(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実装の概略>
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本実施形態の実装装置10の構成を示す図である。
図1における矢印Xは装置左右方向、矢印Yは装置前後方向、矢印Zは装置上下方向を示しており、以降説明する図においても同様である。
【0019】
実装装置10は、複数の半導体チップ100(電子部品)を、基板104に実装することで半導体装置を製造する装置である。半導体チップ100は、フリップチップボンダ技術で、基板104に実装される。具体的には、各半導体チップ100の底面には、バンプ102と呼ばれる導電性材料からなる突起が形成されており、このバンプ102を、基板104の表面に形成された電極106に接合することで、半導体チップ100と基板104とが電気的に接続される。
【0020】
基板104には、半導体チップ100の実装位置に、あらかじめ、非導電性ペースト(NCP)または非導電性フィルム(NCF)と呼ばれる接着材料108が塗布されている。接着材料108は、絶縁性を有するとともに熱硬化性を有する熱硬化性樹脂からなる。
図2に示すように、この接着材料108の上に半導体チップ100を載置して、基板104に押し付けると共に半導体チップ100を加熱する。それにより、接着材料108が硬化して半導体チップ100が基板104に機械的に固定される。半導体チップ100への加熱によりバンプ102が溶融し、半導体チップ100への加熱が止まると、溶融したバンプ102が凝固して基板104(回路基板)の電極106に電気的に接合される。
【0021】
<実装装置の構成>
図1に示すように、実装装置10は、ボンディングステージ14と、基台16と、実装ヘッド12と、フィルム供給装置90とを備える。
【0022】
ボンディングステージ14は、基板104が載置されるステージである。このボンディングステージ14には、例えば、基板104を吸引保持する吸引孔(図示せず)や、基板104を加熱するためのヒータ(図示せず)などが設けられている。このボンディングステージ14は、基台16によって支えられている。基台16には、実装ヘッド12の底面を覆うフィルム110(後述)に吸引用の孔を形成するための針88が設けられている。基台16は、XY方向(水平方向)に移動可能となっている。
【0023】
実装ヘッド12は、ボンディングステージ14と対向して設けられており、Z方向(垂直方向)に移動可能となっている。実装ヘッド12の底面には、半導体チップ100を吸引保持するための吸引孔22が形成されている。この吸引孔22は、図示しない吸引ポンプに連通されており、当該吸引ポンプによって発生する負圧により、半導体チップ100が、実装ヘッド12の底面にフィルム110を介して吸引保持される。また、実装ヘッド12には、実装の際に半導体チップ100を加熱するために、ヒータ(図示せず)が内蔵されている。
【0024】
フィルム供給装置90は、一方向に長尺な帯状のフィルム110を実装ヘッド12の底面に供給する。このフィルム110は、実装ヘッド12の底面で加熱され、接着材料108と接しえるので、フィルム110の素材としては、耐熱性に優れ、接着材料108の剥離性が高い素材が適している。したがって、フィルム110の素材としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などのフッ素樹脂を用いることができる。
【0025】
フィルム供給装置90は、フレーム37と、実装ヘッド12を挟んで設けられた送出リール24および巻取リール26と、フィルム110を送出リール24から巻取リール26に向かって送るローラ32,34を回転させる送出モータ28と、巻取リール26を回転させる巻取モータ30とを備える。フィルム供給装置90は、実装ヘッド12と一体化されており、実装ヘッド12とともに移動する。
【0026】
