(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コンタクトレンズは、前記眼の最平坦角膜経線における曲率よりも2.0ジオプタ〜6.0ジオプタだけ大きい曲率を伴う視覚ゾーンを有する、請求項1に記載のシステム。
前記コンタクトレンズは、前記眼の最平坦角膜経線における曲率よりも2.0ジオプタ〜6.0ジオプタだけ小さい曲率を伴う視覚ゾーンを有する、請求項1に記載のシステム。
前記コンタクトレンズは、前記眼の最平坦角膜経線における曲率から3.5ジオプタ〜5.5ジオプタだけ変動する曲率を伴う視覚ゾーンを有する、請求項1に記載のシステム。
前記システムは、老視、コンピュータ視覚症候群(CVS)、不十分な遠近調節から成る群から選択される眼科的状態を治療するためのものである、請求項1に記載のシステム。
前記システムは、前記コンタクトレンズが前記眼につけられたときに、前記コンタクトレンズと前記眼との間に適用可能な治療薬をさらに含む、請求項5に記載のシステム。
前記治療薬は、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼABC、コンドロイチナーゼAC、エンドB−ガラクトシダーゼ、ストロメライシン、細菌性コラゲナーゼ、間質性コラゲナーゼ、ゼラチナーゼから成る群から選択される1つ以上の軟化剤を含む、請求項6に記載のシステム。
前記コンタクトレンズは、前記眼の最平坦角膜経線における曲率よりも2.0ジオプタ〜6.0ジオプタだけ大きい曲率を伴う視覚ゾーンを有する、請求項11に記載のシステム。
前記コンタクトレンズは、前記眼の最平坦角膜経線における曲率よりも2.0ジオプタ〜6.0ジオプタだけ小さい曲率を伴う視覚ゾーンを有する、請求項11に記載のシステム。
前記コンタクトレンズは、前記眼の最平坦角膜経線における曲率から3.5ジオプタ〜5.5ジオプタだけ変動する曲率を伴う視覚ゾーンを有する、請求項11に記載のシステム。
前記システムは、老視、コンピュータ視覚症候群(CVS)、不十分な遠近調節から成る群から選択される眼科的状態を治療するためのものである、請求項11に記載のシステム。
前記システムは、前記コンタクトレンズが前記眼につけられたときに、前記コンタクトレンズと前記眼との間に適用可能な治療薬をさらに含む、請求項11に記載のシステム。
前記治療薬は、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼABC、コンドロイチナーゼAC、エンドB−ガラクトシダーゼ、ストロメライシン、細菌性コラゲナーゼ、間質性コラゲナーゼ、ゼラチナーゼから成る群から選択される1つ以上の軟化剤を含む、請求項16に記載のシステム。
前記コンタクトレンズは、前記眼の最平坦角膜経線における曲率よりも2.0ジオプタ〜6.0ジオプタだけ大きい曲率を伴う視覚ゾーンを有する、請求項20に記載のシステム。
前記コンタクトレンズは、前記眼の最平坦角膜経線における曲率よりも2.0ジオプタ〜6.0ジオプタだけ小さい曲率を伴う視覚ゾーンを有する、請求項20に記載のシステム。
前記コンタクトレンズは、前記眼の最平坦角膜経線における曲率から3.5ジオプタ〜5.5ジオプタだけ変動する曲率を伴う視覚ゾーンを有する、請求項20に記載のシステム。
前記コンタクトレンズは、前記コンタクトレンズが前記眼につけられたときに、直径が0.5mmよりも大きい気泡が形成されることが防止されるような寸法である、請求項20に記載のシステム。
前記コンタクトレンズは、前記コンタクトレンズが前記眼につけられたときに、前記コンタクトレンズが1mmよりも多く移動しないような寸法である、請求項20に記載のシステム。
前記システムは、老視、コンピュータ視覚症候群(CVS)、不十分な遠近調節から成る群から選択される眼科的状態を治療するためのものである、請求項20に記載のシステム。
前記システムは、前記コンタクトレンズが前記眼につけられたときに、前記コンタクトレンズと前記眼との間に適用可能な治療薬をさらに含む、請求項27に記載のシステム。
前記治療薬は、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼABC、コンドロイチナーゼAC、エンドB−ガラクトシダーゼ、ストロメライシン、細菌性コラゲナーゼ、間質性コラゲナーゼ、ゼラチナーゼから成る群から選択される1つ以上の軟化剤を含む、請求項28に記載のシステム。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、コンタクトレンズが眼に適合させられる様式によって、1つ以上の眼科的状態が治療され得ることを認識している。そのような眼科的状態は、老視、誘発性近視、コンピュータ視覚症候群(CVS)、不十分な遠近調節、または、不十分な遠近調節から生じる他の症状を含み得るが、それらに限定されない。
【0007】
本開示による方法は、角膜の局所構造を測定する技法に基づいて、眼の最平坦角膜経線における曲率半径および眼の角膜の矢状方向深度を決定するステップを伴う。本方法はまた、眼の最平坦角膜経線における曲率から約2.0ジオプタ〜約6.0ジオプタだけ変動する曲率を伴う視覚ゾーンを有するコンタクトレンズを選択するステップを伴ってもよい。コンタクトレンズの視覚ゾーンは、角膜の矢状方向深度に約0.05mm〜約0.25mmの距離を加えたものに等しい曲率半径を有してもよい。コンタクトレンズは、レンズが眼の上に好適に適合させられるときに、約0.05立方mm〜約0.3立方mmの眼の角膜とコンタクトレンズとの間の流体体積(例えば、涙液体積)が維持されるように、選択されてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、眼に対してのコンタクトレンズ適合は、瞬きしても、レンズが眼上で1mmよりも多く移動しないように、十分な量の頂点曲率空間を呈するよう構造化されてもよい。コンタクトレンズはまた、直径が0.5mmよりも大きい気泡がコンタクトレンズと眼の表面との間で形成することが防止されるように、適合させられてもよい。
【0009】
コンタクトレンズは、例えば、網膜上の適切な光屈折、および/または、場合によっては、角膜を再成形する、および/または、対象の不十分な遠近調節を補償することによって、増進した視力矯正を提供する、特定の幾何学形状を伴って構成および配列される種々の領域を有してもよい(例えば、各領域は、曲率および直径のある組み合わせを有する)。コンタクトレンズは、視覚を向上させるために、1つ以上の治療薬(例えば、1つ以上の角膜軟化剤)と組み合わせて使用されてもよい。
【0010】
例証的実施形態では、眼に対してコンタクトレンズを適合させる方法が提供される。本方法は、眼の最平坦角膜経線における曲率半径を決定するステップと、眼の最平坦角膜経線における曲率から約2.0ジオプタ〜約6.0ジオプタだけ変動する曲率を伴う視覚ゾーンを有するコンタクトレンズを選択するステップと、眼の角膜の矢状方向深度を決定し、角膜の矢状方向深度に約0.05mm〜約0.25mmの距離を加えたものに等しい曲率半径を伴う視覚ゾーンを有するコンタクトレンズを選択するステップとを含む。
【0011】
別の例証的実施形態では、眼に対してコンタクトレンズを適合させる方法が提供される。本方法は、眼の最平坦角膜経線における曲率半径を決定するステップと、コンタクトレンズが眼の上に適合させられるときに、眼の角膜とコンタクトレンズとの間の流体体積が約0.05立方mm〜約0.3立方mmに維持されるように、眼の最平坦角膜経線における曲率から約2.0ジオプタ〜約6.0ジオプタだけ変動する曲率を伴う視覚ゾーンを有するコンタクトレンズを選択するステップとを含む。
【0012】
さらなる例証的実施形態では、視力を矯正するためのコンタクトレンズを使用する方法が提供される。本方法は、コンタクトレンズが眼の上に適合させられるときに、眼の角膜とコンタクトレンズとの間の流体体積が約0.05立方mm〜約0.3立方mmに維持されるように、コンタクトレンズを眼の角膜上に配置するステップを含む。コンタクトレンズは、7.0mm〜9.0mmの視覚ゾーン直径と約7.0mm〜約10.0mmの曲率半径とを有する視覚ゾーンと、視覚ゾーンを包囲する内周領域とを含んでもよく、内周領域は、視覚ゾーンの曲率半径よりも約0.5mm〜約1.5mm大きい曲率半径を有する。
【0013】
さらなる実施形態では、眼科的状態を治療するための方法が提供され、本方法は、本明細書で説明されるようなコンタクトレンズを使用し、眼科的状態に罹患しているか、または、罹患している可能性が高い対象の眼に1つ以上の角膜軟化剤を適用するステップを含む。ある実施形態では、治療または予防されている状態は、老視、誘発性近視、コンピュータ視覚症候群(CVS)、不十分な遠近調節、または、不十分な遠近調節と関連付けられる症状である。ある実施形態では、1つ以上の角膜軟化剤は、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼABC、コンドロイチナーゼAC、エンドB−ガラクトシダーゼ(ケラタナーゼ)、ストロメライシン(MM3)、細菌性コラゲナーゼ、間質性コラゲナーゼ(MM1)、および、ゼラチナーゼ(MM2)、および、その組み合わせから成る群から選択される。ある実施形態では、本方法は、ヒアルロニダーゼおよび細菌性コラゲナーゼを眼に適用するステップを含む。ある実施形態では、本方法は、約1〜約10USP単位/mLのヒアルロニダーゼと約5〜約15USP単位/mLの細菌性コラゲナーゼとを眼に適用するステップを含む。
【0014】
本発明の利点、新規の特徴、および、目的は、概略的であり、一定の縮尺で描かれることを目的としていない、添付図面と併せて考慮されるときに、以下の発明を実施するための形態から明白となるであろう。明確にする目的で、全ての構成要素が全ての図中で標識されるわけではなく、本発明の各実施形態の全ての構成要素が示されているわけでもなく、当業者が本発明を理解することを可能にするために例証が必要なわけではない。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
対象の眼に対してコンタクトレンズを適合させる方法であって、前記方法は、
前記眼の最平坦角膜経線における曲率半径を決定することと、
前記眼の最平坦角膜経線における曲率から約2.0ジオプタ〜約6.0ジオプタだけ変動する曲率を伴う視覚ゾーンを有するコンタクトレンズを選択することと、
前記眼の前記角膜の矢状方向深度を決定し、前記角膜の前記矢状方向深度に約0.05mm〜約0.25mmの距離を加えたものに等しい曲率半径を伴う視覚ゾーンを有するコンタクトレンズを選択することと
を含む、方法。
(項目2)
前記コンタクトレンズを選択することは、前記眼の最平坦角膜経線における曲率よりも約2.0ジオプタ〜約6.0ジオプタだけ大きい曲率を伴う視覚ゾーンを有するコンタクトレンズを選択することを含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記コンタクトレンズを選択することは、前記眼の最平坦角膜経線における曲率よりも約2.0ジオプタ〜約6.0ジオプタだけ小さい曲率を伴う視覚ゾーンを有するコンタクトレンズを選択することを含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
コンタクトレンズを選択することは、前記眼の最平坦角膜経線における曲率から約3.5ジオプタ〜約5.5ジオプタだけ変動する曲率を伴う視覚ゾーンを有するコンタクトレンズを選択することを含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
