【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一様態は、重合体(A)及び溶剤(B)が含まれると共に、特定の範囲の粘度を有するフレキシブル基板用組成物を提供することである。
【0006】
本発明の別の様態は、上記のフレキシブル基板用組成物を含むフレキシブル基板を提供することである。
【0007】
本発明のまた一つの様態は、重合体(A)及び溶剤(B)を含み、重合体(A)はテトラカルボン酸二無水物成分(a)及びジアミン成分(b)を含む混合物を反応させて製造されるフレキシブル基板用組成物の製造方法を提供することである。
【0008】
本発明のもう一つの様態は、上記製造方法により形成されたフレキシブル基板用組成物を含んでよいフレキシブル基板を提供することである。
【0009】
本発明の上記様態によれば、まず、フレキシブル基板用組成物を提供する。一実施例において、上記フレキシブル基板用組成物は、重合体(A)及び溶剤(B)を含んでよく、且つ25℃であるとき、上記組成物の粘度が100cps〜20,000cpsであってよい。好適な例において、フレキシブル基板用組成物の粘度が120cps〜18,000cpsであってよい。より好適な例において、フレキシブル基板用組成物の粘度が150cps〜15,000cpsであってよい。以下、フレキシブル基板用組成物に含まれる重合体(A)及び溶剤(B)を別々に説明する。
【0010】
重合体(A)
重合体(A)は、ポリアミド酸樹脂、ポリイミド樹脂又は上記樹脂の任意の組み合わせから選ばれたものであり、且つテトラカルボン酸二無水物成分(a)及びジアミン成分(b)を含む混合物を反応させて製造されることができる。
【0011】
本発明の重合体(A)は、下式(I)に示す構造を含んでよい。
【0012】
【化1】
【0013】
式(I)において、Z
1はそれぞれ独立にエーテル結合又はエステル結合であり、R
1はそれぞれ独立に単結合、メチレン又は炭素数2〜6のアルキレンであり、R
2はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル又は炭素数1〜4のアルコキシであり、R
3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜9のアルキル、炭素数1〜9のアルコキシ、炭素数3〜12のシクロアルキル又は炭素数6〜12のアリールであり、mは0〜4の整数であり、且つ*
aは結合部位を示す。
【0014】
一実施例において、重合体(A)は、下式(II)に示す構造を更に含む。
【0015】
【化2】
【0016】
式(II)において、*
bは結合部位を示し、且つXは下式(II−1)の構造を示す。
【0017】
【化3】
【0018】
式(II−1)において、Yは単結合、−O−、−CH
2−、−SO
2−、−C(CH
3)
2−又は−C(CF
3)
2−を示し、及び*
cは式(II)のOとの結合部位を示す。
【0019】
テトラカルボン酸二無水物成分(a)
テトラカルボン酸二無水物成分は、脂肪族テトラカルボン酸二無水物化合物、脂環式テトラカルボン酸二無水物化合物、芳香族テトラカルボン酸二無水物化合物、下式(IV−1)〜式(IV−6)に示すテトラカルボン酸二無水物化合物及びフッ素含有テトラカルボン酸二無水物化合物(fluorine−containing tetracarboxylic dianhydride compound)等から選ばれたものであってよい。
【0020】
脂肪族テトラカルボン酸二無水物化合物の具体例としては、エタンテトラカルボン酸二無水物又はブタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物成分を含むが、これらに限定されない。
【0021】
脂環式テトラカルボン酸二無水物化合物の具体例としては、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、シス−3,7−ジブチルシクロヘプチル−1,5−ジエン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物又は2,3,5−トリカルボキシルシクロペンチル酢酸二無水物等の脂環式テトラカルボン酸二無水物化合物を含むが、これらに限定されない。
【0022】
脂環式テトラカルボン酸二無水物化合物は、二環式脂環式テトラカルボン酸二無水物化合物(bicyclic alicyclic tetracarboxylic dianhydride compound)を含んでもよい。好ましくは、二環式脂環式テトラカルボン酸二無水物化合物は、原子数7〜9の4価の架橋炭化水素基(bridged hydrocarbon group)を有し、且つ4価の架橋炭化水素基の中の1つの橋(bridge)の橋原子数は1又は2である。
【0023】
二環式脂環式テトラカルボン酸二無水物化合物の具体例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、7−チアビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、6−(カルボキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5−トリカルボン酸−2,3,5,6−二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−1,2,7,8−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−2−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、7−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、7−オキサビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、7−チアビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[3.2.1]