(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
貯蔵室に供給風路を経由して供給される空気を冷却する冷凍サイクルの冷却器と、前記冷却器が配設されて前記貯蔵室につながる送風口が形成される冷却室と、前記送風口から供給される前記空気を前記貯蔵室に向けて送風する送風機と、前記送風口を少なくとも部分的に塞ぐ遮蔽装置と、を具備し、
前記遮蔽装置は、前記送風口を前記冷却室の外側から塞ぐ送風機カバーを有し、
前記送風機カバーは、主面部と、前記主面部の周辺部から立設された側面部と、前記側面部を部分的に開口することで形成された開口部と、前記開口部を開閉可能な状態で塞ぐ可動フラップと、を有し、
前記送風機カバーは、前記可動フラップを開く方向に付勢する付勢手段を有し、
前記送風機カバーの近傍に当接部が形成され、
前記可動フラップが前記当接部を押圧することで閉状態となり、
前記送風機カバーが移動すると、前記可動フラップが前記当接部から離れて前記付勢手段の付勢力により開状態と成ることを特徴とする冷蔵庫。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に記載されたような、一つの冷却器で複数の貯蔵室を適宜冷却する冷蔵庫が知られている。
図9に、この文献に記載された冷蔵庫100を模式的に示す。
図9に示す冷蔵庫100には、上方から、冷蔵室101、冷凍室102および野菜室103が形成されている。冷凍室102の奥側には、冷却器108が収納される冷却室104が形成されており、冷却室104と冷凍室102とを区画する区画壁105には、冷気を各貯蔵室に供給するための開口部106が形成されている。また、この開口部106には、冷気を送風する送風ファン107が配設されており、この送風ファン107を覆う送風機カバー110が冷凍室102側に配置されている。冷蔵室101に供給される冷気が流通する風路109の途中には、ダンパ114が配設されている。
【0003】
図10を参照して、上記した送風機カバー110を詳述する。送風機カバー110は、略四角形形状を呈する凹部111が形成されており、凹部111の上部を部分的に切り欠いて開口部113が形成されている。ここで、送風機カバー110が、上記した送風ファン107を覆う状況では、送風機カバー110の開口部113は、冷蔵庫本体側の風路109と連通している。
【0004】
上記した構成の冷蔵庫100は次のように動作する。
図9を参照して、先ず、冷蔵室101および冷凍室102の両方を冷却する場合は、送風機カバー110を送風ファン107から離間させ、ダンパ114を開き、この状態で送風ファン107を回転させる。そうすると、冷却室104の内部で冷却器108により冷却された冷気の一部は、送風ファン107の送風力で、冷凍室102に送風される。また、この冷気の他の一部は、風路109、ダンパ114および風路109を経由して、冷蔵室101に送風される。これより、冷凍室102と冷蔵室101の両方が冷却される。
【0005】
一方、冷蔵室101のみを冷却する際には、送風ファン107を送風機カバー110で覆い、ダンパ114を開き、この状態にて冷却器108で冷却された冷気を送風ファン107で送風する。送風機カバー110を閉鎖状態にすると、送風機カバー110の上部に形成された開口部113が、風路109と連通するようになる。よって、送風ファン107で送風された冷気は、上記した開口部113、ダンパ114、風路109を経由して、冷蔵室101に供給される。
【0006】
上記のように、開口部113が形成された送風機カバー110を用いることで、一つの冷却器108で、複数の貯蔵室を適宜冷却することが可能となった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記した冷蔵庫100の構成では、風路109に介装されたダンパ114は、冷蔵室101に供給される冷気を調整するために必須な要素であった。また、送風機カバー110の上部には開口部113が形成されているため、送風機カバー110で開口部106を覆うだけでは、冷却室104を遮蔽することはできなかった。従って、除霜行程において冷却室104の内部の暖気が冷蔵室101に流入しないようにするためには、ダンパ114を閉状態とする必要があった。即ち、除霜行程のためにもダンパ114は必要とされていた。