コンタクトレンズを選択することは、前記コンタクトレンズが前記眼の上に適合させられるときに、前記眼の前記角膜と前記コンタクトレンズとの間の流体体積が約0.05立方mm〜約0.3立方mmに維持されるように、コンタクトレンズを選択することを含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
コンタクトレンズを選択することは、前記コンタクトレンズが前記眼の上に適合させられるときに、前記眼が瞬きしても、前記コンタクトレンズが1mmよりも多く移動しないように、コンタクトレンズを選択することを含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
コンタクトレンズを選択することは、前記コンタクトレンズが前記眼の上に適合させられるときに、直径が0.5mmよりも大きい気泡が前記コンタクトレンズと前記眼との間に形成することが防止されるように、コンタクトレンズを選択することを含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
老視、コンピュータ視覚症候群(CVS)、および、不十分な遠近調節から成る群から選択される眼科的状態を治療することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記眼科的状態を治療することは、前記コンタクトレンズが前記眼の上に適合させられるときに、前記コンタクトレンズと前記眼との間に治療薬を適用することを含む、項目8に記載の方法。
(項目10)
対象の眼に対してコンタクトレンズを適合させる方法であって、前記方法は、
前記眼の最平坦角膜経線における曲率半径を決定することと、
前記コンタクトレンズが前記眼の上に適合させられるときに、前記眼の前記角膜と前記コンタクトレンズとの間の流体体積が約0.05立方mm〜約0.3立方mmに維持されるように、前記眼の最平坦角膜経線における曲率から約2.0ジオプタ〜約6.0ジオプタだけ変動する曲率を伴う視覚ゾーンを有するコンタクトレンズを選択することと
を含む、方法。
(項目11)
前記眼の前記角膜と前記コンタクトレンズとの間の前記流体体積は、涙液体積である、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記眼の角膜の矢状方向深度を決定し、前記角膜の前記矢状方向深度に約0.05mm〜約0.25mmの距離を加えたものに等しい曲率半径を伴う視覚ゾーンを有するコンタクトレンズを選択することをさらに含む、項目10に記載の方法。
(項目13)
コンタクトレンズを選択することは、前記眼の最平坦角膜経線における曲率から約3.5ジオプタ〜約5.5ジオプタだけ変動する曲率を伴う視覚ゾーンを有するコンタクトレンズを選択することを含む、項目10に記載の方法。
(項目14)
コンタクトレンズを選択することは、前記コンタクトレンズが前記眼の上に適合させられるときに、前記眼が瞬きしても、前記コンタクトレンズが1mmよりも多く移動しないように、コンタクトレンズを選択することを含む、項目10に記載の方法。
(項目15)
コンタクトレンズを選択することは、前記コンタクトレンズが前記眼の上に適合させられるときに、直径が0.5mmよりも大きい気泡が前記コンタクトレンズと前記眼との間に形成することが防止されるように、コンタクトレンズを選択することを含む、項目10に記載の方法。
(項目16)
老視、コンピュータ視覚症候群(CVS)、および、不十分な遠近調節から成る群から選択される眼科的状態を治療することをさらに含む、項目10に記載の方法。
(項目17)
前記眼科的状態を治療することは、前記コンタクトレンズが前記眼の上に適合させられるときに、前記コンタクトレンズと前記眼との間に治療薬を適用することを含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
コンタクトレンズを使用する方法であって、前記方法は、
前記コンタクトレンズが眼の上に適合させられるときに、前記眼の角膜と前記コンタクトレンズとの間の流体体積が約0.05立方mm〜約0.3立方mmに維持されるように、コンタクトレンズを前記眼の前記角膜上に配置すること
を含み、
前記コンタクトレンズは、
7.0mm〜9.0mmの視覚ゾーン直径と約7.0mm〜約10.0mmの曲率半径とを有する視覚ゾーンと、
前記視覚ゾーンを包囲する内周領域であって、前記内周領域は、前記視覚ゾーンの曲率半径よりも約0.5mm〜約1.5mm大きい曲率半径を有する、内周領域とを備える、方法。
(項目19)
前記コンタクトレンズの前記視覚ゾーンは、前記眼の前記角膜の矢状方向深度に約0.05mm〜約0.25mmの距離を加えたものに等しい曲率半径を有する、項目18に記載の方法。
(項目20)
眼科的状態を治療するための方法であって、前記方法は、項目18に記載のコンタクトレンズを使用し、前記眼科的状態に罹患しているか、または、罹患している可能性が高い対象の眼に1つ以上の角膜軟化剤を適用することを含む、方法。
(項目21)
前記状態は、老視、コンピュータ視覚症候群(CVS)、または、不十分な遠近調節である、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記1つ以上の角膜軟化剤は、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼABC、コンドロイチナーゼAC、エンドB−ガラクトシダーゼ(ケラタナーゼ)、ストロメライシン(MM3)、細菌性コラゲナーゼ、間質性コラゲナーゼ(MM1)、および、ゼラチナーゼ(MM2)から成る群から選択される、項目20に記載の方法。
(項目23)
前記方法は、ヒアルロニダーゼおよび細菌性コラゲナーゼを前記眼に適用することを含む、項目22に記載の方法。
(項目24)
約1〜約10USP単位/mLのヒアルロニダーゼと約5〜約15USP単位/mLの細菌性コラゲナーゼとを前記眼に適用することを含む、項目23に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示は、1つ以上の眼科的状態を治療するためのコンタクトレンズの使用に関する。本明細書で説明される方法は、眼の局所構造に関するコンタクトレンズの種々の領域の幾何学的特徴等のある特性に基づく、改良型視力矯正をもたらし得る。これらの幾何学的特徴は、部分的に、診断適合を組み込む検眼を介して決定されるようなコンタクトレンズの適合および処方に依存し得る。コンタクトレンズの適切な適合および幾何学的形状を決定するための手技およびパラメータが、本明細書で説明され、図で図示される。
【0029】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるコンタクトレンズは、老視を治療するために有用であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書で議論されるコンタクトレンズは、誘発性近視、コンピュータ視覚症候群(CVS)、不十分な遠近調節、および、不十分な遠近調節と関連付けられる症状等の老視とは別である、または、老視に加えた、他の症状を治療するために有用であり得る。場合によっては、本明細書で議論されるある種類のコンタクトレンズは、ある症状を治療するために好ましい。代替として、本明細書で説明されるコンタクトレンズは、いくつかの異なる種類の症状を治療するため使用され得る。
【0030】
本開示によるコンタクトレンズは、それぞれレンズの内面上で異なる曲率を呈する、いくつかの領域を含んでもよい。本開示の側面は、角膜の局所構造との関係に従って、レンズの異なる領域のそれぞれの曲率が選択される、独特の様式に関する。レンズのある領域の幾何学的な組み合わせは、本明細書で議論される症状のうちのいずれかを補正する多焦点面をもたらし得る。
【0031】
適切なコンタクトレンズを選択する際に、レンズの視覚ゾーンは、眼の最平坦角膜経線における曲率から約2.0ジオプタ〜約6.0ジオプタだけ変動する曲率を有するように選択されてもよい。例えば、コンタクトレンズの視覚ゾーンの曲率は、最平坦角膜経線における眼の曲率よりも約2.0ジオプタ〜約6.0ジオプタ(例えば、2.5D、3.0D、3.5D、4.0D、4.5D、5.0D、5.5D)だけ大きく、または、小さくあるように選択されてもよい。コンタクトレンズの視覚ゾーンは、角膜の矢状方向深度に約0.05mm〜約0.25mmの距離を加えたものに等しい曲率半径を有してもよい。
【0032】
レンズが眼の上に適正に適合させられるとき、約0.05立方mm〜約0.3立方mmの眼の角膜とコンタクトレンズとの間の流体体積(例えば、涙液体積)が維持される。加えて、レンズが眼の上に適切に配置されるとき、着用者が瞬きするときに、レンズが眼の上でわずか1mm移動するように、十分な量の頂点曲率空間があってもよい。いくつかの実施形態では、対象の眼に適切に適合させられるとき、コンタクトレンズは、直径が0.5mmよりも大きい気泡がコンタクトレンズと眼との間に形成することが防止されるように構造化される。
【0033】
図1Bは、矢状方向深度SDおよび全体直径Dを有するコンタクトレンズ2の断面図を図示する。全体直径は、
図1Bに示され、コンタクトレンズの外縁表面と同一平面に位置する基準面として画定される、基平面bに沿って測定される。矢状方向深度SDは、基平面bと垂直なコンタクトレンズの頂点から測定される距離である。コンタクトレンズの頂点は、基平面bと平行に及ぶ頂点面を画定する、レンズが最平坦である点である。放射対称性のコンタクトレンズについて、頂点はまた、コンタクトレンズの最高点でもある。
図1Bでは、コンタクトレンズは、略平滑な半球型の形状(例えば、押しつぶされた半球)に一致する弓状表面を有する。しかしながら、本開示によるコンタクトレンズは、正確な半球形に一致するように要求されないことを理解されたい。例えば、本明細書で説明されるように、コンタクトレンズは、相互と異なるそれぞれの曲率を呈する、種々の領域を含んでもよい。
【0034】
本明細書で議論されるように、コンタクトレンズは、「視覚ゾーン」と呼ばれるコンタクトレンズの実質的に中心となる領域を含んでもよい。一般的に言えば、コンタクトレンズが眼の上に適切に配置されるとき、視覚ゾーンは、全てではなくてもほとんどの視力矯正を提供する、コンタクトレンズの一部分である。場合によっては、視覚ゾーンは、視覚に影響を及ぼさないコンタクトレンズの別の部分によって、その周囲を包囲されてもよい。他の場合においては、視覚ゾーンを包囲する部分が、視力矯正および/または適合に寄与してもよい。コンタクトレンズが眼の角膜上に直接静置するため、ある場合には、視覚ゾーンは、眼の瞳孔とほぼ同一の直径を有する。例えば、視覚ゾーン自体および/または視覚ゾーンの縁が、角膜上に静置してもよい。しかし、いくつかの実施形態では、視覚ゾーン以外のコンタクトレンズの領域、および/または、視覚ゾーンの縁が、眼の角膜上に静置してもよい。または、いくつかの実施形態では、流体(例えば、液体、気泡形成、生物活性剤等)がレンズと眼との間の適切な領域で好適に集まるか、または、別様に貯留することを可能にするよう、レンズの視覚ゾーンの複数部分が眼の角膜から離間させられるように、コンタクトレンズ(例えば、剛性ガス透過性レンズ)が眼に適合させられてもよい。したがって、レンズが眼の上に好適に配置されるとき、レンズのある領域は、(例えば、視覚ゾーンの周辺の)眼の表面に接触してもよく、レンズの他の領域(例えば、視覚ゾーン)は、眼の表面から適切な距離にとどまってもよい。
【0035】
