(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記エンジンの前記1又は2以上の既存の部位は、前記エンジンのボアスコープポート、圧縮機入口、圧縮機ブリード管、ブースタ入口、又はタービン若しくはアフタバーナ出口のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載のセンサ組立体。
前記静電気センサは、流体媒体内のダスト、デブリ、氷、砂、火山灰、又は浮遊微粒子のうちの少なくとも1つを検出するようになっており、前記流体媒体は、空気、水、オイル、又は燃料のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のセンサ組立体。
前記静電気センサは、流体媒体内のダスト、デブリ、氷、砂、火山灰、又は浮遊微粒子のうちの少なくとも1つを検出するようになっており、前記流体媒体は、空気、水、オイル、又は燃料のうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載のセンサ組立体。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、その1又は2以上の実施例が図面に例示されている提示された実施形態について詳細に説明する。各実施例は、本発明の限定ではなく、例証として提供される。実際に、本発明の範囲又は技術的思想から逸脱することなく、種々の修正形態及び変形形態を本発明において実施できることは、当業者であれば理解されるであろう。例えば、1つの実施形態の一部として例示され又は説明される特徴は、別の実施形態と共に使用して更に別の実施形態を得ることができる。従って、本発明は、このような修正形態及び変形形態を添付の請求項及びその均等物の範囲内にあるものとして保護することが意図される。
【0015】
本明細書で使用される用語「第1」、「第2」、及び「第3」は、ある構成要素を別の構成要素と区別するために同義的に用いることができ、個々の構成要素の位置又は重要性を意味することを意図したものではない。
【0016】
用語「上流」及び「下流」は、流体通路における流体流れに対する相対的方向を指す。例えば、「上流」は、流体がそこから流れる方向を指し、「下流」は流体がそこに向けて流れ込む方向を指す。
【0017】
一般に、本開示は、回路基板に電気的に結合された少なくとも1つの静電気センサを有するセンサ組立体に向けられる。特定の実施形態において、センサ組立体は、適用環境の温度に相関して設計される。例えば、1つの実施形態において、静電気センサの位置は、センサ回路を回路基板上の低温ディスクリート電子部品と共に実装することができるように十分に低温にすることができる。代替的に、さらなる実施形態において、温度がより高い場合、センサ組立体は、統合型MCMセンサ組立体を含むことができる。このように、本開示のMCMセンサ組立体は、航空機ガスタービンエンジン並びに他のいずれかの適切なエンジン型式といった複数の用途で用いることができる。例えば、MCMセンサ組立体及び関連する方法は、産業用エンジン、発電用エンジン、陸上用エンジン、船舶用エンジン、又はそれに類したものを含むがそれらに限定されない他のいずれかの型式のエンジンにも適している。より詳細には、静電気センサは、少なくとも部分的に内部に構成された電極及び増幅器を収容した外側ハウジングを含む。さらに、電極は、所定の長さで隔てられた第1の端部及び第2の端部を含む。第1の端部は、外側ハウジング内に固定することができ、他方、第2の端部は、検知面を含むことができ、該検知面は、外側ハウジングの縁と面一である、又は外側ハウジングの縁の中に若しくは縁を超えて延びる、そのいずれかである。さらに電極は導電体であるので、検知面を通過する1又は2以上の荷電粒子に対して、第2の端部に向かう方向又は遠ざかる方向のいずれかに移動することによって応答するようになった複数の電子を包含する。従って、増幅器は、電極に電気的に結合しており、検知面を通過する粒子のレベルを電子移動の関数として検出するようになっている。さらに、回路基板は、外側ハウジング内に収容されることにより、又は短縮されたケーブルを介してセンサに接続されることにより、そのいずれかでセンサに電気的に結合する。
【0018】
