(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
給材床上から丸棒鋼を該丸棒鋼の長手方向に沿って搬送すると共に丸棒鋼の曲がりを矯正する曲がり矯正機を設置した第1搬送ラインと、該第1搬送ラインから移行して丸棒鋼を横送りで搬送すると共に丸棒鋼の両端の面取りを行う面取り機を設置した第2搬送ラインと、前記第2搬送ラインから移行して丸棒鋼を該丸棒鋼の長手方向に沿って搬送すると共に丸棒鋼の表面を漏洩磁束探傷する漏洩磁束探傷機及び丸棒鋼の内部を超音波探傷する超音波探傷機を順に設置した第3搬送ラインと、該第3搬送ラインから移行して丸棒鋼を横送りで搬送すると共に丸棒鋼の片端面にラベルを貼着するラベラーを設置した第4搬送ラインと、該第4搬送ラインから移行して丸棒鋼を該丸棒鋼の長手方向に沿って搬送すると共に複数の丸棒鋼を結束する結束機を設置した第5搬送ラインと、該第5搬送ラインの出側に設置された払出床とを備え、
前記第1搬送ラインは直線状に延びるように形成され、前記第2搬送ラインは前記第1搬送ラインの終端部近傍から前記第1搬送ラインに対して直交する方向に直線状に延びるように形成され、前記第3搬送ラインは前記第2搬送ラインの終端部近傍から前記第2搬送ラインに対して直交しかつ前記第1搬送ラインと同じ側に対向して直線状に延びるように形成されていることを特徴とする丸棒鋼の精整設備。
前記第4搬送ラインは、前記第3搬送ラインの終端部近傍から前記第3搬送ラインに対して直交する方向に直線状に延びるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の丸棒鋼の精整設備。
前記第5搬送ラインは、前記第4搬送ラインの終端部近傍から前記第4搬送ラインに対して直交する方向に直線状に延びるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の丸棒鋼の精整設備。
給材床上にある丸棒鋼を該丸棒鋼の長手方向の一端を先頭として該長手方向に沿って搬送して曲がり矯正機へと送給し、前記一端を先頭として前記丸棒鋼を搬送しながら、前記曲がり矯正機によって丸棒鋼の曲がりを矯正し、該矯正を施した丸棒鋼を横送りの状態で搬送しつつ該丸棒鋼の両端の面取りを行い、該面取りを施した丸棒鋼を該丸棒鋼の長手方向の他端を先頭として長手方向に沿って搬送しつつ該丸棒鋼の漏洩磁束探傷および超音波探傷を行うことを特徴とする丸棒鋼の精整方法。
前記漏洩磁束探傷および前記超音波探傷を行った丸棒鋼を横送りの状態で搬送させてラベラーによって丸棒鋼の片端面にラベルを貼着することを特徴とする請求項4に記載の丸棒鋼の精整方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
また、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
図1には、本発明の一実施形態に係る丸棒鋼の精整設備の概略構成が示されている。
【0012】
図1に示す丸棒鋼の精整設備1は、熱間圧延、冷却及び所定長さに切断された丸棒鋼Sに対し、曲がり矯正、漏洩磁束探傷、及び超音波探傷の精整処理を行い、複数本の丸棒鋼Sを結束して払い出すものである。精整処理の対象となる丸棒鋼Sは、直径Φ16.0mm〜90.0mm程度、長さ3.5m〜8.0m程度である。
先ず、精整設備1で丸棒鋼Sの精整処理を行う前に、熱間圧延、冷却及び所定長さに切断された丸棒鋼Sは、複数本が結束されて図示しない検査表が取り付けられ、天井クレーン40で置場(図示せず)に一旦仮置きされる。そして、天井クレーン40の作業員34は、精整設備1からの指令を受けて再び天井クレーン40を操作し、置場に仮置きされた丸棒鋼Sの結束束を給材床11上に載置するようになっている。
【0013】
そして、給材床11上に載置された丸棒鋼Sの結束束は、後述の作業員32によって解束される。
ここで、精整設備1においては、平面から見てほぼ正方形の第1領域Aと、平面から見てほぼ正方形の第2領域Bとを並置して設け、第1領域A内に前述の給材床11を設置している。第1領域Aは、左右方向(
図1におけるX方向)及びこの左右方向に直交する前後方向(
図1におけるY方向)にほぼ同様の長さを有する。また、第2領域Bも、左右方向及び前後方向にほぼ同様の長さを有する。第1領域Aは、左側(
図1におけるX方向の左側)、第2領域Bは、右側に並置される。
