特許第6973843号(P6973843)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6973843
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】手押しカート
(51)【国際特許分類】
   B62B 9/12 20060101AFI20211118BHJP
【FI】
   B62B9/12 Z
【請求項の数】15
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2021-541181(P2021-541181)
(86)(22)【出願日】2020年12月25日
(86)【国際出願番号】JP2020048638
【審査請求日】2021年7月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391003912
【氏名又は名称】コンビ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 勇太
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−123566(JP,U)
【文献】 実開昭55−66864(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 7/00− 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向に離間した一対の脚と、前記一対の脚の各々の下端部分に保持された車輪と、前記一対の脚の間又は前記一対の車輪の間を前記幅方向に延びる横渡部材と、前記横渡部材に取り付けられた足掛部材と、を有するカート本体と、
前記カート本体に取り付けられたかご部材と、を備え、
前記かご部材は、収容部を形成するかご本体部と、前記かご本体部から延び出し前記かご本体部を前記カート本体に取り付ける取り付け部材と、を有し、
前記横渡部材と前記横渡部材に取り付けられた前記足掛部材との間に前記取り付け部材の通過経路が形成されている、手押しカート。
【請求項2】
前記足掛部材は、前記幅方向に沿って延び、前記幅方向において前記横渡部材の全長の一部分上に設けられ、前記幅方向からの観察において前記横渡部材の全周の一部分上に設けられている、請求項1に記載の手押しカート。
【請求項3】
前記足掛部材は、前記幅方向からの観察において前記横渡部材の最も高い位置を上方から覆う、請求項1又は2に記載に手押しカート。
【請求項4】
幅方向に離間した一対の脚と、前記一対の脚の各々の下端部分に保持された車輪と、前記一対の脚の間又は前記一対の車輪の間を前記幅方向に延びる横渡部材と、前記横渡部材上に設けられた足掛部材と、を有するカート本体と、
前記カート本体に取り付けられたかご部材と、を備え、
前記かご部材は、収容部を形成するかご本体部と、前記かご本体部から延び出し前記かご本体部を前記カート本体に取り付ける取り付け部材と、を有し、
前記横渡部材と前記足掛部材との間に前記取り付け部材の通過経路が形成され、
前記足掛部材は、前記幅方向における両端部分に位置し前記横渡部材に取り付けられた一対の第1部分と、前記幅方向における前記一対の第1部分の間に位置し前記横渡部材との間に前記通過経路を形成する第2部分と、を含む、手押しカート。
【請求項5】
前記足掛部材は、前記第2部分において前記第1部分よりも前記横渡部材から隆起している、請求項4に記載の手押しカート。
【請求項6】
前記足掛部材は、前記横渡部材を覆う板状部と、前記第1部分において前記板状部から前記横渡部材に向けた突出した第1リブと、を有し、
前記第1リブは、その先端において、前記横渡部材に接触している、請求項4又は5に記載の手押しカート。
【請求項7】
前記第1リブは、前記幅方向に延びる第1横リブと、前記幅方向からの観察において前記横渡部材に向けて突出した第1リブと、を有し、
前記第1リブは、その先端において、前記横渡部材に接触している、請求項6に記載の手押しカート。
【請求項8】
前記足掛部材は、前記横渡部材を覆う板状部と、前記第2部分において前記板状部から前記横渡部材に向けた突出した第2リブと、を有し、
前記第2リブは、前記幅方向からの観察において前記横渡部材の外面に沿って、前記横渡部材から離間しながら、延びる第2縦リブを含む、請求項4〜7のいずれか一項に記載の手押しカート。
【請求項9】
前記第2縦リブの前記板状部からの突出高さは、前記横渡部材の前記外面に沿った両端部分において、両端に向けてしだいに低くなる、請求項8に記載の手押しカート。
【請求項10】
前記幅方向に離間して複数の第2縦リブが設けられ、
前記複数の第2縦リブの配列ピッチは、前記取り付け部材の幅よりも小さい、請求項8又は9に記載の手押しカート。
【請求項11】
前記足掛部材は、前記第1部分において前記板状部から前記横渡部材に向けた突出した第1リブを更に有し、
前記第1リブは、前記幅方向からの観察において前記横渡部材の外面に沿って延びる複数の第1縦リブを含み、
前記複数の第1縦リブは、前記幅方向に離間して配置され、
前記幅方向に離間して複数の第2縦リブが設けられ、
前記複数の第2縦リブの配列ピッチは、前記複数の第1縦リブの配列ピッチよりも小さい、請求項8〜10のいずれか一項に記載の手押しカート。
【請求項12】
前記第2リブは、前記幅方向に延びる第2横リブを更に含む、請求項8〜11のいずれか一項に記載の手押しカート。
【請求項13】
前記横渡部材は、前記板状部が設けられる領域に、外面が平面となっている平面部と、外面が曲面となっている曲面部と、を含み、
前記第2横リブの先端は、前記平面部と前記曲面部との線状の接続部に沿って、延びている、請求項12に記載の手押しカート。
【請求項14】
前記板状部は、幅方向における両端に位置する一対の対の側縁部と、前記一対の側縁部の間を連結する第1縁部および第2縁部と、を含み、
前記第1縁部及び前記第2縁部の少なくとも一方に、前記第2部分において、凹部が設けられている、請求項6〜13のいずれか一項に記載の手押しカート。
【請求項15】
前記板状部は、幅方向における両端に位置する一対の対の側縁部と、前記一対の側縁部の間を連結する第1縁部および第2縁部と、を含み、
