特許第6973701号(P6973701)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6973701フレキシブル基板用組成物、その製造方法及びフレキシブル基板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6973701
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】フレキシブル基板用組成物、その製造方法及びフレキシブル基板
(51)【国際特許分類】
   C08L 79/08 20060101AFI20211118BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20211118BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20211118BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   C08L79/08 Z
   C08G73/10
   H05K1/03 610N
   H05K1/02 B
【請求項の数】14
【全頁数】48
(21)【出願番号】特願2017-207146(P2017-207146)
(22)【出願日】2017年10月26日
(65)【公開番号】特開2018-70883(P2018-70883A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2020年8月11日
(31)【優先権主張番号】105135091
(32)【優先日】2016年10月28日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】594006345
【氏名又は名称】奇美實業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100143465
【弁理士】
【氏名又は名称】竹尾 由重
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(72)【発明者】
【氏名】梁 育豪
(72)【発明者】
【氏名】陳 志榮
【審査官】 渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/129329(WO,A1)
【文献】 特開2013−001750(JP,A)
【文献】 特開2010−168551(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0273976(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/131566(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G73
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド酸樹脂、ポリイミド樹脂及び上記の任意の組み合わせからなる群から選ばれたものであり、下式(I)に示す構造を含み、
【化1】
前記式(I)において、前記Z1はそれぞれ独立にエーテル結合又はエステル結合であり、前記R1はそれぞれ独立に単結合、メチレン又は炭素数2〜6のアルキレンであり、前記R2はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル又は炭素数1〜4のアルコキシであり、前記R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜9のアルキル、炭素数1〜9のアルコキシ、炭素数3〜12のシクロアルキル又は炭素数6〜12のアリールであり、前記mは0〜4の整数であり、且つ前記*aは結合部位を示す重合体(A)と、
溶剤(B)と、
を含み、
25℃であるとき、粘度が100cps〜20,000cpsであるフレキシブル基板用組成物。
【請求項2】
前記フレキシブル基板用組成物の前記粘度は、120cps〜18,000cpsである請求項1に記載のフレキシブル基板用組成物。
【請求項3】
前記フレキシブル基板用組成物の前記粘度は、150cps〜15,000cpsである請求項1に記載のフレキシブル基板用組成物。
【請求項4】
前記重合体(A)は、下式(II)に示す構造を更に含み、
【化2】
前記式(II)において、前記*bは結合部位を示し、且つ前記Xは下式(II−1)の構造を示し、
【化3】
前記式(II−1)において、前記Yは単結合、−O−、−CH2−、−SO2−、−C(CH32−又は−C(CF32−を示し、及び前記*cは前記式(II)のOとの結合部位を示す請求項1に記載のフレキシブル基板用組成物。
【請求項5】
前記重合体(A)の使用量は100重量部であるのに対して、前記溶剤(B)の使用量は200重量部〜2,000重量部である請求項1に記載のフレキシブル基板用組成物。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載のフレキシブル基板用組成物を含むフレキシブル基板。
【請求項7】
テトラカルボン酸二無水物成分(a)及びジアミン成分(b)を含む混合物を反応させて製造され、前記ジアミン成分(b)は、下式(I’)に示す構造のジアミン化合物(b−1)を含み、
【化4】
前記式(I’)において、前記Z1はそれぞれ独立にエーテル結合又はエステル結合であり、前記R1はそれぞれ独立に単結合、メチレン又は炭素数2〜6のアルキレンであり、前記R2はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル又は炭素数1〜4のアルコキシであり、前記R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜9のアルキル、炭素数1〜9のアルコキシ、炭素数3〜12のシクロアルキル又は炭素数6〜12のアリールであり、及び、前記mは0〜4の整数である重合体(A)と、
溶剤(B)と、
を混合して含み、
25℃であるとき、粘度が100cps〜20,000cpsであるフレキシブル基板用組成物の製造方法。
【請求項8】
前記フレキシブル基板用組成物の前記粘度は、120cps〜18,000cpsである請求項7に記載のフレキシブル基板用組成物の製造方法。
【請求項9】
前記フレキシブル基板用組成物の前記粘度は、150cps〜15,000cpsである請求項7に記載のフレキシブル基板用組成物の製造方法。
【請求項10】
前記ジアミン成分(b)の使用量は100molであるのに対して、前記ジアミン化合物(b−1)の使用量は5mol〜60molである請求項7に記載のフレキシブル基板用組成物の製造方法。
【請求項11】
前記ジアミン成分(b)は、下式(II’)に示す構造のジアミン化合物(b−2)を更に含み、
【化5】
前記式(II’)において、前記Xは下式(II−1)の構造を示し、
【化6】
前記式(II−1)において、前記Yは単結合、−O−、−CH2−、−SO2−、−C(CH32−又は−C(CF32−を示し、及び前記*cは前記式(II’)のOとの結合部位を示す請求項7に記載のフレキシブル基板用組成物の製造方法。
【請求項12】
前記ジアミン成分(b)の使用量は100molであるのに対して、前記ジアミン化合物(b−2)の使用量は10mol〜95molである請求項11に記載のフレキシブル基板用組成物の製造方法。
【請求項13】
前記重合体(A)の使用量は100重量部であるのに対して、前記溶剤(B)の使用量は200重量部〜2,000重量部である請求項7に記載のフレキシブル基板用組成物の製造方法。
【請求項14】
請求項7〜13の何れか一項に記載のフレキシブル基板用組成物の製造方法により形成されたフレキシブル基板用組成物を含むフレキシブル基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル基板用組成物、その製造方法及びフレキシブル基板に関し、特に、良好な強靭性を有するフレキシブル基板を製造するための、特定の粘度を有するフレキシブル基板用組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気素子又は装置の各項の特徴(例えば、電気絶縁性、耐熱性又は機械的性質等)を向上させるために、有機高分子材料は、既に様々な電気素子又は装置に広く適用されている。そのうち、ポリイミド重合体(polyimide polymer)は、最も広く使用され、良好な機械的性質及びよい電気的性質等の優れた特性を有するので、関連業界に好まれる。
【0003】
WO 2009/107429において、透明フレキシブル基板用のポリイミド前駆体組成物が開示されている。前記ポリイミド前駆体は、ジアミン(フッ素含有ベンジジン及び1,4−シクロヘキサンジアミンを含む)とテトラカルボン酸二無水物とを反応させて製造され、且つ上記組成物により高透明性のフレキシブル基板を形成することができる。しかし、上記ポリイミド前駆体は、加熱硬化されてポリイミドを形成するとき、強靭性が低下するという問題が発生しやすいので、業界の要求を満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、従来のフレキシブル基板用組成物及びフレキシブル基板の欠陥を改善したフレキシブル基板用組成物、その製造方法及びフレキシブル基板を提供することは急務である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一様態は、重合体(A)及び溶剤(B)が含まれると共に、特定の範囲の粘度を有するフレキシブル基板用組成物を提供することである。
