(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6973724
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】二次包装用の包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 33/16 20060101AFI20211118BHJP
B65D 77/04 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
B65D33/16
B65D77/04 Z
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2021-19673(P2021-19673)
(22)【出願日】2021年2月10日
【審査請求日】2021年2月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598039242
【氏名又は名称】株式会社 スギヤマゲン
(73)【特許権者】
【識別番号】310014735
【氏名又は名称】五十嵐 秀夫
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 秀夫
【審査官】
武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−120921(JP,A)
【文献】
特開2002−12237(JP,A)
【文献】
実開平6−10151(JP,U)
【文献】
特許第4590024(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/00−30/28
B65D 33/00−33/38
B65D 77/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感染性物質を輸送するための輸送用容器であり、該輸送用容器のうちの二次包装用の包装袋として、多層合成フィルムで四角形状に形成した表面材と裏面材とを重ね合わせて、上端部の開口部を除き側端部と下端部とにおいて前記表面材と前記裏面材とを一連にヒートシールして袋状に形成した二次包装用の包装袋であって、
前記開口部側における前記裏面材のうち前記表面材に対面する側の面には、第1の幅広シールと第2の幅広シールとをそれぞれシールして設け、前記第1の幅広シールと前記第2の幅広シールとの間に屈曲可能な折り曲げ用スリットを形成し、
前記第1の幅広シール及び前記第2の幅広シールよりも下端部側に、耐圧板シートを備え、
前記第1の幅広シール及び前記第2の幅広シールよりも前記開口部側における前記裏面材には、前記表面材に貼着される貼着部を設け、
前記耐圧板シートのうち前記表面材に対面する面に、再粘着用粘着材を塗布した塗布部と、前記再粘着用粘着材を塗布しない非塗布部とを設けた
二次包装用の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体を収納した容器を安全に包装して輸送するための二次包装用の包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
臨床検体、治験検体を安全に輸送するために用いられる二次包装用の包装袋として、本発明と同一の出願人による包装袋の特許発明がある(特許文献1参照)。
【0003】
検体は一次包装、二次包装及び三次包装して輸送されるが、この特許発明は、二次包装用の包装袋であり、プラスチックシートまたはフィルムからなる表面材と裏面材とを重ねあわせ、上部を開口部とし両側部と底部とを一連にヒートシールすることにより形成される袋体である。この袋体には、表面材及び裏面材の上部における内側の面にそれぞれプラスチックシートまたはフィルムからなる所要大きさの仕切材を取り付けてポケット部を形成している。そして、裏面材の上部の外側の面に、開口部が開かないように接着手段で貼着する封緘材を設け、包装袋の内圧が上昇したときに仕切材同士の面接触が維持されて前記ポケット部のいずれかでその内圧を受ける構成としている(特許文献1参照)。
【0004】
この二次包装用の包装袋は、輸送中における外気温度の影響によって、内圧が、IATA航空危険物規則書包装基準650(生物由来物質カテゴリーBの輸送の包装に関する基準、以下、「IATA包装基準650」という。)などにおいて規定する基準値95kPa以上の圧力になっても、その内圧を開口部側に設けたポケット部で受けるため、開口部が開放せず、また、包装袋のヒートシール部分が剥れたりしないため、検体を安全に輸送することができる。
【0005】
この特許発明は、従来の二次包装の容器であるプラスチック製の袋(パウチ/pouch)が有する2つの問題点を解決している。従来のパウチは、2枚のプラスチックシートを重合し、上下左右の周縁をヒートシール等により気密に接着して構成されており、例えば、一つの面のプラスチックシートの上端部近くに両側面まで至らない範囲で切り込みを設けて出し入れ口を形成し、その出し入れ口の内側に樹脂製のファスナーを取り付けて開閉できるようにしている。このため、出し入れ口が狭く、被包装物を出し入れしにくいという問題がある(第1の問題点)。また、実際の使用時には、ファスナーの凸状と凹状の係合片による係合力と、片面粘着テープによる接着力とで密閉状態を維持しているが、温度変化によってパウチの内圧が基準の95kPa以上の圧力になったときに、その圧力がファスナーを通して粘着テープに直接作用するとともに、パウチの膨らみによってプラスチックシートが全体的に伸びることにより、粘着テープが剥がれ、続いてファスナーの係合片が離脱して出し入れ口が開放してしまい、基準の圧力に耐えることができなくなるという問題もある(第2の問題点)。上記特許発明は、この第1、第2の問題点を解決できるよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4590024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、昨年度、IATA包装基準650が変更になり、常温(5〜35℃)で水圧95kPaを加えた場合に所定時間維持して破袋及び液漏れがないことを確認すればよいという条件に規格が緩和されたため、上記特許発明ではオーバースペックとなってコスト高になり、市場において利用されなくなるおそれがある。