前記第1縁部および第2縁部は、前記第2部分と、前記第1部分のうちの前記第2部分に隣接する部分を少なくとも含む領域と、において、前記横渡部材から離間している、請求項6〜14のいずれか一項に記載の手押しカート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手押しカートに関する。
【背景技術】
【0002】
乳幼児やペットを連れ出す際、乳母車やペットカート等の手押しカートが用いられている(例えばJP2018−114796A)。手押しカートが円滑に走行面の段差を乗り越えるには、走行方向における前方に位置する車輪を浮かせることが有効である。そして、車輪を浮かせるには、手押しカートの走行方向後方に位置する車輪の近傍に設けられた横渡部材に足を掛けた状態で、手押しカートのハンドルを後方かつ下方に引くことが有効である。ここで、横渡部材は幅方向に延びる部材であって、例えば一対の後脚を連結する部材が例示される。
【0003】
しかしながら、多くの手押しカートは、下方に設けられたかご部材を有している。そして、かご部材は、横渡部材に紐状の取り付け部材を巻き付けること等によって、手押しカートに取り付けられている。ただし、横渡部材上に取り付け部材が巻き付けられていると、横渡部材に足を掛けにくいといった問題がある。
【発明の開示】
【0004】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、かご部材が取り付けられている横渡部材上に安定して足を掛け得るようにすることを目的とする。
【0005】
本発明による手押しカートは、
幅方向に離間した一対の脚と、前記一対の脚の各々の下端部分に保持された車輪と、前記一対の脚の間又は前記一対の車輪の間を前記幅方向に延びる横渡部材と、前記横渡部材上に設けられた足掛部材と、を有するカート本体と、
前記カート本体に取り付けられたかご部材と、を備え、
前記かご部材は、収容部を形成するかご本体部と、前記かご本体部から延び出し前記かご本体部を前記カート本体に取り付ける取り付け部材と、を有し、
前記横渡部材と前記足掛部材との間に前記取り付け部材の通過経路が形成されている。
【0006】
本発明によれば、かご部材が取り付けられている横渡部材上に安定して足を掛けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施の形態を説明するための図であって、乳母車の一例を示す斜視図。
図2図1の乳母車を後方から示す部分斜視図。
図3】一部の構成要素を取り外した状態にて図1の乳母車を示す側面図。
図4A図1の乳母車の横渡部材および足掛部材を幅方向から示す側面図。
図4B図4Aの横渡部材および足掛部材を幅方向から示す断面図であって、図7のB−B線に沿った断面にて足掛部材を横渡部材とともに示す図。
図4C図4Aの横渡部材および足掛部材を幅方向から示す断面図であって、図7のC−C線に沿った断面にて足掛部材を横渡部材とともに示す図。
図5図4Aの横渡部材および足掛部材を示す斜視図。
図6図5の足掛部材を示す斜視図。
図7図6の足掛部材を示す平面図。
図8図7のXIII−XIII線に沿った断面足掛部材を示す断面図。
図9】乳母車の一変形例を説明するための側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下において、手押しカートの一例として、乳幼児を連れ出す際に用いる乳母車を例示して説明する。しかしながら、本発明は、乳母車に限定されるものではなく、例えば、ペットを移動させる際に用いるペットカートとして構成された手押しカート等、使用者の手を介して押し進められるように構成されたカートに広く用いることができる。
【0009】
図1図9は本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち、図1図4には、手押しカートの一具体例として乳母車の全体的な構成、または、カート本体の一具体例としての乳母車本体の全体的な構成が示されている。また、図4A図5は、乳母車本体(カート本体)に含まれる横渡部材および足掛部材を示し、図6図8は、足掛部材を示している。なお、一部の図面に示された構成が、他の図面において省略されていることもある。
【0010】
図1及び図2に示すように、本実施の形態の乳母車(手押しカート)10は、乳母車本体(カート本体)15と、乳母車本体15に支持されたかご部材70と、を有している。また、乳母車10を後方から示す図2に示されているように、乳母車本体15は、幅方向に延びる横渡部材25と、横渡部材25上に設けられた足掛部材40と、を有している。以下に説明する乳母車10では、かご部材70が取り付けられている横渡部材25に安定して足を掛け得るようにする工夫がなされている。
【0011】
以下、乳母車10の各構成要素について、順に説明していく。なお、図1に示すように、図示された乳母車10及び乳母車本体15は、全体的に、横方向中心に位置し前後方向及び上下方向に沿った面を中心として概ね対称な構成を有している。
【0012】
本明細書中において、乳母車(手押しカート)およびその構成要素に対する「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、および「上下方向」の用語は、特に指示がない場合、展開状態にある乳母車およびその構成要素に乗車する乳幼児を基準とした「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、および「上下方向」を意味する。さらに詳しくは、「前後方向」とは、図1及び図2における紙面の左下と右上とを結ぶ方向であって、図3における紙面の左右の方向に相当する。そして、特に指示がない限り、「前」とは、乗車した乳幼児が向く側であり、図1における紙面の左下側、図2における紙面の右上側および図3における紙面の左側が前側となる。一方、「上下方向」とは乳母車の走行面に直交する方向である。したがって、走行面が水平面である場合、「上下方向」とは鉛直方向をさす。また、「横方向」とは幅方向であって、「前後方向」および「上下方向」のいずれにも直交する方向である。
【0013】
図1に示された例において、乳母車10は、乳母車本体15及びかご部材70に加えて、乳母車本体15に支持されたシート60を更に有している。シート60は、乳幼児が着座または横臥する部位となる。
【0014】