従って、センサの外側ハウジングと電子機器との構成は、センサ入力と電極との間の距離を最小限にして、それによりセンサの感度を高める。このように、本開示は、従来技術ではなかった種々の利点を提供する。例えば、本開示の静電気センサは、堅牢かつ信頼性が高い、より正確な粒子検出を可能にする。さらに、電子機器はセンサ内に内蔵されるか又はセンサに接近して結合されるので、本デザインは、従来技術の設計に比べて保守の必要性が少なく、かつ動作上の問題がより少ない。さらに、増幅器の漏れ電流が低いことで増幅器の直流電流(DC)結合が容易になり、このことにより粒子レベルの低周波数変化を捕捉することが可能になる。加えて、電極の高入力インピーダンスは、検知面における電荷の小さい変化に対するセンサの感度を改善する。さらに、電極の高入力インピーダンスはまた、検知した粒子が漏れ出して出力信号が生成されなくなることに起因する電極内の電荷のリディストリビューションを防止することで、センサの低周波数応答も改善する。従って、本開示の静電気センサは、粒子質量基準で約7百万分の1を検出することが可能である。このように、本開示の静電気センサは、空気、水、オイル、燃料、及び/又はそれに類するものなどの流体媒体内のダスト、デブリ、浮遊微粒子、氷(すなわち非常に微細な氷晶)、砂、火山灰、及び/又は他の何らかの粒子を検出するように構成される。加えて、静電気センサはまた、エンジン排出ノズル内に位置する場合、デブリの放出をもたらすことになる内部エンジン部品の摩擦及び/又はエンジン部品の劣化に由来して内部で発生する粒子も検出することができる。例えば、このような検出は、粒子がエンジンを通過するときの粒子上の「中性電荷(natural charge)」の蓄積を検知することによって達成される。従って、統合型電子機器/一体型ケーブル接続は、従来技術と比べて、非常に小さい粒子の「中性電荷」のセンサ感度を高める。
【0019】
ここで図面を参照すると、
図1〜
図9及び
図13〜
図14は、本開示によるMCMセンサ組立体10の種々の実施形態を示す。本明細書で用いる場合、MCMは、一般に、複数の集積回路(IC)、半導体ダイ、及び/又はその他のディスクリートなダイ構成要素が通常は一体化された基板上に集積されて、使用時にはあたかも単一の構成要素であるかのように扱われるようになっている電子組立体(多数の導体端子又は「ピン」を有するパッケージなど)を指す。より詳細には、
図1〜
図3に示すように、統合型MCM組立体10の1つの実施形態を例証する。例えば、
図1は、統合型MCM組立体10の斜視図を示し、
図2は、統合型MCM組立体10の断面図を示し、
図3は、統合型MCM組立体10の平面図を示す。
図4〜
図9は、MCMセンサ組立体10の別の実施形態を示し、ここでは電子機器は、短縮ケーブル25を介して接近して結合されているが一体化されていない。
【0020】
特に
図1〜
図3を参照すると、統合型MCM組立体10は、外側ハウジング14又はケーシングを有する少なくとも1つの静電気センサ12を含む。より詳細には、図示するように、外側ハウジング14は、センサ12を所望の位置に取り付けるか又はそれ以外の方法で固定するように構成された基部又は取付け部分17を含むことができる。例えば、
図1及び
図3に示すように、センサ12の取付け部分17は、静電気センサ12を所望の位置に取り付けるように構成された1又は2以上の貫通穴19を含むことができる。より詳細には、特定の実施形態において、貫通穴19の各々は、締結具(例えばねじ付きボルト)を受け入れてセンサ12を所望の位置に固定するように構成することができる。代替的に、静電気センサ12は、金属クリップ、クランプ、溶接ニクロム箔、溶接、又はそれに類する方法を含むが限定されない他のいずれかの適切な方法によって固定する又は取り付けることができる。
【0021】
さらに、図示するように、静電気センサ12は、外側ハウジング14内に設けられた電極16を収容する。電極16は、所定の長さLで隔てられた第1の端部18及び第2の端部20を含む。特定の実施形態において、所定の長さLは、エンジン設置の幾何学的制約によって設定することができる。例えば、1つの実施形態において、所定の長さLは、電子26が電極16内で移動し、従って増幅器28(これは後述する)によって検出可能であるように、約1インチ乃至約3インチとすることができる。加えて、図示するように、電極16は、荷電粒子が矢印30で示すように検知面22を通過する場合に移動するようになった複数の電子26を包含する。このように、所定の長さLは、電子26が、その近くを流れる粒子の電荷に応じて検知面22に向かう方向及び/又は検知面22から遠ざかる方向に容易に流れることを可能にする。さらに、電極16の第1の端部18は、一般に外側ハウジング14内に固定され、他方、検知面22を含む第2の端部20は、外側ハウジング14の縁24と面一にすることができる。さらに、