【0009】
しかしながら、送風量の調節等を目的として、送風機カバー110に加えてダンパ114を配設すると、装置全体の構造が複雑となり、更に冷蔵制御も複雑化してしまう課題があった。
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、遮蔽装置で風路の選択および閉鎖を簡易に行うことができる冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の冷蔵庫は、貯蔵室に供給風路を経由して供給される空気を冷却する冷凍サイクルの冷却器と、前記冷却器が配設されて前記貯蔵室につながる送風口が形成される冷却室と、前記送風口から供給される前記空気を前記貯蔵室に向けて送風する送風機と、前記送風口を少なくとも部分的に塞ぐ遮蔽装置と、を具備し、前記遮蔽装置は、前記送風口を前記冷却室の外側から塞ぐ送風機カバーを有し、前記送風機カバーは、主面部と、前記主面部の周辺部から立設された側面部と、前記側面部を部分的に開口することで形成された開口部と、前記開口部を開閉可能な状態で塞ぐ可動フラップと、を有
し、前記送風機カバーは、前記可動フラップを開く方向に付勢する付勢手段を有し、前記送風機カバーの近傍に当接部が形成され、前記可動フラップが前記当接部を押圧することで閉状態となり、前記送風機カバーが移動すると、前記可動フラップが前記当接部から離れて前記付勢手段の付勢力により開状態と成ることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の冷蔵庫では、前記付勢手段は、前記可動フラップに内側から接するバネであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の冷蔵庫では、前記当接部は、前記送風機カバーの前記開口部に繋がる前記供給風路を形成する壁部であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の冷蔵庫では、前記可動フラップの幅は、前記供給風路の幅よりも短いことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の冷蔵庫では、前記送風機カバーの前記開口部には、前記可動フラップと、前記開口部に固定された固定フラップと、が配設されることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の冷蔵庫では、前記送風機カバーと対向して配置される遮蔽カバーと、を更に具備し、前記送風機カバーと前記遮蔽カバーとが離間することで、前記供給風路がつながる全開状態となり、前記送風機カバーが前記遮蔽カバーで覆われ、且つ、前記可動フラップが閉状態となることで、前記供給風路が塞がれる遮蔽状態となり、前記送風機カバーが前記遮蔽カバーで覆われ、且つ、前記可動フラップが開状態となることで、前記供給風路が部分的に塞がれる半遮蔽状態となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の冷蔵庫は、貯蔵室に供給風路を経由して供給される空気を冷却する冷凍サイクルの冷却器と、前記冷却器が配設されて前記貯蔵室につながる送風口が形成される冷却室と、前記送風口から供給される前記空気を前記貯蔵室に向けて送風する送風機と、前記送風口を少なくとも部分的に塞ぐ遮蔽装置と、を具備し、前記遮蔽装置は、前記送風口を前記冷却室の外側から塞ぐ送風機カバーを有し、前記送風機カバーは、主面部と、前記主面部の周辺部から立設された側面部と、前記側面部を部分的に開口することで形成された開口部と、前記開口部を開閉可能な状態で塞ぐ可動フラップと、を有
