(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,従来の照明演出は,イベントの運営者が予め準備した演出を会場内の観客が傍観するということが一般的であり,観客が照明演出に参加することはできず,インタラクティブ性に欠けるものであった。そこで,本発明は,インタラクティブ性を有する斬新な照明演出を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の発明者は,上記課題の解決手段について鋭意検討した結果,演出空間内に光の照射方向を可変自在の照明装置とその空間内における物体(例えば観客)を検出可能な物体検出装置を配置し,制御装置において物体の検出位置と光の照射方向が対応しているか否かを判定することにより,観客が照明演出に自由に参加できるようになるという知見を得た。そして,本発明者は,上記知見に基づけば上記の課題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。具体的に説明すると,本発明は以下の構成・工程を有する。
【0006】
本発明の第1の側面は,照明演出システムに関する。本発明に係るシステムは,照明装置,物体検出装置,及び制御装置を備える。照明装置は,光の照射方向を制御可能な照明装置である。照明装置は,制御装置の制御に従って光の照射方向や発光条件(発光色や点滅など)を変化させることができる。物体検出装置は,所定空間内における物体を検出する。物体の例は,所定の演出空間内に存在する観客やその所持物である。物体検出装置は,所定空間内における位置座標を特定するための情報を検出して,これを制御装置に提供する。制御装置は,物体検出装置が検出した物体の所定空間内における位置を求め,その物体の位置が照明装置による光の照射方向に対応しているか否かを判定する。具体的には,制御装置は,照明装置からの光の照射方向延長線上において,物体検出装置により観客の身体やその所持物が検出されたかどうかを判定する。光の照射方向延長線上に観客の身体が存在する場合には,観客がその光に触れていると判断することができる。そこで,観客が光に触れたときに照明条件や発光条件を変えたり効果音を出力したりすることで,観客を照明演出に参加させることができる。これにより,インタラクティブ性を有する斬新な照明演出を実現できる。
【0007】
本発明に係る照明演出システムにおいて,制御装置は,物体の位置が照明装置による光の照射方向に対応していると判定した場合に,所定のアクションを実行する制御情報を生成することが好ましい。所定のアクションは,例えば,照明装置の光の照射方向を変化させることや,照明装置の発光状態(発光色や点滅など)を変化させることを含むことが好ましい。例えば,照射方向と観客の位置が対応していると判定された照明装置について,その光の照射方向を変化させてその物体(観客)から離れる方向に移動させたり,あるいは光の照射方向をその物体(観客)にさらに近づける方向に移動させたりすることで,観客はその光に触れたことを実感することができる。また,所定のアクションには,その他に,スピーカーから効果音やGBMを出力させることや,スクリーンやモニタに映像を表示すること,水滴を噴出すること,スモッグを発生させることなど,特殊な聴覚効果や視覚効果(SFX)を施すことが含まれる。さらに,所定のアクションとして,自動ドアの開閉を行ったり,空調機器によって室温を変化させたり,別の照明装置のスイッチをオンにするなどの,実用的な様々な用途も考えられる。所定アクションの種類は,光の演出内容によって適宜変更することができ,本願明細書に挙げたものに限定されない。
【0008】
本発明に係る照明演出システムにおいて,制御装置は,物体検出装置が検出した物体の所定空間内における位置に応じてアクションを変化させる(すなわちアクションを実行するための制御情報を変化させる)こととしてもよい。観客が照明装置の光に触れた位置を検出し,その検出位置に応じてアクションの内容を変化させることで,より臨場感のある光演出を行うことができる。例えば,観客が光に触れる位置に応じて照射装置による光の照射方向を変化させたり,光の発光色を変化させたり,付近のスピーカーから出力される効果音を変化させたりすることができる。
【0009】