送出リール24および巻取リール26は、フレーム37に回転可能に保持されている。送出リール24の外周には、使用前(実装ヘッド12の底面に配置前)のフィルム110が巻かれており、同様に、巻取リール26の外周には、使用済み(実装ヘッド12の底面に配置後)のフィルム110が巻かれている。なお、送出リール24、巻取リール26のそれぞれにフィルム110が直接巻かれていてもよいが、本実施形態では、円環状のコア材を介して送出リール24、巻取リール26のそれぞれにフィルム110が巻かれている。フィルム110が巻かれた2つのコア材のそれぞれが送出リール24、巻取リール26のそれぞれの外周に圧入された構成である。
【0027】
送出モータ28は、ステッピングモータであり、その回転力は、ベルト36を介してローラ32に伝えられている。ローラ32と対向してローラ34が設けられており、ローラ32,34の間にフィルム110が挟み込まれている。送出モータ28が駆動しローラ32が回転することでローラ34も回転し、それらの間からフィルム110を送り出す。巻取モータ30は、ステッピングモータであり、巻取リール26の裏側(実装装置10の後側)に配置されている。なお、本実施形態では、送出リール24を回転駆動させるモータを設けていないが、それを設けた構成であってもよい。
【0028】
<実装動作>
ここで、実装装置10の実装動作について説明する。
図3は、実装装置10による処理の流れを示すフローチャートである。まず、S100で、フィルム供給装置90の送出モータ28と巻取モータ30を回転させてフィルム110を所定量送り、S102で、送出モータ28と巻取モータ30を停止させる。なお、送出リール24を回転駆動させるモータを設けている場合には、そのモータも同じように回転させ、その後、停止させる。これにより、新たなフィルム110が実装ヘッド12の底面に配置される。そして、S104で、フィルム110の張力調整を行われる。本実施形態では、この張力調整に特徴を有し、この詳細については後述する。
【0029】
S104の張力調整後、S106で、針88を用いて、実装ヘッド12の底面に位置するフィルム110に吸引用の孔を形成する。これは、
図1に示すボンディングステージ14の基台16が水平移動して、実装ヘッド12の真下に針88をセットし、その後、実装ヘッド12が針88に向かって下降(垂直移動)することで行われる。そして、実装ヘッド12を上昇させる。
【0030】
次に、S108で、半導体チップ100を基板104に実装する。具体的には、次のように行われる。半導体チップ100が置かれた台座(図示せず)が水平移動してきて、実装ヘッド12は、実装ヘッド12を下降させて、そこから半導体チップ100をピックアップする。そして、実装ヘッド12を上昇させた後、ボンディングステージ14の基台16が水平移動してきて、実装ヘッド12の真下に基板104上の半導体チップ100の実装位置がセットされる。なお、この実装位置には、
図1に示すとおり接着材料108が塗布されている。そして、実装ヘッド12は、基板104に向かって下降し、半導体チップ100を基板104上の実装位置(接着材料108)に載置したうえで加熱および加圧して実装する。
【0031】
このとき、実装ヘッド12が半導体チップ100を加圧することで、
図2に示すように、半導体チップ100により外側に押し出された接着材料108の一部が、はみ出て、這い上がることがある。この這い上がった接着材料108が実装ヘッド12に付着すると、その後の実装処理が適切に行えないおそれがある。また、実装ヘッド12に接着材料108が付着しない場合であっても、加熱された接着材料108から生じるヒュームガスが、実装ヘッド12の吸引孔22に入り込み、これにより実装ヘッド12が汚染される場合がある。
【0032】
本実施形態では、実装ヘッド12と半導体チップ100との間にフィルム110を介在させているため、
図2に示すとおり、実装ヘッド12への接着材料108の付着、および、実装ヘッド12の吸引孔22へのヒュームガスの侵入が防止されている。
【0033】
半導体チップ100の実装後、実装ヘッド12を上昇させて、一連の処理が終了する。以上説明した実装処理を、半導体チップ100ごとに行う。半導体チップ100の実装のたびに、フィルム110が巻取リール26に巻き取られ、新たなフィルム110が実装ヘッド12の底面に配置される。
【0034】
<張力調整の概略>