【0014】
また、精整設備1は、第1領域A内に、給材床11上から解束された丸棒鋼Sを搬送する第1搬送ライン12を備えている。第1搬送ライン12は、始端部12aから終端部12bにかけて左方向に直線状に細長く延びるように形成された搬送テーブルで構成され、丸棒鋼Sをその一端Sa(ここでは先端部Saとする)を先頭にして始端部12a側から終端部12b側に向けて搬送する。ここで、第1搬送ライン12は、その直線状に延びる方向が、第1搬送ライン12で搬送する丸棒鋼Sの長手方向と一致している。つまり、第1搬送ライン12は、丸棒鋼Sを該丸棒鋼Sの長手方向に沿って搬送する搬送ラインである。
【0015】
そして、第1搬送ライン12の途中には、搬送される丸棒鋼Sの曲がりを矯正する曲がり矯正機13が設置されている。曲がり矯正機13で曲がりが矯正された丸棒鋼Sは、図示しない曲がり計によって曲がりが測定されて曲がり量が測定され、不合格品と判断された場合には終端部12b近傍の後側(
図1におけるY方向の後側)に設置された不合格品床14上に送られる。一方、合格品と判断された場合には、後述の第2搬送ライン15上に送られる。
また、精整設備1は、第1領域A内に、第1搬送ライン12から移行して丸棒鋼Sを搬送する第2搬送ライン15を備えている。第2搬送ライン15は、第1搬送ライン12の終端部12b近傍の前側から第1搬送ライン12に対して直交する前方向に直線状に延びるように形成されたベルトコンベアで構成されている。つまり、第2搬送ライン15は、始端部15aから終端部15bにかけて前方向に直線状に延びるように形成されたベルトコンベアで構成されている。そして、丸棒鋼Sを横送りの状態で始端部15a側から終端部15b側に向けて搬送する。
【0016】
そして、第2搬送ライン15の途中には、搬送される丸棒鋼Sの両端の面取りを行う面取り機16が設置されている。面取り機16は、第2搬送ライン15の幅方向の左端側に設置され、丸棒鋼Sの先端部Saの面取りを行う第1面取り装置16aと、第2搬送ライン15の幅方向の右端側に設置され、丸棒鋼Sの尾端部Sbの面取りを行う第2面取り装置16bとを備えている。
【0017】
また、精整設備1は、第1領域A内に、第2搬送ライン15から移行して丸棒鋼Sを搬送する第3搬送ライン17を備えている。第3搬送ライン17は、第2搬送ライン15の終端部15b近傍から第2搬送ライン15に対して直交しかつ第2搬送ライン15に対して第1搬送ライン12と同じ側(右側)にあり、第1搬送ライン12に対向して直線状に延びるように形成された搬送テーブルで構成されている。つまり、第3搬送ライン17は、始端部17aから終端部17bにかけて右方に直線状に延びるように形成された搬送テーブルで構成されている。そして、第3搬送ライン17は、丸棒鋼Sをその他端Sb(一端Saの反対側の端であり、ここでは尾端部Sbとする)を先頭にして始端部17a側から終端部17b側に向けて搬送する。ここで、第3搬送ライン17は、その直線状に延びる方向が、第3搬送ライン17で搬送する丸棒鋼Sの長手方向と一致している。つまり、第3搬送ライン17は、丸棒鋼Sを該丸棒鋼Sの長手方向に沿って搬送する搬送ラインである。
【0018】
そして、第3搬送ライン17の途中には、搬送される丸棒鋼Sの表面を漏洩磁束探傷する漏洩磁束探傷機18、丸棒鋼Sの曲がりを測定する曲がり測定計19、丸棒鋼Sの長さを測定する長さ測定計20、丸棒鋼Sの脱磁を行う脱磁機21及び丸棒鋼Sの内部を超音波探傷する超音波探傷機22が上流側から下流側に向けて順に設置されている。
また、第3搬送ライン17は、第2領域B内に至るまで延び、終端部17bの近傍の前側には、漏洩磁束探傷機18による漏洩磁束探傷の結果、不合格とされた不合格品が送られる磁束探傷不合格品床23が設置されている。また、第3搬送ライン17の終端部17bの近傍の前側であって磁束探傷不合格品床23の下流側には、超音波探傷機22による超音波探傷の結果、不合格とされた不合格品が送られる超音波探傷不合格品床24が設置されている。
【0019】
また、精整設備1は、第2領域B内に、第3搬送ライン17から移行して丸棒鋼Sを搬送する第4搬送ライン25を備えている。第4搬送ライン25は、第3搬送ラインの終端部13b近傍の前側から第3搬送ライン17に対して直交する後方向に直線状に延びるように形成されたベルトコンベアで構成される。つまり、第4搬送ライン25は、始端部25aから終端部25bにかけて後方向に直線状に延びるように形成されたベルトコンベアで構成されている。そして、第4搬送ライン25は、丸棒鋼Sを横送りの状態で始端部25a側から終端部25b側に向けて搬送する。