次に、図1図4を参照して、乳母車本体15について説明する。この乳母車本体15は、折り畳み可能に構成されている。乳母車本体15は、それぞれ左右に配置された一対の前脚21と、それぞれ左右に配置された一対の後脚23と、を有している。乳母車本体15は、それぞれ左右に配置された第1リンクL1、第2リンクL2、第3リンクL3及び第4リンクL4を更に有している。前脚21、後脚23及び第1〜第4リンクL1〜L4は、乳母車本体15を折り畳み可能および展開可能に構成するリンクとして機能する。
【0015】
図1及び図2に示すように、前脚21は、その下端部分において、前輪22を回転可能に保持している。前輪22は、キャスターを構成し、回転可能であるとともに旋回可能となっている。後脚23は、その下端部分において、後輪24を回転可能に保持している。前脚21及び後脚23は、例えばアルミニウム合金等の金属製パイプを用いて構成され得る。
【0016】
図1及び図2に示すように、前脚21の上端部分は、対応する側(左側または右側)に配置された第1リンクL1の前方部分に回動可能(揺動可能)に接続している。後脚23の上端部分は、対応する側(左側または右側)に配置された第1リンクL1の前方部分に回動可能(揺動可能)に接続している。第1リンクL1は、例えば樹脂成形物を用いて構成され得る。図示された例において、第1リンクL1はアームレストとして機能し得る。
【0017】
図3から理解されるように、第2リンクL2が、対応する側(左側または右側)に配置された第1リンクL1の後端部分に回動可能(揺動可能)に接続している。図示された例において、第2リンクL2は、ハンドル30の一部分として構成されている。ハンドル30は、全体としてU字状の形状を有している。ハンドル30は、一対の軸部31と、一対の軸部31を連結する連結部32と、を有している。各軸部31が、第2リンクL2を構成している。連結部32は、一対の軸部31の上端部分を連結している。ハンドル30は、例えばアルミニウム合金等の金属製パイプを用いて構成され得る。
【0018】
図2によく示されているように、第3リンクL3は、対応する側(左側または右側)に配置された後脚23と回動可能に接続している。第3リンクL3は、例えばアルミニウム合金等の金属製パイプや樹脂成形物を用いて構成され得る。図示された例において、第3リンクL3は、その下端部分において、後脚23の中間部分と回動可能に接続している。
【0019】
図2及び図3に示すように、第4リンクL4は、対応する側(左側または右側)に配置された前脚21と回動可能に接続している。図示された例において、第4リンクL4は、その前端部分において、前脚21の中間部分と回動可能に接続している。第4リンクL4は、シート60を支持するシート支持ユニットの一部分を構成している。
【0020】
図示された例において、幅方向において同一側(左側または右側)に配置された第2リンクL2、第3リンクL3及び第4リンクL4は、同一の軸部材35(図3参照)を用いて、互いに回動可能に接続されている。この軸部材35は、第2リンクL2、第3リンクL3及び第4リンクL4を貫通している。この構成により、第2リンクL2、第3リンクL3及び第4リンクL4は、軸部材35の中心軸線と一致する軸線を中心として、互いに回動可能となっている。
【0021】
乳母車本体15は、シート60を支持するための構成として、シート支持ユニット38を有している。図3に示すように、シート支持ユニット38は、座部支持体38A及び背部支持体38Bを有している。背部支持体38Bは、座部支持体38Aに対して揺動可能となっている。座部支持体38Aは、一対の側部フレーム要素39aと、一対の側部フレーム要素39aを連結する前フレーム材39b及び後フレーム材39cと、を含んでいる(図2参照)。一対の側部フレーム要素39aは、幅方向に離間して配置されている。各側部フレーム要素39aは、前後方向に延びており、上述の第4リンクL4を構成している。前フレーム材39bは、幅方向に延び、一対の側部フレーム要素39aの前端部分を連結している。後フレーム材39cは、幅方向に延び、一対の側部フレーム要素39aの後端部分を連結している。
【0022】
更に、乳母車本体15は、一対の脚の間又は一対の車輪の間を横方向に延びる横渡部材を有している。図示された乳母車本体15は、一対の前脚21間を連結する前方連結材26(図1参照)と、一対の後脚23間を連結する後方連結材27(図2参照)と、を有している。前方連結材26は、フットレストとして機能する。前方連結材26及び後方連結材27は、例えばアルミニウム合金等の金属製パイプや樹脂成形物を用いて構成され得る。また、一対の第1リンクL1間に可撓性を有したガード部材28が取り外し可能に設けられている。
【0023】
ここで、図2に良く示されているように、図示された例において、後方連結材27によって構成された横渡部材25上に、足掛部材40が設けられている。この足掛部材40については、後に詳述する。
【0024】
以上の構成を有した乳母車本体15は、各構成部材を相対回動させることにより、折り畳むことができる。具体的には、第2リンクL2を構成するハンドル30をいったん後上方に引き上げ、その後、下方に押し下げることによって、第3リンクL3を後脚23に対し図3において時計回り方向に回動させる。この操作にともなって、第1リンクL1および第4リンクL4は第2リンクL2に対し図3において時計回り方向に回動する。このような操作により、側面視においてハンドル30と前脚21とが略平行な関係を維持しながら互いに接近するとともに、ハンドル30の位置が下げられるようになる。以上のようにして、乳母車本体15を折り畳むことができる。折り畳まれた状態では、乳母車10の前後方向および上下方向に沿った寸法を小型化することができる。一方、乳母車本体15を折り畳み状態から展開するには、上述した折り畳み操作と逆の手順を踏めばよい。
【0025】
なお、乳母車本体15に取り付けられたシート60及びかご部材70は、柔軟性を有している。したがって、シート60及びかご部材70は、乳母車本体15の折り畳み動作および展開動作にともって変形し、乳母車本体15のこれらの動作を妨げない。
【0026】
次に、乳母車本体15に取り付けられたかご部材70について説明する。
【0027】