視覚ゾーンに加えて、コンタクトレンズは、それぞれ、異なる形状(例えば、曲率)およびサイズ(例えば、幅、直径)を有する、複数の領域を有してもよい。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズの視覚ゾーンは、視力の向上をもたらす、眼に入射する光を屈折させる。視覚ゾーンは、内周領域または中間領域によって包囲されてもよい。内周領域は、外周領域によって包囲されてもよい。種々の領域は、液体(例えば、涙)の適切な貯留部を提供するように成形されてもよい。例えば、コンタクトレンズが眼の上に配置されるとき、視覚ゾーンおよび/または周辺領域のうちの1つは、レンズの下方に好適な涙液体積収集を生じさせる曲率を有してもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、コンタクトレンズは、レンズの中心から離れるほど、曲率が次第に平坦となり得る。例えば、内周領域は、視覚ゾーンより平坦であり得、外周領域は、内周領域よりさらに平坦であり得る。そのような構造は、コンタクトレンズが眼の上で快適かつぴったりと適切に適合することを可能にし得る。しかし、本開示によるコンタクトレンズは、レンズの中心から離れるほど、曲率の次第に平坦となる特性を呈さない場合があることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、内周領域が、視覚ゾーンより平坦であり得る一方で、外周領域は、内周領域より急勾配であり得る。または、内周領域は、視覚ゾーンより急勾配であり得、外周領域は、内周領域より急勾配であり得る。
【0037】
コンタクトレンズは、他の領域、例えば、外周領域を包囲する付加的な領域、内および外周領域の間に位置する領域、または、視覚ゾーンと内周領域との間に位置する領域を含んでもよい。代替として、上記の領域のうちの1つ以上は、種々のコンタクトレンズの実施形態で存在しない場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、コンタクトレンズは、視覚ゾーン、および、単一の周辺領域のみを含んでもよい。
【0038】
コンタクトレンズの領域のそれぞれのうちの1つ以上は、角膜矯正治療に従って角膜を再成形するように機能してもよい。いくつかの実施形態では、眼の上に配置されるとき、コンタクトレンズの種々の領域は、角膜の物理的改変を含んで、圧力を角膜表面に及ぼす。例えば、コンタクトレンズの複数部分(例えば、中心傍領域)は、適合および/または視力の向上をもたらす、一定かつ一様の様式で、適切に急勾配にされてもよい。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズは、角膜の角膜矯正再成形と組み合わせて、または、代替として、角膜の角膜矯正再成形を伴わずに、眼科的状態に罹患している対象の視力を矯正する。いくつかの実施形態では、本明細書で説明され、
図2A−2Dに示されるコンタクトレンズは、老視、誘発性近視、コンピュータ視覚症候群、不十分な遠近調節、または、不十分な遠近調節と関連付けられる症状に罹患している対象の視力を矯正するために有用であり得る。
【0039】
視覚ゾーン、内周領域、および、外周領域のそれぞれは、各領域の内(凹)面によって画定される特定の曲率を有する弧と一致する、基準球体の中心からの距離として決定される、適切な曲率半径を有してもよい。
図2A−2Dで描写されるように、視覚ゾーン、内周領域、および、外周領域のそれぞれは、好適な範囲内に入るそれぞれの幅または直径を有してもよい。
【0040】
図2A−2Cは、異なる幾何学的な構成を有する(例えば、異なる曲率、幅、直径等)を有する、種々の領域を伴うコンタクトレンズ10の例証的実施形態を描写する。コンタクトレンズは、上記のように、視力矯正、または、少なくとも視力矯正の大部分を提供する、コンタクトレンズの主要な部分である、視覚ゾーン12を含む。場合によっては、コンタクトレンズの視覚ゾーンは、コンタクトレンズが眼の上に配置されるときに、好適な流体体積(例えば、涙、生物活性組成物/溶液)がレンズと眼との間に集まるように構造化されてもよい。
図2Bは、フルオレセインマーカによって識別されるようなレンズと眼との間のそのような流体の収集を示す、実施例を描写する。
【0041】
図2Aに示されるように、視覚ゾーン12は、内周領域14によって包囲される。内周領域は、視力矯正を提供する場合もあり、提供しない場合もある。コンタクトレンズの内周領域は、視覚ゾーンの曲率半径より大きい、または、小さい曲率半径を有してもよい。つまり、レンズの内周領域の曲率は、レンズの視覚ゾーンの曲率より急勾配が大きく、または、小さくあり得る。
【0042】
順に、さらに半径方向外向きに移動すると、内周領域14は、外周領域16によって包囲される。外周領域16は、コンタクトレンズの外縁を備えることが
図2Aに示されている。コンタクトレンズの外周領域は、順に、内周領域および視覚ゾーンのそれぞれの曲率半径より大きい(または小さい)曲率半径を有してもよい。
【0043】
内および外周領域の幾何学的構成は、いったん好適に配置されると、大幅なドリフトを伴わずに、コンタクトレンズが角膜を覆って比較的中心にとどまる、眼の角膜上のコンタクトレンズの増進した適合を提供し得る。いくつかの実施形態では、眼の上に配置されるとき、コンタクトレンズ全体が角膜上に位置する。
【0044】
図2Cでさらに示されるように、内周領域14は、視覚ゾーン12の曲率より小さい曲率を呈し、外周領域16は、視覚ゾーンおよび内周領域の両方の曲率より小さい曲率を呈する。換言すると、コンタクトレンズは、コンタクトレンズの中心から離れるほど、徐々に平坦となる。場合によっては、必ずしもそうではないが、そのような特徴は、好適な適合を達成しながら、コンタクトレンズと眼との間の適切な涙液体積の収集を提供し得る。
図2Bは、コンタクトレンズと眼との間に位置する好適な流体体積(例えば、涙液体積)を有する、眼の角膜上に配置されたコンタクトレンズの実施形態を描写する。
【0045】
いくつかの実施形態では、
図2Aおよび2Cに示されるように、第1の中間領域13aは、視覚ゾーン12と内周領域14との間に位置してもよく、第2の中間領域13bは、内周領域14と外周領域16との間に位置してもよい。中間領域13a、13bは、特定の度数の曲率を有するコンタクトレンズの複数部分の間の遷移(例えば、混合遷移領域)として随意に配置される、コンタクトレンズの比較的狭い部分であることが
図2Aおよび2Cに示されている。例えば、第1の中間領域13aは、視覚ゾーン12および内周領域14のそれぞれの幾何学形状(例えば、曲率)の混合を備える、幾何学形状(例えば、曲率)を呈してもよい。したがって、第1の中間領域13aの曲率半径は、視覚ゾーン12および内周領域14のそれぞれの各曲率半径の間であってもよい。第2の中間領域13bの幾何学形状は、内周領域14および外周領域16のそれぞれの幾何学形状の混合を備えてもよい。したがって、第2の中間領域13bの曲率半径は、内周領域14および外周領域16のそれぞれの各曲率半径の間であってもよい。第1および第2の中間領域13a、13bのそれぞれは、典型的には、内または外周領域の幅より小さい、好適な幅を有してもよい。しかしながら、場合によっては、中間領域は、内または外周領域のいずれか一方の幅より大きい幅を有してもよい。
【0046】
記述されるように、コンタクトレンズ内の視覚ゾーンと内/外周領域との間の中間領域の包含は、随意的である。いくつかの実施形態では、視覚ゾーンまたは内および外周領域の間に位置する、中間または遷移領域がない。
図2Dは、内周領域14が視覚ゾーン12を直接包囲し、外周領域16が内周領域14を直接包囲する、例証的実施形態を描写する。
【0047】
処方屈折力および矯正される視覚の種類に応じて、コンタクトレンズは、好適な厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズが処方屈折力を有さない場合、視覚ゾーンのほぼ中心におけるコンタクトレンズの厚さは、約0.18mmである。特定の眼科的状態を矯正するコンタクトレンズにおける正の屈折力の全ジオプタについては、厚さは、約0.02mmだけ増加または減少させられてもよい。例えば、+2ジオプタだけ1つの眼科的状態を矯正するために好適なレンズは、視覚ゾーンのほぼ中心で約0.22mmの厚さを有してもよい。場合によっては、レンズは、概して、外(凸)面より内(凹)面上で、より平坦または急勾配であり得る。別の実施例では、−2ジオプタだけ別の眼科的状態を矯正するために好適なレンズは、視覚ゾーンのほぼ中心で約0.16mmの厚さを有してもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、コンタクトレンズの外縁表面と交差する基準基平面bに沿って測定されるようなコンタクトレンズの全体直径Dは、約9.0mm〜約11.0mm(例えば、9.2mm、9.4mm、9.6mm、9.8mm、10.0mm、10.5mm)である。しかし、場合によっては、コンタクトレンズの全体直径Dは、さらに広い、例えば、約8.0mm〜約12.0mm、約8.5mm〜約11.5mm、約9.0mm〜約11.0mm、約9.5mm〜約10.5mm、または、約9.5mm〜約10.0mmである、好適な範囲内であってもよい。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズの全体直径Dは、視覚ゾーン直径D
OZと関連付けられる。例えば、視覚ゾーン直径D
OZが増加し、他の領域のそれぞれの幅が一定のままである場合、コンタクトレンズの全体直径Dは、比例して増加するであろう。
【0049】
いくつかの実施形態では、
図2A−2Dに示され、基準基平面bと平行に及ぶ弦に沿って測定されるようなコンタクトレンズの視覚ゾーン直径D
OZは、約7.5mm〜約8.5mm(例えば、7.6mm、7.8mm、8.0mm、8.2mm、8.4mm)であってもよい。コンタクトレンズの視覚ゾーン直径D
OZは、適切に変動し、場合によっては、約6.0mm〜約10.0mm、約6.5mm〜約9.5mm、または、約7.0mm約9.0mm等の好適な範囲内にあってもよい。
【0050】
コンタクトレンズの視覚ゾーン12は、眼に向かって対面する、視覚ゾーンの凹面に沿って測定されるような好適な曲率半径(またはベースカーブ半径)によって画定される曲率を有する、ベースカーブを有してもよい。いくつかの実施形態では、視覚ゾーンの曲率の度数は、その頂点における(例えば、最平坦角膜経線における)角膜の曲率の度数より大きい(急勾配である)。換言すると、いくつかの実施形態については、コンタクトレンズの視覚ゾーンの曲率半径は、角膜の頂点における、または、角膜が最平坦である、眼の曲率半径より小さい。そのような構成は、コンタクトレンズと眼との間で好適な流体体積を達成しながら、眼の上でコンタクトレンズの好適な適合を達成するために役立ち得る。
【0051】
角膜の頂点は、角膜の局所構造または角膜曲率測定を使用することによって等、いくつかの技法を使用して決定されてもよい。角膜の局所構造は、概して、角膜の表面局所構造および/または曲率をマップするための非侵襲医療撮像技法を伴う。完璧に放射対称性の角膜上で、頂点は、角膜の幾何学的中心に、および、その最高点に位置するが、頂点の場所は、個人によって変動し得る。
【0052】
本明細書で説明される方法によると、選択されたコンタクトレンズの視覚ゾーンは、角膜の頂点(または最平坦角膜曲率測定を有する角膜の領域)における眼の曲率より度数が大きい、または、小さい曲率を有してもよい。いくつかの実施形態では、視覚ゾーンの曲率の度数は、その頂点における(またはその最平坦角膜曲率測定における)曲率の度数と約2.0ジオプタ〜6.0ジオプタだけ異なってもよい。どのような種類の視力矯正が所望されるかに応じて、それに従ってコンタクトレンズの視覚ゾーンの曲率が選択されてもよい。例えば、コンタクトレンズの視覚ゾーンの曲率は、最平坦角膜経線の眼の曲率よりも約2.0ジオプタ〜約6.0ジオプタ(例えば、2.5D、3.0D、3.5D、4.0D、4.5D、5.0D、5.5D)だけ大きくあり得る。代替として、場合によっては、コンタクトレンズの視覚ゾーンの曲率は、最平坦角膜経線の眼の曲率よりも約2.0ジオプタ〜約6.0ジオプタ(例えば、2.5D、3.0D、3.5D、4.0D、4.5D、5.0D、5.5D)だけ小さくあり得る。
