(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、本実施形態は、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更、実施の形態が可能である。
【0012】
本発明の印刷インキは、水酸化カルシウムを含む抗菌剤と、セラック樹脂、ロジン類、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、スチレン樹脂、塩化ゴム、環化ゴム、ポリエステル樹脂、ケトン樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、アルキッド樹脂、マレイン酸樹脂、カゼイン、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂のなかから選ばれる少なくとも1つの樹脂と、ワックスとを含み、前記抗菌剤の平均粒子径が0.1〜20μmであることが好ましい。
【0013】
前記抗菌剤は、水酸化カルシウムを含むものであることが好ましい。前記水酸化カルシウムは、例えば炭酸カルシウムを焼成して酸化カルシウムとした後に、水和させることにより得られる。
炭酸カルシウム源としては、動物性由来のカルシウムを使用することができ、例えばホタテ貝殻、あさり貝殻、しじみ貝殻、アワビ貝殻、サザエ貝殻、ホッキ貝殻、ウニ貝殻、牡蠣貝殻などの天然か養殖の貝類または珊瑚殻、牛骨、豚骨、鳥骨などの動物骨、卵殻などを原料に使用することができ、これらのうち、貝殻組成が均一である点および供給量が多いなどの点から、ホタテ貝殻を使用することが好ましい。これらの貝殻などを、粉砕して粉末(あるいは粒状物) とし、800℃〜1500℃で、より好ましくは850℃〜1200℃で、例えば炭酸ガスを導入しながら焼成する。焼成は空気中で行ってもよいし、窒素などの不活性ガス雰囲気下で行なってもよい。焼成時間は焼成温度などによって適宜設定されるが、通常、雰囲気温度が所定の焼成温度に到達した後、10〜120分、好ましくは15〜90分である。こうした焼成処理により、不要な有機物を熱分解によって除去できる。さらに 焼成後、水和させることにより水酸化カルシウム主体の粉末が得られる。
【0014】
前記抗菌剤中に、水酸化カルシウムの含有量としては、抗菌剤全体の質量に対して、85質量%以上であるものが好ましい。
【0015】
また、前記抗菌剤は、さらにホウ素を含むものであってもよい。前記ホウ素は、酸化ホウ素などを前記水和工程の際に添加することで含ませることができ、抗菌剤全体の質量に対して、0.01〜1質量%であるものが好ましく、0.05〜0.8質量%であるものがより好ましく、0.2〜0.5質量%であるものがさらに好ましい。
【0016】
前記水酸化カルシウムは、水分と接触することにより、アルカリ性(pH12.8〜13.2)を示し、高い抗菌性、消臭性、酸化防止性、防汚性、防黴性、防藻性、忌避性が向上する。このことにより、大腸菌などに対する抗菌作用、イソ吉草酸、n−吉草酸、酢酸、n−酪酸、硫化水素、酢酸、アセトアルデヒド、ノネナールなどの臭気成分に対する消臭作用の効果を発揮する。
【0017】
前記抗菌剤は、市販のものであってもよい。例えば、スカロー(以上、WM(株)製)、オホーツク(ナチュラルジャパン(株)製)などが挙げられる。
【0018】
前記抗菌剤は、平均粒子径が0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることがより好ましく、1〜10μmであることがさらに好ましい。ここでいう平均粒子径は、レーザ回折法により測定された粒度分布測定データにおける小粒子側からの粒子数の累積量50質量%の粒径値である。例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920((株)堀場製作所製)やMICROTRAC 9320−X100(Honeywell社製)などが挙げられる。
【0019】
前記樹脂は、セラック樹脂、ロジン類、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、スチレン樹脂、塩化ゴム、環化ゴム、ポリエステル樹脂、ケトン樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、アルキッド樹脂、マレイン酸樹脂、カゼイン、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂のなかから選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。なかでも、セラック樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ジアリルフタレート樹脂がより好ましい。
【0020】
樹脂の含有量は、印刷インキ中に固形分で1〜80質量%であることが好ましく、2〜65質量%であることがより好ましく、3〜60質量%であることがさらに好ましい。1質量%より少ないと、印刷時の塗布量が少なく、十分な密着が得られず、80質量%より多いと固形分が多すぎて、粘度が高くなり、流動性が悪く、インキ化が困難となったり、塗布が困難となる。
【0021】
本発明の印刷インキは、印刷基材などの基材に応じて、適宜選択できる。
グラビア印刷インキやフレキソ印刷インキである場合、前記樹脂としては、セラック樹脂、ロジン類、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、スチレン樹脂、塩化ゴム、環化ゴム、ポリエステル樹脂、ケトン樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、アルキッド樹脂、マレイン酸樹脂、カゼイン、エポキシ樹脂のなかから選ばれる少なくとも1つの樹脂であることがより好ましい。なかでも、セラック樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂がより好ましく、これらの樹脂が一種類または二種類以上組み合わせたグラビア印刷インキやフレキソ印刷インキであってもよい。また、2色以上のグラビア印刷インキやフレキソ印刷インキを使用する場合は、同じ樹脂系のグラビア印刷インキやフレキソ印刷インキである必要はなく、別の樹脂系の該印刷インキも適宜使用できる。
活性エネルギー線硬化型印刷インキである場合、ジアリルフタレート樹脂であることがより好ましい。ジアリルフタレート樹脂は、オルソタイプとイソタイプの2種類があり、併用することが好ましい。
