(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以降、図を参照して幾つかの具体的な例を挙げて、本発明を実施するための複数の形態を示す。各図中には同一箇所に同一符号を付している。要点の説明又は理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態を分けて示すが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせは可能である。第2の実施形態以降では第1の実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
【0012】
《第1の実施形態》
図1は第1の実施形態に係るRFIDタグ201の回路構成を示す図である。このRFIDタグ201は、導電体1と、この導電体1に電磁界結合する位置に配置されるRFIDモジュール101とで構成される。
【0013】
RFIDモジュール101は、RFIC2と、このRFIC2に接続された受電結合部PRと、RFIC2に接続された送信結合部PSと、を備える。
【0014】
受電結合部PRは、導電体1に電磁界結合して受電用の電力を受ける。また、送信結合部PSは、導電体1に電磁界結合して、RFID用の送信信号を導電体1へ出力する。
【0015】
受電結合部PRは導電体1に対して磁界結合するコイルL1で構成されている。このコイルL1にはキャパシタC1A,C1Bの直列回路が並列接続されて、LC並列共振回路が構成されている。このLC並列共振回路はキャパシタCrA,CrBを介して、RFIC2の受電端子Rx+,Rx−に接続されている。
【0016】
送信結合部PSは、導電体1に対して磁界結合するコイルL2で構成されている。このコイルL2にはキャパシタC2A,C2Bの直列回路が並列接続されて、LC並列共振回路が構成されている。このLC並列共振回路はキャパシタCtA,CtBを介して、RFIC2の送信端子Tx+,Tx−に接続されている。
【0017】
コイルL1とキャパシタC1A,C1Bとの並列回路はLC共振回路を構成し、この共振周波数は受電周波数帯域内に定められている。例えば、LTEの1.7GHz帯から2.5GHz帯の電波や2.4GHz帯の無線LANの電波に共振するように定められている。
【0018】
コイルL2とキャパシタC2A,C2Bとの並列回路はLC共振回路を構成し、この共振周波数は送信周波数帯域内に定められている。例えば、Bluetooth(登録商標)のBLE規格の2.4GHz帯で共振する。
【0019】
図1中の破線は、受電結合部PRのコイルL1と導電体1との磁界結合、及び送信結合部PSのコイルL2と導電体1との磁界結合をそれぞれ表している。
【0020】
図2はRFIDタグ201の斜視図である。RFIDタグ201は直方体形状の導電体1にRFIDモジュール101が搭載されることで構成されている。RFIDモジュール101の内部には、
図1に示したRFIC2、コイルL1,L2及びその他の回路部品が設けられている。
【0021】
導電体1は、アルミニウム箔、アルミニウム板、銅箔、銅板、ステンレススチール板、めっきされた金属板などである。
【0022】
導電体1は、
図2に示す座標軸で、X−Y面に沿って面状に拡がり、X軸方向に沿った長手方向を有する。RFIDモジュール101は、平面視で(Z軸方向に視て)、導電体1の長手方向の一辺S1に沿った位置で、かつ一辺S1の両端より中央寄りの位置に配置されている。
【0023】
図3は、導電体1に搭載されたRFIDモジュール101を通る面での縦断面図である。
図4は、RFIDモジュール101内のコイルL2の構成、及びチップキャパシタC2A,C2B,CtA,CtBの実装状態を示す部分斜視図である。また、
図5はRFIDモジュール101内の構成を示す透視斜視図である。
【0024】
