部材6で流動抵抗により荷重を支えることになるが、開口部が存在する端面Aの逆側(すなわち端面B)の供給側閉止部材6の部分が最も弱くなる。そして供給側閉止部材6の接着が弱い場合、その部分から分離膜エレメントが変形してしまうことになる。しかしながら、本発明では、上記(i)および(ii)の少なくとも一方を満たすことによって、分離膜の供給側の面同士の閉止をより強固にすることができ、分離膜エレメント1Aに大きな流動抵抗がかかった際にも、巻回体の変形を防ぐことができる。
【0063】
逆L型およびL型分離膜エレメントの場合は、供給側の面10同士の開口部が端面Aに存在するため、上記(i)を満たす必要がある。逆S型、S型、逆SL型,およびSL型分離膜エレメントの場合、特により供給流体101が高圧となる流体が供給される側の端面とは逆側の端面を強固にする必要がある。すなわち、逆S型および逆SL型であれば少なくとも上記(i)、S型およびSL型であれば少なくとも上記(ii)を満たす必要がある。
【0064】
ここで、分離膜の供給側の面同士の端面AおよびBに対して、巻囲後に外部から接着剤を塗布し接着する際は、上記(i)および(ii)を満たすためにr(A)およびr(B)を3mm以上にする部分では、外部から圧力を加えて接着剤を押し込む、あるいは反対側の端面より吸引し接着剤を吸い込むなどの操作を行うことが好ましい。
【0065】
また、分離膜4の透過側の面11同士のp(A)およびp(B)は、有効膜面積をできるだけ確保しつつ強度を保つため、5〜30mmが好ましい。
【0066】
p(B)とq(B)の比率については、有効膜面積以外の供給側流路を狭め、より高流速で供給流体101を流すため、q(B)/p(B)≧0.5とすることが好ましい。p(A)とq(A)の比率についても、同様の理由で、q(A)/p(A)≧0.5とすることが好ましい。q/pはエレメント内を20mm間隔で測定した平均値である。
【0067】
さらに、3mm以上である上記r(A)またはr(B)の変動係数が0.00以上0.20以下であれば、圧力損失により加わる荷重をより均一に支えることができ、r(A)またはr(B)が3mmに近いような状況でも分離膜エレメントの変形をより確実に防ぐことができる。変動係数は、巻囲方向に向かって20mm間隔でr(A)またはr(B)を測定し、その標準偏差を平均値で除した値である。
【0068】
<水処理装置>
本発明の分離膜エレメント1Aは、例えばRO浄水器などの水処理装置に適用することができる。図7、9、11に例示した逆L型、逆S型、逆SL型分離膜エレメントの場合、上記分離膜4の供給側の面10同士の上記端面Aの内周側の開口部から供給流体101を供給し、上記分離膜4の供給側の面10同士の上記端面Bまたは外周端部Xまたはその両方の開口部から濃縮流体を排出するように水処理装置に接続される。そのため、分離膜4の供給側の面10同士の内周側の開口部(前記端面Aの内周側の開口部)に連通するように供給流体供給部が接続され、分離膜4の供給側の面10同士の外周側の開口部(上記端面Bまたは外周端部Xまたはその両方の開口部)に連通するように濃縮流体排出部が接続される。
【0069】
一方、L型、S型、SL型分離膜エレメントの場合、上記分離膜4の供給側の面10同士の上記端面Bまたは外周端部Xまたはその両方の開口部から供給流体101を供給し、上記分離膜4の供給側の面10同士の上記端面Aの内周側の開口部から濃縮流体103を排出するように水処理装置に接続される。そのため、分離膜4の供給側の面10同士の外周側の開口部(上記端面Bまたは外周端部Xまたはその両方の開口部)に連通するように供給流体供給部が接続され、分離膜4の供給側の面10同士の内周側の開口部(前記端面Aの内周側の開口部)に連通するように濃縮流体排出部が接続される。
【実施例】
【0070】
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0071】
(p(A)、p(B)、q(A)、q(B)、r(A)、r(B))
p(A)、p(B)、q(A)、q(B)、r(A)、r(B)の測定は、分離膜エレメントの巻囲をほどき、分離膜エレメントを展開した状態で行う。巻囲方向に向かって20mm間隔でノギスを用い測定し、平均値を算出する。なお、分離膜エレメントの展開にあたっては、分離膜の供給側の面同士を接着している接着剤を剥がしながら、分離膜ユニットを伸ばすようにして展開する。
