特許第6973670号(P6973670)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6973670半導体装置、および半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6973670
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】半導体装置、および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/768 20060101AFI20211118BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20211118BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20211118BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   H01L21/90 J
   H01L29/78 619A
   H01L21/90 V
【請求項の数】12
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2021-664(P2021-664)
(22)【出願日】2021年1月6日
(62)【分割の表示】特願2017-545116(P2017-545116)の分割
【原出願日】2016年9月2日
(65)【公開番号】特開2021-52216(P2021-52216A)
(43)【公開日】2021年4月1日
【審査請求日】2021年1月26日
(31)【優先権主張番号】特願2015-204772(P2015-204772)
(32)【優先日】2015年10月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂 直樹
【審査官】 佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0037962(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0153500(US,A1)
【文献】 特開2013−120870(JP,A)
【文献】 特開2009−135172(JP,A)
【文献】 特開2011−60803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/768
H01L 21/336
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電界効果トランジスタが設けられたトランジスタ領域と、
前記電界効果トランジスタと電気的に接続された金属層が設けられた配線領域と、
を備え、
前記配線領域は、
前記金属層と基板との間に設けられた絶縁層と、
前記金属層の下の前記絶縁層に設けられ、且つ、前記基板まで貫通して設けられ、前記絶縁層よりも誘電率が低い低誘電率層と、
を備える、半導体装置。
【請求項2】
前記低誘電率層は、複数設けられ、
前記低誘電率層の各々は、ストライプ状に配置される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記低誘電率層は、複数設けられ、
前記低誘電率層の各々は、千鳥状に配置される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記絶縁層は、複数層設けられ、
前記低誘電率層は、前記絶縁層の各々に設けられる、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記絶縁層の各々に設けられた前記低誘電率層は、前記基板を平面視した際に重ならないように配置される、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記絶縁層の各々に設けられた前記低誘電率層は、前記基板を平面視した際に千鳥状に配置される、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記金属層の上に、金属間絶縁層を介してさらに上部金属層が設けられ、
前記金属層と、前記上部金属層との間の前記金属間絶縁層には、前記金属間絶縁層よりも誘電率が低い金属間低誘電率層が設けられる、請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記低誘電率層は、前記基板を平面視した際の前記金属層の射影領域に少なくとも設けられる、請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記金属層は、前記電界効果トランジスタと電気的に接続された配線または電極のいずれかである、請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記低誘電率層は、複数設けられ、
前記低誘電率層の各々の上端または下端の少なくともいずれかは、同一層に設けられる、請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記電界効果トランジスタは、高周波デバイス用の電界効果トランジスタである、請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
トランジスタ領域に電界効果トランジスタを形成する工程と、
前記電界効果トランジスタと電気的に接続された金属層が設けられる配線領域、および前記トランジスタ領域を絶縁層で埋め込む工程と、
前記絶縁層に、前記絶縁層よりも誘電率が低い低誘電率層を形成する工程と、
前記低誘電率層の上に、前記金属層を形成する工程と、
を含み、
前記金属層と基板との間には、前記絶縁層が形成され、
前記低誘電率層は、前記基板まで貫通して設けられる、
半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置、および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、高周波デバイスのスイッチ素子として、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)が用いられている。高周波スイッチ(Radio Frequency−SWitch:RF−SW)は、高周波(Radio Frequency:RF)の送受信をオンまたはオフにするスイッチであり、主に携帯電話などの携帯通信端末のフロントエンドに用いられる。
【0003】
ここで、電界効果トランジスタを高周波スイッチに用いる場合、電界効果トランジスタには、通過する高周波信号の損失を低減させること、および通過する高周波信号以外の信号を生じさせない(すなわち、信号の歪みを生じさせない)ことが求められる。
【0004】
