(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。以下で述べる各部材の形状、配置、材質等は、説明のための例示であって、ワイヤボンディング装置や、ワイヤボンディング装置により製造される半導体装置の仕様等に合わせて適宜変更が可能である。全ての図において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1は、ワイヤボンディング装置10の構成を示す系統図である。
図1において、信号線は一点鎖線で示す。ワイヤボンディング装置10は、ボンディングツールとしてキャピラリ16を用い、ワイヤ81としてアルミニウム線を用い、ウェッジボンディング方式で、2つのボンディング対象物をワイヤ81で接続する装置である。
図1では、ワイヤボンディング装置10の構成要素ではないが、ボンディング対象物としての半導体チップ72と基板71が示されている。なお、本実施形態において、ウェッジボンディング方式とは、ワイヤ先端にFABを形成せず、超音波、圧力を用いて行うボンディング方式をいう。
【0020】
ワイヤボンディング装置10は、ボンディングステージ14と、XYステージ20と、コンピュータ60を含む。ボンディングステージ14は、2つのボンディング対象物である半導体チップ72と基板71とを搭載するボンディング対象物保持台であり、基板71の下面を吸着固定する。
【0021】
半導体チップ72は、シリコン基板にトランジスタ等を集積化して電子回路としたもので、電子回路としての入力端子と出力端子等が半導体チップ72の上面に複数のパッド73(電極とも言う。
図1には1つのパッド73を示す)として引き出されている。
【0022】
基板71は、エポキシ樹脂基板に所望の配線をパターニングしたもので、半導体チップ72の下面を固定するチップパッド(不図示)と、その周囲に配置される複数のリード74(
図1には1つのリード74を示す)と、チップパッドや複数のリード74から引き出された基板としての入力端子と出力端子を有する。ワイヤボンディングは、基板71のリード74と半導体チップ72のパッド73との間をワイヤ81で接続することで行われる。なお、半導体チップ72が実装されている部材(被実装部材)は基板71以外に、例えばリードフレームがある。被実装部材がリードフレームの場合には、ワイヤボンディングにより、リードフレームのリードと半導体チップ72のパッド73との間をワイヤ81で接続することになる。
【0023】
ボンディングステージ14の上面には、キャピラリ16の先端から延び出たワイヤ(ワイヤテール82)を折り曲げるための折り曲げステーション78が設けられている。折り曲げステーション78は、円柱状の部材であり、上面75と、上面75の略中央に形成された孔76を有する。孔76の直径はワイヤ81の直径よりも大きくなっており、孔76の内面76aは円筒面である。折り曲げステーション78の上面75は平面で、上面75と孔76の内面76aとは段部を構成している。
【0024】
XYステージ20は、ボンディングヘッド21を搭載し、ボンディングステージ14に対し、ボンディングヘッド21をXY平面内の所望の位置に移動させる移動台である。XY平面は、ボンディングステージ14の上面と平行な平面である。Y方向は、後述する超音波トランスデューサ13の長手方向に平行な方向である。
図1に、X方向、Y方向と、XY平面に垂直な方向であるZ方向を示した。
【0025】
ボンディングヘッド21は、XYステージ20に固定されて搭載され、Z方向モータ19を内蔵する。Z方向モータ19の回転制御によってZ駆動アーム23が回動する。Z駆動アーム23には、超音波トランスデューサ13と、クランパ17が取り付けられている。Z駆動アーム23は、Z方向モータ19の回転制御によって、ボンディングヘッド21に設けられる回動中心(例えばZ方向モータ19の出力軸)の周りに回動可能な部材である。Z駆動アーム23の回動によって、超音波トランスデューサ13を介してキャピラリ16がZ方向に移動する。なお、ボンディングヘッド21に設けられる回動中心は、必ずしもZ方向モータ19の出力軸ではなく、Z駆動アーム23、超音波トランスデューサ13、クランパ17等を含めた全体の重心位置を考慮し、回転負荷が軽減される位置に設定される。XYステージ20とZ駆動アーム23が、移動機構18を構成する。
【0026】
超音波トランスデューサ13は、根元部がZ駆動アーム23に取り付けられ、先端部にワイヤ81を挿通するキャピラリ16が取り付けられる細長い棒部材である。超音波トランスデューサ13には超音波振動子15が取り付けられ、超音波振動子15を駆動することで発生する超音波エネルギをキャピラリ16に伝達する。したがって、超音波トランスデューサ13は、超音波振動子15からの超音波エネルギを効率よくキャピラリ16に伝達できるように、先端側に行くほど先細りとなるホーン形状に形成される。
【0027】
図2Aは、キャピラリ16の先端部の側断面図であり、