【0053】
角膜の頂点における眼の曲率と比較した、コンタクトレンズの視覚ゾーンの曲率の調整の範囲は、適切に変動し得ることを理解されたい。例えば、コンタクトレンズの視覚ゾーンと角膜の頂点における眼との間の曲率の調整範囲は、約2.0ジオプタ〜約7.0ジオプタ、約2.5ジオプタ〜約6.5ジオプタ、約3.0ジオプタ〜約6.0ジオプタ、または、約3.5ジオプタ〜約5.5ジオプタであってもよい。
【0054】
表1は、角膜測定器から提供されるジオプタ測定値に基づく、視覚ゾーンの曲率半径およびコンタクトレンズの全体的なコンタクトレンズ直径の対応する値の一覧を提供する。したがって、視覚ゾーン内の角膜測定ジオプタの増加は、視覚ゾーンの曲率半径の減少(より大きい度数の曲率につながる)およびコンタクトレンズの全体直径Dの減少に対応する。逆に、視覚ゾーン内の角膜測定ジオプタの減少は、視覚ゾーンの曲率半径の増加(より小さい度数の曲率につながる)およびコンタクトレンズの全体直径Dの増加に対応する。
【表1】
【0055】
コンタクトレンズの視覚ゾーンは、好適な範囲内に入るベースカーブ曲率半径を有し得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、視覚ゾーンの曲率半径は、約5.0mm〜約11.0mm、約6.0mm〜約10.0mm、約7.0mm〜約10.0mm、または、約7.0mm〜約9.0mmである。
【0056】
本開示の側面は、長期間にわたって老視または他の眼科的状態を効果的に治療するための非外科的な非侵襲方法を提供する。いくつかの実施形態では、角膜矯正方法は、角膜の形状を変化させる(したがって、屈折力を変化させる)、眼をコンタクトレンズに適合させる双方向技法を通して、角膜の光屈折力を含む、角膜の生理学を変化させるために使用される。いくつかの実施形態では、処方されたコンタクトレンズが、角膜を再成形する様式で装着され、患者のために製剤化される医薬組成物が、部分的に、角膜の再成形を可能にするように投与される。コンタクトレンズは、後および前曲率の異なるベースカーブ、視覚ゾーンの光学直径、および、視覚ゾーンの周囲の複数の領域等のいくつかの要因に基づいて選択されてもよい。場合によっては、コンタクトレンズは、圧力を角膜表面に及ぼし、それによって、同心円状に中心傍角膜の複数部分を急勾配にする。
【0057】
いくつかの実施形態では、コンタクトレンズの視覚ゾーンの曲率半径は、角膜の矢状方向深度に対して決定される。実施例では、8.0mmの視覚ゾーン直径を有するコンタクトレンズについては、視覚ゾーンは、0.1511mm +/− 0.0285mmを加えた角膜の矢状方向深度に等しい曲率半径を有する。いくつかの実施形態では、視覚ゾーンは、約0.01mm〜約0.4mm、約0.03mm〜約0.35mm、約0.04mm〜約0.3mm、約0.05mm〜約0.25mm、約0.07mm〜約0.23mm、約0.1mm〜約0.2mm、約0.1mm〜約0.15mm、約0.15mm〜約0.2mm、または、約0.12mm〜約0.18mmの距離を加えた、角膜の矢状方向深度に等しい曲率半径を有してもよい。レンズの視覚ゾーンの曲率半径は、上記の範囲外で変動し得、かつ種々の視覚ゾーン直径を有するコンタクトレンズ、および、広範囲の矢状方向深度値を呈する角膜を伴う眼に適用可能であり得ることを理解されたい。
【0058】
(例えば、8.0mmのD
OZを有する)視覚ゾーン直径にわたる角膜の矢状方向深度(Sag)は、以下の式に従って決定され得る。
【数1】
式中、R
o=頂点半径、y=
1/
2弦直径、e=角膜偏心度である。そのような値は、眼の局所構造を決定するための当技術分野で公知の方法に従って測定されてもよい。角膜偏心度は、例えば、角膜の局所構造または角膜測定器によって得られる測定値に基づいて、楕円を角膜の局所構造に適合させることによって決定されてもよい。一般に、角膜偏心度が大きくなるほど、角膜の矢状方向深度が低くなる。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズの視覚ゾーンの曲率半径は、角膜の偏心度に対して決定される。
【0059】
コンタクトレンズの矢状方向深度SDは、望ましい適合および流体/涙液体積を達成するよう、角膜の矢状方向深度から適切に変動し得る。例えば、コンタクトレンズの矢状方向深度SDが過剰である場合、コンタクトレンズが眼の上に配置された後に、気泡が望ましくないほど生じる有意な可能性とともに、流体が偏って貯留し得る。コンタクトレンズの矢状方向深度SDが不十分である場合、コンタクトレンズは、眼の上で良好に適合しない場合があり、レンズの不適切な整合および/または角膜上のコンタクトレンズの揺動につながる。したがって、眼の上のコンタクトレンズの適合は、少なくとも部分的に、コンタクトレンズの視覚ゾーンの曲率に対する角膜の矢状方向深度および/または偏心度に依存し得る。
【0060】
上記で議論されるように、眼に対してのコンタクトレンズの幾何学的構成は、角膜とコンタクトレンズの視覚ゾーンとの間で好適な期間にわたって維持される流体体積(例えば、涙液体積)をもたらし得る。実施例では、そのような流体体積は、約0.183立方mm +/− 0.047立方mmであってもよい。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズが眼の上に配置されるとき、角膜とコンタクトレンズの視覚ゾーンとの間の流体体積は、約0.01立方mm〜約0.5立方mm、約0.03立方mm〜約0.45立方mm、約0.04立方mm〜約0.4立方mm、約0.05立方mm〜約0.3立方mm、約0.1立方mm〜約0.25立方mm、約0.05立方mm〜約0.2立方mm、約0.2立方mm〜約0.3立方mm、または、約0.12立方mm〜約0.23立方mmの量で維持される。流体/涙液体積は、長期間、例えば、以下でさらに説明される治療期間のうちのいずれかにわたって、角膜とコンタクトレンズとの間で維持されてもよい。コンタクトレンズが眼の上に好適に適合させられるとき、眼の角膜とコンタクトレンズとの間で維持される流体/涙液体積は、上記の範囲外で変動し得ることを理解されたい。
【0061】
本明細書で説明されるコンタクトレンズは、角膜の全体的局所構造に基づいて、対象の眼の上に適合させられてもよい。つまり、診断適合において、最平坦角膜曲率測定における曲率のほかに、矢状方向深度および角膜偏心度等の角膜の他の側面が考慮される。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズは、流体がコンタクトレンズと角膜との間で中心に貯留することができるように適合させられ、これは、場合によっては、従来のガス透過性コンタクトレンズが適合させられる方法と対照的であり得る。適切な量の流体/涙がコンタクトレンズと角膜との間で捕捉されるか、または、別様に維持されることを可能にすることに加えて、瞬きしても、レンズが眼の上で1mm以上(または0.2mm以上、0.4mm以上、0.6mm以上、0.8mm以上、1.2mm以上、1.4mm以上、1.6mm以上、1.8mm以上、2mm以上、2.5mm以上等)移動しないように、レンズの十分な頂点曲率空間が達成されてもよい。特定の量の流体がコンタクトレンズと角膜との間で維持されるとき、周辺環境とレンズおよび眼の間の空間との間の流体およびガス交換が起こり得ることを理解されたい。さらに、コンタクトレンズのそのような適合は、直径が0.5mmよりも大きい(または0.2mmよりも大きい、0.4mmよりも大きい、0.6mmよりも大きい、0.8mmよりも大きい、1mmよりも大きい等)気泡がコンタクトレンズと眼の表面との間で形成することが防止されるようなものであってもよい。
【0062】
コンタクトレンズの内周領域14は、一貫してコンタクトレンズの円周の周囲で基平面bと平行に及ぶ基準方向に沿って測定されるような好適な幅W
1を有してもよい。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズの内周領域の幅W
1は、約0.35mm〜約0.45mm(例えば、0.36mm、0.38mm、0.4mm、0.42mm、0.44mm)である。内周領域の幅W
1は、上記の範囲より広い、例えば、約0.10mm〜約0.70mm、約0.20mm〜約0.60mm、約0.25mm〜約0.55mm、または、約0.30mm〜約0.50mmである、適切な範囲内にあってもよい。幅W
1の他の値も可能であることを理解されたい。
【0063】
コンタクトレンズの内周領域14はまた、眼に向かって対面する、内周領域の凹面に沿って測定されるような好適な曲率半径を有してもよい。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズの内周領域14の曲率半径は、内周領域が包囲する視覚ゾーン12の曲率半径より大きい。つまり、内周領域14の曲率の度数は、視覚ゾーン12の曲率の度数より小さくあり得る。場合によっては、内周領域の曲率は、流体が、実質的にコンタクトレンズの視覚ゾーンと角膜との直接的に間の領域で蓄積しないように、涙液貯留部のための空間を提供してもよい。しかし、他の幾何学形状も可能であり、例えば、内周領域14の曲率の度数が、視覚ゾーン12の曲率の度数より大きくあり得ることを理解されたい。
【0064】
いくつかの実施形態では、コンタクトレンズの内周領域14は、コンタクトレンズの視覚ゾーンの曲率半径より約0.7mm〜約1.2mm(例えば、0.7mm、0.9mm、1.1mm)の量だけ大きい、曲率半径を有してもよい。内周領域14の曲率半径が視覚ゾーンの曲率半径より大きい量は、上記の範囲外で変動し得る。例えば、コンタクトレンズの内周領域の曲率半径は、視覚ゾーンの曲率半径より約0.1mm〜約2.0mm、約0.3mm〜約1.5mm、または、約0.5mm〜約1.5mmの範囲だけ大きくあり得る。いくつかの実施形態では、内周領域14の曲率半径は、約5.5mm〜約12.0mm、約6.0mm〜約11.5mm、約7.0mm〜約10.5mm、約8.0mm〜約10.0mm(例えば、8.5mm、9.0mm、9.5mm)、または、任意の他の好適な範囲である。
【0065】
図2Aおよび2Cに示されるように、コンタクトレンズの外周領域16は、視覚ゾーン12および内周領域14の両方を包囲する。外周領域16は、一貫してコンタクトレンズの円周の周囲で基平面bと平行に及ぶ基準方向に沿って測定されるような好適な幅W
2を有してもよい。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズの外周領域の幅W
2は、約0.35mm〜約0.45mm(例えば、0.36mm、0.38mm、0.4mm、0.42mm、0.44mm)である。外周領域の幅W
2は、約0.20mm〜約0.60mm、約0.25mm〜約0.55mm、または、約0.30mm〜約0.50mm等の適切な範囲内にあってもよい。幅W
2の他の値が可能であることを理解されたい。
【0066】
コンタクトレンズの外周領域16はまた、眼に向かって対面する、外周領域の凹面に沿って測定されるような好適な曲率半径を有してもよい。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズの外周領域16は、約10.8mm〜約11.8mm(例えば、10.8mm、11.0mm、11.3mm、11.5mm、11.8mm)に及ぶ、曲率半径を有してもよい。外周領域16の曲率半径は、上記の範囲外で変動し得る。例えば、コンタクトレンズの外周領域の曲率半径は、約9.0mm〜約14.0mm、約9.5mm〜約13.0mm、約10.0mm〜約12.5mm、約10.5mm〜約12.0mm、または、任意の他の好適な範囲であってもよい。