本発明に係る照明演出システムにおいて,物体検出装置は,平面方向に出射した検査光(赤外線光など)によって物体までの距離と方角を測定する平面検出装置であることが好ましい。平面検出装置の例は,レーザーレンジファインダーである。このような平面検出装置を利用することで,光の照射方向と物体の位置の対応関係を容易に判断できる。すなわち,制御装置における処理の負荷が軽減される。
【0010】
本発明に係る照明演出システムにおいて,物体検出装置(平面検出装置)は,検査光の射出方向が照明装置による光の照射方向と少なくとも一時的に平行になるように,所定空間内に配置されていることとしてもよい。例えば,照明装置を壁に設置する場合には,物体検出装置も同様に壁に設置して,検査光を水平方向に射出するように設定する。この場合,照明装置が光を水平に照射したときには,照明装置からの光と物体検出装置からの検査光とが平行になる。この場合には,照明装置と物体検出装置をほぼ同じ高レベルに設置しておくことで,観客が照明装置からの光に触れると同時に物体検出装置からの検査光にも触れることとなるため,検査光と観客の接触地点において観客が照明装置からの光に触れていると推測できる。
【0011】
本発明に係る照明演出システムにおいて,物体検出装置(平面検出装置)は,検査光の射出方向が照明装置による光の照射方向と少なくとも一時的に交差するように,所定空間内に配置されていることとしてもよい。例えば,照明装置を壁に設置する場合,物体検出装置は照明装置が設置された壁と対面する壁に設置して,検査光を垂直方向(壁面に沿った方向)に射出するように設定する。この場合に,物体検出装置が設置された壁面近傍において,照明装置からの光と物体検出装置からの検査光とが交差する。この場合には,物体検出装置が設置された壁面に照明装置からの光が投影されることになるため,観客がその壁面に写った光に触れると同時に物体検出装置からの検査光にも触れることとなるため,その接触地点において観客が照明装置からの光に触れていると推測できる。
【0012】
本発明の第2の側面は,コンピュータプログラムに関する。第2の側面に係るプログラムは,コンピュータを上記した第1の側面に係る照明演出システムにおける制御装置として機能させるためのものである。なお,このコンピュータプログラムは,CD−ROMなどの記録媒体に記録されていてもよい。
【0013】
本発明の第3の側面は,照明演出方法に関する。本発明に係る方法は,制御装置によって照明装置の光の照射方向を制御する工程と,物体検出装置によって所定空間内における物体を検出する工程と,制御装置により物体検出装置が検出した物体の前記所定空間内における位置を求め,物体の位置が照明装置による光の照射方向に対応しているか否かを判定する工程とを含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば,インタラクティブ性を有する斬新な照明演出を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜変更したものも含む。
【0017】
図1から
図4を参照して,本発明の第1の実施形態に係る照明演出システム(照明演出方法)について説明する。
図1は,照明演出システム100の構成の一例を示している。
図2は,制御装置による処理の流れを示したフロー図である。
図3は,照明演出を行う空間を立体的に示した斜視図であり,
図4は,その空間を平面的に示した側面図である。また,
図1から
図4に示されるように,本発明に係る照明演出システムは,制御装置10と,複数の照明装置20(例:ムービングライト)と,複数の物体検出装置30(例:レーザーレンジファインダー)と,複数のスピーカー40とを備える。制御装置10は,照明装置20,物体検出装置30,及びスピーカー40に対して有線又は無線で接続されており,システム全体の制御を行うコンピュータである。また,照明装置20,物体検出装置30,及びスピーカー40は,それぞれイベント会場などの照明演出を行う空間内に多数配置されることが想定されている。
【0018】