次に、フィルム110の張力調整について説明する。フィルム110の張力が小さい場合には、実装ヘッドの底面のフィルム110に弛みができる。その場合には、吸引用の孔を形成するための針88が刺さり難くなり、所望形状の孔を形成できなくなる。また、実装ヘッドの底面のフィルム110の弛みにより、実装ヘッド12の底面に半導体チップ100を吸着した際に、実装ヘッド12と半導体チップ100の密着度が悪くなる。また、一方で、フィルム110の張力が大きい場合には、実装ヘッド12の底面のフィルム110にしわができ、この場合にも実装ヘッド12と半導体チップ100の密着度が悪くなる。
【0035】
そこで、本実施形態の実装装置10は、フィルム110の張力調整を行い、それらを効果的に抑制する。実装装置10のフィルム供給装置90は、フィルム110の張力を検出し、検出された張力に基づいて、巻取モータ30により巻取リール26を回転させてフィルム110の張力を調整する。
【0036】
<フィルム供給装置の概略構成>
図4は、フィルム供給装置90の概略構成を示すブロック図である。フィルム供給装置90は、実装のたびに新たなフィルム110が実装ヘッド12の底面に配置されるように巻き取るフィルム巻取機構18と、フィルム巻取機構18による巻き取り後におけるフィルム110の張力を検出する張力検出部38と、張力検出部38により検出された張力に基づいて、巻取モータ30により巻取リール26を回転させて張力を調整する制御部20とを備える。
【0037】
フィルム巻取機構18は、前述した送出モータ28、巻取モータ30および巻取リール26を含む。フィルム巻取機構18は、フィルム110の張力検出および調整のための特徴的な構造を有しており、この詳細については後述する。
【0038】
張力検出部38は、第1光電センサ40(第1センサ)、第2光電センサ42(第2センサ)および制御部20の一部である判定部39を含む。第1光電センサ40、第2光電センサ42のそれぞれの検出信号が判定部39に入力されており、判定部39は、入力された検出信号から、フィルム110の張力の過大、過小、或いは適正を判定する。具体的な第1光電センサ40、第2光電センサ42の配置や機能、および、それらセンサの検出信号に基づく判定部39の判定方法については後述する。
【0039】
制御部20は、プロセッサを含み、記憶部21に記憶されているプログラムに従って処理を実行することで、フィルム巻取機構18を制御して、半導体チップ100の実装後のフィルム110の巻き取りを行い、巻き取り後のフィルム110の張力調整を行い、さらに、張力検出部38の判定部39としても機能する。なお、このフィルム供給装置90の制御部20は、実装装置10の制御部(実装ヘッド12やボンディングステージ14などを制御する制御部)と同じものであってもよいし、別のものであってもよい。別のものである場合には、実装装置10の制御部の指令に従って動作する。
【0040】
<フィルム巻取機構>
次に、フィルム巻取機構18の構造について説明する。
図5は、フィルム巻取機構18の斜視図である。
図5に示すように、フィルム巻取機構18は、巻取モータ30の回転軸50に接続されて巻取リール26の半径方向(一定方向)に延びたモータ腕52と、巻取リール26の回転軸64に接続されて巻取リール26の半径方向(モータ腕52に対応する方向)に延びたリール腕62と、引きバネ56(弾性部材)と、を備える。
【0041】
巻取モータ30は、巻取リール26の後側に配置され、フレームに固定されており、電力供給線等の配線44が接続されている。巻取モータ30の回転軸50は、前方に向かって延び、その先端にモータ腕52が連結されている。
【0042】
巻取リール26には、コア材66を介して使用済みフィルム110が巻かれている。なお、
図5の太線の黒矢印が、フィルム110の巻き取り方向である。巻取リール26には、後側開口を塞ぐ円形蓋68が固着されている。巻取リール26の回転軸64は、円形蓋68の後側表面から後側に向かって突出しており、フレームに固定された不図示の軸受けに回転可能に支持されている。巻取リール26の回転軸64の先端に、リール腕62が連結されている。
【0043】