し、前記送風機カバーは、前記可動フラップを開く方向に付勢する付勢手段を有し、前記送風機カバーの近傍に当接部が形成され、前記可動フラップが前記当接部を押圧することで閉状態となり、前記送風機カバーが移動すると、前記可動フラップが前記当接部から離れて前記付勢手段の付勢力により開状態と成ることを特徴とする。従って、送風機カバーの開口部を塞ぐ可動フラップが開閉可能であることで、可動フラップを塞ぐことで送風機カバーの内部空間と供給風路とを遮断することができる。よって、供給風路にダンパを配設する必要が無く、冷蔵庫全体の構成を簡素化することができる。
【0020】
また、本発明の冷蔵庫では、前記付勢手段は、前記可動フラップに内側から接するバネであることを特徴とする。従って、簡素な構成で可動フラップを外側に向かって付勢することができる。
【0021】
また、本発明の冷蔵庫では、前記当接部は、前記送風機カバーの前記開口部に繋がる前記供給風路を形成する壁部であることを特徴とする。従って、冷蔵庫の本体の一部である供給風路を形成する壁部を当接部として用いることができるので、可動フラップの開閉を司る構成を簡素化することができる。
【0022】
また、本発明の冷蔵庫では、前記可動フラップの幅は、前記供給風路の幅よりも短いことを特徴とする。従って、供給風路の内部で可動フラップを開閉することが出来る。
【0023】
また、本発明の冷蔵庫では、前記送風機カバーの前記開口部には、前記可動フラップと、前記開口部に固定された固定フラップと、が配設されることを特徴とする。従って、供給風路の幅に対応して可動フラップの幅を変更することが可能になる。
【0024】
また、本発明の冷蔵庫では、前記送風機カバーと対向して配置される遮蔽カバーと、を更に具備し、前記送風機カバーと前記遮蔽カバーとが離間することで、前記供給風路がつながる全開状態となり、前記送風機カバーが前記遮蔽カバーで覆われ、且つ、前記可動フラップが閉状態となることで、前記供給風路が塞がれる遮蔽状態となり、前記送風機カバーが前記遮蔽カバーで覆われ、且つ、前記可動フラップが開状態となることで、前記供給風路が部分的に塞がれる半遮蔽状態となることを特徴とする。従って、遮蔽カバーで送風機カバーを適宜覆い、且つ、可動フラップを開閉させることで、供給風路をほぼ完全に塞ぐ遮蔽状態と、供給風路を部分的に塞ぐ半遮蔽状態とを簡易に実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係る冷蔵庫10を図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部材には原則的に同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。更に以下の説明では、上下前後左右の各方向を適宜用いるが、左右とは冷蔵庫10を前方から見た場合の左右を示している。
【0027】
図1は、本形態の冷蔵庫10の概略構造を示す正面外観図である。
図1に示すように、冷蔵庫10は、本体としての断熱箱体11を備え、この断熱箱体11の内部に食品等を貯蔵する貯蔵室を形成している。この貯蔵室としては、最上段が冷蔵室15、その下段左側が製氷室16で右側が上段冷凍室18、更にその下段が下段冷凍室19、そして最下段が野菜室20である。尚、製氷室16、上段冷凍室18および下段冷凍室19は、何れも冷凍温度域の貯蔵室であり、以下の説明ではこれらを冷凍室17と総称する場合もある。
【0028】
断熱箱体11の前面は開口しており、前記各貯蔵室に対応した開口には、各々断熱扉21等が開閉自在に設けられている。断熱扉21は、冷蔵室15の前面を左右方向に分割して塞ぐもので、断熱扉21の幅方向における外側上下端部が断熱箱体11に回転自在に取り付けられている。また、断熱扉22,23,24,25は、各々収納容器と一体的に組み合わされ、冷蔵庫10の前方に引出自在に、断熱箱体11に支持されている。
【0029】
図2は、冷蔵庫10の概略構造を示す側方断面図である。
図2に示すように、冷蔵庫10の本体である断熱箱体11は、前面が開口する鋼板製の外箱12と、この外箱12内に間隙を持たせて配設され、前面が開口する合成樹脂製の内箱13とから構成されている。外箱12と内箱13との間隙には、発泡ポリウレタン製の断熱材14が充填発泡されている。尚、上記した各断熱扉21〜25も、断熱箱体11と同様の断熱構造を採用している。
【0030】
