特許第6973676号(P6973676)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6973676活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、コーティング剤キット、硬化物及び積層物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6973676
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、コーティング剤キット、硬化物及び積層物
(51)【国際特許分類】
   C08F 292/00 20060101AFI20211118BHJP
   C08F 2/50 20060101ALI20211118BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20211118BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20211118BHJP
   C09C 1/30 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   C08F292/00
   C08F2/50
   C09D4/02
   C09D7/63
   C09C1/30
【請求項の数】5
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2021-43231(P2021-43231)
(22)【出願日】2021年3月17日
【審査請求日】2021年3月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石嶋 優樹
(72)【発明者】
【氏名】冨樫 春久
(72)【発明者】
【氏名】平崎 正和
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 理緒
(72)【発明者】
【氏名】小谷野 浩壽
【審査官】 工藤 友紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−307152(JP,A)
【文献】 特開2015−093400(JP,A)
【文献】 特開平10−183016(JP,A)
【文献】 特開2019−152836(JP,A)
【文献】 特開2016−203528(JP,A)
【文献】 特開2016−090722(JP,A)
【文献】 国際公開第2018/186241(WO,A1)
【文献】 添加剤ドットコム Omnirad127,[検索日 2021.04.22],インターネット <URL:https://www.tenkazai.com/product-igm/omnirad127.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00−301/00
C08L 33/00− 30/26
C09D 4/02
C09D 7/63
C09C 1/30
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリロイル基含有中実シリカ粒子、
ポリ(メタ)アクリレート及び
α−ヒドロキシジメチルアセトフェノン基含有光重合開始剤を含み、
前記光重合開始剤の含有量は、固形分100質量%に対し1質量%以上である、
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(メタ)アクリロイル基含有中実シリカ粒子の含有量は、固形分100質量%に対し30質量%以上である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であるコーティング剤A及び
α−ヒドロキシジメチルアセトフェノン基含有光重合開始剤を含まないコーティング剤Bを含む、コーティング剤キット。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及び/又は請求項3に記載のコーティング剤キットの硬化物。
【請求項5】
請求項4に記載の硬化物を含む、積層物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、コーティング剤キット、硬化物及び積層物に関する。
【背景技術】
【0002】
各種基材表面に活性エネルギー線によりコーティング層を形成できる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が開発されている。このような活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、コロイダルシリカを含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭62−021815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、用途によって様々な物性が求められる。本発明が解決しようとする課題は、良好な耐擦傷性及び鉛筆硬度を有する硬化物を製造できる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の組成を有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物により、上記課題が解決されることを見出した。
【0006】
本開示により以下の項目が提供される。
(項目1)
(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子、
ポリ(メタ)アクリレート及び
α−ヒドロキシジメチルアセトフェノン基含有光重合開始剤を含み、
前記光重合開始剤の含有量は、固形分100質量%に対し1質量%以上である、
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(項目2)
前記(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子の含有量は、固形分100質量%に対し30質量%以上である、上記項目に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(項目3)
上記項目のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であるコーティング剤A及びα−ヒドロキシジメチルアセトフェノン基含有光重合開始剤を含まないコーティング剤Bを含む、コーティング剤キット。
(項目4)
上記項目のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及び/又は項目3に記載のコーティング剤キットの硬化物。
(項目5)
上記項目に記載の硬化物を含む、積層物。
【0007】
本開示において、上述した1又は複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得る。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いることにより、良好な耐擦傷性及び鉛筆硬度を有する硬化物を製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の全体にわたり、各物性値、含有量等の数値の範囲は、適宜(例えば下記の各項目に記載の上限及び下限の値から選択して)設定され得る。具体的には、数値αについて、数値αの上限及び下限としてA4、A3、A2、A1(A4>A3>A2>A1とする)等が例示される場合、数値αの範囲は、A4以下、A3以下、A2以下、A1以上、A2以上、A3以上、A1〜A2、A1〜A3、A1〜A4、A2〜A3、A2〜A4、A3〜A4等が例示される。
【0010】
[活性エネルギー線硬化性樹脂組成物]
本開示は、(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子、
ポリ(メタ)アクリレート及び
α−ヒドロキシジメチルアセトフェノン基含有光重合開始剤を含み、
前記光重合開始剤の含有量は、固形分100質量%に対し1質量%以上である、
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供する。
【0011】
<(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子>
(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0012】
本開示において「(メタ)アクリル」は「アクリル及びメタクリルからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。同様に「(メタ)アクリレート」は「アクリレート及びメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。また「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル及びメタクリロイルからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0013】
(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子は、シリカ粒子と(メタ)アクリロイル基含有化合物との反応物である。
【0014】
(シリカ粒子)
シリカ粒子は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0015】
シリカ粒子の粒子径の上限及び下限は、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5nm等が例示される。1つの実施形態において、シリカ粒子の粒子径は、5〜100nmが好ましい。
【0016】
シリカ粒子の形状は球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、不定形状等が例示される。1つの実施形態において、シリカ粒子の形状は球状が好ましい。
【0017】
1つの実施形態において、シリカ粒子は、粉体状又は溶媒分散ゾルであることが好ましい。
【0018】
シリカ粒子が溶媒分散ゾルである場合、他の成分との相溶性、分散性の観点から、分散媒は有機溶媒が好ましい。
【0019】
有機溶媒は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0020】
有機溶媒は、ケトン溶媒、芳香族溶媒、アルコール溶媒、グリコール溶媒、グリコールエーテル溶媒、エステル溶媒、石油系溶媒、ハロアルカン溶媒、アミド溶媒等が例示される。
【0021】
ケトン溶媒は、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が例示される。
【0022】
芳香族溶媒は、トルエン、キシレン等が例示される。
【0023】
アルコール溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等が例示される。
【0024】
グリコール溶媒は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が例示される。
【0025】
グリコールエーテル溶媒は、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル等が例示される。
【0026】
エステル溶媒は、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が例示される。
【0027】
石油系溶媒は、ソルベッソ#100(エクソン社製)、ソルベッソ#150(エクソン社製)等が例示される。
【0028】
ハロアルカン溶媒は、クロロホルム等が例示される。
【0029】
アミド溶媒は、ジメチルホルムアミド等が例示される。
【0030】
シリカ粒子(コロイダルシリカ)の市販品は、日産化学(株)製 商品名:メタノールシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL、MEK−ST−L、MIBK−T−L等が例示される。
【0031】
