特許第6973728号(P6973728)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6973728
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】表層圧密木材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B27K 5/00 20060101AFI20211118BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   B27K5/00 G
   B27K5/00 F
   B32B3/30
【請求項の数】11
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2017-63457(P2017-63457)
(22)【出願日】2017年3月28日
(65)【公開番号】特開2018-165030(P2018-165030A)
(43)【公開日】2018年10月25日
【審査請求日】2020年2月27日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果展開事業マッチングプランナープログラム企業ニーズ解決試験「UVレーザを用いた微細加工による木材の化学加工技術の開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000116622
【氏名又は名称】愛知県
(74)【代理人】
【識別番号】100121784
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 稔
(72)【発明者】
【氏名】福田 聡史
(72)【発明者】
【氏名】野村 昌樹
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−220279(JP,A)
【文献】 福田聡史ら,UVレーザインサイジングを応用した木質系者機能材料の創製,日本材料学会東海支部第10回学術講演会要旨集,2016年,p.116−117
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27K 5/00
B32B 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材板の繊維方向に平行な表面から当該木材板の内部に向かって開孔する所定深さの複数の微細孔を有し、
前記微細孔の孔径が100μm以下であり、前記表面における前記微細孔の開孔密度が15個/cm以上であって、
前記微細孔が開孔する前記木材板の表面から前記微細孔の深さ付近までの表層部のみが圧密化され、前記微細孔の深さ付近を超える内層部が圧密化されることがない状態にあり、
前記圧密化された表層部には、モノマー、オリゴマー、プレポリマーなどの樹脂前駆体が重合又は縮合してなる樹脂成分が充填された状態にある表層圧密木材。
【請求項2】
前記樹脂成分は、アクリル系モノマー又はオリゴマーが重合してなることを特徴とする請求項1に記載の表層圧密木材。
【請求項3】
前記樹脂成分は、アクリル系モノマー又はオリゴマーと共にメチロール化樹脂プレポリマーを併用して、これらが単独又は相互に重合又は縮合してなることを特徴とする請求項2に記載の表層圧密木材。
【請求項4】
前記メチロール化樹脂プレポリマーは、フェノール樹脂プレポリマーであることを特徴とする請求項3に記載の表層圧密木材。
【請求項5】
圧密化された前記表層部におけるJIS Z 2101(木材の試験方法)に規定するブリネル硬さ試験で測定した表面の硬さの値が、12N以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の表層圧密木材。
【請求項6】
デュポン衝撃試験器を使用し、500gの重りを高さ300mmから落下させ、先端の直径1/2インチの圧子によって表面に衝撃を加えた後の圧痕深さを測定する耐衝撃性の値が、0.7mm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の表層圧密木材。
【請求項7】
木材板の繊維方向に平行な表面から当該木材板の内部に向かって開孔する所定深さの複数の微細孔を形成する微細孔形成工程と、
前記木材板の表面から前記微細孔を介して当該微細孔の深さ付近までの表層部に重合性又は縮合性のモノマー、オリゴマー、プレポリマーなどの樹脂前駆体を注入する注入工程と、
当該注入工程後の前記微細孔が開孔する前記木材板の表層部が軟化するまで予備加熱し、その後に当該表層部を略垂直な方向から圧縮して、前記表層部のみを圧密化すると共に、前記微細孔の深さ付近を超える内層部を圧密化することがない圧密化工程と、
前記注入工程で注入した前記樹脂前駆体を重合又は縮合して樹脂成分を形成し、当該樹脂成分を圧密化された前記表層部に充填する樹脂化工程とを有し、
前記微細孔形成工程において、
前記微細孔は、紫外線波長域のレーザを用いたインサイジングによって形成され、その孔径が100μm以下であり、前記表面における開孔密度が15個/cm以上とすることを特徴とする表層圧密木材の製造方法。
【請求項8】
前記圧密化工程と前記樹脂化工程とが同時に進行することを特徴とする請求項7に記載の表層圧密木材の製造方法。
【請求項9】
前記樹脂成分は、アクリル系モノマー又はオリゴマーが重合してなることを特徴とする請求項7又は8に記載の表層圧密木材の製造方法。
【請求項10】
前記樹脂成分は、アクリル系モノマー又はオリゴマーと共にメチロール化樹脂プレポリマーを併用して、これらが単独又は相互に重合又は縮合してなることを特徴とする請求項9に記載の表層圧密木材の製造方法。
【請求項11】
前記メチロール化樹脂プレポリマーは、フェノール樹脂プレポリマーであることを特徴とする請求項10に記載の表層圧密木材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表層圧密木材及びその製造方法に関するものであり、特に表面物性(硬度)に優れ、且つ変形固定性能(耐水性)を有する表層圧密木材及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
木材は、日本のような高温・多湿の環境にも順応する優れた特性を備えている。また、木材の公共施設での採用や消費者の意識の高揚から国産木材の活用も広まり、一定の市場規模を有するに至っている。しかしながら、国産木材のうちスギ材などの軟質木材は、表面硬度が低く多様な用途で使用することができないという問題がある。
【0003】
そこで、これらの軟質木材の硬度を向上させることにより、多様な用途展開を図ろうという試みがなされてきた。例えば、木材板の内部空隙に樹脂成分を充填して単板強度を向上させる方法が提案されている(例えば、下記特許文献1)。しかし、木材板の全体に樹脂成分を均一に充填することが難しく、均一に充填できたとしても、使用する樹脂の量が多く加工コストが嵩むという問題があった。
【0004】
そこで、表面材として使用される木材板の表層部のみを硬化させることが検討されている。例えば、下記特許文献2においては、表層改質木質材料の製造装置および製造方法が提案されている。また、下記非特許文献1においては、本発明者らによる木質傾斜機能材料が提案されている。更に、下記非特許文献2においては、ロール圧密による表層圧密木材が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05‐245806号公報
【特許文献2】特開2008‐307798号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】福田聡史,野村昌樹,他;日本材料学会東海支部第10回学術講演会要旨集,P.116‐117(2016)
【非特許文献2】長谷川良一,児玉順一;平成18年岐阜県生活技術研究所研究報告,No.9,P.50‐57(2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献2の表層改質木質材料は、木材板を薬液中で圧縮することにより表層部のみを選択的に一次的に圧縮し、この圧縮部分の復元時に薬液の浸透性を向上させるというものである。しかし、実際に使用される木材板のように繊維方向に長い材料に対して、薬液の均質な浸透を得ることは難しいという問題があった。
【0008】
また、上記非特許文献1の木質傾斜機能材料は、UVレーザインサイジングを用いて木材板の表面に無数の微細孔を開孔する。次に、この微細孔を介して木材板の表層部に各種樹脂を注入して、表層部の仮道管内腔に樹脂成分を充填するというものである。しかし、表層部に各種樹脂を注入した場合であっても、仮道管内腔に樹脂を充填するには多くの樹脂を使用しなければならず、依然として使用する樹脂の量が多く加工コストが嵩むという問題があった。
【0009】
また、上記非特許文献2の表層圧密木材は、ロール圧密により表層細胞を圧縮し、その後熱処理もしくは樹脂により圧縮層を固定化するというものである。まず、樹脂を使用せず熱処理あるいは水蒸気処理によって圧縮固定する場合には、物性の向上に限界があり絶対的な性能では樹脂を併用したものに劣るという問題があった。また、樹脂により圧縮層を固定する場合には、圧縮後の表層細胞に樹脂を均一に浸透させることが難しいという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処して、スギ材などの軟質木材を使用することができ、表面硬度などの物性に優れると共に均質な性能を有し、且つ従来に比べ製造コストが低減できるので、多様な用途で実用的に使用することができる表層圧密木材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題の解決にあたり、本発明者らは、鋭意研究の結果、木材板の表層部を補強する成分として分子量の小さな樹脂化前の樹脂前駆体を使用し、この樹脂前駆体を注入した表層部のみを圧密化すると共に樹脂前駆体を表層部の内部で樹脂化できることを見出し本発明の完成に至った。