図1及び
図2に示すように、電極16の検知面22は、所定の半径を有する湾曲面を含むことができる。
【0022】
加えて、図示した実施形態で示すように、静電気センサ12は、外側ハウジング14内に設けられた、電極16に電気的に結合された少なくとも1つの増幅器28を含むことができる。かかる実施形態において、増幅器28は、摂氏約−55度(℃)乃至約250℃、より好ましくは約150℃乃至約230℃の範囲の動作温度を有することができる。より詳細には、増幅器28は、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)演算増幅器を含むことができる。例えば、特定の実施形態において、本開示の増幅器28は、米国ミネソタ州PlymouthのHoneywell,Incによって製造された広帯域SOI演算増幅器を含むことができる。かかる増幅器は、極めて低い漏れ電流を有し、高温で動作することが可能である。このように、本開示の増幅器28は、検知面22を通過する粒子レベルを電子移動の関数として検出又は測定するように構成される。
【0023】
さらに、MCM組立体10は、外側ハウジング14内に設けられた、センサ12に例えば増幅器28を介して電気的に結合した集積回路基板32を含むことができる。より詳細には、図示するように、回路基板32は、電極16に隣接しかつ検知面22に対向するように構成することができる。付加的な実施形態において、回路基板32は、静電気センサ12の外側ハウジング14内のいずれかの適切な位置に配置することができる。さらに、本明細書で説明する場合の回路基板32は、センサ12の外側ハウジング14内で電子構成要素を支持して電気的に接続するあらゆる適切な回路基板を含むことができる。より詳細には、本開示の特定の回路基板は、非導電性基板上に積層された銅などの金属のシートからエッチングされた、導電性トラック、パッド、及び/又は他の特徴部を含むことができる。さらに、本開示の回路基板32は、片面、両面、又は多層とすることができる。従って、本明細書で説明する場合の回路基板32は、検知面22を通過する粒子レベルを示す1又は2以上の信号をコントローラ182に送るように構成され、これについてはより詳細に後述する。
【0024】
特に
図2を参照すると、静電気センサ12はまた、1又は2以上の絶縁体又は絶縁層34を含むことができる。例えば、図示するように、静電気センサ12は、電極16と外側ハウジング14との間に1又は2以上の絶縁層34を含むことができる。加えて、静電気センサ12は、センサ構成要素を動作環境から絶縁するように取付け部分17内に1又2以上の絶縁層34を含むことができる。任意の数の絶縁層をセンサ12内のいずれかの適切な位置で使用することができることをさらに理解されたい。
【0025】
図4〜
図9を参照すると、本開示のMCMセンサ組立体10の別の実施形態が例証される。より詳細には、
図4に示すように、MCM組立体10は、ケーブル25を介して電子機器ハウジング15に結合された少なくとも1つの静電気センサ12を含む。さらに、
図4〜
図7に示すように、静電気センサ12は、外側ハウジング14又はケーシングを有する。より詳細には、図示するように、外側ハウジング14は、センサ12を所望の位置に取り付ける又はそれ以外の方法で固定するように構成された取付け部分17を含むことができる。例えば、
図5〜
図7に示すように、センサ12の取付け部分17は、静電気センサ12を所望の位置に固定する又は設置するように構成されたねじ外面又はBナットを含むことができる。さらに、
図5及び
図6に示すように、センサ12の外側ハウジング14はまた、センサの組み付け及び/又は取外し並びに設置を補助するように構成されたレンチ用平坦部(wrenching flat)21を含むこともできる。加えて、
図6に示すように、センサ12の種々の構成要素は、1又は2以上のねじ接合部23を介して容易に固定することができる。
【0026】
さらに、
図4〜
図7に一般的に示すように、静電気センサ12は、少なくとも部分的に外側ハウジング14内に設けられた電極16を有する。より詳細には、