【0008】
本発明は、二次包装用の包装袋において、新たなIATA包装基準650に対応するとともに、コスト低減を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
感染性物質を輸送するための輸送用容器であり、該輸送用容器のうちの二次包装用の包装袋として、多層合成フィルムで四角形状に形成した表面材と裏面材とを重ね合わせて、上端部の開口部を除き側端部と下端部とにおいて前記表面材と前記裏面材とを一連にヒートシールして袋状に形成した二次包装用の包装袋であって、前記開口部側における前記裏面材のうち前記表面材に対面する側の面には、第1の幅広シールと第2の幅広シールとをそれぞれシールして設け、前記第1の幅広シールと前記第2の幅広シールとの間に屈曲可能な折り曲げ用スリットを形成し、前記第1の幅広シール及び前記第2の幅広シールよりも下端部側に、耐圧板シートを備え、前記第1の幅広シール及び前記第2の幅広シールよりも前記開口部側における前記裏面材には、前記表面材に貼着される貼着部を設け
、前記
耐圧板シートのうち前記表面材に
対面する面に、再粘着用粘着材を塗布した塗布部と、前記再粘着用粘着材を塗布しない非塗布部とを設ける。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る二次包装用の包装袋では、折り曲げ用スリットにおいて表面材及び裏面材を折り曲げ、貼着部を表面材に貼着することにより、内圧上昇時に、開口部側において、第1の幅広シールと第2の幅広シールとが対面した状態で内圧を受け、さらに耐圧板シートが貼着部の内側において内圧を受ける。したがって、硬度及び強度に優れ、開口部が開口することもなく、IATA包装基準650において規定された内圧に耐えることができる。さらに、ファスナーなども不要であるため、コストを低減することができる。
また、
耐圧板シートのうち表面材に
対面する面に、第1の幅広シール及び第2の幅広シールのうち表面材に貼着される部位に、塗布部と非塗布部とを設けたことにより、低圧力時の気体又は液体の漏れの防止と強度の低下の防止とを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】同包装袋を示すA−A線切断部端面図である。
【
図3】塗布部及び非塗布部の例を示す平面図である。
【
図4】内部の空気が膨張した状態の包装袋を示す縦端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1及び
図2に示す包装袋1は、四角形状の表面材2と裏面材3とを備えた袋体である。表面材2及び裏面材3は、例えば多層合成フィルム、例えばポリプロピレン(PP)/ナイロン(NY)/低密度ポリエチレン(LLDPE)の3層合成フィルム又はシートによって構成されている。なお、PPに替えてPET(ポリエチレンテレフタレート)を用いてもよい。表面材2の裏面材3に対面する側の面及び裏面材3の表面材2に対面する側の面、すなわち表面材2の内側の面2a及び裏面材3の内側の面3aは、LLDPEで構成されている。PPとしては、例えば厚さが50μmのCast Polypropylene(無延伸ポリプロピレン)が用いられる。NYとしては、例えば厚さが25μmのものが用いられる。LLDPEとしては、例えば厚さが40〜100μmのものが用いられ、これにより耐圧強度を高めている。
【0013】
包装袋1は、表面材2と裏面材3とを対面させ両側端部及び下端部のシール部4においてヒートシールされて構成されており、これにより、上部に開口部5が形成された袋状に構成されている。裏面材3は、表面材2よりも縦方向の長さが長く形成されており、その上端側が表面材2から露出した露出部6を構成している。露出部6の内側の面には粘着材からなる貼着部7を備えており、貼着部7には剥離紙8が貼着されている。
【0014】
裏面材3における露出部6の下側には、第1の幅広シール9を備えている、第1の幅広シール9の下方には、スリット11を介して第2の幅広シール10を備えている。第1の幅広シール9及び第2の幅広シール10は、その全面が裏面材3の内側の面3aにヒートシールされる。第1の幅広シール9の縦方向の幅と第2の幅広シール10の縦方向の幅とは等しいことが望ましく、それぞれの幅は、例えば、20mmであり、開口部5の横方向の幅の10〜15%である。
第1の幅広シール9及び第2の幅広シール10は、例えばLLDPE(耐熱用)/NY/LLDPE(低温シール用)の押し出し3層合成フィルム又はシートをヒートシールすることによって構成され、このように裏面材3に対して幅広のシールをすることで、硬度、引き裂き強度、引っ張り弾性率及び引張強度を大幅に高めている。
【0015】
スリット11は、裏面材3に備える横長長方形状の領域であり、第1の幅広シール9及び第2の幅広シールが形成されていないことにより、スリット11において横方向を折り目として屈曲可能となっている。スリット11の縦方向の幅は、例えば4mmである。