例えば、下記の特許文献1には、電界効果トランジスタのゲート電極の周囲に空隙を形成することにより、ゲート電極とコンタクトプラグとの間の寄生容量を減少させ、通過する高周波信号の損失を低下させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−359369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示された技術では、電界効果トランジスタを通過した信号において、入出力信号以外の信号(すなわち、信号の歪み)が発生することを抑制することは困難であった。
【0007】
そこで、本開示では、入出力信号以外の信号の発生を抑制することが可能な、新規かつ改良された半導体装置、および該半導体装置の製造方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示によれば、電界効果トランジスタが設けられたトランジスタ領域と、前記電界効果トランジスタと電気的に接続された金属層が設けられた配線領域と、を備え、前記配線領域は、前記金属層と基板との間に設けられた絶縁層と、前記金属層の下の前記絶縁層に設けられ、且つ、前記基板まで貫通して設けられ、前記絶縁層よりも誘電率が低い低誘電率層と、を備える、半導体装置が提供される。
【0009】
また、本開示によれば、トランジスタ領域に電界効果トランジスタを形成する工程と、前記電界効果トランジスタと電気的に接続された金属層が設けられる配線領域、および前記トランジスタ領域を絶縁層で埋め込む工程と、前記絶縁層に、前記絶縁層よりも誘電率が低い低誘電率層を形成する工程と、前記低誘電率層の上に、前記金属層を形成する工程と、を含み、前記金属層と基板との間には、前記絶縁層が形成され、前記低誘電率層は、前記基板まで貫通して設けられる、半導体装置の製造方法が提供される。
【0010】
本開示によれば、半導体装置における配線または電極の少なくともいずれかと、基板との間に生じる非線形な寄生容量を低減することが可能である。これにより、半導体装置の入出力信号における非線形性を低減することが可能である。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本開示によれば、入出力信号以外の信号の発生を抑制することが可能である。
【0012】
なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の一実施形態に係る半導体装置を備える高周波スイッチの構成を示した概念図である。
図2】本開示の一実施形態に係る半導体装置を備える高周波スイッチの構成を示した概念図である。
図3図2で示したSPSTスイッチの等価回路の回路図である。
図4】SPSTスイッチがオン時の等価回路の回路図である。
図5】SPSTスイッチがオフ時の等価回路の回路図である。
図6】高調波歪み、および相互変調歪みを説明する説明図である。
図7】3G規格および2G規格のそれぞれに対応したマルチバンド対応のスイッチング素子を説明する概念図である。
図8】本開示の一実施形態に係る半導体装置の全体構成を示す平面図である。
図9】同実施形態に係る半導体装置の断面構造を示す積層方向の断面図である。
図10】半導体装置における非線形容量を説明する説明図である。
図11】第1の構造例に係る半導体装置の積層方向の断面図である。
図12A】第1の構造例の低誘電率層の平面配置の一例を示した平面図である。
図12B】第1の構造例の低誘電率層の平面配置の一例を示した平面図である。
図13】第2の構造例に係る半導体装置10の積層方向の断面図である。
図14A】第2の構造例の低誘電率層の配置の一例を示した平面図である。
図14B】第2の構造例の低誘電率層の配置の一例を示した平面図である。
図15】第3の構造例に係る半導体装置の積層方向の断面図である。
図16】第4の構造例に係る半導体装置の積層方向の断面図である。
図17】第5の構造例に係る半導体装置の積層方向の断面図である。
図18】第6の構造例に係る半導体装置の積層方向の断面図である。
図19】同実施形態に係る半導体装置の製造工程を示した積層方向の断面図である。
図20】同実施形態に係る半導体装置の製造工程を示した積層方向の断面図である。
図21】同実施形態に係る半導体装置の製造工程を示した積層方向の断面図である。
図22】同実施形態に係る半導体装置の製造工程を示した積層方向の断面図である。
図23】同実施形態に係る半導体装置の製造工程を示した積層方向の断面図である。
図24】同実施形態に係る半導体装置の製造工程を示した積層方向の断面図である。
図25】同実施形態に係る半導体装置の製造工程を示した積層方向の断面図である。
図26】同実施形態に係る半導体装置の製造工程を示した積層方向の断面図である。
図27】同実施形態に係る半導体装置の製造工程を示した積層方向の断面図である。
図28】同実施形態に係る半導体装置の製造工程を示した積層方向の断面図である。
図29】同実施形態に係る半導体装置の製造工程を示した積層方向の断面図である。
図30】同実施形態に係る半導体装置の製造工程を示した積層方向の断面図である。
図31】同実施形態に係る半導体装置の適用例である無線通信装置の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
0.技術的背景
1.半導体装置の構成
1.1.第1の構造例
1.2.第2の構造例
1.3.第3の構造例
1.4.第4の構造例
1.5.第5の構造例
1.6.第6の構造例
2.半導体装置の製造方法
3.適用例
【0016】
<0.技術的背景>
まず、図1図7を参照して、本開示の技術的背景について説明する。図1および図2は、本開示の一実施形態に係る半導体装置を備える高周波スイッチの構成を示した概念図である。
【0017】
図1および図2に示す高周波スイッチは、携帯電話などの携帯情報端末のフロントエンドに用いられる。高周波スイッチは、入出力するポートの数により、SPST(Single Pole Single Through:単極単投)、SPDT(Single Pole Double Through:単極双投)、SP3T、およびSPNT(Nは自然数)といった様々な構成に分類される。
【0018】
図1にSP10T(単極十投)スイッチの構成例を示す。図1に示すように、SP10Tスイッチ1は、アンテナANTに接続された一つの極と、10個の接点とを備える。また、図2にSPST(単極単投)スイッチの構成例を示す。図2に示すようにSPSTスイッチ1Aは、アンテナANTに接続された一つの極と、オンまたはオフが切り替えられる1個の接点とを備える。
【0019】
なお、高周波スイッチ1は、様々な構成を取り得るが、どの構成の高周波スイッチも図2で示したSPSTスイッチ1Aの基本回路構成を組み合わせることで作製することが可能である。
【0020】
図3は、図2で示したSPSTスイッチ1Aの等価回路の回路図である。図3に示すように、SPSTスイッチ1Aは、例えば、アンテナANTに接続された第1ポートPort1と、第2ポートPort2と、第1スイッチング素子FET1と、第2スイッチング素子FET2とを備える。なお、第1スイッチング素子FET1は、第1ポートPort1と、グランドとの間に設けられ、第2スイッチング素子FET2は、第1ポートPort1と、第2ポートPort2との間に設けられる。
