【文献】
渡邊耀介,高野一平,田村昌也,散乱体を有する遮蔽空間における空洞共振器理論を用いた無線電力伝送の基礎検討,電子情報通信学会技術研究報告,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2016年02月05日,Vol.115 No.446,pp.17-20
【文献】
高野一平,古巣大吾,渡邊耀介,田村昌也,閉鎖空間内におけるキャビティ共振を用いた無線電力伝送方法に関する研究,電子情報通信学会技術研究報告,Vol.116 No.452,日本,電子情報通信学会,2017年02月10日,pp.27-30
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記構造体を包囲する電磁波反射部材は、一部の領域または全体に貫通孔を有するものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の無線電力伝送システム。
前記構造体の内部に金属体および/または絶縁体からなる障害物が設置される場合における前記共振周波数は、前記障害物をリアクタンス素子とみなして算出される共振周波数に設定されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の無線電力伝送システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような従来の無線電力伝送システムでは、受電部によってそれぞれインピーダンスが異なるため、送受電間の整合が確保できる整合回路を受電部の数だけ設計して搭載しなければならず、受電部の設置制限が問題となっていた。
【0010】
すなわち、従来の無線給電システムでは、金属体や絶縁体などの障害物を有する見通しの悪い場所、あるいは見通しが良くても金属体や絶縁体などの障害物に隣接する場所など受電部を設置する場所によって送受電間の整合条件が変わるため、個別に設計した整合回路を搭載しなければならない。配管やエンジンルーム、工場内部などに設置されたセンサ等の端末は非常に多くの数が配置されるため、予め設置する場所にセンサ等を配置してセンサごとに送受電間のインピーダンスを測定し、個別整合した整合回路を搭載することになるため、インピーダンス測定が難しい場所などに設置することは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、受電端末ではなく電磁波反射材にインピーダンスを可変できるプローブ(以下、インピーダンス可変プローブという。)を備えることを特徴とする。該プローブにLC回路を接続すれば、LCの素子値を変えることでプローブの電気長を可変できる。結果、プローブ長に応じて電磁波反射材によって全体が包囲された構造体のインピーダンスが変わり、送受電間の整合を取ることができる。
【0012】
本発明に係る第一の無線電力伝送システムは、少なくとも1つ以上の受電部を備え、電磁波反射部材によって全体が包囲された構造体と、該構造体の内部に設置された少なくとも1つの送電部を備え、前記送電部は、前記設備本体を導波路共振器と想定する場合における共振周波数による電磁波を送電するものであって、前記構造体壁面および/または構造体内部にリアクタンス素子と接続されたインピーダンス可変プローブを少なくとも1つ以上備えていることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る第二の無線電力伝送システムは、前記本発明に係る第一の無線電力伝送システムであって、前記リアクタンス素子は、リアクタンス値を可変できる機能を兼ね備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る第三の無線電力伝送システムは、前記本発明に係る第一または第二の無線電力伝送システムであって、前記構造体は、一部が他と異なる種類の電磁波反射部材が使用されていることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る第四の無線電力伝送システムは、前記本発明に係る第一ないし第三のいずれかの無線電力伝送システムであって、前記構造体を包囲する電磁波反射部材は、一部の領域または全体に貫通孔を有するものであることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る第五の無線電力伝送システムは、前記本発明に係る第四の無線電力伝送システムであって、前記貫通孔は、前記電磁波反射部材の一部または全部が、適宜な比透磁率を有する材料を周期的に形成することによって設けられるものであることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る第六の無線電力伝送システムは、前記本発明に係る第一ないし第五のいずれかの無線電力伝送システムであって、前記構造体の内部に金属体および/または絶縁体からなる障害物が設置される場合における前記共振周波数は、前記障害物をリアクタンス素子とみなして算出される共振周波数に設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る無線電力伝送システムの電気的構成により、送受電間のインピーダンス整合を確保するための整合回路を受電部の設置場所に応じて設計せずとも、送受電器間のインピーダンス整合を確保することができるため、設置場所に関わらずどの場所でも必要な受電電力を確保することができる。その結果として、受電部の設置場所に応じて個別に整合回路を設計する必要なくセンサ等に必要な電力の供給が実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る無線電力伝送システムについて、
図1を用いて説明する。
図1は本発明に係る無線電力伝送システムの構成図である。
図1において、無線電力伝送システム1は内部に少なくとも1つ以上の送電器2と、少なくとも1つ以上の受電器3と、電磁波を反射する材料である電磁波反射板4で全面が囲われた構造体5からなる。すなわち、前記無線電力伝送システム1は無線給電を実施する構造物全体を指している。このような前記構造体の壁面および/または構造体内部にリアクタンス素子6と接続されたインピーダンス可変プローブ7を少なくとも1つ以上備えている。
【0021】
前記電磁波反射板4は例えば、銅や鉄などの金属や高い比透磁率を有する導電性材料、それらからなるメッシュや網が挙げられる。
また、前記リアクタンス素子6は、例えば、金属をコイル状に巻いたインダクタやチップインダクタ、磁性体を機械的に変位させて誘導値を可変できる可変インダクタからなる誘導性素子、あるいは誘電体を金属で挟んだキャパシタやチップキャパシタ、電圧で容量値を可変できるバラクタダイオードからなる容量性素子のいずれか、あるいは両方で構成される。前記インピーダンス可変プローブ7は、金属棒やヘリカル状に巻いたモノポール形状や、あるいはコイル状に巻いたループ形状などで構成される。
【0022】
続いて、本構成を具体的に説明する。前記無線電力伝送システム1は前記構造体5で遮蔽された空間を有するため、導波管共振器として考えることができる。したがって、前記無線電力伝送システム1においてx軸方向の辺の長さaとy軸方向の辺の長さbとz軸方向の辺の長さcから求まる共振周波数fr1
m,n,pを送電周波数に設定することで、
【0023】
【数1】
前記構造体5内全体に電磁界を分布させることができる。ここで、vは光速、μrは比透磁率、εrは比誘電率、m、n、pはそれぞれ整数を示している。
【0024】
最も低い周波数を示す共振周波数を基底共振周波数と呼ぶ。例えば、
図1に示すように前記無線電力伝送システム1が直方体で表現され、前記送電器2を前記構造体5のxy面の中央からz軸方向に配置した場合、m=1、n=1、p=0となるTE110モードが基底共振周波数を示す。送電周波数を基底共振周波数に設定すると前記無線電力伝送システム1内全体に電磁界定在波が生じる。
【0025】
電界定在波の振幅が密な場所では磁界定在波の振幅が疎となり、電界定在波の振幅が疎の場所では磁界定在波の振幅は密となる。したがって、前記受電器3は電界定在波の振幅が密の場所では電界から、磁界定在波の振幅が密の場所では磁界から受電できる。また、電界定在波と磁界定在波の両方が存在する場所では両方の界から受電できる。
