(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6973796
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】ファンアレイ装置
(51)【国際特許分類】
F04D 25/16 20060101AFI20211118BHJP
F04D 27/00 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
F04D25/16
F04D27/00 101Y
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-192985(P2018-192985)
(22)【出願日】2018年10月11日
(65)【公開番号】特開2020-60151(P2020-60151A)
(43)【公開日】2020年4月16日
【審査請求日】2020年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】516163578
【氏名又は名称】畠山 昭弘
(74)【代理人】
【識別番号】100190230
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 良吉
(72)【発明者】
【氏名】畠山 昭弘
【審査官】
山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−195140(JP,A)
【文献】
特開平06−313603(JP,A)
【文献】
実開昭54−146401(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 25/16
F04D 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所排気用吸引装置に用いられるファンアレイ装置であって、
吸引流を発生させる吸引ファンと、前記吸引ファンの回転軸に直交する平面内の当該吸引ファンを囲む略円周上に配置され、吹出流を発生させる複数の吹出ファンと、を含み、
各前記吹出ファンの回転軸は、前記吸引ファンの回転軸に対して、前記吹出流の方向に向かって当該吸引ファンの回転方向に捻じれた方向に配置され、前記吹出流が前記吸引ファンの回転方向に旋回して吹出すように構成された、ファンアレイ装置。
【請求項2】
前記複数の吹出ファンは、前記略円周上に交互に配置され、互いに反対方向に回転して吹出流を発生させる、複数の第1の吹出ファン及び複数の第2の吹出ファンからなる、請求項1に記載のファンアレイ装置。
【請求項3】
前記吸引ファンと各前記吹出ファンの回転軸方向及び回転速度を制御する回転制御部をさらに有する、請求項1又は2に記載のファンアレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の送風または排気ファン(以後ファンと記す)を総合的に動作させる事で、空気を様々な流れとして生成させるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空気の流れを作る為には、一つの動力源で一つのファンを回転させて扇風機、換気扇、サーキュレーター等を構成するので単純な空気の流れしかできなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
空気の流れを人工的に作り出す事は、様々な生活空間あるいは産業空間の中で多くの目的で必要となる。例えば扇風機は一つの駆動源(モーター)によりファンを回転させる事で前面に空気の流れを作りだして涼を取る為に利用される。また、換気扇も一つのファンを駆動させる事で、室内の汚れた空気を吸い込み、屋外に排気する為に利用される。 しかし、これらの一つのファンだけを駆動させる事によって作り出される風は、細かく空気の流れを制御する事はできない。その為、一般的な扇風機であれば渦を巻いた捻じれた風になり、ファンの前面だけに筒状、あるいはスカート状の風の流れを作るしかなかった。 また、換気扇であれば、ファンの吸込み口の間近にある空気だけを排気する為、部屋全体を換気するには非常に効率が悪いという問題があり、本発明は、空気の流れをより細かく制御する事ができる装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
空気を動かす為に、それぞれが独立に制御可能な駆動部を持った複数台のファンで構成し、個々にファンの向き、回転数、回転方向を制御に従い動作させる事と、それら全てを統合的に動作させる事で、ファンアレイとして所望の風の流れを生成するものである。
【発明の効果】
【0005】