【0072】
(OL(A)、OL(B))
OL(A)、OL(B)の測定は、分離膜エレメントの巻囲をほどき、分離膜エレメントを展開した状態で、ノギスを用い測定する。
【0073】
(初期造水量および造水量低下率)
供給流体として水道水を用いた。運転圧力0.2MPaで濃縮水バルブを開放し、30分間のフラッシング運転を行った。その後、運転圧力0.55MPa、温度25℃の条件下で60分間運転した後に1分間の透過水のサンプリングを行い、初期造水量(L/min)を測定した。その後、100時間運転を行った後の造水量を同様に測定し、下記式から造水量低下率を算出した。
【0074】
造水量低下率(%)=100×(1−(100時間運転後の造水量)/(初期造水量))
(回収率)
初期造水量の測定において、1分間に供給した供給水量と透過水量との比率を回収率とした。
【0075】
(TDS除去率)
初期造水量の測定における1分間のサンプリングに供した供給水およびサンプリングした透過水について、総溶解固形分(以下、「TDS」)の濃度を電気伝導率測定によりそれぞれ測定し、下記式からTDS除去率を算出した。
【0076】
TDS除去率(%)=100×{1−(透過水中のTDS濃度/供給水中のTDS濃度)}
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約0.09mm、密度:0.80g/cm)上にポリスルホンの15.2質量%N−ジメチルホルムアミド溶液を180μmの厚みで室温(25℃)にてキャストし、直ちに純水中に浸漬して5分間放置し、80℃の温水に1分間浸漬することによって、繊維補強ポリスルホン支持層からなる、多孔性支持層(厚み:0.13mm)を作製した。
【0077】
多孔性支持層をm−フェニレンジアミンの3.8質量%水溶液中に2分間浸漬した後、垂直方向にゆっくりと引き上げ、エアーノズルから窒素を吹き付けて多孔性支持層表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリドの0.175質量%n−デカン溶液を表面が完全に濡れるように塗布して1分間静置し、さらに1分間垂直に保持して液切りした。その後、90℃の熱水で2分間洗浄して、分離膜を得た。
【0078】
このように得られた分離膜を、折り目が内周端部Yとなるように、かつ、供給側を内側にして折りたたんだ際、分離膜ユニットにおける分離膜の巻回方向の長さLが1200mm、有効中心管2の長手方向における長さWが250mmとなるように、複数枚断裁加工した。そして、裁断した分離膜の上に、ネット(厚み:0.5mm、ピッチ:3mm×3mm)を供給側流路材として、ネット構成糸の傾斜角度が巻回方向に対して45°となるように、配置した。
【0079】
分離膜の供給側の面同士は、図7に示すように、分離膜の長手方向に対し垂直な方向における端面Aが20%開口するように、巻回方向の外側から内側にかけて連続的にウレタン系接着剤を塗布した。端面Bは、全面閉止されるように連続的にウレタン系接着剤を塗布した。そして、内周端部Yが折り目となるように、分離膜を、供給側の面を内側にして折り畳んだ。分離膜の透過側の面同士は、内周端部が全面開口し、その他の端面等が全面閉止されるように、連続的にウレタン系接着剤を塗布した。この際に、p(A)>q(A)かつp(B)>q(B)となるように、端面Aおよび端面Bの透過側の接着剤を供給側よりも内側に塗布した。
【0080】
透過側流路材は、スリット幅0.5mm、ピッチ0.9mmの櫛形シムを装填したアプリケーターを用いて、以下のとおり作製した。すなわち、バックアップロールを20℃に温度調節しながら、分離膜エレメントとした場合に巻回方向の内側端部から外側端部まで有孔中心管の長手方向に対して垂直になるよう直線状に、高結晶性PP(MFR1000g/10分、融点161℃)60質量%と低結晶性α−オレフィン系ポリマー(出光興産株式会社製;低立体規則性ポリプロピレン「L−MODU・S400」(商品名))40質量%からなる組成物ペレットを、樹脂温度205℃、走行速度10m/minで不織布上に塗布することで作製した。不織布は厚み0.07mm、目付量が35g/m、エンボス柄(φ1mmの円形、ピッチ5mmの格子状)であった。
【0081】
作製した透過側流路材を裁断し、上述の、供給流路材を挟んだ分離膜の透過側の面に配置して、それらをABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)製の有孔中心管(幅:300mm、径:18mm、孔数10個×直線状1列)にスパイラル状に巻囲した。スパイラル状になった分離膜エレメントの外周面には、孔を有するフィルムを巻きつけた。なお、このフィルムには、フィルムの中央部の幅200mmの箇所に、幅(長径)40mm、高さ(短径)10mmの孔が、幅方向(分離膜エレメントの周方向に相当)に4箇所、高さ方向(分離膜エレメントの長手方向に相当)に4箇所設けられている。フィルムが被覆された分離膜エレメントの両端のエッジカットを行った後、外周面に供給流体と濃縮流体を分離するブラインシールを装着し、分離膜エレメントを作製した。
【0082】
得られた分離膜エレメントにおける各閉止部材による接着幅の平均値は、p(A)=20mm、q(A)=15mm、p(B)=20mm、q(B)=15mm、r(B)=15mmであった。
【0083】
そして最後に、流体のショートパスを防止するため、端面Aおよび端面Bの外周付近に接着剤を塗布した。
【0084】
分離膜エレメントをベッセルに入れて、使用形態を逆L型とし、回収率90%にて各性能を評価したところ、結果は表1のとおりであった。
【0085】
【表1】
【0086】
(実施例2〜5)
上記端面Aおよび端面Bを接着するための接着剤の塗布位置および塗布量を変更し、p(A)、q(A)、p(B)、q(B)、r(A)、r(B)を表1のとおりにした以外は全て実施例1と同様にして、分離膜および分離膜エレメントを作製した。
【0087】
分離膜エレメントをベッセルに入れて、実施例1と同条件で各性能を評価したところ、結果は表1のとおりであった。
【0088】
【表2】
【0089】
(実施例6〜10)
上記端面Aおよび端面Bを接着するための接着剤の塗布位置および塗布量を変更し、p(A)、q(A)、p(B)、q(B)、r(A)、r(B)を表2のとおりにした以外は全て実施例1と同様にして、分離膜および分離膜エレメントを作製した。
【0090】
分離膜エレメントをベッセルに入れて、使用形態をL型とした以外は実施例1と同条件で各性能を評価したところ、結果は表2のとおりであった。
【0091】
【表3】
【0092】
(実施例11)
実施例1と同様にして各部材の準備を行い、巻囲前に分離膜の供給側の面に接着剤を塗布しなかったこと以外は実施例1と同様にして、分離膜エレメントを巻囲した。巻囲したエレメントの長手方向の端面B側に外側から接着剤を塗布し、端面A側から真空ポンプで吸引し、接着剤を供給側流路の奥まで(有孔中心管の長手方向に)浸透させた。分離膜の供給側の面の端面A側は、原水側の開口率が20%となるように接着剤を塗布し(吸引は行わず)、分離膜エレメントを作製した。
【0093】
分離膜エレメントをベッセルに入れて、実施例1と同条件で各性能を評価したところ、結果は表3のとおりであった。
【0094】
(実施例12)
実施例11と同様にして分離膜および分離膜エレメントを作製した。
【0095】
分離膜エレメントをベッセルに入れて、使用形態をL型とした以外は実施例1と同条件で各性能を評価したところ、結果は表3のとおりであった。
【0096】
(実施例13)
巻きつける対の分離膜および部材の枚数を3枚とし、巻囲径を3インチとした以外は全て実施例1と同様にして、分離膜および分離膜エレメントを作製した。
【0097】
分離膜エレメントをベッセルに入れて、実施例1と同条件で各性能を評価したところ、結果は表3のとおりであった。
【0098】
(実施例14〜16)
端面Aの開口部の開口率を表3のとおりにした以外は全て実施例1と同様にして、分離膜および分離膜エレメントを作製した。
【0099】
分離膜エレメントをベッセルに入れて、実施例1と同条件で各性能を評価したところ、結果は表3のとおりであった。
【0100】
【表4】
【0101】
(実施例17)
LおよびWが表4の通りになるように膜および流路材を裁断し、巻きつける対の膜と流路材の枚数を2枚とした以外は全て実施例1と同様にして、分離膜および分離膜エレメントを作製した。