シリカ粒子(粉体シリカ)の市販品は、日本アエロジル(株)製 商品名:アエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルOX50、旭硝子(株)製 商品名:シルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業(株)製 商品名:E220A、E220、富士シリシア(株)製 商品名:SYLYSIA470、日本板硝子(株)製 商品名:SGフレ−ク等が例示される。
【0032】
((メタ)アクリロイル基含有化合物)
(メタ)アクリロイル基含有化合物は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0033】
1つの実施形態において、(メタ)アクリロイル基含有化合物は、式U
【化1】
(式中、Xは、NH、O又はSであり、Yは、O又はSである。)
で表される基を含む。
【0034】
上記基[−X−C(=Y)−NH−]で表される具体的な基は、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]、[−S−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=S)−NH−]、[−S−C(=S)−NH−]の6種である。これらの基は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。1つの実施形態において、熱安定性の観点から、(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子が[−O−C(=O)−NH−]並びに[−O−C(=S)−NH−]及び/又は[−S−C(=O)−NH−]を有することが好ましい。
【0035】
上記基[−X−C(=Y)−NH−]は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化物にした場合、優れた機械的強度、基材との密着性及び耐熱性等の特性を付与せしめるものと考えられる。なお、上記はあくまでも1つの説であり、本発明が上記説に拘束されることを意図するものではない。
【0036】
上記(メタ)アクリロイル基含有化合物は、シラノール基を含む化合物(シラノール基含有化合物ともいう)又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物(シラノール基生成化合物ともいう)であることが好ましい。
【0037】
シラノール基生成化合物は、ケイ素原子上にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン基等を有する化合物等が例示される。1つの実施形態において、シラノール基生成化合物は、アルコキシ基又はアリールオキシ基を含む化合物が好ましい。
【0038】
シラノール基又はシラノール基生成化合物のシラノール基生成部位は、縮合反応又は加水分解に続いて生じる縮合反応によって、シリカ粒子と結合する構成単位である。
【0039】
1つの実施形態において、(メタ)アクリロイル基含有化合物は、下記式S:
【化2】
(式中、Rs1、Rs2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基であり、Rs3はアルキレン基又はアリーレン基であり、Rs4は2価の有機基であり、Rs5は(s’’+1)価の有機基であり、Zは(メタ)アクリロイル基であり、s’は1、2又は3であり、s’’は1〜20の整数である。)
で表される化合物が好ましい。
【0040】
アルキル基は、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基等が例示される。
【0041】
直鎖アルキル基は、−C2n+1(nは1以上の整数)の一般式で表される。直鎖アルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、ウンデシル基、ドデシル基(ラウリル基)、トリデシル基、テトラデシル基(ミリスチル基)、ペンタデシル基、ヘキサデシル基(パルミチル基)、ヘプタデシル基、オクタデシル基(ステアリル基)、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が例示される。
【0042】
分岐アルキル基は、直鎖アルキル基の少なくとも1つの水素原子がアルキル基によって置換された基である。分岐アルキル基は、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ジエチルペンチル基、トリメチルブチル基、トリメチルペンチル基、トリメチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基等が例示される。
【0043】
シクロアルキル基は、単環シクロアルキル基、架橋環シクロアルキル基、縮合環シクロアルキル基等が例示される。
【0044】
本開示において、単環は、炭素の共有結合により形成された内部に橋かけ構造を有しない環状構造を意味する。また、縮合環は、2つ以上の単環が2個の原子を共有している(すなわち、それぞれの環の辺を互いに1つだけ共有(縮合)している)環状構造を意味する。架橋環は、2つ以上の単環が3個以上の原子を共有している環状構造を意味する。
【0045】
単環シクロアルキル基は、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、3,5,5−トリメチルシクロヘキシル基等が例示される。
【0046】
架橋環シクロアルキル基は、トリシクロデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基等が例示される。
【0047】
縮合環シクロアルキル基は、ビシクロデシル基等が例示される。
【0048】
アリール基は、単環アリール基、縮合環アリール基等が例示される。またアリール基は、1個以上の水素原子が直鎖又は分岐アルキル基によって置換されていてもよい。
【0049】
単環アリール基は、フェニル基、トリル基、メシチル基等が例示される。
【0050】
縮合環アリール基は、ナフチル基等が例示される。
【0051】
式S中、(Rs1O)s’s23−s’Si−で示される基は、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等が例示される。これらのうち、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基が好ましい。
【0052】
アルキレン基は、直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基、シクロアルキレン基等が例示される。
【0053】
直鎖アルキレン基は一般式:−(CH−(nは1以上の整数)で表される。直鎖アルキレン基は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、n−ヘプチレン基、n−オクチレン基、n−ノニレン基、n−デカメチレン基等が例示される。
【0054】
分岐アルキレン基は、直鎖アルキレン基の少なくとも1つの水素原子がアルキル基によって置換された基である。分岐アルキレン基は、ジエチルペンチレン基、トリメチルブチレン基、トリメチルペンチレン基、トリメチルヘキシレン基(トリメチルヘキサメチレン基)等が例示される。
【0055】
シクロアルキレン基は、単環シクロアルキレン基、架橋環シクロアルキレン基、縮合環シクロアルキレン基等が例示される。またシクロアルキレン基は、1個以上の水素原子が直鎖又は分岐アルキル基によって置換されていてもよい。
【0056】
単環シクロアルキレン基は、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロデシレン基、3,5,5−トリメチルシクロヘキシレン基等が例示される。
【0057】
架橋環シクロアルキレン基は、トリシクロデシレン基、アダマンチレン基、ノルボルニレン基等が例示される。
【0058】
縮合環シクロアルキレン基は、ビシクロデシレン基等が例示される。
【0059】
アリーレン基は、単環アリーレン基、縮合環アリーレン基等が例示される。またアリーレン基は、1個以上の水素原子が直鎖又は分岐アルキル基によって置換されていてもよい。
【0060】
単環アリーレン基は、フェニレン基、トリレン基、メシチレン基等が例示される。
【0061】
縮合環アリール基は、ナフチレン基等が例示される。
【0062】
式S中、Rs4は2価の有機基である。
【0063】
s4の分子量は14から1万が好ましく、76から500がより好ましい。
【0064】
s4はアルキレン基、アリーレン基等が例示される。Rs4は炭素原子及び水素原子以外の元素を含んでいてもよく、ポリエーテル結合、ポリエステル結合、ポリアミド結合、ポリカーボネート結合、さらには上記式Uに示す基を含むこともできる。
【0065】
式S中、Rs5は(s’’+1)価の有機基であり、好ましくは鎖状、分岐状又は環状の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基の中から選ばれる。
【0066】
s5は、
【化3】
(s’’’は0〜2の整数である。)
等が例示される。
【0067】
式S中、s’’は1〜20の整数であり、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。
【0068】
式Sで表される(メタ)アクリロイル基含有化合物の合成方法は、特開平9−100111号公報に記載された方法等が例示される。すなわち、(メタ)アクリロイル基含有化合物の合成方法は、(A)メルカプトアルコキシシランとポリイソシアネートと活性水素基含有(メタ)アクリレートとの付加反応、(B)アルコキシシリル基及びイソシアネート基を有する化合物と活性水素含有(メタ)アクリレートとの反応、(C)(メタ)アクリロイル基及びイソシアネート基を有する化合物とメルカプトアルコキシシラン又はアミノシランとの付加反応等が例示される。
【0069】
1つの実施形態において、式Sで表される(メタ)アクリロイル基含有化合物の合成方法は、上記(A)の方法が好ましい。より詳細には、
(A1)法;まずメルカプトアルコキシシランとポリイソシアネートとを反応させることで、アルコキシシリル基、[−S−C(=O)NH−]基及びイソシアネート基を含む中間体を形成する工程、当該中間体と水酸基含有(ポリ)(メタ)アクリレートを反応させて、[−O−C(=O)NH−]結合を形成する工程を含む方法
(A2)法;まずポリイソシアネートと水酸基含有(ポリ)(メタ)アクリレートとを反応させることで(メタ)アクリロイル基、[−O−C(=O)NH−]基、及びイソシアネート基を含む中間体を形成する工程、当該中間体にメルカプトアルコキシシランを反応させて[−S−C(=O)−NH−]結合を形成させる工程を含む方法
等が例示される。マイケル付加反応による重合性不飽和基の減少がない点で(A1)法が好ましい。
【0070】
メルカプトアルコキシシランは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0071】
メルカプトアルコキシシランは、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、メルカプトプロピルメトキシジメチルシラン、メルカプトプロピルトリフェノキシシシラン、メルカプトプロピルトリブトキシシシラン等が例示される。
【0072】
1つの実施形態において、メルカプトアルコキシシランは、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシランが好ましい。
【0073】
メルカプトアルコキシシランの市販品は、東レ・ダウ・コーニング(株)製 商品名:SH6062等が例示される。また、アミノ置換アルコキシシランとエポキシ基置換メルカプタンとの付加生成物、エポキシシランとα,ω−ジメルカプト化合物との付加生成物を利用することもできる。
【0074】
ポリイソシアネートは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0075】
本開示において、「ポリイソシアネート」は、2個以上のイソシアネート基(−N=C=O)を有する化合物である。
【0076】
ポリイソシアネートは、直鎖脂肪族ポリイソシアネート、分岐脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート並びにこれらのビウレット体、イソシアヌレート体、アロファネート体、アダクト体等が例示される。
【0077】
直鎖脂肪族ポリイソシアネートは、メチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート等が例示される。