図2Bは、キャピラリ16の先端部の底面図である。キャピラリ16は、棒状体であり、ワイヤが挿通される長手方向に延びた貫通孔16bと、先端の貫通孔16bの周縁に設けられてボンディング対象にワイヤを押圧する押圧面16aとを有するボンディングツールである。かかるキャピラリ16としては、ボールボンディングに用いられるセラミック製のキャピラリをそのまま用いることができる。ボールボンディングに用いられるキャピラリは、FABを保持しやすいように、貫通孔の先端面側に適当なチャンファと呼ばれる隅部形状が設けられているが、本実施形態のウェッジボンディング方式では、ボールボンディング用のキャピラリを用い、このキャピラリの貫通孔の先端面側の下面に、平面である押圧面16aを備える。
【0028】
ウェッジボンディング用のツールは、先端部に、長手方向に対し斜めに設けられるワイヤガイドと、ワイヤの側面を押圧するための押圧面を有するので、ツールの長手方向軸の周りに回転対称でなく、ワイヤは、ワイヤガイドの方向に沿った方向性を有して横方向に突き出す。このようなウェッジボンディング用のツールを用いると、リード、パッドの配置によっては、そのままではワイヤガイドの方向がワイヤの接続方向と合わないことが生じる。
【0029】
例えば、基板71の中央部に半導体チップ72が搭載され、半導体チップ72の周辺部に沿って一周するように複数のパッド73が配置され、基板71にも、半導体チップ72の外側に沿って一周するように複数のリード74が設けられる場合には、リード74とパッド73を結ぶワイヤの接続方向が複数のワイヤボンディングのそれぞれによって異なる。ワイヤガイドの方向をワイヤの接続方向に合わせるには、ウェッジボンディング用のツールを長手方向軸の周りに回転させるか、基板71を回転させる必要がある。
【0030】
これに対し、キャピラリ16の先端の押圧面16aは、キャピラリ16の長手方向軸の周りに回転対称の形状であるので、リード74とパッド73を結ぶワイヤの接続方向がワイヤボンディングごとに異なっても、キャピラリ16の先端から突き出るワイヤテール82の方向を少し変更する整形処理を行うだけで済む。このため、ウェッジボンディングにキャピラリ16を用いる。
【0031】
一方で、ウェッジボンディングにキャピラリ16を用いた場合、
図10に示すように、パッド1073またはリード1074に第1ボンド(
図10にはリード1074に第1ボンドした例を示す)した際に、第1ボンド点1083(接合部)に連なって、長めの接合部テール1083a(ワイヤテール)が形成される。これは、
図5Dに示すように、キャピラリ16の先端から折り曲がって突き出るワイヤテール82が、キャピラリ16の押圧面16aの外周端よりも外側に少し飛び出した状態で、第1ボンドが行われるためである。本実施形態のワイヤボンディング装置10は、後で詳述するように、隣り合う、長い接合部テール1083a同士がショートしてしまうことが防がれるように、ボンディングを行う。
【0032】
図1に戻り、キャピラリ16に挿通されるワイヤ81は、アルミニウムの細線である。ワイヤ81は、ボンディングヘッド21から延びるワイヤホルダに設けられるワイヤスプール11に巻回され、ワイヤスプール11からクランパ17を介してキャピラリ16の中心部の貫通孔16b(
図2A参照)に挿通されて、キャピラリ16の先端から突き出る。かかるワイヤ81の材質としては、純アルミニウム細線の他に、シリコン、マグネシウム等を適当に混合させた細線等を用いることができる。ワイヤ81の直径は、ボンディング対象物によって選択することができる。ワイヤ81の直径の一例を挙げると、30μmである。
【0033】
クランパ17は、Z駆動アーム23に取り付けられ、ワイヤ81の両側に配置される1組の挟み板を含む。クランパ17は、向かい合う挟み板の間を開くことでワイヤ81を自由移動状態とし、向かい合う挟み板の間を閉じることで、ワイヤ81の移動を停止させる。クランパ17は、Z駆動アーム23に取り付けられるので、キャピラリ16と共に移動し、ワイヤ81を適切に挟むことができる。クランパ17の開閉は、クランパ開閉機構27の作動によって行われる。
【0034】
ワイヤボンディング装置10は、半導体チップ72、基板71などの画像を取得する撮像手段であるカメラ28を含む。カメラ28は、ボンディング中にボンディング対象物を撮像し、撮像した画像に基づいてキャピラリ16のXY方向の位置合わせが行なわれる。また、ボンディング開始前に、カメラ28がボンディング対象物を撮像することにより、基板71の各リード74のXY方向の位置データ、半導体チップ72の各パッド73のXY方向の位置データ、および、基板71の各リード74の幅、長さ、傾き(延出方向)のデータ等が取得される。それらのデータは、記憶部32に制御データ40の一部として記憶される。なお、ボンディング開始前のデータの取得は、例えば同一仕様の半導体装置(半導体チップ72と基板71をワイヤボンディングした半導体装置)を連続して製造する場合には、先頭の半導体装置に対して行うだけでもよい。
【0035】
ここで、上記データの取得についてもう少し詳しく説明する。制御部30は、記憶部32からプログラムを読み出して実行することにより、形状取得手段として機能する。形状取得手段は、カメラ28を用いて、ワイヤ81が接続されるリード74の形状を取得し、記憶部32に記憶する。好ましくは、形状取得手段は、リード74のワイヤ81が接続される箇所が延びる方向であるリード方向を認識し、記憶部32に記憶する。なお、形状取得手段は、基板71の全てのリード74のリード方向の認識をボンディング開始前に行なってもよいし、各リード74がボンディングされるタイミングで、ワイヤ81が次に接続されるリード74のリード方向を認識してもよい。
【0036】
図1に示す構成の説明に戻る。コンピュータ60は、ワイヤボンディング装置10の各要素の動作を全体として制御する。コンピュータ60は、CPUを有する制御部30と、インターフェース回路44と、記憶部32を含んで構成される。これらは互いにデータバス31で接続される。
【0037】
インターフェース回路44は、制御部30とワイヤボンディング装置10の各要素との間に設けられる駆動回路またはバッファ回路である。本明細書では、インターフェース回路をI/Fとも記す。インターフェース回路44は、XYステージ20に接続されるXYステージI/F、Z方向モータ19に接続されるZ方向モータI/F、超音波振動子15に接続される超音波振動子I/F、クランパ開閉機構27に接続されるクランパ開閉機構I/F、カメラ28に接続されるカメラI/Fなどを含む。
【0038】
記憶部32は、各種プログラムと、制御データを格納する記憶装置である。各種プログラムは、ボンディング方向計算プログラム33、第1のワイヤテール延出プログラム34、第1のテールカットプログラム35、第2のワイヤテール延出プログラム36、第2のテールカットプログラム37、ワイヤテール折り曲げプログラム38、その他の制御処理に関する制御プログラム39である。制御データ40は、各種プログラムを実行するときに必要なデータ等である。
【0039】
制御部30は、ボンディング方向計算プログラム33、第1のワイヤテール延出プログラム34、第1のテールカットプログラム35、第2のワイヤテール延出プログラム36、第2のテールカットプログラム37、ワイヤテール折り曲げプログラム38のそれぞれを記憶部32から読み出して実行することにより、ボンディング方向計算手段、第1のワイヤテール延出手段、第1のテールカット手段(第1の切断手段、または、単に切断手段とも言う)、第2のワイヤテール延出手段、第2のテールカット手段(第2の切断手段とも言う)、ワイヤテール折り曲げ手段(単に折り曲げ手段とも言う)として機能する。なお、第2のワイヤテール延出プログラム36と第2のテールカットプログラム37は、第1のワイヤテール延出プログラム34と第1のテールカットプログラム35に代えて使用するプログラムであり、以降説明する最初の実施形態では使用しない。
【0040】
次に、以上のように構成されたワイヤボンディング装置10によって基板71のリード74と半導体チップ72のパッド73をワイヤで接続する工程について説明する。
図3は、半導体チップ72のパッド73の一部と、基板のリード74の一部を示す上面図である。
図3を含め各図において、接合部テール83a,183a,283a,383a,483aは誇張して長めに描かれている。本実施形態では、最初に
図3の右下に示す第1リード174と第1パッド173を第1接続ワイヤ184で接続し(第1ボンディング)、次に第1リード174の上側にある第2リード175と、第1パッド173の上側にある第2パッド273を第2接続ワイヤ284で接続する(第2ボンディング)。以下同様に
図3に示す矢印AR1のように、各リード74とパッド73を反時計周りに順次接続していく(第nボンディング、nは整数)。なお、各ボンディングにおいて、基板のリードにワイヤを第1ボンドした後、ワイヤをルーピングし、半導体チップのパッドに第2ボンドする。
【0041】
制御部30は、記憶部32に格納されている制御プログラム39、ボンディング方向計算プログラム33、第1のワイヤテール延出プログラム34、第1のテールカットプログラム35、ワイヤテール折り曲げプログラム38、および制御データ40を読み出して、ボンディングを制御する。
図5Aに示すように、最初に、キャピラリ16は、折り曲げステーション78の孔76よりも外側に位置しており、キャピラリ16の先端の押圧面16aからワイヤテール82が直線状に所定の長さだけ延出し、クランパ17は閉とされている。
【0042】
図4は、本実施形態におけるワイヤボンディング装置10の動作を示すフローチャートである。まず、S101で、制御部30は、整数nを1に初期設定する。次に、S102で、制御部30は、ワイヤテール折り曲げプログラム38を実行することにより、ワイヤテール折り曲げ手段として機能する。制御部30(ワイヤテール折り曲げ手段)は、XYステージ20を制御して、
図5Aに示すように、ボンディングステージ14に対してキャピラリ16を移動させ、キャピラリ16の中心が折り曲げステーション78の孔76の直上に来るようにする。そして、
図5Bに示すように、キャピラリ16が孔76の直上に来たら、制御部30は、Z方向モータ19を介してZ駆動アーム23を制御し、キャピラリ16の先端の押圧面16aを折り曲げステーション78の上面75から少しだけ高い位置まで降下する。これにより、キャピラリ16の先端から直線状に延出しているワイヤテール82の先端は、折り曲げステーション78の孔76の中に入る。
【0043】
整数nは1に設定されているので、