【0067】
内周領域に関して以前に記述されたものと同様に、外周領域の曲率半径は、視覚ゾーンの曲率半径に従って変動し得る。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズの外周領域16の曲率半径は、コンタクトレンズの視覚ゾーンの曲率半径より約2.0mm〜約5.0mm(例えば、2.5mm、3.0mm、3.5mm、4.0mm、4.5mm)だけ大きい、曲率半径を有してもよい。または、外周領域の曲率半径は、視覚ゾーンの曲率半径より約1.0mm〜約6.0mmまたは約1.5mm〜約5.5mmの範囲だけ大きくあり得る。例えば、視覚ゾーンの曲率半径が約7.0mm〜約7.5mmであるとき、外周領域の曲率半径は、約11.0であってもよい。別の実施形態として、視覚ゾーンの曲率半径が約7.5mm〜約8.5mmであるとき、外周領域の曲率半径は、約11.5であってもよい。
【0068】
診断レンズ適合が、好適なコンタクトレンズが選択されるために、コンタクトレンズとレンズが着座するであろう角膜との間の適切な関係を決定するように使用されてもよい。理想的なコンタクトレンズ適合は、完璧またはほぼ完璧に中心に置かれる、瞬きすると1mm以下(例えば、0.5mm〜1.0mm)移動する、過剰な気泡形成を生じない、および、頂点曲率空間を呈する、コンタクトレンズを伴う。頂点曲率空間は、好適な距離がコンタクトレンズの後面と角膜の頂点との間に存在するときに生じる。上記のように、コンタクトレンズは、頂点曲率空間を呈してもよいが、コンタクトレンズと眼との間の適正な適合はまた、コンタクトレンズの視覚ゾーンと眼との間で、直径が0.5mmを超える、または、直径が1.0mmを超える気泡の形成も防止する。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズは、眼の上で可能な限り急勾配である一方で、視覚ゾーンと眼との間に0.5mm〜1.0mmよりも大きい直径を有する気泡を有していないように選択される。
【0069】
角膜矯正治療に適し得るコンタクトレンズ20が、
図3A−3Bで図示されている。示されるように、視覚ゾーン22は、内周領域24によって包囲される。いくつかの実施形態では、視覚ゾーン22および/または内周領域24は、視覚に悪影響を及ぼすことなく、液体(例えば、涙)が蓄積するための貯留部を提供するように成形される。内周領域24は、中間領域26によって包囲されてもよい。中間領域26は、外周領域28によって包囲されてもよい。中間26および外周領域28は、コンタクトレンズが眼の上でしっかりと快適に適切に適合するために成形されてもよい。記述される領域のそれぞれは、全体的な視覚の向上に寄与する、ある幾何学形状を有してもよい。他の領域が含まれてもよく、ある領域が除外されてもよい。眼の上に適切に配置されるとき、レンズの視覚ゾーンは、網膜上で集束される、眼に入射する光の大部分を屈折させ、視力を向上させるよう、角膜上に直接静置してもよい。
【0070】
視覚ゾーン22は、レンズの内(凹)面におけるベースカーブ半径(すなわち、曲率半径)およびレンズの外(凸)面におけるパワーカーブによって定義される、曲率を有するベースカーブを含む。ベースカーブ半径は、主に、眼の上のコンタクトレンズの適合に応じて変動するであろう。パワーカーブは、コンタクトレンズの全体厚に影響を及ぼす、レンズの処方に依存して変動するであろう。種々の実施形態では、コンタクトレンズの視覚ゾーンは、コンタクトレンズ処方の屈折力に依存する厚さを有してもよい。例えば、ある眼科的状態を矯正するとき、視覚ゾーンの厚さは、より大きく、または、小さくあり得る。
【0071】
図3A−3Bで図示されるコンタクトレンズの内周領域24は、視覚ゾーンより大きい度数の曲率を呈する。そのような領域は、逆カーブ半径を有するものとして示されている。つまり、内周領域24の曲率半径は、視覚ゾーンの曲率半径より小さい。いくつかの実施形態では、そのような構造は、好適な涙液体積が視覚ゾーンの周囲に集まることを可能にする、涙液貯留部を形成してもよい。
【0072】
中間領域26および外周領域28は、それぞれ、眼の上のコンタクトレンズの適切な適合を可能にする、好適な度数の曲率を呈してもよい。いくつかの実施形態では、
図3Bに示されるように、中間および外周領域26、28のそれぞれの曲率半径は、内周領域24の曲率半径より大きい。
【0073】
上記でさらに記述されるように、本明細書で説明されるコンタクトレンズおよび診断適合技法は、老視および/または他の眼科的状態を矯正することに適し得る。コンタクトレンズを適合させ、処方することは、部分的に、眼の形状、および、矯正される視覚の種類(すなわち、とりわけ、老視、誘発性近視、コンピュータ視覚症候群)に依存する。検眼は、概して、眼の局所構造を測定し、両眼について、および、別々に各眼について、好適なレベルの視力を達成するために、どの程度の光学補正が必要とされるかを決定することを伴う。コンタクトレンズ処方は、多くの場合、コンタクトレンズに使用されることが推奨される材料、ベースカーブ半径(すなわち、視覚ゾーンの凹内面の曲率半径)、コンタクトレンズの全体直径D、ジオプタ単位のレンズの屈折力、および、コンタクトレンズの中心の厚さの記録を含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、老視等のある症状を矯正するとき、コンタクトレンズは、眼の上で可能な限り急勾配の曲率を呈する一方で、気泡(または閾値サイズより大きい気泡)の形成を生じさせないように選択される。コンタクトレンズはまた、好適に眼の上で中心となり、瞬き毎に0.5mm〜1.0mm以下移動するように、選択されるであろう。適合手技中に、角膜の曲率および偏心度を査定するように、眼の局所構造マップが得られてもよい。対象に初期適合を提供するために、眼の局所構造マップに基づく曲率の適切な調整を有する、診断レンズが使用されてもよい。次いで、レンズの適正な屈折力を決定するように、過剰屈折が査定されてもよい。例えば、実施例1でさらに議論されるように、最平坦角膜曲率測定法における眼が、40.6Dの曲率および0.22の偏心度(非球面性)を有すると決定される場合、45Dの診断レンズが、最初に患者に適合するために使用されてもよい。頂点曲率空間等の適合の種々の側面が、適切な診断方法に基づいて(例えば、フルオレセイン撮像を使用して)査定されてもよい。次いで、過剰屈折のレベルが決定される。例えば、診断レンズの屈折力が−5.5Dであり、過剰屈折が+1.25Dであると決定される場合には、−4.25Dの屈折力を有するコンタクトレンズが、適切な適合寸法を伴って、最終処方で選択されてもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、1つ以上の眼科的状態を矯正するとき、検眼は、コンタクトレンズの視覚ゾーンの凹面の好適な処方および曲率半径を決定することを伴ってもよい。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズの視覚ゾーンのベースカーブ曲率半径は、最初に、最平坦角膜曲率測定において(角膜の頂点において)角膜の曲率半径をジオプタ単位で測定することによって、決定される。後に、ジオプタ単位の屈折力と視覚ゾーンの曲率半径との間の関係を決定するように表1を参照して、視覚ゾーンの曲率半径の好適な調整量または曲率補正値が追加される(例えば、3.5ジオプタ〜5.5ジオプタ、3.50ジオプタ)。例えば、最平坦角膜曲率測定が41.50ジオプタであると決定される場合、好適な調整量としての3.50ジオプタの追加は、合計45.00ジオプタにつながる。表1に基づいて、45.00ジオプタは、7.50mmの視覚ゾーンの凹面の曲率半径と同等である。
【0076】
コンタクトレンズは、視力矯正を提供するよう、眼の上のコンタクトレンズの快適な配置を可能にする、任意の好適な材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズは、適切な程度の透過性を有する、ガス透過性材料で構成される。例えば、コンタクトレンズは、実質的なガス透過性を呈する、シロキサニルフルオロメタクリレート共重合体から作製されてもよい(例えば、厚さ当たりの透過率として測定される、100より大きい透過性を有するBOSTON XO)。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズは、約50〜約500、約100〜約400、または、約150〜約300の厚さ当たりの透過率を有する、ガス透過性材料から成る。
【0077】
コンタクトレンズは、任意の好適な方法によって製造されてもよい。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズは、回転成形され、液体シリコーンまたは別の好適な材料が、高速で回転金型の中で回転させられる。または同様に、溶融レンズ材料が、回転金型に追加され、遠心力によって成形されてもよい。代替として、コンタクトレンズは、旋盤における円筒形ディスクの切断、および、細かい研削材を用いたレンズの凹凸面の研磨によって、ダイヤモンド旋盤加工されてもよい。そのようなプロセスは、剛性および軟性レンズの両方を形成するために使用されてもよい。場合によっては、コンタクトレンズは、射出成形によって製造されてもよい。例えば、コンタクトレンズ材料は、鋳造および成形プロセスの全体を通して加湿され、形成するように適切に水和させられてもよい。他の製造方法が採用されてもよい。コンタクトレンズを作製するための従来の方法は、それぞれ、その全体で参照することにより本明細書に組み込まれる、「Contact Lens and Method for Making the Same」と題された米国特許第5,815,237号、「Process and Apparatus for the Manufacture of a Contact Lens」と題された米国特許第5,894,002号、および、「Contact Lens Manufacture」と題された米国特許第7,346,416号で開示されている。
【0078】
治療方法
本開示から理解されるように、本開示はさらに、対象が罹患しているか、または、罹患している可能性が高い、眼科的状態の治療のための眼への1つ以上の角膜軟化剤と組み合わせたコンタクトレンズの使用および適合に関する。そのような治療方法は、コンタクトレンズおよび1つ以上の角膜軟化剤を対象の眼に適用することを含む。ある実施形態では、治療方法はさらに、1つ以上の治療薬を対象の眼に適用することを含む。ある実施形態では、眼科的状態は、一方の眼または両方の眼に存在し得る。
【0079】
本明細書で使用されるように、角膜軟化剤および治療薬(「作用物質」)との関連での「適用すること」とは、1つ以上の作用物質を局所的に眼に投与すること、または、眼(例えば、眼の角膜)に注入することを指す。コンタクトレンズとの関連での「適用すること」とは、レンズを眼の上に配置することを指す。
【0080】
ある実施形態では、治療方法は、1つ以上の作用物質の有効量を適用することを含む。本明細書で使用されるように、「有効量」は、所望の生物学的応答、例えば、角膜軟化剤の場合、角膜の再成形を引き起こし、それによって、患者の視覚(例えば、近見および/または遠見視力)を向上させるために必要な1つ以上の作用物質の量を指す。当業者によって理解されるように、作用物質の有効量は、所望の生物学的終点、治療されている症状、投与方法、ならびに対象の年齢、健康、および、症状等の要因に応じて、変動し得る。有効量は、治療処置および予防(予防的)治療を包含する。