図1に示されるように,制御装置(コンピュータ)10は,制御演算部11,記憶部12,入出力部13,操作部14,及び表示部15を備える。記憶部12には,照明演出システムを制御するためのコンピュータプログラムや,コンテンツ情報(照明データや音響データなど)が格納されている。制御演算部11は,記憶部12からプログラムを読み出し,このプログラムに従って,入出力部13を介して物体検出装置30から入力された物体の検出情報や,操作部14を介して入力された操作情報などに基づいて所定の演算を行う。制御演算部11による演算結果(制御情報)や,記憶部12から読み出されたコンテンツ情報は,入出力部13を介して照明装置20やスピーカー40に伝達される。また,制御演算部11による演算結果は表示部15に表示することもできる。
【0019】
制御演算部11は,制御装置10を構成する機能部12〜15全体の制御を担う。制御演算部11は,CPUなどのプロセッサにより実現することができる。制御演算部11は,記憶部12に記憶されているプログラムに従って,照明演出方法を実現するための機能を発揮する。制御演算部11は,
図1に示されるように,照明方向制御部11a,物体位置算出部11b,タッチ判定部11c,発光条件制御部11d及び音響制御部11eを有している。これらの要素11a〜11eは,プログラムによって実行される機能ブロックである。これらの要素11a〜11dの詳細については,後述する。
【0020】
記憶部12は,制御演算部11による演算及び制御に用いられる情報を記憶するための要素である。具体的に説明すると,記憶部12は,照明演出方法を実現するためプログラムや,照明装置20の制御に利用する照明データ,スピーカー40から出力する音響データなどが記憶されている。照明データとしては,例えば,照明装置ライト20の照明方向や,発光色,発光輝度,ビーム幅,発光タイミングなどを規定したデータが挙げられる。音響データとしては,スピーカー40から放音する効果音やBGMのデータが挙げられる。また,記憶部12には,物体検出装置20,照明装置30,及びスピーカー40の各装置固有の識別情報(ID)とともに,照明演出に用いられる所定空間内における各装置の座標情報(X座標,Y座標,Z座標)が記憶されている。このため,制御装置10は,各装置20,30,40の空間内における位置をすべて把握していることとなる。このような記憶部12のストレージ機能は,例えばHDD及びSDDといった不揮発性メモリによって実現できる。また,記憶部12は,制御演算部11による演算処理の途中経過などを書き込む又は読み出すためのメモリとしての機能を有していてもよい。記憶部12のメモリ機能は,RAMやDRAMといった揮発性メモリにより実現できる。
【0021】
制御装置10の入出力部13は,照明装置20や,物体検出装置30,スピーカー40との間で情報の入出力を行うためのインターフェースである。制御装置10と各種装置20,30,40は,有線通信で接続されていてもよいし,無線通信で接続されていてもよい。無線通信の場合,制御装置10と各種装置20,30,40を,インターネット経由で相互に接続することもできるし,Bluetooth(登録商標)やWi−Fi(登録商標)といった公知の規格に準じて接続することも可能である。
【0022】
操作部14は,ユーザによる操作情報を制御装置10に入力するための要素である。操作部14は,例えば,キーボード,マウスポインタ,又はタッチパネルなどによって実現することができる。操作部14を介して入力された操作情報は,例えば,制御演算部11に伝達されて,照明装置20の制御に利用され得る。
【0023】
表示部15は,ユーザに提示する種々の情報を表示するための要素である。表示部15の例は,液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイである。表示部15は,操作部14(タッチパネル)とともにタッチパネルディスプレイを構成していてもよい。
【0024】
また,
図1は,照明装置20の機能構成の一例を示している。本発明においては,パン方向とチルト方向に回動可能な機構を持つ一般的な照明装置を使用することができる。照明装置20の例は,レーザービーム状の光を照射するムービングライトである。照明装置20は,制御装置10からの制御情報に従って,パン回転機構とチルト回転機構とを駆動させて,光の照射方向を定める。また,照明装置20は,制御装置10からの制御情報に従って,光の発光タイミングや,発光色,輝度,ビーム幅などの発光条件を調整する。なお,照明装置20の光の照射方向は,制御演算部11における照射方向制御部11aにより制御される。また,照射装置20の光の発光状態は,制御演算部11における発光制御部11dにより制御される。