かご部材70は、収容スペースとして機能する収容部を提供する。かご部材70の収容部に収容されるものは、特に限定されず、かご部材70の構成によって許容される種々の物品、例えば膝掛けや玩具等としてもよい。かご部材70は、収容部を形成するかご本体部71と、かご本体部71から延び出した取り付け部材72と、を有している。かご本体部71は、縫製品として構成され得る。取り付け部材72は、かご本体部71を乳母車本体(カート本体)15に取り付けるための部材である。
【0028】
取り付け部材72は、種々の構成を採用してもよい。例えば、取り付け部材72は、細長い紐状やベルト状の部材として構成されてもよいし、これらの紐状やベルト状の部材が面ファスナ、ボタン、クリップ等の固定具を更に有してもよいし、或いは、固定具のみから構成されてもよい。
【0029】
図2に示すように、図示された取り付け部材72Aは、縫製品からなるベルト材をかご本体部71から離間する先端部で折り返すことによって構成されており、全体としてベルト状の部材といえる。ベルト状の部材の先端のみにおいて素材としてのベルト材が縫い付けられ、素材としてのベルト材が折り返された状態に維持されている。したがって、ベルト材の先端は、対面するベルト材からいくらか離間するように反り返り、ベルト状部材の先端部分は、先端に向けて先細りテーパ状の外形状を有し得る。この取り付け部材72Aによれば、ベルト材が折り返されている部分を乳母車本体15に設けられた保持穴16に通した場合、ベルト材の先端が広がって保持穴16から自由に抜け出ることが規制される。その一方で、ベルト材の先端を押さえることによって、取り付け部材72Aを乳母車本体15の保持穴16から抜くことができる。
【0030】
一例として、図2に示されたかご部材70は、かご本体部71から上方に延び出した四つの第1取り付け部材72Aと、かご本体部71から下方且つ後方に延び出した三つの取り付け部材72B,72Cと、を有している。かご本体部71から上方に延び出した第1取り付け部材72Aは、一対の第3リンクL3に設けられた保持穴16および一対の第4リンクL4に設けられた保持穴16を通過することによって、乳母車本体15に保持される。第1取り付け部材72Aを用いることによって、かご部材70は乳母車本体15から吊り下げるようにして保持される。
【0031】
かご本体部71から下方且つ後方に延び出した三つの取り付け部材72B,72Cは、幅方向に離間して設けられている。両側方に位置する第2取り付け部材72Bは、それぞれ、後方連結材27又は後輪24に設けられた保持穴16を通過することによって、乳母車本体15に保持される。一方、幅方向中央に位置する第3取り付け部材72Cは、他の取り付け部材72Aと異なる構成を有している。第3取り付け部材72Cは、面ファスナ等の固定具を有したベルト状の部材として構成されている。図4A図4Cに示すように、第3取り付け部材72Cは、横渡部材25を周回し且つ固定具(図示しない)を利用して横渡部材25が通過した輪状部を形成することによって、横渡部材25に取り付けられる。
【0032】
下方に延び出す三つの取り付け部材72B,72Cによれば、とりわけ幅方向における中央に位置する第3取り付け部材72Cによれば、乳母車本体15から吊り下げられたかご部材70の位置を安定させることができる。これにより、物品等を収容したかご本体部71が揺れてしまうことを抑制し、かご本体部71の揺れにともなって乳母車10の走行が不安定となることを効果的に回避することができる。
【0033】
さらに、幅方向における中央に位置する第3取り付け部材72Cによれば、かご本体部71に収容された物品が重量物である等を理由として、かご本体部71の底面が変形して走行面に接触してしまうことを、効果的に回避することもできる。とりわけ図3に示されたかご部材70において、かご本体部71の底面は、後方に向けて下方に位置するよう傾斜している。このようなかご本体部71の乳母車本体15の取り付けにおいて、第3取り付け部材72Cの上述した作用効果はより顕著となる。
【0034】
次に、横渡部材25に設けられた足掛部材40について詳述する。足掛部材40は、乳母車(手押しカート)10の使用者の足が掛けられる部分となる。乳母車10として構成された手押しカートにおいては、乳母車10に乗車した乳幼児の保護者としての使用者が、乳母車10を操縦する際に足を掛けることになる。
【0035】
手押しカート10が走行する走行面TP(図3参照)には、段差が存在することもある。この段差を円滑に乗り越えるには、走行中の手押しカートの走行方向前方に位置する車輪を浮かせることが有効である。さもなければ、走行方向前方の車輪が段差に衝突し、乳母車が走行できなくなってしまう。また、例えば踏切を横断する場合のように、走行面TPに溝等の凹部が設けられていることもあり、このような状況においても、走行中の手押しカートの走行方向前方に位置する車輪を浮かせることが有効である。さもなければ、走行方向前方の車輪が凹部に嵌まり込み、乳母車が走行できなくなってしまう。
【0036】
図3に太矢印にて示すように、走行方向前方の車輪22を浮かせるため、使用者は、ハンドル30を下方且つ後方に引くようになる。このとき、使用者は足掛部材40に足を掛けることで、手押しカート10自体が後ろに移動することを防止することができる。足掛部材40に足を掛けておくことにより、走行方向後方に位置する車輪の回転軸線を中心として、図3において時計回り方向に手押しカート10が全体的に回転することを促し、走行方向前方の車輪22を浮かせることができる。
【0037】
図2に示すように、足掛部材40は、幅方向に沿って延び、幅方向において後方連結材27によって構成された横渡部材25の全長の一部分上のみに設けられている。また、図4Aに示すように、幅方向からの観察において横渡部材25の全周の一部分上のみに設けられている。すなわち、足掛部材40は、横渡部材25を周回していない。この具体例によれば、足掛部材40を見た使用者は、足掛部材40が足を掛ける部位であることを視覚的に知覚することができ、使用者によって足掛部材40が有効に使用されるようなる。すなわち、段差や凹部を越える際、使用者は足掛部材40に足を掛けるようになり、進行方向前方の前脚21に保持された前輪22を浮かせることができる。結果として、段差や凹部等の凹凸の乗り越えを安定して行うことができる。
【0038】