【0102】
分離膜エレメントをベッセルに入れて、実施例1と同条件で各性能を評価したところ、結果は表4のとおりであった。
【0103】
(実施例18)
分離膜の供給側の面に関し、端面Bの分離膜エレメント外周部近傍の開口幅を200mmとし、かつ、外周面に巻き付けるフィルムを孔が存在しない非透水性のものに変更することにより外周端部Xの開口幅を0mmとした以外は、全て実施例1と同様にして、分離膜および分離膜エレメントを作製した。
【0104】
分離膜エレメントをベッセルに入れて、使用形態を逆S型とした以外は実施例1と同条件で各性能を評価したところ、結果は表4のとおりであった。
【0105】
(実施例19)
分離膜の供給側の面に関し、端面Bの分離膜エレメント外周部近傍の開口幅を100mmとし、かつ、外周端部Xが端面B側から連続的に100mm開口するようにウレタン接着剤を塗布した以外は全て実施例1と同様にして、分離膜および分離膜エレメントを作製した。
【0106】
分離膜エレメントをベッセルに入れて、使用形態を逆SL型とした以外は実施例1と同条件で各性能を評価したところ、結果は表4のとおりであった。
【0107】
(実施例20)
実施例1と同様にして各部材の準備を行い、巻囲前に分離膜の供給側の面に接着剤を塗布しなかったこと以外は実施例1と同様にして、分離膜エレメントを巻囲した。次に、巻囲したエレメントの長手方向の端面B側の内周20%の部分に外側からウレタン系接着剤を塗布し、端面B側の外周80%部分をマスキングしたうえで端面A側から真空ポンプで吸引することで、接着剤を有孔中心管の長手方向に浸透させた。その後、端面B側の外周80%の部分にウレタン系接着剤を塗布し(吸引は行わず)、さらに、端面A側の開口部が内側から連続的に20%となるように端面A側に接着剤を塗布した(吸引は行わず)。
【0108】
分離膜エレメントをベッセルに入れて、使用形態を逆L型とした以外は実施例1と同条件で各性能を評価したところ、結果は表4のとおりであった。
【0109】
【表5】
【0110】
(実施例21)
実施例18と同様にして分離膜エレメントを作製した。
【0111】
分離膜エレメントをベッセルに入れて、使用形態を逆S型とした以外は実施例1と同条件で各性能を評価したところ、結果は表5のとおりであった。
【0112】
(実施例22)
分離膜の供給側の面に関し、端面Bの分離膜エレメント外周部近傍の開口幅を100mmとし、かつ、外周端部Xが端面A側から連続的に100mm開口するようにウレタン接着剤を塗布した以外は全て実施例1と同様にして、分離膜および分離膜エレメントを作製した。
【0113】
分離膜エレメントをベッセルに入れて、使用形態をSL型とした以外は実施例1と同条件で各性能を評価したところ、結果は表5のとおりであった。
【0114】
【表6】
【0115】
(比較例1)
実施例1と同様にして各部材の準備を行い、巻囲前に分離膜の供給側の面に接着剤を塗布しなかったこと以外は実施例1と同様にして、分離膜エレメントを巻囲した。巻囲したエレメントの長手方向の端面B側に外側から接着剤を塗布した。このとき、吸引や押し込み等の作業は行わなかった。長手方向の端面A側は、原水側の開口率が20%となるように接着剤を塗布し、分離膜エレメントを作製した。
【0116】
分離膜エレメントをベッセルに入れて、実施例1と同条件で各性能を評価したところ、結果は表6のとおりであった。該エレメントでは、吸引や押し込み等の作業を行わなかったので、r(B)が1mmと小さいことによりフラッシング操作時に分離膜エレメントが変形し、ショートパスが起こったと考えられる。
【0117】
(比較例2)
上記端面Aおよび端面Bを接着するための接着剤の塗布位置および塗布量を変更し、p(A)、q(A)、p(B)、q(B)、r(A)、r(B)を表6のとおりにした以外は全て実施例1と同様にして、分離膜および分離膜エレメントを作製した。
【0118】
分離膜エレメントをベッセルに入れて、実施例1と同条件で各性能を評価したところ、結果は表6のとおりであった。該エレメントでは、開口部と逆側のr(B)が2mmと小さいことによりフラッシング操作時に分離膜エレメントが変形し、ショートパスが起こったと考えられる。