RFIDモジュール101はLTCC(低温同時焼成セラミックス)等によるセラミクス基板、ガラス・エポキシ等による樹脂基板、ポリイミド等による基板10を備える。この基板10の上に導電部材によるコイルL1,L2が形成されている。また、基板10の表面にチップキャパシタC1A,C1B,C2A,C2B等が実装されている。コイルL1,L2及び上記チップキャパシタは、基板10の上面において、エポキシ樹脂等の熱硬化樹脂や、ポリウレタン等のエラストマーによるモールド樹脂11で被覆されている。
【0025】
RFIDモジュール101は導電体1に搭載されることでRFIDタグ201が構成される。例えば、RFIDモジュール101の底面に粘着層8が形成されていて、RFIDモジュール101は粘着層8を介して導電体1の表面に粘着される。この粘着層8に代えて、例えばアクリル系接着剤などの接着層を介して接合させてもよい。なお、その接着層は導電性を有して、グランド導体GCを導電体1に電気的に導通させてもよい。
【0026】
図3、
図4、
図5から明らかなように、RFIDモジュール101の内部に設けられているコイルL1,L2のコイル開口はX−Z面にあり、コイルL1,L2のコイル巻回軸はY軸方向を向く。つまり、コイルL1,L2のコイル開口は同一面内にあり、コイル巻回軸は平行である。
【0027】
図2、
図3において破線で示すような磁束が導電体1を周回し、実線の矢印で示す電流iが導電体1に流れる。このようにして、導電体1が放射体(放射素子)として作用する。
【0028】
本実施形態では、コイルL1は受電用であるので、導電体1に電流iが誘導されることで発生する磁束がコイルL1のコイル開口を鎖交する。これにより、コイルL1に電流が誘導される。また、コイルL2は送信用であるので、コイルL2に送信信号の電流が流れることにより、導電体1に電流iが誘導され、周囲へ電磁波として放射される。
【0029】
導電体1に流れる電流iは、縁端効果により、導電体1の一辺S1に沿った箇所に集中する。また、長手方向の両端に比べて中央部での電流密度が高い。本実施形態では、RFIDモジュール101のコイルL1,L2のコイル巻回軸が、上記平面視で一辺S1に直交する(3次元では角度90度のねじれの位置の関係である)ので、導電体1とコイルL1,L2との結合度が高い。そのため、導電体1の放射素子としての作用効果が高い。
【0030】
基板10の下面には、コイルL1,L2の形成領域外で面状に拡がるグランド導体GCが形成されている。そのため、導電体1からのRFIC2へのノイズ伝播が抑制され、また、RFIC2からコイルL1,L2までの配線が導電体1の影響を受けにくくなって、特性変動が抑制される。
【0031】
図6はRFIDタグ付き物品301の斜視図である。このRFIDタグ付き物品301は、一部又は全部が導電体である物品300とRFIDモジュール101とで構成されている。RFIDモジュール101は物品300の導電体に貼付されている。
【0032】
図6に示す例のように、導電体で構成される物品300が長手方向を有する場合、
図2に示した、導電体1に対するRFIDモジュール101の搭載位置の関係と同様に、平面視で(Z軸方向に視て)、物品300の長手方向の一辺に沿った位置で、かつ一辺の両端より中央寄りの位置に配置されていることが好ましい。物品300とコイルL1,L2との結合度を効果的に高められるからである。
【0033】
なお、
図1に示した例では、コイルL1に並列接続されるキャパシタを、二つのキャパシタC1A,C1Bの直列回路で構成したが、単一のキャパシタをコイルL1に並列接続してもよい。また、LC並列共振回路を二つのキャパシタCrA,CrBを介してRFIC2に接続したが、LC並列共振回路を単一のキャパシタを介してRFIC2に接続してもよい。または、LC並列共振回路をRFIC2に直接接続してもよい。上述のことは、送信側についても同様である。
【0034】
《第2の実施形態》
第2の実施形態では、内部の構造が第1の実施形態で示した例とは異なるRFIDモジュール、及びそれを備えるRFIDタグについて示す。
【0035】
図7はRFIDタグ202の斜視図である。RFIDタグ202は直方体形状の導電体1にRFIDモジュール102が搭載されることで構成されている。RFIDモジュール102及びRFIDタグ202を回路図で表すと、第1の実施形態で