冷蔵室15と、その下段に位置する冷凍室17とは、断熱仕切壁42によって仕切られている。冷凍室17の内部の製氷室16と上段冷凍室18との間は、ここでは図示しない仕切壁によって仕切られている。また、製氷室16及び上段冷凍室18と、その下段に設けられた下段冷凍室19との間は、冷却された空気である冷気が流通自在に連通している。そして、冷凍室17と野菜室20との間は、断熱仕切壁43によって区分けされている。
【0031】
冷蔵室15の背面には、合成樹脂製の仕切体65で区画され、冷蔵室15へと冷気を供給する供給風路としての冷蔵室供給風路29が形成されている。冷蔵室供給風路29には、冷蔵室15に冷気を流す吹出口33が形成されている。
【0032】
冷凍室17の奥側には、冷却器45で冷却された冷気を冷凍室17へと流す冷凍室供給風路31が形成されている。冷凍室供給風路31の更に奥側には、冷却室26が形成されており、その内部には、庫内を循環する空気を冷却するための蒸発器である冷却器45が配置されている。
【0033】
冷却器45は、圧縮機44、図示しない放熱器、図示しない膨張手段であるキャピラリーチューブに冷媒配管を介して接続されており、蒸気圧縮式の冷凍サイクル回路を構成するものである。
【0034】
図3は、冷蔵庫10の冷却室26付近の構造を示す側方断面図である。冷却室26は、断熱箱体11の内部で、冷凍室供給風路31の奥側に設けられている。冷却室26と冷凍室17との間は、合成樹脂製の仕切体66によって仕切られている。
【0035】
冷却室26の前方に形成される冷凍室供給風路31は、冷却室26とその前方に組み付けられる合成樹脂製の前面カバー67との間に形成された空間であり、冷却器45で冷却された冷気を流す風路となる。前面カバー67には、冷凍室17に冷気を吹き出す開口である吹出口34が形成されている。
【0036】
下段冷凍室19の下部背面には、冷凍室17から冷却室26へと空気を戻す戻り口38が形成されている。そして、冷却室26の下方には、この戻り口38につながり、各貯蔵室からの帰還冷気を冷却室26の内部へと吸入する戻り口28が形成されている。戻り口28には、野菜室20の戻り口39(
図2)および野菜室帰還風路37を経由して帰還する冷気も流入する。
【0037】
また、冷却器45の下方には、冷却器45に付着した霜を融かして除去する除霜手段として、除霜ヒータ46が設けられている。除霜ヒータ46は、電気抵抗加熱式のヒータである。
【0038】
冷却室26の上部には、各貯蔵室につながる開口である送風口27が形成されている。送風口27は、冷却器45で冷却された冷気を流す開口であり、冷却室26と、冷蔵室供給風路29および冷凍室供給風路31とを連通させる。送風口27には、冷凍室17等に向けて冷気を送り出す送風機47が配設されている。送風機47の構成は後述する。また、冷蔵室供給風路29にはダンパが介装されておらず、ダンパの機能は後述する遮蔽装置70の可動フラップ83が担っている。
【0039】
また、冷却室26の送風口27の外側には、送風口27を塞ぐための送風機カバー72を備えた遮蔽装置70が設けられている。送風機カバー72を開閉する為の進退動作は、ここでは点線で示す駆動軸71で制御されており、かかる事項は後述する。
【0040】
送風機カバー72は、冷却室26に対向する面が凹形状に成形されている。これにより、送風機カバー72は、送風機47と接触することなく、送風口27を塞ぐことができる。また、遮蔽装置70は、前方から遮蔽装置カバー69で覆われている。
【0041】
図4を参照して、上記した冷蔵庫10に採用される遮蔽装置70の構成を説明する。
図4は遮蔽装置70を構成する各部材を前後方向に分解して示す斜視図である。
【0042】
遮蔽装置70は、送風機47を覆う送風機カバー72と、送風機カバー72を冷蔵庫10本体に取り付ける遮蔽ベース73と、を有している。遮蔽装置70の主たる機能は、上記した送風機47および送風口27を適宜、非閉鎖状態または閉鎖状態にすることで、送風機47が回転することにより送風した冷風を、所望の貯蔵室に供給することにある。また、遮蔽装置70を閉鎖状態とすることで、冷却器45の除霜行程にて発生する暖気が、冷凍室17等に流入することを抑止する。ここで、暖気とは、除霜ヒータ46で加熱された空気のことである。