巻取モータ30の回転軸50と、巻取リール26の回転軸64とは、同一直線上に配置されている。すなわち、モータ腕52とリール腕62とは、同一中心Cで回転するように配置されている。引きバネ56は、一端がモータ腕52の先端近傍に連結されており、他端がリール腕62の先端近傍に連結されている。
【0044】
なお、
図5に示すように、フィルム巻取機構18は、さらに、モータ腕52の先端近傍に連結された補助腕54と、補助腕54に連結された一対の検出腕58と、リール腕62に連結された被検出体60とを備えるが、これらの部材の詳細は後述する。なお、
図5において、補助腕54とリール腕62とは結合されておらず、モータ腕52とリール腕62は引きバネ56のみで繋がった構造である。
【0045】
また、本実施形態では、巻取モータ30の回転軸50にモータ腕52が直接接続されているが、それらは、ギヤや補助腕等を介して間接的に接続されてもよい。同様に、巻取リール26の回転軸64にリール腕62が直接接続されているが、それらは、ギヤや補助腕等を介して間接的に接続されてもよい。そして、モータ腕52が一定方向に延び、リール腕62がモータ腕52に対応する方向に延び、それらが同一中心Cで回転するように構成され、モータ腕52とリール腕62が引きバネ56等の弾性部材で繋がっていればよい。
【0046】
図5において、巻取モータ30の回転軸50が反時計回りに回転すると、モータ腕52が回転して引きバネ56を介してリール腕62を引っ張り、巻取リール26の回転軸64が反時計回り(太線の黒矢印方向)に回転して、巻取リール26にフィルム110が巻き取られる。このように、モータ腕52にリール腕62を追従させる構成である。
【0047】
<張力検出部>
次に、張力検出部38について説明する。フィルム110を巻き取った後、
図1に示す送出側のローラ32,34はロックして、ローラ32,34の間のフィルム110は固定される。それらのローラから巻取リール26までのフィルム110には、所定の張力が働く。
【0048】
フィルム110の張力が大きい場合には、
図5に示す引きバネ56が大きく伸びて、モータ腕52とリール腕62の回転方向における間隔αが大きくなる。一方、フィルム110の張力が小さい場合には、引きバネ56が小さく伸びるか、或いは、伸びずに、モータ腕52とリール腕62の回転方向における間隔αが小さくなる。この間隔αを検出することで、フィルム110の張力を検出することが可能である。この間隔αは、モータ腕52とリール腕62との間の距離に限らず、モータ腕52とリール腕62がなす角度、又は、それらの一方、或いは、両方に補助腕などが連結されている場合には補助腕などからモータ腕52、リール腕62、或いは他の補助腕などまでの距離、角度であり得る。張力検出部38として、間隔αを検出できる適切なセンサを設けることで、例えば、間隔αが第1所定値(予め定めた値)未満である場合には張力が過小であると検出でき、間隔αが第1所定値よりも大きい第2所定値(予め定めた値)を超える場合には張力が過大であると検出することができる。
【0049】
ここで、具体的な、本実施形態の張力検出部38について説明する。
図5に示すように、リール腕62の先端近傍でありモータ腕52とは反対側の側面には、棒状の被検出体60が固着されている。一方、モータ腕52の先端近傍には補助腕54が連結されており、補助腕54は、モータ腕52の前側側面から突出し、途中で屈曲してリール腕62側に延びている。補助腕54の前後側面には、一対の検出腕58が連結されている。一対の検出腕58は、リール腕62と被検出体60を跨ぐように配置されている。
【0050】
図6Aには、補助腕54、一対の検出腕58、リール腕62、および被検出体60を上側から見た図が示されている。
図6Aに示すように、一対の検出腕58は、発光部40aおよび受光部40bを有する第1光電センサ40と、発光部42aおよび受光部42bを有する第2光電センサ42とを備える。発光部40a,42aのそれぞれは、検出腕58aの内面に配置されており、受光部40b,42bのそれぞれは、発光部40a,42aのそれぞれと対向して設けられ、検出腕58bの内面に配置されている。第1光電センサ40は、一対の検出腕58の補助腕54側(モータ腕側)に配置され、第2光電センサ42は、一対の検出腕58において第1光電センサ40と所定間隔をあけてリール腕62側に配置されている。
