(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6973722
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】自動販売機用検針装置及び検針システム
(51)【国際特許分類】
G08C 15/00 20060101AFI20211118BHJP
G07F 9/00 20060101ALI20211118BHJP
G08C 17/00 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
G08C15/00 B
G07F9/00 P
G08C17/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-40970(P2020-40970)
(22)【出願日】2020年3月10日
(65)【公開番号】特開2021-144306(P2021-144306A)
(43)【公開日】2021年9月24日
【審査請求日】2020年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】518332929
【氏名又は名称】アイルジャパン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000242644
【氏名又は名称】北陸電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】荻野 真利
(72)【発明者】
【氏名】加地 圭一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 剛史
(72)【発明者】
【氏名】新村 努
【審査官】
岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/178169(WO,A1)
【文献】
特開平06−074783(JP,A)
【文献】
特開2007−026001(JP,A)
【文献】
特開2018−092242(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/021429(WO,A1)
【文献】
特開平11−272934(JP,A)
【文献】
特開2001−156926(JP,A)
【文献】
特開2001−036970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 5/00− 9/10
G08C 13/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の販売管理を行う販売管理部と、該販売管理部によって生成された売上データを、通信機器を介して所定のサーバーに送信する通信部と、を少なくとも備えたメインコントローラと、を有する既存の自動販売機に対して後付けで設置することができる自動販売機用検針装置であって、
前記メインコントローラと通信を行うために、前記通信部と接続される第1接続端子と、
前記自動販売機の電源ユニットと接続された電力量計と通信を行うための第2接続端子と、
前記通信機器と通信を行うための第3接続端子と、
前記電力量計から送信される情報に基づき、電力量データを生成する電力量計測部と、
前記電力量データに対して、所定の情報を付加するとともに、前記通信機器を介して所定のサーバーに送信するとともに、前記売上データをそのまま通過させるように構成される通信制御部と、
を備える検針装置。
【請求項2】
無線通信手段をさらに備える請求項1に記載の検針装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の検針装置と、
前記検針装置に、前記自動販売機の消費電力量に関する情報を送信する電力量計と、
を備える検針システム。
【請求項4】
前記電力量計は、パルス発信機能付き電力量計である請求項3に記載の検針システム。
【請求項5】
オンライン商品無償提供手段、環境データ取得手段、ビーコン電波受信手段の少なくともいずれかを備える請求項3または4に記載の検針システム。
【請求項6】
前記検針装置とネットワークを介して接続されるサーバーをさらに備え、
前記サーバーは、前記自動販売機から送信される情報と、前記所定の情報が付加された電力量データとを、前記所定の情報に基づき、判別するように構成される請求項3から5のいずれか一項に記載の検針システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドリンクなどの自動販売機において消費電力を計測するとともに、ネットワークを介して所定のサーバーに消費電力値を送信することによって、自動販売機の検針を行う検針装置及び検針システムに関し、特に、既存の自動販売機に対して後付けで設置することができ、低コストで自動検針を可能とすることができる検針装置及び検針システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばドリンクなどの自動販売機にかかる電気代を算出するためには、自動販売機のコンセントが接続された電力量計を検針することにより行われていた。このような検針方法の場合、検針員が、各自動販売機が接続された電力量計が設置された場所に訪れ、目視により確認することが一般的であった。