図4のS103に示すように、制御部30は最初にボンディングする第1リード174の延出方向を取得する。記憶部32には、制御データ40の一部として、ボンディングを行う各リード74の傾き(延出方向)が格納されている。制御部30は、記憶部32から第1リード174の延出方向を読み出して取得する。第1リード174の延出方向は、前述した形状取得手段により認識された第1リード174のリード方向である。
【0044】
次に、
図4のS104で、制御部30(ワイヤテール折り曲げ手段)は、XYステージ20を制御して、
図6に示すように、キャピラリ16の中心を第1リード174の延出方向191(
図6,7参照)に沿ってパッドの側に水平に移動させる。すると、
図5Cに示すように、孔76の中に入っていたワイヤテール82は孔76の内面76aと折り曲げステーション78の上面75との角部(段部)に引っ掛かり、キャピラリ16の水平移動に従って横方向に折り曲げられていく。そして、キャピラリ16の中心が孔76の外側まで移動すると、ワイヤテール82は押圧面16aと上面75との間に挟まれ、ワイヤテール82はキャピラリ16の貫通孔16bに挿通されているワイヤ81に対して略直角方向に折り曲げられる。そして、
図6に示すように、折り曲げられたワイヤテール82の先端は第1リード174の延出方向191に向いている。なお、前述した形状取得手段により第1リード174のリード方向以外のリード形状データが取得されている場合には、制御部30を第1の算出手段(単に算出手段とも言う)として機能させ、形状取得手段により取得された第1リード174のリード形状に基づいて、キャピラリの端部から延出するワイヤテールの延出方向を算出してから、上記動作を行うとしてもよい。
【0045】
ワイヤテール82の折り曲げが終わったら、
図4のS105で、制御部30は、整数nが1に設定されているので、XYステージ20を制御して、キャピラリ16の中心を第1リード174の上に移動させる。
【0046】
キャピラリ16の中心が第1リード174の上に移動したら、
図4のS106で、制御部30は、Z駆動アーム23を制御して、キャピラリ16の先端を第1リード174の上に降下させる。そして、
図5Eに示すように、制御部30は、キャピラリ16の先端から延出し、
図7に示す第1リード174の延出方向191に沿って折り曲げられているワイヤテールの側面をキャピラリ16の先端の押圧面16aによって第1リード174の上に押し付けると共に、超音波振動子15を駆動して、キャピラリ16でワイヤテール82を第1リード174の上にウェッジボンディングにより接合する。この接合によって第1リード174の上面には接合部183が形成されると共に、それに連なって接合部テール183aが形成される。キャピラリ16の先端のワイヤテール82が第1リード174の延出方向191に向いていた為、接合部テール183aは、第1リード174の延出方向191に沿って形成される。
【0047】
第1リード174へのワイヤテール82の接続が終了したら、
図4のS107で、制御部30は、Z駆動アーム23を制御して、キャピラリ16の先端を上昇させる。そして、制御部30は、ボンディング方向計算プログラム33を実行することによりボンディング方向計算手段として機能する。記憶部32の中には、制御データ40の一部として、各リード74のXY方向の位置データと半導体チップ72の各パッド73のXY方向の位置データが格納されている。制御部30は記憶部32から
図7に示す第1リード174のXY方向の位置データと、第1パッド173のXY方向の位置データを読み出し、第1リード174と第1パッド173を結ぶ第1ボンディングの方向を第1ワイヤ方向192(第1の直線の方向)として計算する。制御部30は、キャピラリ16の先端を上昇させると共に、XYステージ20を制御して、キャピラリ16の中心を
図7に示す第1ワイヤ方向192に移動させる。また、この際、制御部30は、クランパ開閉機構27を制御してクランパ17を開とする。これによって、
図5Fに示すように、キャピラリ16の先端からワイヤ81が繰り出されながら、キャピラリ16は
図7に示す第1ワイヤ方向192に沿って斜め上方向に向かって上昇する。
【0048】
次に、
図4のS108で、制御部30は、Z駆動アーム23とXYステージ20を制御して、整数nが1に設定されているので、キャピラリ16の先端を所定の高さまで上昇させたら、
図5Gに示すように第1パッド173に向かってループ状に移動させる。この動作によってキャピラリ16の中心は、
図7に示す第1リード174の接合部183から第1パッド173に向かって第1ワイヤ方向192に沿って移動していく。
【0049】
そして、キャピラリ16の中心が第1パッド173の直上まで移動したら、
図4のS109で、制御部30は、Z駆動アーム23を制御して、キャピラリ16の先端を第1パッド173の上に降下させる。そして、
図5Hに示すように、キャピラリ16の先端から延出しているワイヤ81の側面をキャピラリ16の先端の押圧面16aによって第1パッド173の上に押し付けると共に、超音波振動子15を駆動して、キャピラリ16によりワイヤ81の側面を第1パッド173の上にウェッジボンディングで接合する。この接合によって第1パッド173の上面には接合部185が形成される。このように、第1パッド173にワイヤ81をウェッジボンディングにより接合すると、