【0026】
このとき、前記無線電力伝送システム1は
図2で示すように前記送電器2と前記構造体5と前記受電器3の縦続接続で表される。前記構造体5の散乱行列をS11、S12、S21、S22とした場合、
図2に示す1−1’から受電器側を見た反射係数S11’と、送電器の反射係数Γ1が、
図2に示す2−2’から送電側を見た反射係数S22’と受電側の反射係数Γ2がそれぞれ共役整合条件、すなわち、
送電器側の反射係数Γ1の複素共役Γ1
*
【0027】
【数2】
受電器側の反射係数Γ2の複素共役Γ2
*
【0028】
【数3】
を満たすとき、インピーダンスの整合を確保できる。つまり、前記構造体5の散乱行列を変えることで送受電間の共役整合、すなわち、インピーダンス整合を確保できる。
【0029】
前記構造体5の散乱行列は、基準のインピーダンスをZ0、例えば送電側のインピーダンスをZ0とすると、前記構造体5のインピーダンス行列(Z11、Z12、Z21、Z22)を用いることで
【数4】
と求めることができる。
【0030】
前記構造体5のインピーダンス行列は前記構造体5の内部に生じる電磁界定在波によって求められる。したがって、前記構造体5に設けた前記リアクタンス素子6と前記インピーダンス可変プローブ7によって前記構造体5の内部生じる電磁界定在波の分布を変えることで前記構造体5の散乱行列を変えることができる。
【0031】
つまり、電界定在波の振幅が密な場所では電界を反射させることで、磁界定在波の振幅が密の場所では磁界を反射させることで前記構造体5の内部に生じる電磁界定在波の分布を変えることができる。
【0032】
例えば、前記インピーダンス可変プローブ7を金属棒からなるモノポール形状の反射材で送電周波数の1/4波長よりも短い場合、前記リアクタンス素子6を可変インダクタで構成すると、可変インダクタの値を大きくするにつれ、前記インピーダンス可変プローブ7の電気長は長くできる。電気的に長さが伸びた前記インピーダンス可変プローブ7が、前記構造体5の内部に生じる電界定在波の振幅が最大となる領域に届くと、電界定在波が前記インピーダンス可変プローブ7によって反射されるため、電磁界定在波の分布が変化する。結果、前記構造体5の散乱行列が変化する。
【0033】
例えば、前記インピーダンス可変プローブ7を金属棒からなるモノポール形状の反射材で送電周波数の1/4波長よりも長い場合、前記リアクタンス素子6を可変キャパシタで構成すると、可変キャパシタの値を大きくするにつれ、前記インピーダンス可変プローブ7の電気長は短くできる。電気的に長さが短くなった前記インピーダンス可変プローブ7が、前記構造体5の内部に生じる電界定在波の振幅が最大となる領域から最小となる領域に届くと、前記インピーダンス可変プローブ7によって反射されていた電界定在波が前記インピーダンス可変プローブ7の影響を受け無くなるため、電磁界定在波の分布が変化する。結果、前記構造体5の散乱行列が変化する。結果、前記受電器3に整合回路を接続することなく、送受電間のインピーダンス整合を確保できる。
【0034】
前記無線電力伝送システム1の内部に少なくとも一面が前記電磁波反射板4と接続された金属体8が、少なくとも1つ以上存在する無線電力伝送システム9を考える。例えば
図3に示すように前記無線電力伝送システム9の内部に配置された前記送電器1を前記構造体5のxy面の中央からz軸方向に配置した場合、前記金属体8が電界定在波が集中する位置に配置されているならば電界エネルギーが蓄えられるため容量性、前記金属体8が磁界定在波が集中する位置に配置されているならば磁気エネルギーが蓄えられるため誘導性を示す。すなわち、前記金属体8はリアクタンス素子として動作する。その結果、前記無線電力伝送システム9の共振周波数fr2
m,n,pは、前記無線電力伝送システム1の共振周波数fr1
m,n,pよりも低周波となる。したがって、前記無線電力伝送システム9においては共振周波数fr2
m,n,pを送電周波数に設定することで前記無線電力伝送システム9内全体に電磁界を分布させることができる。
【0035】
前記無線電力伝送システム9において、送電周波数を共振周波数fr2