【0043】
送風機カバー72は、合成樹脂材を概略的に蓋形状に射出成形したものであり、正面視で略四角形状を呈する主面部79と、主面部79の周辺縁部から後方側に伸びる側面部80を有している。主面部79の中央付近を円形に貫通してネジ穴78が形成されており、ネジ穴78の内側側面を螺旋状に窪ませてネジ溝が形成されている。送風機カバー72の上側の側面部80を開口させて開口部76が形成されている。開口部76は、上方から見たら左右側に細長に形成された矩形形状を呈している。開口部76が形成されていることで、遮蔽装置70を閉鎖状態としても、開口部76を経由して、冷却室26と上記した冷蔵室供給風路29とを連通させることが出来る。
【0044】
送風機カバー72の主面部79の周辺部付近を円形に開口することで、挿入孔77が形成されている。後述するように、挿入孔77は、遮蔽ベース73の支持部74が貫通する。送風機カバー72の役割は、上記したように、冷却室26の送風口27に配置された送風機47を実質的に塞ぐことにある。送風機カバー72の開口部76には、固定フラップ82および可動フラップ83が取り付けられているが、かかる事項については後述する。
【0045】
駆動軸71は、略円柱形状を呈しており、その側面の一部を螺旋状に連続して突起させた図示しないネジ山が設けられている。駆動軸71は、送風機カバー72を前後方向に移動させる駆動機構である。駆動軸71の側面に形成されるネジ山と、送風機カバー72のネジ穴78の側面に形成されるネジ溝とは、使用状況下では螺合される。即ち、駆動軸71のネジ山と、送風機カバー72のネジ穴78のネジ溝とで、ネジ機構が形成されている。駆動軸71の内部には図示しないステッピングモータが内蔵されており、そのモータの駆動力で駆動軸71は所定角度回転する。駆動軸71が例えば前方から見て時計回りに回転すると、送風機カバー72は遮蔽ベース73から離れ、
図2に示す送風口27を送風機カバー72が塞いで閉鎖状態となる。よって、送風機47で送風された冷気は、冷凍室17には供給されない。一方、駆動軸71が例えば前方から見て反時計回りに回転すると、送風機カバー72は遮蔽ベース73側に向かって移動し、
図2に示す送風口27は送風機カバー72で覆われず、非閉鎖状態となる。よって、送風機47で送風された冷気は、この間隙を経由して冷凍室17に供給される。
【0046】
遮蔽ベース73は、上記した送風機カバー72と類似した形状を呈する合成樹脂から成る部材である。遮蔽ベース73の内部には、送風機カバー72を収納することが可能な空間が形成されている。遮蔽ベース73には、後方に向かって円柱状に突出する支持部74が形成されている。ここでは、駆動軸71の周囲に3つの支持部74が形成されている。支持部74は、上記した送風機カバー72の挿入孔77を貫通する。遮蔽ベース73は、
図2を参照して、冷凍室17の後方側面と仕切体66との間に配置され、前面カバー67に固定されている。
【0047】
送風機47は、例えば遠心ファンであるファン50と、ファン50を回転させるここでは図示しないモータと、ファン50およびモータを回転可能に支持するファン支持部81とを有する。ファン支持部81の周囲が、遮蔽ベース73の支持部74の先端部に固定されるので、送風機47の位置が固定されている。
【0048】
上記した遮蔽装置70は、後述する全開状態、遮蔽状態および半遮蔽状態をとることができる。
【0049】
図5から
図7を参照して、上記した各状態に於ける遮蔽装置70の構成を説明する。
図5は全開状態の遮蔽装置70を示し、
図6は遮蔽状態の遮蔽装置70を示し、
図7は半遮蔽状態の遮蔽装置70を示す。
図6では送風機カバー72を半開状態とすることで、遮蔽装置70で風路を塞ぐ遮蔽状態を実現している。
図7では送風機カバー72を全閉状態とすることで、遮蔽装置70で風路を部分的に塞ぐ半遮蔽状態を実現している。
【0050】
図5を参照して、全開状態の遮蔽装置70の構成を説明する。
図5(A)は全開状態の遮蔽装置70を示す斜視図であり、