【0006】
本発明の別の様態は、上記のフレキシブル基板用組成物を含むフレキシブル基板を提供することである。
【0007】
本発明のまた一つの様態は、重合体(A)及び溶剤(B)を含み、重合体(A)はテトラカルボン酸二無水物成分(a)及びジアミン成分(b)を含む混合物を反応させて製造されるフレキシブル基板用組成物の製造方法を提供することである。
【0008】
本発明のもう一つの様態は、上記製造方法により形成されたフレキシブル基板用組成物を含んでよいフレキシブル基板を提供することである。
【0009】
本発明の上記様態によれば、まず、フレキシブル基板用組成物を提供する。一実施例において、上記フレキシブル基板用組成物は、重合体(A)及び溶剤(B)を含んでよく、且つ25℃であるとき、上記組成物の粘度が100cps〜20,000cpsであってよい。好適な例において、フレキシブル基板用組成物の粘度が120cps〜18,000cpsであってよい。より好適な例において、フレキシブル基板用組成物の粘度が150cps〜15,000cpsであってよい。以下、フレキシブル基板用組成物に含まれる重合体(A)及び溶剤(B)を別々に説明する。
【0010】
重合体(A)
重合体(A)は、ポリアミド酸樹脂、ポリイミド樹脂又は上記樹脂の任意の組み合わせから選ばれたものであり、且つテトラカルボン酸二無水物成分(a)及びジアミン成分(b)を含む混合物を反応させて製造されることができる。
【0011】
本発明の重合体(A)は、下式(I)に示す構造を含んでよい。
【0012】
【化1】
【0013】
式(I)において、Z1はそれぞれ独立にエーテル結合又はエステル結合であり、R1はそれぞれ独立に単結合、メチレン又は炭素数2〜6のアルキレンであり、R2はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル又は炭素数1〜4のアルコキシであり、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜9のアルキル、炭素数1〜9のアルコキシ、炭素数3〜12のシクロアルキル又は炭素数6〜12のアリールであり、mは0〜4の整数であり、且つ*aは結合部位を示す。
【0014】
一実施例において、重合体(A)は、下式(II)に示す構造を更に含む。
【0015】
【化2】
【0016】
式(II)において、*bは結合部位を示し、且つXは下式(II−1)の構造を示す。
【0017】
【化3】
【0018】
式(II−1)において、Yは単結合、−O−、−CH2−、−SO2−、−C(CH32−又は−C(CF32−を示し、及び*cは式(II)のOとの結合部位を示す。
【0019】
テトラカルボン酸二無水物成分(a)
テトラカルボン酸二無水物成分は、脂肪族テトラカルボン酸二無水物化合物、脂環式テトラカルボン酸二無水物化合物、芳香族テトラカルボン酸二無水物化合物、下式(IV−1)〜式(IV−6)に示すテトラカルボン酸二無水物化合物及びフッ素含有テトラカルボン酸二無水物化合物(fluorine−containing tetracarboxylic dianhydride compound)等から選ばれたものであってよい。
【0020】
脂肪族テトラカルボン酸二無水物化合物の具体例としては、エタンテトラカルボン酸二無水物又はブタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物成分を含むが、これらに限定されない。
【0021】
脂環式テトラカルボン酸二無水物化合物の具体例としては、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、シス−3,7−ジブチルシクロヘプチル−1,5−ジエン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物又は2,3,5−トリカルボキシルシクロペンチル酢酸二無水物等の脂環式テトラカルボン酸二無水物化合物を含むが、これらに限定されない。
【0022】
脂環式テトラカルボン酸二無水物化合物は、二環式脂環式テトラカルボン酸二無水物化合物(bicyclic alicyclic tetracarboxylic dianhydride compound)を含んでもよい。好ましくは、二環式脂環式テトラカルボン酸二無水物化合物は、原子数7〜9の4価の架橋炭化水素基(bridged hydrocarbon group)を有し、且つ4価の架橋炭化水素基の中の1つの橋(bridge)の橋原子数は1又は2である。
【0023】
二環式脂環式テトラカルボン酸二無水物化合物の具体例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、7−チアビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、6−(カルボキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5−トリカルボン酸−2,3,5,6−二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−1,2,7,8−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−2−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、7−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、7−オキサビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、7−チアビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[3.2.1]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4,5,6−テトラカルボン酸二無水物、7−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、7−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4,5,6−テトラカルボン酸二無水物、7−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、7−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4,5,6−テトラカルボン酸二無水物、7−チアビシクロ[3.2.1]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、7−チアビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[3.2.2]ノナン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[3.2.2]ノナン−2,4,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[3.2.2]ノニル−8−アルケニル−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[3.2.2]ノニル−8−アルケニル−2,4,6,7−テトラカルボン酸二無水物、8−アザビシクロ[3.2.2]ノナン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、8−アザビシクロ[3.2.2]ノナン−2,4,6,7−テトラカルボン酸二無水物、8−オキサビシクロ[3.2.2]ノナン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、8−オキサビシクロ[3.2.2]ノナン−2,4,6,7−テトラカルボン酸二無水物、8−チアビシクロ[3.2.2]ノナン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物又は8−チアビシクロ[3.2.2]ノナン−2,4,6,7−テトラカルボン酸二無水物等を含むが、これらに限定されない。
【0024】