【0021】
SPSTスイッチ1Aは、第1スイッチング素子FET1、および第2スイッチング素子FET2のゲートに、抵抗を介してコントロール電圧Vc1、Vc2が印加されることにより、オンおよびオフが制御される。
【0022】
SPSTスイッチ1がオン時またはオフ時の等価回路は、単位長当たりの電界効果トランジスタの抵抗値Ron(Ω・mm)、単位長当たりの電界効果トランジスタの容量値Coff(fF/mm)、ゲート幅Wg1、Wg2(mm)を用いて、図4および図5のように表すことができる。図4は、SPSTスイッチ1Aがオン時の等価回路の回路図であり、図5は、SPSTスイッチ1Aがオフ時の等価回路の回路図である。
【0023】
すなわち、SPSTスイッチ1Aがオン状態の場合、図4に示すように、第2スイッチング素子FET2が導通状態となり、第1スイッチング素子FET1が非導通状態となる。一方、SPSTスイッチ1Aがオフ状態の場合、図5に示したように、第1スイッチング素子FET1が導通状態となり、第2スイッチング素子FET2が非導通状態となる。
【0024】
図4および図5を参照すると、第1スイッチング素子FET1、および第2スイッチング素子FET2のオン抵抗は、それぞれRon/Wg1、Ron/Wg2と表すことができる。また、第1スイッチング素子FET1、および第2スイッチング素子FET2のオフ容量は、Coff*Wg1、Coff*Wg2と表すことができる。すなわち、オン抵抗は、ゲート幅Wg1、Wg2に反比例し、オフ容量は、ゲート幅Wg1、Wg2に比例する。
【0025】
ここで、高周波スイッチでは、通過する高周波信号以外の信号を生じさせない(すなわち、信号の歪みを生じさせない)ことが求められる。特に、高調波歪み、および相互変調歪みと称される信号の歪みを抑制することが求められる。
【0026】
以下では、高調波歪み、および相互変調歪みについて、図6を参照して説明する。図6は、高調波歪み、および相互変調歪みを説明する説明図である。
【0027】
理想的な高周波スイッチでは、周波数fの入力信号に対して、周波数fの出力信号が出力される。しかしながら、実際の高周波スイッチでは、電界効果トランジスタのオン抵抗およびオフ容量が非線形性を有するため、図6の(A)に示すように、出力信号にfおよびfなどの信号の歪みが生じてしまう。
【0028】
具体的には、図6の(A)に示すように、特定の周波数fの信号が非線形な回路を通過した場合、出力される信号には、周波数fの基本信号に加えて、N倍の周波数f(=Nf)の第N高調波歪み(Nは2以上の自然数)が含まれてしまう。特に、高調波歪みの中でも、2倍の周波数f(=2f)の第2高調波歪み、および3倍の周波数f(=3f)の第3高調波歪みは、通信機器の送受信信号への影響が大きいため、抑制することが求められている。
【0029】
また、図6の(B)に示すように、それぞれ周波数f、fの2つの入力信号が非線形な回路を通過し、周波数2f、2fの2つの第2次高調波が生じた場合、第2次高調波と、入力波との相互変調により、周波数が2f−f、2f−fである3次相互変調歪み(IM3)が生じてしまう。同様に、第3次高調波と、第2次高調波との相互変調により、周波数が3f−2f、3f−2fである5次相互変調歪み(IM5)が生じてしまう。
【0030】
相互変調歪みの発生について、数式を用いてより詳細に説明する。非線形な回路からの出力信号は、例えば、以下の式1に示すように、テイラー展開によって線形項である0次および1次の項と、非線形項である2次以降の項との和として表すことができる。
【0031】
【数1】
【0032】
ここで、Vに以下の式2で表される2つの入力信号VおよびVを代入すると、以下の式3のようになる。
【0033】
【数2】
【0034】
【数3】
【0035】
式3に示すように、非線形な回路からの出力信号Vには、入力信号V、Vに含まれていない周波数2ω−ω、2ω−ωの信号が含まれていることがわかる。すなわち、この周波数2ω−ω、2ω−ωの信号が上述した3次相互変調歪みに相当する。同様にして、入力信号の高調波歪みからは、5次相互変調歪みも生じていると考えられる。したがって、非線形な回路では、本来、入力信号に含まれていない周波数の信号を回路内部で作り出してしまうことがわかる。
【0036】
このような非線形な回路から発生する高調波歪み、および相互変調歪みの影響を抑制するために、例えば、出力信号の周波数以外の周波数を減衰させるフィルタ(例えば、バンドパスフィルタなど)を使用することが提案されている。しかしながら、このような方法では、高調波歪み、および相互変調歪みの出力信号への影響を十分に抑制することは困難であった。
【0037】
図7を参照して、上記について具体的に説明する。図7は、3G規格および2G規格のそれぞれに対応したマルチバンド対応のスイッチング素子を説明する概念図である。
【0038】
図7に示すように、スイッチング素子1Bは、受信信号Rx1を受信し、送信信号Tx1を送信する3G規格(例えば、W−CDMA(登録商標)など)の回路と、受信信号Rx2を受信し、送信信号Tx2を送信する2G規格(例えば、GSM(登録商標)など)の回路とを切り替える。2G規格の回路では、別のスイッチング素子7によって送受信信号を選別しており、3G規格の回路では、送受信信号の周波数帯域のみを通過させるデュプレクサ5によって送受信信号を選別している。
【0039】
例えば、デュプレクサ5が送信信号の周波数として1950MHzを通過させ、受信信号の周波数として2140MHzを通過させる場合を考える。ここで、1950MHzの送信信号と、1760MHzの妨害信号とが同時にスイッチング素子1Bに入った場合、3次相互変調歪みとして、受信信号と同様の2140MHz(=2×1950−1760)の周波数の信号が発生してしまう。このような3次相互変調歪みは、デュプレクサ5を通過してしまうため、受信信号に対するノイズ源となってしまう。
【0040】
特に、3G規格の回路は、スイッチング素子7によってオンおよびオフが切り替えられる2G規格の回路と異なり、常にオン状態である。そのため、送受信信号と同様の周波数の相互変調歪みが生じた場合、3G規格の回路では、生じた相互変調歪みがデュプレクサ5を通過して送受信回路に流れ込んでしまう。
【0041】
したがって、所定の周波数帯域以外の周波数の信号を減衰させるフィルタを使用した場合であっても、高調波歪み、および相互変調歪みの影響を十分に抑制することは困難であった。そのため、高調波歪み、および相互変調歪みが発生しにくい、非線形性が低いスイッチング素子が求められていた。
【0042】
本開示の一実施形態に係る半導体装置は、配線または電極の少なくともいずれかと、基板との間に生じる非線形な寄生容量を低減することにより、半導体装置における非線形性を低下させることができる。これにより、本実施形態に係る半導体装置は、出力信号にて高調波歪み、および相互変調歪みが発生することを抑制することができる。
【0043】
<1.半導体装置の構成>