図5Hに示すように、第1リード174と第1パッド173の間は山形のループ状で、
図7に示すようにXY平面上では第1ワイヤ方向192に延びる直線状の第1接続ワイヤ184で接続される。
【0050】
第1パッド173へのボンディングが終了すると、
図4のS110で、制御部30は、次にボンディングするリード74、パッド73があるかどうかを判断する。整数nは1に設定されており、(n+1)は2となり、本実施形態では、第2リード274と第2パッド273を接続する第2ボンディングがあるので、制御部30は、
図4のS110に示す、第(n+1)ボンディングがあると判断し、
図4のS111に進む。
【0051】
S111で、制御部30は、次にボンディングする第2リード274の延出方向291(
図7参照)を、記憶部32から読み出して取得する。第2リード274の延出方向は、前述した形状取得手段により認識された第2リード274のリード方向である。そして、S112で、制御部30は、
図7に示す第1ワイヤ方向192と第2リード274の延出方向291の角度差θ1(第1角度とも言う)を計算し、この角度差θ1と所定の角度とを比較する。ここで所定の角度は、以降説明する、キャピラリ16先端のワイヤテール82の延出および切断の動作を行う際に、ワイヤテール82に引っ張られて第1パッド173や第1パッド173上面の接合部185が損傷することがない程度の角度であり、本実施形態では、45°とする。なお、この角度は45°に限定されるものではない。
【0052】
図4のS112で、角度差θ1は所定の角度差(45°)よりも小さいので、S113に進む。S113で、制御部30は、第1のワイヤテール延出プログラム34を実行することにより、第1のワイヤテール延出手段として機能する。制御部30(第1のワイヤテール延出手段)は、Z駆動アーム23とXYステージ20を制御して、
図7に示すように、キャピラリ16の先端のXY面での移動方向を第2リード274の延出方向291として、
図5Iに示すようにキャピラリ16の先端を斜め上方に向かって移動させる。これにより、キャピラリ16の先端からワイヤテール82が延出される。ワイヤテール82は、接合部185の端部との境界部分で角度θ1だけ曲がる。なお、前述した形状取得手段により第2リード274のリード方向以外のリード形状データが取得されている場合には、制御部30を第1の算出手段として機能させ、形状取得手段により取得された第2リード274のリード形状に基づいて、キャピラリの端部から延出するワイヤテールの延出方向を算出してから、上記動作を行うとしてもよい。なお、以下のテールカット動作も同様である。
【0053】
次に、
図4のS114で、制御部30は、キャピラリ16の先端のワイヤテール82の長さが所定の長さになったかどうかを判断する。ワイヤテール82の長さが所定の長さになった場合には、S115で、制御部30は、第1のテールカットプログラム35を実行することで第1のテールカット手段として機能する。制御部30(第1のテールカット手段)は、クランパ開閉機構27を制御することにより、クランパ17を閉とする。そして、制御部30(第1のテールカット手段)は、Z駆動アーム23とXYステージ20を制御して、キャピラリ16の先端のXY面での移動方向を第2リード274の延出方向291として、キャピラリ16の先端を斜め上方に向かって移動させる。すると、
図5Jに示すように、ワイヤテール82は、一番強度が低下している第1パッド173と接合部185の境界で切断され、ワイヤテール82は第1パッド173から切り離される。この際、
図7に示すように、キャピラリ16の先端から延出したワイヤテール82は、XY面内では、第2リード274の延出方向291に延びている。すなわち、キャピラリの端部から延出するワイヤテール82の延出方向と、第2リード274の延出方向291とが同じとなっている。なお、キャピラリの端部から延出するワイヤテールの延出方向を、テール延出方向、または、第1のテール延出方向と言うこともできる。
【0054】
ワイヤテール82を切断したら、
図4のS116で、制御部30は、整数nを1だけインクリメントして、S105に戻る。この際、整数nは1だけインクリメントされて2となっているので、
図5Kに示すように制御部30はキャピラリ16の中心を第2リード274の直上に移動させる。
【0055】
第2リード274の直上に移動させたら、先に説明したのと同様に、
図4のS106で、制御部30は、Z駆動アーム23を制御して、キャピラリ16の先端を第2リード274の上に降下させる。そして、制御部30は、キャピラリ16の先端から延出し、
図7に示す第2リード274の延出方向291に沿って折り曲げられているワイヤテール82の側面をキャピラリ16の先端の押圧面16aによって第2リード274の上に押し付けると共に、超音波振動子15を駆動して、キャピラリ16でワイヤテール82を第2リード274の上にウェッジボンディングにより接合する。この接合によって第2リード274の上面には接合部283が形成されると共に、それに連なって接合部テール283aが形成される。キャピラリ16の先端のワイヤテール82が第2リード274の延出方向291に向いていた為、接合部テール283aは、第2リード274の延出方向291に沿って形成される。