芳香族テトラカルボン酸二無水物化合物の具体例としては、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−コハク酸二無水物、ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’−4,4’−ジフェニルエタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルフィドテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルフィドテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(テレフタル酸)フェニルホスフィンオキシド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルテレフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルテレフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルテレフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルテレフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、グリコール−ビス(脱水トリメリテート)、プロパンジオール−ビス(脱水トリメリテート)、1,4−ブタンジオール−ビス(脱水トリメリテート)、1,6−ヘキシレングリコール−ビス(脱水トリメリテート)、1,8−オクタンジオール−ビス(脱水トリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(脱水トリメリテート)、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物等を含むが、これらに限定されない。
【0025】
式(IV−1)〜式(IV−6)に示すテトラカルボン酸二無水物成分は、以下のように示す。
【0026】
【化4】
【0027】
【化5】
【0028】
式(IV−5)において、A1は芳香環を含む2価基を示し、aは1〜2の整数を示し、A2及びA3は同一または異なってもよく、且つそれぞれ水素原子又はアルキルを示すことができる。好ましくは、式(IV−5)に示すテトラカルボン酸二無水物成分は、下式(IV−5−1)〜式(IV−5−3)に示す化合物から選ばれたものであってよい。
【0029】
【化6】
【0030】
式(IV−6)において、A4は芳香環を含む2価基を示し、A5及びA6は同一または異なってもよく、且つそれぞれ水素原子又はアルキルを示す。好ましくは、式(IV−6)に示すテトラカルボン酸二無水物成分は、下式(IV−6−1)に示す化合物から選ばれたものであってよい。
【0031】
【化7】
【0032】
フッ素含有テトラカルボン酸二無水物化合物の具体例としては、9,9−ビス(トリフルオロメチル)−9H−ジベンゾフラン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、下式(IV−7)〜式(IV−13)に示すテトラカルボン酸二無水物化合物又は上記化合物の任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0033】
【化8】
【0034】
【化9】
【0035】
式(IV−7)において、A7及びA8の少なくとも一方は、フッ素原子又はトリフルオロメチルである。
【0036】
上記のテトラカルボン酸二無水物成分は、単独の1種を使用されてもよいし、複数の種類を混合して使用されてもよい。このテトラカルボン酸二無水物成分は、好ましくは1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシルシクロペンチル酢酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、8−チアビシクロ[3.2.2]ノナン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−コハク酸二無水物、ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(トリフルオロメチル)−9H−ジベンゾフラン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物,又は式(IV−8)又は式(IV−10)に示すテトラカルボン酸二無水物化合物等を含むが、これらに限定されない。
【0037】
ジアミン成分(b)の合計モル数は100molであるのに対して、テトラカルボン酸二無水物成分の使用量は、好ましくは20mol〜200molであり、より好ましくは30mol〜120molである。
【0038】
ジアミン成分(b)
本発明のジアミン成分(b)は、少なくとも1種のジアミン化合物(b−1)を含む。好適な例において、ジアミン成分(b)は、ジアミン化合物(b−2)を更に含んでよい。なお、ジアミン成分(b)として、その他のジアミン化合物(b−3)を選択的に添加してもよい。以下、別々に説明する。
【0039】
ジアミン化合物(b−1)
本発明において、ジアミン化合物(b−1)は、下式(I’)に示す構造を含んでよい。
【0040】
【化10】
【0041】
式(I’)において、Z1はそれぞれ独立にエーテル結合又はエステル結合であり、R1はそれぞれ独立に単結合、メチレン又は炭素数2〜6のアルキレンであり、R2はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル又は炭素数1〜4のアルコキシであり、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜9のアルキル、炭素数1〜9のアルコキシ、炭素数3〜12のシクロアルキル又は炭素数6〜12のアリールであり、及び、mは0〜4の整数である。
【0042】
具体的には、上記ジアミン化合物(b−1)の具体例としては、下式(I’−1)〜式(I’−26)に示す化合物を含んでよい。
【0043】
【化11】
【0044】
【化12】
【0045】
【化13】
【0046】
【化14】
【0047】
【化15】
【0048】
【化16】
【0049】
【化17】
【0050】
【化18】
【0051】
上記のジアミン化合物(b−1)は、適当な有機化学の標準方法の組み合わせによって合成される。以下、幾つかの例によって、本発明のジアミン化合物(b−1)の合成方法を説明する。しかし、特に説明すべきなのは、下記で使用されるジオール化合物及び二酸化合物、ニトロベンゾイルクロライド及びフルオロニトロベンゼンを任意に組み合わせることができるが、本発明は挙げられた例に限定されない。
【0052】
一実施例において、上式(I’−1)〜式(I’−16)のジアミン化合物(b−1)の合成方法は、下記のとおりである。まず、1当量のジオール化合物と2当量の4−フルオロニトロベンゼン(4−fluoronitro benzene)とを反応させて、ジニトロ化合物を形成する。次に、適当な還元剤によって前記ジニトロ化合物のニトロ基をアミノ基に還元させ、上式(I’−1)〜式(I’−16)に示すジアミン化合物(b−1)を合成することができる。例としては、1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノールをジオール化合物とすると、式(I’−1)に示すジアミン化合物を製造することができる。1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノールを2−メチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノールに切り替えると、式(I’−2)に示すジアミン化合物を製造することができる。別の例において、2−ブチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノールをジオール化合物とし、前記の4−フルオロニトロベンゼンを3−フルオロニトロベンゼンに切り替えると、式(I’−4)に示すアミノ基がメタ位にあるジアミン化合物を製造することができる。
【0053】
一実施例において、上式(I’−17)〜式(I’−23)のジアミン化合物(b−1)の合成方法は、下記のとおりである。まず、1当量のジオール化合物と2当量の4−ニトロベンゾイルクロライド(4−nitrobenzoyl chloride)とを反応させて、ジニトロ化合物を形成する。次に、適当な還元剤によって前記ジニトロ化合物のニトロ基をアミノ基に還元させて、上式(I’−17)〜式(I’−23)のジアミン化合物(b−1)を合成することができる。例としては、2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノールをジオール化合物とすると、式(I’−17)に示すジアミン化合物を製造することができる。2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノールを2−エチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノールに切り替えると、式(I’−18)に示すジアミン化合物を製造することができる。一方、2−フェニルメチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノールをジオール化合物とし、4−ニトロベンゾイルクロライドを3−ニトロベンゾイルクロライドに切り替えると、式(I’−22)のアミノ基がメタ位にあるジアミン化合物を製造することができる。
【0054】