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4,5,6−テトラカルボン酸二無水物、7−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、7−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4,5,6−テトラカルボン酸二無水物、7−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、7−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4,5,6−テトラカルボン酸二無水物、7−チアビシクロ[3.2.1]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、7−チアビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[3.2.2]ノナン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[3.2.2]ノナン−2,4,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[3.2.2]ノニル−8−アルケニル−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[3.2.2]ノニル−8−アルケニル−2,4,6,7−テトラカルボン酸二無水物、8−アザビシクロ[3.2.2]ノナン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、8−アザビシクロ[3.2.2]ノナン−2,4,6,7−テトラカルボン酸二無水物、8−オキサビシクロ[3.2.2]ノナン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、8−オキサビシクロ[3.2.2]ノナン−2,4,6,7−テトラカルボン酸二無水物、8−チアビシクロ[3.2.2]ノナン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物又は8−チアビシクロ[3.2.2]ノナン−2,4,6,7−テトラカルボン酸二無水物等を含むが、これらに限定されない。
【0024】
芳香族テトラカルボン酸二無水物化合物の具体例としては、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−コハク酸二無水物、ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’−4,4’−ジフェニルエタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルフィドテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルフィドテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(テレフタル酸)フェニルホスフィンオキシド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルテレフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルテレフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルテレフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルテレフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、グリコール−ビス(脱水トリメリテート)、プロパンジオール−ビス(脱水トリメリテート)、1,4−ブタンジオール−ビス(脱水トリメリテート)、1,6−ヘキシレングリコール−ビス(脱水トリメリテート)、1,8−オクタンジオール−ビス(脱水トリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(脱水トリメリテート)、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物等を含むが、これらに限定されない。
【0025】
式(IV−1)〜式(IV−6)に示すテトラカルボン酸二無水物成分は、以下のように示す。
【0026】
【化4】
【0027】
【化5】
【0028】
式(IV−5)において、A
1は芳香環を含む2価基を示し、aは1〜2の整数を示し、A
2及びA
3は同一または異なってもよく、且つそれぞれ水素原子又はアルキルを示すことができる。好ましくは、式(IV−5)に示すテトラカルボン酸二無水物成分は、下式(IV−5−1)〜式(IV−5−3)に示す化合物から選ばれたものであってよい。
【0029】
【化6】
【0030】
式(IV−6)において、A
4は芳香環を含む2価基を示し、A
5及びA
6は同一または異なってもよく、且つそれぞれ水素原子又はアルキルを示す。好ましくは、式(IV−6)に示すテトラカルボン酸二無水物成分は、下式(IV−6−1)に示す化合物から選ばれたものであってよい。
【0031】
【化7】
【0032】
フッ素含有テトラカルボン酸二無水物化合物の具体例としては、9,9−ビス(トリフルオロメチル)−9H−ジベンゾフラン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、下式(IV−7)〜式(IV−13)に示すテトラカルボン酸二無水物化合物又は上記化合物の任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0033】
【化8】
【0034】
【化9】
【0035】
式(IV−7)において、A
7及びA
8の少なくとも一方は、フッ素原子又はトリフルオロメチルである。
【0036】