図7に示すように、電極16は、所定の長さLで隔てられた第1の端部18と第2の端部20とを含む。このように、電極16は、「電子湖(electron lake)」としての役割を果たし、その上を通過する荷電粒子は、その電荷に基づいて、「湖中」の電子を電極の第2の端部20に向かう方向又はそこから遠ざかる方向のいずれかに移動させる。電極16内のこの電子分布のシフトが増幅器28によって検出される。従ってこのような特徴は、センサ12の低周波数帯域を1ヘルツ(Hz)より下に拡張するように構成される。より詳細には、第1の端部18は、外側ハウジング14内に固定され、他方、第2の端部20は、外側ハウジング14の縁24を越えて延びた検知面22を含む。例えば、図示するように、第1の端部18は、少なくとも1つの固定具、例えばナット41を介して外側ハウジング14内に固定される。電極16の第1の端部18は、他のいずれかの適切な手段を用いてさらに固定することができることを理解されたい。加えて、
図6及び
図7に示すように、ケーブル25は、開放キャビティ45を通ってセンサ12の中に延びて、締結具36を介してセンサ12に固定される及び/又は電気的に結合することができる。より詳細には、ケーブル25の外側シースは、溶接ニクロムストリップを介してセンサ12の本体に接地することができ、他方、ケーブル25の内側導体は、締結具36を介してセンサ12に取り付けることができる。
【0027】
さらに、
図5〜
図7に示すように、電極16の検知面22は、所定の半径を有する湾曲面を含むことができる。特定の実施形態において、所定の半径を導入することで、検知面22の表面積を増大させ、及び/又はセンサ利得を増大させる。従って、特定の実施形態において、半径は、センサ組立体10を設置するのに利用可能な空間に応じたものとすることができる。1つの実施形態において、例えば、可能であれば検知面22の表面積を平坦な検知面と比べて約50%増大させる半径を導入することが望ましい場合がある。かかるセンサは、より大きい設置容積を必要とするが、粒子をより低濃度レベルで検出することが可能となる。
【0028】
さらに、図示するように、検知面22の湾曲面は、1又は2以上の突起38を有する刻み目付きの輪郭を有することができる。例えば、図示するように、突起38は、検知面22の表面積を約50%増大させる弓形の隆起に対応する。さらなる実施形態において、湾曲面及び/又は突起38は、検知面22の表面積を50%未満又は50%より多く増大させるように構成することができることを理解されたい。このように、湾曲面及び/又は突起38は、センサ12の流れストリームに提示される面積を最大限にしてセンサ12の感度を高めるように構成される。本明細書で説明される検知面22の突起38は、センサ12の感度を高めるように、いずれかの適切な形状及び/又はサイズをさらに有することができることを理解されたい。
【0029】
加えて、
図6及び
図7に示すように、センサ12の電極16は、荷電粒子が検知面22を通過した場合に移動するようになった複数の電子26を包含する。従って、電子26は、荷電ダスト粒子が検知面22を通過した場合に移動する又は流れるようになっている。より詳細には、電子26は、電極16内で、通過する粒子の電荷に基づいて、検知面22に向かう方向又は検知面22から遠ざかる方向のいずれかで移動する。
【0030】
特に
図4及び
図8〜
図9を参照すると、MCMセンサ組立体10の電子機器ハウジング15は、静電気センサ12とは分離しているが、それでもなおケーブル25を介して静電気センサ12に接近して結合される。より詳細には、特定の実施形態において、ケーブル25の長さは、約10インチ乃至約48インチ、より好ましくは約12インチ乃至約24インチの範囲とすることができる。これにより、電子機器は、外側ハウジング14内に組み込まれない場合であってもなおセンサ構成要素に接近して結合されており、高められたセンサ12の感度をもたらすようになっている。さらに、ケーブル25は、センサ12を電子機器ハウジング15内の適切な電子機器に電気的に結合するように構成されたいずれかの適切な電気ケーブルとすることができる。例えば、特定の実施形態において、ケーブル25は同軸ケーブルである。より詳細には、特定の実施形態において、ケーブル25は、一体型無機絶縁ハードラインケーブルを含むことができる。かかる実施形態において、電子機器ハウジング15をセンサ12から離れたより低温の位置に配設することができ、このことは後でより詳細に論じる。
【0031】
さらに、電子機器ハウジング15は、いずれかの適切な形状を有することができる。例えば、図示するように、電子機器ハウジング15は、略円筒形状を有する。さらに、図示するように、電子機器ハウジング15は、複数の締結具35によって互いに固定される2つの半部分33から形成することができる。このように、ケーブル25は、ケーブル25を半部分33の各々の間に配置し、半部分33を互いに固定することによって、回路基板32に電気的に結合することができる。加えて、