図1に示した構成と同じである。RFIDモジュール102の内部には、
図1に示したRFIC2、コイルL1,L2及びその他の回路部品が設けられている。
【0036】
導電体1は、
図7に示す座標軸で、X−Y面に沿って面状に拡がり、X軸方向に沿った長手方向を有する。RFIDモジュール102は、平面視で(Z軸方向に視て)、導電体1の長手方向の一辺S1に沿った位置で、かつ一辺S1の両端より中央寄りの位置に配置されている。
【0037】
図8はRFIDモジュール102内の構成を示す透視斜視図である。RFIDモジュール102は基板10を備える。この基板10の上に導電部材によるコイルL1,L2が形成されている。また、基板10の表面にチップキャパシタC1A,C1B,CrA,CrB,C2A,C2B,CtA,CtB等が実装されている。コイルL1,L2及び上記チップキャパシタは、基板10の上面においてモールド樹脂11で被覆されている。
【0038】
図7、
図8から明らかなように、RFIDモジュール102の内部に設けられているコイルL1,L2のコイル開口はX−Z面にあり、コイルL1,L2のコイル巻回軸はY軸方向を向く。この例では、コイルL1,L2のコイル巻回軸は同軸である。
【0039】
図7において破線で示すような磁束が導電体1を周回し、実線の矢印で示す電流iが導電体1に流れる。このように、導電体1が放射体(放射素子)として作用する。
【0040】
第1の実施形態と同様に、本実施形態でも、コイルL1は受電用であるので、導電体1に電流iが誘導されることで発生する磁束がコイルL1のコイル開口を鎖交する。これにより、コイルL1に電流が誘導される。また、コイルL2は送信用であるので、コイルL2に送信信号の電流が流れることにより、導電体1に電流iが誘導され、周囲へ電磁波として放射される。
【0041】
導電体1に流れる電流iは、縁端効果により、導電体1の一辺S1に沿った箇所に集中する。また、長手方向の両端に比べて中央部での電流密度が高い。本実施形態では、RFIDモジュール102のコイルL1,L2のコイル巻回軸が、上記平面視で一辺S1に直交する(3次元では角度90度のねじれの位置の関係である)ので、導電体1とコイルL1,L2との結合度が高い。そのため、導電体1の放射素子としての作用効果が高い。
【0042】
特に、コイルL2に比べてコイルL1は上記一辺S1寄りに位置するので、導電体1とコイルL2との結合度に比べて、導電体1とコイルL1との結合度が高い。そのため、より高い結合度を求める方を一辺S1寄りに配置すればよい。
【0043】
《第3の実施形態》
第3の実施形態では、送信結合部が導電体に対して電界結合するRFIDモジュール及びRFIDタグについて示す。
【0044】
図9は第3の実施形態に係るRFIDタグ203の回路構成を示す図である。このRFIDタグ203は、導電体1と、この導電体1に電磁界結合する位置に配置されるRFIDモジュール103とで構成される。
【0045】
RFIDモジュール103は、RFIC2と、このRFIC2に接続された受電結合部PRと、RFIC2に接続された送信結合部PSと、を備える。受電結合部PRの構成は第1の実施形態で
図1に示したとおりである。第3の実施形態における送信結合部PSは、導電体1に対して電界結合する面状導体31,32を備える。この面状導体31,32はインダクタLBを介して直列に接続されている。そして、この面状導体31,32及びインダクタLBの回路がキャパシタCtA,CtBを介して、RFIC2の送信端子Tx+,Tx−に接続されている。面状導体31,32、インダクタLB及びキャパシタCtA,CtBとの直列回路はLC共振回路を構成し、この共振周波数は送信周波数帯域内に定められている。このことにより、RFIC2の送信端子Tx+,Tx−から送信結合部PS側をみたインピーダンスが所定の整合するインピーダンスとなる。
【0046】
図9中の矢印線は、送信結合部PSの面状導体31,32と導電体1との間に生じる電気力線Eを表している。このように、送信結合部PSは導電体1に対して電界結合する。
【0047】