複数のファンを協同で統合的に駆動する事で、風の流れが細かく制御可能となる為、扇風機であれば渦の無い自然に近い風を生成する事ができる。更に複数のファンの配置を工夫する際、従来の扇風機の形にとらわれない大きな方形板状、円筒状、半円筒状、球状、半球状にも作る事が可能となり、個々のファンを協同で統合的に駆動する事で、単なる風の発生装置としてだけでなく、集塵機、掃除機、サーキュレーター、乾燥機等の機能拡張も可能となる。また、換気扇であれば単に空気を吸い込むだけでなく、吸い込む範囲を考慮して空気を吐き出す事を同時に行う事で、空気が流れる循環を作り出す様にするので、吸い込む範囲を拡大させ、効率的な換気が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明のファンアレイの一実施例としての基本構成を示す配置図である。
【
図2】本発明のファンアレイの2つ目の実施例としての基本構成を示す配置図である。
【
図3】本発明のファンアレイの一つの応用例である。
【
図4】本発明のファンアレイの2つ目の応用例である。
【
図5】本発明のファンアレイの3つ目の応用例である。
【
図6】本発明のファンアレイの4つ目の応用例である。尚、
図1〜
図6は、ファンの配置による動作を説明している為、ファンの駆動部や支持構造部は省略して記載している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1の1は時計回りに回転する事で図の前面に向けて空気を動かすファン、2は反時計回りに回転する事で図の前面に向けて空気を動かすファン、3は時計回りの回転方向、4は反時計回りの回転方向、5はそれぞれのファンの回転速度や回転の向きを個々に制御する回転制御部、6は回転制御部からの制御情報をそれぞれのファンに伝える制御線をそれぞれ示す。
【0008】
この動作としては、4つのファンを2×2の平面として配置し、
図1の様に4つのファンが3及び4の回転方向に同時に回転した場合、4つのファンの回転が隣どうし互いに干渉せず、仮に歯車に置き換えてもスムーズに回転する様になる事から、4つのファンによって生成される空気の流れは、ファンの根本では4つの独立した渦となって図の前面方向に押し出される。そして、風が個々のファンから離れた所で隣のファンによる渦が同じ方向に動く事から互いにあまり干渉しない為、ファンの駆動部への負荷も少ない状態で風を生成する事ができる。この事は、ファン駆動部の強弱がそのまま遠くまで伝わりやすくなり、風の強弱をつけた状態のまま遠くまで風を送る事が可能となる。
【0009】
5の回転制御部からの制御を6の制御線を介し、4つの個々のファンの回転速度を制御する事により、4つのファンのそれぞれの回転速度に強弱をつける事ができる。それを利用すると、場所によって風を弱めに当てたり、強めに当てたりする事が可能となる。ちなみに回転制御は、ファンを駆動する部分がDCモーターであれば電圧を変化させる事で実現できる。更に、個々のファンは逆回転させる事で風の向きが逆になる様にも動作する事から、回転速度だけでなく回転方向も制御する事で、更に多くの状態の風を生成する事が可能となる。また、5の回転制御部から個々のファンへの制御を時間的に変更する事によって、様々な異なる性質の風が時間の流れと共に変わる事でアクティブファンアレイも実現可能となる。
【0010】
図2の動作としては、
図1とほぼ同様に4つのファンが配置されているが、4つのファンは全て同じ時計回りに回転している。この場合は、互いに隣同士のファンは逆回転となり、互いに渦を打ち消す方向になる事から、個々のファン駆動部へn負荷は
図1よりは高くなるが、ファンにより生成される風は、渦を巻かない自然に近い風が図の前面に向けて流れる事になる。そして、風が個々のファンから離れた所では隣のファンによる渦がぶつかり合う方向に動く事からエネルギーが平滑化し易く、仮に一つでも回転速度が遅いファンがあり弱い風が生成された場合でも、早いファンから送られた風が、その弱い風のエネルギーを補う様に強弱の差が薄められる事が実験で確かめられている。その為、個々のファンによる風力のムラが減り、
図1の構成の物よりも一様な風を生成する事が可能となる。
【0011】
更に、
図1による構成と同様に、5の回転制御部によりそれぞれのファンの回転速度に強弱をつける事により、風を当てる対象物毎に風速の変化を付ける事が可能となる。この事は、
図1よりもより届く距離は短くなり、風を届ける範囲に対して場所による変化は滑らかにはなるが、制御する事が可能となる。そして、時間と共にダイナミックに風の性質を変化させるアクティブファンアレイを実現する事が可能となる。
【0012】
図3の動作としては、
図1及び