次に、図8および図9を参照して、本実施形態に係る半導体装置の構造について説明する。図8は、本実施形態に係る半導体装置の全体構成を示す平面図である。
【0044】
図8に示すように、本実施形態に係る半導体装置10は、例えば、SPSTスイッチ1Aにおける第1または第2スイッチング素子FET1、FET2を構成する高周波デバイス用の電界効果トランジスタを含む。また、半導体装置10に含まれる電界効果トランジスタは、ゲート電極20と、ソース電極30Sと、ドレイン電極30Dとを備える。
【0045】
ゲート電極20は、同一方向(例えば、Y方向)に延伸された複数のフィンガー部201と、複数のフィンガー部201を連結する連結部202とを備え、いわゆるマルチフィンガー構造を有する。ゲート電極20のゲート幅Wは、電界効果トランジスタの低損失化を図るため、ロジック回路などに使われる電界効果トランジスタに対して、数百μm〜数mm程度に大きくしてもよく、フィンガー部201の長さ(フィンガー長)L21は、数十μmであってもよい。また、連結部202は、ゲートコンタクト(図示せず)に接続されている。
【0046】
なお、以下では、ゲート電極20のフィンガー部201が延伸した方向をY方向とし、連結部202の長手方向をX方向とし、その両方に直交する方向(積層方向)をZ方向として説明する。
【0047】
ソース電極30Sは、ゲート電極20と同様に、同一方向(例えばY方向)に延伸された複数のフィンガー部301Sと、複数のフィンガー部301Sを連結する連結部302Sとを備える。また、連結部302Sは、ソースコンタクト(図示せず)に接続されている。
【0048】
ドレイン電極30Dは、ゲート電極20と同様に、同一方向(例えばY方向)に延伸された複数のフィンガー部301Dと、複数のフィンガー部301Dを連結する連結部302Dとを備える。また、連結部302Dは、ドレインコンタクト(図示せず)に接続されている。
【0049】
ここで、ゲート電極20のフィンガー部201、ソース電極30Sのフィンガー部301S、およびドレイン電極30Dのフィンガー部301Dは、アクティブ領域(活性領域)AAの内側に配置される。また、ソース電極30Sのフィンガー部301S、およびドレイン電極30Dのフィンガー部301Dは、ゲート電極20のフィンガー部201の間に交互に配置される。一方、ゲート電極20の連結部202、ソース電極30Sの連結部302S、およびドレイン電極30Dの連結部302Dは、アクティブ領域AAの外側の素子分離領域に配置される。
【0050】
図9は、本実施形態に係る半導体装置の断面構造を示す積層方向の断面図である。図9に示すように、本実施形態に係る半導体装置10は、例えば、電界効果トランジスタと、電界効果トランジスタのゲート電極、ソース電極、またはドレイン電極の少なくともいずれかと電気的に接続された金属層とを含む。具体的には、半導体装置10は、ゲート電極20と、半導体層50と、コンタクトプラグ60S、60Dと、ソース電極30Sと、ドレイン電極30Dと、金属層32、33と、低誘電率層71、72、73とを備える。
【0051】
ゲート電極20は、半導体層50の上に、ゲート酸化膜23を介して設けられる。ゲート電極20は、例えば、厚みが150nm〜200nmであり、ポリシリコン等により形成されてもよい。ゲート酸化膜23は、例えば、厚みが5nm〜10nmであり、酸化シリコン(SiO)により形成されてもよい。
【0052】
半導体層50は、例えば、シリコン(Si)により形成されてもよい。ゲート電極20の両側の半導体層50には、n型(n+)シリコンよりなるソース領域50Sおよびドレイン領域50Dが形成される。
【0053】
また、コンタクトプラグ60S、60Dと接するソース領域50Sおよびドレイン領域50Dの表面には、コンタクトプラグ60S、60Dとの接続のため、高濃度n型(n++)シリコンまたはシリサイドからなる低抵抗領域51S、51Dが形成される。さらに、ソース領域50Sとゲート電極20との間、およびドレイン領域50Dとゲート電極20との間の半導体層50には、低濃度n型(n−)シリコンからなるエクステンション領域52S、52Dが形成される。
【0054】
また、ソース領域50Sおよびドレイン領域50Dの外側の半導体層50には、素子分離層56が形成される。素子分離層56は、例えば、酸化シリコン(SiO)等によって形成されてもよい。
【0055】
半導体層50は、例えば、支持基板53の上に埋込み酸化膜54を介して形成される。支持基板53、埋込み酸化膜54、および半導体層50は、SOI(Silicon on Insulator)基板55を形成していてもよい。支持基板53は、例えば、高抵抗シリコン基板であってもよく、埋込み酸化膜54は、例えば、SiOにて形成されてもよい。
【0056】
コンタクトプラグ60S、60Dは、ソース領域50S、ドレイン領域50Dに形成された低抵抗領域51S、51Dに接続される。コンタクトプラグ60S、60Dは、例えば、低抵抗領域51S、51D側から、チタン(Ti)層、窒化チタン(TiN)層、およびタングステン(W)層の積層構造(図示せず)にて形成されてもよい。チタン層は、コンタクトプラグ60S、60Dと、下層の低抵抗領域51S、51Dとの接触抵抗を低減することができ、窒化チタン層は、窒化チタン層の上層に設けられるタングステン層がシリコンへの拡散することを抑制することができる。
【0057】
ソース電極30S、およびドレイン電極30Dは、コンタクトプラグ60S、およびコンタクトプラグ60Dの上に積層されて形成される。なお、ソース電極30S、およびドレイン電極30Dは、第1メタルM1とも称される。ソース電極30S、およびドレイン電極30D(第1メタルM1)は、例えば、厚みが500nm〜1000nmであり、アルミニウム(Al)により形成されてもよい。
【0058】
第1絶縁層81、第2絶縁層82、第3絶縁層83、第4絶縁層84、第5絶縁層85、第6絶縁層86、および第7絶縁層87は、それぞれ半導体装置10の各構成を保護し、かつ各構成同士の絶縁性を確保する。第1絶縁層81、第3絶縁層83、第4絶縁層84、第5絶縁層85、第6絶縁層86、および第7絶縁層87は、例えば、SiOにて形成されてもよい。なお、以下では、第3絶縁層83、第4絶縁層84をまとめて層間絶縁層80とも称する。
【0059】
ここで、第2絶縁層82は、第3絶縁層83、および第4絶縁層84とは異なるエッチングレートを有する材料にて形成される。これは、後述する低誘電率層71、72、73を形成する際に、エッチングが過剰に進行することを防止するためである。例えば、第3絶縁層83、および第4絶縁層84がSiOにて形成される場合、第2絶縁層82は、窒化シリコン(Siなど)にて形成されてもよい。
【0060】
低誘電率層71、72、73は、第3絶縁層83、第4絶縁層84、および第5絶縁層85よりも誘電率が低い層である。具体的には、低誘電率層71、72、73は、空隙であってもよい。また、低誘電率層71、72、73は、第3絶縁層83、第4絶縁層84、および第5絶縁層85よりも誘電率が低い材料にて形成された層であってもよい。低誘電率層71は、半導体層50の面内のXY方向において、ソース電極30Sおよびドレイン電極30Dの間の領域に形成される。また、低誘電率層72、73は、Z方向(積層方向)において、それぞれ金属層32、33の下方の領域に形成される。これにより、半導体装置10は、非線形な寄生容量を減少させることができるため、半導体装置10の非線形性を減少させることができる。