【0016】
裏面材3の内側の面3aにおける第2の幅広シール10の下方には耐圧板シート12を備えている。耐圧板シート12は、例えばLLDPE(耐熱用)/NY/LLDPE(低温シール用)の押し出し3層合成フィルム又はシートによって構成されている。耐圧板シート12のうち、表面材2に対面する側の面はLLDPE(耐熱用)であり、裏面材3に対面する側の面はLLDPE(低温シール用)となっている。LLDPE(耐熱用)及びLLDPE(低温シール用)は、表面材2及び裏面材3のLLDPEよりも軟性が必要とされるため、その厚さは、表面材2及び裏面材3を構成するLLDPEよりも薄く、例えば50μmとなっている。また、NYの厚さは、例えば20μmである。
耐圧板シート12は、その上端部及び両側端部がシール部13においてヒートシールされており、下端部はヒートシールされず裏面材3から浮いた状態となっている。
【0017】
耐圧板シート12における表面材2に対面する面には、例えば
図3に示す再粘着用粘着材14が熱溶着されている。この再粘着用粘着材14は、一定の模様が規則的に繰り返し配列されて構成されており、黒色の部分は粘着材が塗布された塗布部15であり、白色の部分は粘着材が塗布されていない非塗布部16である。再粘着用粘着材14の単位面積当たりの塗布部15の面積と非塗布部16の面積との割合は一定である。
このように、耐圧板シート12の表面材2に対面する側の面は、塗布部15と非塗布部16とで構成されている。耐圧板シート12の内側の面のLLDPEにはコロナ処理が施してあり、これにより、非塗布部16においても表面材2の内側の面にブロッキングしやすくなっている。
【0018】
裏面材3の外側の面の下部には、フィルム17がその下端部及び両側端部のシール部18においてヒートシールされており、これによりポケット部18が形成されている。このポケット部18には書類などを収容することができる。
【0019】
このように構成される包装袋1では、例えば感染性物質を収納した容器が密閉され、その容器が開口部5を介して包装袋1の内部に挿入される。このように、包装袋1は二次包装用の袋体として用いられる。
そして、
図4に示すように、スリット11において裏面材3を表面材2側に折り、表面材2も裏面材3と同様の向きに折る。そして、
図1及び
図2に示した剥離紙8を剥がして貼着部7を露出させ、貼着部7を表面材2の外側の面に貼着する。こうして、容器が収納された収納袋1では開口部5が封緘され、その状態で三次包装容器に収容されて輸送される。
【0020】
輸送中に外気温度が上昇すると、包装袋1が過熱されて内部の空気が膨張し、
図4に示すように、包装袋1が膨らみ、表面材2及び裏面材3が丸みを持った状態となる。
そうすると、耐圧板シート12が内圧を受け、表面材2側に密着するようになり、その状態で内圧を受ける。また、
図2に示した開口部5は、貼着部7を表面材2に貼ることによって封緘されており、その内側では耐圧板シート12が内圧を受けるため、内部の圧力が高くなっても開口部5が開放されるのを防ぐことができる。
【0021】
耐圧板シート12の表面材2に対面する面に再粘着用粘着材14が印刷されており、再粘着用粘着材14には塗布部15を備えているため、包装袋1の内圧が低い場合においても表面材2に密着しやすい。
また、再粘着用粘着材14に備える非塗布部16にはコロナ処理が施されていることにより、非塗布部16においても表面材2に密着しやすい。一方、塗布部15が熱溶着されることにより強度が低下するが、再粘着用粘着材14が非塗布部16を備えていることにより、強度の低下を防いでいる。このように、再粘着用粘着材14は、塗布部15と非塗布部16とを備えることで、低圧力時の気体又は液体の漏れの防止と強度の低下の防止とを両立することができる。
また、粘着用粘着材14は連続印刷によって塗布することができるため、製造を効率良く行うことができる。また、包装袋1の製造時におけるピッチ合わせが不要となり、着色も不要であるためシール時の強度の低下も防ぐことができる。
【0022】
スリット11において裏面材3を折り曲げることにより、第1の幅広シール9と第2の幅広シール2とが、裏面材3の内側において表面材2を介して対面した状態となり、内圧が高くなってもその状態を維持するため、第1の幅広シール9及び第2の幅広シール10が裏面材3の内側において内圧による捲れやずれを防止することができ、包装袋1の変形を防止することができる。
【符号の説明】
【0023】
1:包装袋
2:表面材
3:裏面材
4:シール部
5:開口部
6:露出部
7:粘着材
8:剥離紙
9:第1の幅広シール
10:第2の幅広シール
11:スリット
12:耐圧板シート
13:シール部
14:再粘着用粘着材
15:塗布部
16:非塗布部
17:フィルム
18:ポケット部
【要約】
【課題】二次包装用の包装袋において、新たなIATA包装基準650に対応するとともに、コスト低減を可能とする。
【解決手段】二次包装用の包装袋1において、第1の幅広シール9と第2の幅広シール10との間に設けた折り曲げ用スリット11において表面材2及び裏面材3を折り曲げ、貼着部7を表面材2に貼着することにより、内圧上昇時に、第1の幅広シール9と第2の幅広シール10とが対面した状態で内圧を受け、さらに耐圧板シート12が貼着部7の内側において内圧を受ける。したがって、硬度及び強度に優れ、開口部が開口することもなく、IATA包装基準650において規定された内圧に耐えることができる。さらに、ファスナーなども不要であるため、コストを低減することができる。
【選択図】
図4