【0020】
そして、第4搬送ライン25の途中には、丸棒鋼Sの片端面にラベルを貼着するラベラー26が設置されている。ラベラー26は、第4搬送ライン25の幅方向の左端側に設置され、丸棒鋼Sの先端部Sa側の端面にラベル(図示せず)を貼着する。このラベルには、丸棒鋼Sの鋼種、鋼番、サイズ(直径、長さ)等の丸棒鋼Sの情報が記載されている。
【0021】
また、精整設備1は、第2領域B内において、第4搬送ライン25から移行して丸棒鋼Sを搬送する第5搬送ライン27を備えている。第5搬送ライン27は、第4搬送ライン25の終端部25b近傍から第4搬送ライン25に対して直交しかつ右方向に直線状に延びるように形成された搬送テーブルで構成されている。つまり、第5搬送ライン27は、始端部27aから終端部27bにかけて右方向に直線状に延びるように形成された搬送テーブルで構成されている。そして、第5搬送ライン27は、丸棒鋼Sをその尾端部Sbを先頭にして始端部27a側から搬送する。ここで、第5搬送ライン27は、その直線状に延びる方向が、第5搬送ライン27で搬送する丸棒鋼Sの長手方向と一致している。つまり、第5搬送ライン27は、丸棒鋼Sを該丸棒鋼Sの長手方向に沿って搬送する搬送ラインである。
【0022】
そして、第5搬送ライン27の途中には、複数の丸棒鋼Sを結束する結束機28が設置されている。複数の丸棒鋼Sは、結束機28で結束されて、尾端部Sbを先頭にして第5搬送ライン27上を終端部27bに向けて搬送される。
また、精整設備1の第2領域B内には、第5搬送ライン27の出側に設置された払出床30を備えている。払出床30は、第5搬送ライン27の終端部27b近傍の前側から前方向に延びるベルトコンベア29の端部に近接して設置され、第5搬送ライン27からベルトコンベア29によって搬送された丸棒鋼Sの結束束が載置される。
そして、天井クレーン40の作業員34は、天井クレーン40を操作し、払出床30上に載置された丸棒鋼Sの結束束を前述の置場に仮置きするようになっている。
【0023】
なお、精整設備1の第1領域Aのほぼ中央の位置、すなわち、互いに対向する第1搬送ライン12と第3搬送ライン17との間には、作業員32の運転室31が設置されている。そして、作業員32は、精整設備1の第1領域A内の各設備の調整や精整処理に伴う作業を主に行い、給材床11上に載置された丸棒鋼Sの結束束を解束したり、解束に際して丸棒鋼Sの結束束に取り付けられた検査表のバーコードを読み取ったりする。また、作業員は、曲がり矯正機13の調整をしたり、不合格品床14上に送られた丸棒鋼Sの不合格品の手入れをしたりする。また、作業員32は、面取り機16の調整や漏洩磁束探傷機18及び超音波探傷機22の校正を行う。
【0024】
また、精整設備1の第2領域B内における払出床30の近傍に作業員33が常駐している。作業員33は、精整設備1の第2領域B内の各設備の調整や精整処理に伴う作業を行い、磁束探傷不合格品床23上の不合格品や超音波探傷不合格品床24上の不合格品の処理を行う。また、作業員33は、ラベラー26の調整や結束機28の調整を行う。更に、作業員33は、丸棒鋼Sの結束束に、数量や重量等を記載した検査表を取り付ける作業も行う。
このように、本実施形態に係る丸棒鋼Sの精整設備1においては、第1搬送ライン12は始端部12aから終端部12bにかけて左方向に直線状に延びるように形成され、第2搬送ライン15は第1搬送ラインの終端部12b近傍から第1搬送ライン12に対して直交する前方向に直線状に延びるように形成され、第3搬送ライン17は第2搬送ライン15の終端部15b近傍から第2搬送ライン15に対して直交しかつ第1搬送ライン12と同じ側(右側)に対向して直線状に延びるように形成される。
【0025】
つまり、曲がり矯正機13を設置した第1搬送ライン12、面取り機16を設置した第2搬送ライン15、及び漏洩磁束探傷機18及び超音波探傷機22を設置した第3搬送ライン17を、平面から見て、第2搬送ライン15を底にして直線距離の長い第1搬送ライン12及び第3搬送ライン17を対向させた略U字形に配置している。このため、第1搬送ライン12の始端から第3搬送ライン17の終端までの左右方向の距離を、後に説明する参考例に係る精整設備101(