【0061】
第3絶縁層83、第4絶縁層84、および第5絶縁層85がSiO(比誘電率は、4.1)にて形成される場合、低誘電率層71、72、73を形成可能な材料としては、例えば、SiO系材料にSi−CHを導入したSiOC(比誘電率は、例えば、2.5)、無機または有機SOG(Spin−On−Glass)(比誘電率は、例えば、3以下)などを例示することができる。
【0062】
金属層32、33は、例えば、電界効果トランジスタのゲート電極20、ソース電極30S、またはドレイン電極30Dと電気的に接続された配線層またはパッド電極の少なくともいずれかである。金属層32、33は、形成される位置によって下方から第2メタル、第3メタルとも称される。図9では、金属層32が第2メタルに相当し、金属層33が第3メタルに相当する。金属層32、33は、例えば、アルミニウム(Al)により形成されてもよい。
【0063】
なお、上記では、半導体装置10のSOI基板55の支持基板53が高抵抗シリコン基板である場合について説明したが、本開示に係る技術は上記に限定されない。例えば、半導体装置10は、支持基板53がサファイアからなる基板(いわゆる、SOS(Silicon On Sapphire)基板)に形成されてもよい。サファイア基板は、絶縁性であるため、SOS基板上に形成された電界効果トランジスタは、GaAsなどの化合物系電界効果トランジスタに近い特性を得ることができる。また、本実施形態に係る半導体装置10は、SOI基板またはSOS基板以外のバルク基板に形成されてもよい。
【0064】
上述した半導体装置10における非線形性の減少について、図10を参照して説明する。図10は、半導体装置10における非線形容量を説明する説明図である。
【0065】
図10に示すように、半導体装置10において、SOI基板55を構成する支持基板53と、埋込み酸化膜54との界面は、埋込み酸化膜54の欠陥によってプラスに帯電している。そのため、支持基板53内の電子は、支持基板53と、埋込み酸化膜54との界面に引き寄せられており、一部の電子は、埋込み酸化膜54の欠陥に捕獲されている。
【0066】
ここで、SOI基板55の上部に位置する金属層32、33にRF信号が通過した場合、埋込み酸化膜54の欠陥は、捕獲していた電子の捕獲および放出を繰り返す。このとき、支持基板53と、金属層32、33との間の寄生容量が変動するため、容量に非線形性が生じてしまう。
【0067】
このような非線形性を低減させるためには、支持基板53と、金属層32、33との間の寄生容量を小さくし、非線形容量の絶対値を小さくすることが考えられる。本実施形態に係る半導体装置10は、支持基板53と、金属層32、33との間に位置する絶縁層の一部(すなわち、層間絶縁層80、第5絶縁層85)をより誘電率が低い低誘電率層72、73にて置換することにより、支持基板53と、金属層32、33との間の寄生容量の絶対値を小さくし、非線形性を低減させるものである。
【0068】
以下では、図11図18を参照して、本実施形態に係る半導体装置10における低誘電率層72、73の具体的な配置について、第1〜第6の構造例に分けて説明する。
【0069】
(1.1.第1の構造例)
まず、図11図12Bを参照して、本実施形態に係る半導体装置10の第1の構造例について説明する。図11は、第1の構造例に係る半導体装置10の積層方向の断面図であり、図12Aおよび図12Bは、第1の構造例の低誘電率層の平面配置の一例を示した平面図である。
【0070】
図11に示すように、低誘電率層72は、金属層32の下方に複数形成されていてもよい。例えば、支持基板53を平面視した際の金属層32の射影領域の全体に一つの低誘電率層72が形成された場合、半導体装置10の強度が低下する可能性がある。特に、低誘電率層72が空隙である場合、半導体装置10の強度が低下する可能性が高い。そのため、低誘電率層72を金属層32の下方に複数に分けて形成することにより、低誘電率層72の各々の間の層間絶縁層80にて金属層32を支持することができる。これにより、半導体装置10の強度を維持しつつ、金属層32および支持基板53の間の容量を減少させることができる。
【0071】
ここで、図12Aに示すように、低誘電率層72の各々の平面配置は、ストライプ状であってもよい。なお、低誘電率層72が延伸する方向は、金属層32の配線方向と平行な方向であってもよく、金属層32の配線方向と垂直な方向であってもよい。ただし、半導体装置10の強度を向上させるためには、低誘電率層72を延伸する長さは、短い方が好ましい。そのため、低誘電率層72が延伸する方向は、金属層32の配線方向と垂直な方向であることが好ましい。
【0072】
また、図12Bに示すように、低誘電率層72の各々の平面配置は、千鳥状であってもよい。このような場合、低誘電率層72を延伸する長さが短くなり、かつ低誘電率層72が金属層32全体に分散されて配置されるため、形成される低誘電率層72の大きさを維持したまま、半導体装置10の強度を向上させることができる。また、低誘電率層72を延伸する長さを短くすることにより、電界が低誘電率層72を回り込むことを防止することができる。
【0073】
(1.2.第2の構造例)
次に、図13図14Bを参照して、本実施形態に係る半導体装置10の第2の構造例について説明する。図13は、第2の構造例に係る半導体装置10の積層方向の断面図であり、図14Aおよび図14Bは、第2の構造例の低誘電率層の配置の一例を示した平面図である。
【0074】
図13に示すように、低誘電率層72A、72Bは、複数層に分けて形成されてもよい。具体的には、素子分離層56上に第1絶縁層81、第2絶縁層82A、層間絶縁層80A、および第5絶縁層85Aが形成され、層間絶縁層80A、および第5絶縁層85Aの中に低誘電率層72Aが形成される。また、第5絶縁層85A上に第2絶縁層82B、層間絶縁層80B、および第5絶縁層85Bが形成され、層間絶縁層80B、および第5絶縁層85Bの中に低誘電率層72Bが形成される。さらに、第5絶縁層85B上に金属層32が形成される。
【0075】
これにより、金属層32と、支持基板53との間の距離を長くすることができるため、金属層32および支持基板53の間の寄生容量をさらに減少させることができる。また、このような場合、低誘電率層72Aと、低誘電率層72Bとは、支持基板53を平面視した際の位置が重ならないように配置されることが好ましい。これは、低誘電率層72Aと、低誘電率層72Bとが重なった場所は、半導体装置10の強度が局所的に低下する可能性があるためである。
【0076】