一実施例において、上式(I’−24)〜式(I’−26)のジアミン化合物(b−1)の合成方法は、下記のとおりである。まず、1当量の二酸化合物と2当量の4−フルオロニトロベンゼンとを反応させて、ジニトロ化合物を形成する。次に、前記ジニトロ化合物のニトロ基をアミノ基に還元させ、上式(I’−24)〜式(I’−26)のジアミン化合物(b−1)を合成することができる。例としては、2,2’−(1,3−ジオキサン−5,5−ジイル)二酢酸を二酸化合物とすると、式(I’−24)に示すジアミン化合物を製造することができる。2,2’−(1,3−ジオキサン−5,5−ジイル)二酢酸を2−ヘプチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジカルボン酸に切り替えると、式(I’−25)に示すジアミン化合物を製造することができる。一方、2−メチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジカルボン酸を二酸化合物とし、4−フルオロニトロベンゼンを3−フルオロニトロベンゼンに切り替えると、式(I’−26)に示すアミノ基がメタ位にあるジアミン化合物を製造することができる。
【0055】
一例において、前記ジオール化合物は、1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−メチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−プロピル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−ブチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−ヘキシル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−イソプロピル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−ノニル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、1,3−ジオキサン−5−メタノール−5−n−プロパノール、2−エトキシ−1,3−ジオキサン−5,5ジメタノール、2−(クロロメチル)−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−フェニル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−フェニルエチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−(ナフタレン−2−イル)−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−([1,1’−ジ(シクロヘキサン)]−4−イル)−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−フェニル−1,3−ジオキサン−5,5−ジオール、2−([1,1’−ジフェニル]−4−イル)−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−エチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−ペンチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−メチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジエタノール、2−プロポキシ−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−フェニルメチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール又は2−(p−トルエン)−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノールを含んでよいが、これらに限定されない。
【0056】
一例において、前記二酸化合物は、2,2’−(1,3−ジオキサン−5,5−ジイル)二酢酸、2−ヘプチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジカルボン酸又は2−メチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジカルボン酸を含んでよいが、これらに限定されない。
【0057】
一例において、前記還元剤は、亜鉛、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、硫酸ヒドラジン、カルボン酸ヒドラジン及び塩酸ヒドラジンを含むが、これらに限定されない。
【0058】
ジアミン化合物(b−1)は、単独に使用されてもよいし、多種を組み合わせて使用されてもよい。
【0059】
ジアミン成分(b)の使用量は100molであるのに対して、ジアミン化合物(b−1)の使用量は5mol〜60molであり、好ましくは8mol〜55molであり、10mol〜50molであることがより好ましい。
【0060】
ジアミン化合物(b−1)を使用しないと、製造されたフレキシブル基板の強靭性が低下する。
【0061】
ジアミン化合物(b−2)
本発明のジアミン化合物(b−2)は、下式(II’)の構造を含んでよい。
【0062】
【化19】
【0063】
式(II’)において、Xは下式(II−1)の構造を示す。
【0064】
【化20】
【0065】
式(II−1)において、Yは単結合、−O−、−CH2−、−SO2−、−C(CH32−又は−C(CF32−を示し、及び*cは式(II’)のOとの結合部位を示す。
【0066】
具体的には、式(II’)に示す構造を含むジアミン化合物(b−2)は、2,2−ビス(4−アミノフェノキシ(4−フェニル))プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシ(4−フェニル))ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(4,4’−Bis(4−aminophenoxy) biphenyl)、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン又はビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォンを含むが、これらに限定されない。
【0067】
上記例において、ジアミン化合物(b−2)は、好ましくは2,2−ビス(4−アミノフェノキシ(4−フェニル))プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニル又はビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォンであってよい。
【0068】
ジアミン成分(b)の使用量は100molであるのに対して、ジアミン化合物(b−2)の使用量は10mol〜95molであり、好ましくは15mol〜92molであり、20mol〜90molであることがより好ましい。
【0069】
本発明のジアミン成分(b)にはジアミン化合物(b−2)が含まれると、製造されたフレキシブル基板の強靭性を更に向上させることができる。
【0070】
特に説明すべきなのは、本発明の重合体(A)に含まれる式(I)に示す構造については、上記ジアミン化合物(b−1)の内容、及び、本発明の重合体(A)に含まれる式(II)に示す構造は、上記ジアミン化合物(b−2)の内容を参照することができる。相違点は、上記式(I)及び式(II)の構造であり、前記式(I’)のジアミン化合物(b−1)及び式(II’)のジアミン化合物(b−2)を、それぞれテトラカルボン酸二無水物成分(a)と脱水縮合を行い、アミド結合(即ち*a及び*bで表す結合部位)を形成する。
【0071】
その他のジアミン化合物(b−3)
本発明のジアミン成分(b)は、選択的にその他のジアミン化合物(b−3)を含んでよく、脂肪族ジアミン化合物、脂環式ジアミン化合物、芳香族ジアミン化合物、下式(III−1)〜(III−15)に示すジアミン化合物又はフッ素含有ジアミン化合物等から選ばれたものであってよい。且つ上記のその他のジアミン化合物(b−3)は、単独の1種を使用されてもよいし、複数の種類を混合して使用されてもよい。
【0072】
脂肪族ジアミン化合物は、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、4,4’−ジアミノヘプタン、1,3−ジアミノ−2,2−ジメチルプロパン、1,6−ジアミノ−2,5−ジメチルヘキサン、1,7−ジアミノ−2,5−ジメチルヘプタン、1,7−ジアミノ−4,4−ジメチルヘプタン、1,7−ジアミノ−3−メチルヘプタン、1,9−ジアミノ−5−メチルノナン、2,11−ジアミノドデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、1,2−ビス(3−アミンプロポキシ)エタン等を含むが、これらに限定されない。
【0073】
脂環式ジアミン化合物は、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニルジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデセンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等を含むが、これらに限定されない。