【0081】
本明細書で使用されるように、別様に特定されない限り、「治療する」、「治療すること」、および、「治療」という用語は、症状の重症度を低減させ、または、症状の進行を遅らせるか、または、減速する、対象が特定症状に罹患している間に起こる作用(「治療処置」)を考慮し、また、対象が症状に罹患する前に起こり、症状の重症度を阻止または低減させる、作用(「予防治療」)も考慮する。
【0082】
本明細書で使用されるように、別様に特定されない限り、「治療的有効量」は、症状の治療において治療的利益を提供するため、または、症状と関連付けられる1つ以上の兆候を遅延あるいは最小限化するために十分な作用物質または作用物質の組み合わせの量を指す。「治療的有効量」という用語は、全体的な治療を向上させ、症状の兆候または原因を低減させるか、または、回避し、あるいは別の作用物質の治療効果を増進する、量を包含することができる。
【0083】
本明細書で使用されるように、別様に特定されない限り、「予防的有効量」は、症状または症状と関連付けられる1つ以上の兆候を予防するため、あるいは再発を予防するために十分な作用物質または作用物質の組み合わせの量を指す。「予防的有効量」という用語は、全体的な予防を向上させるか、または、別の予防薬の予防効果を増進する、量を包含することができる。
【0084】
投与が考慮される「対象」は、人間の対象(すなわち、任意の年齢群の男性または女性、例えば、小児対象(例えば、2歳〜10歳の小児、11歳〜19歳の青少年)、または、成人対象(例えば、20歳〜40歳の若年成人、41歳〜64歳の中年成人、または、65歳〜100の老人))を含む。他の人間以外の動物、例えば、哺乳類(例えば、霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル))、ならびにウサギ、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、および、イヌ等の商業関連哺乳類もまた、対象として考慮される。人間以外の動物は、雄または雌で、任意の発育段階であってもよい。
【0085】
治療の中止時に、角膜矯正治療と異なり、症状および治療前兆候は、24時間〜48時間以内に戻ることが予期されないが、代わりに、治療が終了した後の1ヶ月(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または、12ヶ月)以降に戻ることが予期される。症状および治療前兆候が戻るときに、対象は、治療方法を繰り返すことを選択してもよい。ある実施形態では、治療は、少なくとも1ヶ月〜少なくとも1年にわたって、少なくとも2ヶ月〜少なくとも1年にわたって、少なくとも3ヶ月〜少なくとも1年にわたって、少なくとも4ヶ月〜少なくとも1年にわたって、少なくとも5ヶ月〜少なくとも1年にわたって、少なくとも6ヶ月〜少なくとも1年にわたって、少なくとも7ヶ月〜少なくとも1年にわたって、少なくとも8ヶ月〜少なくとも1年にわたって、少なくとも9ヶ月〜少なくとも1年にわたって、少なくとも10ヶ月〜少なくとも1年にわたって、または、少なくとも11ヶ月〜少なくとも1年にわたって、矯正された視力をもたらし、例えば、治療は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または、12ヶ月にわたって、矯正された視力をもたらす。ある実施形態では、治療は、1年にわたって、例えば、1年にわたって、2年にわたって、3年にわたって、4年にわたって、または、5年にわたって、矯正された視力をもたらす。
【0086】
ある実施形態では、治療期間(すなわち、その間に本方法が実践される期間)は、3日〜14日、例えば、3日〜10日、3日〜7日、4日〜7日、4日〜6日、3日〜6日、または、3日〜5日であり、例えば、治療期間は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または、14日である。しかしながら、ある実施形態では、治療期間は、14日より長い、例えば、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、または、さらに5週間より長い。
【0087】
ある実施形態では、治療方法は、治療期間中に1日当たり約1時間〜24時間にわたって、例えば、約1時間〜約18時間にわたって、約1時間〜約15時間にわたって、約1時間〜約10時間にわたって、約1時間〜約8時間にわたって、約1時間〜約6時間にわたって、約1時間〜約4時間にわたって、約1時間〜約2時間にわたって、約2時間〜約18時間にわたって、約2時間〜約15時間にわたって、約2時間〜約10時間にわたって、約2時間〜約8時間にわたって、約2時間〜約6時間にわたって、または、約2時間〜約4時間にわたって、コンタクトレンズを眼に適用するステップを含み、例えば、本方法は、治療期間中に1日当たり約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または、24時間にわたって、コンタクトレンズを眼に適用するステップを含む。
【0088】
ある実施形態では、治療方法は、治療期間中に毎日コンタクトレンズを装着するステップを含む。ある実施形態では、本方法は、治療期間中に1日おきに(交互に)コンタクトレンズを装着するステップを含む。ある実施形態では、本方法は、例えば、睡眠中に、夜間装着用のコンタクトレンズを装着するステップを含む。
【0089】
ある実施形態では、1つ以上の角膜軟化剤は、対象がコンタクトレンズを装着している時間の間に、毎日1回以上適用される。ある実施形態では、1つ以上の角膜軟化剤は、対象がコンタクトレンズを装着している時間の間に、毎日1回、2回、3回、4回、または、5回適用される。他の実施形態では、1つ以上の角膜軟化剤は、対象がコンタクトレンズを装着している時間の間に、5分毎、15分毎、30分毎、1時間毎、2時間毎、または、3時間毎に適用される。1つ以上の角膜軟化剤の使用は、対象がコンタクトレンズを装着する限り継続される。ある実施形態では、1つの角膜軟化剤、または、2つあるいは3つの異なる角膜軟化剤の組み合わせが、治療期間中に適用される。
【0090】
上記で概して説明されるように、ある実施形態では、1つ以上の角膜軟化剤は、1つ以上の治療薬と組み合わせて適用される。ある実施形態では、1つ以上の治療薬は、対象がコンタクトレンズを装着している時間の間に、毎日1回、2回、3回、4回、または、5回適用される。他の実施形態では、1つ以上の治療薬は、対象がコンタクトレンズを装着している時間の間に、5分毎、15分毎、30分毎、1時間毎、2時間毎、または、3時間毎に適用される。1つ以上の治療薬の使用は、対象がコンタクトレンズを装着する限り継続される。ある実施形態では、1つの治療薬、または、2つあるいは3つの異なる治療薬の組み合わせが、治療期間中に適用される。ある実施形態では、1つ以上の治療薬は、1つ以上の角膜軟化剤と同一の時間スケジュールで眼に適用されるか、または、異なる時間スケジュールで適用される。
【0091】
ある実施形態では、1つ以上の角膜軟化剤は、眼への作用物質の持続放出(例えば、連続送達)を可能にするように、コンタクトレンズ上に含浸またはコーティングされ、したがって、次いで、眼への1つ以上の角膜軟化剤の付加的な適用は、随意的にすぎない。
【0092】
ある実施形態では、治療されている眼科的状態は、老視、不十分な遠近調節、または、不十分な遠近調節と関連付けられる症状である。遠近調節不全(AI)とも称される、不十分な遠近調節は、眼の物体上の集束特性の不能を伴う。視覚の遠近調節は、眼に近づくにつれて物体上で明確な結像(焦点)を維持するように、眼が屈折力を増加させるプロセスである。小児対象の眼は、350ミリ秒で眼から7cmまでの距離から焦点を変化させることができる。約15ジオプタ(1ジオプタはメートル単位の焦点距離で除算した1)の眼の屈折力のこの劇的な変化は、毛様筋収縮によって誘発される毛様小体張力の低減の結果として起こる。遠近調節の振幅は、年齢とともに減退する。中年までに、対象の眼の水晶体は、焦点を合わせる能力を失い、間近で物体を見ることが困難になる。これが起こるときに、対象は老視である。いったん老視が起こると、正視である(遠視力のための光学補正を必要としない)人々は、近見視力のための視覚補助具を必要とし、近視である(近眼であり、遠視力のための光学補正を必要とする)人々は、距離補正を伴わずに近くでより良く見えることを見出し、遠視である(遠視眼である)人々は、遠視力および近見視力の両方のために補正を必要とし得ることを見出すであろう。加齢に伴う遠近調節の減退は、ほぼ普遍的に、60歳までに起こり、人口の大部分は、近くの物体に焦点を合わせる能力の減少に気付くであろう。老視および不十分な遠近調節の例示的な兆候は、近くの物体に対する集束能力の減少(ぼやけた近見視力)、眼精疲労(眼の疲れ)、および、頭痛を含むが、それらに限定されない。ある実施形態では、老視または不十分な遠近調節を伴う対象は、コンタクトレンズの使用に先立って症状を矯正するように、強膜拡張バンド、PresbyLASIK、または、伝導性角膜形成術等の外科的治療を選び得る。
【0093】
ある実施形態では、治療されている眼科的状態は、近視に向かった屈折偏移(例えば、近眼に向かった誘発偏移)が引き起こされ、惹起条件または作用物質に依存する、後天性近視としても知られている、誘発性近視である。近視を誘発する例示的な条件または作用物質は、加齢に伴う核性白内障、スルホンアミド等の薬剤への暴露、および、血糖値の変動性を含むが、それらに限定されない。ある実施形態では、本明細書で説明される方法は、誘発性近視の予防を対象とする。
【0094】
ある実施形態では、治療されている眼科的状態は、コンピュータ視覚症候群であるか、または、コンピュータ視覚症候群によって引き起こされる。コンピュータ視覚症候群(CVS)は、長期の途切れない期間にわたってコンピュータディスプレイに眼の焦点を合わせることに起因する症状である。CVSの例示的な兆候は、頭痛、ぼやけた視界、頸部痛、眼の充血、疲労感、眼精疲労(眼の疲れ)、ドライアイ、眼の痛み、複視、多視、および、集束能力の減少(眼の焦点を再び焦ることの困難)を含む。これらの兆候はさらに、不適切な照明条件(例えば、まぶしい光、または、明るい天井照明)または眼を通過する空気(例えば、天井通気孔、ファンからの直接空気)によって悪化させられ得る。
【0095】
ある実施形態では、治療方法は、角膜の生理学および生体構造の変化を誘発するステップを含む。ある実施形態では、本方法は、治療された眼の角膜の屈折力を変化させるステップを含む。ある実施形態では、本方法は、眼の前面の曲率半径を変化させるステップを含む。ある実施形態では、治療は、対象の近見視力を、例えば、イェーガー検査スケール、すなわち、J1、J2=フォントサイズ4(小活字印刷物)、J2、J3=フォントサイズ5(株券)、J4/J5=フォントサイズ6(電話帳)、J6=フォントサイズ8(新聞)、J8=フォントサイズ10(成人向けの書籍)、J9−J11=フォントサイズ14(子供向けの書籍)、J11、J12=フォントサイズ18(大活字印刷物)によって測定されるような、例えば、1、2、3、4、または、5本のイェーガー線だけ矯正する。ある実施形態では、本方法は、実質的に遠見視力を減退させることなく、対象の近見視力を矯正する。ある実施形態では、本方法は、遠見視力を減退させることなく、対象の近見視力を矯正する。ある実施形態では、本方法は、対象の遠見視力を矯正する。ある実施形態では、本方法は、治療された対象の近見視力および遠見視力の両方を矯正する。
【0096】