【0078】
分岐脂肪族ポリイソシアネートは、ジエチルペンチレンジイソシアネート、トリメチルブチレンジイソシアネート、トリメチルペンチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が例示される。
【0079】
脂環族ポリイソシアネートは、単環脂環族ポリイソシアネート、架橋環脂環族ポリイソシアネート、縮合環脂環族ポリイソシアネート等が例示される。
【0080】
単環脂環族ポリイソシアネートは、水添キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、シクロヘプチレンジイソシアネート、シクロデシレンジイソシアネート、3,5,5−トリメチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が例示される。
【0081】
架橋環脂環族ポリイソシアネートは、トリシクロデシレンジイソシアネート、アダマンタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が例示される。
【0082】
縮合環脂環族ポリイソシアネートは、ビシクロデシレンジイソシアネート等が例示される。
【0083】
芳香族ポリイソシアネートは、単環芳香族ポリイソシアネート、縮合環芳香族ポリイソシアネート等が例示される。
【0084】
単環芳香族ポリイソシアネートは、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート等のジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルテトラメチルメタンジイソシアネート等のテトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が例示される。
【0085】
縮合環芳香族ポリイソシアネートは、1,5−ナフチレンジイソシアネート等が例示される。
【0086】
水酸基含有(ポリ)(メタ)アクリレートは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0087】
水酸基含有(ポリ)(メタ)アクリレートは、水酸基含有(メタ)アクリレート、水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0088】
水酸基含有(メタ)アクリレートは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0089】
水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートは、後述のポリ(メタ)アクリレートのうち、酸素原子に直接共有結合している水素原子を有する化合物等が例示される。
【0090】
1つの実施形態において、水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートは、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0091】
1つの実施形態において、水酸基含有(ポリ)(メタ)アクリレートは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0092】
1つの実施形態において、(メタ)アクリロイル基含有化合物は、式U
【化4】
(式中、Xは、NH、O又はSであり、Yは、O又はSである。)
で表される基を含まない。
【0093】
式Uで表される基を含まない(メタ)アクリロイル基含有化合物は、式U1
【化5】
(式中、Zは(メタ)アクリロイル基であり、Ru1はアルキレン基又はアリーレン基であり、Ru2はアルキル基又はアリール基であり、uは、1〜3の整数である。)
等が例示される。
【0094】
式U1で表される化合物は、トリ(メタ)アクリロキシエチルモノメトキシシラン、ジ(メタ)アクリロキシエチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、トリ(メタ)アクリロキシプロピルモノメトキシシラン、ジ(メタ)アクリロキシプロピルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリ(メタ)アクリロキシプロピルモノエトキシシラン、ジ(メタ)アクリロキシプロピルジエトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、トリ(メタ)アクリロキシプロピルモノフェノキシシラン、ジ(メタ)アクリロキシプロピルジフェノキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリフェノキシシラン等が例示される。
【0095】
(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子の製造方法は、アルコキシシランを加水分解し、アルコキシシラン加水分解物を得る工程、アルコキシシラン加水分解物と粉体シリカ粒子又はシリカ粒子の溶媒分散ゾルを混合し、加熱、攪拌操作を行う工程を含む方法、アルコキシシランの加水分解をシリカ粒子の存在下で行う方法等が例示される。1つの実施形態において、(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子の製造方法は、アルコキシシランの加水分解をシリカ粒子の存在下で行う方法が好ましい。
【0096】
(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子製造時、その温度は、0〜150℃が好ましく、20〜100℃がより好ましい。また、反応時間は5分〜24時間が好ましい。
【0097】
(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子製造時において、反応を円滑・均一に進行させる目的で、水と均一に相溶する有機溶媒を添加してもよい。有機溶媒の添加量は反応を円滑、均一に行わせる目的に合う限り特に制限はない。
【0098】
(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子製造時において、反応を促進するため、触媒として酸、塩又は塩基を添加してもよい。
【0099】
(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子製造時において、反応を促進するため、脱水剤を添加してもよい。
【0100】
脱水剤は、ゼオライト、無水シリカ、無水アルミナ等の無機脱水剤、オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル、テトラエトキシメタン、テトラブトキシメタン等の有機脱水剤等が例示される。1つの実施形態において、脱水剤は、有機脱水剤が好ましく、オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル等のオルトエステル類がより好ましい。
【0101】
(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子に結合したアルコキシシランの量は、乾燥粉体を空気中で完全に燃焼させた場合の質量減少%の恒量値として、空気中で110℃から800℃までの熱重量分析により求められ得る。
【0102】
(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子の粒子径の上限及び下限は、150、145、140、135、130、125、120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5nm等が例示される。1つの実施形態において、(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子の粒子径は、5〜150nmが好ましい。
【0103】
本開示において、粒子径の測定は、JIS Z8828:2013に準拠し、市販の測定機(製品名「DYNAMIC LIGHT SCATTERING NANOPARTICLE SIZE ANALYZER LB−550」、(株)堀場製作所)を用いた動的光散乱法による粒度分布測定によって行う。本明細書において、粒子径の測定は、JIS Z8828:2013に準拠し、市販の測定機(製品名「DYNAMIC LIGHT SCATTERING NANOPARTICLE SIZE ANALYZER LB−550」、(株)堀場製作所)を用いた動的光散乱法による粒度分布測定によって行う。 本明細書において、粒子径の測定は、JIS Z8828:2013に準拠し、市販の測定機(製品名「DYNAMIC LIGHT SCATTERING NANOPARTICLE SIZE ANALYZER LB−550」、(株)堀場製作所)を用いた動的光散乱法による粒度分布測定によって行う。 本明細書において、粒子径の測定は、JIS Z8828:2013に準拠し、市販の測定機(製品名「DYNAMIC LIGHT SCATTERING NANOPARTICLE SIZE ANALYZER LB−550」、(株)堀場製作所)を用いた動的光散乱法による粒度分布測定によって行う。
【0104】
1つの実施形態において、(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子は、式U
【化6】
(式中、Xは、NH、O又はSであり、Yは、O又はSである。)
で表される基を含む。
【0105】
1つの実施形態において、(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子は、式U
【化7】
(式中、Xは、NH、O又はSであり、Yは、O又はSである。)
で表される基を含まない。
【0106】
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物固形分100質量%中の(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子の含有量の上限及び下限は、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は30質量%以上が好ましく、30〜85質量%がより好ましい。
【0107】
<ポリ(メタ)アクリレート>
本開示において、ポリ(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物を意味する。ポリ(メタ)アクリレートは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0108】
ポリ(メタ)アクリレートは、(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、(ポリ)トリメチロールプロパンポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、(ポリ)グリセリンポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、イソシアヌレート構造含有ポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、(ポリ)アルキレンジ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート等が例示される。
【0109】
ポリ(メタ)アクリレートが有する(メタ)アクリロイル基の数の上限及び下限は、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3等が例示される。1つの実施形態において、上記数は3〜20が好ましい。
【0110】
<(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート>
(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレートは、式(A’)等で表される化合物である。
【化8】
[式中、nは0〜2の整数であり、Rb1’〜Rb6 ’は、それぞれ独立に水素原子、
【化9】
{式中、qはそれぞれ独立に0〜16の整数であり、R1’〜R3’はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基であり、R1’は各単位ごとに基が異なっていてもよい。}
であり、
