(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6973847
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】記録ディスクトレー、ストレージ装置およびストレージシステム
(51)【国際特許分類】
G11B 33/02 20060101AFI20211118BHJP
G11B 33/12 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
G11B33/02 301F
G11B33/12 313S
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-43628(P2017-43628)
(22)【出願日】2017年3月8日
(65)【公開番号】特開2018-147538(P2018-147538A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2020年2月6日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】松田 哲也
【審査官】
中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−062961(JP,A)
【文献】
特開2012−113815(JP,A)
【文献】
特開2010−198681(JP,A)
【文献】
特開2006−294201(JP,A)
【文献】
特開2002−157056(JP,A)
【文献】
特開平10−106110(JP,A)
【文献】
特開2001−250363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 33/02
G11B 33/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターフェース仕様が異なる複数種類の記録ディスクを収容可能なトレー部に対して、前記インターフェース仕様に応じた所定の異なる位置に、当該インターフェース仕様に対応する第1極性部を設け、
前記トレー部は、前記複数種類の記録ディスクを収容可能な共通トレー部であり、
前記第1極性部は、前記共通トレー部に取付可能な極性プレート部に設けられることを特徴とする記録ディスクトレー。
【請求項2】
前記第1極性部は、前記極性プレート部において、当該インターフェース仕様に応じた位置に設けられた切欠きであることを特徴とする請求項1記載の記録ディスクトレー。
【請求項3】
前記記録ディスク側の前記切欠きは、ストレージ装置が有する所定のディスクスロット側に設けられた突起部と嵌合して、前記記録ディスクが実装可能となるよう配置されることを特徴とする請求項2記載の記録ディスクトレー。
【請求項4】
インターフェース仕様が異なる複数種類の記録ディスクを収容可能なトレーを複数個実装可能であり、実装される前記トレーが収容する前記記録ディスクのインターフェース仕様に応じた位置に、当該インターフェース仕様に対応する第2極性部を有することを特徴とするストレージ装置。
【請求項5】
前記トレーの実装を案内する複数のレールを有し、
前記第2極性部は、少なくとも1つの前記レールの奥側の所定位置に設けられ、前記トレー側に設けられて前記第2極性部の前記インターフェース仕様と合致するインターフェース仕様を有する第1極性部と嵌合可能に配置されることを特徴とする請求項4記載のストレージ装置。
【請求項6】
前記第2極性部は当該インターフェース仕様に応じた位置に設けられた突起部であることを特徴とする請求項4又は5記載のストレージ装置。
【請求項7】
前記ストレージ装置は少なくとも2Uに対応し、少なくとも24個の前記トレーを収容可能であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一記載のストレージ装置。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれか一記載の少なくとも1つの記録ディスクトレーと、請求項4〜7のいずれか一記載のストレージ装置を有することを特徴とするストレージシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録ディスクトレー、ストレージ装置およびストレージシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
2.5インチディスクのフォームファクタは、PCI(Peripheral Component Interconnect) Expressドライブと既存のSAS(Serial Attached SCSI)、SATA(Serial Advanced Technology Attachment)ドライブのシステム設計に柔軟に対応できるよう共通なメカニカル仕様を有する。このため、各種の記録ディスクを収容するトレーとして、共通のトレーが使用されている。したがって、ストレージ装置において、所定のインターフェース仕様を有するディスクスロットに、インターフェース仕様が相違するディスクを収容するトレーが誤実装される可能性がある。
【0003】
また、ストレージ装置(ここではストレージ装置を有するサーバ、ワークステーションなども含む)においては、2.5インチディスクのフォームファクタが共通のメカニカル仕様であるため、電源投入してファンクションを動作させるまで、2.5インチディスクのインターフェース仕様を検出することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−278777号公報(段落0021参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