【0056】
第2リード274にワイヤテール82をボンディングすると、
図4のS107〜S109で、制御部30は、キャピラリ16を上昇させて、第2パッド273に向かってルーピングし、第2パッド273にワイヤ81の側面を押しつけて接合部285を形成し、第2リード274と第2パッド273の間を第2接続ワイヤ284で接続する。そして、
図4のS110で、制御部30は、第(n+1)ボンディングがあるかどうかを判断する。整数nは2に設定されており、(n+1)は3となり、本実施形態では、第3リード374と第3パッド373を接続する第3ボンディングがあるので、制御部30は、
図4のS110に示す、第(n+1)ボンディングがあると判断し、
図4のS111に進む。
【0057】
次に、
図4のS111で、制御部30は、第3リード374の延出方向391を取得し、S112で、制御部30は、
図7に示す第2ワイヤ方向292(第2リード274と第2パッド273を結ぶ第2ボンディングの方向(第2の直線の方向))と第3リード374の延出方向391の角度差θ2(第1角度)を計算し、この角度差θ2と所定の角度とを比較する。
図7に示すように、角度差θ2は所定の角度差(45°)よりも小さいので、S113に進み、制御部30は、第3リード374の延出方向391に沿ってキャピラリ16を斜め上方に向かって上昇させる。そして、S113,S114で、制御部30は、所定の長さだけワイヤテール82を延出させた後、S115で、制御部30は、クランパ17を閉として、キャピラリ16を第3リード374の延出方向391に沿って移動させてワイヤテール82を切断する。これにより、キャピラリ16の先端から延出したワイヤテール82は、XY面内では、第3リード374の延出方向391に延びることになる。そして、
図4のS116で、再度nを1だけインクリメントして
図4のS105に戻る。
【0058】
そして、先の説明に従って、
図4のS105〜S109を実行し、
図3に示すように第3リード374と第3パッド373の間を第3接続ワイヤ384で接続する。第3リード374の上面には第3接合部383が形成されると共に、それに連なって接合部テール383aが形成される。接合部テール383aは、第3リード374の延出方向391に沿って延びている。
【0059】
次に、第4ボンディングがあるのでS110がYesとなり、S111に進み、第4リード474の延出方向491を取得する。そして、
図4のS112で、
図3に示す第3ワイヤ方向392(第3リード374と第3パッド373を結ぶ第3ボンディングの方向(第3の直線の方向))と第4リード474の延出方向491の角度差θ3(第1角度)を計算し、この角度差θ3と所定の角度とを比較する。ここで、
図3に示すように、角度差θ3は所定の角度差(45°)よりも大きい。この場合、S118に進み、制御部30は、Z駆動アーム23を制御して、キャピラリ16を略垂直に上昇させる。これにより、キャピラリ16の先端からワイヤテール82が延出される。
【0060】
次に、
図4のS119で、制御部30は、キャピラリ16の先端のワイヤテール82の長さが所定の長さになった場合には、クランパ開閉機構27を制御して、クランパ17を閉とする。そして、制御部30は、Z駆動アーム23を制御して、キャピラリ16を略垂直に上昇させる。それにより、ワイヤテール82は、キャピラリ16から略直線状に延出した状態で切断される。
【0061】
このように、
図4のS112で、先のボンディングのワイヤ方向(
図3では392)と、次のリードの延出方向(
図3では491)の角度差が所定の角度より大きい場合、S118,S119を実行することにより、キャピラリ16の先端から略直線状にワイヤテール82を延出させて切断する。このように処理する理由は、先のボンディングのワイヤ方向と、次のリードの延出方向の角度差が大きい場合、
図4のS113〜S115に従って、次のリードの延出方向に向かってキャピラリ16を移動させてワイヤテール82を引っ張ると、ワイヤテール82が接合部385の端部の境界部分で大きな角度で曲がった状態で引っ張られることになるため、パッド373やパッド373の上面の接合部385が剥がれる(損傷する)可能性があるためである。
【0062】
図4のS118,S119を経ると、キャピラリ16の先端のワイヤテール82は略直線状に延びており、次にボンディングを行う第4リード474の延出方向491に延びていない。そこで、キャピラリ16を折り曲げステーション78に移動させて、キャピラリ16の先端のワイヤテール82を、第4リード474の延出方向491に延びるように成形する。具体的には次のように動作させる。
図4のS119の後、S120で、制御部30は、nを1だけインクリメントし、nは4になる。そして、S102に戻り、制御部30は、ワイヤテール折り曲げプログラム38を実行することにより、ワイヤテール折り曲げ手段として機能する。制御部30(ワイヤテール折り曲げ手段)は、キャピラリ16を折り曲げステーション78に移動させて、キャピラリ16の先端から略直線状に延出しているワイヤテール82の先端を、折り曲げステーション78の孔76の中に入れる(