図2参照)の第1搬送ライン112の始端から第3搬送ライン117の終端までの左右方向の距離よりも短くできる。このため、給材床11から払出床30に至るまでの左右方向の距離を、参考例に係る精整設備101(
図2参照)と比較して小さくでき、精整設備1の全体の大きさをコンパクトにすることができる。
【0026】
そして、精整設備1の全体の大きさをコンパクトにできることから、作業員の人数も後に説明する参考例に係る精整設備101(
図2参照)と比較して3人(天井クレーン40の操作を行う作業員34、第1領域A内で作業を行う作業員32、第2領域B内で作業を行う作業員33)に削減することができる。
また、第4搬送ライン25は、第3搬送ライン17の終端部17b近傍から第3搬送ライン17に対して直交する後方向に直線状に延びるように形成されている。このため、第4搬送ライン25を左右方向に無駄に大きくすることなく、精整設備1の全体の大きさをコンパクトにすることができる。
また、第5搬送ライン27は、第4搬送ライン25の終端部25b近傍から第4搬送ライン25に対して直交する右方向に直線状に延びるように形成されている。このため、第5搬送ライン27によって左右方向の大きさが若干大きくなるが、精整設備1の前後方向の大きさをコンパクトにすることができる。
【0027】
次に、精整設備1を用いた丸棒鋼Sの精整方法について、
図1を参照して説明する。
先ず、精整設備1で丸棒鋼Sの精整処理を行う前に、熱間圧延、冷却及び所定長さに切断された丸棒鋼Sは、複数本が結束されて図示しない検査表が取り付けられ、天井クレーン40で置場(図示せず)に一旦仮置きされる。そして、天井クレーン40の作業員34は、精整設備1からの指令を受けて再び天井クレーン40を操作し、置場に仮置きされた丸棒鋼Sの結束束を精整設備1の第1領域A内にある給材床11上に載置する。
【0028】
次いで、第1領域A内の作業員32は、給材床11上に載置された丸棒鋼Sの結束束に取り付けられた検査表のバーコードを読み取り、図示しない制御装置に丸棒鋼Sの精整処理情報を送出する。また、作業員32は、給材床11上に載置された丸棒鋼Sの結束束を解束する。
その後、各丸棒鋼Sは、給材床11から左方向に延びるように直線状に形成された第1搬送ライン12上に払い出され、第1搬送ライン12上をその先端部Saを先頭にして、丸棒鋼Sの長手方向に沿って搬送される。
【0029】
そして、第1搬送ライン12の途中で曲がり矯正機13によって丸棒鋼Sの曲がりが矯正される。この際に、丸棒鋼Sは、その先端部Saから曲がり矯正機のロール間に噛み込まれる。
次いで、曲がり矯正機13で曲がりが矯正された丸棒鋼Sは、図示しない曲がり計によって曲がりが測定されて曲がり量が測定され、不合格品と判断された場合には第1搬送ライン12の終端部12bの近傍に設置された不合格品床14上に送られる。一方、合格品と判断された場合には、第2搬送ライン15上に送られる。
【0030】
合格品と判定された丸棒鋼Sは、第1搬送ライン12の終端部12b近傍から第1搬送ライン12に対して直交する前方向に直線状に延びるように形成された第2搬送ライン15上を横送りの状態で搬送される。
そして、第2搬送ライン15上を搬送される丸棒鋼Sの両端は、第2搬送ライン15の途中で面取り機16によって面取りされる。つまり、丸棒鋼Sの先端部Saの面取りが第2搬送ライン15の幅方向の左端側に設置された第1面取り装置16aによって行われ、丸棒鋼Sの尾端部Sbの面取りが第2搬送ライン15の幅方向の右端側に設置された第2面取り装置16bによって行われる。
【0031】
次いで、面取りを終えた丸棒鋼Sは、第2搬送ライン15の終端部15b近傍から第2搬送ライン15に対して直交しかつ第1搬送ライン12と同じ側(右側)に対向して直線状に延びるように形成された第3搬送ライン17上に移行し、当該第3搬送ライン17上をその尾端部Sbを先頭にして、丸棒鋼Sの長手方向に沿って搬送される。
そして、第3搬送ライン17の途中で漏洩磁束探傷機18によって丸棒鋼Sの表面が漏洩磁束探傷され、曲がり測定計19によって丸棒鋼Sの曲がりが測定され、長さ測定計20によって丸棒鋼Sの長さが測定され、脱磁機21によって丸棒鋼Sの脱磁が行われ、更に超音波探傷機22によって丸棒鋼Sの内部が超音波探傷される。この際に、丸棒鋼Sは、その尾端部Sbから漏洩磁束探傷機18によって漏洩磁束探傷が行われ、長さ測定計20によって長さが測定され、脱磁機21によって脱磁が行われ、更に超音波探傷機22によって内部が超音波探傷される。