ある実施形態では、上記の方法のうちのいずれかでは、治療方法は、第1線治療である。しかしながら、他の実施形態では、対象は、(例えば、角膜の曲率を外科的に変化させることによって)眼の屈折誤差を矯正するように、手術をすでに受けていてもよく、本方法は、手術後に任意の残りの屈折誤差を矯正するために使用されてもよい。ある実施形態では、本方法は、付加的な手術を伴わずに眼の任意の残りの屈折誤差の補正を可能にする。例示的な眼の外科的治療は、角膜切除術、凍結プロセスによる角膜曲率形成術、自動層状角膜曲率形成術(ALK)、光反応性角膜曲率形成術(PRK)、レーザ支援型原位置角膜曲率形成術(LASIK)、レーザ基質内角膜曲率形成術、レーザ上皮角膜曲率形成術(LASEK)、伝導性角膜形成術(CK)、および、強膜切除術を含むが、それらに限定されない。例えば、米国特許出願公開第2003/0139737号、ならびに米国特許第5,144,630号、第5,520,679号、第5,484,432号、第5,489,299号、第5,722,952号、第5,465,737号、第5,354,331号、第5,529,076号、第6,258,082号、および、第6,263,879号を参照されたい。
【0097】
医薬組成物
本明細書で概して説明されるように、ある側面では、眼科的状態を治療するための方法が提供され、本方法は、コンタクトレンズおよび1つ以上の角膜軟化剤を適用するステップと、随意に、本明細書で説明されるような眼科的状態に罹患しているか、または、罹患している可能性が高い対象の眼に1つ以上の角膜軟化剤を適用するステップとを含む。1つ以上の角膜軟化剤、および、随意に、1つ以上の治療薬(「作用物質」)は、同一の医薬組成物または別個の医薬組成物の中で提供されてもよい。医薬組成物は、眼に投与するために好適な組成物であり、1つ以上の作用物質に加えて、1つ以上の薬学的に容認可能な賦形剤を含む。
【0098】
ある実施形態では、医薬組成物は、1つの作用物質と、薬学的に容認可能な賦形剤とを含む。ある実施形態では、医薬組成物は、2つの作用物質と、薬学的に容認可能な賦形剤とを含む。ある実施形態では、医薬組成物は、2つより多くの作用物質と、薬学的に容認可能な賦形剤とを含む。2つ以上の作用物質が投与される、ある実施形態では、作用物質は、同一の医薬組成物または2つ以上の別個の医薬組成物の中で提供されてもよい。
【0099】
薬学的に容認可能な賦形剤は、所望される特定の投薬形態に適するような、ありとあらゆる溶剤、希釈剤または他の液体溶媒、分散または懸濁補助剤、界面活性試薬、等張試薬、増粘または乳化試薬、防腐剤、固体結合剤、潤滑剤、および、均等物を含む。医薬組成物の製剤化および/または製造における一般的考慮は、例えば、Remington’s
Pharmaceutical Sciences, Sixteenth Edition, E. W. Martin (Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1980)、および、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition (Lippincott Williams & Wilkins, 2005)で見出すことができる。眼に投与するために特異的に考慮される、ある賦形剤は、(三重蒸留)水、生理食塩水、緩衝剤、塩、潤滑剤(例えば、油性液体キャリア)、および、ヒドロゲル、粘膜付着性物質、および、ポリマー(例えば、疎水性および親水性ポリマー)等の眼への作用物質の接触の期間の延長のために有用な他の粘度増進媒介物を含むが、それらに限定されない。本方法とともに使用するために考慮される例示的なポリマーは、セルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、および、ポリエチレングリコールを含むが、それらに限定されない。
【0100】
1つ以上の作用物質、薬学的に容認可能な賦形剤、および/または、医薬組成物の中の任意の付加的な成分の相対量は、治療される対象の識別、サイズ、および/または、症状に応じて、さらに、組成物が投与される経路に応じて、変動するであろう。ある実施形態では、本方法は、液体(点眼薬、スプレー)またはゲル(例えば、半固体ゲル)として製剤化される医薬組成物を対象の眼に投与すること等の非侵襲(局所)投与を考慮する。他の実施形態では、本方法は、医薬組成物を、眼、例えば、眼の角膜に注入することを考慮し、この場合、医薬組成物は、注射用液体として製剤化される。ある実施形態では、液体またはゲル医薬組成物は、対象の必要性(例えば、作業必要性、休憩時間、睡眠)に応じて、高張性(5%〜40%、例えば、10、20、30、または、40%)または低張性(0%〜5%、例えば、1、2、3、または、4%)である。
【0101】
ある実施形態では、1つ以上の作用物質(例えば、角膜軟化剤、治療薬)を含む、医薬組成物を備える、キットが提供される。本キットはさらに、随意に、コンタクトレンズと、潤滑点眼薬と、コンタクトレンズ用の洗浄液と、コンタクトレンズ携帯用ケースと、余分な一対のコンタクトレンズと、コンタクトレンズを装着するための説明書とを含んでもよい。
【0102】
角膜軟化剤
本明細書で概して説明されるように、ある側面では、眼科的状態を治療するための方法が提供され、本方法は、コンタクトレンズおよび1つ以上の角膜軟化剤を、眼科的状態に罹患しているか、または、罹患している可能性が高い対象の眼に適用するステップ、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または、10個の異なる角膜軟化剤を眼に適用するステップを含む。そのような方法はさらに、1つ以上の治療薬と組み合わせて、1つ以上の角膜軟化剤を眼に適用するステップを含んでもよい。
【0103】
「角膜軟化剤」は、角膜の種々の構造成分を分解し、それによって、角膜を軟化し、コンタクトレンズが角膜を所望の形状に成形することを可能にする、作用物質である。そのような作用物質は、外因性酵素、および、眼の内因性酵素を活性化することにおいて有用な作用物質を含むが、それらに限定されない。
【0104】
ヒトの角膜の構造成分は、主に、プロテオグリカンおよびコラーゲンである。プロテオグリカンは、ヒアルロン酸塩コア、タンパクコア、および、反復二糖類単位を伴うプロテオグリカン単量体であるグリコサミノグリカンから成る。角膜のグリコサミノグリカンの約60%が、ケラタン硫酸で構成される一方で、残りの40%は、大部分がコンドロイチン硫酸である。角膜の他方の主要な構造成分である、コラーゲンは、ヒトの角膜の中で7つの異なる形態で見出される。レンズと組み合わせて有用と見なされる、例示的な外因性酵素角膜軟化剤は、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼABC、コンドロイチナーゼAC、エンドB−ガラクトシダーゼ(ケラタナーゼ)、ストロメライシン(MM3)、細菌性コラゲナーゼ、間質性コラゲナーゼ(MM1)、および、ゼラチナーゼ(MM2)を含むが、それらに限定されない。眼の内因性メタロプロテイナーゼ等の内因性酵素を活性化することにおいて有用である、例示的な作用物質は、インターロイキン−lα、腫瘍壊死因子、尿酸ナトリウム1水和物、酢酸4−アミノフェニル水銀、ヒト血清アミロイドA、ヒトB
2ミクログロブリン、および、塩化銅を含むが、それらに限定されない。例えば、米国特許第5,626,865号および第6,132,735号を参照されたい。他の角膜軟化剤は、カルバミドを含む。角膜内で見出される他の糖類またはタンパク質を分解する他の酵素もまた、コンタクトレンズと組み合わせて使用されてもよい。ある実施形態では、酵素は、角膜内の層板の融合を水平にするように作用する。他の実施形態では、角膜の分子構造(例えば、角膜の層板)の持続力を変化させることが知られている作用物質が、コンタクトレンズと組み合わせて使用される。
【0105】
ある実施形態では、本方法は、コンタクトレンズと組み合わせて、ヒアルロニダーゼという酵素を眼に適用するステップを含む。ヒアルロニダーゼは、ヒアルロン酸、コンドロイチン、ならびにコンドロイチン4硫酸AおよびCにおける1個から4個の結合の加水分解を触媒することによって、ムコ多糖体を分解した酵素である。ムコ多糖体は、角膜の中間層の結合型組織である、実質の細胞間基質(セメントまたは糊)のうちの1つである。角膜の形状は、大部分が、角膜の実質層内のコラーゲン繊維の配列、および、これらの繊維の間のムコ多糖体層の配列に依存する。ヒアルロニダーゼは、角膜の中へ放出されたときに、ムコ多糖鎖を分解する。それにより、角膜の実質は、軟化され、コンタクトレンズによる再成形の影響をより受けやすくなる。
【0106】
ヒアルロニダーゼは、酵素を少なくとも90%純度、少なくとも95%純度、少なくとも96%純度、少なくとも97%純度、少なくとも98%純度、または、少なくとも99%純度まで精製することができる、種々の天然源から得られてもよい。天然源は、ウシ(雄牛)精巣、ヒツジ(羊)精巣、ヒル、および、細菌(ストレプトミセス)を含む。ある実施形態では、ヒアルロニダーゼは、市販されている。例えば、ヒアルロニダーゼの1つの形態は、WYDASE(登録商標)(Wyeth Laboratories, Inc., Philadelphia, PA)という商標の下で入手可能である。WYDASE(登録商標)ヒアルロニダーゼは、高度に精製されたウシ精巣ヒアルロニダーゼの調合物である。ヒアルロニダーゼ酵素は、凍結乾燥粉末として供給されてもよい。粉末は、リン酸緩衝生理食塩水を使用して、再構成することができる。典型的な割合は、約150USP単位/ミリリットルのヒアルロニダーゼを含む。ある実施形態では、ヒアルロニダーゼは、組み換えDNA技術を使用して調製される。ヒアルロニダーゼは、修飾版、例えば、開裂形態、化学的修飾、または、遺伝子組み換えであってもよい。ある実施形態では、医薬組成物中のヒアルロニダーゼの濃度(重量パーセント)は、0.01重量%〜10重量%、または、0.1重量%〜8重量%、または、0.1重量%〜7重量%、または、0.1重量%〜6重量%、または、0.1重量%〜5重量%、または、1重量%〜6重量%に及ぶ。ある実施形態では、濃度は、約1〜約10USP単位/mL、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または、10USP単位/mLである。ある実施形態では、濃度は、約3〜約8USP単位/mL、約4〜約7USP単位/mL、または、約5〜約6USP単位/mLのヒアルロニダーゼである。
【0107】
ある実施形態では、本方法は、コンタクトレンズと組み合わせて、細菌性コラゲナーゼ(例えば、クロストリジウムコラゲナーゼ)を眼に適用するステップを含む。ある実施形態では、細菌性コラゲナーゼは、ヒストリチクム菌という細菌によって分泌されるコラゲナーゼである。ある実施形態では、細菌性コラゲナーゼは、組み換えDNA技術を使用して調製される。他の実施形態では、細菌性コラゲナーゼは、天然源から精製される。細菌性コラゲナーゼは、修飾版、例えば、開裂形態、化学的修飾、または、遺伝子組み換えであってもよい。ある実施形態では、医薬組成物中の細菌性コラゲナーゼの濃度(重量パーセント)は、0.01重量%〜10重量%、または、0.1重量%〜8重量%、または、0.1重量%〜7重量%、または、0.1重量%〜6重量%、または、0.1重量%〜5重量%、または、1重量%〜6重量%に及ぶ。ある実施形態では、濃度は、約5〜約15USP単位/mL、例えば、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または、15USP単位/mLである。ある実施形態では、濃度は、約8〜約15USP単位/mL、約10〜約15USP単位/mL、または、約10〜約12USP単位/mLの細菌性コラゲナーゼである。
【0108】