図8〜
図9に示すように、電子機器ハウジング15はまた、回路基板32に電気的に結合したピンコネクタ37を例えばケーブル接続の反対側に含むこともできる。
【0032】
特に
図4及び
図8〜
図9を参照すると、電子機器ハウジング15は、電極16に電気的に結合した少なくとも1つの増幅器28を収容するように構成される。
図4〜
図9の増幅器28(及び残りの電子機器)はセンサ12から分離しているので、MCMセンサ組立体10は、
図1〜
図3の統合型センサ組立体よりも高い、摂氏約250度(℃)乃至約550℃、より好ましくは約370℃乃至約538℃の範囲の動作温度を有することができる。さらに、増幅器28は、増幅器28がセンサ12の検知面22を通過する粒子レベルを電子移動の関数として検出又は測定するようになっている、本明細書で説明するようないずれかの増幅器を含むことができる。加えて、図示するように、電子機器ハウジング15はまた、ケーブル25を介してセンサ12に電気的に結合された回路基板32も収容する。上述のように、本明細書で説明される場合の回路基板32は、電子機器(例えば増幅器28など)を機械的に支持しかつセンサ12に電気的に接続するいずれかの適切な回路基板を含むことができる。より詳細には、本開示の特定の回路基板は、非導電性基板上に積層された銅などの金属のシートからエッチングされた、導電性トラック、パッド、及び/又は他の特徴部を含むことができる。
【0033】
本開示の集積増幅器28は、極めて高感度であり、粒子レベルをより正確に検出することが可能である。より詳細には、特定の実施形態において、増幅器28は、約1フェムトアンペア乃至約5フェムトアンペア、より好ましくは約3フェムトアンペアの漏れ電流を含むことができる。従って、漏れ電流が低いことで、増幅器28の直流結合が容易になり、このことにより粒子レベルの低周波数変化を捕捉することが可能になる。さらに、本開示の電極16は、約1Gオームを超える、例えば約10Gオームのインピーダンスを有することができる。このように、電極16の高入力インピーダンスは、検知面22における電荷の小さい変化に対するセンサ感度を改善するように構成される。さらに、高入力インピーダンスはまた、検知された電荷が漏れ出して出力電圧を生成することができなくなることを防止することによって、静電気センサ12の低周波数応答を改善するようになっている。従って、本開示の静電気センサ12は、粒子質量基準で約7百万分の1を検出することが可能である。
【0034】
特に
図6及び
図7を参照すると、静電気センサ12はまた、1又は2以上の絶縁体又は絶縁層34を含むことができる。例えば、
図6及び
図7に示すように、静電気センサ12は、電極16と外側ハウジング14との間にセラミック絶縁体34(アルミナなど)を含むことができる。任意の数の絶縁層をセンサ12内のいずれかの適切な位置で使用することができることをさらに理解されたい。
【0035】
加えて、図示されるように、静電気センサ12は、外側ハウジング14内でセラミック絶縁体34とケーブル25との間で構成された1又は2以上の機械的締結具をさらに含むことができる。機械的締結具は、平ワッシャ、傾斜ワッシャ、ナット、ねじ、又はねじ山を含むことができる。より詳細には、
図7に示すように、センサ12は、2つの内側平ワッシャ40とそれらの間に設けられた内側傾斜ワッシャ42とを含む。さらに、図示されるように、センサ12はまた、2つの外側平ワッシャとそれらの間に設けられた外側傾斜ワッシャ46とを含む。このように、傾斜ワッシャ42、46は、センサ12内でばねとして作用し、熱応力を解放する及び/又は高温で動作するときのセンサ12の種々の構成要素の膨張を可能にするようになっている。加えて、内側及び外側ワッシャのスタックは、高温においてセラミック絶縁体34に亀裂を入れることなく移動することを可能にするように、間隙48によって互いに分離される又は隔離されるようにすることができる。同様に、別の間隙49がセラミック絶縁体34と電極16との間に存在してもよく、それらの間の熱応力をさらに解放する。さらに
図7を参照すると、上述のように、機械的締結具はまた、電極16を外側ハウジング14内に固定するように構成された、内側ワッシャ40、42に隣接したナット41を含むことができる。
【0036】
ここで