【0051】
第1光電センサ40は、発光部40aから受光部40bに至る光の遮り(遮光)を検知可能であり、第2光電センサ42は、発光部42aから受光部42bに至る光の遮り(遮光)を検知可能である。第1光電センサ40と第2光電センサ42は、それぞれの位置における一対の検出腕58の間にリール腕62又は被検出体60が入り込むと遮光を検知し、それらの存在を検知する。
図6A〜
図6Cに示すように、第1光電センサ40と第2光電センサ42のそれぞれの遮光有無の組合せによって、補助腕54(モータ腕)に対するリール腕62(被検出体60)の位置が3段階で検知できるようになっている。すなわち、上記した間隔αが3段階で検知できるようになっている。判定部39(
図4参照)に第1光電センサ40と第2光電センサ42の検知信号(検知結果)が入力され、判定部39は、検知結果である遮光有無の組合せに基づいて、フィルム110の張力の過大、過小、或いは適正を判定する。
【0052】
なお、第1光電センサ40と第2光電センサ42は、
図5に示すモータ腕52が回転することで回転する検出腕58a、58b(回転体)に配置されているため、第1光電センサ40と第2光電センサ42へ外部から電力供給し、また、それらからの検知信号を外部へ伝えるための配線を工夫する必要がある。本実施形態では、
図5に示す検出腕58a、58b、補助腕54、モータ腕52、および巻取モータ30の回転軸50が中空の構造となっており、第1光電センサ40と第2光電センサ42の配線が、それらの中に配置されて、検出腕58a、58bから巻取モータ30の回転軸50まで導かれている。そして、回転軸50にスリップリング46と呼ばれる回転軸の中の配線と外部の配線48(固定された配線)とを電気的に接続可能な部材を設けている。これにより、回転する第1光電センサ40と第2光電センサ42へ外部から電力供給を可能にし、それらからの検知信号を外部へ伝えることを可能にしている。
【0053】
<張力調整>
次に、本実施形態の張力調整について説明する。
図3のフローのS104が張力調整のステップである。前述したようにS100,S102で、実装ヘッド12の底面に新たなフィルム110を配置するためにフィルム110を巻き取り、S104で、フィルム110の張力調整を行う。
【0054】
まず、
図3のS200で、張力検出部38の判定部39は、第1光電センサ40(第1センサ)の遮光(リール腕62又は被検出体60の検知)の有無を確認する。遮光が有る場合(S200:No)にはS208に進む。この状態が、
図6Bに示す状態であり、補助腕54(モータ腕)に対するリール腕62の位置が近い状態、すなわち、引きバネ56が小さく伸びているか、或いは、伸びずにいる状態である。この場合、
図3のS208で、判定部39は、フィルム110の張力が過小であると判定する。そして、S212で、制御部20は、巻取モータ30をフィルム110を巻き取る方向(順方向)に回転させ、巻取リール26を巻き取る方向(
図5の太線黒矢印の方向)に回転させる。これにより、引きバネ56が以前より伸びた状態になるとともに、フィルム110の張力が増加する。
【0055】
一方、
図3のS200で、遮光なしの場合(S200:Yes)にはS202に進む。S202で、判定部39は、第2光電センサ42(第2センサ)の遮光(リール腕62又は被検出体60の検知)の有無を確認する。遮光が有る場合(S202:No)にはS206に進む。この状態が、
図6Aに示す状態であり、補助腕54(モータ腕)に対するリール腕62の位置が適正な状態、すなわち、引きバネ56の伸びが所望の状態である。この場合、
図3のS206で、判定部39は、フィルム110の張力が適正であると判定し、張力調整の処理を終了し、S106へ進む。
【0056】
一方、S202で、遮光なしの場合(S202:Yes)にはS204に進む。この状態が、
図6Cに示す状態であり、補助腕54(モータ腕)に対するリール腕62の位置が遠い状態、すなわち、引きバネ56が大きく伸びている状態である。この場合、