上記のテトラカルボン酸二無水物成分は、単独の1種を使用されてもよいし、複数の種類を混合して使用されてもよい。このテトラカルボン酸二無水物成分は、好ましくは1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシルシクロペンチル酢酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、8−チアビシクロ[3.2.2]ノナン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−コハク酸二無水物、ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(トリフルオロメチル)−9H−ジベンゾフラン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物,又は式(IV−8)又は式(IV−10)に示すテトラカルボン酸二無水物化合物等を含むが、これらに限定されない。
【0037】
ジアミン成分(b)の合計モル数は100molであるのに対して、テトラカルボン酸二無水物成分の使用量は、好ましくは20mol〜200molであり、より好ましくは30mol〜120molである。
【0038】
ジアミン成分(b)
本発明のジアミン成分(b)は、少なくとも1種のジアミン化合物(b−1)を含む。好適な例において、ジアミン成分(b)は、ジアミン化合物(b−2)を更に含んでよい。なお、ジアミン成分(b)として、その他のジアミン化合物(b−3)を選択的に添加してもよい。以下、別々に説明する。
【0039】
ジアミン化合物(b−1)
本発明において、ジアミン化合物(b−1)は、下式(I’)に示す構造を含んでよい。
【0040】
【化10】
【0041】
式(I’)において、Z
1はそれぞれ独立にエーテル結合又はエステル結合であり、R
1はそれぞれ独立に単結合、メチレン又は炭素数2〜6のアルキレンであり、R
2はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル又は炭素数1〜4のアルコキシであり、R
3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜9のアルキル、炭素数1〜9のアルコキシ、炭素数3〜12のシクロアルキル又は炭素数6〜12のアリールであり、及び、mは0〜4の整数である。
【0042】
具体的には、上記ジアミン化合物(b−1)の具体例としては、下式(I’−1)〜式(I’−26)に示す化合物を含んでよい。
【0043】
【化11】
【0044】
【化12】
【0045】
【化13】
【0046】
【化14】
【0047】
【化15】
【0048】
【化16】
【0049】
【化17】
【0050】
【化18】
【0051】
上記のジアミン化合物(b−1)は、適当な有機化学の標準方法の組み合わせによって合成される。以下、幾つかの例によって、本発明のジアミン化合物(b−1)の合成方法を説明する。しかし、特に説明すべきなのは、下記で使用されるジオール化合物及び二酸化合物、ニトロベンゾイルクロライド及びフルオロニトロベンゼンを任意に組み合わせることができるが、本発明は挙げられた例に限定されない。
【0052】
一実施例において、上式(I’−1)〜式(I’−16)のジアミン化合物(b−1)の合成方法は、下記のとおりである。まず、1当量のジオール化合物と2当量の4−フルオロニトロベンゼン(4−fluoronitro benzene)とを反応させて、ジニトロ化合物を形成する。次に、適当な還元剤によって前記ジニトロ化合物のニトロ基をアミノ基に還元させ、上式(I’−1)〜式(I’−16)に示すジアミン化合物(b−1)を合成することができる。例としては、1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノールをジオール化合物とすると、式(I’−1)に示すジアミン化合物を製造することができる。1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノールを2−メチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノールに切り替えると、式(I’−2)に示すジアミン化合物を製造することができる。別の例において、2−ブチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノールをジオール化合物とし、前記の4−フルオロニトロベンゼンを3−フルオロニトロベンゼンに切り替えると、式(I’−4)に示すアミノ基がメタ位にあるジアミン化合物を製造することができる。
【0053】
一実施例において、上式(I’−17)〜式(I’−23)のジアミン化合物(b−1)の合成方法は、下記のとおりである。まず、1当量のジオール化合物と2当量の4−ニトロベンゾイルクロライド(4−nitrobenzoyl chloride)とを反応させて、ジニトロ化合物を形成する。次に、適当な還元剤によって前記ジニトロ化合物のニトロ基をアミノ基に還元させて、上式(I’−17)〜式(I’−23)のジアミン化合物(b−1)を合成することができる。例としては、2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノールをジオール化合物とすると、式(I’−17)に示すジアミン化合物を製造することができる。2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノールを2−エチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノールに切り替えると、式(I’−18)に示すジアミン化合物を製造することができる。一方、2−フェニルメチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノールをジオール化合物とし、4−ニトロベンゾイルクロライドを3−ニトロベンゾイルクロライドに切り替えると、式(I’−22)のアミノ基がメタ位にあるジアミン化合物を製造することができる。
【0054】