【0012】
即ち、本発明に係る表層圧密木材は、請求項1の記載によると、
木材板の繊維方向に平行な表面から当該木材板の内部に向かって開孔する所定深さの複数の微細孔を有し、
前記微細孔の孔径が100μm以下であり、前記表面における前記微細孔の開孔密度が15個/cm以上であって、
前記微細孔が開孔する前記木材板の表面から前記微細孔の深さ付近までの表層部のみが圧密化され、前記微細孔の深さ付近を超える内層部が圧密化されることがない状態にあり、
前記圧密化された表層部には、モノマー、オリゴマー、プレポリマーなどの樹脂前駆体が重合又は縮合してなる樹脂成分が充填された状態にある。
【0013】
また、本発明は、請求項2の記載によると、請求項1に記載の表層圧密木材であって、
前記樹脂成分は、アクリル系モノマー又はオリゴマーが重合してなることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、請求項3の記載によると、請求項2に記載の表層圧密木材であって、
前記樹脂成分は、アクリル系モノマー又はオリゴマーと共にメチロール化樹脂プレポリマーを併用して、これらが単独又は相互に重合又は縮合してなることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、請求項4の記載によると、請求項3に記載の表層圧密木材であって、
前記メチロール化樹脂プレポリマーは、フェノール樹脂プレポリマーであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、請求項5の記載によると、請求項1〜4のいずれか1つに記載の表層圧密木材であって、
圧密化された前記表層部におけるJIS Z 2101(木材の試験方法)に規定するブリネル硬さ試験で測定した表面の硬さの値が、12N以上であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、請求項6の記載によると、請求項1〜5のいずれか1つに記載の表層圧密木材であって、
デュポン衝撃試験器を使用し、500gの重りを高さ300mmから落下させ、先端の直径1/2インチの圧子によって表面に衝撃を加えた後の圧痕深さを測定する耐衝撃性の値が、0.7mm以下であることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る表層圧密木材の製造方法は、請求項7の記載によると、
木材板の繊維方向に平行な表面から当該木材板の内部に向かって開孔する所定深さの複数の微細孔を形成する微細孔形成工程と、
前記木材板の表面から前記微細孔を介して当該微細孔の深さ付近までの表層部に重合性又は縮合性のモノマー、オリゴマー、プレポリマーなどの樹脂前駆体を注入する注入工程と、
当該注入工程後の前記木材板の表層部が軟化するまで予備加熱し、その後に当該表層部を略垂直な方向から圧縮して、前記表層部のみを圧密化すると共に、前記微細孔の深さ付近を超える内層部を圧密化することがない圧密化工程と、
前記注入工程で注入した前記樹脂前駆体を重合又は縮合して樹脂成分を形成し、当該樹脂成分を圧密化された前記表層部に充填する樹脂化工程とを有し、
前記微細孔形成工程において、
前記微細孔は、紫外線波長域のレーザを用いたインサイジングによって形成され、その孔径が100μm以下であり、前記表面における開孔密度が15個/cm以上とすることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、請求項8の記載によると、請求項7に記載の表層圧密木材の製造方法であって、
前記圧密化工程と前記樹脂化工程とが同時に進行することを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、請求項9の記載によると、請求項7又は8に記載の表層圧密木材の製造方法であって、
前記樹脂成分は、アクリル系モノマー又はオリゴマーが重合してなることを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、請求項10の記載によると、請求項9に記載の表層圧密木材の製造方法であって、
前記樹脂成分は、アクリル系モノマー又はオリゴマーと共にメチロール化樹脂プレポリマーを併用して、これらが単独又は相互に重合又は縮合してなることを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、請求項11の記載によると、請求項10に記載の表層圧密木材の製造方法であって、
前記メチロール化樹脂プレポリマーは、フェノール樹脂プレポリマーであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
上記構成によれば、本発明に係る表層圧密木材は、木材板の繊維方向に平行な表面から当該木材板の内部に向かって開孔する所定深さの複数の微細孔を有している。この微細孔の孔径が100μm以下であり、表面における微細孔の開孔密度が15個/cm以上である。本発明においては、この微細孔を介して木材板の表層部に樹脂前駆体を均一に浸透させることができる。また、本発明に係る表層圧密木材は、微細孔が開孔する木材板の表面から微細孔の深さ付近までの表層部のみが圧密化され、微細孔の深さ付近を超える内層部が圧密化されることがない状態にある。更に、この圧密化された表層部には、モノマー、オリゴマー、プレポリマーなどの樹脂前駆体が重合又は縮合してなる樹脂成分が充填された状態にある。
【0026】
これらのことにより、上記構成によれば、スギ材などの軟質木材を使用することができ、表面硬度などの物性に優れると共に均質な性能を有し、且つ従来に比べ製造コストが低減できるので、多様な用途で実用的に使用することができる表層圧密木材を提供することができる。
【0027】
また、上記構成によれば、本発明に係る表層圧密木材においては、樹脂成分は、アクリル系モノマー又はオリゴマーが重合してなるものであってもよい。このことにより、上記構成によれば、上記作用効果をより具体的に発揮することができる。
【0028】
また、上記構成によれば、本発明に係る表層圧密木材においては、樹脂成分は、アクリル系モノマー又はオリゴマーと共にメチロール化樹脂プレポリマーを併用して、これらが単独又は相互に重合又は縮合してなるものであってもよい。更に、上記構成によれば、メチロール化樹脂プレポリマーは、フェノール樹脂プレポリマーであってもよい。これらのことにより、上記構成によれば、上記作用効果をより具体的に発揮することができる。
【0029】
また、上記構成によれば、本発明に係る表層圧密木材においては、圧密化された表層部におけるJIS Z 2101(木材の試験方法)に規定するブリネル硬さ試験で測定した表面の硬さの値が、12N以上であってもよい。更に、上記構成によれば、デュポン衝撃試験器を使用し、500gの重りを高さ300mmから落下させ、先端の直径1/2インチの圧子によって表面に衝撃を加えた後の圧痕深さを測定する耐衝撃性の値が、0.7mm以下であってもよい。よって、上記構成によれば、上記作用効果をより具体的に発揮することができる。
【0030】
また、上記構成によれば、本発明に係る表層圧密木材の製造方法は、微細孔形成工程と注入工程と圧密化工程と樹脂化工程とを有している。まず、微細孔形成工程では、木材板の繊維方向に平行な表面から当該木材板の内部に向かって開孔する所定深さの複数の微細孔を形成する。次に、注入工程では、木材板の表面から微細孔を介して当該微細孔の深さ付近までの表層部に重合性又は縮合性のモノマー、オリゴマー、プレポリマーなどの樹脂前駆体を注入する。なお、微細孔形成工程において、微細孔は、紫外線波長域のレーザを用いたインサイジングによって形成され、その孔径が100μm以下であり、表面における開孔密度が15個/cm以上とする。このことにより、微細孔を介して木材板の表層部に樹脂前駆体を均一に浸透させることができる。
【0031】
次に、圧密化工程では、注入工程後の微細孔が開孔する木材板の表層部が軟化するまで予備加熱し、その後に当該表層部を略垂直な方向から圧縮して、表層部のみを圧密化すると共に、微細孔の深さ付近を超える内層部を圧密化することがない。更に、樹脂化工程では、注入工程で注入した樹脂前駆体を重合又は縮合して樹脂成分を形成し、当該樹脂成分を圧密化された表層部に充填する。なお、上記構成によれば、圧密化工程と樹脂化工程とが同時に進行するようにしてもよい。
【0032】
これらのことにより、上記構成によれば、スギ材などの軟質木材を使用することができ、表面硬度などの物性に優れると共に均質な性能を有し、且つ従来に比べ製造コストが低減できるので、多様な用途で実用的に使用することができる表層圧密木材の製造方法を提供することができる。
【0033】
また、上記構成によれば、本発明に係る表層圧密木材の製造方法においては、樹脂成分は、アクリル系モノマー又はオリゴマーが重合してなるものであってもよい。このことにより、上記構成によれば、上記作用効果をより具体的に発揮することができる。