【0022】
グラビア印刷インキの市販品としては、LG−NT、SYNA−S、LAMREK、LG−FK(以上、いずれも東京インキ(株)製)などを用いることができる。
【0023】
前記抗菌剤は、グラビア印刷インキやフレキソ印刷インキである場合、前記樹脂100質量部に対して、0.3〜50質量部であることが好ましく、1〜30質量部であることがより好ましく、15〜20質量部であることがさらに好ましい。0.3質量部より少ないと、抗菌機能が発現しにくく、50質量部より多いと、溶媒に溶解または分散せず、印刷インキとして使用は困難である。
また、前記抗菌剤は、活性エネルギー線硬化型印刷インキである場合、前記樹脂100質量部に対して、1〜180質量部であることが好ましく、1〜90質量部であることがより好ましく、4〜50質量部であることがさらに好ましい。1質量部より少ないと、抗菌機能が発現しにくく、180質量部より多いと、反応性希釈剤に分散せず、印刷インキとして使用は困難である。
【0024】
前記ワックスは、特に限定されるものではないが、例えば、石油系ワックス(パラフィンワックス、精製パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなど)、合成ワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、アタクチックポリプロピレンワックス、フィッシャートロプスワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、ポリアミドワックス、シリコーン化合物など)、天然ワックス(木ロウ、カルナバロウ、密ロウなど)などが挙げられる。なかでも、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスが好ましい。
【0025】
前記ワックスの含有量は、印刷インキ中に0.1〜15質量%であることが好ましく、0.2〜10質量%であることがより好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。0.1質量%より少ないと十分な耐摩擦性および耐スクラッチ性が得られず、15質量%より多いと塗膜が柔らかくなり、耐摩擦性が低下してしまう。
【0026】
また、ワックスの軟化点は、60〜160℃の範囲であることが好ましく、90〜160℃の範囲であることがより好ましい。前記範囲内であることにより、均一なワックス粒子が得やすく、耐摩擦性に十分な効果も得やすい。ここでいう軟化点は、示差走査熱量測定 DSCにより、サンプル5mg、測定温度−60〜120℃、昇温速度20℃/minの条件で測定された値である。
【0027】
本発明の印刷インキは、溶媒を含んでもよい。特に、印刷インキとして、グラビア印刷インキやフレキソ印刷インキの場合の溶媒としては、前記樹脂を該溶媒中に溶解または分散させるものであればよい。前記グラビア印刷インキやフレキソ印刷インキに通常使用される、有機溶剤および/または水が挙げられる。
【0028】
前記有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸tert−ブチルなどのエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤およびこれらのエステル化物が挙げられ、エステル化物としては主にアセテート化したものが選ばれ、例えばエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
【0029】
本発明の印刷インキは、反応性希釈剤としてエチレン性不飽和化合物を含んでもよい。特に、印刷インキとして、活性エネルギー線硬化型印刷インキの場合のエチレン性不飽和化合物としては、活性エネルギー線を照射することによって重合されるモノマーまたはオリゴマーであって、好ましくは(メタ)アクリル基を有する化合物(以下、(メタ)アクリレートともいう)である。前記(メタ)アクリル基を有する化合物は、単官能性(メタ)アクリレートであっても、多官能性(メタ)アクリレートであってもよい。また、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートであってもよい。
【0030】
単官能性(メタ)アクリレートの例としては、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノメチロール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。多官能性(メタ)アクリレートの例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、 ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレンジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7−ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−オクタンジオールジ(メタ)アクリレートジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレートなどの2官能性(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能性(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラカプロラクトネートテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールポリアルキレンオキサイドヘプタ(メタ)アクリレートなどの4官能以上の多官能性(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0031】