図5(B)は
図5(A)のB−B線に於ける断面図である。ここで、遮蔽装置70が全開状態となると、下記するように、遮蔽装置70は冷却室26の送風口27(
図3)を閉鎖せず、冷凍室17に冷気が供給されるようになる。
【0051】
図5(A)を参照して、送風機カバー72の上端部分を矩形に開口することで、開口部76が形成されている。開口部76は、送風機カバー72の側面部80を矩形に開口した部分である。開口部76は、固定フラップ82と可動フラップ83で塞がれている。固定フラップ82は開口部76の後方側を塞ぎ、可動フラップ83は開口部76の前方側を塞いでいる。固定フラップ82および可動フラップ83は、送風機カバー72と同様に、合成樹脂板材から成る。固定フラップ82は、送風機カバー72に対して固着されており、開閉動作を行わない。一方、可動フラップ83は、送風機カバー72に対して回転可能に取り付けられている。ここで、開口部76を、可動フラップ83のみで覆うことも可能である。また、上記のように、開口部76を固定フラップ82および可動フラップ83で塞ぐことで、可動フラップ83の前後方向に於ける幅は、送風機カバー72の側面部80の幅よりも狭くなっている。このようにすることで、後述するように、開口部76に繋がる供給風路の幅に則して、可動フラップ83の幅を調整することができる。
【0052】
図5(B)に示すように、可動フラップ83の前端は送風機カバー72本体に対して回転可能に備えられている。可動フラップ83は、その前端部を回転中心として、この視点で時計回りの方向に付勢されている。この付勢力は、送風機カバー72の内部に於いて可動フラップ83の前端部付近に配設された、ねじりバネ等のバネで付与することができる。この図では、付勢力を発生させる付勢手段である、ねじりバネは図示していない。ここで、ねじりバネから発生する付勢力を調整することで、可動フラップ83が開閉する際に発生する動作音を、小さくすることができる。
【0053】
図5(B)を参照して、送風機47の後方側には、送風機カバー72と噛み合う略蓋形状の遮蔽カバー86が配置されている。遮蔽カバー86が遮蔽カバー86の側面部80と面的に接触することで、遮蔽カバー86の開口を適宜塞ぎ、遮蔽カバー86の内部空間を略密閉状態とすることができる。遮蔽カバー86は、冷蔵庫10の本体側に固定されている。遮蔽カバー86は、ここでは図示しない開口が形成されており、上記した送風機47で送風される冷気はこの開口を経由して、送風機カバー72の内部に流入する。
【0054】
図5(A)を参照して、遮蔽ベース73の上端には、後方に向かって突出する押圧部84が形成されている。押圧部84は上方側から可動フラップ83を押圧している。押圧部84の後端は、遮蔽ベース73が全開状態の場合には可動フラップ83を押圧し、遮蔽ベース73が全閉状態の場合には可動フラップ83を押圧しない位置に配置される。
【0055】
ここでは、可動フラップ83の開動作を規制する当接部として押圧部84を図示したが、後述するように、風路を形成する壁状の部材を可動フラップ83に当接させることで、可動フラップ83の開動作を規制することもできる。また、押圧部84の前後方向の長さを調節することで、可動フラップ83を開閉するタイミングを調整することができる。
【0056】
図5(B)に示すように、遮蔽装置70が全開状態となっている場合は、送風機カバー72と遮蔽カバー86とは離間しており、両者の間には間隙が存在している。この間隙を経由して冷気は各貯蔵室に供給される。具体的には、冷凍室供給風路31を経由して冷気は冷凍室17に供給される。ここで、
図5(A)に示すように、送風機カバー72の可動フラップ83は、外側から押圧部84により押圧されているので、閉状態を保っている。よって、
図3を参照して、冷気は冷蔵室供給風路29側には送風されない。
【0057】
図6を参照して、遮蔽状態の遮蔽装置70の構成を説明する。ここでは、送風機カバー72を半分程度閉じることで、遮蔽装置70が風路を塞ぐ遮蔽状態が実現されている。
【0058】
図6(A)は遮蔽状態の遮蔽装置70を示す斜視図であり、
図6(B)は