一実施例において、上式(I’−24)〜式(I’−26)のジアミン化合物(b−1)の合成方法は、下記のとおりである。まず、1当量の二酸化合物と2当量の4−フルオロニトロベンゼンとを反応させて、ジニトロ化合物を形成する。次に、前記ジニトロ化合物のニトロ基をアミノ基に還元させ、上式(I’−24)〜式(I’−26)のジアミン化合物(b−1)を合成することができる。例としては、2,2’−(1,3−ジオキサン−5,5−ジイル)二酢酸を二酸化合物とすると、式(I’−24)に示すジアミン化合物を製造することができる。2,2’−(1,3−ジオキサン−5,5−ジイル)二酢酸を2−ヘプチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジカルボン酸に切り替えると、式(I’−25)に示すジアミン化合物を製造することができる。一方、2−メチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジカルボン酸を二酸化合物とし、4−フルオロニトロベンゼンを3−フルオロニトロベンゼンに切り替えると、式(I’−26)に示すアミノ基がメタ位にあるジアミン化合物を製造することができる。
【0055】
一例において、前記ジオール化合物は、1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−メチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−プロピル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−ブチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−ヘキシル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−イソプロピル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−ノニル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、1,3−ジオキサン−5−メタノール−5−n−プロパノール、2−エトキシ−1,3−ジオキサン−5,5ジメタノール、2−(クロロメチル)−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−フェニル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−フェニルエチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−(ナフタレン−2−イル)−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−([1,1’−ジ(シクロヘキサン)]−4−イル)−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−フェニル−1,3−ジオキサン−5,5−ジオール、2−([1,1’−ジフェニル]−4−イル)−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−エチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−ペンチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−メチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジエタノール、2−プロポキシ−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−フェニルメチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール又は2−(p−トルエン)−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノールを含んでよいが、これらに限定されない。
【0056】
一例において、前記二酸化合物は、2,2’−(1,3−ジオキサン−5,5−ジイル)二酢酸、2−ヘプチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジカルボン酸又は2−メチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジカルボン酸を含んでよいが、これらに限定されない。
【0057】
一例において、前記還元剤は、亜鉛、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、硫酸ヒドラジン、カルボン酸ヒドラジン及び塩酸ヒドラジンを含むが、これらに限定されない。
【0058】
ジアミン化合物(b−1)は、単独に使用されてもよいし、多種を組み合わせて使用されてもよい。
【0059】
ジアミン成分(b)の使用量は100molであるのに対して、ジアミン化合物(b−1)の使用量は5mol〜60molであり、好ましくは8mol〜55molであり、10mol〜50molであることがより好ましい。
【0060】
ジアミン化合物(b−1)を使用しないと、製造されたフレキシブル基板の強靭性が低下する。
【0061】
ジアミン化合物(b−2)
本発明のジアミン化合物(b−2)は、下式(II’)の構造を含んでよい。
【0062】
【化19】
【0063】
式(II’)において、Xは下式(II−1)の構造を示す。
【0064】
【化20】
【0065】
式(II−1)において、Yは単結合、−O−、−CH
2−、−SO
2−、−C(CH
3)
2−又は−C(CF
3)
2−を示し、及び*
cは式(II’)のOとの結合部位を示す。
【0066】