図10を参照すると、本開示による静電気センサ12に適した回路トポロジ50の1つの実施形態の概略図を示す。図示するように、回路50は、静電気センサ12から1又は2以上のセンサ入力を受け取る。例えば、センサ入力は、センサ12の電極16から受け取ることができる。入力は、次に第1の増幅器52に伝送される。より詳細には、センサ入力は、信号の静電放電(ESD)を防止する及び/又は低減するように、最初に抵抗器R
1を通ることができる。さらに、図示するように、大きな抵抗値の抵抗器R
2を入力経路(Pin1で示される)上に設けて、増幅器の漏れ電流を接地にバイパスするようになっている。Pin2から、入力信号のコピーが第2の増幅器54のPin1に伝送される。図示するように、信号は、抵抗器R
3及びR
4を通って進み、これが信号の利得を設定する。R
5は、増幅器54のPin1の入力キャパシタンスを入力信号から切り離す。抵抗器の少なくとも1つ(例えばR
3)はまた、それと並列に設けられた、増幅器52の帯域幅を制限するキャパシタC
1を含むこともできる。キャパシタC
2、C
3、C
4及びC
5は、増幅器52及び54に対する減結合キャパシタとして働く。抵抗器R
6及びR
7は、増幅器出力をESDから保護するとともに回路を長い外部ケーブルから切り離す。第2の増幅器54の目的は、小さなセンサ信号をガードすることである。例えば、第2の増幅器54は、第1の増幅器52の入力と同じ電圧及び振幅で構成することができるが、低インピーダンスソース電流を供給する。このように、Pin3において示すように、第2の増幅器54は、センサ入力電圧をトラッキングして不要の電荷をセンサ入力から分流させることによって、センサ信号をガードする。従って、本発明の増幅器構成は、センサ入力電圧をトラッキングする第2の増幅器54によってガードされた利得を有する電圧フォロアを含み、センサ入力電圧をガードしてより良好な信号対雑音比をもたらす。
【0037】
本明細書で説明する静電気センサ12は、あらゆる適切な用途を有することができる。例えば、特定の実施形態において、本開示の静電気センサ12は、航空機産業において、例えば航空機ガスタービンエンジン、並びに他のいずれかの適切なエンジン型式で利用することができる。より詳細には、
図11は、本明細書で説明するような静電気センサ12の恩恵を受けることができるガスタービンエンジン100(高バイパスタイプ)の1つの実施形態の概略断面図を示す。図示するように、ガスタービンエンジン100は、貫通する長手方向中心軸線102を基準目的で有する。さらに図示するように、ガスタービンエンジン100は、好ましくは、全般的に符号104で示されるコアガスタービンエンジンセクションと、その上流に位置決めされたファンセクション106とを含む。コアエンジン104は、典型的には、環状入口120を定める略管状の外部ケーシング108を含む。外部ケーシング108は、さらに、コアエンジン104に入る空気の圧力を第1の圧力レベルまで高めるためのブースタ122を囲んで支持する。高圧多段軸流圧縮機124は、ブースタ122から加圧空気を受け取り、空気圧力をさらに高める。圧縮機124は、タービンエンジン100内で空気を方向付けて圧縮する機能を有する回転ブレード及び固定ベーンを含む。加圧空気は、燃焼器126へ流れ、ここで加圧空気ストリームに燃料を注入して点火し、加圧空気の温度及びエネルギーレベルを上昇させる。高エネルギーの燃焼生成物は、燃焼器126から、第1の(高圧)駆動シャフト130を通して高圧圧縮機124を駆動するための第1の(高圧)タービン128へ流れ、次いで、第1の駆動シャフト130と同軸の第2の(低圧)駆動シャフト134を通してブースタ122及びファンセクション106を駆動するための第2の(低圧)タービン132へ流れる。各タービン128及び132を駆動した後、燃焼生成物は、排出ノズル136を通ってコアエンジン104から出て、エンジン100のジェット推進推力の少なくとも一部をもたらす。
【0038】
ファンセクション106は、環状ファンケーシング140によって取り囲まれた回転可能な軸流ファンロータ138を含む。ファンケーシング140は、複数の実質的に半径方向に延びた円周方向に離間した出口ガイドベーン142によってコアエンジン104から支持されることが認識されるであろう。このようにして、ファンケーシング140は、ファンロータ138及びファンロータブレード144を囲む。ファンケーシング140の下流セクション146は、コアエンジン104の外側部分の上に延びて、付加的なジェット推進推力をもたらす二次的な、すなわちバイパスの空気流通路148を定める。
【0039】