【0119】
(比較例3)
上記端面Aおよび端面Bを接着するための接着剤の塗布位置および塗布量を変更し、p(A)、q(A)、p(B)、q(B)、r(A)、r(B)を表6のとおりにした以外は全て実施例1と同様にして、分離膜および分離膜エレメントを作製した。
【0120】
分離膜エレメントをベッセルに入れて、実施例1と同条件で各性能を評価したところ、結果は表6のとおりであった。該エレメントでは、q(A)/p(A)が2となっており供給側接着剤が有効膜部分にかかっているため、フラッシング時に膜面損傷が起こったと考えられる。
【0121】
(比較例4)
上記端面Aおよび端面Bを接着するための接着剤の塗布位置および塗布量を変更し、p(A)、q(A)、p(B)、q(B)、r(A)、r(B)を表6のとおりにした以外は全て実施例1と同様にして、分離膜および分離膜エレメントを作製した。
【0122】
分離膜エレメントをベッセルに入れて、実施例1と同条件で各性能を評価したところ、結果は表6のとおりであった。該エレメントでは、q(B)/p(B)が2となっており供給側接着剤が有効膜部分にかかっているため、フラッシング時に膜面損傷が起こったと考えられる。
【0123】
(比較例5)
上記端面Aおよび端面Bを接着するための接着剤の塗布位置および塗布量を変更し、p(A)、q(A)、p(B)、q(B)、r(A)、r(B)を表6のとおりにした以外は全て実施例1と同様にして、分離膜および分離膜エレメントを作製した。
【0124】
分離膜エレメントをベッセルに入れて、実施例1と同条件で各性能を評価したところ、結果は表6のとおりであった。該エレメントでは、q(A)/p(A)およびq(B)/p(B)が2となっており供給側接着剤が有効膜部分にかかっているため、フラッシング時に膜面損傷が起こったと考えられる。
【0125】
【表7】
【0126】
(比較例6)
上記端面Aおよび端面Bを接着するための接着剤の塗布位置および塗布量を変更し、p(A)、q(A)、p(B)、q(B)、r(A)、r(B)を表7のとおりにした以外は全て実施例1と同様にして、分離膜および分離膜エレメントを作製した。
【0127】
分離膜エレメントをベッセルに入れて、使用方法をL型とした以外は実施例1と同条件で各性能を評価したところ、結果は表7のとおりであった。該エレメントでは、q(A)/p(A)およびq(B)/p(B)が2となっており供給側接着剤が有効膜部分にかかっているため、フラッシング時に膜面損傷が起こったと考えられる。開口部と逆側のr(A)およびr(B)が2mmと小さいことによりフラッシング操作時に分離膜エレメントが変形し、ショートパスが起こったと考えられる。
【0128】
(比較例7)
図1に示すような一般的な使用形態(I型)となるように、分離膜の供給側の面同士の接着をせず、スパイラル状になった分離膜エレメントの外周面を液密なフィルムで被覆した以外は全て実施例1と同様にして、分離膜及び分離膜エレメントを作製した。
【0129】
分離膜エレメントをベッセルに入れて、実施例1と同条件で各性能を評価したところ、結果は表7のとおりであった。該エレメントは通常のI型エレメントであり、本発明のエレメントに対して供給側流速が遅いため、膜面の濃度分極が発生しTDS除去率の低下およびスケール生成による造水量低下がみられたと考えられる。
【符号の説明】
【0130】
1 分離膜エレメント(I型)
1A 分離膜エレメント
2 有孔中心管
3 供給側流路材
4 分離膜
5 透過側流路材
6 供給側閉止部材
7 透過側閉止部材
10 分離膜の供給側の面
11 分離膜の透過側の面
20 多孔性部材
21 孔付端板
22 ブラインシール
23 ベッセル
101 供給流体
102 透過流体
103 濃縮流体
A、B 有孔中心管の長手方向における端面
X 有孔中心管の長手方向に対し垂直な方向における外周端部
Y 有孔中心管の長手方向に対し垂直な方向における内周端部
L 供給側流路の長さ(有孔中心管の長手方向に対し垂直な方向における分離膜の長さ)
W 供給側流路の幅(有孔中心管の長手方向における分離膜の長さ)
OL 分離膜の供給側の面同士の端面Aおよび端面Bの開口部長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13