b4’、及びRb5’は各構成単位ごとに基が異なっていてもよく、
式(A)中において
【化10】
{式中、qは0〜16の整数であり、R1’〜R3 ’はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基であり、R1’は各単位ごとに基が異なっていてもよい。}
が2個以上含まれる。]
【0111】
なお、本開示において「各構成単位ごとに基が異なっていてもよい」は、例えば式(A’)において、nが2であるとき、
【化11】
b4AとRb4Bとは異なる基であってよく、Rb5AとRb5Bとは異なる基であってよいことを意味する。
【0112】
本開示において「(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート」は、「ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリエポキシ変性(メタ)アクリレート、ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ポリペンタエリスリトールポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、及びポリペンタエリスリトールポリエポキシ変性(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0113】
ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートは、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0114】
ペンタエリスリトールポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートは、ペンタエリスリトールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールテトラ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールテトラ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)等が例示される。
【0115】
ペンタエリスリトールポリエポキシ変性(メタ)アクリレートは、ペンタエリスリトールジエポキシ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリエポキシ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラエポキシ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0116】
ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートは、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0117】
ポリペンタエリスリトールポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートは、ジペンタエリスリトールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジペンタエリスリトールトリ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジペンタエリスリトールテトラ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジペンタエリスリトールペンタ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジペンタエリスリトールジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジペンタエリスリトールトリ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジペンタエリスリトールテトラ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジペンタエリスリトールペンタ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールトリ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールテトラ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールペンタ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールヘキサ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールヘプタ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールオクタ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールトリ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールテトラ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールペンタ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールヘキサ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールヘプタ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールオクタ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)等が例示される。
【0118】
ポリペンタエリスリトールポリエポキシ変性(メタ)アクリレートは、ジペンタエリスリトールジエポキシ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリエポキシ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラエポキシ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタエポキシ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサエポキシ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールジエポキシ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリエポキシ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラエポキシ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタエポキシ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサエポキシ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタエポキシ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタエポキシ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0119】
<(ポリ)トリメチロールプロパンポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート>
(ポリ)トリメチロールプロパンポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレートは式(B’)等で表される化合物である。
【化12】
[式中、mは0〜2の整数であり、Rb7’〜Rb10 ’は、それぞれ独立に水素原子、
【化13】
{式中、qはそれぞれ独立に0〜16の整数であり、R1’〜R3’はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基であり、R1’は各単位ごとに基が異なっていてもよい。}
であり、
b9’は各構成単位ごとに基が異なっていてもよく、
式(B)中において
【化14】
{式中、qは0〜16の整数であり、R1’〜R3 ’はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基であり、R1’は各単位ごとに基が異なっていてもよい。}
が2個以上含まれる。]
【0120】
本開示において「(ポリ)トリメチロールプロパンポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート」は、「トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエポキシ変性(メタ)アクリレート、ポリトリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート、ポリトリメチロールプロパンポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、及びポリトリメチロールプロパンポリエポキシ変性(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0121】
トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレートは、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0122】
トリメチロールプロパンポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートは、トリメチロールプロパンジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリメチロールプロパントリ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリメチロールプロパンジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリメチロールプロパントリ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)等が例示される。
【0123】
トリメチロールプロパンポリエポキシ変性(メタ)アクリレートは、トリメチロールプロパンジエポキシ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエポキシ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0124】
ポリトリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレートは、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0125】
ポリトリメチロールプロパンポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートは、ジトリメチロールプロパンジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジトリメチロールプロパントリ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジトリメチロールプロパンテトラ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジトリメチロールプロパンジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジトリメチロールプロパントリ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジトリメチロールプロパンテトラ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)等が例示される。
【0126】