m,n,pに設定した場合、前記無線電力伝送システム1において送電周波数を共振周波数fr1
m,n,pに設定した場合と同様に、前記無線電力伝送システム9内に生じる定在波は電界定在波が密な場所では磁界定在波が疎となり、電界定在波が疎の場所では磁界定在波は密となる。したがって、前記受電器3を電界定在波の振幅が密の場所では電界から、磁界定在波の振幅が密の場所では磁界から電力を抽出することができる。また、電界定在波と磁界定在波の両方が存在する場所では両方の界から電力を抽出することができる。
【0036】
このとき、前記無線電力伝送システム9は前記無線電力伝送システム1と同様に
図2で示すように前記送電器2と前記構造体5と前記受電器3の縦続接続で表される。前記構造体5の散乱行列をS11、S12、S21、S22とした場合、1−1’から受電器側を見た反射係数S11’と、送電器の反射係数Γ1が、2−2’から送電側を見た反射係数S22’と受電側の反射係数Γ2がそれぞれ共役整合条件、すなわち、[数2]、[数3]で求められる送電器側の反射係数Γ1の複素共役Γ1
*および、受電器側の反射係数Γ2の複素共役Γ2
*を満たすとき、インピーダンスの整合を確保できる。つまり、前記構造体5の散乱行列を変えることで送受電間の共役整合、すなわち、インピーダンス整合を確保できる。
【0037】
前記構造体5の散乱行列は、前記構造体5のインピーダンス行列から求められることができる。前記構造体5のインピーダンス行列は前記構造体5の内部生じる電磁界定在波によって求められる。したがって、前記構造体5に設けた前記リアクタンス素子6と前記インピーダンス可変プローブ7によって前記構造体5の内部生じる電磁界定在波の分布を変えることで前記構造体5の散乱行列を変えることができる。結果、前記無線電力伝送システム9においても、前記受電器3に整合回路を接続することなく、送受電間のインピーダンス整合を確保できる。
【0038】
このような構成により、無線電力伝送システムのインピーダンスを可変することができるため、受電場所に応じて設計した整合回路を接続することなく効率よく受電電力を抽出することができ、その結果として、無線電力伝送効率の高効率化が実現できる。これにより、受電器3に接続された、例えば、温度センサや照度センサ、湿度センサなどを有するセンサモジュールといった電子機器を駆動させることができる。
【0039】
さらに、前記無線電力伝送システム1の内部に絶縁体が、少なくとも1つ以上存在する無線電力伝送システムを考える。すなわち、前記無線電力伝送システム9の前記金属体8を前記絶縁体に置き換えた場合である。例えば、前記無線電力伝送システム9と同様に前記無線電力伝送システムの内部に配置された前記送電器2を前記構造体5のxy面の中央からz軸方向に配置した場合、前記絶縁体が電界定在波が集中する位置に配置されているならば前記絶縁体の誘電性からキャパシタとみなすことができる。一方、前記絶縁体が磁界定在波が集中する位置に配置されているならば前記絶縁体の磁性からインダクタとみなすことができる。すなわち、前記絶縁体はリアクタンス素子として動作する。その結果、前記無線電力伝送システムの共振周波数fr3
m,n,pは、前記無線電力伝送システム1の共振周波数fr1
m,n,pよりも低周波となる。したがって、前記無線電力伝送システムにおいては共振周波数fr3
m,n,pを送電周波数に設定することで、前記無線電力伝送システム1と同様の効果を得ることができる。
【0040】
さらに、前記受電器3が複数個配置された場合を考える。このような場合も電界定在波の振幅が密の場所では電界から、磁界定在波の振幅が密の場所では磁界から、電界定在波と磁界定在波の両方が存在する場所では両方の界から電力を同時に抽出することができる。
【0041】
なお、複数個配置された前記受電器3から同時に電力を抽出する場合は、電力分配されるため前記受電器3の1個あたりの受電電力は低下するが、前記リアクタンス素子6の値および/または前記インピーダンス可変プローブ7の電気長を時間で可変することにより、ある時刻ではある受電器と前記送電器2のインピーダンス整合が確保され、またある時刻では別の受電器と前記送電器2のインピーダンス整合が確保される。すなわち、各受電器3が時分割に受電することで前記送電器2と前記受電器3を1対1とする状況を作り出すことができる。結果として、受電器1個あたりの受電電力を向上させることができる。