図10はRFIDタグ203の斜視図である。RFIDタグ203は直方体形状の導電体1にRFIDモジュール103が搭載されることで構成されている。RFIDモジュール103の内部には、
図9に示したRFIC2、コイルL1、インダクタLB及びその他の回路部品が設けられている。
【0048】
導電体1は、
図10に示す座標軸で、X−Y面に沿って面状に拡がり、X軸方向に沿った長手方向を有する。RFIDモジュール103は、平面視で(Z軸方向に視て)、導電体1の長手方向の一辺S1に沿った位置で、かつ一辺S1の両端より中央寄りの位置に配置されている。そして、RFIDモジュール103の内部のコイルL1のコイル巻回軸がY軸方向を向くように配置されている。
【0049】
図11はRFIDモジュール103内の構成を示す透視斜視図である。RFIDモジュール103は基板10を備える。この基板10の上に導電部材によるコイルL1及び面状導体32が形成されている。基板10の下面には面状導体31が形成されている。また、基板10の表面に、チップキャパシタCtA,CtB、チップインダクタLB等のチップ部品が実装されている。コイルL1及び上記チップ部品は、基板10の上面においてモールド樹脂11で被覆されている。コイルL1及びそれに接続される回路部分の構成は
図4、
図5、
図8に示した例と同じである。
図11中に示す例では、RFIC2と面状導体32との結合により発生する浮遊容量を軽減するために、面状導体32に開口部Hが形成されている。
【0050】
面状導体31,32はコイルL1のコイル巻回軸に対して平行である。したがって、コイルL1のコイル開口を抜ける磁束によって面状導体31,32に渦電流は生じ難い。つまり、面状導体31,32は、コイルL1と導電体1との磁界結合に対して悪影響を与えない。また、面状導体31,32は平面視でコイルL1から離れているので、コイルL1は、面状導体31,32と導電体1との電界結合に対して悪影響を与えない。
【0051】
図10においては、コイルL1と鎖交し導電体1を周回する磁束φを表している。本実施形態では、
図10に示したように、磁界結合するコイルL1が、導電体1の長手方向(X軸方向)の一辺に沿った位置に配置され、かつ一辺の両端より中央寄りの位置に配置されているので、導電体1とコイルL1との結合度が高い。そのため、導電体1の放射素子としての作用効果が高い。
【0052】
本実施形態では、送信周波数において、導電体1の短手方向(Y軸方向)に電圧強度分布の半波長又は1/4波長が乗るように電界が励振される。
図10においては、面状導体31,32と導電体1との間に生じる電気力線Eを表している。面状導体31,32は、導電体1の短手方向(Y軸方向)の中央に比べて縁(辺S1)に寄った(偏移した)位置に配置されている。そのため、面状導体31,32と導電体1との電界結合が高く、受電電力が高効率でRFIC2に給電される。
【0053】
図10、
図11の示した例では、送信周波数において、半波長又は1/4波長が乗る導電体1の方向(短手方向(Y軸方向))の最も端に受電用コイルL1を配置したが、面状導体31,32と導電体1との電界結合を優先する場合には、コイルL1に比べて面状導体31,32の方が、導電体1の短手方向(Y軸方向)の端に位置するように、RFIDモジュール103を導電体1に配置してもよい。
【0054】
なお、
図9に示した例では、インダクタLBと面状導体31,32との接続回路を二つのキャパシタCtA,CtBを介してRFIC2に接続したが、単一のキャパシタを介してRFIC2に接続してもよい。また、面状導体31,32の一方が導電体1に直接(直流的に)導通していてもよい。例えば、面状導体32が導電体1に導通する場合、面状導体31と導電体1との電位差によって、その間に電界が発生する。
【0055】
《第4の実施形態》
第4の実施形態では、送信結合部と導電体との結合構造、または受電結合部と導電体との結合構造が、これまでに示した例とは異なるRFIDモジュール及びRFIDタグについて示す。
【0056】