【0074】
芳香族ジアミン化合物は、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノベンゾイルアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、5−アミン−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインデン、6−アミン−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインデン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニリレンジメチレンジアミン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−水素アントラセン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン[9,10−bis(4− aminophenyl)anthracene]、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ジアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ジアニリン、5−[4−(4−n-ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニル−メチレン−1,3−ジアミノベンゼン{5−[4−(4−n−pentylcyclohexyl)cyclohexyl]phenyl methylene−1,3−diaminobenzene}、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−(4−エチルフェニル)シクロヘキサン{1,1−bis[4−(4−amino phenoxy)phenyl]−4−(4−ethylphenyl)cyclohexane}等を含むが、これらに限定されない。
【0075】
式(III−1)〜(III−15)に示すジアミン化合物は、以下のように示す。
【0076】
【化21】
【0077】
式(III−1)において、B1は−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−又は−CO−を示し、B2はステロイド(Steroids)バックボーンが含まれると共に、炭素数2〜30のアルキル又はピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジン及びピペラジン等の窒素原子を含む環状構造から誘導された1価基を示す。
【0078】
式(III−1)に示すジアミン化合物は、好ましくは2,4−ジアミノフェニルギ酸エチル(2,4−diaminophenyl ethyl formate)、3,5−ジアミノフェニルギ酸エチル(3,5−diaminophenyl ethyl formate)、2,4−ジアミノフェニルプロピルホルメート(2,4−diaminophenyl propyl formate)、3,5−ジアミノフェニルプロピルホルメート(3,5−diaminophenyl propyl formate)、1−ドデコキシ−2,4−ジアミノベンゼン(1−dodecoxy−2,4−diaminobenzene)、1−ヘキサデコキシ−2,4−ジアミノベンゼン(1−hexadecoxy−2,4−diaminobenzene)、1−オクタデコキシ−2,4−ジアミノベンゼン(1−octadecoxy−2,4−diaminobenzene)又は下式(III−1−1)〜式(III−1−4)に示すジアミン化合物から選ばれたものである。
【0079】
【化22】
【0080】
式(III−2)において、B3は−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−又は−CO−を示し、B4及びB5はアルキレン脂肪族環、アルキレン芳香族環又はヘテロシクリレンの2価基を示し、B6は炭素数3〜18のアルキル、炭素数3〜18のアルコキシ、シアノ又は塩素原子を示す。好ましくは、この式(III−2)に示すジアミン化合物は、下式(III−2−1)〜式(III−2−8)に示すジアミン化合物から選ばれたものである。
【0081】
【化23】
【0082】
式(III−2−5)〜式(III−2−8)において、bは3〜12の整数を示してよい。
【0083】
【化24】
【0084】
式(III−3)において、B7は水素、炭素数1〜5のアシル、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ又は塩素原子を示し、且つ各繰り返し単位におけるB7は同一または異なってもよく、B8は1〜3の整数である。
【0085】
式(III−3)に示すジアミン化合物は、好ましくは(1)p−ジアミノベンゼン、m−ジアミノベンゼン、o−ジアミノベンゼン又は2,5−ジアミントルエン等のB8が1であるもの、(2)4,4’−ジアミノジフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニル、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノジフェニル又は2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシジフェニル等のB8が2であるもの、(3)1,4−ビス(4’−アミノフェニル)ベンゼン等のB8が3であるものから選ばれたものであり、より好ましくはp−ジアミノベンゼン、2,5−ジアミントルエン、4,4’−ジアミノジフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニル又は1,4−ビス(4’−アミノフェニル)ベンゼンから選ばれたものである。
【0086】
【化25】
【0087】
式(III−4)において、B9は2〜12の整数である。
【0088】
【化26】
【0089】
式(III−5)において、B10は1〜5の整数を示す。式(III−5)は、好ましくは4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテルから選ばれたものである。
【0090】
【化27】
【0091】
式(III−6)において、B11及びB12は同一または異なってもよく、且つそれぞれ2価の有機基を示し、B13はピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジン及びピペラジン等の窒素原子を含む環状構造から誘導された2価基を示す。
【0092】
【化28】
【0093】
式(III−7)において、B14は−O−又はシクロヘキシリデンを示し、B15は−CH2−を示し、B16はフェニレン又はシクロヘキシリデンを示し、B17は水素又はヘプチルを示す。
【0094】
式(III−7)に示すジアミン化合物は、好ましくは下式(III−7−1)〜式(III−7−2)に示すジアミン化合物から選ばれたものである。
【0095】
【化29】
【0096】
式(III−8)〜式(III−15)に示すその他のジアミン化合物(b−3)を以下のとおり示す。
【0097】
【化30】
【0098】
【化31】
【0099】
フッ素含有ジアミン化合物は、好ましくは2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミン−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−アミノフェニル)エーテル、ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−アミノフェニル)チオエーテル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル、下式(III−16)〜式(III−43)に示すジアミン化合物又は上記化合物の任意の組み合わせから選ばれたものである。
【0100】
【化32】
【0101】
【化33】
【0102】
【化34】
【0103】
【化35】
【0104】
上記のその他のジアミン化合物(b−3)は、単独の1種を使用されてもよいし、複数の種類を混合して使用されてもよい。その他のジアミン化合物(b−3)は、好ましくは1,2−ジアミノエタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、5−[4−(4−n-ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニルメチレン−1,3−ジアミノベンゼン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−(4−エチルフェニル)シクロヘキサン、2,4−ジアミノフェニルギ酸エチル、p−ジアミノベンゼン、m−ジアミノベンゼン、o−ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−アミノフェニル)エーテル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル、又は式(III−1−1)、式(III−1−2)、式(III−2−1)、式(III−2−6)、又は式(III−7−1)、式(III−23)、式(III−25)、式(III−26)、式(III−27)又は式(III−33)に示すジアミン化合物を含むが、これらに限定されない。