具体的には、式(II’)に示す構造を含むジアミン化合物(b−2)は、2,2−ビス(4−アミノフェノキシ(4−フェニル))プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシ(4−フェニル))ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(4,4’−Bis(4−aminophenoxy) biphenyl)、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン又はビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォンを含むが、これらに限定されない。
【0067】
上記例において、ジアミン化合物(b−2)は、好ましくは2,2−ビス(4−アミノフェノキシ(4−フェニル))プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニル又はビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォンであってよい。
【0068】
ジアミン成分(b)の使用量は100molであるのに対して、ジアミン化合物(b−2)の使用量は10mol〜95molであり、好ましくは15mol〜92molであり、20mol〜90molであることがより好ましい。
【0069】
本発明のジアミン成分(b)にはジアミン化合物(b−2)が含まれると、製造されたフレキシブル基板の強靭性を更に向上させることができる。
【0070】
特に説明すべきなのは、本発明の重合体(A)に含まれる式(I)に示す構造については、上記ジアミン化合物(b−1)の内容、及び、本発明の重合体(A)に含まれる式(II)に示す構造は、上記ジアミン化合物(b−2)の内容を参照することができる。相違点は、上記式(I)及び式(II)の構造であり、前記式(I’)のジアミン化合物(b−1)及び式(II’)のジアミン化合物(b−2)を、それぞれテトラカルボン酸二無水物成分(a)と脱水縮合を行い、アミド結合(即ち*
a及び*
bで表す結合部位)を形成する。
【0071】
その他のジアミン化合物(b−3)
本発明のジアミン成分(b)は、選択的にその他のジアミン化合物(b−3)を含んでよく、脂肪族ジアミン化合物、脂環式ジアミン化合物、芳香族ジアミン化合物、下式(III−1)〜(III−15)に示すジアミン化合物又はフッ素含有ジアミン化合物等から選ばれたものであってよい。且つ上記のその他のジアミン化合物(b−3)は、単独の1種を使用されてもよいし、複数の種類を混合して使用されてもよい。
【0072】
脂肪族ジアミン化合物は、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、4,4’−ジアミノヘプタン、1,3−ジアミノ−2,2−ジメチルプロパン、1,6−ジアミノ−2,5−ジメチルヘキサン、1,7−ジアミノ−2,5−ジメチルヘプタン、1,7−ジアミノ−4,4−ジメチルヘプタン、1,7−ジアミノ−3−メチルヘプタン、1,9−ジアミノ−5−メチルノナン、2,11−ジアミノドデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、1,2−ビス(3−アミンプロポキシ)エタン等を含むが、これらに限定されない。
【0073】
脂環式ジアミン化合物は、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニルジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデセンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等を含むが、これらに限定されない。
【0074】
芳香族ジアミン化合物は、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノベンゾイルアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、5−アミン−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインデン、6−アミン−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインデン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニリレンジメチレンジアミン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−水素アントラセン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン[9,10−bis(4− aminophenyl)anthracene]、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ジアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ジアニリン、5−[4−(4−n-ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニル−メチレン−1,3−ジアミノベンゼン{5−[4−(4−n−pentylcyclohexyl)cyclohexyl]phenyl methylene−1,3−diaminobenzene}、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−(4−エチルフェニル)シクロヘキサン{1,1−bis[4−(4−amino phenoxy)phenyl]−4−(4−ethylphenyl)cyclohexane}等を含むが、これらに限定されない。
【0075】
式(III−1)〜(III−15)に示すジアミン化合物は、以下のように示す。
【0076】
【化21】
【0077】
式(III−1)において、B
1は−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−又は−CO−を示し、B
2はステロイド(Steroids)バックボーンが含まれると共に、炭素数2〜30のアルキル又はピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジン及びピペラジン等の窒素原子を含む環状構造から誘導された1価基を示す。