【0025】
照明装置20は,コントローラ21,入力部22,パン駆動部23,チルト駆動部24,及び光照射部25を備える。なお,
図1に示した例では,コントローラ21が照明装置20本体と一体になっている場合を示しているが,コントローラ21は照明装置20本体と別体となっている場合もある。照明装置20のコントローラ21は,入力部22を介して制御装置10から制御情報を受信する。コントローラ21は,制御装置10からの制御情報に基づいて,パン駆動部23,チルト駆動部24,及び光照射部25を制御する。
【0026】
コントローラ21は,制御装置10からの制御情報に基づいて,照明装置20本体のパン駆動部23,チルト駆動部24,及び光照射部25を制御するための要素である。コントローラ21は,パン・チルト制御部21aと光制御部21bを有している。パン・チルト制御部21aは,制御装置10からの制御情報に基づいてパン駆動部23及びチルト駆動部24を制御し,光照射部25が光を照射するパン方向及びチルト方向を定めることができる。また,光制御部21bは,制御装置10の発光制御部11dからの制御情報に基づいて光照射部25を制御し,そこから照射される光の発光タイミングや,発光色,輝度,ビーム幅などを調整することができる。
【0027】
照明装置20の入力部22は,制御装置10から情報の受け取るためのインターフェースである。前述したとおり,制御装置10と照明装置20は,有線通信で接続されていてもよいし,無線通信で接続されていてもよい。
【0028】
パン駆動部23は,光照射部25をパン方向に回動させるための要素である。パン駆動部23は,例えば,壁や天井に固定されるボトムケースと,このボトムケースに対して回動するターンテーブルとを備える。ターンテーブルは,ボトムケースに対してパン回転軸においてパン方向に回動する機構を持つ。また,ターンテーブルの上に,チルト駆動部と光照射部が搭載される。また,ボトムケースの内部には,ターンテーブルをパン方向に回動させるためのモータなどが収容されている。その他,ボトムケースの内部には,コントローラ21や入力部22を収容することもできる。
【0029】
チルト駆動部24は,光照射部25をチルト方向に回動させるための要素である。チルト駆動部24は,例えば,支柱部とライトケースとで構成されており,支柱部はチルト回転軸においてライトケースをチルト方向に回動させる機構を持つ。支柱部は,ライトケースを支持するとともに,その内部にライトケースをチルト方向に回動させるためのモータなどが収容されている。また,ライトケースの内部には,光照射部25が収容されている。
【0030】
光照射部25は,光を照射するための要素である。光照射部25は,レーザービーム状の光を照射可能なものであることが好ましい。光照射部25は,LEDなどの光源,光源から発せられた光の強度を増幅するための増幅器,及び光のビーム幅を調整するためのレンズなどを備えている。また,光照射部25の光源は,赤,緑,及び青に発行する発光素子を備えており,各発光素子の発光強度を調整することで種々の色の光を照射することができる。なお,ここにいうレーザービーム状の光とは,光が直線状に直進する光であり,光が進行するにつれて徐々に光の幅が拡大するスポットライト状の光とは区別される。例えば,光照射部25は,15m離れた地点に対して直径30cm以下(好ましくは20cm以下)のビーム幅を持つ光を照射することができるものであることが好ましい。このようなビーム幅であっても,レーザービーム状の光ということができる。
【0031】
物体検出装置30は,演出空間内における物体を検出するための装置である。具体的には,物体検出装置30は,検出した物体の空間内における座標位置を特定するための情報を制御装置10に提供する。物体検出装置30の例は,平面検出装置である。平面検出装置は,平面方向に検査光を射出(すなわち面状に広げて射出)し,その検査光が物体表面で反射した光を受光することで,その物体までの距離と方角を測定する。平面検出装置としては,赤外線光を検査光として射出する公知のレーザーレンジファインダーを用いることができる。制御装置10にとって演出空間内における物体検出装置30の位置座標は既知であるため,その物体検出装置30から物体までの距離と方角を測定することで,制御装置10は,その物体検出装置30が検出した物体の演出空間内における位置座標(X座標,Y座標,Z座標)を特定することができる。なお,物体検出装置30としては,検査光を立体的に射出するものを用いることもできる。