また、炭素数が1〜18のアルキル基を有するポリオールの(メタ)アクリレートであってもよい。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートがあり、さらにイソボルニル(メタ)アクリレートなどの単官能性(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラプロピレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリアルキレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFテトラプロピレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリアルキレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSポリアルキレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールAテトラプロピレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールAポリアルキレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールFテトラプロピレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールFポリアルキレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノーAジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジヒドロキシベンゼン(カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン等)ポリアルキレンオキサイドジ(メタ)アクリレート、アルキルジヒドロキシベンゼンポリアルキレンオキサイドジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレートなどの2官能性(メタ)アクリレート、グリセリンポリ(2〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサイドとして、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリ(2〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサイドとして、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンポリ(2〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサイドとして、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)トリ(メタ)アクリレートなどの3官能性(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリ(2〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサイドとして、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)テトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンポリ(2〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサイドとして、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)テトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンポリ(2〜20)アルキレンオキサイド(例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加体テトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンポリ(2〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサイドとして、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)テトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンポリ(2〜20)アルキレンオキサイド(例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)テトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラカプロラクトネート、テトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールエタンポリ(2〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサイドとして、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)テトラ(メタ)アクリレートなどの4官能以上の多官能性(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0032】
また、エチレン性不飽和化合物は、エポキシ化植物油(メタ)アクリレートであってもよい。エポキシ化植物油(メタ)アクリレートは、不飽和植物油の二重結合に過酢酸、過安息香酸でエポキシ化したエポキシ化植物油のエポキシ基に、(メタ)アクリル酸を開環付加重合させた化合物である。前記不飽和植物油とは、グリセリンと脂肪酸とのトリグリセライドにおいて、少なくとも1つの脂肪酸が炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有する脂肪酸であるトリグリセライドのことであり、代表的な不飽和植物油としては、麻実油、亜麻仁油、荏油、オイチシカ油、オリーブ油、カカオ油、カポック油、カヤ油、芥子油、杏仁油、桐油、ククイ油、胡桃油、ケシ油、胡麻油、サフラワー油、ダイコン種油、大豆油、大風子油、椿油、トウモロコシ油、菜種油、ニガー油、ヌカ油、パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、扁桃油、松種子油、綿実油、椰子油、落花生油、脱水ヒマシ油などが挙げられる。エポキシ化植物油(メタ)アクリレートとしては、エポキシ化大豆油(メタ)アクリレート(サートマー社製CN111、ダイセル・オルネクス(株)製EBECRYL860、iGMRESINS社製Photomer3005 )などが挙げられる。
【0033】