流れの観点から見れば、矢印150で表される初期空気流は、ファンケーシング140への入口152を通ってガスタービンエンジン100に入ることが認識されるであろう。空気流はファンブレード144を通過して、通路148を通って移動する第1の空気流(矢印154で表される)と、ブースタ122に入る第2の空気流(矢印156で表される)とに分かれる。
【0040】
第2の圧縮空気流156の圧力が高められて、矢印158で表されるように高圧圧縮機124に入る。燃焼器126内で燃料と混合されて燃焼した後、燃焼生生成物160は、燃焼器126から出て第1のタービン128を通って流れる。燃焼生生成物160は次に、第2のタービン132を通って流れ、排出ノズル136から出て、ガスタービンエンジン100の推力の少なくとも一部をもたらす。
【0041】
引き続き
図11を参照すると、燃焼器126は、長手方向中心軸線102と同軸の環状燃焼室162、並びに入口164及び出口166を含む。上記のように、燃焼器126は、高圧圧縮機排出出口169から加圧空気の環状ストリームを受け取る。この圧縮機排出空気流の一部は、混合器(図示せず)に入る。燃料は、燃料ノズル180から注入され、空気と混ざり合って燃料−空気混合物を形成し、これが燃焼のために燃焼室162に供給される。適切な点火器によって燃料−空気混合物の点火が達成され、得られた燃料ガス160は、環状の第1段タービンノズル172に向かって軸線方向に流入する。ノズル172は、環状流れチャネルによって定められ、これは、ガスの向きを変えてガスが第1のタービン128の第1段タービンブレードに角度を成して衝突するようにする複数の半径方向に延びた円周方向に離間したノズルベーン174を含む。第1のタービン128は、好ましくは第1の駆動シャフト130を介して高圧圧縮機124を回転させ、他方、低圧タービン132は、好ましくはブースタ122及びファンロータ138を第2の駆動シャフト134を介して駆動する。
【0042】
燃焼室162は、エンジンの外部ケーシング108内に収容され、燃料は、1又は2以上の燃料ノズル180によって燃焼室162内に供給される。より詳細には、液体燃料は、燃料ノズル180のステム内の1又は2以上の通路又は導管を通って輸送される。
【0043】
動作中、ダスト及び他のタイプの粒子は、例えば入口152に入る空気から、ガスタービンエンジン100によって吸い込まれる。ダスト及び粒子の蓄積は、それらのレベルがエンジンのサービス時間、摩損、及び/又は他の保守スケジュールの評価において重要であるので、エンジン解析に対する重要な入力である。従って、上述のように、本開示の静電気センサ12は、かかるエンジン100内のダスト及び/又はデブリを検出するのに特に有用である。このように、本開示の静電気センサ12は、ガスタービンエンジン100のいずれかの適切な位置に配置することができる。例えば、本開示の静電気センサ12は、エンジン100のボアスコープポート、圧縮機入口167(
図12)、圧縮機ブリード管(
図13)、ブースタ入口165(
図12)、又はエンジンのタービン若しくはアフタバーナ出口内に配置することができる。より詳細には、静電気センサ12は、旅客機が地球の赤道付近の高高度で遭遇する場合がある非常に微細な氷晶を検出することが可能である。かかる氷検出のために、センサ12をブースタ入口165又は圧縮機入口167に取り付けることができる。さらに、検知面22を非導電性エポキシコーティングで封止して、水又は溶けた氷が電極16をセンサ12の本体にショートさせることを防止することができる。
【0044】
より詳細には、本開示の静電気センサ12は、所望の取付け位置に対応するあらゆる適切な形状を有することができることを理解されたい。例えば、特定の実施形態において、静電気センサ12は、ガスタービンエンジン100の既存の部位、穴、又は入口に取り付けられた検知面22がその内部表面と面一になるように構成された所定形状を有することができる。具体的には、
図1〜
図3及び
図12に示すように、静電気センサ12は、略長円又は楕円形状を有することができる。かかる形状は一般に、エンジン100の既存の入口位置、例えば限定されないが圧縮機入口167及び/又はブースタ入口165などに対応する。代替的に、
図4〜
図7及び
図13〜14に示すように、静電気センサ12は、エンジン100の圧縮機ブリード管170の入口に対応する略円筒形状を有することができる。さらに、
図14に具体的に示すように、センサ12は、圧縮機ブリード管170に隣接して、検知面22がその内部の流路に入り込まない又は交差しないように取り付けることができる。