【0078】
式(III−1)に示すジアミン化合物は、好ましくは2,4−ジアミノフェニルギ酸エチル(2,4−diaminophenyl ethyl formate)、3,5−ジアミノフェニルギ酸エチル(3,5−diaminophenyl ethyl formate)、2,4−ジアミノフェニルプロピルホルメート(2,4−diaminophenyl propyl formate)、3,5−ジアミノフェニルプロピルホルメート(3,5−diaminophenyl propyl formate)、1−ドデコキシ−2,4−ジアミノベンゼン(1−dodecoxy−2,4−diaminobenzene)、1−ヘキサデコキシ−2,4−ジアミノベンゼン(1−hexadecoxy−2,4−diaminobenzene)、1−オクタデコキシ−2,4−ジアミノベンゼン(1−octadecoxy−2,4−diaminobenzene)又は下式(III−1−1)〜式(III−1−4)に示すジアミン化合物から選ばれたものである。
【0079】
【化22】
【0080】
式(III−2)において、B
3は−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−又は−CO−を示し、B
4及びB
5はアルキレン脂肪族環、アルキレン芳香族環又はヘテロシクリレンの2価基を示し、B
6は炭素数3〜18のアルキル、炭素数3〜18のアルコキシ、シアノ又は塩素原子を示す。好ましくは、この式(III−2)に示すジアミン化合物は、下式(III−2−1)〜式(III−2−8)に示すジアミン化合物から選ばれたものである。
【0081】
【化23】
【0082】
式(III−2−5)〜式(III−2−8)において、bは3〜12の整数を示してよい。
【0083】
【化24】
【0084】
式(III−3)において、B
7は水素、炭素数1〜5のアシル、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ又は塩素原子を示し、且つ各繰り返し単位におけるB
7は同一または異なってもよく、B
8は1〜3の整数である。
【0085】
式(III−3)に示すジアミン化合物は、好ましくは(1)p−ジアミノベンゼン、m−ジアミノベンゼン、o−ジアミノベンゼン又は2,5−ジアミントルエン等のB
8が1であるもの、(2)4,4’−ジアミノジフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニル、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノジフェニル又は2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシジフェニル等のB
8が2であるもの、(3)1,4−ビス(4’−アミノフェニル)ベンゼン等のB
8が3であるものから選ばれたものであり、より好ましくはp−ジアミノベンゼン、2,5−ジアミントルエン、4,4’−ジアミノジフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニル又は1,4−ビス(4’−アミノフェニル)ベンゼンから選ばれたものである。
【0086】
【化25】
【0087】
式(III−4)において、B
9は2〜12の整数である。
【0088】
【化26】
【0089】
式(III−5)において、B
10は1〜5の整数を示す。式(III−5)は、好ましくは4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテルから選ばれたものである。
【0090】
【化27】
【0091】
式(III−6)において、B
11及びB
12は同一または異なってもよく、且つそれぞれ2価の有機基を示し、B
13はピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジン及びピペラジン等の窒素原子を含む環状構造から誘導された2価基を示す。
【0092】
【化28】
【0093】
式(III−7)において、B
14は−O−又はシクロヘキシリデンを示し、B
15は−CH
2−を示し、B
16はフェニレン又はシクロヘキシリデンを示し、B
17は水素又はヘプチルを示す。
【0094】
式(III−7)に示すジアミン化合物は、好ましくは下式(III−7−1)〜式(III−7−2)に示すジアミン化合物から選ばれたものである。
【0095】
【化29】
【0096】
式(III−8)〜式(III−15)に示すその他のジアミン化合物(b−3)を以下のとおり示す。
【0097】
【化30】
【0098】
【化31】
【0099】
フッ素含有ジアミン化合物は、好ましくは2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミン−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−アミノフェニル)エーテル、ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−アミノフェニル)チオエーテル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル、下式(III−16)〜式(III−43)に示すジアミン化合物又は上記化合物の任意の組み合わせから選ばれたものである。
【0100】
【化32】
【0101】
【化33】
【0102】
【化34】
【0103】
【化35】
【0104】