【0003】
しかしながら、日本国内における清涼飲料用自動販売機だけでも200万台を超えているため、検針員による検針方法では、大量の検針員が必要となり、さらには長時間労働にもつながりかねないという問題もある。
【0004】
また、検針員による検針方法では、リアルタイムに消費電力量を知ることができない。自動販売機の消費電力量は、自動販売機の稼働率などとも密接な関係があり、商品の販売ロスを防ぎ、売上を向上させるためには、リアルタイムに知ることが好ましい。
【0005】
リアルタイムに消費電力量を把握するためには、例えば、特許文献1に開示されるように、自動販売機に電力量検出手段と通信制御手段とを備えることにより実現しうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−007167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、既存の自動販売機を、電力量検出手段を備えた自動販売機にリプレイスすることは、多大なコストを要することになるため、現実的ではない。
【0008】
一方で、近年の自動販売機は、売上データをオンラインでサーバーに送信するためや、また、自動販売機において電子マネーを利用可能にするために、例えば、VCCSやJVMAといった規格の通信に対応したものがほとんどである。
【0009】
図6は、従来の自動販売機の構成を説明するための模式図である。
図6に示すように、自動販売機100は、電源ユニット102と、商品の販売管理を行う販売管理部104と、冷却/加温ユニットの制御、コインメックやビルバリの制御、商品搬出ユニットの制御などを行う各種制御装置に対する制御を行う制御部106と、販売管理部によって生成された売上データを、無線通信機器112を介して所定のサーバー120に送信する通信部108と、を備えたメインコントローラ110を有する。
【0010】
電源ユニット102は、通常、商用電源130に接続され、自動販売機100を稼動させるための電力を供給される。メインコントローラ110や各種制御装置は、この電源ユニット102から供給される電力により動作する。
【0011】
このような自動販売機100は、無線通信機器112と接続することによって、無線通信を行い、ネットワーク122を介して所定のサーバー120とデータの送受信を行うことができる。しかしながら、一般的に、自動販売機100に組み込まれた通信部108は、汎用的なものではなく、事前に定められたデータの送受信にしか利用することができない。
【0012】
本発明では、このような現状に鑑み、既存の自動販売機に対して後付けで設置することができ、また、既存の自動販売機のシステムを利用して、低コストで消費電力の検針を行うことができる自動販売機用検針装置及び検針システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上述するような従来技術における課題を解決するために発明されたものであって、本発明は、例えば、以下の態様を含む。
【0014】
[1]
商品の販売管理を行う販売管理部と、該販売管理部によって生成された売上データを、通信機器を介して所定のサーバーに送信する通信部と、を少なくとも備えたメインコントローラと、を有する既存の自動販売機に対して後付けで設置することができる自動販売機用検針装置であって
、
前記メインコントローラと通信を行うために、前記通信部と接続される第1接続端子と、
前記自動販売機の電源ユニットと接続された電力量計と通信を行うための第2接続端子と、
前記通信機器と通信を行うための第3接続端子と、
前記電力量計から送信される情報に基づき、電力量データを生成する電力量計測部と、
前記電力量データに対して、所定の情報を付加するとともに、前記通信機器を介して所定のサーバーに送信するとともに、前記売上データをそのまま通過させるように構成される通信制御部と、
を備える検針装置。
【0017】
[
2] 無線通信手段をさらに備える項[1
]に記載の検針装置。
【0018】
[
3] 項[1]
または[2]に記載の検針装置と、
前記検針装置に、前記自動販売機の消費電力量に関する情報を送信する電力量計と、
を備える検針システム。
【0019】
[
4] 前記電力量計は、パルス発信機能付き電力量計である項[
3]に記載の検針システム。
【0020】
[
5] オンライン商品無償提供手段、環境データ取得手段、ビーコン電波受信手段の少なくともいずれかを備える項[
3]または[
4]に記載の検針システム。
【0021】
[
6] 前記検針装置とネットワークを介して接続されるサーバーをさらに備え、
前記サーバーは、前記自動販売機から送信される情報と、前記所定の情報が付加された電力量データとを、前記所定の情報に基づき、判別するように構成され
る項[
3]から[
5]のいずれか一項に記載の検針システム。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、電力量計によって計測された自動販売機の消費電力量に関する情報に対してのみ、所定の情報を付加することによって、例えば、売上データなどの既存のシステムで使われているデータとの切り分けを行うことができる。
【0023】