【0034】
また、上記構成によれば、本発明に係る表層圧密木材の製造方法においては、樹脂成分は、アクリル系モノマー又はオリゴマーと共にメチロール化樹脂プレポリマーを併用して、これらが単独又は相互に重合又は縮合してなるものであってもよい。更に、上記構成によれば、メチロール化樹脂プレポリマーは、フェノール樹脂プレポリマーであってもよい。これらのことにより、上記構成によれば、上記作用効果をより具体的に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】微細孔形成工程におけるUVレーザインサイジングの様子を示す概要図である。
図2】入射光径を変化させて木材表面に開孔した微細孔の状態を示す表面写真である。
図3】減圧・加圧装置を使用した注入工程の概要図である。
図4】樹脂液を注入した木材板の状態を示す(A)平面と(B)断面の写真である。
図5】圧密化工程における表層圧密化の様子を示す概要図である。
図6】表層圧密木材の(A)樹脂液注入前と(B)樹脂液注入後・圧密化前と(C)圧密化後の木口断面の状態を示す概念図である。
図7】表層圧密木材の木口断面を示す写真である。
図8図7の木口断面において表層部付近を拡大した実体顕微鏡写真である。
図9図7の木口断面において木材表面から内層部に向けての密度の変化を示すグラフである。
図10】混合した樹脂液中のフェノール樹脂の濃度と注入量の関係を示すグラフである。
図11】混合した樹脂液中のフェノール樹脂の濃度を変化させた時の表層圧密木材の表面品位を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明においては、表層圧密木材に使用する木材として、一般に床材などの表面硬度を要求される用途に使用することのできない軟質木材を使用することができる。これらの軟質木材としては、組織内の空隙が多く軟質な(密度の低い)針葉樹を挙げることができる。例えば、国産の針葉樹を利用する場合には、スギ、ヒノキ、アカマツ、クロマツ、カラマツ、イチョウ、カヤ、サワラ、ヒバ、モミ、ツガ、イチイなどの木材を挙げることができる。また、上記国産の針葉樹以外にも輸入の針葉樹を利用することもできる。更に、本発明においては、軟質木材以外の通常の木材の表層を更に硬化して、より厳しい環境でも使用できる表層圧密木材を提供することもできる。以下、本実施形態においては、軟質木材を例として説明する。
【0038】
そこで、これらの軟質木材の内部空隙(仮道管などの細胞内腔)に樹脂成分を均一に注入して、木材強度の向上を図ることが考えられる。しかし、減圧・加圧などの注入手段を用いても樹脂成分の均一な注入は難しく、特に木材板の繊維方向(仮道管の方向)に平行な表面(木表や木裏など)から細胞壁を介しての注入は特に難しい。また、様々な手段を使用して軟質木材の内部空隙に樹脂成分を注入できたとしても、木材全体に樹脂成分を充填すると、樹脂の使用量が多くなり加工コストの上昇を招く。
【0039】
そこで、本発明においては、木材の表面硬度を要求される面の表層部のみに効率よく、且つ均一に樹脂成分を充填するものである。以下、本発明に係る表層圧密木材をその製造方法の一実施形態及び各実施例に基づいて説明する。なお、本発明は本実施形態に係る製造方法及び各実施例にのみ限定されるものではない。本実施形態においては、表層圧密木材の製造方法は、微細孔形成工程と注入工程と圧密化工程と樹脂化工程とを有している。
【0040】
<微細孔形成工程>
上述のように、軟質木材においても、木材板の繊維方向に平行な表面から細胞壁を介しての樹脂成分の均一な注入は難しい。更に、樹種によっても注入に差異があり、同じ樹種であっても心材と辺材では注入に差異があり、易注入材と分類される樹種であっても一般的に辺材は易注入部だが、心材は難注入部とされる。更に、同じ木質材の表層部においても、早材部(年輪でない部分)は易注入部とされ、晩材部(年輪部分)は難注入部とされる。
【0041】
ここで、易注入材とされる樹種(針葉樹に限定せず)には、ヒバ、カエデ、タモ、アカマツ、クロマツ、スギ、ツガ、モミ、アサダ、カバ、ヒメコマツ、ニレ、レッドウッド、
アッシュ、レッドオーク、バーチ、メイプル、ケンパス、パラゴムなどが挙げられる。一方、難注入材とされる樹種(針葉樹に限定せず)には、エゾマツ、トドマツ、トウヒ、ヒノキ、クルミ、ケヤキ、ブナ、ミズメ、カラマツ、カツラ、クリ、コナラ、サクラ、センダン、ミズナラ、ベイツガ、スプルース、ポプラ、ベイマツ、ウエスタンレッドシダー、
ビーチ、ホワイトオーク、キリ、ナラ、カリン、ユーカリ、アカシアマンギウムなどが挙げられる。
【0042】
そこで、微細孔形成工程において、木材板の樹脂を充填する表層部の表面(表面硬度を要求される面)から当該表層部の内部に向かって開孔する無数の微細孔を形成する。なお、この微細孔は、表層部の表面から当該表面に略垂直な方向に向かって開孔することが好ましい。これらの微細孔は、木材板の表面から表層部の仮道管の細胞壁を貫通して形成される。よって、この微細孔を介して分子量の小さな樹脂前駆体を表層部のみに容易に注入することができる(詳細は後述する)。
【0043】
このように、微細孔形成工程においては、表面硬度を要求される面(実際に使用される表面)に無数の微細孔が形成される。従って、これらの微細孔の孔径が大きい場合には、開孔状態を容易に視認することができる。一方、これらの微細孔の孔径が小さい場合には、開孔状態を容易に視認することができない。本発明においては、表層圧密木材が使用される目的によって、微細孔の孔径を適宜調整することができる。なお、本実施形態においては、開孔状態を容易に視認することができないように、微細孔の孔径を小さく調整するものとして説明する。このことにより、木材の表面品位を損なうことなく、且つ樹脂前駆体の均一な注入を容易にすることができる。
【0044】
木材板の表面に微細孔を開孔する方法は、特に限定するものではなく、表層圧密木材の用途などによって適宜選定すればよい。なお、本実施形態においては、微細孔の開孔にレーザを用いたインサイジングを採用する。インサイジングとは、木材加工の分野などで薬剤の浸透性を良くするための方法の一つで、木材表面に多数の傷をつけて、そこから薬剤を浸透させるものである。汎用的な方法は刃物によって傷をつける方法であるが、刃物の代わりに炭酸ガスレーザなども使用される。このレーザを使用したインサイジングを特にレーザインサイジングという。
【0045】
レーザインサイジングに使用するレーザの機種と波長域、及び、開孔径・開孔密度・開孔深度については特に限定するものではなく、加工する木材板の樹種と用途・心材と辺材・早材と晩材などによって適宜選定すればよい。例えば、エキシマレーザ(波長:157nm〜351nm)、YAGレーザ・YVOレーザ/第4高調波(波長:266nm)、及び、ブルーレーザ/青色半導体レーザ(波長:405nm、455nm)など、いずれを使用してもよく、157nm〜455nmの広い波長域で適宜選定してもよい。
【0046】
なお、本実施形態においては、紫外線波長域のレーザを用いたインサイジング(以下「UVレーザインサイジング」という)により開孔を行った。紫外線領域の短波長でパルス幅の短いUVレーザは、理論集光径が小さく熱影響も少ないため精密・微細な加工が可能となる。本実施形態においては、特に加工効率の面からYVOレーザの第3高調波の355nm付近を使用した。
【0047】
UVレーザインサイジングによる開孔径は、木材表面において100μm〜20μmの範囲で調整可能である。本実施形態においては、開孔状態を容易に視認することができない開孔径100μm以下、好ましくは50μm以下とすることにより、木材の表面品位を損なうことなく微細孔形成が可能となる。
【0048】
一方、UVレーザインサイジングによる開孔密度と開孔深度は、加工する木材板の樹種・心材と辺材・早材と晩材、及び使用する樹脂前駆体の種類(後述する)によって適宜選定すればよい。なお、本実施形態において、スギ辺材などの易注入材に対する開孔密度は、15個/cm以上あることが好ましい。また、カラマツ心材などの難注入材に対する開孔密度は、50個/cm以上あることが好ましい。なお、開孔密度に関する詳細は、後述の実施例1〜3において詳述する。
【0049】
一方、開孔深度は、表面硬度を向上させるために圧密化する表層の厚みに対応するものであり、加工する木材板の樹種と用途により適宜選定すればよい。なお、UVレーザインサイジングによる開孔深度は、一般に数mm〜20mm程度の開孔は可能である。このように、UVレーザインサイジングを採用することにより、木材を効率よく加工することができると共に木材の表面品位を損なうことなく表層圧密木材の生産性が向上する。
【0050】
図1は、微細孔形成工程におけるUVレーザインサイジングの様子を示す概要図である。図1において、レーザ発信器1から照射されたレーザ光2は、2枚のスキャンニングミラー(ガルバノミラー)3(3a、3bは各ミラーの回転モータ)で走査され、焦点距離が一定の集光レンズ(fθレンズ)4を使用して集光させ入射光径を絞る。この入射光径が絞られたレーザ光2は、2軸制御のXYステージ5に上載された木材板6の表面に照射される。
【0051】
図2は、入射光径を変化させて木材表面に開孔した微細孔の状態を示す表面写真である。図2において、レーザ発信器の出力5Wでパルスの繰返し周波数50kHz(条件2〜4)、及び、レーザ発信器の出力1.5Wでパルスの繰返し周波数15kHz(条件1)の各条件のもと、焦点距離160mmの集光レンズを使用して入射光径をそれぞれ8mm(条件2)、4mm(条件1、3)、1mm(条件4)に変化させた場合の結果である。理論的には、同一周波数であれば入射光径が大きいほど小さな孔径になるのであるが、周波数が50kHzにおいては4mmの入射光径で最も孔径が小さくなっている。また、パルスの繰返し周波数を15kHz(条件1)とすることで更に孔径が小さくなっている。