【0105】
ジアミン成分(b)の使用量は100molであるのに対して、その他のジアミン化合物(b−3)の使用量は0mol〜85molであり、好ましくは0mol〜77molであり、0mol〜70molであることがより好ましい。
【0106】
重合体(A)の製造方法
ポリアミド酸樹脂の調製方法
ポリアミド酸樹脂の調製方法は、以下の工程を含む。テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分を含む混合物を溶剤に溶解して、0℃〜100℃の温度条件で1時間〜24時間重合反応を行う。次に、上記の反応溶液に蒸発器で減圧蒸留を行い、ポリアミド酸樹脂を得ることができ、又は上記の反応溶液を大量の貧溶剤に添加して、析出物を得る。その後、減圧乾燥によりこの析出物を乾燥処理し、ポリアミド酸樹脂を得ることができる。
【0107】
重合反応に用いる溶剤は、フレキシブル基板用組成物における溶剤と同一又は異なってもよく、且つ特に限定されず、反応物と生成物を溶解できるものであればよい。好ましくは、溶剤は、(1)非プロトン性極性溶剤:N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素又はヘキサメチルリン酸トリアミド等、(2)フェノール系溶剤:m−クレゾール、キシレノール、フェノール又はハロゲン化フェノール類等を含むが、これらに限定されない。好ましくは、混合物の総使用量は100重量部であるのに対して、重合反応に用いる溶剤の使用量範囲が200重量部〜2,000重量部であり、より好ましくは、重合反応に用いる溶剤の使用量範囲が300重量部〜1,800重量部である。
【0108】
特に、上記重合反応において、溶剤には、ポリアミド酸樹脂を析出させない限り、適量な貧溶剤を併用してもよい。前記貧溶剤は単独の1種を使用されてもよいし、又は複数の種類を混合して使用されても良く、且つ貧溶剤は(1)アルコール類:メタノール、エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール、グリコール、プロパンジオール、1,4−ブタンジオール又はトリエチレングリコール等、(2)ケトン類:アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はシクロヘキサノン等、(3)エステル類:酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル又はエチレングリコールエチルエーテルアセテート等、(4)エーテル類:ジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールn−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル又はジエチレングリコールジメチルエーテル等、(5)ハロゲン化炭化水素類:ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン又はo−ジクロロベンゼン等、(6)炭化水素類:テトラヒドロフラン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン又はキシレン等、又は(7)上記の任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。好ましくは、ジアミン成分の総使用量は100重量部であるのに対して、貧溶剤の使用量範囲が0重量部〜60重量部であり、より好ましくは、貧溶剤の使用量範囲が0重量部〜50重量部である。
【0109】
ポリイミド樹脂の調製方法
ポリイミド樹脂の調製方法は、以下の工程を含む。テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分を含む混合物を溶剤に溶解して、重合反応を行ってポリアミド酸樹脂を形成し、且つ脱水剤及び触媒の存在で、更に加熱して脱水ループ反応を行い、重合反応時に発生したアミド酸官能基をイミド官能基に変換する(即ちイミド化)。
【0110】
重合反応及び脱水ループ反応は、属する分野の従来操作の反応温度及び反応時間を採用することができる。好ましくは、重合反応の操作温度範囲が0℃〜100℃である。好ましくは、重合反応の操作時間範囲が1時間〜24時間である。好ましくは、脱水ループ反応の操作温度範囲が30℃〜200℃であり、且つ脱水ループ反応の操作時間範囲が0.5時間〜50時間である。
【0111】
脱水ループ反応に用いる溶剤は、フレキシブル基板用組成物における溶剤と同じであってよいので、繰り返して説明しない。好ましくは、ポリアミド酸樹脂の使用量は100重量部であるのに対して、脱水ループ反応に用いる溶剤の使用量範囲が200重量部〜2,000重量部であり、より好ましくは、脱水ループ反応に用いる溶剤の使用量範囲が300重量部〜1,800重量部である。
【0112】
脱水ループ反応に用いる脱水剤は(1)酸無水物類化合物:酢酸無水物、プロピオン酸無水物又はトリフルオロ酢酸無水物等から選ばれる。ポリアミド酸樹脂が1molであるのに対して、脱水剤の使用量範囲が0.01mol〜20molである。脱水ループ反応に用いる触媒は(1)ピリジン類化合物:ピリジン、トリメチルピリジン又はジメチルピリジン等、(2)第三級アミン類化合物:トリエチルアミン等から選ばれる。脱水剤が1molであるのに対して、触媒の使用量範囲が0.5mol〜10molである。
【0113】
本発明の重合体(A)がゲル浸透クロマトグラフィーによって測定された、ポリスチレンで変換された重量平均分子量は10,000〜90,000であり、好ましくは12,000〜75,000であり、より好ましくは15,000〜60,000である。
【0114】
溶剤(B)
好ましくは、フレキシブル基板用組成物に使用された溶剤(B)は、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−アミドブチロラクトン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオネート、エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールn−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセチルアミン、又はこれらの組み合わせから選ばれる。
【0115】
重合体(A)の使用量は100重量部であるのに対して、溶剤(B)の使用量は200重量部〜2,000重量部であり、好ましくは250重量部〜1,800重量部であり、より好ましくは300重量部〜1,500重量部である。
【0116】
添加剤(C)
本発明の効果に影響しない範囲内で、フレキシブル基板用組成物には、更に選択的に添加剤(C)を添加してもよい。添加剤(C)は、充填剤、可塑剤、耐候剤、粘度調整剤、表面処理剤、酸化防止剤、消泡剤、着色剤、熱安定剤、接着助剤及び離型剤等を含むが、これらに限定されない。添加剤は、属する分野に使用されるものを利用すればよい。
【0117】
充填剤は、シリカ(商品名は、例えば、IPA−ST(粒径12nm)、EG−ST(粒径12nm)、IPA−ST−L(粒径45nm)、IPA−ST−ZL(粒径100nm)があり、日産化学で製造される)、アルミナ(aluminium oxide)、タルク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、又はその組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0118】
酸化防止剤は、ジブチルヒドロキシトルエン(商品名は、例えば、BHTがあり、日本東京化成工業株式会社(Tokyo Chemical Industry(TCI)Co.,Ltd.)で製造される)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、又はその組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0119】
消泡剤は、ケイ素系消泡剤(商品名は、例えば、SH−203があり、東レ・ダウコーニング(Toray−Dow corning)株式会社で製造される)、アセチレンジオール系消泡剤(商品名は、例えば、Surfynol DF−100D、Surfynol DF−37、日信化学で製造される)、フッ素原子を含むケイ素系消泡剤(商品名は、例えばFA−630があり、信越化学で製造される)、又はその組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0120】
添加剤(C)は、単独に使用されてもよいし、多種を組み合わせて使用されてもよい。
【0121】
重合体(A)の使用量は100重量部であるのに対して、添加剤(C)の使用量は0.1〜40重量部であってよく、且つ好ましくは1重量部〜30重量部である。
【0122】