これにより、既存の自動販売機に対して大きな改造を施すことなく、自動販売機の消費電力量をオンラインで取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の検針システムの一実施形態を説明するための模式図である。
【
図2】
図2は、
図1の検針システムを設けた自動販売機の構成を説明するための模式図である。
【
図3】
図3は、検針装置の通信制御部の動作を説明するための概念図である。
【
図4】
図4は、
図1の検針システムの変形例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、本発明の検針システムの別の実施形態を説明するための模式図である。
【
図6】
図6は、従来の自動販売機の構成を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいて、より詳細に説明する。
図1は、本発明の検針システムの一実施形態を説明するための模式図、
図2は、
図1の検針システムを設けた自動販売機の構成を説明するための模式図である。
【0026】
なお、自動販売機の構成については、
図6に示す既存の自動販売機100と基本的には同様であるため、同じ構成部材には、同じ符合を付して、その詳細な説明を省略する。
【0027】
本実施形態の検針システム10は、電力値を出力可能な電力量計12と、電力量計12から送信される電力量値に基づき電力量を計測して無線通信機器112を介して所定のサーバー120に検針データを送信する検針装置14と、サーバー120と、から構成される。
【0028】
電力量計12は、商用電源130と、自動販売機100の電源ユニット102との間に設けられ、電源ユニット102により消費される電力を検出し、電力量値を検針装置14に送信するように構成される。このような電力量計12として、本実施形態では、パルス発信機能付き電力量計を用いているが、電力量計12としては、これに限定されるものではなく、既知の電力量計を利用することができる。
【0029】
検針装置14は、電力量計12から送信されるパルスに基づき、消費電力量を算出し電力量データを生成する電力量計測部14aと、電力量計測部14aから送信される電力量データ及びメインコントローラ110から送信される売上データを無線通信機器112を介して所定のサーバーに送信する通信制御部14bと、を備えている。
【0030】
また、検針装置14は、少なくとも2つの接続端子15a,15bを備えており、
図2に示すように、第1接続端子15aは、自動販売機100のメインコントローラ110の通信部108と接続され、第2接続端子15bは、電力量計12と接続される。また、本実施形態においては、検針装置14は、無線通信機器112と接続するための第3接続端子15cをさらに備える。
【0031】
検針装置14は、メインコントローラ110から自動販売機100の売上データを受信するとともに、電力量計12から自動販売機100の電力量データを受信するように構成される。また、検針装置14の通信制御部14bは、無線通信機器112と接続される。
【0032】
このような検針装置14において、メインコントローラ110の通信部108との接続端子15a及び無線通信機器112との接続端子15cは、既存の自動販売機100のメインコントローラ110及び無線通信機器112にあわせて適宜選択することができ、例えば、RS−232C、USB(Universal Serial Bus)などの規格に準拠した接続端子を用いることができる。
【0033】
なお、本実施形態は、既存の自動販売機100に設けられた無線通信機器112を利用した例として説明しているが、例えば、既存の自動販売機100に通信機器が設けられていない場合には、検針装置14に無線通信手段を組み込むことで、検針装置14単独でネットワークに接続できるようにすることも可能である。
【0034】
このように構成される検針装置14は、以下のように動作する。
図3は、検針装置14の通信制御部14bの動作を説明するための概念図である。
通信制御部14bは、メインコントローラ110から売上データが送信されてきた場合には、そのまま通過させ、無線通信機器112を介して、所定のサーバー120に送信する。
【0035】
一方で、電力量計測部14aを介して電力量計12から電力量データが送信されてきた場合には、通信制御部14bは、この電力量データに、例えば、メタ情報を追加し、無線通信機器112を介して、所定のサーバー120に送信する。
【0036】
このように、電力量データにメタ情報を付加して、サーバー120に送信するように構成することで、メタ情報の有無に基づき、サーバー120によって、売上データと電力量データとを容易に切り分けることが可能である。
【0037】
また、本実施形態では、サーバー120において、売上データと電力量データの両方を管理するように構成しているが、例えば、
図4に示すように、売上データを収集するサーバー120とは別に電力量データを収集する電力量データサーバー124を設け、サーバー120によって切り分けられた電力量データをサーバー120から電力量データサーバー124に送信し、電力量データサーバー124で電力量データを管理するように構成することもできる。また、売上データと電力量データの両方を含むデータを、サーバー120、電力量データサーバー124にそれぞれ送信し、メタ情報の有無に基づき、サーバー120では売上データのみを利用して電力量データを破棄し、一方で電力量データサーバー124では、電力量データのみを利用して売上データを破棄するように構成することもできる。