【0032】
そして、超音波探傷機22によって内部が超音波探傷された丸棒鋼Sは、漏洩磁束探傷機18による漏洩磁束探傷の結果、不合格とされた場合には、磁束探傷不合格品床23上に送られ、超音波探傷機22による超音波探傷の結果、不合格とされた場合には、超音波探傷不合格品床24上に送られる。
漏洩磁束探傷及び超音波探傷で合格品とされた丸棒鋼Sは、第2領域B内において、第3搬送ライン17の終端部17b近傍から第3搬送ライン17に対して直交する後方向に直線状に延びるように形成された第4搬送ライン25上を横送りの状態で搬送される。
【0033】
そして、第4搬送ライン25上を搬送される丸棒鋼Sの先端部Sa側の端面には、第4搬送ライン25の途中において、ラベラー26によって図示しないラベルが貼着される。このラベルには、丸棒鋼Sの鋼種、鋼番、サイズ(直径、長さ)等の丸棒鋼Sの情報が記載されている。
次いで、ラベルを貼着された丸棒鋼Sは、第4搬送ライン25の終端部25b近傍から第4搬送ライン25に対して直交する右方向に直線状に延びるように形成された第5搬送ライン27上に移行し、当該第5搬送ライン27上をその尾端部Sbを先頭にして、丸棒鋼Sの長手方向に沿って搬送される。
【0034】
そして、第5搬送ライン27の途中で、複数の丸棒鋼Sが結束機28によって結束され、丸棒鋼Sの結束束はそれらの尾端部Sbを先頭にして第5搬送ライン27上を終端部27bに向けて搬送される。
次いで、丸棒鋼Sの結束束は、第5搬送ライン27の終端部27bからベルトコンベア29によって搬送され、払出床30上に載置される。
そして、第2領域B内の作業員33は、払出床30上の丸棒鋼Sの結束束に、数量や重量等を記載した検査表を取り付ける。これにより、精整設備1を用いた丸棒鋼Sの精整処理が終了する。
その後、天井クレーン40の作業員34は、天井クレーン40を操作し、払出床30上に載置された丸棒鋼Sの結束束を前述の置場に仮置きする。
【0035】
このように、精整設備1を用いた丸棒鋼Sの精整方法においては、始端部12aから終端部12bに向けて左方向に延びるように直線状に形成された第1搬送ライン12上を丸棒鋼Sをその先端部Saを先頭にして搬送させて曲がり矯正機13によって丸棒鋼Sの曲がりを矯正する。また、第1搬送ライン12の終端部12b近傍から第1搬送ライン12に対して直交する前方向に直線状に延びるように形成された第2搬送ライン15上を丸棒鋼Sを横送りの状態で搬送させて面取り機16によって丸棒鋼Sの両端の面取りを行う。更に、第2搬送ライン15の終端部15b近傍から第2搬送ライン15に対して直交しかつ第1搬送ライン12と同じ側(右側)に対向して直線状に延びるように形成された第3搬送ライン17上を丸棒鋼Sをその尾端部Sbを先頭にして搬送させて漏洩磁束探傷機18によって丸棒鋼Sの表面を漏洩磁束探傷するとともに超音波探傷機22によって丸棒鋼Sの内部を超音波探傷する。
【0036】
これにより、平面から見て、第2搬送ライン15を底にして直線距離の長い第1搬送ライン12及び第3搬送ライン17を対向させた略U字形に配置されたレイアウトによって、丸棒鋼Sの曲がりの矯正、丸棒鋼Sの両端の面取り、丸棒鋼Sの表面の洩磁束探傷、及び丸棒鋼Sの内部の超音波探傷を行うことができる。このため、給材床11から払出床30に至るまでの左右方向の距離を、後に説明する参考例に係る精整設備101(
図2参照)と比較して小さくでき、精整設備1の全体の大きさをコンパクトにすることができる。
そして、精整設備1の全体の大きさをコンパクトにできることから、作業員の人数も後に説明する参考例に係る精整設備101(
図2参照)と比較して3人(天井クレーン40の操作を行う作業員34、第1領域A内で作業を行う作業員32、第2領域B内で作業を行う作業員33)に削減することができる。
【0037】
また、丸棒鋼Sをその尾端部Sbを先頭にして搬送させて漏洩磁束探傷機18によって丸棒鋼Sの表面を漏洩磁束探傷することにより、以下の効果を奏する。