図6(A)のB−B線に於ける断面図である。ここで、遮蔽装置70が遮蔽状態となると、下記するように、遮蔽装置70は冷却室26の送風口27(
図3)を塞ぎ、冷気等は冷却室26から外部に漏出しない。
【0059】
図6(A)および
図6(B)を参照して、駆動軸71を所定方向に回転させると、送風機カバー72は後方に向かって移動する。その結果、
図6(B)に示すように、送風機カバー72の主面部79は、支持部74の中間部に到達する。また、送風機カバー72の後方側開口は遮蔽カバー86で塞がれる。即ち、送風機カバー72および遮蔽カバー86の側面部分が互いに密着する。また、送風機カバー72の可動フラップ83は押圧部84により押圧されたままであり、可動フラップ83は閉状態とされている。かかる構成により、遮蔽装置70の遮蔽状態が実現されている。
【0060】
図3を参照して、遮蔽装置70が遮蔽状態となると、冷却室26の送風口27および送風機47は遮蔽装置70で覆われる。よって、各供給風路と冷却室26とは分断される。冷却器45の着霜を除去する除霜行程においては、制御装置が、圧縮機44およびファン50を停止し、除霜ヒータ46に通電することで冷却室26内の空気を加熱する。このような除霜行程に於いて、遮蔽装置70が遮蔽状態であるので、各供給風路と冷却室26とは分断され、加熱された暖気が送風口27を経由して各供給風路に漏れることを抑止することができる。
【0061】
図7を参照して、半遮蔽状態の遮蔽装置70の構成を説明する。ここでは、送風機カバー72を全閉状態とすることで、送風機カバー72が風路を閉鎖しつつ、可動フラップ83が開状態となる半遮蔽状態が実現されている。
【0062】
図7(A)は半遮蔽状態の遮蔽装置70を示す斜視図であり、
図7(B)は
図7(A)のB−B線に於ける断面図である。ここで、遮蔽装置70が半遮蔽状態となると、下記するように、遮蔽装置70は冷却室26の送風口27(
図3)を塞ぎつつ、冷蔵室供給風路29に冷気が供給されるようになる。
【0063】
図7(A)および
図7(B)を参照して、駆動軸71を所定方向に更に回転させると、送風機カバー72は後方に向かって移動する。その結果、
図7(B)に示すように、送風機カバー72の主面部79は、支持部74の後端まで到達する。また、送風機カバー72の後方側開口は遮蔽カバー86で塞がれる。即ち、
図6の場合と同様に、送風機カバー72および遮蔽カバー86の側面部分が互いに密着する。
【0064】
ここで、送風機カバー72が後方に移動することで、可動フラップ83は押圧部84により押圧されない状態となっている。また、可動フラップ83には、ここでは図示しないねじりバネにより、
図7(B)の視点で時計回りに回転する方向に付勢力が作用している。よって、可動フラップ83は時計回りに回転し、開口部76は開状態と成る。よって、この図に示す状態では、送風機カバー72の後方開口は遮蔽カバー86で覆われつつ、開口部76が開状態となっている。
【0065】
図3を参照して、遮蔽装置70が半遮蔽状態となると、
図7(B)に示したように、送風機カバー72の後方側開口は遮蔽カバー86で塞がれることで、冷却室26の送風口27および送風機47は遮蔽装置70で覆われる。よって、冷凍室供給風路31と冷却室26とは連通しない。一方、上記のように可動フラップ83が開くことで、遮蔽装置70の上端に形成される開口部76は開状態となっている。よって、この開口部76を経由して、冷却室26と冷蔵室供給風路29とは連通する。
【0066】
従って、制御装置が、遮蔽装置70を半遮蔽状態とし、圧縮機44を運転し、送風機47を回転させると、冷気は、送風機カバー72の開口部76および冷蔵室供給風路29を経由して冷蔵室15に送風される。また、この冷気は、図示しない野菜室供給風路を経由して野菜室20に供給されても良い。一方、上記したように、送風機カバー72の後方開口は遮蔽カバー86で塞がれているので、冷気は冷凍室17には送風されない。
【0067】