【0052】
なお、本発明者らは、表面品位を損なわないという観点で評価したところ、孔径が100μmを超えると肉眼で明確に視認できることを確認した。また、孔径が50〜100μmの範囲では、単位面積あたりの孔径密度や開孔パターンによって若干の影響を受けるもの実用的には問題とならないことを確認した。また、50μm以下の孔径では微細孔の有無の判別が困難である。よって、本実施形態においては、微細孔の孔径は100μm以下が好ましく、特に50μm以下がより好ましい。なお、樹種の違い、心材と辺材、早材と晩材においても、孔径に関してはほぼ同様の結果を得た。なお、レーザ発信器の出力と照射時間に応じて、微細孔の開孔深度を制御できることを確認した。
【0053】
<注入工程>
注入工程においては、加工する木材板の表面に開孔した微細孔を介して、当該微細孔の深さ付近までの表層部に重合性又は縮合性のモノマー、オリゴマー、プレポリマーなどの樹脂前駆体を注入する。これらの樹脂前駆体は、一般の樹脂に比べて分子量が小さく木材板の表層部の道管・仮道管の細胞壁を貫通する微細孔を介して表層部のみに容易に注入することができる。
【0054】
ここで、樹脂前駆体とは、表層圧密木材の表層部に充填される樹脂成分の形成前の状態にある物資であって、本実施形態においては、重合性又は縮合性のモノマー(単量体)、オリゴマー(二量体・三量体などの低分子重合体)、プレポリマー(重合・縮合を途中で止めた中間生成物)などをいう。なお、本実施形態においては、モノマー又はオリゴマーとプレポリマーとが同一状態の物質を示して重複することがあってもよい。
【0055】
本実施形態において、表層圧密木材の表層部に充填される樹脂成分は、特に限定するものではなく、樹脂前駆体として木材板の表層部に注入され、当該表層部で重合又は縮合して樹脂成分を形成するものであればよい。例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂(特に不飽和ポリエステル樹脂)などが挙げられる。また、これらの樹脂は、単独で使用するものであってもよく、2種以上の樹脂を併用して使用してもよい。
【0056】
なお、本実施形態においては、樹脂前駆体としてアクリル系モノマー又はオリゴマー(以下、単に「アクリル系モノマー」という)を使用することが好ましい。また、これらのアクリル系モノマーの中でも、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル(以下、両者を「(メタ)アクリル酸エステル」という)系モノマー(オリゴマーを含む)を使用することが特に好ましい。これらの(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、炭素数が1〜20個のアルキルエステル或いはヒドロキシアルキルエステルであることが好ましく、モノ、ジ又はトリ(メタ)アクリル酸の誘導体も含まれる。これらの(メタ)アクリル酸エステル系モノマーは、ビニル重合によりポリ(メタ)アクリル酸エステルを硬化生成するが、重合による硬化収縮率が低く木材板の内部空隙(細胞内腔)への充填効率が良好となる。
【0057】
これらのエステルを例示すると、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパンチレングリコールなどが挙げられる。これらは単独又は2種以上混合して使用してもよい。
【0058】
また、上記アクリル系モノマーは、ビニル基の重合であり主として直鎖状の樹脂成分を形成する。そこで、樹脂成分に分岐点を加えて凝集力を高めると共に3次元網目構造を形成して、充填強度を向上させるようにしてもよい。分岐点を加える成分(モノマー)としては、ビニル基以外の官能基を有するモノマーが考えられる。これらの官能基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基、アミド基、アミノ基、アルコキシ基、エポキシ基などがある。また、カルボキシ基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。酸無水物基含有モノマーとしては、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。水酸基含入モノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0059】
なお、これらの(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを樹脂前駆体として使用する場合には、ビニル基の重合のために重合開始剤を併用する。重合開始剤としては、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ジターシャリブチルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。なお、本実施形態においては、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを使用した。
【0060】
なお、本実施形態においては、樹脂前駆体としてアクリル系モノマー、特に(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと共に、メチロール化樹脂プレポリマーを併用することがより好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとメチロール化樹脂プレポリマーとを併用することにより、木材板の表層部を更に硬化させることができると共に、圧密化(後述する)した部分の水膨潤による変形回復を防止することができる。本実施形態においては、この効果を変形固定効果(耐水性)という。
【0061】
木材板の表層部が更に硬化すると共に変形固定効果(耐水性)が向上する理由については定かではないが、本発明者らは以下のように考えている。上述のように、アクリル系モノマーが木材板の内部空隙(細胞内腔)への充填効率が良好であることに加え、細胞内腔においてメチロール化樹脂プレポリマーがアクリル系モノマーと相互作用して、細胞内腔の樹脂充填効果を更に向上させる。また、メチロール化樹脂プレポリマーが細胞壁内に浸透して化学的に結合することにより、細胞壁の固定化が安定して変形固定効果(耐水性)が向上する。
【0062】
ここで、メチロール化樹脂プレポリマーとしては、例えば、尿素、メラミン、フェノール、フラン或いはこれらの組合せとホルムアルデヒドとの予備縮合物が挙げられる。特に、フェノール樹脂プレポリマー(フェノール樹脂と呼ばれるレゾール又はノボラック)、メチロール化メラミン(例えば、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン)、及び、環状尿素化合物のホルムアルデヒド付加物(例えば、グリオキサール樹脂と呼ばれるジメチロールジヒドロキシエチレン尿素)などが挙げられる。
【0063】
本実施形態においては、これらのメチロール化樹脂プレポリマーの中でも、レゾールタイプのフェノール樹脂プレポリマーを使用することが好ましい。なお、レゾールタイプのフェノール樹脂プレポリマーは、特に触媒を必要とせずアルカリサイドにおいても高温処理によって重合する。一方、グリオキサール樹脂などの環状尿素化合物を使用する場合には、酸触媒などを併用するようにしてもよい。
【0064】
本実施形態において、フェノール樹脂プレポリマーを使用する場合には、比較的小さな分子であることが好ましい。例えば、数平均分子量で1000以下、好ましくは500以下、更に好ましくは300以下であることがよい。また、粘度で表すと、有効成分濃度にもよるが有効成分50〜70重量%水溶液の場合、500mPs以下、好ましくは300mPs以下、更に好ましくは180mPs以下であることがよい。粘度が500mPs以下であることにより、フェノール樹脂プレポリマーが細胞内腔への充填のみでなく細胞壁内への浸透もなされることとなる。
【0065】
なお、フェノール樹脂プレポリマーが水溶液であることから、これに併用する(メタ)アクリル酸エステル系モノマーは、水溶性又はフェノール樹脂親和性を有するものであり、これらを混合した溶液が安定して木材板の表層部に注入されることが好ましい。また、注入工程における樹脂前駆体又はこれを含有する溶液(以下、これらを「樹脂液」ともいう)の注入手段は、特に限定するものではないが、一般の刷毛塗り、ローラー塗り、常圧含浸、又は減圧・加圧含浸など一般的な手段を採用すればよい。
【0066】
なお、木材板の表層部への樹脂液の注入量に関しては、特に限定するものではなく、使用する木材板の樹種などと要求される表面硬度によって適宜選定すればよい。但し、樹脂液の注入量が少なく且つ効果が大きいことが好ましい。なお、樹脂液の注入量に関しては、後述の実施例1〜3において詳述する。
【0067】
図3は、減圧・加圧装置を使用した注入工程の概要図である。図3において、表層部に複数の微細孔が開孔した木材板6が圧力容器7の内部に収容され、微細孔が開孔した表層部8を下方に向けて樹脂液9に浸漬されている。本実施形態においては、このように微細孔が開孔した表層部8のみを樹脂液9に浸漬することにより、微細孔が開孔した表層部に選択的に樹脂液を注入することができる。なお、圧力容器7の減圧・加圧操作10については、注入する木材板の樹種等、微細孔の数、樹脂液の粘度などを考慮して適宜選定すればよい。