【0038】
なお、
図4では、サーバー120と電力量データサーバー124とを直接接続するように構成しているが、もちろん、ネットワーク122を介して接続するようにしてもよい。また、ネットワーク122としてインターネットを利用する場合、このネットワーク122とは別に、サーバー120と電力量データサーバー124を含むイントラネットを構築し、このイントラネットを介して(インターネットを利用せずに)、サーバー120と電力量データサーバー124との通信を行うように構成することもできる。また、物理的に1つのサーバーに売上データの管理用サーバーと電力量データの管理用サーバーを仮想サーバーとして実装するようにしてもよい。
【0039】
このように検針装置14は、電力量計測部14aを介して電力量計12から送信される電力量データについてのみ、処理を行うように構成することで、既存のシステムに影響を与えることなく、既存の自動販売機に自動検針機能を追加することが可能である。
【0040】
すなわち、自動販売機100のメインコントローラ110と所定のサーバー120との通信については、そのまま通過させるように構成することにより、例えば、電子マネーに対応した自動販売機の場合であっても、電子マネーの決済に必要なデータについて、検針装置14はそのまま通過させるようにすることで、自動販売機と電子マネーの決済用のサーバーとの通信に影響を与えることがない。
【0041】
なお、本実施形態においては、電力量データにメタ情報を付加して、売上データと同じサーバー120に送信するようにしているが、電力量データと売上データを異なるサーバーに送信するように、電力量データに対して送信先情報を付加するように構成することもできる。
【0042】
また、売上データ及び電力量データは、事前に定められたタイムスケジュールに基づき、自動的に検針装置14に送信されるように構成することもできるし、また、サーバー120からのデータ回収要求に基づいて、検針装置14がメインコントローラ110及び電力量計12に対して売上データ及び電力量データを送信するように要求を出すようにしてもよい。
【0043】
また、本発明の検針システム10は、以下のような機能を追加することもできる。
図5は、本発明の検針システム10の別の実施形態を説明するための模式図である。
この実施形態の検針システム10は、
図1に示す検針システム10と基本的には同様であるため、同じ構成部材には、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0044】
図5に示すように、本実施形態の検針システム10は、オンライン商品無償提供手段20、環境データ取得手段22、ビーコン(Beacon)電波受信手段24を備えている。
【0045】
オンライン商品無償提供手段20は、無線通信機器112を介して特定の信号を受信した際に、自動販売機100のメインコントローラ110に対して、飲料など商品を無償提供するように要求を送信する。このようなオンライン商品無償提供手段20を備えることによって、例えば、災害時などにも、リモートで自動販売機100内にある飲料などを被災者に供給することができる。
【0046】
環境データ取得手段22は、環境データとして、例えば、温度、湿度、雨量などを計測する。このような環境データを取得し、無線通信機器112を介して、サーバー120に送信することによって、自動販売機100の設置箇所における環境データを収集することができる。これにより、日本国内至る所に設置された自動販売機から環境データを収集することができる。
【0047】
ビーコン電波受信手段24は、対応するビーコン電波送信手段25(ビーコンタグ)が発するビーコン電波を受信した際に、無線通信機器112を介して、サーバー120に所定のデータを送信する。ここで、所定のデータとは、例えば、ビーコン電波送信手段25の識別情報や自動販売機100の位置情報などを含むデータである。このようなビーコン電波受信手段24を備えることにより、例えば、子どもや高齢者にビーコン電波送信手段25を携帯して貰うことにより、行方を把握することができるサービスなどに利用することができる。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施形態においては、通信機器として無線通信機器を用いて説明しているが、もちろん有線通信機器を用いても構わないなど、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 検針システム
12 電力量計
14 検針装置
14a 電力量計測部
14b 通信制御部
15a 第1接続端子
15b 第2接続端子
15c 第3接続端子
20 オンライン商品無償提供手段
22 環境データ取得手段
24 ビーコン電波受信手段
25 ビーコン電波送信手段
100 自動販売機
102 電源ユニット
104 販売管理部
106 制御部
108 通信部
110 メインコントローラ
112 無線通信機器
120 サーバー
122 ネットワーク
124 電力量データサーバー
130 商用電源