丸棒鋼Sの曲がりの矯正に際しては、第1搬送ライン12にて丸棒鋼Sをその先端部Saを先頭にして搬送させて曲がり矯正機13によって丸棒鋼Sの曲がりを矯正する。このため、丸棒鋼Sは、その先端部Saから曲がり矯正機のロール間に噛み込まれるので、丸棒鋼Sの先端部Saは尾端部Sbと比較して形状が安定しない。この形状が安定しない丸棒鋼Sの先端部Saを先頭にして漏洩磁束探傷機18によって丸棒鋼Sの表面を漏洩磁束探傷するよりも、形状の安定した丸棒鋼Sの尾端部Sbを先頭にして漏洩磁束探傷機18によって丸棒鋼Sの表面を漏洩磁束探傷する方が探傷精度が上昇する。
【0038】
次に、本実施形態に係る精整設備1の利点を説明するために、参考例に係る丸棒鋼の精整設備について、
図2を参照して説明する。
図2には、参考例に係る丸棒鋼の精整設備の概略構成が示されている。
図2に示す丸棒鋼の精整設備101は、本発明の実施形態に係る精整設備1と同様に、熱間圧延、冷却及び所定長さに切断された丸棒鋼Sに対し、曲がり矯正、漏洩磁束探傷、及び超音波探傷の精整処理を行い、複数本の丸棒鋼Sを結束して払い出すものである。
そして、精整設備101で丸棒鋼Sの精整処理を行う前に、熱間圧延、冷却及び所定長さに切断された丸棒鋼Sは、複数本が結束されて図示しない検査表が取り付けられ、天井クレーン140で置場(図示せず)に一旦仮置きされる。そして、天井クレーン140の作業員134は、精整設備101からの指令を受けて再び天井クレーン140を操作し、置場に仮置きされた丸棒鋼Sの結束束を給材床111上に載置するようになっている。
【0039】
そして、給材床111上に載置された丸棒鋼Sの結束束は、後述の作業員131によって解束される。
ここで、精整設備101においては、平面から見て前後方向(
図1におけるY方向)にやや長い長方形状の第1領域A1と、平面から見て左右方向(X方向)にやや長い長方形状の第2領域B1と、平面から見て前後方向(Y方向)に長い長方形状の第3領域C1とを並置して設けている。第1領域A1は右側、第2領域B1は中央、第3領域C1は左側に並置される。
【0040】
また、精整設備101は、第1領域A1内に、前述の給材床111と、給材床111上から解束された丸棒鋼Sを搬送する第1搬送ライン112とを備えている。第1搬送ライン112は、始端部112aから終端部112bにかけて左方向に直線状に細長く延びるように形成された搬送テーブルで構成され、丸棒鋼Sをその先端部Saを先頭にして始端部112a側から終端部12b側に向けて搬送する。ここで、第1搬送ライン112における丸棒鋼Sの搬送方向は、丸棒鋼Sの長手方向に沿っている。
そして、第1搬送ライン112の途中には、搬送される丸棒鋼Sの曲がりを矯正する曲がり矯正機113が設置されている。曲がり矯正機113で曲がりが矯正された丸棒鋼Sは、図示しない曲がり計によって曲がりが測定されて曲がり量が測定され、不合格品と判断された場合には、第2領域B1内であって終端部112bの近傍の前側に設置された不合格品床114上に送られる。一方、合格品と判断された場合には、後述の第2搬送ライン115上に送られる。
【0041】
第1搬送ライン112は、第2領域B1内まで延びている。そして、精整設備101は、第2領域B1内に、第1搬送ライン112から移行して丸棒鋼Sを搬送する第2搬送ライン115を備えている。第2搬送ライン115は、第1搬送ライン112の終端部112b近傍の後側から第1搬送ライン12に対して直交する後方向に直線状に延びるように形成されたベルトコンベアで構成されている。つまり、第2搬送ライン115は、始端部115aから終端部115bにかけて後方向に直線状に延びるように形成されたベルトコンベアで構成されている。そして、丸棒鋼Sを横送りの状態で始端部115a側から終端部115b側に向けて搬送する。
そして、第2搬送ライン115の途中には、搬送される丸棒鋼Sの両端の面取りを行う面取り機116が設置されている。面取り機116は、第2搬送ライン115の幅方向の左端側に設置され、丸棒鋼Sの先端部Saの面取りを行う第1面取り装置116aと、第2搬送ライン115の幅方向の右端側に設置され、丸棒鋼Sの尾端部Sbの面取りを行う第2面取り装置116bとを備えている。
【0042】
また、精整設備1は、第2領域B1内に、第2搬送ライン115から移行して丸棒鋼Sを搬送する第3搬送ライン117を備えている。第3搬送ライン117は、第2搬送ライン115の終端部115b近傍から第2搬送ライン115に対して直交し、かつ、本実施形態に係る精整設備1の第3搬送ライン17と異なり、第1搬送ライン112と反対側(左側)に延びるように直線状に形成された搬送テーブルで構成されている。つまり、第3搬送ライン117は、始端部117aから終端部117bにかけて左方向に直線状に延びるように形成された搬送テーブルで構成されている。そして、第3搬送ライン117は、本実施形態に係る精整設備1の第3搬送ライン17と異なり、丸棒鋼Sをその先端部Saを先頭にして始端部117a側から終端部117b側に向けて搬送する。