【0042】
なお、送電周波数を基底共振周波数に設定することで最も低い周波数で電力を伝送することができるため、整流回路の高効率化を実現できる。結果、無線電力伝送効率の向上が実現できる。
【0043】
なお、送電周波数を高次モード共振周波数に設定することで、電磁界定在波の疎密領域が増えるため、前記リアクタンス素子6および/または前記インピーダンス可変プローブ7を配置できる場所が増えるため、インピーダンス整合が容易となり、受電効率の高効率化を実現できる。結果、無線電力伝送効率の向上が実現できる。
【0044】
なお、前記電磁波反射板4は例えば、銅や鉄などの金属や高い比透磁率を有する導電性材料、それらからなるメッシュや網に置き換えた場合、電力供給する周波数においてのみ電磁波反射板として動作させることができる。そのため、送電する周波数とは別の周波数、例えば、情報通信を行う周波数はメッシュや網を通過するので、情報通信は前記無線電力伝送システム1外、あるいは前記無線電力伝送システム9外から制御することができる。例えば、前記無線電力伝送システム1内、あるいは前記無線電力伝送システム9内においてセンシングの指示やセンシングデータを前記無線電力伝送システム1外、あるいは前記無線電力伝送システム6外で送受信することができる。
【0045】
なお、前記電磁波反射板4は例えば、高い比透磁率を有する導電性材料、それら、あるいは銅や鉄などからなるメッシュや網に置き換えた場合、送電周波数において完全に金属で遮蔽した場合に比べて高いインピーダンス面として動作する。そのため、前記リアクタンス素子6および/または前記インピーダンス可変プローブ7によって可変できる前記構造体5のインピーダンス範囲を広範囲化できるので、インピーダンス整合が容易となり、受電効率の高効率化を実現できる。結果、無線電力伝送効率の向上が実現できる。
【0046】
なお、前記受電器3はダイポール形状やループ形状など差動による電位差で電力を取り出す形状に置き換えた場合、基準電位を前記受電器3自身で確保することができるため、前記構造体5に接続することなく電力を取り出すことができる。結果、任意の場所に受電器を配置することができる。
【実施例1】
【0047】
図4に示す前記電磁波反射板4をアルミニウムとし、前記送電器2と前記受電器3を銅製のモノポールプローブ、前記リアクタンス素子6を誘電体基板上に設けたリアクタンス回路、前記インピーダンス可変プローブ7を銅製のモノポールプローブ、前記金属体8をアルミニウムからなる障害物10、11、12、13からなる前記無線電力伝送システム9を考える。
【0048】
例えば、前記無線電力伝送システム9の内寸はx軸方向に470mm、y軸方向に473mm、z軸方向に800mmとする。前記無線電力伝送システム9の各面は導通接続されている。前記無線電力伝送システム9のうち前記送電器2は前記障害物13が配置されている面14と対抗する面15に配置する。前記受電器3が配置されている前記障害物10の面を面16とする。
【0049】
前記送受電器2、3は、例えば、
図5に示すようにパネルマウントタイプのSMAコネクタ17の中心導体18に銅線19をはんだづけしたものであり、例えば、ねじおよびナットにより前記面14および面15に固定することができる。前記インピーダンス可変プローブ7も同様に
図5に示すように前記SMAコネクタ17と前記銅線19で構成することができ、前記構造体5にねじおよびナットにより固定することができる。
【0050】
前記リアクタンス素子6は、例えば、比誘電率3.4の誘電体基板上に設けたマイクロストリップラインにチップインダクタおよび/またはチップキャパシタを実装し、スルーホールでGNDに接地した回路で実現できる。前記インピーダンス可変プローブ7とはSMAコネクタ等を介して接続され、回路上のGNDは前記構造体5にSMAコネクタのGNDを介して接続できる。
【0051】