【0032】
また,物体検出装置30は,平面方向に所定角度で広がるように検査光を射出するものであることが好ましい。一般的に,検査光は物体検出装置30を中心として扇状に広がるように射出される。検査光を射出する角度は,例えば30〜180度であることが好ましく,60〜180度であることが特に好ましい。
【0033】
スピーカー40は,制御装置10の制御に従って所定の音響効果を出力する。例えば,観客が照明装置20から照射された光に接触したときに,スピーカー40から所定の効果音などを出力することができる。また,スピーカー40の位置は制御装置10とって既知であるため,観客が照明装置20から照射された光に接触したときには,その観客から最も近い位置に配置されているスピーカー40から音が出力される。スピーカー40の制御は,制御演算部11における音響制御部11eにより行われる。すなわち,音響制御部11eはスピーカー40の制御情報を生成する。
【0034】
図3及び
図4は,演出空間における照明装置20,物体検出装置30,及びスピーカー40の配置の第1の実施形態を示している。
図3及び
図4に示した例では,複数の照明装置20,複数の物体検出装置30,及び複数のスピーカー40が,それぞれ演出空間を形成する壁面に設置されている。壁面は,床面に対して垂直に起立するものである。直交座標系XYZにおいて,床面をXY平面とした場合に,壁面はYZ平面となる。本願明細書では,この床面と平行な方向(X軸と平行な方向)を水平方向とし,床面に対して垂直な方向(Z軸と平行な方向)を垂直方向と称している。なお,壁面は必ずしも床面に対して垂直に起立するものである必要はなく,床面に対して傾斜していてもよい。
【0035】
壁面に設置された照明装置20は,チルト方向(上下方向)とパン方向(左右方向)に自由に光を照射することが可能である。本実施形態において,照明装置20は,
図4に示されるように,少なくとも水平方向に光を照射することが可能である。また,照明装置20は,
図4に示されるように,光の照射方向が水平である場合に,観客が手を上げてその光に触れることが出来る程度の高さに設置されていることが好ましい。照明装置20を設置する高さは,観客として子どもを想定しているか或いは大人を想定しているかによって異なるが,子どもを想定している場合には,例えば床面から100cm〜200cmの高さに設置すればよく,大人を想定している場合には,例えば床面から180cm〜250cmの高さに設置すればよい。また,照明装置20から照射された光はレーザービーム状であり,照明装置20の光の強度は,それが設置された壁面からそれに対面する壁面まで光が届く程度に調整されていることが好ましい。
【0036】
また,本実施形態では,物体検出装置30は,照明装置20とほぼ同じ高さに設置されている。
図3及び
図4に示した例では,物体検出装置30は照明装置20と同じ壁面に設置されている。ただし,物体検出装置30と照明装置20がほぼ同じ高さに位置するのであれば,物体検出装置30は照明装置20が設置された壁面に対面する壁面に設置することも可能である。なお,物体検出装置30と照明装置20との設置高さに多少のずれがあっても問題はない。物体検出装置30は,例えば照明装置20から高さ方向に0〜50cm以内の位置に設置されていることが好ましく,0〜20cm以内の位置に設置されていることが特に好ましい。
【0037】
さらに,本実施形態では,物体検出装置30としてレーザーレンジファインダー(平面検出装置)が用いられており,この物体検出装置30はその検査光が水平方向(XY面方向)に射出されるように壁面に設置されている。このため,
図4に示されるように,照明装置20が水平方向に光を照射している状態において,物体検出装置30からの検査光は照明装置20からの光とほぼ平行な状態となる。また,前述のとおり,物体検出装置30は照明装置20とほぼ同じ高さに設置されている。このため,