【0068】
図4は、樹脂液を注入した木材板の状態を示す(A)平面と(B)断面の写真である。なお、木材板6の平面(A)は板目面6aであり、断面(B)は木口断面6bである。図4において、樹脂液9を着色(実際には赤色に着色)しているので、樹脂液9が木材板6の表層部8のみに注入されていることが分かる。
【0069】
<圧密化工程>
圧密化工程においては、注入工程後の木材板の表層部を加熱すると共に当該表層部を略垂直な方向から圧縮して、表層部のみを圧密化する。具体的には、表層部に樹脂液を注入した木材板を加温し、この加温された木材板に対して、表層部に垂直な方向から所定の圧縮力を加えて圧縮する。更に、この圧縮力を維持した状態で、同温度又は昇温して所定温度下で所定時間維持した後、圧密化工程を完了する。
【0070】
なお、本実施形態における圧密化には、通常の平板プレス装置を使用することができる。また、圧密化条件は、特に限定するものではなく、従来の木材の圧縮加工と同様に行うことができる。まず、木材板の表層部を平板プレス装置のプレス盤で加圧せずに所定温度に予備加熱する。所定温度とは、樹脂前駆体が注入された表層部が軟化する温度であって、注入した樹脂前駆体が重合又は縮合する温度と同じであってもよい。例えば、100℃〜200℃の温度範囲内であり、好ましくは、120〜150℃の温度範囲内である。なお、予備加熱時間は、樹脂前駆体が注入された表層部が軟化するまでの時間でよい。例えば、20秒〜5分の時間範囲内である。
【0071】
次に、所定温度を維持或いは昇温して樹脂前駆体が重合又は縮合する温度とした状態で平板プレス装置の上下プレス盤の圧縮力を所定圧力に設定して、所定時間で加熱圧縮する。この所定圧力とは、軟化した表層部のみが圧密化される圧力であって、木材板全体が変形を生じることのない圧力とすることが好ましい。例えば、1〜10MPaの圧力範囲内であり、好ましくは、1〜5MPaの圧力範囲内である。また、所定時間とは、圧密化する木材板の樹種などにより適宜選定するものであるが、注入した樹脂前駆体が重合又は縮合を完了する時間以上であることが好ましい。例えば、10分〜120分の時間範囲内であり、好ましくは、30分〜100分の時間範囲内である。
【0072】
この圧密化工程によって、軟化した表層部が選択的に圧密化される。これは、注入された樹脂が加熱される作用により、樹脂が注入された内層部のみが軟化することによるものと考えられる。よって、注入する樹脂前駆体の種類と量、及びプレス盤の圧縮力を適宜選定することにより、樹脂が注入されていない部分が圧密化されない程度の低い圧縮力で、主に木材板の表層部が圧縮された表層圧密木材を得ることができる。なお、この上下プレス盤に特定の断面形状をもつ金型を用いることで、特定の形状を表層圧密木材に与えることもできる。また、凹凸形状をもった金型を用いることで表層部にその模様を転写させることも可能である。
【0073】
図5は、圧密化工程における表層圧密化の様子を示す概要図である。図5において、樹脂液9を表層部8に注入した木材板6は、平板プレス装置11によって表層圧密化される。図5においては、木材板6の木口断面6bを示している。木材板6は、上下プレス盤11a、11bによって木口断面6bに垂直な圧縮力12により、表層部8のみが圧密化される。
【0074】
<樹脂化工程>
樹脂化工程においては、注入工程で表層部に注入した樹脂前駆体を重合又は縮合して樹脂成分を形成し、当該樹脂成分を圧密化された表層部に充填する。なお、本実施形態においては、上述の圧密化工程において、樹脂化工程が同時に進行する。具体的には、圧密化工程の加熱圧縮の操作により、木材板の表層部が上述の所定温度及び所定時間加熱される。この条件において、表層部に注入された樹脂前駆体が重合又は縮合して高分子量の樹脂成分を形成する。この樹脂成分のうち、主に(メタ)アクリル酸エステル系モノマーが重合して細胞内腔に充填される。
【0075】
このとき、木材板の表層部は圧密化され、その容積を減少している。一方、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーは、上述のように、重合による硬化収縮率が低く容積を維持している。これらのことにより、容積の減少した細胞内腔への樹脂成分の充填効率が更に良好となり、表層圧密木材の表面硬度が向上する。一方、樹脂成分のうち、フェノール樹脂プレポリマーは、細胞内腔への充填において(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと相互作用すると共に、細胞壁内に浸透して化学的に結合することにより、細胞壁の固定化が安定して変形固定効果(耐水性)が向上する。
【0076】
図6は、表層圧密木材の(A)樹脂液注入前と(B)樹脂液注入後・圧密化前と(C)圧密化後の木口断面の状態を示す概念図である。図6において、(A)樹脂液注入前の木口断面6bには、複数の仮道管13の内腔が空洞の状態にある。また、表層部8には、樹脂液9が注入されておらず圧密化もされていない。これに対して、(B)樹脂液注入後・圧密化前の木口断面6bには、複数の仮道管13のうち表層部8の仮道管13aには、表層部8に注入された樹脂液9のうち一方の樹脂液9aが注入されている。なお、本実施形態においては、表層部8の仮道管13aのうち全ての仮道管13aに樹脂液9が注入される必要がない。また、樹脂液9のうち他方の樹脂液9bは、表層部8の仮道管13aの細胞壁内に浸透している。
【0077】
これらに対して、(C)圧密化後の木口断面6bには、複数の仮道管13のうち表層部8の仮道管13aが圧密化されている。更に、圧密化された仮道管13aには、表層部8に注入された樹脂液9が圧密化による加熱の過程で重合又は縮合した樹脂成分14のうち一方の樹脂成分14a(樹脂液9aを起源とする)が全ての内腔に充填されている。このように、本実施形態においては、表層部8の仮道管13が圧密化されて容積を減ずるので、圧密化前の仮道管13に注入する樹脂液9の量を節約することができる。また、樹脂成分14のうち他方の樹脂成分14b(樹脂液9bを起源とする)は、圧密化された仮道管13aの細胞壁内で化学的に結合している。このことにより、細胞壁の固定化が安定して変形固定効果(耐水性)が向上している。
【0078】
図7は、表層圧密木材の木口断面を示す写真である。この表層圧密木材は、元の厚さ36mmのスギ材の表層部8に開孔した複数の微細孔を介して樹脂液を注入し表層圧密化を行ったものであり、圧密化後の厚さが33mmであった。図7において、内層部15に比べて表層部8が大きく圧密化されていることが分かる。また、図8は、図7の木口断面において表層部付近を拡大した実体顕微鏡写真である。図8においても、内層部15に比べて表層部8が大きく圧密化されていることが年輪の密度により鮮明に現われている。
【0079】
図9は、図7の木口断面において木材表面から内層部に向けての密度の変化を示すグラフである。図9において、この表層圧密木材の内層部(木材内部;深さ6mm〜8mm)の密度は、約0.4g/cmであることが分かる。これに対して、表層圧密木材の表面(深さ0mm)における密度は、約1.0g/cmである。このグラフから、本実施形態に係る表層圧密木材において、樹脂液を注入された表層部及びその付近が圧密化された傾斜性能を有していることが分かる。
【0080】
以下、本発明に係る表層圧密木材を各実施例に従って詳細に説明する。なお、本発明は、下記に示す各実施例にのみ限定されるものではない。
【実施例1】
【0081】
本実施例1は、表層圧密化する木材として易注入材であるスギ辺材を使用し、微細孔の開孔密度、樹脂液の注入量、及び表面硬度との関係について確認した。
【0082】
<微細孔形成工程>
本実施例1の微細孔形成工程においては、上述のUVレーザインサイジングを利用して、スギ辺材に対して予め設定しておいたレーザ発信器の出力と照射時間により、孔径約60μm、開孔深度約4mmの微細孔を開孔密度0〜667個/cmの範囲で有する試料を作製した。
【0083】
<注入工程>
本実施例1の注入工程においては、樹脂前駆体として、メタクリル酸エステルのモノマー;ダイヤカイトPF‐2730(東栄化成株式会社製)を樹脂液として使用し、所定量の重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)を併用した。ダイヤカイトPF‐2730はモノマー単独であり、有効成分比率100%とした。なお、本実施例1においては、フェノール樹脂プレポリマーなど他の樹脂前駆体を併用しなかった。本実施例1においては、樹脂液の注入は、刷毛塗りによる塗布で行った。塗布は、微細孔が開孔した表面に液体が造膜されるまで行った。樹脂液の注入量に及ぼす穿孔密度の影響を表1に示す。
【0084】
<圧密化工程及び樹脂化工程>
本実施例1においては、上述の平板プレス装置を使用して、圧密化工程と樹脂化工程とを同時に行った。平板プレス装置の条件は、処理温度130℃、予備加熱30秒、プレス圧力1.7MPa、プレス時間30分として、スギ辺材の表層部に樹脂成分を充填した。次に、作製後の試料の表面に付着した樹脂層を除去するために、表面を自動かんな盤により0.5mm切削した。作製した試料(実施例1−1、1−2、1−3)及び比較のための試料を表1に示す。
【0085】
<評価>