なかでも、本発明に使用するエチレン性不飽和化合物は、フェノキシエチルアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレンジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン3EO変性トリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA4EO変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA10EO変性ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン6EO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン9EO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン3PO変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールEO変性テトラ(メタ)アクリレート、エポキシ化大豆油(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0034】
グラビア印刷インキやフレキソ印刷インキに含まれる前記溶媒の含有量は、該印刷インキ中に、10〜95質量%であることが好ましく、20〜85質量%であることがより好ましい。10質量%より少ないと十分な印刷適性が得られず、95質量%より多いと固形分が少なくなり、抗菌剤の濃度が低下してしまう。
【0035】
活性エネルギー線硬化型印刷インキに含まれる前記反応性希釈剤の含有量は、該印刷インキ中に、30〜70質量%であることが好ましく、40〜60質量%であることがより好ましい。30質量%より少ないと十分な印刷適性が得られず、70質量%より多いと顔料固形分が少なくなり、濃度が低下してしまう。反応性希釈剤の含有量が、該印刷インキ中に前記範囲内であることにより、白濁化が起こらず、硬化性も良好で、かつ印刷適性が良好な活性エネルギー線硬化型インキが得られる
【0036】
前記グラビア印刷インキは、必要に応じて、硬化剤を添加することもできる。例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルジイソシアネートおよびこれらのトリメチロールプロパン三量体、イソシアヌレート体、ビュレット体、アロファネート体などの変性体などのポリイソシアネート系硬化剤が挙げられ、これらを一種類または二種類以上組み合わせて使用できる。
【0037】
本発明の印刷インキには、必要に応じて、色材、ブロッキング防止剤、顔料分散剤、静電防止剤、滑剤、架橋剤、消泡剤、乾燥調整剤、可塑剤、粘着付与剤、密着向上剤、レベリング剤、酸化防止剤、硬化剤、光重合開始剤、光沢向上剤などを添加することができる。
【0038】
前記色材としては、顔料もしくは染料を使用できるが、耐久性の観点から、顔料が好ましい。顔料は無機顔料と有機顔料が使用できるが、これらは単独もしくは2種以上使用してもよい。色材を含有しない、印刷ニスとしてもよい。色材は、インキの濃度、着色力、隠蔽力に応じ、適宜添加量が決められるが、印刷インキ中に0.1〜50質量%含有することが好ましい。
【0039】
印刷インキの色相は、プロセスインキとしての黄、紅、藍、墨、白の5色の色材に加え、中間色として草、紫、金赤などの色材があり、さらに牡丹、茶、透明黄、金、銀、パールなどの色材も用いられる。また、これらを適宜混合し調色品として、使用することもできる。また、濃度調整用として、メジウムという透明な印刷インキを準備することが好ましい。
ヒートシールの際、シールバーに当たる用途には、耐チント変色性など、ボイル・レトルト用途には、耐マイグレーション性、耐熱性など、屋外用途には、耐光性などを考慮して適宜色材を選択することが好ましい。
【0040】
前記無機顔料としては、酸化チタン、酸化鉄、硫酸バリウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、シリカ、アルミニウム、パール顔料、真鍮、マイカなどが挙げられる。
【0041】
前記有機顔料としては、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、縮合アゾ系、フタロシアニン系、ジオキサジン系、キナクリドン系、ペリレン系、ペリノン系、チオインジゴ系、アンサンスロン系、イソインドリノン系、スレン系、アントラキノン系、キノフタロン系、アゾメチン系、ジケトピロロピロール系、カーボンブラックなどが挙げられる。
【0042】
活性エネルギー線硬化型印刷インキとする場合には、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤の種類や含有量は、反応性希釈剤の種類や、照射する活性エネルギー線に応じて適宜選択することができる。
【0043】
光重合開始剤としては、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、オキシフェニル酢酸,2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸,2−[2−ヒドロキシエトキシ]エチルエステルとの混合物、2,4−ジエチルチオキサントン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。なかでも、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、オキシフェニル酢酸,2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸,2−[2−ヒドロキシエトキシ]エチルエステルとの混合物、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン、2−メチル−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、4−フェニルベンゾフェノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフォニル)プロパン−1−オン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、トリメチルベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、イソプロピルチオキサントン