図2を応用した一実施例である。ここでは9つのファンを3×3に並べ、5の回転制御部と6の制御線によりファンの回転速度や回転方向をダイナミックに制御可能となっている。これは更に多くのファンを持つn×m(n、mは自然数)の四角形、あるいは同心円状に円形のファンアレイを配置する様にも構成できるものである。この最も単純な例としては複数のファンを個々に同じ方向に回転させると、隣同士のファンが互いの渦を抑圧する様に打ち消す事から、渦を巻かず、従来の扇風機の様なピンポイントから作り出される風とは別に、面的に平たんで場処理よる風力の差が少ない風を作り出す事ができる。この様な構成にすることで、従来の画一的な丸い扇風機というデザインだけでなく、畳や窓の様な大きさでも構成する事が可能となる。
【0013】
図4は、更に別の応用例であり、ファンアレイを筒状に構成したものである。この様な構成にする事で、従来の扇風機であれば首振り機能により、涼を取る範囲を拡げていたが、そのままで360度の全方位に向けて風を吹かせる事が可能となる。また、更にこの応用例としては筒を蒲鉾形の半円にして、平面の部分を壁に向ける事で180度の全方向に風を吹かせる事も、容易にデザインする事ができる。
【0014】
そして、
図4の筒状のファンアレイでは、筒の上下を開放しているが、例えば上側に蓋をした状態で密封された部屋に置くと、ファンアレイから放射状に吹き出した風が部屋全体を回って筒の下に集まる様な流れが形成される。これを利用すると部屋の埃やゴミを集める効果があり、効率的な空気清浄機や掃除機等の応用が考えられる。逆に、筒の下を閉じる事により、筒の上に風が集まる様になり、集まった空気を乾燥させる機能を追加する事により乾燥機や除湿機としての機能も実現する事ができる。また、上述の説明では、ファンアレイからの風は放射状に外側に吹き出す事の応用例であるが、逆に吸込む事により密閉空間の空気を全方向から吸い出す装置への応用や、放射状に吹き出す風をダイナミックに5の回転制御部により変化させる事で、灯台の光が360度回転するのと同様に風の吹き出しを回転させる等アクティブファンアレイとしても実現可能となる。
【0015】
図5は、半球状にファンアレイを配置した構造としており、
図4とは別に電球から放射される光の様に、立体的に3次元の全方位に向けた風を作りだす事ができる。この実施例であれば、部屋の天井に向けた風も作る事ができるので、部屋の空気をかき混ぜる為のサーキュレーターとして機能させ、同時に
図4の実施例でもあった様に、ある程度密閉された部屋であれば、吹き出された風が、半球の下に集まってくる事から、塵や湿気をフィルタで集める機能を追加する事により、空気清浄機や掃除機、あるいは乾燥機や除湿器としての機能も同時に実現する事が可能となる。
【0016】
図6の7は空気を図の上から下に向けて反時計回りに回転しながら吸い込む大き目のファン、8は外の1や2の複数のファンが図の下から上に向けて吹き出す風が、直ぐには折り返らない様に防ぐ為のガードである。この動作としては、
図6の円盤状のファンアレイの上方向に向けて、円盤の外側に円状に並んだ複数の1および2の小型のファンがそれぞれ時計回りや半時計回りに回転しながら、個々に渦状の風を図の下から上に吐出し、それがある程度の距離に届いた辺りから、円盤状の中心部にある大き目な7の吸込み用ファンに向けて折り返す動作をするものである。この場合、1及び2のファンは互いに渦を打ち消しづらい様に配置しているので、より遠くまでそれらの風が届く事になる。また、8のガードは、円盤状のファンアレイの外側と内側の風の流れが少しでも根本で干渉しない様にするものである。
【0017】
更に、
図6では記載していないが、外側に配置した複数の1または2のファンの吹き出す方向を半時計回りの方向に少し斜めにすると、吐き出された複数の渦の束が、7の大型ファンの回転方向と同じになる為、大型ファンに向けて折り返る空気の流れが、スムーズに渦を持ったまま竜巻状に吸込まれる動作が実現できる。そして、回転制御部によって、外側に配置した複数の1、2、そして7のファンの回転を5の回転制御部で制御する事で、吸い取るポイントまでの距離が制御できる様になる。更に複数のファンの回転面の角度まで機械的に制御できる機能を追加する事で、吸い込む方向の制御も同時に行う事も本発明の延長上で容易に考案できる。
【0018】
上述の通り、ファンアレイによる様々な応用例は空気を対象として記載したが、水などの流体においても容易に応用が可能である。また、必ずしも回転制御部が独立した機能として具備していなくても、複数のファンが協同で統括的な動作を実現する事、そして実施例で示したファンの数や配置は目的とする機能において、柔軟に応用することが可能である。
【符号の説明】
【0019】
1 時計回りに回転する事で図の前面に向けて空気を動かすファン
2 反時計回りに回転する事で図の前面に向けて空気を動かすファン
3 時計回りの回転方向
4 反時計回りの回転方向
5 それぞれのファンの回転速度や回転の向きを個々に制御する回転制御部
6 回転制御部の制御をそれぞれのファンに伝える制御線
7 空気を図の上から下に向けて反時計回りに回転しながら吸い込む大き目のファン
8 外側から吐出す風が、直ぐに内側に折り返らない様に防ぐ為のガード