【0043】
そして、第3搬送ライン117の途中には、搬送される丸棒鋼Sの表面を漏洩磁束探傷する漏洩磁束探傷機118、丸棒鋼Sの曲がりを測定する曲がり測定計119、丸棒鋼Sの長さを測定する長さ測定計120、丸棒鋼Sの脱磁を行う脱磁機121及び丸棒鋼Sの内部を超音波探傷する超音波探傷機122が上流側から下流側に向けて順に設置されている。
また、第3搬送ライン117の終端部117bの近傍の後側には、漏洩磁束探傷機118による漏洩磁束探傷の結果、不合格とされた不合格品が送られる磁束探傷不合格品床123が設置されている。また、第3搬送ライン117の終端部117bの近傍の後側であって磁束探傷不合格品床123の下流側には、超音波探傷機122による超音波探傷の結果、不合格とされた不合格品が送られる超音波探傷不合格品床124が設置されている。
【0044】
また、精整設備1は、第2領域B1内に、第3搬送ライン117から移行して丸棒鋼Sを搬送する第4搬送ライン125を備えている。第4搬送ライン125は、第3搬送ライン117の終端部13b近傍の前側から第3搬送ライン117に対して直交する前方向に直線状に延びるように形成されたベルトコンベアで構成される。つまり、第4搬送ライン25は、始端部125aから終端部125bにかけて後方向に直線状に延びるように形成されたベルトコンベアで構成されている。そして、第4搬送ライン125は、丸棒鋼Sを横送りの状態で始端部125a側から終端部125b側に向けて搬送する。
【0045】
そして、第4搬送ライン125の途中には、丸棒鋼Sの片端面にラベルを貼着するラベラー126が設置されている。ラベラー126は、第4搬送ライン125の幅方向の左端側に設置され、丸棒鋼Sの先端部Sa側の端面にラベル(図示せず)を貼着する。このラベルには、丸棒鋼Sの鋼種、鋼番、サイズ(直径、長さ)等の丸棒鋼Sの情報が記載されている。
また、精整設備101は、第2領域B1内において、第4搬送ライン125から移行して丸棒鋼Sを搬送する第5搬送ライン127を備えている。第5搬送ライン127は、第4搬送ライン125の終端部125b近傍から第4搬送ライン125に対して直交しかつ左方向に直線状に延びるように形成された搬送テーブルで構成されている。つまり、第5搬送ライン127は、始端部127aから終端部127bにかけて左方向に直線状に延びるように形成された搬送テーブルで構成されている。そして、第5搬送ライン127は、丸棒鋼Sをその尾端部Sbを先頭にして始端部127a側から搬送する。
【0046】
そして、第5搬送ライン127は第3領域C1内にまで延び、第3領域C1内における第5搬送ライン127の途中には、複数の丸棒鋼Sを結束する結束機128が設置されている。複数の丸棒鋼Sは、結束機128で結束されて、それらの尾端部Sbを先頭にして第5搬送ライン127上を終端部127bに向けて搬送される。
また、精整設備1の第3領域C1内には、第5搬送ライン127を挟んで前後両側に一対の払出床130a,130bが設置されている。前側の払出床130aは、第5搬送ライン127の終端部127b近傍の前側から前方向に延びるベルトコンベア129aの端部に近接して設置され、第5搬送ライン127からベルトコンベア129aによって搬送された丸棒鋼Sの結束束が載置される。また、後側の払出床130bは、第5搬送ライン127の終端部127b近傍の後側から後方向に延びるベルトコンベア129bの端部に近接して設置され、第5搬送ライン127からベルトコンベア129bによって搬送された丸棒鋼Sの結束束が載置される。
【0047】
そして、第3領域C1の外部であって払出床130a,130bの近くには、天井クレーン140とは別個の天井クレーン141が設置されている。天井クレーン141の作業員135は、天井クレーン141を操作し、払出床130a,130b上に載置された丸棒鋼Sの結束束を前述の置場とは別個の置場に仮置きするようになっている。