図5B参照)。そして、S103で、制御部30は、次にボンディングする第4リード474の延出方向491(
図3参照)を取得する。次に、S104で、制御部30は、キャピラリ16の中心を第4リード474の延出方向491(
図3参照)に沿ってパッドの側に水平に移動させる。すると、
図5Cに示すように、孔76の中に入っていたワイヤテール82は孔76の内面76aと折り曲げステーション78の上面75との角部(段部)に引っ掛かり、キャピラリ16の水平移動に従って横方向に折り曲げられていく。そして、キャピラリ16の中心が孔76の外側まで移動すると、ワイヤテール82は押圧面16aと上面75との間に挟まれ、ワイヤテール82はキャピラリ16の貫通孔に挿通されているワイヤ81に対して略直角方向に折り曲げられる。そして、折り曲げられたワイヤテール82は第4リード474の延出方向491に沿って延びる。
【0063】
そして、先の説明と同様に、
図4のS105〜109を実行することで、
図3に示すように第4リード474と第4パッド473の間を第4接続ワイヤ484で接続する。第4リード474の上面には接合部483が形成されると共に、それに連なって接合部テール483aが形成される。S104の完了時点で、キャピラリ16の先端のワイヤテール82が第4リード474の延出方向491に沿って折り曲がっていた為、接合部テール483aは、第4リード474の延出方向491に沿って形成される。
【0064】
以上説明したようにボンディングを順次を行い、
図4のS110で、次のボンディング(第(n+1)のボンディング)がない場合には、S117に進み、制御部30は、所定のボンディング終了動作を実行した後、一連の処理を終了する。
【0065】
次に、以上説明した本実施形態のワイヤボンディング装置10の作用効果について説明する。
【0066】
以上説明した本実施形態のワイヤボンディング装置10によれば、
図3に示すように、基板(被実装部材)の各リード174,274,374,474・・の延出方向(リードのワイヤが接続される箇所が延びる方向)に沿って、各リード上面の各接合部テール183a,283a,383a,483a・・が延びるように形成される。そのため、各リードの上面から各接合部テールがはみ出すことを防ぐことができ、隣り合うリードの接合部テール同士の接触(ショート)を的確に防ぐことができる。
【0067】
また、以上説明した本実施形態のワイヤボンディング装置10によれば、先のボンディングのワイヤ方向と次のリード(次にボンディングするリード)の延出方向との角度差が大きく、先のパッド73にボンディングした後のキャピラリ16の移動により、キャピラリ16先端のワイヤテール82を次のリードの延出方向に折り曲げることができない場合には、別途設けた折り曲げステーション78によりワイヤテール82を次のリードの延出方向に折り曲げることができる。
【0068】
また、以上説明した本実施形態のワイヤボンディング装置10によれば、ボンディングステージまたはボンディングツールを回転させることなく、ウェッジボンディングを行うことができる。そのため、従来のウェッジツールを用いたボンディング装置よりも高速にウェッジボンディングを行うことができる。また、ボンディングステージやボンディングツールを回転させることが必要なくなるので簡便な装置とすることができる。
【0069】
次に、別の実施形態について説明する。
【0070】
以上説明した実施形態では、リード74上面の接合部テール83aを、常に、リード74の延出方向に沿って形成していた。しかし、別の実施形態として、リード74間の間隔が広い基板(被実装部材)、または、基板の中でリード74間の間隔が広い部分については、隣り合うリードの接合部テール同士の接触のおそれがないため、リード74上面の接合部テール83aをワイヤ方向に沿って形成してもよい。接合部テール83aをワイヤ方向に沿って形成する方法としては、特許文献3の第0036段落〜第0070段落、
図4、
図5A〜
図5M、
図6に記載されている方法を適用することができる。特許文献3では、パッドに第1ボンドし、リードに第2ボンドするボンディングを行っているが、それを、リードに第1ボンドし、パッドに第2ボンドするボンディングに変更すればよい。以下に、本発明の
図1に示したワイヤボンディング装置10によって、リード74上面の接合部テール83aをワイヤ方向に沿って形成する方法を簡単に説明する。
【0071】
ここでは、
図9に示すように、第1リード174と第1パッド173を第1接続ワイヤ184で接続(第1ボンディング)し、次に、第2リード274と第2パッド273を第2接続ワイヤ284で接続(第2ボンディング)する場合を例に、接合部テール183a,283aをワイヤ方向に沿って形成する方法を説明する。まず、制御部30は、第1リード174と第1パッド173を結ぶ直線の方向(第1ワイヤ方向192)を取得する。そして、制御部30は、
図8に示すように、折り曲げステーションの孔76と上面を用いて、
図4のS104で説明した方法と同様の方法により、キャピラリ16の先端から延出するワイヤテール82を第1ワイヤ方向192に沿って折り曲げる。なお、必要に応じて、制御部30を第2の算出手段として機能させ、第1リード174と第1パッド173を結ぶ直線の方向を、キャピラリの端部から延出するワイヤテールの延出方向(第2のテール延出方向)として算出してから、上記動作を行うようにしてもよい。