ここで、図14Aに示すように、低誘電率層72A、72Bの各々の平面配置は、ストライプ状であってもよい。上述したように、低誘電率層72A、72Bが延伸する方向は、金属層32の配線方向と平行な方向であってもよく、金属層32の配線方向と垂直な方向であってもよい。ただし、半導体装置10の強度を向上させるためには、低誘電率層72A、72Bが延伸する方向は、金属層32の配線方向と垂直な方向であることが好ましい。また、低誘電率層72A、72Bは、支持基板53を平面視した際に、低誘電率層72Aの間に低誘電率層72Bが配置されるようにすることが好ましい。
【0077】
また、図14Bに示すように、低誘電率層72A、72Bの各々の平面配置は、千鳥状であってもよい。このような場合、低誘電率層72A、72Bを延伸する長さが短くなり、かつ低誘電率層72の配置が金属層32全体に分散するため、形成する低誘電率層72A、72Bの大きさを維持したまま、半導体装置10の強度を向上させることができる。また、低誘電率層72A、72Bを延伸する長さが短い場合、電界が低誘電率層72を回り込むことを防止することができる。さらに、低誘電率層72A、72Bは、それぞれ同一の間隔で配置されることが好ましい。このような場合、低誘電率層72A、72Bの形成を容易に行うことができる。
【0078】
(1.3.第3の構造例)
続いて、図15を参照して、本実施形態に係る半導体装置10の第3の構造例について説明する。図15は、第3の構造例に係る半導体装置10の積層方向の断面図である。
【0079】
図15に示すように、低誘電率層72は、支持基板53まで貫通して形成されてもよい。具体的には、低誘電率層72は、第5絶縁層85、層間絶縁層80、第2絶縁層82、第1絶縁層81、素子分離層56、および埋込み酸化膜54を貫通して、支持基板53まで形成される。
【0080】
このような場合、低誘電率層72の体積を増加させることができるため、金属層32および支持基板53の間の平均的な誘電率を低下させることにより、金属層32および支持基板53の間の寄生容量をさらに減少させることができる。また、支持基板53と、埋込み酸化膜54との界面の面積を減少させることができるため、埋込み酸化膜54におけるプラスの帯電量を減少させることができる。
【0081】
なお、第3の構造例において、低誘電率層72の平面配置は、どのような配置としてもよく、第1の構造例で示したストライプ状、または千鳥状としてもよい。
【0082】
(1.4.第4の構造例)
次に、図16を参照して、本実施形態に係る半導体装置10の第4の構造例について説明する。図16は、第4の構造例に係る半導体装置10の積層方向の断面図である。
【0083】
図16に示すように、半導体装置10は、さらに金属層33と、金属層32との間においても、低誘電率層73が形成されてもよい。具体的には、金属層32(第2メタルに相当)上に、第2絶縁層82と同様の材料(窒化シリコンなど)にて第7絶縁層87が形成される。また、第7絶縁層87上に、酸化シリコンなどで第8絶縁層88、および第9絶縁層89が形成され、第8絶縁層88、および第9絶縁層89の中に低誘電率層73が形成される。また、第9絶縁層89上には、金属層33(第3メタルに相当)が形成され、金属層33は、酸化シリコンなどで形成された第10絶縁層90にて埋め込まれる。
【0084】
このような場合、低誘電率層73は、金属層32と金属層33との間の平均的な誘電率を低下させることにより、金属層32と金属層33との間の寄生容量を減少させることができる。金属層32と金属層33との間の寄生容量は、非線形性は有しないものの、金属層32または金属層33を通過する信号に損失をもたらす。そのため、金属層32と金属層33との間の寄生容量を減少させることにより、半導体装置10をより低損失化することができる。
【0085】
(1.5.第5の構造例)
続いて、図17を参照して、本実施形態に係る半導体装置10の第5の構造例について説明する。図17は、第5の構造例に係る半導体装置10の積層方向の断面図である。
【0086】
図17に示すように、低誘電率層72、73は、支持基板53を平面視した際の金属層32、33の射影領域に少なくとも形成される。また、低誘電率層72は、金属層32の直下を含む近傍の層間絶縁層80に形成されてもよく、低誘電率層73は、金属層33の直下を含む近傍の第8絶縁層88に形成されてもよい。
【0087】
これは、金属層32および支持基板53の間の寄生容量は、金属層32の直下の領域(すなわち、支持基板53を平面視した際の金属層33の射影領域)の層間絶縁層80のみならず、近傍の層間絶縁層80の誘電率にも影響されるためである。また、金属層32および金属層33の間の寄生容量は、金属層33の直下の近傍の領域に金属層32が存在する場合にも発生するためである。
【0088】
低誘電率層72が金属層32の直下を含む近傍の層間絶縁層80に形成される場合、金属層32と支持基板53との間の非線形性を有する寄生容量を減少させることができる。また、低誘電率層73が金属層33の直下を含む近傍の第8絶縁層88に形成される場合、金属層32と金属層33との間の寄生容量を減少させることができる。なお、第5の構造例において、低誘電率層72,73の平面配置は、どのような配置としてもよく、第2の構造例で示したストライプ状、または千鳥状としてもよい。
【0089】
(1.6.第6の構造例)
次に、図18を参照して、本実施形態に係る半導体装置10の第6の構造例について説明する。図18は、第6の構造例に係る半導体装置10の積層方向の断面図である。
【0090】
図18に示すように、低誘電率層72、74は、パッド電極である金属層34と、支持基板53との間に形成されてもよい。具体的には、低誘電率層72は、第2絶縁層82上の層間絶縁層80、および第5絶縁層85の中に形成される。また、低誘電率層74は、第7絶縁層87上の第8絶縁層88、および第9絶縁層89の中に形成される。また、第9絶縁層89上にパッド電極である金属層34が形成され、金属層34は、第10絶縁層90にて埋め込まれる。
【0091】
このような場合、低誘電率層72、74は、パッド電極である金属層34と、支持基板53との間の非線形性を有する寄生容量を減少させることができる。これにより、半導体装置10の非線形容量を減少させることができる。なお、第6の構造例において、低誘電率層72、74の平面配置は、どのような配置としてもよく、第3の構造例で示したストライプ状、または千鳥状としてもよい。
【0092】
<2.半導体装置の製造方法>
次に、図19図30を参照して、本実施形態に係る半導体装置10の製造方法について説明する。図19図30は、本実施形態に係る半導体装置10の製造工程を示した積層方向の断面図である。
【0093】
まず、図19に示すように、支持基板53の上に埋込み酸化膜54、および半導体層50が形成されたSOI基板55が用意される。SOI基板55の半導体層50には、例えば、STI法、またはLOCOS法によって素子分離層56が形成され、素子分離層56によって離隔されたトランジスタ領域が形成される。
【0094】
次に、例えば、熱酸化法などによって酸化シリコン膜のインプラスルー膜(図示せず)が形成され、酸化シリコン膜が形成されたトランジスタ領域にウェルインプランテーション、およびチャネルインプランテーションが施される。なお、インプラスルー膜は、ウェルインプランテーション、およびチャネルインプランテーションが施された後、除去される。