図3のS204で、判定部39は、フィルム110の張力が過大であると判定する。そして、S210で、制御部20は、巻取モータ30をフィルム110を巻き取る方向とは逆方向に回転させることで、巻取リール26を逆方向(
図5の太線の破線黒矢印の方向)に回転させる。これにより、引きバネ56が以前より縮んだ状態になるとともに、フィルム110の張力が減少する。
【0057】
制御部20は、張力が過小または過大と判定(S208またはS204)され、張力の調整(S212またはS210)を行った際には、再び、S200に戻り、張力適正となったかを確認し、張力適正と判定(S206)されるまで張力の調整を継続する。具体的には、制御部20は、第1光電センサの遮光(リール腕62又は被検出体60の検知)なし、かつ、第2光電センサの遮光(リール腕62又は被検出体60の検知)ありになるまで、巻取モータ30を介して巻取リール26を回転させて、張力調整を行う。このように、フィードバック制御を行う。
【0058】
<作用効果>
次に、本実施形態の実装装置10の作用効果について説明する。本実施形態の実装装置10は、フィルム110の張力を検出し、その検出結果に基づいて、フィルム110の張力を調整する。そのため、実装ヘッド12の底面に配置されたフィルム110に所望の張力を発生させることができる。これにより、吸引用の孔を形成するための針88がフィルム110に円滑に刺さるようになり、所望形状の孔を形成することができる。また、実装ヘッド12の底面にフィルム110を介して半導体チップ100を吸着した際の実装ヘッド12と半導体チップ100の密着度を向上させることができる。これにより、密着度が悪く、実装ヘッド12から半導体チップ100が落ちてしまうような事態を的確に防ぐことができる。
【0059】
また、本実施形態は、送出モータ28と巻取モータ30にステッピングモータを用いているため、それらの回転軸を小さい回転角度の単位で回転させることができ、フィルム110の巻き取り量の微調整が可能である。特に、張力調整の際に、巻取モータ30の回転軸を小さい回転角度の単位で回転させることができるので、フィルム110の張力の微調整が可能である。また、ステッピングモータを用いることで、巻取モータ30の逆回転が可能となっている。
【0060】
<その他>
以上説明した実施形態では、張力検出部38として2つの光電センサを用いたが、
図5に示すモータ腕52とリール腕62の間隔αを直接、又は、間接的に検出できる限り、どのようなセンサが用いられてもよい。また、センサの位置についても限定されるものではない。例えば、モータ腕52又はリール腕62の一方にレーザ距離センサを設け、他方に向かってレーザ照射することで、間隔αを検出することができる。また、間隔αとして引きバネ56自体の長さをセンサで検出してもよい。
【0061】
また、以上説明した実施形態のように一対の検出腕58に光電センサを設ける場合には、光電センサの数は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。一対の検出腕58に、3つ以上の光電センサのそれぞれを所定間隔をおいて配置すれば、モータ腕52に対するリール腕62の位置がより細く把握できるようになり、張力調整における巻取モータ30の回転量をより細かく調整できるようになる。
【0062】
また、以上説明した実施形態では、モータ腕52に補助腕54を介して間接的に一対の検出腕58が連結されていたが、モータ腕52に直接、一対の検出腕58が連結されていてもよい。また、以上説明した実施形態では、モータ腕52に(間接的に)一対の検出腕58が連結され、リール腕62に被検出体60が固着された構成であった。しかし、リール腕62に直接、または、間接的に一対の検出腕58が連結されて、モータ腕52に被検出体60が固着された構成であってもよい。
【0063】
また、以上説明した実施形態では、一対の検出腕58が、リール腕62と被検出体60を跨ぐ構成であったが、一対の検出腕58は、リール腕62と被検出体60の少なくとも1つを跨ぐ構成であればよい。すなわち、リール腕62が回転方向に大きな幅をもって形成されていれば、リール腕62が被検出体60を兼ねることができるため、被検出体60が不要になり、一対の検出腕58はリール腕62のみを跨ぐことになる。一方、例えば、被検出体60が、リール腕62の前側(