上記のその他のジアミン化合物(b−3)は、単独の1種を使用されてもよいし、複数の種類を混合して使用されてもよい。その他のジアミン化合物(b−3)は、好ましくは1,2−ジアミノエタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、5−[4−(4−n-ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニルメチレン−1,3−ジアミノベンゼン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−(4−エチルフェニル)シクロヘキサン、2,4−ジアミノフェニルギ酸エチル、p−ジアミノベンゼン、m−ジアミノベンゼン、o−ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−アミノフェニル)エーテル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル、又は式(III−1−1)、式(III−1−2)、式(III−2−1)、式(III−2−6)、又は式(III−7−1)、式(III−23)、式(III−25)、式(III−26)、式(III−27)又は式(III−33)に示すジアミン化合物を含むが、これらに限定されない。
【0105】
ジアミン成分(b)の使用量は100molであるのに対して、その他のジアミン化合物(b−3)の使用量は0mol〜85molであり、好ましくは0mol〜77molであり、0mol〜70molであることがより好ましい。
【0106】
重合体(A)の製造方法
ポリアミド酸樹脂の調製方法
ポリアミド酸樹脂の調製方法は、以下の工程を含む。テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分を含む混合物を溶剤に溶解して、0℃〜100℃の温度条件で1時間〜24時間重合反応を行う。次に、上記の反応溶液に蒸発器で減圧蒸留を行い、ポリアミド酸樹脂を得ることができ、又は上記の反応溶液を大量の貧溶剤に添加して、析出物を得る。その後、減圧乾燥によりこの析出物を乾燥処理し、ポリアミド酸樹脂を得ることができる。
【0107】
重合反応に用いる溶剤は、フレキシブル基板用組成物における溶剤と同一又は異なってもよく、且つ特に限定されず、反応物と生成物を溶解できるものであればよい。好ましくは、溶剤は、(1)非プロトン性極性溶剤:N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素又はヘキサメチルリン酸トリアミド等、(2)フェノール系溶剤:m−クレゾール、キシレノール、フェノール又はハロゲン化フェノール類等を含むが、これらに限定されない。好ましくは、混合物の総使用量は100重量部であるのに対して、重合反応に用いる溶剤の使用量範囲が200重量部〜2,000重量部であり、より好ましくは、重合反応に用いる溶剤の使用量範囲が300重量部〜1,800重量部である。
【0108】
特に、上記重合反応において、溶剤には、ポリアミド酸樹脂を析出させない限り、適量な貧溶剤を併用してもよい。前記貧溶剤は単独の1種を使用されてもよいし、又は複数の種類を混合して使用されても良く、且つ貧溶剤は(1)アルコール類:メタノール、エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール、グリコール、プロパンジオール、1,4−ブタンジオール又はトリエチレングリコール等、(2)ケトン類:アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はシクロヘキサノン等、(3)エステル類:酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル又はエチレングリコールエチルエーテルアセテート等、(4)エーテル類:ジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールn−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル又はジエチレングリコールジメチルエーテル等、(5)ハロゲン化炭化水素類:ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン又はo−ジクロロベンゼン等、(6)炭化水素類:テトラヒドロフラン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン又はキシレン等、又は(7)上記の任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。好ましくは、ジアミン成分の総使用量は100重量部であるのに対して、貧溶剤の使用量範囲が0重量部〜60重量部であり、より好ましくは、貧溶剤の使用量範囲が0重量部〜50重量部である。
【0109】
ポリイミド樹脂の調製方法
ポリイミド樹脂の調製方法は、以下の工程を含む。テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分を含む混合物を溶剤に溶解して、重合反応を行ってポリアミド酸樹脂を形成し、且つ脱水剤及び触媒の存在で、更に加熱して脱水ループ反応を行い、重合反応時に発生したアミド酸官能基をイミド官能基に変換する(即ちイミド化)。
【0110】
重合反応及び脱水ループ反応は、属する分野の従来操作の反応温度及び反応時間を採用することができる。好ましくは、重合反応の操作温度範囲が0℃〜100℃である。好ましくは、重合反応の操作時間範囲が1時間〜24時間である。好ましくは、脱水ループ反応の操作温度範囲が30℃〜200℃であり、且つ脱水ループ反応の操作時間範囲が0.5時間〜50時間である。
【0111】
脱水ループ反応に用いる溶剤は、フレキシブル基板用組成物における溶剤と同じであってよいので、繰り返して説明しない。好ましくは、ポリアミド酸樹脂の使用量は100重量部であるのに対して、脱水ループ反応に用いる溶剤の使用量範囲が200重量部〜2,000重量部であり、より好ましくは、脱水ループ反応に用いる溶剤の使用量範囲が300重量部〜1,800重量部である。
【0112】
脱水ループ反応に用いる脱水剤は(1)酸無水物類化合物:酢酸無水物、プロピオン酸無水物又はトリフルオロ酢酸無水物等から選ばれる。ポリアミド酸樹脂が1molであるのに対して、脱水剤の使用量範囲が0.01mol〜20molである。脱水ループ反応に用いる触媒は(1)ピリジン類化合物:ピリジン、トリメチルピリジン又はジメチルピリジン等、(2)第三級アミン類化合物:トリエチルアミン等から選ばれる。脱水剤が1molであるのに対して、触媒の使用量範囲が0.5mol〜10molである。