図12は第4の実施形態に係るRFIDタグ204Aの回路構成を示す図である。このRFIDタグ204Aは、導電体1と、この導電体1に電磁界結合する位置に配置されるRFIDモジュール104Aとで構成される。
【0057】
RFIDモジュール104Aは、RFIC2と、このRFIC2に接続された受電結合部PRと、RFIC2に接続された送信結合部PSと、を備える。受電結合部PRは、導電体1に対して電界結合する面状導体41,42を備える。この面状導体41,42はインダクタLAを介して直列に接続されている。そして、この面状導体41,42及びインダクタLAの回路がキャパシタCrを介して、RFIC2の受電端子Rx+,Rx−に接続されている。送信結合部PSは、導電体1に対して電界結合する面状導体31,32を備える。この面状導体31,32はインダクタLBを介して直列に接続されている。そして、この面状導体31,32及びインダクタLBの回路がキャパシタCtを介して、RFIC2の送信端子Tx+,Tx−に接続されている。
【0058】
図12中の矢印線は、受電結合部PRの面状導体41,42と導電体1との間に生じる電気力線E、及び送信結合部PSの面状導体31,32と導電体1との間に生じる電気力線Eをそれぞれ表している。このように、受電結合部PR、送信結合部PSのいずれも導電体1に対して電界結合する。
【0059】
面状導体41,42、インダクタLA及びキャパシタCrとの直列回路はLC共振回路を構成し、この共振周波数は受電周波数帯域内に定められている。このことにより、RFIC2の受電端子Rx+,Rx−から受電結合部PR側をみたインピーダンスが所定の整合するインピーダンスとなる。同様に、面状導体31,32、インダクタLB及びキャパシタCtとの直列回路はLC共振回路を構成し、この共振周波数は送信周波数帯域内に定められている。このことにより、RFIC2の送信端子Tx+,Tx−から送信結合部PS側をみたインピーダンスが所定の整合するインピーダンスとなる。
【0060】
このRFIDタグ204Aのように、RFIDモジュール104Aの受電結合部、送信結合部のいずれも導電体1に対して電界結合するように構成してもよい。
【0061】
図13は第4の実施形態に係る別のRFIDタグ204Bの回路構成を示す図である。このRFIDタグ204Bは、導電体1と、この導電体1に電磁界結合する位置に配置されるRFIDモジュール104Bとで構成される。
【0062】
RFIDモジュール104Bは、RFIC2と、このRFIC2に接続された受電結合部PRと、RFIC2に接続された送信結合部PSと、を備える。受電結合部PRは、導電体1に対して電界結合する面状導体41,42を備える。この面状導体41,42はインダクタLAを介して直列に接続されている。そして、この面状導体41,42及びインダクタLAの回路がキャパシタCrを介して、RFIC2の受電端子Rx+,Rx−に接続されている。送信結合部PSは導電体1に対して磁界結合するコイルL2で構成されている。このコイルL2にはキャパシタC2が並列接続されて、LC並列共振回路が構成されている。このLC並列共振回路はRFIC2の送信端子Tx+,Tx−に接続されている。
【0063】
このRFIDタグ204Bのように、RFIDモジュール104Bの受電結合部が導電体1に対して電界結合し、送信結合部が導電体1に対して磁界結合するように構成してもよい。
【0064】
《第5の実施形態》
第5の実施形態では、不平衡端子を有するRFICを備えるRFIDモジュール及びRFIDタグについて示す。
【0065】
図14(A)は第5の実施形態に係るRFIDタグ205Aの回路構成を示す図である。このRFIDタグ205Aは、導電体1と、この導電体1に電磁界結合する位置に配置されるRFIDモジュール105Aとで構成される。
【0066】