図5の右側)側面から突出し、途中で屈曲してモータ腕52側に延びた形状(
図5に示す補助腕54と同様の形状)であれば、一対の検出腕58は、リール腕62ではなく、被検出体60のみを跨ぐように構成することができる。
【0064】
また、以上説明した実施形態では、フィルム110の巻き取り後、送出側のローラ32,34をロックして、ローラ32,34の間のフィルム110を固定していた。そして、その状態でフィルム110の張力検出と張力調整を行った。しかし、ローラ32,34のロックは必須ではない。例えば、送出側に多数のローラを備え、それらがフィルム110を曲がりくねって送出するように配置されている場合には、ローラが完全にロックしていなくても、送出側においてフィルム110は固定した状態になりえる。
【0065】
また、以上説明した実施形態では、モータ腕52とリール腕62との間に、弾性部材として引きバネ56を設けた。しかし、弾性部材として、ゴムなどを設けてもよい。
【0066】
また、上述したように、張力検出部38として、モータ腕52とリール腕62との間隔αを検出できる適切なセンサを設ければ、間隔αが第1所定値(予め定めた値)未満である場合に張力が過小であると検出し、間隔αが第1所定値よりも大きい第2所定値(予め定めた値)を超える場合には張力が過大であると検出することができる。この第1所定値と第2所定値は、巻取リール26にフィルム110が巻かれている量に応じて変化させてもよい。巻取リール26に巻かれているフィルム110の量が多い場合には、巻取リール26のフィルム110を合わせた半径が大きくなるため、フィルム110の張力が同じであっても、リール腕62には、より大きなトルクが発生する。それにより、実際にはフィルム110の張力が過小であっても張力が適正であると検出し、実際にはフィルム110の張力が適正であっても張力が過大であると検出してしまう可能性がある。そこで、巻かれているフィルム110の量が多くなるほど、第1所定値と第2所定値とをより大きな値にしてもよい。
【0067】
また、同様に、巻取リール26に巻かれているフィルム110の量に応じて、張力調整する際の巻取モータ30の回転量を変化させてもよい。巻取リール26に巻かれているフィルム110の量が多いほど、巻取リール26の巻き取り方向への回転で、より多くのフィルム110が巻き取られ、フィルム110の張力がより大きくなる。同様に、巻取リール26に巻かれているフィルム110の量が多いほど、巻取リール26の逆方向への回転で、より多くのフィルム110が巻取リール26から送出され、フィルム110の張力がより小さくなる。そこで、巻かれているフィルム110の量が多くなるほど、張力調整する際の巻取モータ30の巻き取り方向、又は、逆方向への回転量をより小さくするようにしてもよい。
【0068】
また、以上説明した実施形態の実装装置10は、フリップチップボンディングを行う装置(フリップチップボンダ)であったが、実装装置10は、半導体ダイの基板への電気的接続はせず、半導体ダイを基板へ接着材料により固着する装置(ダイボンダ)等であってもよい。また、以上説明した実施形態の実装装置10は、基板104に予め接着材料を塗布しておく方式(先塗布方式)であったが、基板104に接着材料を塗布しておくのではなく、半導体チップ100の裏面にNCF等の接着材料を貼り付けておき、このNCF等を加熱硬化させて半導体チップ100を基板104に実装するものであってもよい。
【0069】
また、以上説明した実施形態の実装装置10は、半導体チップ100を基板104へ実装したが、半導体チップ100以外の電子部品(例えばトランジスタやコンデンサ等)を、基板104又は基板104以外の被実装部材(ウェーハ、ガラス、樹脂等)に実装するものであってもよい。
【0070】
以上説明した実施形態のフィルム供給装置90は、実装装置10以外の用途にも使用できるものである。上記した張力検出および張力調整の技術は、フィルム、ひも、糸などを送出リールから巻取リールに巻き取るあらゆる装置に適用することが可能である。
【0071】
以上、本発明について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。