上記のように、押圧部84による押圧を解除することで、送風機カバー72の可動フラップ83を開状態とすることができる。即ち、送風機カバー72の可動フラップ83がダンパの如く機能するので、一般的に供給風路に介装される電動式のダンパを不要にして、冷蔵室15のみに冷気を供給することができる。従って、風路の切替に必要とされる構成を簡素化すると共に、コストを低減することが出来る。
【0068】
図8を参照して、可動フラップ83を開閉させる構成を更に説明する。上記説明では、例えば
図6(B)を参照すると、押圧部84で可動フラップ83を側方から押圧することで、可動フラップ83を開閉した。ここでは、冷蔵室供給風路29の周囲の断熱箱体11の一部である壁部85を、可動フラップ83に当接させることで、可動フラップ83の開閉を制御している。
【0069】
図8(A)は上記した全開状態の遮蔽装置70を示す断面図であり、
図8(B)は遮蔽状態の遮蔽装置70を示す断面図であり、
図8(C)は半遮蔽状態の遮蔽装置70を示す断面図である。
【0070】
図8(A)を参照して、遮蔽装置70は、冷蔵室供給風路29の下方に配設されており、送風機カバー72の開口部76は、冷蔵室供給風路29の直下に配置されている。ここでは遮蔽装置70は全開状態であり、送風機カバー72は前方側に配置されている。冷蔵室供給風路29の前後方向における両側には、断熱箱体11の一部である壁部85が形成されている。壁部85の下面は、送風機カバー72の可動フラップ83の上面と摺動する略平坦面を形成している。送風機カバー72の可動フラップ83は、壁部85により上方から押圧されている。かかる構成により、全開状態に於いて可動フラップ83が開いてしまうことを防止している。上記したように、この全開状態では、送風機カバー72の後方開口は遮蔽カバー86とは接していないので、両者の間隙を冷気が流通することができ、
図3に示す冷凍室供給風路31に冷気が供給される。一方、可動フラップ83は送風機カバー72の開口部76を塞いでいるので、冷蔵室供給風路29に冷気は供給されない。
【0071】
図8(B)を参照して、駆動軸71を回転させることで送風機カバー72を後方に移動させると、先ず、送風機カバー72の後方側開口が遮蔽カバー86で覆われる。よって、この遮蔽状態では、送風機カバー72と遮蔽カバー86との間から、
図3に示す冷凍室供給風路31に冷気は供給されない。また、送風機カバー72の可動フラップ83は、壁部85で押圧された状態が保持されている。よって、この遮蔽状態では、送風機カバー72の開口部76を経由して、冷蔵室供給風路29に冷気は送風されない。
【0072】
図8(C)を参照して、駆動軸71を更に回転させることで、送風機カバー72を更に後方に移動させると、送風機カバー72の後方側開口が遮蔽カバー86で覆われる状態が維持される。よって、この半遮蔽状態であっても、送風機カバー72と遮蔽カバー86との間から冷気は供給されない。
【0073】
ここで、送風機カバー72の可動フラップ83の前後方向に於ける幅は、冷蔵室供給風路29の前後方向に於ける幅よりも狭い。従って、可動フラップ83は壁部85で押圧されない状態となり、付勢されている可動フラップ83は上方に開くように回転する。よって、送風機カバー72の開口部76は開状態となる。この半遮蔽状態では、送風機カバー72の開口部76を経由して、冷蔵室供給風路29に冷気が送風される。
【0074】
また、
図8(C)の半遮蔽状態から、駆動軸71を上記とは逆方向に回転させることで、上記のように、送風機カバー72を前方に移動させ、断熱箱体11の一部である壁部85を可動フラップ83に当接させ、可動フラップ83が閉状態となる。よって、
図8(B)に示す遮蔽状態となる。また、駆動軸71を更に逆方向に回転させることで、送風機カバー72を更に前方に移動させると、可動フラップ83が閉状態のまま、送風機カバー72が遮蔽カバー86から離れ、
図8(A)に示す全開状態となる。
【0075】
上記のように、可動フラップ83が壁部85に対して摺動するように送風機カバー72を移動させることで、断熱箱体11の一部である壁部85を当接部として用いることができる。よって、部品点数の増加を抑止する効果を大きくすることができる。
【0076】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。