例えば、前記送電器2はその中心と前記面15の中心が一致する位置に、前記受電器3はその中心と前記面16の中心が一致する位置にそれぞれ取り付ける。つまり、前記障害物10、12はx座標300mm、y座標400mmの大きさとし、厚みを2mmとする。前記散乱体10、12それぞれの四隅に配置された前記障害物11、13は高さがそれぞれ300mm、100mmとし、x軸方向およびy軸方向に25mmずつの長さ、2mmの幅をもつL字アングルとする。前記障害物10、11、12、13は前記面14と導通させるため、例えば鋼製のねじを用いて固定される。
【0052】
前記障害物10、11、12、13を含まない前記無線電力伝送システム1の基底共振周波数は、その内寸から計算式より、
【0053】
【数5】
と求められる。
【0054】
一方、前記障害物10、11、12、13を含んだ前記無線電力伝送システム9は前記無線電力伝送システム1に比べてリッジ効果により共振周波数は低周波化する場合がある。この共振周波数は電磁界シミュレーションなどを用いることで構造から容易に計算することができる。例えば、
図4に示す構造の基底共振周波数は450.3MHzとなる。よって、電力伝送に用いる周波数を450.3MHzに設定する。
【0055】
なお、インピーダンスの可変しやすさから電磁界定在波の疎密の数が多い高次モード共振を電力伝送に用いる周波数に設定してもよい。
このような構成において、例えば、電力伝送に用いる周波数を
図4の高次モードであるTE112モードに設定すると、587.7MHzとなる。このとき、前記送受電器2、3を構成する前記銅線18の長さをそれぞれ83mmにすることで、電力伝送効率は87.0%となる。
【0056】
ここで、例えば、前記銅線18の長さが83mmのモノポール形状の前記インピーダンス可変プローブ7を、前記面15のx軸に平行な2辺、y軸に平行な2辺の各中心から面14側に向けてz軸方向に長さ195mmにそれぞれ1本ずつ合計4本固定した場合、前記リアクタンス素子6のリアクタンス値をx軸に平行な2辺の設けた前記インピーダンス可変プローブ7に接続するリアクタンス素子6は139.7Ωとなるように、y軸に平行な2辺に設けた前記インピーダンス可変プローブ7に接続するリアクタンス素子6は435.8Ωとなるように設計することで、面16に設けた前記受電器3への電力伝送効率は87.6%まで改善される。正の値を示すリアクタンス値はインダクタで、負の値を示すリアクタンス値はキャパシタを使うことで実現できる。
【0057】
一方、例えば、
図6に示すように前記送電器2の見通し外となるように前記散乱体11が配置されている前記散乱体12の面20に前記受電器3を配置し、前記送電器2および前記受電器3を構成する前記銅線19の長さをそれぞれ83mmにする。このとき、電力伝送に用いる周波数を
図4の高次モードであるTE112モード、すなわち、587.7MHzとなる。電力伝送効率は83.4%となる。
【0058】
ここで、例えば、前記銅線18の長さが83mmのモノポール形状の前記インピーダンス可変プローブ7を、前記面15のx軸に平行な2辺、y軸に平行な2辺の各中心から面14側に向けてz軸方向に長さ200mmにそれぞれ1本ずつ合計4本固定した場合、前記リアクタンス素子6のリアクタンス値をx軸に平行な2辺の設けた前記インピーダンス可変プローブ7に接続するリアクタンス素子6は109.0Ωとなるように、y軸に平行な2辺に設けた前記インピーダンス可変プローブ7に接続するリアクタンス素子6は493.3Ωとなるように設計することで、前記面20に設けた前記受電器3への電力伝送効率は88.4%まで改善される。正の値を示すリアクタンス値はインダクタで、負の値を示すリアクタンス値はキャパシタを使うことで実現できる。
【0059】
これにより、受電器3に接続された、例えば、温度センサや照度センサ、湿度センサなどを有するセンサモジュールといった電子機器を駆動させることができる。
【0060】
なお、前記電磁波反射板4は金属板に限定されず、網目が電力伝送に使用する周波数の波長より十分短い銅や鉄などの金属や高い比透磁率を有する導電性材料など電磁波を反射する材料でも代用できる。これにより、軽量化や通気性の確保が可能であり、より広い用途に適用することができる。