RFIDモジュール105Aは、RFIC2と、このRFIC2に接続された受電結合部PR及び送信結合部PSと、を備える。受電結合部PRは、導電体1に対して電界結合する面状導体41を備える。この面状導体41にインダクタLAが直列接続されている。そして、この面状導体41及びインダクタLAの回路がキャパシタCrを介して、RFIC2の受電端子RxとグランドGNDとの間に接続されている。送信結合部PSは、導電体1に対して電界結合する面状導体31を備える。この面状導体31にインダクタLBが直列接続されている。そして、この面状導体31及びインダクタLBの回路がキャパシタCtを介して、RFIC2の送信端子TxとグランドGNDとの間に接続されている。そして、グランドGNDは導電体1に接続されている。
【0067】
図14(B)は第5の実施形態に係る別のRFIDタグ205Bの回路構成を示す図である。このRFIDタグ205Bは、導電体1と、この導電体1に電磁界結合する位置に配置されるRFIDモジュール105Bとで構成される。
【0068】
RFIDモジュール105Bは、RFIC2と、このRFIC2に接続された受電結合部PR及び送信結合部PSと、を備える。送信結合部PSは、導電体1に対して磁界結合するコイルL2を備える。このコイルL2にキャパシタC2が並列接続されている。そして、この並列回路がRFIC2の送信端子TxとグランドGNDとの間に接続されている。そして、グランドGNDは導電体1に接続されている。受電結合部の構成はRFIDモジュール105Aと同様である。
【0069】
このように、不平衡端子を備えるRFICを用いることもできる。また、受電結合部PR又は送信結合部PSが導電体1に直接導通してもよい。
【0070】
《第6の実施形態》
第6の実施形態では、導電体に対するRFIDモジュールの搭載位置がこれまでに示した例とは異なるRFIDタグについて示す。
【0071】
図15(A)はRFIDタグ205Aの斜視図であり、
図15(B)はRFIDタグ205Bの斜視図である。いずれのRFIDタグも、直方体形状の導電体1にRFIDモジュール104Aが搭載されることで構成されている。RFIDモジュール104Aの構成は第4の実施形態で
図12に示したとおりである。
【0072】
図15(A)に示す例では、RFIDモジュール104Aが、平面視で(Z軸方向に視て)、導電体1の長手方向(X軸方向)の端で、かつ短手方向(Y軸方向)の中央に配置されている。また、
図15(B)に示す例では、RFIDモジュール104Aが、平面視で(Z軸方向に視て)、導電体1の長手方向(X軸方向)の端で、かつ短手方向(Y軸方向)の端に配置されている。
【0073】
本実施形態では、送信周波数において、または受電周波数において、導電体1の長手方向(X軸方向)に電圧強度分布の半波長又は1/4波長が乗るように電界が励振される。そのため、
図15(A)、
図15(B)に示すように、RFIDモジュール104Aを、平面視で(Z軸方向に視て)、導電体1の長手方向(X軸方向)の端に配置することで高い電界結合強度が得られる。
【0074】
また、第1の周波数において、導電体1の長手方向(X軸方向)に電圧強度分布の半波長又は1/4波長が乗るように電界が励振され、且つ第2の周波数において、導電体1の短手方向(Y軸方向)に電圧強度分布の半波長又は1/4波長が乗るように電界が励振される場合、
図15(B)に示したように、RFIDモジュール104Aが、導電体1の長手方向の端で、かつ短手方向の端に配置されることで、第1の周波数及び第2の周波数のいずれにおいても高い電界結合強度が得られる。
【0075】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形及び変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。
【0076】
例えば、以上に示したいずれの実施形態においても、受電結合部PRは単一であったが、複数の受電結合部を設けてもよい。また、複数の受電端子Rx+,Rx−を有するRFICを用いてもよい。また、その場合に、磁界結合を行い受電結合部と電界結合を行う受電結合部とを設けてもよい。
【0077】
また、
図6では、物品300にRFIDモジュール101を設けることでRFIDタグ付き物品301を構成する例を示したが、RFIDモジュールとしては、第2の実施形態以降の実施形態で示した構成のRFIDモジュールを適用できることは言うまでも無い。