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4−,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジメチル−2−ヒドロキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ミヒラーケトン、トリメチルベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン混合物、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、L−クロロフォルム−4−プロポキシチオキサントン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、L−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノン、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマーなどが挙げられ、なかでも2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノンまたは2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、オキシフェニル酢酸,2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸,2−[2−ヒドロキシエトキシ]エチルエステルとの混合物、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルがより好ましい。
【0044】
さらに、光沢向上剤を含有することが好ましい。光沢向上剤を添加することで、最上層の光沢が驚異的に向上する。
【0045】
光沢向上剤としては、二塩基酸エステルを含有し、該二塩基酸エステルが炭素数2〜18の二塩基酸と、モノアルコールとのエステルであることが好ましい。該二塩基酸エステルは、モノエステルよりもジエステルの方が好ましい。二塩基酸ジエステルの総炭素数が10以下であると、樹脂との溶解性が低く、インキが白濁し、光沢向上の効果が落ちる。二塩基酸エステルとしては、例えば、しゅう酸エステル、マロン酸エステル、こはく酸エステル、フマル酸エステル、マレイン酸エステル、グルタル酸エステル、アジピン酸エステル、ピメリン酸エステル、フタル酸エステル、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステル、ウンデカン二酸エステル、ドデカン二酸エステル、トリデカン二酸エステル、テトラデカン二酸エステル、ペンタデカン二酸エステル、ヘキサデカン二酸エステル、ヘプタデカン二酸エステルおよびオクタデカン二酸エステルが好ましく、しゅう酸ジオクチル、しゅう酸ジ−2−エチルヘキシル、しゅう酸ジイソノニル、しゅう酸ジイソデシル、マレイン酸ジ−n−ブチル、マレイン酸ジペンチル、マレイン酸ジヘキシル、マレイン酸ジヘプチル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−ブチル、アジピン酸ジペンチル、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジヘプチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジペンチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ−n−ブチル、アゼライン酸ジペンチル、アゼライン酸ジヘキシル、アゼライン酸ジヘプチル、アゼライン酸ジオクチル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジ−n−ブチル、セバシン酸ジペンチル、セバシン酸ジヘキシル、セバシン酸ジヘプチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ドデカン二酸ジメチル、ドデカン二酸ジエチル、ドデカン二酸ジ−n−ブチル、ドデカン二酸ジペンチル、ドデカン二酸ジヘキシル、ドデカン二酸ジヘプチル、ドデカン二酸ジオクチル、ドデカン二酸ジ−2−エチルヘキシルが光沢向上の効果が大きく好ましい。特に好ましいのは、アジピン酸ジ−n−ブチル、アジピン酸ジペンチル、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジヘプチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジペンチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジ−n−ブチル、セバシン酸ジペンチル、セバシン酸ジヘキシル、セバシン酸ジヘプチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシルなどである。
【0046】
前記光沢向上剤は、活性エネルギー線硬化型印刷インキ中に添加量が多いほど効果があるが、0.1〜6質量%含有することが好ましい。光沢向上剤の量が0.1質量%未満では光沢向上の効果が認められず、6質量%を超えると活性エネルギー線による硬化性が低下し、また、印刷時の汚れが起こり易くなる。さらに好ましくは、光沢向上剤添加量は印刷インキ中に0.5〜3質量%である。印刷適性が良好な印刷インキが得られ、印刷したときに最上層の光沢が優れた印刷物を得ることができる。
【0047】
本発明の印刷インキは、基材上に、印刷することで抗菌層を形成するために用いることができる。このことにより、抗菌層が、薄膜で、容易に形成できることから、低コスト化も可能となる。
【0048】
本発明の印刷物は、基材上に、前記印刷インキからなる膜厚が0.1〜10μmとなるように設けられた抗菌層を備えることが好ましい。
【0049】
前記抗菌層を、印刷物の最表面に設けることで、前記した通り水分との接触により、高い抗菌性、消臭性、酸化防止性、防汚性、防黴性、防藻性、忌避性の機能を発揮する。水分との接触により前記印刷物の表面pHは、10以上であることが好ましく、抗菌などの機能が発現する。印刷物の表面pHは、11以上がより好ましく、pH12〜13であることがさらに好ましい。膜厚が0.1μmより小さいものは、抗菌などの機能が発現しにくく、10μmより大きいものは、抗菌層を設けることが困難であるとともに、ブロッキングを起こすおそれがある。印刷物の表面pHは、pH・水質分析計により計測できる。市販品としては、LAQUA F74T(フラットISFET pH電極、(株)堀場製作所製)などが挙げられる。