【0113】
本発明の重合体(A)がゲル浸透クロマトグラフィーによって測定された、ポリスチレンで変換された重量平均分子量は10,000〜90,000であり、好ましくは12,000〜75,000であり、より好ましくは15,000〜60,000である。
【0114】
溶剤(B)
好ましくは、フレキシブル基板用組成物に使用された溶剤(B)は、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−アミドブチロラクトン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオネート、エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールn−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセチルアミン、又はこれらの組み合わせから選ばれる。
【0115】
重合体(A)の使用量は100重量部であるのに対して、溶剤(B)の使用量は200重量部〜2,000重量部であり、好ましくは250重量部〜1,800重量部であり、より好ましくは300重量部〜1,500重量部である。
【0116】
添加剤(C)
本発明の効果に影響しない範囲内で、フレキシブル基板用組成物には、更に選択的に添加剤(C)を添加してもよい。添加剤(C)は、充填剤、可塑剤、耐候剤、粘度調整剤、表面処理剤、酸化防止剤、消泡剤、着色剤、熱安定剤、接着助剤及び離型剤等を含むが、これらに限定されない。添加剤は、属する分野に使用されるものを利用すればよい。
【0117】
充填剤は、シリカ(商品名は、例えば、IPA−ST(粒径12nm)、EG−ST(粒径12nm)、IPA−ST−L(粒径45nm)、IPA−ST−ZL(粒径100nm)があり、日産化学で製造される)、アルミナ(aluminium oxide)、タルク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、又はその組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0118】
酸化防止剤は、ジブチルヒドロキシトルエン(商品名は、例えば、BHTがあり、日本東京化成工業株式会社(Tokyo Chemical Industry(TCI)Co.,Ltd.)で製造される)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、又はその組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0119】
消泡剤は、ケイ素系消泡剤(商品名は、例えば、SH−203があり、東レ・ダウコーニング(Toray−Dow corning)株式会社で製造される)、アセチレンジオール系消泡剤(商品名は、例えば、Surfynol DF−100D、Surfynol DF−37、日信化学で製造される)、フッ素原子を含むケイ素系消泡剤(商品名は、例えばFA−630があり、信越化学で製造される)、又はその組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0120】
添加剤(C)は、単独に使用されてもよいし、多種を組み合わせて使用されてもよい。
【0121】
重合体(A)の使用量は100重量部であるのに対して、添加剤(C)の使用量は0.1〜40重量部であってよく、且つ好ましくは1重量部〜30重量部である。
【0122】
フレキシブル基板用組成物の調製方法
本発明のフレキシブル基板用組成物の調製方法は、特に限定されないが、一般的な混合方法によって調製することができる。例としては、まず、上記方法で調製される重合体(A)及び溶剤(B)を均一に混合して混合物を形成する。次に、選択的に添加剤(C)を添加して、最後に添加剤(C)を攪拌装置で溶解されるまで持続的に攪拌すればよい。
【0123】
25℃では、本発明のフレキシブル基板用組成物の粘度は、組成物の各成分割合によって調整されることができ、粘度範囲が100cps〜20,000cpsであり、好適な例において、フレキシブル基板用組成物の粘度が120cps〜18,000cpsであってよく、より好適な例において、フレキシブル基板用組成物の粘度が150cps〜15,000cpsであってよい。
【0124】
フレキシブル基板の形成方法
本発明のフレキシブル基板は、上記のフレキシブル基板用組成物で形成される。
【0125】
具体的には、フレキシブル基板の形成方法としては、本発明のフレキシブル基板用組成物を基材に塗布して、乾燥処理及び硬化処理された後、更に基材から脱離すればよい。
【0126】
塗布方法としては、スピンコーティング、キャストコーティング又はロールコーティング等の塗布方法のような従来の方法を採用することができ、繰り返して説明しない。乾燥処理は、従来の方法を採用することができ、溶剤を除去するためのものであればよい。乾燥処理の操作の温度範囲は、好ましくは50℃〜200℃であり、時間が1分間〜1時間である。硬化処理としては、従来の方法を採用することができ、残った溶剤を完全に除去すると共にフレキシブル基板を密度の高い構造に形成するためのものである。硬化処理の操作の温度範囲は好ましくは150℃〜500℃であり、時間は10分間〜2時間である。
【0127】
脱離の方法としては、例えば、直接に基板からフレキシブル基板を剥離させ、ドライエッチング方法を使用して基板を除去するか又はウェットエッチング方法を使用して基板を除去するような従来の方法等を採用することができる。
【0128】
基材は液晶表示装置に用いるE−ガラス、ソーダ石灰ガラス、硬質ガラス(パイレックス(登録商標)ガラス)、石英ガラス又はシリコンウエハを含むが、これらに限定されない。
【0129】
本発明のフレキシブル基板は、フレキシブルな液晶ディスプレイ又は電子書籍に適用されることができる。
【0130】
本発明は、以下の実施例で更に説明するが、これらの実施例がただ例示として説明されるが、本発明の実施の制限に解釈されるべきではないことは理解すべきである。