ポリトリメチロールプロパンポリエポキシ変性(メタ)アクリレートは、ジトリメチロールプロパンジエポキシ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリエポキシ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラエポキシ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0127】
<(ポリ)グリセリンポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート>
(ポリ)グリセリンポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレートは、式(C’)等で表される化合物である。
【化15】
[式中、pは0〜7の整数であり、Rb11’〜Rb14 ’は、それぞれ独立に水素原子、
【化16】
{式中、qは0〜16の整数であり、R1’〜R3’はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基であり、R1’は各単位ごとに基が異なっていてもよい。}
であり、
b13’は各構成単位ごとに基が異なっていてもよく、
式(C)中において
【化17】
{式中、qは0〜16の整数であり、R1’〜R3 ’はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基であり、R1’は各単位ごとに基が異なっていてもよい。}
が2個以上含まれる。]
【0128】
本開示において「(ポリ)グリセリンポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート」は、「グリセリンポリ(メタ)アクリレート、グリセリンポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、グリセリンポリエポキシ変性(メタ)アクリレート、ポリグリセリンポリ(メタ)アクリレート、ポリグリセリンポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、及びポリグリセリンポリエポキシ変性(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0129】
グリセリンポリ(メタ)アクリレートは、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0130】
グリセリンポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートは、グリセリンジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、グリセリントリ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、グリセリンジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、グリセリントリ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)等が例示される。
【0131】
グリセリンポリエポキシ変性(メタ)アクリレートは、グリセリンジエポキシ(メタ)アクリレート、グリセリントリエポキシ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0132】
ポリグリセリンポリ(メタ)アクリレートは、ジグリセリンジ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、トリグリセリンジ(メタ)アクリレート、トリグリセリントリ(メタ)アクリレート、トリグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、トリグリセリンペンタ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0133】
ポリグリセリンポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートは、ジグリセリンジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジグリセリントリ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジグリセリンテトラ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリグリセリンジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリグリセリントリ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリグリセリンテトラ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリグリセリンペンタ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)ジグリセリンジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジグリセリントリ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジグリセリンテトラ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリグリセリンジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリグリセリントリ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリグリセリンテトラ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリグリセリンペンタ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)等が例示される。
【0134】
ポリグリセリンポリエポキシ変性(メタ)アクリレートは、ジグリセリンジエポキシ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリエポキシ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラエポキシ(メタ)アクリレート、トリグリセリンジエポキシ(メタ)アクリレート、トリグリセリントリエポキシ(メタ)アクリレート、トリグリセリンテトラエポキシ(メタ)アクリレート、トリグリセリンペンタエポキシ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0135】
<イソシアヌレート構造含有ポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート>
イソシアヌレート構造含有ポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレートは、式(D’)等で表される化合物である。
【化18】
[式中、Rb15’〜Rb17 ’は、それぞれ独立に水素原子、
【化19】
{式中、qは0〜16の整数であり、R1’〜R3’はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基であり、R1’は各単位ごとに基が異なっていてもよい。}
であり、式(D)中において
【化20】
{式中、qは0〜16の整数であり、R1’〜R3 ’はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基であり、R1’は各単位ごとに基が異なっていてもよい。}
が2個以上含まれる。]
【0136】
本開示において「イソシアヌレート構造含有ポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート」は、「イソシアヌレート構造含有ポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌレート構造含有ポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、及びイソシアヌレート構造含有ポリエポキシ変性(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0137】
イソシアヌレート構造含有ポリ(メタ)アクリレートは、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0138】
上記イソシアヌレート構造含有ポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートは、イソシアヌル酸ジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、イソシアヌル酸トリ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)等が例示される。
【0139】
上記イソシアヌレート構造含有ポリエポキシ変性(メタ)アクリレートは、イソシアヌル酸ジエポキシ変性(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリエポキシ変性(メタ)アクリレート等が例示される。
【0140】
<(ポリ)アルキレンジ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート>
(ポリ)アルキレンジ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレートは、式(E’)等で表される化合物である。
【化21】
[式中、Rb18’〜Rb19 ’は、それぞれ独立に
【化22】
{式中、qは0〜16の整数であり、R1’〜R3 ’はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基であり、R1’は各単位ごとに基が異なっていてもよい。}
であり、
b20’は、アルキレン基であり、rは1以上の整数である。]
【0141】
本開示において「(ポリ)アルキレンジ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート」は、「アルキレンジ(メタ)アクリレート、アルキレンジアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、アルキレンジエポキシ変性(メタ)アクリレート、ポリアルキレンジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンジアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、及びポリアルキレンジエポキシ変性(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0142】
アルキレンジ(メタ)アクリレートは、1,2−エチレンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7−ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0143】
アルキレンジアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートは、1,2−エチレンジオールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,3−プロパンジオールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,4−ブタンジオールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,5−ペンタンジオールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,6−ヘキサンジオールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,7−ヘプタンジオールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,8−オクタンジオールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,9−ノナンジオールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,10−デカンジオールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ネオペンチルグリコールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,2−エチレンジオールジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,3−プロパンジオールジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,4−ブタンジオールジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,5−ペンタンジオールジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,6−ヘキサンジオールジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,7−ヘプタンジオールジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,8−オクタンジオールジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,9−ノナンジオールジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,10−デカンジオールジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ネオペンチルグリコールジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)等が例示される。
【0144】
アルキレンジエポキシ変性(メタ)アクリレートは、1,2−エチレンジオールジエポキシ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジエポキシ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジエポキシ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジエポキシ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジエポキシ(メタ)アクリレート、1,7−ヘプタンジオールジエポキシ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジエポキシ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジエポキシ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジエポキシ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジエポキシ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0145】
ポリアルキレンジ(メタ)アクリレートは、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0146】
ポリアルキレンジアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートは、ジエチレングリコールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジプロピレングリコールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリエチレングリコール(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリプロピレングリコール(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)等が例示される。
【0147】
ポリアルキレンジエポキシ変性(メタ)アクリレートは、ジエチレングリコールジエポキシ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジエポキシ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジエポキシ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジエポキシ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0148】
<ビスフェノールAジ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート>
ビスフェノールAジ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレートは、式(F’)等で表される化合物である。
【化23】
[式中、Rb21’〜Rb22 ’は、それぞれ独立に
【化24】
{式中、qは0〜16の整数であり、R1’〜R3 ’はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基であり、R1’は各単位ごとに基が異なっていてもよい。}
である。]
【0149】
本開示において「ビスフェノールAジ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート」は、「ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、及びビスフェノールAジエポキシ変性(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0150】
ビスフェノールAジアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートは、ビスフェノールAジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ビスフェノールAジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)等が例示される。
【0151】
上記以外のポリ(メタ)アクリレートは、水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートとポリイソシアネートを含む化合物群の反応物であるウレタンポリ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0152】
1つの実施形態において、硬化物のカールを抑制できる観点から、上記ウレタンポリ(メタ)アクリレートは水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート、ポリイソシアネート、アルキレンジオールの反応物が好ましい。
【0153】
水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートは上述のもの等が例示される。1つの実施形態において、水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートは、水酸基含有ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0154】
ポリイソシアネートは上述のもの等が例示される。1つの実施形態において、ポリイソシアネートは脂環族ポリイソシアネートが好ましい。
【0155】
アルキレンジオールは、直鎖脂肪族アルキレンジオール、分岐脂肪族アルキレンジオール、脂環族アルキレンジオール等が例示される。
【0156】
直鎖脂肪族アルキレンジオールは、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール等が例示される。
【0157】
分岐脂肪族アルキレンジオールは、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール等が例示される。
【0158】
脂環族ジオールは、単環脂環族ジオール、架橋環脂環族ジオール、縮合環脂環族ジオール等が例示される。
【0159】
単環脂環族ジオールは、水添キシレンジオール、イソホロンジオール、シクロペンチレンジオール、シクロヘキシレンジオール、シクロヘプチレンジオール、シクロデシレンジオール、3,5,5−トリメチルシクロヘキシレンジオール、ジシクロヘキシルメタンジオール等が例示される。
【0160】
架橋環脂環族ジオールは、トリシクロデシレンジオール、アダマンタンジオール、ノルボルネンジオール等が例示される。
【0161】
縮合環脂環族ジオールは、ビシクロデシレンジオール等が例示される。
【0162】
1つの実施形態において、アルキレンジオールは、直鎖脂肪族アルキレンジオールが好ましい。
【0163】
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物固形分100質量%中のポリ(メタ)アクリレートの含有量の上限及び下限は、69、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、14質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、14〜69質量%が好ましい。
【0164】
<α−ヒドロキシジメチルアセトフェノン基含有光重合開始剤>
α−ヒドロキシジメチルアセトフェノン基含有光重合開始剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0165】
本開示において、α−ヒドロキシジメチルアセトフェノン基は、
【化25】
(式中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基(−NR(R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は置換若しくは非置換のアルキル基である)、アセチル基である。置換アルキル基の置換基はヒドロキシ基、アミノ基、アセチル基等が例示される。)
で表される基を意味する。
【0166】
α−ヒドロキシジメチルアセトフェノン基含有光重合開始剤が有するα−ヒドロキシジメチルアセトフェノン基の個数の上限及び下限は、1、2、3個等が例示される。1つの実施形態において、上記個数は1〜3個が好ましい。
【0167】
α−ヒドロキシジメチルアセトフェノン基含有光重合開始剤は、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシル)−フェニル]−2−ヒドロキシ−メチルプロパノン、2−ヒドロキシ−1−(4−(4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル)フェニル)−2−メチルプロパン−1−オン等が例示される。
【0168】
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物固形分100質量%中のα−ヒドロキシジメチルアセトフェノン基含有光重合開始剤の含有量の上限及び下限は、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、1質量%以上が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
【0169】
<有機溶媒>
1つの実施形態において、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は有機溶媒を含み得る。有機溶媒は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0170】
有機溶媒は、上述のもの等が例示される。
【0171】
1つの実施形態において、硬化物の硬度が高くなる観点から、有機溶媒はケトン溶媒が好ましい。
【0172】
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物100質量%中の有機溶媒の含有量の上限及び下限は、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は0〜90質量%が好ましい。