ある実施形態では、本方法は、コンタクトレンズと組み合わせて、ヒアルロニダーゼおよび細菌性コラゲナーゼを眼に適用するステップを含む。ある実施形態では、本方法は、コンタクトレンズと組み合わせて、約0.1%〜約10%ヒアルロニダーゼおよび約0.1%〜約10%細菌性コラゲナーゼを眼に適用するステップを含む。ある実施形態では、本方法は、コンタクトレンズと組み合わせて、約1〜約10USP単位/mLのヒアルロニダーゼと約5〜約15USP単位/mLの細菌性コラゲナーゼとを眼に適用するステップを含む。
【0109】
他の実施形態では、本方法は、コンタクトレンズと組み合わせて、ヒアルロニダーゼおよび別の角膜軟化剤の他の組み合わせを眼に適用するステップを含む。例えば、ある実施形態では、本方法は、コンタクトレンズと組み合わせて、ヒアルロニダーゼおよび間質性コラゲナーゼ(MM1)を眼に適用するステップを含む。ある実施形態では、本方法は、コンタクトレンズと組み合わせて、ヒアルロニダーゼおよびゼラチナーゼ(MM2)を眼に適用するステップを含む。
【0110】
治療薬
本明細書で概して説明されるように、ある側面では、眼科的状態を治療するための方法が提供され、本方法は、コンタクトレンズ、ならびに1つ以上の角膜軟化剤および1つ以上の治療薬の組み合わせを、眼科的状態に罹患しているか、または、罹患している可能性が高い対象の眼に適用するステップ、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または、10個の異なる治療薬と組み合わせて、1つ以上の角膜軟化剤を眼に適用するステップを含む。種々の治療薬は、例えば、炎症を低減させること、刺激を低減させること、対象の快適性を向上させること、感染症の可能性を低減させること、ならびに創傷治癒を低減させること、および/または、治療前症状に戻る退行を低減させること等によって角膜軟化剤の活性を向上させることによって等、治療を向上させると見なされる。例示的な治療薬は、麻酔薬、ビタミン、亜鉛、抗生物質、抗アレルギー剤、サイトキナーゼ、血管収縮剤、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗炎症薬、および、潤滑剤を含むが、それらに限定されない。
【0111】
ある実施形態では、本方法は、コンタクトレンズおよび1つ以上の角膜軟化剤と組み合わせて、角膜上でコンタクトレンズの刺激を低減させるために使用される麻酔薬を適用するステップを含む。麻酔薬の実施例は、ベンゾカイン、ブピバカイン、コカイン、エチドカイン、リドカイン、メピバカイン、プラモキシン、プリロカイン、クロロプロカイン、プロカイン、プロパラカイン、ロピカイン、および、テトラカインを含む。
【0112】
他の実施形態では、本方法は、コンタクトレンズおよび1つ以上の角膜軟化剤と組み合わせて、ステロイドまたは非ステロイド抗炎症薬等の抗炎症薬を適用するステップを含む。抗炎症薬の実施例は、アスピリン、アセトアミノフェン、インドメタシン、スルファサラジン、オルサラジン、サリチル酸ナトリウム、トリサルチル酸コリンマグネシウム、サルサレート、ジフルニサル、サリチルサリチル酸、スリンダク、エトドラク、トルメチン、ジクロフェナク、ケトロラク、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、スプロフェン、オキサプロキシン、メフェナム酸、メクロフェナム酸、オキシカム、ピロキシカム、テノキシカム、ピラゾリジンジオン、フェニルブタゾン、オキシフェンタトラゾン、フェニラミン、アンタゾリン、ナブメトン、COX−2阻害薬(Celebrex)、アパゾン、ニメスリド、および、ジレウトンを含む。ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、フルオロメトロン、および、デキサメタゾン等のグルココルチコイドもまた、抗炎症薬として使用されてもよい。
【0113】
さらに他の実施形態では、本方法は、コンタクトレンズおよび1つ以上の角膜軟化剤と組み合わせて、潤滑剤を適用するステップを含む。これらの作用物質は、治療中に対象の快適性を向上させるように含まれる。当業者は、個別対象に基づいて、対象に処方されている点眼薬の組成物を決定する。
【0114】
ある他の実施形態では、本方法は、コンタクトレンズおよび1つ以上の角膜軟化剤と組み合わせて、抗菌、抗ウイルス、および、抗真菌薬等の抗菌剤を適用するステップを含む。例示的な抗菌剤は、亜鉛バシトラシン、クロラムフェニコール、クロロテトラサイクリン、シプロフロキサシン、エリスロマイシン、ゲンタマイシン、ノルフロキサシン、スルファセタミド、スルフイソキサゾール、ポリミキシンB、テトラサイクリン、トブラマイシン、イドクスウリジン、トリフルリジン、ビダラビン、アシクロビル、フォスカネット、ガンシクロビル、ナタマイシン、アンフォテリシンB、クロトリマゾール、エコナゾール、フルコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、フルシトシン、クリンダマイシン、ピリメタミン、フォリン酸、スルファジアジン、および、トリメトプリム・スルファメトキサゾールを含む。
【0115】
ある他の実施形態では、本方法は、コンタクトレンズおよび1つ以上の角膜軟化剤と組み合わせて、血管収縮剤を適用するステップを含む。血管収縮剤は、ジピベフリン(プロピン)、エピネフリン、フェニレフリン、アプラクロニジン、コカイン、ヒドロキシアンフェタミン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、ダピプラゾール、ベタキソロール、カルテオロール、レボブノロール、メチプラノロール、および、チモロールを含んでもよい。
【0116】
ある他の実施形態では、本方法は、コンタクトレンズおよび1つ以上の角膜軟化剤と組み合わせて、ビタミンA、ビタミンB
l5、ビタミンB
6、ビタミンB
12、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンE、ビタミンK、および、亜鉛等のビタミンまたは他の栄養素を適用するステップを含む。
【0117】
コンタクトレンズとともに使用するための例示的な医薬組成物は、ヒアルロニダーゼおよび細菌性コラゲナーゼの組み合わせを含む、医薬組成物を眼に適用するステップを含み、随意に、加えて、5%〜10%麻酔薬、10%〜20%抗生物質、10%〜20%抗炎症薬、20%〜30%抗アレルギー剤、20%〜30%ビタミンA、3%〜5%カルバミド(尿素)、2%〜5%サイトキナーゼ、10%〜20%血管収縮剤、および/または、1%〜30%の1つ以上の粘度増進媒介物のうちの1つ以上を眼に適用するステップを含んでもよい。
【実施例】
【0118】
以下の実施例は、本明細書で説明される本発明のある実施形態を例証することを目的としており、限定的と解釈されるものではなく、本発明の全範囲を例示するわけではない。(実施例1)老視の矯正で使用するためのコンタクトレンズ
【0119】
コンタクトレンズの適正な適合を決定するための手技は、K示度値(角膜曲率)および偏心度の局所マップを利用する。本実施例における目標は、気泡を生成しない、可能な限り急勾配のレンズを眼の上に有することであった。レンズはまた、良好に中心となり、瞬き毎に0.5mm〜1.0mm以下移動するように要求された。適正なレンズ屈折力を決定するために、過剰屈折が使用された。
【0120】
図4Aは、SimKの90度にて−40.60および180度にて39.82を伴う瞬時(接線)マップ(左)を描写する。
図4Bは、0.22の偏心度(非球面性)を伴う標準2(屈折左)マップを示す。
【0121】
診断レンズは、以下のパラメータを有した。
【表2】
【0122】
図4Cは、フルオレセインおよびブラックライトを使用したレンズ空間を示す、フルオレセインパターンを描写する。
【0123】
診断レンズおよび決定された過剰屈折を使用して査定された適合に基づいて、注文された選択レンズは、以下のパラメータを有した。
【表3】
【0124】
図2Aおよび2Cの内周領域に対応する二次周囲曲線は、8.00mmの曲率半径および0.4mmの幅を有した。
図2Aおよび2Cの外周領域に対応する周囲曲線は、11.00mmの曲率半径および0.4mmの幅を有した。
(実施例2)患者集団中の老視の矯正
【0125】
図5Aおよび5Bは、コンタクトレンズ、ならびにヒアルロニダーゼおよび細菌性コラゲナーゼを含む酵素製剤を使用した、メキシコでの老視患者集団内の臨床研究の12人の患者のサンプルからのデータを提供する。この研究では、老視患者は、本発明のコンタクトレンズと組み合わせて、ヒアルロニダーゼおよび細菌性コラゲナーゼを含む製剤を眼に投与される。治療期間は、典型的には、約4日〜7日にわたって、1日4時間〜8時間である。近見および遠見視力の両方の治療前測定、ならびに治療後7日、14日、1ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、および、8ヶ月の測定が、検眼医によって記録される。
【0126】
1人の患者(患者10)を除いて、この12人の患者のサンプル中の各患者の近見視力は、治療後に向上し、この向上は、治療後の少なくとも8ヶ月にわたって持続した。さらに、老視を治療するための他の方法と異なり、治療は、患者の遠見視力を犠牲にして近見視力の向上をもたらさなかった。反対に、患者の遠見視力は、治療後に減退しないままであり、最も顕著には、大多数が、治療後の少なくとも6ヶ月にわたって持続した、遠見視力の向上を体験した。例えば、6ヶ月での患者(1)〜(5)および(7)〜(9)、(11)および(12)の結果、ならびに8ヶ月での患者(1)〜(5)および(7)〜(9)の結果を参照されたい。患者(6)、(11)、および、(12)は、8ヶ月測定に参加しなかった。患者(10)は、6ヶ月および8ヶ月測定に参加せず、それ以降、研究から脱落した。
【0127】
均等物
本発明のいくつかの実施形態が、本明細書で説明および図示されているが、当業者であれば、機能を果たす、および/または、結果および/または本明細書で説明される利点のうちの1つ以上を得るための種々の他の手段および/または構造を容易に想定し、そのような変形例および/または修正のそれぞれは、本発明の範囲内であると見なされる。より一般的には、当業者であれば、本明細書で説明される全てのパラメータ、寸法、材料、および、構成は、例示的であるように意図されており、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または、構成は、本発明の教示が使用される、具体的用途(単数または複数)に依存するであろうと容易に理解するであろう。当業者であれば、日常的にすぎない実験を使用して、本明細書で説明される本発明の具体的実施形態の多くの均等物を認識するか、または、確認することができるであろう。したがって、前述の実施形態は、一例のみとして提示され、添付の請求項およびそれらの均等物の範囲内で、本発明は、具体的に説明および請求される以外に実践され得ることを理解されたい。本発明は、本明細書で説明される各個別の特徴、システム、部品、材料、キット、および/または、方法を対象とする。加えて、そのような特徴、システム、部品、材料、キット、および/または、方法が相互と矛盾しない場合、2つ以上のそのような特徴、システム、部品、材料、キット、および/または、方法の任意の組み合わせは、本発明の範囲内に含まれる。
【0128】
このようにして、本発明の少なくとも1つの実施形態のいくつかの側面を説明してきたが、種々の変更、修正、および、改良が、当業者に容易に想起されるであろうことを理解されたい。そのような変更、修正、および、改良は、本開示の一部であることを目的としており、かつ本発明の精神および範囲内であることを目的としている。したがって、前述の説明および図面は、一例にすぎない。