フレキシブル基板用組成物の調製方法
本発明のフレキシブル基板用組成物の調製方法は、特に限定されないが、一般的な混合方法によって調製することができる。例としては、まず、上記方法で調製される重合体(A)及び溶剤(B)を均一に混合して混合物を形成する。次に、選択的に添加剤(C)を添加して、最後に添加剤(C)を攪拌装置で溶解されるまで持続的に攪拌すればよい。
【0123】
25℃では、本発明のフレキシブル基板用組成物の粘度は、組成物の各成分割合によって調整されることができ、粘度範囲が100cps〜20,000cpsであり、好適な例において、フレキシブル基板用組成物の粘度が120cps〜18,000cpsであってよく、より好適な例において、フレキシブル基板用組成物の粘度が150cps〜15,000cpsであってよい。
【0124】
フレキシブル基板の形成方法
本発明のフレキシブル基板は、上記のフレキシブル基板用組成物で形成される。
【0125】
具体的には、フレキシブル基板の形成方法としては、本発明のフレキシブル基板用組成物を基材に塗布して、乾燥処理及び硬化処理された後、更に基材から脱離すればよい。
【0126】
塗布方法としては、スピンコーティング、キャストコーティング又はロールコーティング等の塗布方法のような従来の方法を採用することができ、繰り返して説明しない。乾燥処理は、従来の方法を採用することができ、溶剤を除去するためのものであればよい。乾燥処理の操作の温度範囲は、好ましくは50℃〜200℃であり、時間が1分間〜1時間である。硬化処理としては、従来の方法を採用することができ、残った溶剤を完全に除去すると共にフレキシブル基板を密度の高い構造に形成するためのものである。硬化処理の操作の温度範囲は好ましくは150℃〜500℃であり、時間は10分間〜2時間である。
【0127】
脱離の方法としては、例えば、直接に基板からフレキシブル基板を剥離させ、ドライエッチング方法を使用して基板を除去するか又はウェットエッチング方法を使用して基板を除去するような従来の方法等を採用することができる。
【0128】
基材は液晶表示装置に用いるE−ガラス、ソーダ石灰ガラス、硬質ガラス(パイレックス(登録商標)ガラス)、石英ガラス又はシリコンウエハを含むが、これらに限定されない。
【0129】
本発明のフレキシブル基板は、フレキシブルな液晶ディスプレイ又は電子書籍に適用されることができる。
【0130】
本発明は、以下の実施例で更に説明するが、これらの実施例がただ例示として説明されるが、本発明の実施の制限に解釈されるべきではないことは理解すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0131】
ジアミン化合物(b−1)の合成
合成例b−1−1
0.30mol(44.45g)の1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、0.66mol(31.68gの懸濁液)の水素化ナトリウム(NaH、50重量%の油性懸濁液)、540mlのトルエン及び360mlのN,N−ジメチルホルムアミドを混合し、80℃で攪拌して1時間反応させた。次に、上記の反応混合物を20℃まで冷却した後、180mlのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解した0.63mol(88.89g)の4−フルオロニトロベンゼンを1時間で上記反応混合物に滴下した。滴下を完成した後、110℃で攪拌して64時間反応させた。反応混合物を冷却した後、蒸留水を添加してジクロロメタンで抽出した。蒸留水を利用してジクロロメタン層を洗浄し、且つ硫酸マグネシウムを添加して乾燥させた後、減圧雰囲気で溶剤を除去した。エタノールを利用して得られた固体を再結晶することで、化合物1を得た。窒素ガス雰囲気で、0.19molの化合物1、3.35gのパラジウム炭素触媒(Pd/C)、300mlのテトラヒドロフラン及び300mlのエタノールを混合し、60℃で攪拌した。次に、47.6mlのヒドラジン水和物を1時間で滴下した後、60℃で攪拌して4時間反応させた。反応を完成した後、サクションフィルタを利用して上記反応混合物からパラジウム炭素触媒を除去した。得られた固体にエタノールで再結晶を行い、式(I’−1)に示す化合物を取得した。
【0132】
合成例b−1−2
合成例b−1−2では、0.30molの1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノールを0.30molの2−ブチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール(分子量:204.26)に切り替えて、且つ4−フルオロニトロベンゼンを3−フルオロニトロベンゼンに切り替えることで、式(I’−4)に示す化合物を取得したこと以外、合成例b−1−1と同じ工程でそれぞれ調製した。
【0133】
合成例b−1−3
合成例b−1−3では、0.30molの1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノールを0.30molの1,3−ジオキサン−5−メタノール−5−n−プロパノール(分子量:176.21)に切り替えることで、式(I’−8)に示す化合物を取得したこと以外、合成例b−1−1と同じ工程でそれぞれ調製した。
【0134】
合成例b−1−4
合成例b−1−4では、0.30molの1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノールを0.30molの2−(クロロメチル)−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール(分子量:196.63)に切り替えることで、式(I’−10)に示す化合物を取得したこと以外、合成例b−1−1と同じ工程でそれぞれ調製した。
【0135】
合成例b−1−5
合成例b−1−5では、0.30molの1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノールを0.30molの2−([1,1’−ジ(シクロヘキサン)]−4−イル)−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール(分子量:312.44)に切り替えることで、式(I’−14)に示す化合物を取得したこと以外、合成例b−1−1と同じ工程でそれぞれ調製した。
【0136】
合成例b−1−6
合成例b−1−6では、0.30molの1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノールを0.30molの2−フェニル−1,3−ジオキサン−5,5−ジオール(分子量:196.20)に切り替えることで、式(I’−15)に示す化合物を取得したこと以外、合成例b−1−1と同じ工程でそれぞれ調製した。
【0137】
合成例b−1−7
0.5mol(103.12g)の2−プロポキシ−1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、1.50mol(207.9ml)のトリエチルアミン及び1200mlのテトラヒドロフランを混合し、氷浴で攪拌した。600mlのテトラヒドロフランに溶解した1.05mol(194.84g)の4−ニトロベンゾイルクロライドを2時間で前記溶液に滴下した後、25℃で攪拌すると共に4時間反応させた。次に、反応混合物に酢酸エチルを添加して、且つ蒸留水で洗浄した後、減圧雰囲気で溶剤を除去した。エタノールを利用して得られた固体を再結晶することで、化合物2を得た。窒素ガス雰囲気で、0.39molの化合物2、6.87gのパラジウム炭素触媒(Pd/C)、600mlのテトラヒドロフラン及び600mlのエタノールを混合し、60℃で攪拌した。97.6mlのヒドラジン水和物を1時間で前記溶液に滴下した後、60℃で攪拌すると共に4時間反応させた。反応を完成した後、サクションフィルタを利用して上記反応混合物からパラジウム炭素触媒を除去し、且つ減圧雰囲気で溶剤を除去した。得られた固体をエタノールで再結晶し、式(I’−21)に示す化合物を取得した。
【0138】
合成例b−1−8
0.5mol(95.08g)の2−メチル−1,3−ジオキサン−5,5−ジカルボン酸、400mlの塩化チオニル及び少量のジメチルホルムアミドを混合し、80℃で攪拌すると共に1時間反応させた。水流式サクションを利用して減圧サクションフィルタを行い、これにより反応混合物から反応しない塩化チオニルを除去した。その後、680mlのジクロロメタンを添加して溶液を形成する。3回で150mlの蒸留水を上記溶液に注入した後、硫酸マグネシウムで除水すると共に減圧雰囲気で溶剤を除去し、それにより固体を得た。450mlのテトラヒドロフランを利用して上記固体を溶解することで、溶液(1)を形成した。1.05mol(146.07g)の3−ニトロフェノール、800mlのテトラヒドロフラン、1.50mol(207.9ml)のトリエチルアミンを混合し、且つ氷浴で攪拌した。次に、上記溶液(1)を1時間に3−ニトロフェノール、テトラヒドロフラン及びトリエチルアミンの混合溶液を滴下した後、25℃で攪拌すると共に4時間反応させた。次に、反応混合物には酢酸エチルを添加して、蒸留水で洗浄した後、減圧雰囲気で溶剤を除去して固体を得た。エタノールを利用して得られた固体を再結晶すると、0.41molの化合物3を取得した。窒素ガス雰囲気で、0.41molの化合物3、8.20mol(536.20g)の亜鉛、1.64mol(87.72g)の塩化アンモニウム、1500mlのエタノール及び1500mlのテトラヒドロフランを混合し、0℃で攪拌した。その後、200mlの蒸留水を添加して、25℃で攪拌すると共に8時間反応させた。反応混合物をサクションフィルタすることによって、溶解しない触媒を除去した後、酢酸エチルを添加して得られた溶液を蒸留水で洗浄した。洗浄した後の溶液を減圧雰囲気で溶剤を除去して、固体が得られた。エタノールを利用して得られた固体を再結晶し、更に式(I’−26)に示す化合物が得られた。