【0173】
<添加剤>
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子、ポリ(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシジメチルアセトフェノン基含有光重合開始剤、有機溶媒のいずれにも該当しない剤を添加剤として含み得る。
【0174】
添加剤は、屈折率が1.7以上の金属酸化物粒子、バインダー樹脂(アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂等)、重合禁止剤、防滑剤、スリップ剤、防腐剤、防錆剤、pH調整剤、顔料、染料、滑剤、レベリング剤、触媒、消泡剤、光増感剤(アミン類、キノン類等)等が例示される。
【0175】
1つの実施形態において、添加剤の含有量は、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物100質量部に対して、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が例示される。また、(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子、ポリ(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシジメチルアセトフェノン基含有光重合開始剤、有機溶媒のいずれか100質量部に対して、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が例示される。
【0176】
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子、ポリ(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシジメチルアセトフェノン基含有光重合開始剤、並びに必要に応じて有機溶媒、及び添加剤が、各種公知の手段により分散・混合されることにより製造され得る。なお、各成分の添加順序は特に限定されない。また、分散・混合手段としては、各種公知の装置(乳化分散機、超音波分散装置等)を用いることができる。
【0177】
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子とポリ(メタ)アクリレートとの質量比((メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子の質量/ポリ(メタ)アクリレートの質量)の上限及び下限は、6.1、6、5.5、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5、1.1、1、0.9、0.7、0.5、0.4等が例示される。1つの実施形態において、上記質量比は、0.4〜6.1が好ましい。
【0178】
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子とα−ヒドロキシジメチルアセトフェノン基含有光重合開始剤との質量比((メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子の質量/α−ヒドロキシジメチルアセトフェノン基含有光重合開始剤の質量)の上限及び下限は、85、75、70、60、50、40、30、25、10、9、7、5、3等が例示される。1つの実施形態において、上記質量比は、3〜85が好ましい。
【0179】
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物におけるポリ(メタ)アクリレートとα−ヒドロキシジメチルアセトフェノン基含有光重合開始剤との質量比(ポリ(メタ)アクリレートの質量/α−ヒドロキシジメチルアセトフェノン基含有光重合開始剤の質量)の上限及び下限は、69、60、50、40、30、25、10、9、7、5、3、2、1.4等が例示される。1つの実施形態において、上記質量比は、1.4〜69が好ましい。
【0180】
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、コーティング剤、表面コーティング剤、防眩性コーティング剤等として使用され得る。
【0181】
[コーティング剤キット]
本開示は、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であるコーティング剤A及び
α−ヒドロキシジメチルアセトフェノン基含有光重合開始剤を含まないコーティング剤Bを含む、コーティング剤キットを提供する。
【0182】
<α−ヒドロキシジメチルアセトフェノン基非含有光重合開始剤:その他の光重合開始剤ともいう>
その他の光重合開始剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0183】
その他の光重合開始剤は、α−ヒドロキシシクロアルキルフェノン、α−アミノアルキルフェノン、ベンジルジメチルケタール、無置換又は置換アルキルフェノン、無置換又は置換ベンジル、無置換又は置換ベンゾフェノン、アシルホスフィンオキシド、置換チオキサントン、オキシムエステル等が例示される。
【0184】
α−ヒドロキシシクロアルキルフェノンは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が例示される。
【0185】
α−アミノアルキルフェノンは、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン等が例示される。
【0186】
ベンジルジメチルケタールは、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等が例示される。
【0187】
無置換又は置換アルキルフェノンは、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−フェニル−2−(p−トルエンスルホニルオキシ)アセトフェノン、ベンゾイン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−4’−モルホリノブチロフェノン、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン、2−イソニトロソプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等が例示される。
【0188】
無置換又は置換ベンジルは、ベンジル、p−アニシル等の無置換又は置換ベンジル等が例示される。
【0189】
無置換又は置換ベンゾフェノンは、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、1,4−ジベンゾイルベンゼン、2−ベンゾイル安息香酸、4−ベンゾイル安息香酸、2−ベンゾイル安息香酸メチル等が例示される。
【0190】
アシルホスフィンオキシドは、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等が例示される。
【0191】
置換チオキサントンは、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が例示される。
【0192】
オキシムエステルは、1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](すなわち2−((ベンゾイルオキシ)イミノ)−1−(4−(フェニルチオ)フェニル)オクタン−1−オン);
エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(すなわち1−(((1−(9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル)エチリデン)アミノ)オキシ)エタン−1−オン)等が例示される。
【0193】
1つの実施形態において、コーティング剤B固形分100質量%中のα−ヒドロキシジメチルアセトフェノン基非含有光重合開始剤の含有量の上限及び下限は、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、1〜10質量%が好ましい。
【0194】
<(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子>
1つの実施形態において、上記コーティング剤Bは(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子を含み得る。(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0195】
(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子は、上述のもの等が例示される。
【0196】
コーティング剤B固形分100質量%中の(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子の含有量の上限及び下限は、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は0〜85質量%が好ましい。
【0197】
<ポリ(メタ)アクリレート>
1つの実施形態において、上記コーティング剤Bはポリ(メタ)アクリレートを含み得る。ポリ(メタ)アクリレートは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0198】
ポリ(メタ)アクリレートは、上述のもの等が例示される。
【0199】
コーティング剤B固形分100質量%中のポリ(メタ)アクリレートの含有量の上限及び下限は、99、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、1、0質量%等が例示される。
1つの実施形態において、上記含有量は0〜99質量%が好ましい。
【0200】
<有機溶媒>
1つの実施形態において、上記コーティング剤Bは有機溶媒を含み得る。有機溶媒は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0201】
有機溶媒は、上述のもの等が例示される。
【0202】
コーティング剤B100質量%中の有機溶媒の含有量の上限及び下限は、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は0〜90質量%が好ましい。
【0203】
<添加剤>
上記コーティング剤Bには、その他の光重合開始剤、(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子、ポリ(メタ)アクリレート、有機溶媒のいずれにも該当しない剤を添加剤として含み得る。
【0204】
添加剤は、上述のもの等が例示される。
【0205】
1つの実施形態において、添加剤の含有量は、上記コーティング剤B100質量部に対して、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が例示される。また、その他の光重合開始剤、(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子、ポリ(メタ)アクリレート、有機溶媒のいずれか100質量部に対して、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が例示される。
【0206】
上記コーティング剤Bは、その他の光重合開始剤並びに必要に応じて、(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子、ポリ(メタ)アクリレート、有機溶媒及び添加剤等が、各種公知の手段により分散・混合されることにより製造され得る。なお、各成分の添加順序は特に限定されない。また、分散・混合手段は、上述のもの等が例示される。
【0207】
[硬化物]
本開示は、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及び/又は上記コーティング剤キットの硬化物を提供する。
【0208】
硬化条件は後述のもの等が例示される。
【0209】
[積層物]
本開示は、上記硬化物を含む、積層物を提供する。
【0210】