【0050】
前記基材は、紙、プラスチックフィルムまたはシート、各種織布または不織布、建材板(例えば、床材、石材、壁材、屋根材、天井材)、金属板、皮革、各種ガラス板から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
【0051】
前記紙は、印刷に適していればよく、出版印刷用紙、包装印刷用紙、板紙印刷用紙などが挙げられる。出版印刷用紙としては、上質紙やグラビア紙などの非塗工紙、アート紙やコート紙、微塗工紙などの塗工紙が挙げられる。包装印刷用紙としては、純白ロール紙や晒クラフト紙などが挙げられる。また、板紙印刷用紙としては、塗工または非塗工の白ボール、塗工または非塗工のマニラボール、ポリエチレンを押し出したポリエチレンコート紙などが挙げられる。さらには、ポリエチレン系やポリプロピレン系などの合成紙であってもよい。
【0052】
前記プラスチックフィルムまたはシートは、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンとポリプロピレンの混合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、硝化綿樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビリニデン樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。さらに、基材は、熱可塑性樹脂などをドライラミネート、ノンソルベントラミネート、押出ラミネートや共押出ラミネートなどによる方法、接着剤などを介して貼り合せる方法などにより積層したものであってもよく、また、これらを適宜組み合わせたものであってもよい。より詳しくは、熱可塑性樹脂を含む接着剤によりドライラミネート、ノンソルベントラミネート、ウェットラミネートまたは熱ラミネートしたり、溶融した熱可塑性樹脂により押出ラミネートしたり、あるいは接着剤などを介して貼り合せたりすることで、基材上に直接熱可塑性樹脂を塗布する。
【0053】
前記熱可塑性樹脂は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンとポリプロピレンの混合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂などが挙げられ、これらのうち少なくとも1つを含むことが好ましい。また、基材と同種の樹脂でもよいし、異種の樹脂でもよい。
【0054】
前記織布または不織布は、編物、フェルトなども含む。
【0055】
基材の厚さは、印刷適性、巻き取り適性などに支障のない範囲内であれば、特に制限はないが、5〜300μmであることが好ましく、6〜250μmであることがより好ましい。織布や不織布、建材板、金属板、皮革、各種ガラス板では、1mm〜5mm程度であることが好ましい。
【0056】
本発明の印刷物は、別の基材と積層することができる。別の基材としては、あらかじめヒートシール層を付与した積層体やシーラントフィルムなどが挙げられる。
【0057】
本発明の印刷物の製造方法は、基材上に、前記印刷インキからなる膜厚が0.1〜10μmとなるように設けられた抗菌層を形成する活性エネルギー線硬化オフセット印刷工程からなることが好ましく、0.5〜5μmとなるように設けることがより好ましく、1〜3μmとなるように設けることがさらに好ましい。
【0058】
本発明の印刷物の製造方法に用いられる基材としては、オフセット印刷に使用できるものであればよく、出版印刷用紙、包装印刷用紙、板紙印刷用紙などが挙げられる。出版印刷用紙としては、上質紙やグラビア紙などの非塗工紙、アート紙やコート紙、微塗工紙などの塗工紙が挙げられる。包装印刷用紙としては、純白ロール紙や晒クラフト紙などが挙げられる。また、板紙印刷用紙としては、塗工または非塗工の白ボール、塗工または非塗工のマニラボール、ポリエチレンを押し出したポリエチレンコート紙などが挙げられる。さらには、ポリエチレン系やポリプロピレン系などの合成紙であってもよい。
【0059】
また、本発明の印刷物の製造方法は、基材上に、前記印刷インキからなる膜厚が0.1〜10μmとなるように設けられた抗菌層を形成するグラビア印刷工程またはフレキソ印刷工程のどちらか一方の印刷工程からなることが好ましく、0.5〜5μmとなるように設けることがより好ましく、1〜3μmとなるように設けることがさらに好ましい。また多色グラビア印刷機を用いたグラビア印刷工程または多色フレキソ印刷機を用いたフレキソ印刷工程であることがさらに好ましい。多色グラビア印刷機を用いたグラビア印刷工程または多色フレキソ印刷機を用いたフレキソ印刷工程となるため、インラインで、連続して基材に抗菌層、ヒートシール層などを形成でき、一連の流れのなか(1パス)で印刷物を低コストで容易に作製することができる。さらに、全面に抗菌層を形成することもできるが、容易に部分的に抗菌層を形成することもでき、低コスト化も実現できることに加え、例えば数種類の内容物が混在する弁当容器や惣菜容器などにおいては、品質保持期間や保存期間に長短がある内容物に対して、抗菌層の形成によって、品質保持期間や保存期間のコントロールが可能となる。もちろん、グラビア印刷機またはフレキソ印刷機の仕様や印刷環境、設備などの制約でインラインで、連続して形成できない場合もあるが、この場合オフライン(アウトライン)での形成も可能である。また、前記抗菌層は、基材の両面に設けてもよい。
【0060】
本発明の印刷物の製造方法に用いられる基材としては、グラビア印刷またはフレキソ印刷に使用できるものであればよく、紙、プラスチックフィルムまたはシート、各種織布または不織布、建材板、金属板、皮革、各種ガラス板などが挙げられる。また、当該印刷物と別の基材とを積層してもよい。別の基材としては、あらかじめヒートシール層を付与した積層体やシーラントフィルムなどが挙げられる。これら別の基材とを、接着剤やホットメルト剤などを用いて、積層することができる。
【0061】
本発明の印刷物は、包装用、食品保存用、農業用、土木用、漁業用、自動車内外装用、船舶用、日用品用、建材内外装用、住設機器用、医療・医療機器用、医薬用、家電品用、家具類用、文具類・事務用品用、出版用、衣料用、販売促進用、商業用、電機電子産業用などに使用できる。
【0062】