とりわけ図示された例において、足掛部材40は、横渡部材25の幅方向中心を含む横渡部材25の一部分上に位置している。したがって、足掛部材40に足を掛けることにより、乳母車10の左右への揺れを規制して、安定して前輪22を浮かせることができる。
【0039】
また、図4A図4Cに示すように、足掛部材40は、幅方向からの観察において横渡部材25の上下方向における最も高い位置を上方から覆うようにして、横渡部材25に取り付けられている。この具体例によれば、横渡部材25は足掛部材40を下方から安定して支持することができる。したがって、足掛部材40に足を掛けた際に、足掛部材40が横渡部材25から外れてしまうことを効果的に防止することができる。
【0040】
ここで、図4B及び図4Cは、上下方向および前後方向の両方に沿った断面において、すなわち幅方向に直交する断面において、横渡部材25及び足掛部材40を示している。図4B及び図4Cは、幅方向における異なる位置の断面を示している。より具体的には、図4B図7のB−B線に沿った断面にて足掛部材40を横渡部材25とともに示し、図4C図7のC−C線に沿った断面にて足掛部材40を横渡部材25とともに示している。
【0041】
ところで、このような足掛部材40の横渡部材25への設置位置は、上述したかご本体部71を安定保持するために重要となる第3取り付け部材72Cの横渡部材25への取り付け位置と重なってしまう。横渡部材25とともに足掛部材40に第3取り付け部材72Cが巻き付けられていると、足掛部材40に足を安定して掛けることができず、そもそも、第3取り付け部材72Cを汚してしまう可能性があることから、足掛部材40に足を掛けること自体が躊躇され得る。
【0042】
これに対して、本実施の形態によれば、図4B及び図4Cに示すように、横渡部材25と足掛部材40との間に、第3取り付け部材72Cの通過経路PWが形成されている。したがって、第3取り付け部材72Cは、足掛部材40の外面上を通過することなく、足掛部材40の内面と横渡部材25との間の通過経路PWを通過することできる。したがって、第3取り付け部材72Cが足掛部材40と足との間に入ることを回避できる。また、足掛部材40は、幅方向からの観察において横渡部材25の上下方向における最も高い位置を上方から覆うようにして、横渡部材25に取り付けられているので、足掛部材40を介して横渡部材25に安定して力を加えることができる。これにより、進行方向前方の脚21に保持された前輪22を容易に浮かせることができる。結果として、走行面TP(図3参照)に形成された凹凸の乗り越えを安定して行うことができる。
【0043】
併せて、足掛部材40に置かれた靴等によって、第3取り付け部材72Cが汚れてしまうことを効果的に回避することもできる。さらに、足掛部材40と横渡部材25との間に形成された通過経路PWに第3取り付け部材72Cが配置されることから、第3取り付け部材72Cの位置が横渡部材25上でずれることや、更には、第3取り付け部材72Cが横渡部材25から外れてしまうことを抑制することができる。これにより、第3取り付け部材72Cを用いたかご本体部71の保持をより安定させることもできる。
【0044】
さらに、足掛部材40について説明する。図4A図4Cに示すように、幅方向から観察した際に、足掛部材40は横渡部材25の全周の略半分を覆うようになっている。図示された例において、横渡部材25をなす後方連結材27は、外面が平面となっている平面部25aと、外面が曲面となっている曲面部25bと、を有している。とりわけ、図示された横渡部材25において、一つの曲面部25bの外面は、半円形状となっている。そして、二つの曲面部25bの端部間を一対の平面部25aが連結している。結果として、横渡部材25は、幅方向に直交する断面において、一対の平面部25aが延びる方向と平行な長軸線LAと、一対の平面部25aが対面する方向と平行な短軸線SAと、を有している。長軸線LAおよび短軸線SAは直交する。長軸線LAは、横渡部材25(後方連結材27)が設けられている後脚23の中心軸線に沿って延び、上方で前方に位置するよう上下方向に対して傾斜している。
【0045】
足掛部材40は、横渡部材25の長軸線LAで区分けされた後方且ついくらか上方となる半分を覆っている。とりわけ図示された足掛部材40は、横渡部材25の長軸線LAで区分けされた後方且ついくらか上方となる半分を越える領域を覆っている。このような足掛部材40は、横渡部材25への取り付け及び固定を容易に行うことを可能にしながら、横渡部材25の必要な範囲を覆うことができる。
【0046】
図4Bおよび図4Cに示すように、通過経路PWは、幅方向からの観察において、横渡部材25の外面に沿って平面部25a上で直線状に延び且つ曲面部25b上で曲線状に延びている。そして、図5に示すように、通過経路PWは、その両端において前方且ついくらか下方に向けて開口している。このように通過経路PWが一対の開口を有していることから、足掛部材40が横渡部材25上に固定された状態において、第3取り付け部材72Cを横渡部材25に取り付けることができ且つ取り外すことができる。
【0047】
より詳細に説明すると、取り付け時には、第3取り付け部材72Cをいずれかの開口から通過経路PW内に挿入し、第3取り付け部材72Cが通過経路PWを通過するようにする。そして、通過経路PWを通過した第3取り付け部材72Cの先端部を、第3取り付け部材72Cのうちの通過経路PWとかご本体部71との間に位置している部分とを、例えば面ファスナ、ボタン、クリップ等の固定具を用いる等して、固定する。これにより、かご本体部71から延び出た第3取り付け部材72Cを横渡部材25に取り付けることができる。取り外し時には、第3取り付け部材72Cのうちの通過経路PWを通過した部分を通過経路PW内に引き込み、更に、通過経路PW内から第3取り付け部材72Cを引き出す。かご部材70を乳母車本体15から取り外し可能とすることによって、かご部材70を洗濯する等して清潔に維持することができる。
【0048】
更に、図5図8も利用して、足掛部材40について詳述する。図5は、横渡部材25に取り付けられた足掛部材40を前方から示す図である。また、図6は、図5に示された横渡部材25を取り除いて足掛部材40のみを示す斜視図である。図7は、足掛部材40を横渡部材25に対面する側から示す平面図であり、図8は、図7のXIII−XIII線に沿った断面図である。
【0049】