各試料について「表面の硬さ」と「耐衝撃性」の評価を行った。「表面の硬さ」の評価はJIS Z 2101「木材の試験方法」における「ブリネル硬さ」を評価した。また、「耐衝撃性」の評価は、「デュポン衝撃試験器」を使用し、500gの重りを高さ300mmから落下させ、先端の直径1/2インチの圧子によって表面に衝撃を加えた後に圧痕深さを測定した。なお、測定部位は、各試料とも早材部を使用した。「表面の硬さ」と「耐衝撃性」の評価結果を表1に示す。なお、表1の比較試料において、「control」は未加工のスギ辺材の値であり、「圧密なし」は樹脂成分の充填は行っているが表層部を圧密化していない試料の値である。
【0086】
【表1】

【0087】
表1から分かるように、微細孔の開孔及び開孔密度の増加に伴って樹脂液の注入量が増加する。比較試料(試料9)の開孔密度667個/cmにおいては、非常に多くの樹脂液を注入することができる。また、未処理材(試料1)の硬さは4N、デュポン衝撃試験による圧痕深さは1.2mmであるのに対し、比較試料(試料9)では表層圧密化することなく良好な物性が得られている。よって、本実施例1においては、比較試料(試料9)を一つのベンチマークと考えることにする。しかし、比較試料(試料9)においては、樹脂液の注入量を多く使用する必要があり経済的ではない。一方、樹脂液を注入しない比較試料(試料2)では、表層圧密化によって未処理材(試料1)に比べて物性が若干向上しているが、実用的に十分な性能ではない。
【0088】
そこで、表1において、樹脂液の注入量が比較的少ない試料4〜8を比較する。これらの試料において、樹脂成分の充填のみを行い表層圧密化を行わない比較試料(試料5、7)においては、未処理材(試料1)に比べ物性の向上が十分ではない。これに対して、樹脂成分の充填と表層圧密化とを併用する実施例1−1、1−2、1−3(試料4、6、8)においては、使用する樹脂液の注入量が比較試料(試料9)に比べ非常に少なくても良好な物性が得られていることが分かる。
【0089】
なお、実施例1−1、1−2、1−3(試料4、6、8)を比較すると、実施例1−1(試料4)に対して実施例1−2、1−3(試料6、8)の物性がより優れている。これらのことから、樹脂成分の充填と表層圧密化とを併用することで、開孔密度を低くして樹脂液の使用量を減らした場合でも良好な物性が得られることが分かる。また、スギ辺材の様な易注入材においては、開孔密度が10個/cm以上で効果が認められる。更に、開孔密度が15個/cm以上においては、ベンチマークとした比較試料(試料9)に対応する性能が得られ、易注入材においては、この開孔密度が適当であると判断する。
【実施例2】
【0090】
本実施例2は、表層圧密化する木材として難注入材であるカラマツ心材を使用し、微細孔の開孔密度、樹脂液の注入量、及び表面硬度との関係について確認した。
【0091】
<微細孔形成工程>
本実施例2の微細孔形成工程においては、上述のUVレーザインサイジングを利用して、カラマツ心材に対して予め設定しておいたレーザ発信器の出力と照射時間により、孔径約60μm、開孔深度約3mmの微細孔を開孔密度0〜667個/cmの範囲で有する試料を作製した。
【0092】
<注入工程>
本実施例2の注入工程においては、上記実施例1と同様に、樹脂前駆体として、メタクリル酸エステルのモノマー;ダイヤカイトPF‐2730(東栄化成株式会社製)を樹脂液として使用し、所定量の重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)を併用した。ダイヤカイトPF‐2730はモノマー単独であり、有効成分比率100%とした。なお、本実施例2においては、フェノール樹脂プレポリマーなど他の樹脂前駆体を併用しなかった。本実施例2においては、樹脂液の注入は、刷毛塗りによる塗布で行った。塗布は、微細孔が開孔した表面に液体が造膜されるまで行った。樹脂液の注入量に及ぼす穿孔密度の影響を表2に示す。
【0093】
<圧密化工程及び樹脂化工程>
本実施例2においては、上記実施例1と同様に、上述の平板プレス装置を使用して、圧密化工程と樹脂化工程とを同時に行った。平板プレス装置の条件は、処理温度130℃、予備加熱30秒、プレス圧力3.4MPa、プレス時間30分として、カラマツ心材の表層部に樹脂成分を充填した。次に、作製後の試料の表面に付着した樹脂層を除去するために、表面を自動かんな盤により0.5mm切削した。作製した試料(実施例2−1、2−2)及び比較のための試料を表2に示す。
【0094】
<評価>
各試料について「表面の硬さ」と「耐衝撃性」の評価を行った。これらの評価は、上記実施例1と同様の方法により行った。「表面の硬さ」と「耐衝撃性」の評価結果を表2に示す。なお、表2の比較試料において、「control」は未加工のカラマツ心材の値であり、「圧密なし」は樹脂成分の充填は行っているが表層部を圧密化していない試料の値である。
【0095】
【表2】

【0096】
表2から分かるように、上記実施例1と同様に、微細孔の開孔及び開孔密度の増加に伴って樹脂液の注入量が増加する。比較試料(試料22)の開孔密度667個/cmにおいては、非常に多くの樹脂液を注入することができる。また、未処理材(試料10)の硬さは7N、デュポン衝撃試験による圧痕深さは0.9mmであるのに対し、比較試料(試料22)では表層圧密化することなく良好な物性が得られている。よって、本実施例2においては、比較試料(試料22)を一つのベンチマークと考えることにする。しかし、比較試料(試料22)においては、樹脂液の注入量を多く使用する必要があり経済的ではない。一方、樹脂液を注入しない比較試料(試料11)では、表層圧密化によって未処理材(試料10)に比べて物性が若干向上しているが、実用的に十分な性能ではない。
【0097】
そこで、表2において、樹脂液の注入量が比較的少ない試料13〜16を比較する。これらの試料において、樹脂成分の充填のみを行い表層圧密化を行わない比較試料(試料13、15)においては、未処理材(試料10)に比べ物性の向上が十分ではない。これに対して、樹脂成分の充填と表層圧密化とを併用する実施例2−1、2−2(試料14、16)においては、ベンチマークと考えられる比較試料(試料22)の開孔密度667個/cmに比べ、使用する樹脂液の注入量が非常に少なくても良好な物性が得られていることが分かる。
【0098】
これらのことから、樹脂成分の充填と表層圧密化とを併用することで、開孔密度を低くして樹脂液の使用量を減らした場合でも良好な物性が得られることが分かる。また、カラマツ心材の様な難注入材においては、樹脂液を塗布する場合には開孔密度が100個/cm以上が適当であると判断する。しかし、上記実施例1のスギ辺材に比べ開孔密度が100個/cm以上と多い。そこで、下記実施例3において減圧・加圧法による樹脂液の注入を検討する。
【実施例3】
【0099】
本実施例3は、上記実施例2と同様に、表層圧密化する木材として難注入材であるカラマツ心材を使用し、微細孔の開孔密度、樹脂液の注入量、及び表面硬度との関係について確認した。
【0100】
<微細孔形成工程>
本実施例3の微細孔形成工程においては、上記実施例2と同様に、上述のUVレーザインサイジングを利用して、カラマツ心材に対して予め設定しておいたレーザ発信器の出力と照射時間により、孔径約60μm、開孔深度約3mmの微細孔を開孔密度0〜667個/cmの範囲で有する試料を作製した。
【0101】
<注入工程>
本実施例3の注入工程においては、上記実施例1と同様に、樹脂前駆体として、メタクリル酸エステルのモノマー;ダイヤカイトPF‐2730(東栄化成株式会社製)を樹脂液として使用し、所定量の重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)を併用した。ダイヤカイトPF‐2730はモノマー単独であり、有効成分比率100%とした。なお、本実施例3においては、フェノール樹脂プレポリマーなど他の樹脂前駆体を併用しなかった。本実施例3においては、樹脂液の注入は、上記実施例1及び2とは異なり、上述の減圧・加圧法による樹脂液の注入で行った(図3参照)。樹脂液の注入量に及ぼす穿孔密度の影響を表3に示す。
【0102】
<圧密化工程及び樹脂化工程>
本実施例3においては、上記実施例1と同様に、上述の平板プレス装置を使用して、圧密化工程と樹脂化工程とを同時に行った。平板プレス装置の条件は、処理温度130℃、予備加熱30秒、プレス圧力3.4MPa、プレス時間30分として、カラマツ心材の表層部に樹脂成分を充填した。次に、作製後の試料の表面に付着した樹脂層を除去するために、表面を自動かんな盤により0.5mm切削した。作製した試料(実施例3−1、3−2)及び比較のための試料を表3に示す。
【0103】
<評価>
各試料について「表面の硬さ」と「耐衝撃性」の評価を行った。これらの評価は、上記実施例1と同様の方法により行った。「表面の硬さ」と「耐衝撃性」の評価結果を表3に示す。なお、表3の比較試料において、「control」は未加工のカラマツ心材の値であり、「圧密なし」は樹脂成分の充填は行っているが表層部を圧密化していない試料の値である。
【0104】
【表3】

【0105】
表3から分かるように、上記実施例2と同様に、微細孔の開孔及び開孔密度の増加に伴って樹脂液の注入量が増加する。また、未処理材(試料10)及び比較試料(試料11、22)は、上記実施例2と同様の値を使用する。本実施例3においては、減圧・加圧法による樹脂液の注入を行うので、塗布法による比較試料(試料22)と同程度或いはそれ以上の樹脂量が注入される。これは、本実施例3においては、小片の試料を図3に示す減圧・加圧法で処理したため、木材板の木口(木材板の繊維方向に垂直な断面)からも多くの樹脂液が注入されるものと考察する。