【0072】
そして、制御部30は、
図9に示すように、キャピラリ16によりワイヤテール82を第1リード174に第1ボンドし、ワイヤをルーピングして、第1パッド173に第2ボンドする。それにより、第1リード174と第1パッド173の間が第1接続ワイヤ184で接続される。第1リード174の上面には接合部183が形成されると共に、それに連なって接合部テール183aが形成される。第1リード174に第1ボンドする前に、キャピラリ16の先端のワイヤテール82が第1ワイヤ方向192に折り曲がっていたことにより、接合部テール183aは、第1ワイヤ方向192に沿って形成される。
【0073】
第1パッド173(先のパッド)にワイヤをボンディングした後、制御部30は、第2リード274(次のリード)と第2パッド273(次のパッド)を結ぶ直線の方向(第2ワイヤ方向292)を取得する。そして、制御部30は、上記した第1のワイヤテール延出プログラム34に代えて、第2のワイヤテール延出プログラム36を実行することにより、第2のワイヤテール延出手段として機能する。制御部30(第2のワイヤテール延出手段)は、第1パッド173にワイヤをボンディングした後、クランパを開としてキャピラリ16を上昇させて、
図9に示すように、キャピラリ16を第2ワイヤ方向292に沿って所定距離だけ移動させ、キャピラリ16の貫通孔16bからワイヤテール82を第2ワイヤ方向292に沿った方向に延出させる。なお、必要に応じて、制御部30を第2の算出手段として機能させ、第2リード274と第2パッド273を結ぶ直線の方向を、キャピラリの端部から延出するワイヤテールの延出方向(第2のテール延出方向)として算出してから、上記動作を行うとしてもよい。なお、以下のテールカット動作も同様である。
【0074】
そして、制御部30は、上記した第1のテールカットプログラム35に代えて、第2のテールカットプログラム37を実行することで第2のテールカット手段として機能する。制御部30(第2のテールカット手段)は、キャピラリ16の先端にワイヤテール82を延出させた後、クランパを閉として、キャピラリ16を第2ワイヤ方向292に沿った方向に移動させてワイヤテール82を切断する。切断後、キャピラリ16の先端から延出するワイヤテール82は第2ワイヤ方向292に沿って折り曲がっている。すなわち、キャピラリの端部から延出するワイヤテール82の延出方向と、第2ワイヤ方向292とが同じとなっている。なお、この際、キャピラリの端部から延出するワイヤテールの延出方向を、第2のテール延出方向と言うこともできる。
【0075】
次に、制御部30は、
図9に示すように、キャピラリ16によりワイヤテール82を第2リード274に第1ボンドし、ワイヤをルーピングして、第2パッド273に第2ボンドする。それにより、第2リード274と第2パッド273の間が第2接続ワイヤ284で接続される。第2リード274の上面には接合部283が形成されると共に、それに連なって接合部テール283aが形成される。第2リード274に第1ボンドする前に、キャピラリ16の先端のワイヤテール82が第2ワイヤ方向292に折り曲がっていたことにより、接合部テール283aは、第2ワイヤ方向292に沿って形成される。このようにして、リードとパッドの間をワイヤで接合していくことにより、各リード上面の接合部テールは、ワイヤ方向に沿って形成されることになる。以上が、接合部テールをワイヤ方向に沿って形成する方法の説明である。
【0076】
さらに別の実施形態として、ワイヤボンディング装置10は、接合部および接合部テールの長さと、基板のリード間の間隔に基づいて、選択的に、接合部テールの延出方向を変化させるようにしてもよい。例えば、
図3に示すように、基板のリードにおける接合部(
図3では接合部383)と接合部テール(
図3では接合部テール383a)を合わせた長さTL(第1の長さ、とも言う)が、リード間の最小間隔PLより大きい場合には、隣り合う接合部テール同士(
図3では接合部テール383a,283a)が接触する可能性がある。そのため、この場合には、
図4に示すフローに従って制御を行い、制御部30を第1のワイヤテール延出手段および第1のテールカット手段として機能させ、接合部テールの延出方向をリードの延出方向に合わせるようにする。一方、接合部と接合部テールを合わせた長さTLが、リード間の最小間隔PLより同じか小さくなる場合には、
図8,9で説明した制御を行い、制御部30を第2のワイヤテール延出手段および第2のテールカット手段として機能させ、接合部テールの延出方向をワイヤ方向に合わせるようにする。このようにすれば、接合部テールの延出方向を最適化することができる。
【0077】
なお、オペレータが、不図示の入力装置を用いて、基板のリード毎に接合部テールの延出方向を個別に設定できてもよい。この場合、設定情報を制御データ40の一部として記憶部32に予め格納しておく。ワイヤボンディング装置10は、ボンディングの際に、記憶部32から設定情報を読み出して、設定情報に従って基板のリード毎に接合部テールの延出方向を変化させる。