なお、上記文献の開示を本書に引用をもって繰り込む。以下に上述した関連技術の分析を与える。
【0006】
特許文献1には、「記録ディスクの種別を標示するため、複数の種別に対応して定められた複数の深さのうちの一の深さを有して形成されたディスク種別識別用凹部」が開示されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されているように、トレー挿入方向の深さに基づいて
記録ディスクの種別を標示する場合、経時的な摩耗、コンタミネーション等によって、誤実装が十分に防止されないことも考えられる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みて創案されたものであって、その目的の一つは、より信頼性の高い記録ディスクの誤実装防止技術を提供することである。その他の目的および効果等は、本開示から当業者に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの視点によれば、インターフェース仕様が異なる複数種類の記録ディスクを収容可能なトレー部に対して、前記インターフェース仕様に応じた所定の異なる位置に、当該インターフェース仕様に対応する第1極性部を設けた記録ディスクトレーが提供される。
当該視点の変形として、インターフェース仕様が異なる複数種類の記録ディスクを収容可能なトレー部に対して、前記インターフェース仕様に応じた所定の異なる位置に、当該インターフェース仕様に対応する第1極性部を設け、前記トレー部は、前記複数種類の記録ディスクを収容可能な共通トレー部であり、前記第1極性部は
、前記共通トレー部に取付可能な極性プレート部に設けられた記録ディスクトレーが提供される。
【0010】
本発明の一つの視点によれば、インターフェース仕様が異なる複数種類の記録ディスクを収容可能なトレーを複数個実装可能であり、実装される前
記トレーが収容する前記記録ディスクのインターフェース仕様に応じた位置に、当該インターフェース仕様に対応する第2極性部を有するストレージ装置が提供される。
【0011】
本発明の一つの視点によれば、少なくとも1つの上記記録ディスクトレーと、上記ストレージ装置を有するストレージシステムが提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の1つの視点によれば、より信頼性の高い記録ディスクの誤実装防止技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態に係る記録ディスクトレーを実装可能な一実施形態に係るストレージ装置の外観図である。
【
図2】複数の記録ディスクトレーが実装された
図1のストレージ装置の正面図である。
【
図3】
図1のストレージ装置が有するミッドプレーン部の分解図とともに記録ディスクを示す図である。
【
図4】一実施形態に係る記録ディスクトレーの分解図である。
【
図5】
図4に示した記録ディスクトレーが有する第1極性部の各種パターンを示す図である。
【
図6】
図1に示したストレージ装置が有する第2極性部の各種パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図3〜
図5を参照して、一実施形態の記録ディスクトレー4は、インターフェース仕様が異なる複数種類の記録ディスク5を収容可能な共通トレー部6を有する。共通トレー部6には、インターフェース仕様に応じた所定の異なる位置に、当該インターフェース仕様に対応する第1極性部(切欠き7a)を設けることができる。
【0015】
図1、3および6を参照して、一実施形態のストレージ装置10は、インターフェース仕様が異なる複数種類の記録ディスク5をそれぞれ収容可能な記録ディスクトレー4を複数個実装可能である。さらに、ストレージ装置10は、実装される記録ディスクトレー4が収容する記録ディスク5のインターフェース仕様に応じた位置に、当該インターフェース仕様に対応する第2極性部(突起部8)を有する。
【0016】
一実施形態の少なくとも1つの記録ディスクトレー4(共通トレー部6)と、一実施形態のストレージ装置10を有するストレージシステムによれば、第1および第2極性部7a,8間の形状的照合により、記録ディスク5とその実装位置が合致している場合には、記録ディスク5を収容している記録ディスクトレー4の実装を可能とし、合致していない場合には、記録ディスクトレー4の実装を不能とする。
【0017】
一実施形態によれば、ストレージ装置10の電源を投入せず、システムが動作しない状況においても、記録ディスクトレー4を実装する段階でインターフェース仕様が異なるディスク5が収容されていることが容易に判別できる。この判別は、機械的または物理的判別であるため、この判別のためだけにデバイスタイプを識別するための信号をモニタする必要性はなくなる。また、共通トレー部6は共通設計のままで使用可能である。
【0018】
一実施形態の概念は、各種のストレージ装置(ここではストレージ装置を有するサーバ、ワークステーションなども含む)に適用可能であり、複数段を要求するユニット(トレー)を高密度で実装可能な装置に好適に適用される。例えば、2Uのストレージ装置に24個の2.5インチディスクを実装するような高密度実装においても、一実施形態にしたがって、簡単で省スペースな実装が実現できる。
【0019】
<実施形態>
例示的な実施形態を、一般的な2.5インチディスクを高密度で実装した2Uのストレージ装置を例として、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1および