【0106】
そのため、実験の試料サイズでは比較試料(試料17)の開孔密度0個/cmにおいても一定の注入量が得られている。しかし、工業的に現実的な長尺の木材板では木口からの樹脂液の注入は期待できない。これらのことから、微細孔による注入量の増加量は、単純に0個/cmの場合の注入量との差分で判断する必要があると考察した。これらのことから、比較試料(試料18、19)の開孔密度36個/cmの実施の注入量はおよそ200g/mと推測される。同様に、比較試料(試料20、21)の開孔密度50個/cmの開孔面からの実質の注入量は1170g/mと推測される。
【0107】
上記考察に基づけば、開孔密度36個/cmにおいて、塗布の場合の開孔密度100個/cmに相当する注入量が得られる(上記実施例2の表2、試料13、14参照)。また、開孔密度50個/cmにおいて、塗布の場合の比較試料(試料22)の開孔密度667個/cmに相当する注入量が得られる。
【0108】
そこで、表3において、試料18〜21を比較する。これらの試料において、樹脂成分の充填のみを行い表層圧密化を行わない比較試料(試料18、20)においては、未処理材(試料10)に比べ物性の向上が十分ではない。これに対して、樹脂成分の充填と表層圧密化とを併用する実施例3−1、3−2(試料19、21)においては、ベンチマークと考えられる比較試料(試料22)の開孔密度667個/cmと同等の良好な物性が得られていることが分かる。
【0109】
これらのことから、樹脂成分の充填と表層圧密化とを併用することで、開孔密度を低くして樹脂液の使用量を減らした場合でも良好な物性が得られることが分かる。また、カラマツ心材の様な難注入材においては、開孔密度が36個/cm以上、好ましくは50個/cm以上が適当であると判断する。
【実施例4】
【0110】
本実施例4においては、易注入材のスギ辺材に対して樹脂前駆体として(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとフェノール樹脂プレポリマーとを併用した際に、各樹脂の配合比率と表層圧密木材の表面品位との関係を比較した。
【0111】
<微細孔形成工程>
本実施例4の微細孔形成工程においては、上記実施例1と同様に、上述のUVレーザインサイジングを利用して、スギ辺材に対して予め設定しておいたレーザ発信器の出力と照射時間により、孔径約60μm、開孔深度約4mmの微細孔を開孔密度333個/cmを有する試料を作製した。
【0112】
<注入工程>
本実施例4の注入工程においては、樹脂前駆体として、メタクリル酸エステルのモノマー;ダイヤカイトPF‐2730(東栄化成株式会社製)、及び、レゾールタイプのフェノール樹脂プレポリマー;BRL‐120Z(アイカSDKフェノール株式会社製)を併用し、これらの混合比率を変化させた樹脂液を9種類作成した。なお、ダイヤカイトPF‐2730に対して所定量の重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)を併用した。
【0113】
まず、メタクリル酸エステルのモノマー;ダイヤカイトPF‐2730(以下、本実施例4において「アクリル樹脂」という)はモノマー単独であり、有効成分比率100%とした。また、このアクリル樹脂の粘度は、8mPa・s(20℃)である。一方、フェノール樹脂プレポリマー;BRL‐120Z(以下、本実施例4において「フェノール樹脂」という)の有効成分比率は、熱硬化後の固形物の残量から71.4%と算出した。また、このフェノール樹脂水溶液の粘度は、170mPa・s(25℃)である。
【0114】
これらの有効成分比率から、混合した樹脂液中のフェノール樹脂の固形分の重量%比率が、70%、60%、50%、40%、30%、25%、20%、10%、0%(アクリル樹脂100%)となるように、フェノール樹脂(71.4%水溶液)をアクリル樹脂(モノマー100%)で希釈して9種類の樹脂液を調整した。本実施例4においては、上記配合の9種類の樹脂液の注入は、刷毛塗りによる塗布で行った。
【0115】
<圧密化工程及び樹脂化工程>
本実施例4においては、上記実施例1と同様に、上述の平板プレス装置を使用して、圧密化工程と樹脂化工程とを同時に行った。平板プレス装置の条件は、処理温度130℃、予備加熱30秒、プレス圧力1.7MPa、プレス時間30分として、スギ辺材の表層部に樹脂成分を充填した。次に、作製後の試料の表面に付着した樹脂層を除去するために、表面を自動かんな盤により0.5mm切削した。作製した試料(実施例4−1〜4−9)における各樹脂液の混合比率と注入量を表4に示す。
【0116】
<評価>
各試料について「外観(表面品位)」の評価を行った。外観評価は目視により行い、外観良好(〇)、外観不良(×)で評価した。評価結果を表4に示す。また、一部の試料に対して「表面の硬さ」と「耐衝撃性」の評価を行った。これらの評価は、上記実施例1と同様の方法により行った。
【0117】
【表4】

【0118】
表4から分かるように、樹脂液中のアクリル樹脂の比率が減少(フェノール樹脂の比率が増加)するにつれて、スギ辺材の表層部への注入量が徐々に減少している。なお、本実施例4における「表面の硬さ」と「耐衝撃性」の評価は、実施例4−1及び4−9でのみ行ったが、いずれの物性も良好であり混合比率を変化させた他の試料においても同様であると解釈した。
【0119】
図10は、混合した樹脂液中のフェノール樹脂の濃度と注入量の関係を示すグラフである。表4及び図10から、スギ辺材の表層部への注入量は、実施例4−1(アクリル樹脂100%)が最も多いことに対して、実施例4−9(フェノール樹脂70%)が最も少なくなっており、約4倍もの差異がある。
【0120】
これについては、各樹脂の粘度に依存することが考えられる。上述のように、アクリル樹脂の粘度が8mPa・s(20℃)であることに対して、フェノール樹脂水溶液の粘度は170mPa・s(25℃)と大きな値を示している。従って、混合した樹脂液中のフェノール樹脂の比率が大きくなるにつれて、樹脂液自体の粘度が上昇して表層部への浸透に影響を及ぼしたものと考えられる。
【0121】
なお、上記実施例1の表1から明らかなように、本実施例4で使用した開孔密度333個/cm有する試料は、スギ辺材に対して十分な注入量が得られるものである。このような過剰な開孔密度の試料であっても、フェノール樹脂の混合比率の増加に伴う粘度の上昇により注入量が顕著に低下したものと考えられる。
【0122】
次に、本実施例4においては、各樹脂の配合比率と表層圧密木材の表面品位との関係を評価した。図11は、混合した樹脂液中のフェノール樹脂の濃度を変化させた時の表層圧密木材の表面品位を示す写真である。図10において、フェノール樹脂の濃度が30%及び40%の試料(実施例4−5、4−6)では、20%及び25%の試料(実施例4−3、4−4)と比較して早材部分(年輪でない部分)が濃色化しており、晩材部分(年輪部分)との差が顕著に現われ不自然な外観を呈している。
【0123】
木材の早材部分は晩材部分よりも仮道管径が大きく、樹脂液が浸透し易い。一方、晩材部分はその逆になるため、樹脂液の粘度の影響により樹脂液の注入が不均質になったと考えられる。よって、本実施例4で使用したアクリル樹脂及びフェノール樹脂の配合比率に関しては、混合した樹脂液中のフェノール樹脂の重量パーセントにおいて、0%(100%アクリル樹脂)から25%(フェノール樹脂をアクリル樹脂にて希釈)が望ましい。但し、粘度の異なる他のアクリル樹脂及びフェノール樹脂を使用する場合には、それらに適した配合比率を適宜選定することが望ましい。
【実施例5】
【0124】
本実施例5においては、易注入材のスギ辺材に対して樹脂前駆体として(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとフェノール樹脂プレポリマーとを併用した際に、圧密化した表層部の水膨潤による変形回復性(変形固定効果(耐水性))と表面硬度との関係を比較した。
【0125】
<微細孔形成工程>
本来は、表層圧密木材の圧密化した表層部の変形固定効果(耐水性)を確認するものであるが、本実施形態に係る表層圧密木材において圧密化する表層部が極薄いため、この部分の変形固定効果(耐水性)を確認し難く、また誤差も大きくなるものと考えた。そこで、本実施例5においては、表層部に微細孔を形成しないスギ辺材の単板の全体を圧密化したものを表層圧密木材の圧密化された表層部のモデル試料として使用した。
【0126】
<注入工程>
本実施例5の注入工程においては、樹脂前駆体として、上記実施例4と同様に、メタクリル酸エステルのモノマー;ダイヤカイトPF‐2730(東栄化成株式会社製)、及び、レゾールタイプのフェノール樹脂プレポリマー;BRL‐120Z(アイカSDKフェノール株式会社製)を併用し、これらの混合比率を変化させた樹脂液を3種類作成した。なお、ダイヤカイトPF‐2730に対して所定量の重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)を併用した。
【0127】
まず、メタクリル酸エステルのモノマー;ダイヤカイトPF‐2730(以下、本実施例5において「アクリル樹脂」という)はモノマー単独であり、有効成分比率100%とした。また、このアクリル樹脂の粘度は、8mPa・s(20℃)である。一方、フェノール樹脂プレポリマー;BRL‐120Z(以下、本実施例5において「フェノール樹脂」という)の有効成分比率は、熱硬化後の固形物の残量から71.4%と算出した。また、このフェノール樹脂水溶液の粘度は、170mPa・s(25℃)である。