1つの実施形態において、基材の少なくとも片面に上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物又は上記コーティング剤キットの硬化物からなる硬化物層が積層している。1つの実施形態において、基材の少なくとも片面に上記コーティング剤B(コーティング剤A)の硬化物からなるコーティング剤B(コーティング剤A)硬化物層が積層し、コーティング剤B(コーティング剤A)硬化物層にコーティング剤A(コーティング剤B)の硬化物からなるコーティング剤A(コーティング剤B)硬化物層が積層している。1つの実施形態において、コーティング剤Aは表面コーティング剤、コーティング剤Bは非表面コーティング剤として使用される。また、別の実施形態において、コーティング剤Aは非表面コーティング剤、コーティング剤Bは表面コーティング剤として使用される。
【0211】
基材の厚みの上限及び下限は、10000、9000、7500、5000、2500、1000、900、750、500、250、100、90、75、50、25、10、9、5、2、1、0.9、0.5、0.1μm等が例示される。1つの実施形態において、基材の厚みは、0.1〜10,000μmが好ましい。
【0212】
コーティング剤A硬化物層の厚みの上限及び下限は、100、90、75、50、25、10、9、5、2、1、0.9、0.5、0.1μm等が例示される。1つの実施形態において、コーティング剤A硬化物層の厚みは、0.1〜100μmが好ましい。
【0213】
コーティング剤B硬化物層の厚みの上限及び下限は、100、90、75、50、25、10、9、5、2、1、0.9、0.5、0.1μm等が例示される。1つの実施形態において、コーティング剤B硬化物層の厚みは、0.1〜100μmが好ましい。
【0214】
上記積層物は各種公知の方法で製造される。1つの実施形態において、積層物の製造方法は、コーティング剤Bを基材の少なくとも片面に塗工する工程(コーティング剤B塗工工程)、コーティング剤Aをコーティング剤B塗工層の上に塗工する工程(コーティング剤A塗工工程)、活性エネルギー線を照射することにより、硬化物層を形成する工程(活性エネルギー線硬化工程)を含む。
【0215】
コーティング剤A塗工工程、コーティング剤B塗工工程をまとめて塗工工程ともいう。
【0216】
(塗工工程)
塗工方法は、バーコーター塗工、ワイヤーバー塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、フローコート塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷法等が例示される。
【0217】
塗工量は特に限定されない。塗工量は、乾燥後の質量が0.1〜30g/mが好ましい。
【0218】
(活性エネルギー線硬化工程)
活性エネルギー線硬化反応に用いる活性エネルギー線は、紫外線や電子線等が例示される。紫外線の光源は、キセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプを有する紫外線照射装置等が例示される。なお、光量や光源配置、搬送速度等は必要に応じて調整できる。高圧水銀灯を使用する場合には、80〜160W/cm程度の光量を有するランプ1灯に対して搬送速度2〜50m/分程度で硬化させるのが好ましい。一方、電子線の場合には、10〜300kV程度の加速電圧を有する電子線加速装置により、搬送速度5〜50m/分程度の条件で硬化させるのが好ましい。
【0219】
上記積層物は各種公知の方法で製造される。1つの実施形態において、積層物の製造方法は、アンダーコート剤を基材の少なくとも片面に塗工する工程(塗工工程)、活性エネルギー線を照射することにより、活性エネルギー線硬化性樹脂硬化物層を形成する工程(活性エネルギー線硬化工程)を含む。
【0220】
(塗工工程)
塗工方法は、バーコーター塗工、ワイヤーバー塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、フローコート塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷法等が例示される。
【0221】
塗工量は特に限定されない。塗工量は、乾燥後の質量が0.1〜30g/m程度が好ましく、1〜20g/m程度がより好ましい。
【0222】
(活性エネルギー線硬化工程)
活性エネルギー線硬化反応に用いる活性エネルギー線は、紫外線や電子線等が例示される。紫外線の光源は、キセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプを有する紫外線照射装置等が例示される。なお、光量や光源配置、搬送速度等は必要に応じて調整できる。高圧水銀灯を使用する場合には、80〜160W/cm程度の光量を有するランプ1灯に対して搬送速度2〜50m/分程度で硬化させるのが好ましい。一方、電子線の場合には、10〜300kV程度の加速電圧を有する電子線加速装置により、搬送速度5〜50m/分程度の条件で硬化させるのが好ましい。
【実施例】
【0223】
以下、実施例及び比較例を通じて本発明を具体的に説明する。但し、上述の好ましい実施形態における説明及び以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供するものではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。また、各実施例及び比較例において、特に説明がない限り、部、%等の数値は質量基準である。
【0224】
<ウレタン(メタ)アクリレート構造含有シランカップリング剤の製造>
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び空気導入口を備えた反応容器に、イソホロンジイソシアネート20部、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物72部(製品名「KAYARAD PET−30」、日本化薬(株)製)、(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン8部、重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.02部並びに触媒としてジオクチル錫ジラウレート0.2部を混合し、反応を70℃5時間の条件で行った。反応終了後に、ウレタン(メタ)アクリレート構造含有トリメトキシシラン、ウレタン(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートをそれぞれ質量基準で約3分の1ずつ含む混合物が得られた。以下の実施例においてウレタン(メタ)アクリレート構造含有シランカップリング剤とは、反応終了後に得られたこの混合物のことである。
【0225】
製造例1:(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子(A−1)
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び空気導入口を備えた反応容器に、シリカ分散体(固形分:30%、溶液:メチルエチルケトン100部と10部のウレタン(メタ)アクリレート構造含有シランカップリング剤を混合し、60℃4時間の条件で反応を行い、(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子を得た。
【0226】
製造例2:(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子(A−2)
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び空気導入口を備えた反応容器に、シリカ分散体(固形分:30%、溶液:メチルエチルケトン100部と0.8部のトリアクリロキシプロピルモノメトキシシランを混合し、60℃4時間の条件で反応を行い、(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子を得た。
【0227】
実施例1:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子(A−1)60部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(製品名:「アロニックスM−400」、東亞合成(株)製)38部、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(製品名「OMNIRAD127D」、IGM Resins社製)2部、メチルエチルケトン150部を混合し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
【0228】
特段言及がない限り、実施例1以外の実施例及び比較例は、下記表のように変更した以外は、実施例1と同様にして行った。
【0229】
【表1】
【0230】
<表中の説明>
アロニックスM−400、M−321、M−315 東亞合成(株)製
A−DPH−12E 新中村化学工業(株)製
ライトアクリレートA−DCP 共栄社化学(株)製
UA−306H 共栄社化学(株)製

以下光重合開始剤はIGM Resins社製である。
Omnirad 127D:2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン
Omnirad 2959:1−[4−(2−ヒドロキシエトキシル)−フェニル]−2−ヒドロキシ−メチルプロパノン
Omnirad 1173:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパノン

Omnirad 184:1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン
Omnirad 907:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン
Omnirad TPO:2,4,6−トリメチルベンソイル−ジフェニルホスフィンオキシド
【0231】
<積層物の製造>
基材表面(TACフィルム(富士フイルム製、フジタックTDY80ULM))にバーコーター(型番「No.24」、第一理化(株)製)を用いて活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、膜厚約5μmで塗布し、80℃の循風乾燥機中で1分間乾燥し、照射距離20cm、ベルトスピード5m/min、積算照射量200mJ/cmの条件で硬化させ積層物を形成した。
【0232】
<耐擦傷性>
市販の測定装置(製品名「平面摩耗試験機」、(株)大栄科学精機製作所製)にセットし、スチールウール(番手「#0000」、等級「極細」、日本スチールウール(株)製)を用いて、硬化物表面を100g荷重で10回往復擦傷した。硬化物に付いた傷を観察し、下記基準に従って評価した。
〇:無傷
△:傷2〜3本
×:傷多数
【0233】
<鉛筆硬度>
硬化物の鉛筆硬度はJIS K5600−5−4に準拠して測定した。
【0234】
<コーティング剤キットを用いた積層物の製造>
基材表面(TACフィルム(富士フイルム製、フジタックTDY80ULM))にバーコーター(型番「No.24」、第一理化(株)製)を用いて比較例3のコーティング剤をコーティング剤Bとして塗布し、80℃の循風乾燥機中で1分間乾燥し、照射距離20cm、ベルトスピード5m/min、積算照射量200mJ/cmの条件で硬化させ、基材表面にコーティング剤B硬化物層を形成した。
次いでコーティング剤B硬化物層の表面に実施例1のコーティング剤Aを塗布し、80℃の循風乾燥機中で1分間乾燥し、照射距離20cm、ベルトスピード5m/min、積算照射量200mJ/cmの条件で硬化させ、コーティング剤B硬化物層表面にコーティング剤A硬化物層を形成し、積層物を製造した。
得られた積層物は、コーティング剤1種のみを用いて製造した積層物に比べて硬度の点で優れている。
【要約】
【課題】活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、コーティング剤キット、硬化物及び積層物を提供すること。
【解決手段】本開示は、(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子、ポリ(メタ)アクリレート及びα−ヒドロキシジメチルアセトフェノン基含有光重合開始剤を含み、前記光重合開始剤の含有量は、固形分100質量%に対し1質量%以上である、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供する。
【選択図】なし