なお、精整設備1の第1領域A1内には、作業員131が常駐している。そして、作業員131は、第1領域A1内の各設備の調整や精整処理に伴う作業を主に行い、給材床11上に載置された丸棒鋼Sの結束束を解束したり、解束に際して丸棒鋼Sの結束束に取り付けられた検査表のバーコードを読み取ったりする。また、作業員は、曲がり矯正機13の調整をしたりする。
【0048】
また、精整設備101の第2領域B1内にも、作業員132が常駐している。この作業員132は、第2領域B1内の各設備の調整や精整処理に伴う作業を行い、不合格品床114上に送られた丸棒鋼Sの不合格品の手入れをしたりし、面取り機16の調整や漏洩磁束探傷機18及び超音波探傷機22の校正を行う。また、作業員132は、磁束探傷不合格品床123上の不合格品や超音波探傷不合格品床124上の不合格品の処理を行う。また、作業員132は、ラベラー26の調整も行う。
また、精整設備101の第3領域C1内にも作業員133が常駐している。この作業員133は、第3領域C1内の各設備の調整や精整処理に伴う作業を行い、結束機28の調整や、丸棒鋼Sの結束束に、数量や重量等を記載した検査表を取り付ける作業を行う。
【0049】
このように、参考例に係る丸棒鋼Sの精整設備101においては、第1搬送ライン112は始端部112aから終端部112bにかけて左方向に直線状に延びるように形成され、第2搬送ライン115は第1搬送ラインの終端部112b近傍から第1搬送ライン112に対して直交する後方向に直線状に延びるように形成され、第3搬送ライン117は第2搬送ライン115の終端部115b近傍から第2搬送ライン115に対して直交しかつ第1搬送ライン112と反対側(左側)に直線状に延びるように形成されている。このため、第1搬送ライン112、第2搬送ライン115及び第3搬送ライン117は、平面から見て第2搬送ライン15を挟んで右側に第1搬送ライン112が延び、左側に第3搬送ライン117が延びるように形成されている。
【0050】
つまり、曲がり矯正機113を設置した第1搬送ライン112、面取り機116を設置した第2搬送ライン115、及び漏洩磁束探傷機118及び超音波探傷機122を設置した第3搬送ライン117を、平面から見て、第2搬送ライン15を挟んで右側に直線距離の長い第1搬送ライン112が延び、左側に直線距離の長い第3搬送ライン117が延びている。このため、第1搬送ライン112の始端から第3搬送ライン117の終端までの左右方向の距離が、本実施形態に係る精整設備1(
図1参照)の第1搬送ライン12の始端から第3搬送ライン17の終端までの左右方向の距離よりも長くなってしまう。このため、給材床111から払出床1130a,130bに至るまでの左右方向の距離が必然的に長いものとなり、精整設備101の全体の大きさをコンパクトにすることができない。
【0051】
そして、作業員の人数も、天井クレーン140の操作を行う作業員134、第1領域A1内で作業を行う作業員131、第2領域B1内で作業を行う作業員132、第3領域C1内で作業を行う作業員133、天井クレーン141の操作を行う作業員135の5人が必要であり、第1実施形態に係る精整設備1に必要とされる3人の作業員よりも多人数が必要となる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、第4搬送ライン25は、第3搬送ライン17の終端部17b近傍から第3搬送ライン17に対して直交する後方向に直線状に延びるように形成されている必要は必ずしもなく、第3搬送ライン17の終端部17b近傍から第3搬送ライン17に対して直交する前方向に直線状に延びるように形成されていてもよい。但し、第4搬送ライン25を、第3搬送ライン17の終端部17b近傍から第3搬送ライン17に対して直交する後方向に延びるように形成すると、第4搬送ライン25が第2搬送ライン15とほぼ対向することになり、精整設備1の前後方向(Y方向)の大きさをコンパクトにすることができる。
【0053】
また、第5搬送ライン27は、第4搬送ライン25の終端部25b近傍から第4搬送ライン25に対して直交する右方向に直線状に延びるように形成されている必要は必ずしもなく、第4搬送ライン25の終端部25b近傍から第4搬送ライン25に対して直交する左方向に直線状に延びるように形成されていてもよい。第5搬送ライン27を、第4搬送ライン25の終端部25b近傍から第4搬送ライン25に対して直交する左方向に延びるように形成すると、精整設備1の左右方向(X方向)の大きさをよりコンパクトにすることができる。