なかでも、包装用として、印刷物を用いて形成されたさまざまな形態の包装材料として好ましく使用できる。包装材料の形態としては、二方シール、三方シール、四方シール、ピローシール、スタンディングパウチ、封筒貼り、ガゼット、溶断シール、チューブ、キャラメル包装、オーバーホールド、フィンシール、まんじゅう包装、ひねり、ロケット、三角パック、ゲーブルトップ、ブリック、シボリ、カップ、トレイ、ボトル、ブリック、コンテナ、ボックス、ケース、番重、カバー、蓋、キャップ、蓋材、包装紙、紙袋、紙容器、紙箱など包装用途に用いられる周知の形態のいずれでもよい。
【0063】
前記包装材料の形態のうち、二方シール、三方シール、四方シール、ピローシールなどの袋状体や蓋材となる形態のものは、ヒートシール層を備える積層体を用いて形成されることが好ましい。シールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シールなどの公知の方法で行うことができる。
【0064】
前記蓋材は、有底筒状の容器と密着することにより密閉容器を形成することが好ましい。容器との密着は、人の手を介して実施してもよいが、自動密封装置などの機械を用いてもよい。これらは、食品の種類、形態や大きさ、数量、密閉する容器、設備、環境などによって、適宜選択すればよく、ヒートシール(熱圧シール)、面シール、粘着剤などでの貼り付けあるいは接着などを使用した方法により行えばよい。
【0065】
前記包装材料の形態のうち、カップ、トレイ、ボトル、ブリック、コンテナ、ボックス、ケース、番重、カバー、蓋、キャップなどの形態の容器は、周知の容器成形工程により成形できる。
【0066】
本発明の印刷インキは、樹脂、抗菌剤、色材、各種添加剤などを溶媒または反応性希釈剤中に均一に溶解または分散することにより公知の方法で製造できる。
活性エネルギー線硬化型印刷インキである場合、例えば、常温から100℃の間で、樹脂、光重合開始剤、光沢向上剤、エチレン性不飽和化合物、顔料、体質顔料、重合禁止剤、アミン化合物などの増感剤、その他添加剤などを、ニーダー、三本ロール、アトライター、サンドミル、ゲートミキサーなどの練肉、混合、調整機を用いて製造される。
グラビア印刷インキやフレキソ印刷インキである場合、溶解または分散は、ディゾルバー、ロールミル、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、アトライター、ペイントシェーカー、アジテータ、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、パールミル、超音波ホモジナイザー、湿式ジェットミル、ニーダー、ホモミキサーなどの各種撹拌機または分散機を使用できる。これらの装置は一種類または二種類以上組み合せて使用してもよい。
該印刷インキ中に気泡や粗大粒子が含まれる場合、印刷適性や印刷物品質を低下させるため、公知のろ過機や遠心分離機などを用いて、取り除くことが好ましい。
【0067】
前記活性エネルギー線硬化型印刷インキとしては、粘度が25℃において、10Pa・s以上50Pa・s以下であるとインキとして好ましく使用できる。粘度は、L型粘度計によりJIS K5701−1:2000に準拠して計測した数値である。10Pa・sより低い粘度では、粘度が低すぎて、顔料が沈降しやすい傾向になり、50Pa・sを超える粘度では良好に印刷ができないおそれがある。
前記グラビア印刷インキとしては、粘度は、印刷に支障のない範囲であれば、特に制限はない。グラビア印刷インキやフレキソ印刷インキの製造適性、取扱いなどを考慮すれば、25℃において10〜1,000mPa・sであることが好ましい。10mPa・sより小さいと、粘度が低すぎて、顔料が沈降しやすい傾向になり、1,000mPa・sより大きいと、流動性が悪く、インキ製造時に支障が出たり、容器への充填が困難となる。この場合、ブルックフィールド型粘度計やコーンプレート型粘度計などの市販の粘度計を用いて測定することができる。
【0068】
本発明における活性エネルギー線とは、硬化反応の出発物質が基底状態から遷移状態に励起するのに必要なエネルギーのことを表し、紫外線や電子線を指す。
【0069】
活性エネルギー線硬化型印刷インキの光硬化方法には、一般的に有電極高圧水銀ランプ、有電極メタルハライドランプ、無電極高圧水銀ランプ、無電極メタルハライドランプ、オゾンレスメタルハライドランプ、キセノンランプ、LED−UVランプ、低消費電力紫外線蛍光ランプのような紫外線を発光する光源を用いる。特に、低エネルギー照射であるLED−UVランプも好適に使用することができる。
【0070】
前記グラビア印刷インキは、そのまま印刷することもできるが、印刷条件、印刷効果に応じ、ザーンカップ#3((株)離合社製)にて、希釈溶剤で希釈することにより所望の粘度に調整して使用できる。この場合の粘度は、25℃において10〜40秒であることが好ましい。
【0071】
前記希釈溶剤は、前記各組成物の粘度を調整して使用できるものであれば、いずれでもよく、有機溶剤、水などが挙げられ、市販のものも使用できる。市販品としては、WA735、TA52、PU515、SL9155、CN104、AC372、PP575、PA463(以上、いずれも東京インキ(株)製)などが挙げられる。
【実施例】
【0072】
以下に実施例および比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の部は重量部を、%は質量%を表す。
【0073】
<活性エネルギー線硬化型ワニスの作製>
ジアリル(オルソ)フタレート樹脂(ダイソーダップA、ダイソー(株)製)を24部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを51部、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート25部を配合し、ワニス1を得た。
【0074】
ジアリル(イソ)フタレート樹脂(ダイソーイソダップ、ダイソー(株)製)を24部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを51部、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートを25部を配合し、ワニス2を得た。
【0075】
<活性エネルギー線硬化型インキの作製>
(実施例1)