図4に示されるように,照明装置20が水平方向に光を照射している状態において,観客が手を伸ばして照明装置20からの光に触れようとすると,その観客の手は物体検出装置30からの検査光にも触れることとなる。このように,照明装置20の光とほぼ平行に照射されている物体検出装置30の検査光に観客の手が触れたときに,本発明では,観客の手が照明装置20の光に触れていると判定することとしている。
【0038】
続いて,
図2を参照して,制御装置10の制御演算部11の処理について具体的に説明する。
図2に示されるように,制御演算部11の照明方向制御部11aは,演出空間内に設置された複数の照明装置20の照射方向を制御する(ステップS1)。基本的に,照明方向制御部11aは,記憶部12内に記憶されているプログラムに従い,例えば会場内のBGM等に連動させて,各照明装置20の照射方向を制御すればよい。各照明装置20は,照明方向制御部11aの制御に従い,コントローラ21のパン・チルト制御部21aを介してパン駆動部23及びチルト駆動部24を駆動させることによって,光照射部25による光の照射方向を変化させることとなる。また,制御装置10の発光制御部11dは,照明方向制御部11aによる光の照射方向の制御とともに,照明装置20から発せられる光の発光色や発光輝度,ビーム幅,発光タイミングなどの発光状態を制御する。照明装置20のコントローラ21の光制御部21bは,発光制御部11dの制御に従って,光照射部25から発せられる光の発光状態を制御する。
【0039】
次に,制御演算部11の照明方向制御部11aは,各照明装置20のチルト角が所定の角度範囲内(θ
t)内に入ったか否かを判断する(ステップS2)。このチルト角の所定角度範囲(θ
t)は,物体検出装置30が物体を検出したときに後述する所定のアクション(ステップS5)を実行させることを許可する範囲である。すなわち,チルト角の所定角度範囲(θ
t)は,照明装置20から照射される光に観客が触れることができる範囲や,照明演出上,照明装置20から照射される光に観客が触れたときに所定のアクションを実行することを許可する範囲に設定される。例えば
図4に示した実施形態では,物体検出装置30が照明装置20とほぼ同じ高さでほぼ水平方向に向かって検出光を射出しており,照明装置20が光をほぼ水平に照射している状態にあるときに,観客がその光に触れることができるように設定されている。この場合に,チルト角の所定角度範囲(θ
t)は,水平に対して±1度〜±10度程度以内に設定しておけばよい。この所定角度範囲(θ
t)が大き過ぎると,照射装置20からの光と物体検出装置30からの検査光が大きく離れている状態であっても,物体検出装置30が物体を検出したときに照射装置20からの光にその物体が接触していると判断することになるため違和感が大きくなる可能性がある。制御演算部11は,照明装置20のチルト角がこの所定角度範囲(θ
t)内に入ったときに,物体検出装置30による物体の検出位置の座標の計算を開始するモードとなる(ステップS2)。他方で,照明装置20のチルト角がこの所定角度範囲(θ
t)外にあるときには,制御演算部11は,引き続き照明装置の照射方向の制御を行う(ステップS1)。
【0040】
ステップS3において,制御演算部11の物体位置算出部11bは,物体検出装置30が物体を検出したときに,その検知情報に基づいて,その物体の演出空間における位置座標を計算する。具体的に説明すると,演出空間における物体検出装置30の位置座標は,記憶部12に記憶された既知の情報であり,また物体検出装置30は,検査光に接触した物体(観客の身体や所持物)までの距離と方位を測定できる。そこで,物体位置算出部11bは,物体検出装置30の位置座標と,その物体検出装置30が検出した物体までの距離と方位に基づいて,その物体の位置座標を計算する。なお,
図4に示した実施形態において,物体検出装置30から射出される検出光の高さ方向の座標(Z座標)は固定されているため,物体位置算出部11bは,物体の平面座標(X座標,Y座標)のみを求めることとしてもよい。
【0041】
次に,制御演算部11のタッチ判定部11cは,照明装置20の現在の照射方向と物体検出装置30が検出した物体の位置とが一致しているか否かを判定する(ステップS4)。照明装置20の照射方向は,照明方向制御部11aの制御に従うものであるため,タッチ判定部11cはこの照明方向制御部11aの制御情報に基づいて,照明装置20の現在の照射方向を特定できる。また,物体の位置は,物体位置算出部11bが算出した位置座標に基づいて特定する。そして,タッチ判定部11cは,照明装置20の照射方向の延長線上に物体が存在しているか否かを判定すればよい。なお,