【0095】
続いて、図20に示すように、熱酸化法などによって酸化シリコンからなるゲート酸化膜23が、例えば、5nm〜10nmの厚みにて形成される。その後、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などによってポリシリコンからなるゲート電極材料膜(図示せず)が、例えば、150nm〜200nmの厚みにて形成される。さらに、ゲート電極材料膜をフォトリソグラフィおよびエッチングによって加工することによって、ゲート酸化膜23を介して半導体層50の上にゲート電極20が形成される。
【0096】
次に、図21に示すように、ゲート電極20およびオフセットスペーサ(図示せず)をマスクとして、ヒ素(As)またはリン(P)のインプランテーションIMPLが施され、ゲート電極20の両側にエクステンション領域52S、52Dが形成される。さらに、ゲート電極20の側面にサイドウォール(図示せず)が形成された後、ヒ素(As)またはリン(P)のインプランテーションが施される。これにより、ゲート電極20の両側の半導体層50にソース領域50S、およびドレイン領域50Dが形成される。サイドウォールは、ソース領域50S、およびドレイン領域50Dを形成した後、除去される。
【0097】
続いて、図22に示すように、ソース領域50S、およびドレイン領域50Dが形成された後、ゲート電極20および半導体層50の上に、CVD法などによって酸化シリコンからなる第1絶縁層81が、例えば、10nm〜30nmの厚みにて形成される。
【0098】
次に、図23に示すように、第1絶縁層81の上に、CVD法などによって窒化シリコン(Siなど)からなる第2絶縁層82が、例えば、5nm〜30nmの厚みにて形成される。なお、窒化シリコンは、酸化シリコンに対してエッチングレートが異なるため、後述する第3絶縁層83、および第4絶縁層84のエッチング時にエッチングが過剰に進行することを防止することができる。
【0099】
続いて、図24に示すように、第2絶縁層82の上に、CVD法などによって酸化シリコンからなる第3絶縁層83が、例えば、500nm〜1000nmの厚みにて形成される。
【0100】
次に、図25に示すように、第3絶縁層83が形成された後、フォトリソグラフィおよびエッチングによって第3絶縁層83、第2絶縁層82、および第1絶縁層81の一部が除去され、ソース領域50Sおよびドレイン領域50Dにコンタクトホール(図示せず)が形成される。コンタクトホールが形成された後、コンタクトホールを介して、高濃度のヒ素(As)またはリン(P)によるインプランテーションIMPLが施されることによって、低抵抗領域51S、51Dが形成される。
【0101】
低抵抗領域51S、51Dが形成された後、コンタクトホール内に、チタン層、窒化チタン層、およびタングステン層の積層構造をもつコンタクトプラグ60S、60Dが形成される。なお、コンタクトプラグ60S、60Dは、ソース領域50S、およびドレイン領域50Dの上に形成される。
【0102】
続いて、図26に示すように、コンタクトプラグ60S、60Dの上に、アルミニウム(Al)よりなるソース電極30S、およびドレイン電極30D(第1メタルM1に相当)が形成される。また、ソース電極30S、およびドレイン電極30Dが形成された後、第3絶縁層83、ソース電極30S、およびドレイン電極30Dの上に、CVD法などにより、酸化シリコンからなる第4絶縁層84が形成される。
【0103】
次に、図27に示すように、第4絶縁層84が形成された後、フォトリソグラフィおよびドライエッチングによって開口P1、P2、P3が形成される。開口P1は、半導体層50のソース電極30Sおよびドレイン電極30Dの間の領域に形成される。また、開口P2、P3は、以降の工程において、金属層32、33が形成される領域に形成される。なお、開口P1、P2、P3の幅は、例えば、100nm〜1000nmとしてもよい。
【0104】
このとき、第2絶縁層82がエッチングストッパーとして機能するため、開口P1、P2、P3のエッチングは、酸化シリコンからなる第4絶縁層84および第3絶縁層83を貫通して進行し、第2絶縁層82の上面にて停止する。
【0105】
続いて、図28に示すように、第4絶縁層84の上に、例えば、CVD法などによって酸化シリコンからなる第5絶縁層85が形成される。第5絶縁層85は、開口P1、P2、P3の上部を覆いかぶさるように堆積する。したがって、開口P1、P2、P3は、第5絶縁層85によって埋め込まれる前に、開口P1、P2、P3の上部が閉塞され、開口P1、P2、P3の内部には、空隙である低誘電率層71、72、73が形成される。なお、開口P1、P2、P3の側面および底面は、第5絶縁層85によって被覆されていてもよい。
【0106】
したがって、低誘電率層71、72、73を同時に形成した場合、低誘電率層71、72、73の各々の上端または下端の少なくともいずれかは、同一層に設けられることになる。低誘電率層71、72、73を同時に形成した場合、半導体装置10の製造工程を簡略化することができる。
【0107】
低誘電率層71、72、73は、例えば、空隙であるため、第3絶縁層83、第4絶縁層84、および第5絶縁層85(例えば、酸化シリコン)よりも誘電率が低くなる。なお、低誘電率層71、72、73は、空気が存在していてもよく、真空であってもよい。
【0108】
また、低誘電率層71、72、73は、第3絶縁層83、第4絶縁層84、および第5絶縁層85(例えば、酸化シリコン)よりも誘電率が低い材料(例えば、SiOC、無機SOG、および有機SOGなど)にて開口P1、P2、P3の内部を充填することで形成されてもよい。例えば、低誘電率層71、72、73は、CVD法などによって、開口P1、P2、P3をSiOCで埋め込むことで形成されてもよい。また、低誘電率層71、72、73は、スピンコート法などによって、開口P1、P2、P3を無機または有機SOGで埋め込むことで形成されてもよい。
【0109】
次に、図29に示すように、第5絶縁層85の上、かつ低誘電率層72が形成された領域の上方にアルミニウム(Al)からなる金属層32が形成される。金属層32は、電界効果トランジスタの各種電極と接続される配線層であり、第2メタルに相当する。また、金属層32、および第5絶縁層85の上に、CVD法などによって酸化シリコンからなる第6絶縁層86が形成される。
【0110】
続いて、図30に示すように、第6絶縁層86の上、かつ低誘電率層73が形成された領域の上方に、アルミニウム(Al)よりなる金属層33が形成される。金属層33は、電界効果トランジスタの各種電極と接続される配線層、またはパッド電極などであり、第3メタルに相当する。さらに、金属層33、および第6絶縁層86の上に、CVD法などによって酸化シリコンからなる第7絶縁層87が形成される。
【0111】