図5及び図7から理解され得るように、足掛部材40は、幅方向における両端部分に位置し横渡部材25に取り付けられた一対の第1部分(第1領域)41と、幅方向における一対の第1部分41の間に位置する第2部分(第2領域)42と、を含んでいる。そして、第2部分42において、足掛部材40は横渡部材25との間に通過経路PWを形成している。図2に示すように、足掛部材40は、第1部分41において、ねじやリベット等の固定具を用いて横渡部材25に取り付けられる。このような具体例によれば、横渡部材25に取り付けられた第1部分41によって、第3取り付け部材72Cの位置が幅方向にずれることを規制される。これにより、第3取り付け部材72Cが意図せず横渡部材25から外れることを防止することができ、更に第3取り付け部材72Cを横渡部材25上に安定して保持することができる。
【0050】
図2図8から理解され得るように、足掛部材40は、第2部分42において第1部分41よりも横渡部材25から隆起している。すなわち、足掛部材は、一対の第1部分41の間に位置する第2部分42において隆起している。さらに言い換えると、足掛部材40の厚みは、第2部分42において第1部分41よりも厚くなっている。このような足掛部材40の外形状から、使用者は、第2部分42に足をより置き易くなる。そして、足掛部材40の幅方向における中間部となる第2部分42を中心とした領域に足を置くことによって、足掛部材40を介して横渡部材25へより安定して力を加えることができる。
【0051】
とりわけ、足掛部材40の第2部分(第2領域)42が、横渡部材25の幅方向中心上に位置するようにしてもよい。このような構成によれば、足掛部材40を介して横渡部材25により安定して力を加えることができる。また、第3取り付け部材72Cが幅方向中心に位置するようになり、かご本体部71をより安定して取り付けることが可能となる。
【0052】
とりわけ、図2図8に示すように、足掛部材40が横渡部材25から隆起する高さは、幅方向における両端から幅方向における中心に向かうにつれて、高くなっていく。言い換えると、足掛部材40の厚みは、幅方向における両端から幅方向における中心に向かうにつれて、厚くなっていく。このような足掛部材40の外形状によれば、第2部分42に足を更に置き易くなり、且つ、足掛部材40を介して横渡部材25へ更に安定して力を加えることができる。
【0053】
図6に示すように、足掛部材40は、横渡部材25を覆う板状部45と、第1部分41において板状部45から横渡部材25に向けて突出した第1リブ51と、を有している。
【0054】
板状部45は、面状の広がりを持った板状の部分である。ただし、板状部45に孔等が設けられていてもよい。図2に示された板状部45は曲板状となっている。図2に示すように、板状部45は、横渡部材25とは反対側を向く外面に、外リブ46を有している。複数の外リブ46(図示された例において、三つのリブ)が、幅方向に直交する方向に離間して設けられている。外リブ46は、足掛部材40上に配置された靴(足)に対して滑り止めとして機能する。この外リブ46は、足を掛けるべき位置を使用者に対して視覚を通じて知らせることができる。
【0055】
図4B図5に示すように、第1部分41において板状部45から延び出す第1リブ51は、板状部45から最も離間したその先端において、横渡部材25に接触している。このような第1リブ51によれば、十分な剛性を有した足掛部材40を小型軽量化すことができる。また、第1リブ51が横渡部材25に接触した状態に維持されることによって、足掛部材40を横渡部材25上に安定して配置することができる。また、第3取り付け部材72Cの位置が幅方向にずれることを効果的に防止することができる。
【0056】
図6及び図8に示すように、第1リブ51は、第1縦リブ51a及び第1横リブ51bを含んでいる。図4B及び図4Cに示すように、第1縦リブ51aは、幅方向からの観察において横渡部材25の外面に沿って延びている。第1横リブ51bは、幅方向に延びている。このような構成によれば、十分な剛性を有した足掛部材40を十分に小型軽量化することができる。
【0057】
とりわけ図示された例において、図4B及び図4Cに示すように、第1縦リブ51aは、幅方向からの観察において横渡部材25の外面に沿って曲線状に延びている。図6図8に示すように、第1部分41には、複数の第1縦リブ51aが幅方向に離間して設けられている。第1横リブ51bは、幅方向に直線状に延びている。第1部分41には、複数の第1横リブ51bが幅方向に直交する方向に離間して設けられている。図6から理解され得るように、複数の第1横リブ51bは、幅方向からの観察における横渡部材25の外面に沿って離間している。図4B図4Cおよび図7に示すように、第1縦リブ51a及び第1横リブ51bは、幅方向に直交する面に沿って板状部45から延び出している。また、足掛部材40を横渡部材25に取り付けるためのねじやリベット等の固定具が通過する貫通孔51cが、第1部分41に設けられている。
【0058】
図6に示すように、足掛部材40は、第2部分42において板状部45から横渡部材25に向けて突出した第2リブ52を有している。図6に示すように、第2リブ52の板状部45からの突出高さは、第1リブ51の板状部45からの突出高さと比較して低くなっている。これにより、図4B図4C及び図5に示すように、第2リブ52は、板状部45から最も離間したその先端において、横渡部材25から離間している。そして、第2リブ52の先端と横渡部材25との間に通過経路PWが形成されている。したがって、第1リブ51の板状部45からの突出高さと第2リブ52の板状部45からの突出高さとの差は、通過経路PWの厚みと概ね同一となり、通過経路PWを通過する第3取り付け部材72Cの厚み以上となる。
【0059】
また、図示された例において、第2リブ52の先端から横渡部材25までの距離は略一定となっている。これにより、第2リブ52に対面する位置における通過経路PWの厚みが略一定となっている。このような構成によれば、とりわけ第3取り付け部材72Cの取り付け時に第3取り付け部材72Cの先端を通過経路PWに挿入した際に、第3取り付け部材72Cが通過経路PW内で詰まってしまうことを抑制することができる。
【0060】