図4に示した実施形態においては,物体検出装置30から射出される検出光の高さ方向の座標(Z座標)は固定されているため,タッチ判定部11cは,物体の平面座標(X座標,Y座標)のみに基づいて,照明装置20の照射方向と物体の検出位置が一致するか否かを判定することとしてもよい。
【0042】
上記のようにして,照明装置20のチルト角が所定角度範囲(θ
t)内にあり,かつ,照明装置20の照射方向と物体検出装置30による物体の検出位置が一致すると判定された場合に,制御演算部11は,予めプログラムに規定された所定のアクションを実行するための制御情報を生成する(ステップS5)。所定のアクションの例としては,様々なものが考えられ,空間演出の内容に応じて適宜設定すればよい。
図4に示した一例では,上記の条件を満たした場合に,観客が照明装置20から照射された光に触れた推測する。この場合に,制御演算部11の照射方向制御部11aは,観客が光に触れたこと(すなわち物体検出装置30が観客の手を検出したこと)を契機として,その光を上昇させるように照明装置20の照射方向を制御するための制御情報を生成する。また,その際に,発光制御部11dは,照射装置20の光の発光状態(発光色や点滅の有無など)を変化させることとしてもよい。さらに,観客の手が物体検出装置30からの検査光に接触した位置に応じて,アクションの内容を変化させてもよい。このようにすれば,光に触れたことを観客に実感させることができる。また,観客は自分が光に触れたことでその光が上昇することとなるため,斬新な驚きを得るとともに,自身が光による空間演出に参加していることを体感することができる。また,制御演算部11の音響制御部11eは,観客が光に触れた位置(つまり物体検出装置30が観客の手を検出した位置)から最も近いスピーカー40から,所定の効果音を出力することとしてもよい。このようにすれば,観客は視覚だけでなく聴覚を通じてインタラクティブな光演出を体感することができる。
【0043】
続いて,
図5及び
図6を参照して,本発明の第2の実施形態に係る照明演出システム(照明演出方法)について説明する。
図5及び
図6は,演出空間における照明装置20,物体検出装置30,及びスピーカー40の配置の一例を示している。なお,第2の実施形態については,第1の実施形態と異なる点を中心に説明を行い,第1の実施形態と同じ構成については同じ符号を付することで説明を省略している。
【0044】
図5及び
図6に示した例では,複数の物体検出装置30及び複数のスピーカー40が第1の壁面W1に設置され,複数の照明装置20が第1の壁面W1に対向する第2の壁面W2に設置されている。
図6に示されるように,第2の壁面W2に設置された照明装置20は,チルト方向(上下方向)とパン方向(左右方向)に自由に光を照射することが可能である。本実施形態において,第2の壁面W2上の照明装置20から照射された光は,第1の壁面W1にまで延び,第1の壁面W1に投影される。照明装置20は,観客が手で触れることが出来る範囲において,第1の壁面W1上に光を投影することが好ましい。手が届く範囲は大人と子どもによって異なるが,照明装置20は少なくとも第1の壁面W1上における床面から0cm〜250cmの高さ範囲に光を投影できる位置に設置されていることが好ましい。
【0045】
本実施形態では,物体検出装置30は,照明装置20が設置された第2の壁面W2に対面する第1の壁面W1上に設置されている。また,本実施形態では,物体検出装置30としてレーザーレンジファインダー(平面検出装置)が用いられており,この物体検出装置30は,垂直方向(YZ面方向)に沿って射出されるように設置されている。すなわち,