【0045】
図12、
図13、及び
図15を参照すると、MCMセンサ組立体10はまた、センサ12の電極16によって発生されるセンサ信号を受け取るように構成されたコントローラ182に通信可能に結合することできる。より詳細には、
図15に示すように、本開示によるコントローラ182に含めることができる適切な構成要素の1つの実施形態のブロック図が示される。図示するように、コントローラ182は、種々のコンピュータ実装機能を実行する(例えば、本明細書で開示するように、方法、ステップ、計算等を実行する、及び関連データを格納する)ように構成された、1又は2以上のプロセッサ184及び関連付けられた記憶デバイス186を含むことができる。さらに、コントローラ182はまた、コントローラ182と静電気センサ12との間の通信を支援する通信モジュール188を含むことができる。さらに、通信モジュール188は、センサ12から伝送された信号をプロセッサ184が理解しかつ処理することができる信号に変換するセンサインタフェース190(例えば、1又は2以上のアナログデジタルコンバータ)を含むことができる。センサ12は、いずれかの適切な手段を用いて通信モジュール188に通信可能に結合することができることを認識されたい。例えば、
図15に示すように、センサ12は、有線接続でセンサインタフェース190に結合される。しかしながら、他の実施形態において、センサ12は、例えば当該分野で公知のいずれかの適切な無線通信プロトコルを用いて無線接続でセンサインタフェース190に結合することができる。このように、プロセッサ184は、センサ12から1又は2以上の信号を受け取るように構成することができる。
【0046】
本明細書で用いる場合、「プロセッサ」という用語は、当該分野でコンピュータに含まれるものとして言及される集積回路のみならず、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラム可能論理コントローラ(PLC)、特定用途向け集積回路、及び他のプログラム可能回路をも指す。加えて、記憶デバイス186は、一般に、コンピュータ可読媒体(例えばランダムアクセスメモリ(RAM))、コンピュータ可読不揮発性媒体(例えばフラッシュメモリ)、クラウドストレージ、フロッピーディスク、コンパクトディスク読出し専用メモリ(CD−ROM)、光磁気ディスク(MOD)、デジタル多目的ディスク(DVD)及び/又は他の適切な記憶素子を含むがこれらに限定されない記憶素子を含むことができる。かかる記憶デバイス186は、一般に、プロセッサ184によって実装されたときにコントローラ182にガスタービンエンジン100の種々の機能を実行させる適切なコンピュータ可読命令を格納するように構成することができる。
【0047】
ここで
図16を参照すると、ガスタービンエンジン100、例えば航空機エンジン内の粒子を検出するための方法200の1つの実施形態のフロー図が示されている。202に示すように、方法200は、ガスタービンエンジン100内の1又は2以上の位置に上述のような少なくとも1つの静電気センサ12を設けることを含む。さらに、204に示すように、方法200は、各センサ12の検知面22を、1又は2以上の位置において粒子流路内に配置することを含む。従って、206に示すように、方法200はまた、各センサ12の増幅器28によって、ガスタービンエンジン100内の粒子レベルを電極16内の電子移動の関数として決定することを含む。208に示すように、方法200は、荷電ダスト粒子を検出したことに応答して、センサ12に接近して結合された回路基板86によって、粒子レベルを示す1又は2以上の信号を発生することを含む。
【0048】
1つの実施形態において、方法200は、静電気センサ12の各々の回路基板32によって、ガスタービンエンジン100のコントローラ182に信号を送信することをさらに含むことができる。このように、本明細書で説明されるセンサ12は、リアルタイムで正確な微粒子レベルデータをユーザに提供する。
【0049】
本明細書は、最良の形態を含む実施例を用いて本発明を開示し、更に、あらゆる当業者があらゆるデバイス又はシステムを実施及び利用すること及びあらゆる包含の方法を実施することを含む本発明を実施することを可能にする。本発明の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文言と差違のない構造要素を含む場合、或いは、請求項の文言と僅かな差違を有する均等な構造要素を含む場合には、本発明の範囲内にあるものとする。