図6及び図8に示すように、第2リブ52は、第2縦リブ52a及び第2横リブ52bを含んでいる。図4B及び図4Cに示すように、第2縦リブ52aは、幅方向からの観察において横渡部材25の外面に沿って延びている。第2横リブ52bは、幅方向に延びている。このような構成によれば、十分な剛性を有した足掛部材40を十分に軽量化することができる。図4B図4Cおよび図7に示すように、第2縦リブ52a及び第2横リブ52bは、幅方向に直交する面に沿って板状部45から延び出している。
【0061】
図4B及び図4Cに示すように、第2縦リブ52aは、幅方向からの観察において横渡部材25の外面に沿って、横渡部材25から離間しながら、曲線状に延びている。このような具体例によれば、第3取り付け部材72Cの横渡部材25への取り付け時および取り外し時に、横渡部材25と足掛部材40との間の通過経路PWを第3取り付け部材72Cが進むことを、第2縦リブ52aによって誘導することができる。これにより、第3取り付け部材72Cを用いたかご部材70の乳母車本体15への取り付けを容易に行うことができる。
【0062】
図示された例において、第2縦リブ52aの先端から横渡部材25までの距離は、幅方向からの観察において横渡部材25の外面に沿った各位置において、概ね一定となっている。このような構成によれば、第3取り付け部材72Cを横渡部材25の取り付け時および取り外し時に、第3取り付け部材72Cが通過経路PW内を円滑に進むことを可能にできる。
【0063】
ただし、図4B及び図4Cに示すように、第2縦リブ52aの板状部45からの突出高さは、幅方向からの観察において横渡部材25の外面に沿った両端部分において、両端52aeに向けてしだいに低くなっている。このような具体例によれば、横渡部材25と足掛部材40との間の通過経路PWに第3取り付け部材72Cを挿入することを、第2縦リブ52aの高さ変化によって円滑に誘導することができる。これにより、第3取り付け部材72Cを用いたかご部材70の乳母車本体15への取り付けを容易に行うことができる。
【0064】
図6図8に示すように、足掛部材40の第2部分42には、複数の第2縦リブ52aが設けられている。複数の第2縦リブ52aは、幅方向に離間して設けられている。そして、図7及び図8に示すように、複数の第2縦リブ52aの配列ピッチP2は、複数の第1縦リブ51aの配列ピッチP1よりも小さくなっている。このような構成によれば、横渡部材25から離間した足掛部材40の第2部分42での強度を十分に維持することができる。これにより、足掛部材40に加えられた力を効率的に横渡部材25に伝達することができる。また、第3取り付け部材72Cが、横渡部材25と足掛部材40との間の通過経路PW内において、二以上の第2縦リブ52aによって支持され易くなる。この場合、第3取り付け部材72Cの通過経路PW内での状態が安定し、かご部材70によって物品等を安定して保持することができる。また、第3取り付け部材72Cの横渡部材25への取り付け時および取り外し時に、横渡部材25と足掛部材40との間の通過経路PWを第3取り付け部材72Cが進むことを、二以上の第2縦リブ52aによって安定して誘導することができる。
【0065】
より好ましくは、図7及び図8のそれぞれに二点鎖線で示されたベルト状の第3取り付け部材72Cの幅Wよりも、複数の第2縦リブ52aの配列ピッチP2が小さくなっている。このような具体例によれば、第3取り付け部材72Cが、横渡部材25と足掛部材40との間の通過経路PW内において、二以上の第2縦リブ52aによって支持されるようになる。したがって、かご部材70の支持状態を安定させることができ、第3取り付け部材72Cを通過経路PW内で安定して誘導することもできる。
【0066】
また、第2リブ52は、幅方向に延びる第2横リブ52bも含んでいる。この第2横リブ52bも、ベルト状の第3取り付け部材72Cの通過経路PW内での誘導に寄与し得る。すなわち、ベルト状の第3取り付け部材72Cを通過経路PW内で移動させる際に、第3取り付け部材72Cの先端が幅方向に延びる第2横リブ52bに接触することによって、第3取り付け部材72Cが通過経路PWに対して斜めに進むことを抑制することができる。つまり、第2横リブ52bは、ベルト状の第3取り付け部材72Cの先端に接触して、第3取り付け部材72Cの向きを調整する。より具体的には、第3取り付け部材72Cの先端が、通過経路PWの長手方向に直交する方向へ延びるよう、第3取り付け部材72Cの向きが調整され得る。これにより、第3取り付け部材72Cを用いたかご部材70の取り付け時および取り外し時に、第2横リブ52bによって、第3取り付け部材72Cを通過経路PW内で安定して誘導することができる。
【0067】
とりわけ図示された例では、図4Cに示すように、横渡部材25は、足掛部材40に覆われる領域に、外面が平面となっている平面部25aと、外面が曲面となっている曲面部25bと、を含んでいる。そして、第2横リブ52bの先端は、平面部25aと曲面部25bとの接続部25cに対面している。図5から理解され得るように、この接続部25cは、線状、とりわけ幅方向に沿って直線状に延びている。図示された例において、第2横リブ52bの先端は、接続部25cに対面しながら、接続部25cに沿って延びている。このような具体例によれば、第3取り付け部材72Cが通過経路PW内において向きを変化させる領域に、第2横リブ52bが設けられている。したがって、第3取り付け部材72Cの横渡部材25への取り付け時および取り外し時に、第3取り付け部材72Cが通過経路PW内において向きを変化させる際に、第3取り付け部材72Cの先端が第2横リブ52bに接触し易くなる。すなわち、第3取り付け部材72Cが詰まってしまいやすくなる通過経路PW内の領域に第2横リブ52bが設けられ、通過経路PWに沿った第3取り付け部材72Cの移動を有効に促進することができる。
【0068】
図4Cに示すように、幅方向からの観察において横渡部材25の外面に沿って複数の第2横リブ52bが設けられている。また、通過経路PW内に二箇所の接続部25cが存在している。各接続部25cに対して一つの第2横リブ52bが対面して配置されている。したがって、図示された構成によれば、通過経路PW内での第3取り付け部材72Cの移動をより円滑とすることができる。
【0069】