図2は、一実施形態に係る記録ディスクトレーを実装可能な一実施形態に係るストレージ装置10を示す。2Uのストレージ装置10は、インターフェース仕様が異なる、例えば24個の2.5インチディスクを実装可能である。
【0021】
図3を参照して、筐体側であるストレージ装置10の2.5インチディスク収納部分は、ミッドプレーン部1と、ディスクケージ部2を有する。ミッドプレーン部1上には、記録ディスクトレー4に収容された記録ディスク5(
図4参照)とのインターフェースコネクタ3が24個実装されている。
【0022】
本実施形態によれば、記録ディスクトレー4に収容された記録ディスク5は、ストレージ装置10側とのインターフェース仕様が合致する場合、ディスクケージ部2を通過した後、インターフェースコネクタ3と接続することができる。
【0023】
図4は、一実施形態に係る記録ディスクトレー4の分解図である。
図4を参照して、記録ディスクトレー4は、インターフェース仕様が異なる複数種類の記録ディスク5を収容可能な共通トレー部6と、共通トレー部6にネジ9を用いて取付可能な極性プレート部7を有する。
【0024】
記録ディスク5のメカニカル使用は、PCI Expressと、既存のSAS、SATA仕様に関わらず共通である。したがって、共通トレー部6は、これらのインターフェース仕様が異なる複数種類の記録ディスク5をいずれも収容することができる。
【0025】
図5は、
図4に示した記録ディスクトレー4が有する切欠き(第1極性部)7aの各種パターンを示す図である。
図5を参照して、複数の極性プレート部7はそれぞれ、収容される記録ディスク5(
図4参照)のインターフェース仕様に応じた位置に形成される切欠き7a(第1極性部)を有する。
【0026】
図6は、
図1に示したストレージ装置10が有する突起部(第2極性部)8の各種パターンを示す図である。
図6を参照して、ストレージ装置10のディスクケージ部2には、ディスクスロットを形成する複数のレール2aが並置されている。複数のレール2aのミッドプレーン部1側には、インターフェース仕様に応じた位置に突起部(第2極性部)8が配置されている。
【0027】
一実施形態によれば、共通設計された記録ディスクトレー4側においては、所定位置に切欠き(第1極性部)7aを備える極性プレート部7を共通トレー部6に取り付ける一方、ストレージ装置10側においては、ディスクケージ部2の複数のレール2aの所定位置に突起部(第2極性部)8を配置することにより、インターフェース仕様が合致しない場合の誤挿入を防止することができる。
【0028】
次に、インターフェース仕様がPCI Express、SAS、SATA、および極性なしの4つの場合について、一実施形態の動作を説明する。
【0029】
(記録ディスクトレー4側)
図5に示すように、
図4に示した共通トレー部6にネジ留め可能な極性プレート部7の先端部に切欠き(第1極性部)7aをそれぞれ有する4パターンの極性プレート部7を作成する。
【0030】
図5を参照して、PCI Expressの場合(パターン1)、切欠き7aは例えば図中左端に形成される。SASの場合(パターン2)、切欠き7aは例えば図中真中に形成される。SATAの場合(パターン3)、切欠き7aは例えば図中右端に形成される。極性なしの場合(パターン4)、切欠き7aは幅方向全長にわたって形成される。
【0031】
(ストレージ装置側)
図6を参照して、PCI Expressの場合(パターン1)、突起部8はパターン1の切欠き7aと嵌合可能に図中左端に形成される。SASの場合(パターン2)、突起部8はパターン2の切欠き7aと嵌合可能に図中真中に形成される。SATAの場合(パターン3)、突起部8はパターン3の切欠き7aと嵌合可能に図中右端に形成される。極性なしの場合(パターン4)、突起部は形成されない。
【0032】
したがって、切欠き7aと突起部8が合致(嵌合)する場合には、記録ディスク5を収容する記録ディスクトレー4が実装可能であり、合致しない場合には記録ディスクトレー4をそれ以上押し込むことができないため、インターフェース仕様が異なる記録ディスク5を収容する記録ディスクトレー4を実装しようとしていることが検出できる。
【0033】
なお、上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ乃至選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【0034】
特に制限されないが、実施形態及び変形例等は以下のように付記される。
(付記1)
2.5インチ(2.5”)ディスクのフォームファクタのディスクを搭載するストレージ装置において、トレーを共通化しつつ、インターフェース仕様に合わせて、誤挿入を防止する装置。
(付記2)
トレーに極性プレートを付けて、ディスクケージのレールに対応するインターフェース仕様に応じた位置に極性突起を設けることにより、物理的に誤挿入を防止する装置。
(付記3)
インターフェース仕様が異なる複数種類の記録ディスクを収容可能なトレーに対して、前記インターフェース仕様に応じた所定の異なる位置に、当該インターフェース仕様を呈示する第1極性部を設けた記録ディスクトレーと、
インターフェース仕様が異なる複数種類の記録ディスクを収容可能なトレーを複数個実装可能であり、実装される前
記トレーが収容する前記記録ディスクのインターフェース仕様に応じた位置に、当該インターフェース仕様に対応する第2極性部を有することを特徴とするストレージ装置と、を有するストレージシステム。
【符号の説明】
【0035】
1 ミッドプレーン部
2 ディクスケージ部
2a レール
3 インターフェースコネクタ
4 記録ディスクトレー
5 記録ディスク、2.5インチディスク
6 共通トレー部
7 極性プレート部
7a 切欠き、第1極性部
8 突起部、第2極性部
9 ネジ
10 ストレージ装置