以上の工程により、本実施形態に係る半導体装置10を製造することができる。本実施形態に係る半導体装置10は、配線または電極の少なくともいずれかである金属層32、33と、支持基板53との間の非線形性を有する容量を低減することができる。これにより、本実施形態に係る半導体装置10は、非線形性が低下するため、半導体装置10を用いた回路では、入出力信号以外の信号(すなわち、信号の歪み)が発生することを抑制することができる。
【0112】
なお、上記の実施形態にて説明した各層の形状、材料、厚み、および成膜方法等は、上記例示に限定されるものではなく、他の形状、材料、厚み、および成膜方法を用いてもよいことはいうまでもない。
【0113】
<3.適用例>
さらに、図31を参照して、本実施形態に係る半導体装置10の適用例について説明する。図31は、本実施形態に係る半導体装置10の適用例である無線通信装置の一例を示すブロック図である。
【0114】
図31に示すように、無線通信装置3は、例えば、音声、データ通信、LAN(Local Area Network)接続などの機能を有する携帯電話システムである。無線通信装置3は、例えば、アンテナANTと、高周波スイッチ1と、高電力増幅器HPAと、高周波集積回路RFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)と、ベースバンド部BBと、音声出力部MICと、データ出力部DTと、外部インタフェース部I/F(例えば、無線LAN、Bluetooth(登録商標)など)と、を備える。
【0115】
高周波スイッチ1は、例えば、図1、2および7にて説明した高周波スイッチにより構成される。また、高周波集積回路RFICと、ベースバンド部BBとは、内部インタフェースにより接続されている。
【0116】
無線通信装置3において、送信系から送信信号をアンテナANTへと出力する場合、ベースバンド部BBから出力された送信信号は、高周波集積回路RFIC、高電力増幅器HPA、および高周波スイッチ1を介してアンテナANTへと出力される。
【0117】
また、無線通信装置3において、受信信号を受信系へ入力する場合、アンテナANTにて受信した受信信号は、高周波スイッチ1および高周波集積回路RFICを介してベースバンド部BBに入力される。ベースバンド部BBで処理された受信信号は、音声出力部MIC、データ出力部DT、および外部インタフェース部I/Fなどの出力部から出力される。
【0118】
なお、上記では、本実施形態に係る半導体装置10を無線通信装置3の高周波スイッチ1に適用した場合について説明したが、本開示に係る技術は、上記に限定されない。例えば、本実施形態に係る半導体装置10は、高周波スイッチ(RF−SW)以外の増幅器(Power Amplifier:PA)などの他の高周波デバイスに適用することも可能である。
【0119】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0120】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0121】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
電界効果トランジスタが設けられたトランジスタ領域と、
前記電界効果トランジスタと電気的に接続された金属層が設けられた配線領域と、
を備え、
前記配線領域は、
前記金属層と基板との間に設けられた絶縁層と、
前記金属層の下の前記絶縁層に設けられ、前記絶縁層よりも誘電率が低い低誘電率層と、
を備える、半導体装置。
(2)
前記低誘電率層は、複数設けられ、
前記低誘電率層の各々は、ストライプ状に配置される、前記(1)に記載の半導体装置。
(3)
前記低誘電率層は、複数設けられ、
前記低誘電率層の各々は、千鳥状に配置される、前記(1)に記載の半導体装置。
(4)
前記絶縁層は、複数層設けられ、
前記低誘電率層は、前記絶縁層の各々に設けられる、前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(5)
前記絶縁層の各々に設けられた前記低誘電率層は、前記基板を平面視した際に重ならないように配置される、前記(4)に記載の半導体装置。
(6)
前記絶縁層の各々に設けられた前記低誘電率層は、前記基板を平面視した際に千鳥状に配置される、前記(5)に記載の半導体装置。
(7)
前記低誘電率層は、前記基板まで貫通して設けられる、前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(8)
前記金属層の上に、金属間絶縁層を介してさらに上部金属層が設けられ、
前記金属層と、前記上部金属層との間の前記金属間絶縁層には、前記金属間絶縁層よりも誘電率が低い金属間低誘電率層が設けられる、前記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(9)
前記低誘電率層は、前記基板を平面視した際の前記金属層の射影領域に少なくとも設けられる、前記(1)〜(8)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(10)
前記金属層は、前記電界効果トランジスタと電気的に接続された配線または電極のいずれかである、前記(1)〜(9)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(11)
前記低誘電率層は、複数設けられ、
前記低誘電率層の各々の上端または下端の少なくともいずれかは、同一層に設けられる、前記(1)〜(10)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(12)
前記電界効果トランジスタは、高周波デバイス用の電界効果トランジスタである、前記(1)〜(11)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(13)
トランジスタ領域に電界効果トランジスタを形成する工程と、
前記電界効果トランジスタと電気的に接続された金属層が設けられる配線領域、および前記トランジスタ領域を絶縁層で埋め込む工程と、
前記絶縁層に、前記絶縁層よりも誘電率が低い低誘電率層を形成する工程と、
前記低誘電率層の上に、前記金属層を形成する工程と、
を含む、半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0122】
1 高周波スイッチ
10 半導体装置
20 ゲート電極
23 ゲート酸化膜
30D ドレイン電極
30S ソース電極
32、33、34 金属層
50 半導体層
50D ドレイン領域
50S ソース領域
51D、51S 低抵抗領域
52D、52Sエクステンション領域
53 支持基板
54 埋込み酸化膜
56 素子分離層
60D、60S コンタクトプラグ
71、72、73 低誘電率層
81 第1絶縁層
82 第2絶縁層
83 第3絶縁層
84 第4絶縁層
85 第5絶縁層
86 第6絶縁層
87 第7絶縁層
図1
図2
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