ところで、図7に示すように、板状部45は、幅方向における両端に位置する一対の対の側縁部45cと、一対の側縁部45c間を連結して幅方向に延びる第1縁部45a及び第2縁部45bと、を含んでいる。側縁部45cは、幅方向に直交する方向に延びている。そして、図6及び図7に示すように、上述した各第1縦リブ51aは、第1縁部45aから第2縁部45bまで延びている。図5に示すように、第1縁部45aから第2縁部45bは、第2部分42と、第1部分41のうちの第2部分42に隣接する部分を少なくとも含む領域と、において、横渡部材25から離間している。図5に示された例において、第1縁部45a及び第2縁部45bは、その幅方向両端以外において、或いは、その全長に渡って、横渡部材25から離間している。このように、横渡部材25と、板状部45の第1縁部45a又は第2縁部45bとの間にすき間が形成されることで、使用者が、通過経路PWの存在に気付き易くなり、更には通過経路PWの入口を把握し易くなる。また、乳母車10の使用中に、足掛部材40を横渡部材25から剥がそうとする大きな力が、第3取り付け部材72Cから板状部45に加えられることを抑制することができる。さらに、足掛部材40を横渡部材25から大きく膨張させることができ、足掛部材40に足を安定して掛け易くなる。
【0070】
さらに、図5及び図7に示すように、第1縁部45a及び第2縁部45bは、第2部分42において、凹部47を形成されている。この凹部47によって、使用者は、通過経路PWの存在により気付き易くなり、更には通過経路PWの入口をより把握し易くなる。また、かご部材70の取り付け時および取り外し時に、第3取り付け部材72Cを通過経路PWへ挿入し易くすること、及び、第3取り付け部材72Cを通過経路PWから引き出し易くすることができる。さらに、乳母車10の使用中に、足掛部材40を横渡部材25から剥がそうとする大きな力が、第3取り付け部材72Cから板状部45に加えられることを抑制することもできる。
【0071】
以上に説明してきた一実施の形態において、手押しカート(乳母車)10は、カート本体(乳母車本体)15と、カート本体15に取り付けられたかご部材70と、を有している。カート本体15は、幅方向に離間した一対の脚23と、一対の脚23の各々の下端部分に保持された車輪24と、一対の脚23の間又は一対の車輪24の間を幅方向に延びる横渡部材25と、横渡部材25上に設けられた足掛部材40と、を有している。かご部材70は、収容部を形成するかご本体部71と、かご本体部71から延び出しかご部材70をカート本体15に取り付ける第3取り付け部材72Cと、を有している。
【0072】
このような一実施の形態によれば、横渡部材25と、横渡部材25上に設けられた足掛部材40と、の間に、取り付け部材72Cの通過経路PWが形成されている。したがって、足掛部材40上に取り付け部材72Cが配置されてしまうことを効果的に抑制することができ、足掛部材40に安定して足を掛けることができる。これにより、足掛部材40を介して横渡部材25に安定して力を加えることができ、進行方向前方の脚21に保持された車輪22を浮かせることができる。結果として、段差や凹部の乗り越えを安定して行うことができる。また、足掛部材40に置かれた靴等によって、取り付け部材72Cが汚れてしまうことを効果的に回避することもできる。
【0073】
図示された具体例を参照しながら一実施の形態を説明してきたが、これらの具体例が一実施の形態を限定することを意図していない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施されることが可能であり、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加等を行うことができる。
【0074】
以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した具体例と同様に構成され得る部分について、上述の具体例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
【0075】
上述した乳母車本体15、足掛部材40、かご部材70は、一例に過ぎず、種々の変更が可能である。さらに、上述した一具体例において、一対の後脚23の間に位置する横渡部材25に足掛部材40が設けられている例を示したが、この例に限られない。例えば、一対の後輪24の間に設けられた横渡部材25に、足掛部材40が設けられていてもよい。さらに、図9に示すように、ハンドル30を揺動可能にした乳母車10では、一対の前脚21の間を幅方向に延びる横渡部材25(例えば、上述した前方連結材26)や、一対の前輪22の間を幅方向に延びる横渡部材25に、足掛部材40を取り付けるようにしてもよい。
【0076】
さらに、既に説明したように、上述してきた横渡部材25、足掛部材40及びかご部材70は、乳母車10への適用に限定されるものではなく、例えば、ペットを連れ出す際に用いるペットカートとしての手押しカートや、物品の運搬に用いられる台車としての手押しカート等に用いることもできる。
【符号の説明】
【0077】
10:乳母車、15:乳母車本体、21:前脚、22:前輪、23:後脚、24:後輪、25:横渡部材、25a:平面部、25b:曲面部、25c:接続部、30:ハンドル、40:足掛部材、41:第1部分、42:第2部分、45:板状部、45a:第1縁部、45b:第2縁部、45c:側縁部、46:外リブ、47:凹部、51:第1リブ、51a:第1縦リブ、52:第2リブ、52a:第2縦リブ、52ae:端、52b:第2横リブ、70:かご部材、71:かご本体部、72:取り付け部材、72C:第3取り付け部材、PW:通過経路、L1:第1リンク、L2:第2リンク、L3:第3リンク、L4:第4リンク
【要約】
手押しカート(10)は、カート本体(15)と、カート本体(15)に取り付けられたかご部材(70)と、を有している。カート本体(15)は、幅方向に離間した一対の脚(23)と、一対の脚(23)の各々の下端部分に保持された車輪(24)と、一対の脚(23)の間又は一対の車輪(24)の間を幅方向に延びる横渡部材(25)と、横渡部材(25)上に設けられた足掛部材(40)と、を有している。かご部材(70)は、収容部を形成するかご本体部(71)と、かご本体部(71)から延び出しかご部材(70)をカート本体(15)に取り付ける第3取り付け部材(72C)と、を有している。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9