【0139】
合成重合体(A)
合成例A−1−1
容積500mlの四つ口フラスコに窒素ガス入口、攪拌機、コンデンサー及び温度計を設置して、窒素ガスを導入した。その後、0.37g(0.0025mol)の式(I’−1)に示すジアミン化合物(b−1−1)、19.5g(0.0475mol)の2,2−ビス(4−アミノフェノキシ(4−フェニル))プロパン(b−2−1)及び70gのN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略称する)を添加して、室温で溶解されるまで攪拌した。次に、10.91g(0.05mol)のベンゼンテトラカルボン酸二無水物(a−1)及び30gのNMPを添加して、室温で2時間反応させた。反応終了後、反応溶液を1500mlの水に注入して、重合体を析出し、得られた重合体を濾過して、メタノールで洗浄及び濾過の工程を三回繰り返して行った。その後、生成物を真空オーブンに置いて、且つ温度60℃で乾燥を行うと、重合体(A−1−1)を得ることができ、その結果を表1に示す。
【0140】
合成例A−1−2〜A−1−7及び比較合成例A’−1−1〜A’−1−2
合成例A−1−2〜A−1−7及び比較合成例A’−1−1〜A’−1−2では、重合体における原料の種類と使用量を改変すること以外、合成例A−1−1の重合体(A−1−1)の製作方法と同じ調製方法を使用した。その配合方法が表1に示されるので、ここで繰り返して説明しない。
【0141】
合成例A−2−1
容積500mlの四つ口フラスコに窒素ガス入口、攪拌機、加熱器、コンデンサー及び温度計を設置し、且つ窒素ガスを導入した。その後、0.37g(0.0025mol)の式(I’−1)に示すジアミン化合物(b−1−1)、17.5g(0.0475mol)の4,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニル(b−2−2)及び70gのNMPを添加して、且つ室温で溶解されるまで攪拌した。次に、10.91g(0.05mol)のベンゼンテトラカルボン酸二無水物(a−1)及び30gのNMPを添加した。室温で6時間反応し、反応終了後、97gのNMP、5.61gの酢酸無水物及び19.35gのピリジンを前記の反応液に添加して、55℃まで昇温し、且つ持続的に2時間攪拌することで、脱水ループ反応を行った。反応終了後、反応溶液を1500mlの水に注入することで、重合体を析出し、得られた重合体を濾過すると共にメタノールで繰り返して洗浄及び濾過の工程を3回繰り返して行った。その後、生成物を真空オーブンに置いて、且つ温度60℃で乾燥させると、重合体(A−2−1)を得ることができ、その配合方法が表1に示す。
【0142】
合成例A−2−2〜A−2−7及び比較合成例A’−2−1〜A’−2−2
合成例A−2−2〜A−2−7及び比較合成例A’−2−1〜A’−2−2では、重合体における原料の種類と使用量及び脱水ループ反応の反応温度と反応時間を改変すること以外、合成例A−2−1の重合体(A−1−1)組成物と同じ調製方法を使用した。その配合方法が表1に示されるので、ここで繰り返して説明しない。
【0143】
フレキシブル基板用組成物の調製
実施例1
100重量部の合成例A−1−1の重合体(A−1−1)と200重量部のNMPを秤量し、室温で攪拌混合すると、実施例1のフレキシブル基板用組成物を製造することができる。得られたフレキシブル基板用組成物は以下の評価方法で評価を行い、その結果を表2に示す。
【0144】
実施例2〜15及び比較例1〜4
実施例2〜15及び比較例1〜4では、フレキシブル基板用組成物における原料の種類及び使用量を改変すること以外、実施例1のフレキシブル基板用組成物と同じ調製方法を使用した。その配合方法及び評価の結果がそれぞれ表2及び表3に示されるので、ここで繰り返して説明しない。
【0145】
評価の方法
1.粘度
本発明における粘度として、25℃で、回転式粘度計(型番がDV−E、BROOKFIELDで製造される)を使用し、100rpmの条件で、フレキシブル基板用組成物の粘度(単位がcpsである)を測定した。
【0146】
2.強靭性
上記実施例1〜15及び比較例1〜4のフレキシブル基板用組成物をスピンコーティングで、サイズが100mm×100mmのガラス基板に塗布した。その後、80℃で20分間プリベークした後、厚さが30μmのプリベーク塗膜を形成した。次に、300℃でポストベークを行うことで、ガラス基板及びフレキシブル基板を含有する積層体を製造した。その後、得られた積層体を幅が10mmで長さが100mmの試験片に切断した。次に、引張試験機(Shimadzu製、AGS−X STD)を使用して、25℃及び湿度が50%RHの雰囲気で、引張速度が50mm/分であると共にチャック間距離が50mmの条件で、上記試験片に引張試験を行い、且つ試験片に割れが発生するときの引張破断強度σ(GPa)を記録した。上記試験を3回繰り返して行い、且つ試験の平均値を以下の基準で評価した。
【0147】
◎:0.20<σ、
○:0.15<σ≦0.20、
△:0.1<σ≦0.15、
X:σ≦0.1。
【0148】
表1及び表2の評価結果から分かるように、本発明のフレキシブル基板用組成物の重合体(A)は、式(I’)に示す特定な構造(ジアミン化合物(b−1)で提供される)を含む場合、製造されたフレキシブル基板は良好な強靭性を有する。なお、本発明のフレキシブル基板用組成物の重合体(A)は、更に式(II’)に示す特定な構造(ジアミン化合物(b−2)で提供される)を含むとき、フレキシブル基板の強靭性を更に向上させることができる。
【0149】
一方、表1及び表3の評価結果から分かるように、フレキシブル基板用組成物における重合体(A)は、ジアミン化合物(b−1)を使用せずに反応して形成されると、上記組成物で製造されたフレキシブル基板の強靭性が低下する。更に、重合体(A)がジアミン化合物(b−2)を使用して反応して製造されても、ジアミン化合物(b−1)を含まないので、十分な強靭性を有するフレキシブル基板を得ることができない。
【0150】
このため、本発明のフレキシブル基板用組成物、その製造方法及びフレキシブル基板を適用して、ジアミン化合物(b−1)を利用して、又はジアミン化合物(b−2)を更に添加することで、フレキシブル基板用組成物における重合体(A)が特定の構造を有することができる。このように、製造されたフレキシブル基板は、良好な強靭性を有することができる。
【0151】
本発明の実施形態を前述の通りに開示したが、これは、本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の精神と範囲から逸脱しない限り、多様の変更や修正を加えてもよく、したがって、本発明の保護範囲は、後の特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【0152】
【表1】
【0153】
a−1 ベンゼンテトラカルボン酸二無水物
a−2 1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
a−3 3,6−ビス(トリフルオロメチル)−1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物
a−4 3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物
a−5 3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物
b−2−1 2,2−ビス(4−アミノフェノキシ(4−フェニル))プロパン
b−2−2 4,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニル
b−2−3 ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン
b−3−1 p−ジフェニルアミン
b−3−2 4,4’−ジアミンジフェニルエーテル
b−3−3 2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミンジフェニル
b−3−4
【0154】
【化36】
【0155】
【表2】
【0156】
【表3】
【0157】
B−1 N−メチル−2−ピロリドン
B−2 エチレングリコールn−ブチルエーテル
B−3 N,N−ジメチルアセチルアミン
C−1 シリカ(商品名IPA−ST(粒径12nm)、日産化学で製造される)
C−2 ジブチルヒドロキシトルエン(商品名BHT、日本東京化成(Tokyo Chemical Industry(TCI))で製造される)