【0128】
本実施例5においては、各樹脂の有効成分比率から、以下の3種類の樹脂液1〜3を調製した。樹脂液1は、フェノール樹脂(71.4%水溶液)を蒸発残分20%まで水で希釈して調整した。樹脂液2は、フェノール樹脂(71.4%水溶液)の蒸発残分が20%となるまでアクリル樹脂(モノマー100%)を混合して調製した。樹脂液3は、アクリル樹脂(モノマー100%)をそのまま使用した。
【0129】
このようにして調整した樹脂液1〜3の注入操作は、次のようにして行った。スギ辺材の全乾試料(繊維方向50mm×年輪の半径方向33mm×年輪の接線方向50mm)に対し、樹脂液1〜3をそれぞれ減圧・加圧法により含浸処理した。減圧条件は、50torr以下で1時間、加圧条件は1.3MPaで5時間とした。各樹脂液に対する試料数は3とした。
【0130】
<圧密化工程及び樹脂化工程>
本実施例5においては、上記実施例1と同様に、上述の平板プレス装置を使用して、圧密化工程と樹脂化工程とを同時に行った。平板プレス装置の条件は、処理温度130℃、プレス時間120分として、各試料に対して所定の厚さのスペーサを上下プレス盤の間に挿入することにより、圧縮率を変化させた。具体的には、年輪の半径方向33mm(元の厚み)が、圧密化後に23mm(圧縮率30%)及び15mm(圧縮率55%)になるまで圧密した。なお、全ての試料で十分な注入量が得られているため、この段階で減少した体積に応じた量の樹脂液や水は絞り出されるが、そのまま120分加熱することにより、スギ辺材の全体に樹脂成分を充填すると共に圧密固定した。
【0131】
<評価>
各試料について、圧縮率55%の試料を用いて「変形固定効果(耐水性)」の評価を行った。また、圧縮率30%の試料を用いて「表面の硬さ」の評価を行った。各評価において圧縮率がそれぞれ異なる理由は、評価目的がそれぞれ異なるためである。すなわち、空隙の充填効果が硬さの物性に及ぼす影響を明確にするために、硬さ試験体の圧縮率は30%とし、変形固定効果を明らかにするために、誤差を少なくする目的で、変形固定効果を調べる試料の圧縮量は大きく(圧縮率を高く)した。
【0132】
なお、「変形固定効果(耐水性)」の評価においては、「煮沸処理時の回復率」と「乾燥後の回復率」の両面から評価した。「煮沸処理時の回復率」は、圧密化後の試料を60分煮沸した時に、付与した圧縮量に対して復元した量を百分率で現したものである。回復率が高いほど変形固定性能が悪いことを意味している。また、「乾燥後の回復率」は、60分煮沸後の試験体を再度乾燥した時の試料の厚さから計算される回復率である。一方、「表面の硬さ」の評価は、上記実施例1と同様の方法により行った。
【0133】
作製した試料(実施例5−1、5−2)の各評価結果を表5に示す。なお、表5の比較試料において、「control」は樹脂液に替えて水を注入したものを圧密化したものであり、「含浸なし」は樹脂液及び水を含浸していない試料を圧密化したものである。
【0134】
【表5】

【0135】
表5において、まず、平板プレス装置から取り出した後の試料の質量から算出される「木材の質量増加率」を比較する。何も含浸処理していない比較試料(含浸なし)及び水を含浸した比較試料(control)では、質量増加率が0%であった。これに対して、比較試料(樹脂液1)では、平均23.4%であった。また、実施例5−1(樹脂液2)では、平均62.8%であり、実施例5−2(樹脂液3)では、平均64.8%であった。すなわち、樹脂液の蒸発残分に応じた質量増加率となった。
【0136】
次に、「煮沸処理時の回復率」を比較する。何も含浸処理していない比較試料(含浸なし)及び水を含浸した比較試料(control)では、試料の変形回復率がそれぞれ平均93%、85%であり、付与した変形が煮沸処理によりほぼ回復した。これに対して、比較試料(樹脂液1)では、平均9%であり、良好な値を示した。また、実施例5−1(樹脂液2)では平均8%であり、共に良好な値を示した。一方、実施例5−2(樹脂液3)では平均21%であり、比較試料(含浸なし)及び比較試料(control)に比べると大きく向上するが、実施例5−1(樹脂液2)及び比較試料(樹脂液1)に比べるとやや劣る。
【0137】
次に、「乾燥後の回復率」を比較する。何も含浸処理していない比較試料(含浸なし)及び水を含浸した比較試料(control)では、試料の変形回復率がそれぞれ平均75%、69%であった。これに対して、比較試料(樹脂液1)では、0%であり、良好な値を示した。また、実施例5−1(樹脂液2)では0%であり、良好な値を示した。一方、実施例5−2(樹脂液3)では平均3%であり、比較試料(含浸なし)及び比較試料(control)に比べると大きく向上するが、実施例5−1(樹脂液2)及び比較試料(樹脂液1)に比べるとやや劣る。
【0138】
これらの結果から、実施例5−2(樹脂液3)のアクリル樹脂単独の処理では、一定の変形固定効果は得られるものの、十分な耐水性があるとは言えない。一方、実施例5−1(樹脂液2)のアクリル樹脂とフェノール樹脂との併用においては、良好な耐水性が付与されることが分かる。なお、比較試料(樹脂液1)のフェノール樹脂単独の処理では、良好な耐水性が付与されるものの、下記に示すように表面硬度の点で課題がある。
【0139】
ここで、「表面の硬さ」を比較する。樹脂成分が充填されていない比較試料(含浸なし)及び比較試料(control)では、試料の硬さは平均11Nであった。30%圧縮されているため、上記実施例1の表1の未処理材(試料1)の値4Nよりも高くなっている。また、比較試料(樹脂液1)では、試料の硬さは平均31Nであった。フェノール樹脂の充填により未処理材3倍程度の値の向上が確認できる。これに対して、実施例5−1(樹脂液2)では平均117N、実施例5−2(樹脂液3)では平均111Nであり、一般的な木材の物性を超越した値であった。このことから、フェノール樹脂単独の処理では十分な空隙の充填効果が得られず、アクリル樹脂による試料ほどの強度性能が得られないものと考えられる。
【0140】
本実施例5に示すように、2種類の樹脂を併用することで、アクリル樹脂による十分な充填効果に伴う表面硬度の向上を得つつ、同時にフェノール樹脂による高い耐水性を持つ特性を得ることができ、本実施形態の更なる優位性が見出される。なお、このような加工においては、特別な追加工程は必要としない。2種類の樹脂の相溶性を考慮して容易に混合できる組み合わせを適宜選定すればよい。
【0141】
以上のことから、本発明によれば、スギ材などの軟質木材を使用することができ、表面硬度などの物性に優れると共に均質な性能を有し、且つ従来に比べ製造コストが低減できるので、多様な用途で実用的に使用することができる表層圧密木材及びその製造方法を提供することができる。
【0142】
なお、本発明の実施にあたり、上記実施形態及び各実施例に限らず次のような種々の変形例が挙げられる。
(1)上記実施形態においては、木材板の表層部のみに樹脂成分を充填すると共に、この部分を圧密化するものである。このことにより、表層部と内層部とで全く異なった物性を有する木質素材を構成する。従って、用途に合わせて表層部の厚さと内層部の厚さを適宜調整することができる。従って、必要により圧密化する表層部を厚く、内層部を薄くすることもできる。更に、場合によっては、本発明の技術によって木材薄板の全面に樹脂成分を充填すると共に、薄板全体を圧密化した硬質圧密木材を作製するようにしてもよい。
(2)上記実施形態においては、主に軟質木材であるスギ材を使用して説明した。また、易注入材であるスギ辺材と難注入材であるカラマツ心材を使用して説明した。しかし、これらに限るものではなく、他の軟質木材或いは軟質木材以外の通常の木材など、様々な樹種及び部位を使用するようにしてもよい。
(3)上記実施形態においては、樹脂前駆体として(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの単独、或いは、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとフェノール樹脂プレポリマーとの併用で説明した。しかし、これらに限るものではなく、上述したように他の樹脂前駆体を1種単独又は2種以上併用して使用するようにしてもよい。
(4)上記実施形態においては、木材板の表層部に樹脂成分を充填すると共に圧密化するものであるが、これに限るものではなく、複数の単板を積層した積層板の最外層板の表層部に樹脂成分を充填すると共に圧密化するようにしてもよい。
(5)上記実施形態においては、木材板の一方の表層部に樹脂成分を充填すると共に圧密化するものであるが、これに限るものではなく、木材板の表裏両面の表層部に樹脂成分を充填すると共に樹脂成分を充填した両面を圧密化するようにしてもよい。また、木口面を除く全ての面の表層部に樹脂成分を充填すると共に樹脂成分を充填した全ての面を圧密化するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0143】
1…レーザ発信器、2…レーザ光、3…スキャンニングミラー、
3a、3b…回転モータ、4…集光レンズ、5…XYステージ、
6…木材板、6a…板目面、6b…木口断面、
7…圧力容器、8…表層部、9…樹脂液、10…減圧・加圧操作、
11…平板プレス装置、11a、11b…プレス盤、12…圧縮力、
13、13a…仮道管、14、14a、14b…樹脂成分、15…内層部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11