図6に示されるように,物体検出装置30から射出された検査光は,第1の壁面W1に対してほぼ平行に射出されている。このため,第2の実施形態では,照明装置20から照射された光と物体検出装置30から射出された検査光が,第1の壁面W1付近において交差することとなる。なお,物体検出装置30を設置する高さは特に制限されないが,少なくとも観客の頭よりも高い位置に設置されていることが好ましい。例えば,物体検出装置30を設置する高さは,200cm以上であって天井までの位置に設置すればよい。本実施形態では,第2の壁面W2に設置された照明装置20から照射され第1の壁面W1上に投影されている光に観客が触れようとすると,その観客の手は物体検出装置30からの検査光にも触れることとなる。このように,本実施形態では,第1の壁面W1とほぼ平行に射出されている物体検出装置30の検査光に観客の手が触れたときに,観客の手が照明装置20の光に触れていると判定することとしている。
【0046】
第2の実施形態においても,第1の実施形態と同様に
図2に示したフローに従って制御演算部11による処理が行われる。ただし,第2の実施形態では,ステップS2における照明装置20のチルト角の所定角度範囲(θ
t)がある程度広い範囲に設定されている。すなわち,
図6に示されるように,第2の壁面W2上に設置された照明装置20は,第1の壁面W1の高さ方向のほぼ全範囲に光を投影できる。その範囲のうち,観客が第1の壁面W1に触れることのできる角度範囲が,ステップS2における所定角度範囲(θ
t)として設定される。例えば,所定角度範囲(θ
t)は,照明装置20が第1の壁面W1の床面から0cm〜250cm又は0〜200cm程度の範囲に光を照射できる角度に設定しておけばよい。この場合,所定角度範囲(θ
t)は,第1の壁面W1と第2の壁面W2の間隔によって異なることとなるため,会場の大きさなどを考慮して適宜定めればよい。
【0047】
また,ステップS3に関し,第2の実施形態では,制御演算部11の物体位置算出部11bは,物体検出装置30が検出した情報に基づいて,第1の壁面W1に投影された照明装置20からの光に触れようとする観客の手(物体)の座標位置を求めることとなる。なお,第2の実施形態において,物体検出装置30から射出される検出光のX座標は固定されているため,物体位置算出部11bは,物体の垂直方向の座標(Y座標,X座標)のみを求めることとしてもよい。
【0048】
また,ステップS4に関し,制御演算部11のタッチ判定部11cは,物体位置算出部11bによる物体(観客の身体等)の検出位置が,照明装置20の照射方向の延長線上と一致しているか否かを判定する。具体的には,物体の検出位置が,物体検出装置30から射出された検査光と照明装置20から照射された光の交点又はその近傍に相当しているか否かを判定すればよい。なお,照明装置20からの光はある程度ビーム幅を有し,また第1の壁面W1に投影されたときに照射範囲がある程度広がることとなる。このため,タッチ判定部11cは,物体の検出位置が,物体検出装置30からの検査光と照明装置20からの光の交点を中心とした所定範囲内(例えば半径10〜30cm内)であるか否かを判定すればよい。
【0049】
なお,ステップS5に関しては,第2の実施形態においても,第1の実施形態と同様に空間演出の内容に応じた所定のアクションを実行することができる。
【0050】
続いて,
図7を参照して,第1の実施形態の変形例について説明する。
図7に示した変形例では,基本的には照明装置20や物体検出装置30の構成は第1の実施形態と同じであるが,2つの照明装置20が互いに対面する位置に設置されている点で第1の実施形態と異なる。このため,この変形例では,2つの照明装置20から光を水平に照射した場合に,こえらの照明装置20から照射された光が重なってほぼ一本の光とるように設計されている。
【0051】
また,
図7に示した変形例では,照明装置20は,物体検出装置30によって物体(観客の手)を検出した位置を特定すると,2つの照明装置20からの2つの光がその検出座標の直上において交点を形成しつつ上昇するように,2つの照明装置20の照射方向を制御することとしている。このため観客は自分が触った位置で光が折れ曲がるような感覚を得ることができる。このようにして,物体検出装置30が物体を検出した位置に応じて,照明装置20が実行するアクションを変化させることも可能である。
【0052】
以上,本願明細書では,本発明の内容を表現するために,図面を参照しながら本発明の実施形態の説明を行った。ただし,本発明は,上記実施形態に限定されるものではなく,本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。