ワニス1を23部、ワニス2を25部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを10部、トリメチロールプロパン3EO変性トリアクリレートを2部、炭酸カルシウム(白艶華O、白石カルシウム(株)製)を10部、ワックスコンパンド(パラフィンワックス、固形分25%)を3部、重合禁止剤(Q1301 富士フイルム和光純薬(株)製)0.1部添加、混合し、活性エネルギー線硬化型ニスベースを作製し、さらに抗菌剤(スカロープレミアムR、平均粒子径4μm、pH12.8、WM(株)製)を10部、Omnirad379(IGM Resins B.V.社製)を6部、Omnirad EMK(IGM Resins B.V.社製)を4部、トリメチロールプロパン3EO変性トリアクリレートを6.9部添加し、撹拌して、UVニス1を作製した。
【0076】
(実施例2〜4および実施例17〜18、比較例1および比較例4)
表1の配合にて、抗菌剤の含有量を変更して、実施例1と同様にして、UVニス2〜8を作製した。
【0077】
【表1】
【0078】
[グラビアインキの作製]
(実施例5)
シェラックニス(固形分32%エタノール溶液)91部に、抗菌剤(スカロープレミアム、平均粒子径3.6μm、WM(株)製)を5部、ポリエチレンワックス(固形分25%、軟化点132℃)を4部添加し、撹拌して、ニス1を作製した。
【0079】
(実施例6)
シェラックニス(固形分32%エタノール溶液)93.5部に、抗菌剤(スカロープレミアム、平均粒子径3.6μm、WM(株)製)を2.5部、ポリエチレンワックス(固形分25%、軟化点132℃)を4部添加し、撹拌して、ニス2を作製した。
【0080】
(実施例7)
ウレタンニス(ウレタン樹脂固形分30%、東京インキ(株)製)91部に、抗菌剤(スカロープレミアム、平均粒子径3.6μm、WM(株)製)を5部、ポリエチレンワックス(固形分25%、軟化点132℃)を4部添加し、撹拌して、ニス3を作製した。
【0081】
(実施例8)
アクリルニスSY(アクリル樹脂固形分30%、東京インキ(株)製)91部に、抗菌剤(スカロープレミアム、平均粒子径3.6μm、WM(株)製)を5部、ポリエチレンワックス(固形分25%、軟化点132℃)を4部添加し、撹拌して、ニス4を作製した。
【0082】
(実施例9)
アクリルニスLG(アクリル樹脂固形分30%、東京インキ(株)製)91部に、抗菌剤(スカロープレミアム、平均粒子径3.6μm、WM(株)製)を5部、ポリエチレンワックス(固形分25%、軟化点132℃)を4部添加し、撹拌して、ニス5を作製した。
【0083】
(実施例10)
塩化ビニリデンニス(塩化ビニリデン樹脂固形分30%、東京インキ(株)製)91部に、抗菌剤(スカロープレミアム、平均粒子径3.6μm、WM(株)(製))を5部、ポリエチレンワックス(固形分25%、軟化点132℃)を4部添加し、撹拌して、ニス6を作製した。
【0084】
(実施例11〜14)
表2の配合にて、抗菌剤の配合量を変更して、実施例5と同様にして、ニス7〜10を作製した。
【0085】
(実施例15〜16)
表2の配合にて、抗菌剤スカロープレミアムをスカロープレミアムR(平均粒子径4μm、pH12.8、WM(株)製)に変更して、実施例5と同様にして、ニス11〜12を作製した。
【0086】
(比較例2)
シェラックニス(固形分32%エタノール溶液)96部に、ポリエチレンワックス(固形分25%、軟化点132℃)を4部添加し、撹拌して、ニス13を作製した。
【0087】
(比較例3)
アクリルニスLG(アクリル樹脂固形分30%、東京インキ(株)製)81部に、抗菌剤(スカロープレミアム、平均粒子径3.6μm、WM(株)製)を15部、ポリエチレンワックス(固形分25%、軟化点132℃)を4部、添加し、撹拌して、ニス14を作製した。
【0088】
【表2】
【0089】
<インキ安定性>
活性エネルギー線硬化型印刷インキである場合、調製した直後のL型粘度計(25℃)による粘度値と、調製1週間後の粘度値の変化の有無により判断した。調製直後の粘度値と1週間後の粘度値の変化率が小さいほど、インキ安定性が良好と判断した。変化率について、〇:5%未満、×:5%以上、の2段階で評価した。
グラビア印刷インキである場合、インキ製造1週間後のインキの状態を目視にて観察し、評価した。インキの状態の変化のないものが、インキ安定性が良好と判断した。状態の変化について、○:製造直後と変化がない、△:わずかに増粘またはゲル化がみられる(実用上問題ない)、×:増粘またはゲル化がみられる、××:インキ製造できない、の4段階で評価した。
なお、<インキ安定性>の評価で、「×」のものについては、後述の評価を行なわなかった。
【0090】
[活性エネルギー線硬化印刷物の作製]
LED−UV照射装置を搭載したオフセット印刷機を用いて、OKトップコート+(王子製紙(株)製)に、UVニス1を約1μmの厚みで全面印刷し、活性エネルギー線硬化印刷物1を作製した。同様に、UVニス2〜7を用いて、活性エネルギー線硬化印刷物2〜7を作製した。
【0091】
[グラビア印刷物の作製]
グラビア印刷機を用いて、OKトップコート+(王子製紙(株)製)に、ニス1を印刷し、乾燥後膜厚1μmのグラビア印刷物1を作成した。同様に、ニス2〜13を用いて、グラビア印刷物2〜13を作製した。
【0092】
活性エネルギー線硬化印刷物1〜7およびグラビア印刷物1〜13について、抗菌性および耐摩擦性を評価し、表3および表4に示した。
【0093】
<抗菌性>
各印刷物について、表面pHを測定し、抗菌性を評価した。
印刷物の表面に、ピペットで蒸留水を0.5ml滴下し、直後にpH・水質分析計(LAQUA F74T、フラットISFET pH電極使用、(株)堀場製作所製)により、蒸留水滴下部の表面pHを計測した。計測は、同じ印刷物について異なる3箇所で実施し、その平均値を求めた。表面pHが10以上のとき、抗菌機能があると判断でき、〇:pH10以上、×:pH10未満、の2段階で評価した。
【0094】
<耐摩擦性>
印刷物の表面を学振型耐摩擦性試験機にて白紙で擦り、色落ちの程度を目視にて評価した。色落ちが少ないものほど、耐摩擦性が優れる。色落ちの程度について、○:少ないもの、△:やや多いもの(実用上問題ない程度)、×:多いもの(実用できない)、の3段階で評価した。
【0095】
【表3】
【0096】
【表4】
【0097】
表3〜表4によると、本発明の印刷物は印刷インキからなる抗菌層が抗菌機能を発揮し、また耐摩擦性が優れることが明確である。
抗菌剤を所定量以上含まない印刷インキからなる抗菌層を有する印刷物(比較例1および2)は、抗菌機能が発現しないことが明確である。