(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
トナー中のエステルワックス(W)の含有量が、結着樹脂100質量部に対して0.3質量部以上30質量部以下である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の電子写真用正帯電性トナーの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の電子写真用正帯電性トナーの製造方法は、少なくとも結着樹脂と離型剤と荷電制御樹脂とを含有する電子写真用正帯電性トナーの製造方法であって、離型剤がジペンタエリスリトール単位を構成成分として有するエステルワックス(W)を含有し、結着樹脂と離型剤と荷電制御樹脂とをエステルワックス(W)の融点以上の温度で溶融混練する工程を含む。
【0011】
荷電制御樹脂は、一般には、トナーの帯電安定性を向上させ、カブリを抑制する。しかしながら、荷電制御樹脂は、結着樹脂(例えばポリエステル樹脂)との軟化点の差が大きい場合、結着樹脂との相溶性が低下してトナー中での分散性が悪くなりやすいため、トナーの帯電量分布が広くなり、カブリが多く発生しやすい傾向があることを本発明者は見出した。そして、本発明者は更に鋭意検討を重ねた結果、ジペンタエリスリトール単位を構成成分として有するエステルワックス(W)を離型剤として用いることで、結着樹脂と荷電制御樹脂との相溶性を向上させてトナー中での荷電制御樹脂の分散性を高めることができ、しかも正帯電性も向上することを見出した。その結果として得られるトナーは、帯電量分布がシャープになり、良好な正帯電性を有し、カブリの発生を抑制し、転写性に優れることを見出した。
【0012】
本発明の製造方法によって得られたトナーが、良好な正帯電性を有し、カブリの発生を抑制し、転写性に優れる理由は必ずしも定かではないが、エステルワックス(W)が有するジペンタエリスリトール構造は、複数のエステル基が分子の中心側に集中して存在することで電子を求引しやすくなるため、分子の中心側が負、外側が正に極性を帯びやすくなり、エステルワックス(W)自体が正帯電性を示すためと考えられる。
【0013】
本明細書における各種用語の定義等を以下に示す。
樹脂が結晶性であるか非晶質であるかについては、結晶性指数により判定される。結晶性指数は、後述する実施例に記載の測定方法における、樹脂の軟化点と吸熱の最高ピーク温度との比(軟化点(℃)/吸熱の最高ピーク温度(℃))で定義される。「結晶性樹脂」とは、結晶性指数が0.6以上1.4以下のものである。「非晶質樹脂」とは、結晶性指数が0.6未満又は1.4を超えるものである。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、示差走査熱量測定により観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。結晶性指数は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができる。
明細書中、ポリエステル樹脂のカルボン酸成分には、その化合物のみならず、反応中に分解して酸を生成する無水物、及び各カルボン酸の炭素数1以上3以下のアルキルエステルも含まれる。
「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を意味する。また、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種を意味する。
「体積中位粒径D
50」とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。体積中位粒径D
50は、レーザー回折型粒径測定機等により測定できる。
【0014】
<結着樹脂>
本発明に用いられる結着樹脂は、低温定着性及び帯電性の観点から、ポリエステル樹脂又はスチレンアクリル樹脂であることが好ましい。また、結着樹脂は、低温定着性の観点から、非晶質樹脂A(以下、単に「樹脂A」ともいう)及び結晶性樹脂C(以下、単に「樹脂C」ともいう)の少なくとも1つを含有することが好ましい。
【0015】
<スチレンアクリル樹脂>
スチレンアクリル樹脂の原料モノマーとしては、スチレン化合物及びアルキル(メタ)アクリレートを含む公知のラジカル重合性単量体を用いることが好ましい。
【0016】
スチレン化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン等が挙げられ、スチレンが好ましい。
【0017】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ノルマル又はイソプロピル(メタ)アクリレート、ノルマル、イソ又はターシャリーブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、アルキル(メタ)アクリレートとは、アクリル酸、メタクリル酸、及びそれらの混合物のアルキルエステルを意味する。
【0018】
アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の炭素数は、低温定着性の観点から、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上が更に好ましく、4以上が更に好ましい。また、耐熱保存性の観点から、12以下が好ましく、8以下がより好ましく、6以下が更に好ましく、4以下が更に好ましい。これらの観点から、アルキル(メタ)アクリレートとしては、ブチルアクリレートが好ましく、n−ブチルアクリレートがより好ましい。
【0019】
他のラジカル重合性単量体としては、酢酸ビニル等のビニルエステル;ビニルメチルエーテル等のビニルエーテル等が挙げられる。
【0020】
また、スチレンアクリル樹脂の原料モノマーは、耐高温オフセット性の改善を目的として、少量の多官能性単量体を含有していてもよい。多官能性単量体としては、2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物等が挙げられる。2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート等の二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物等が挙げられる。
【0021】
スチレン化合物の含有量は、原料モノマー中、耐熱保存性の観点から、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、75質量%以上が更に好ましい。また、低温定着性の観点から、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、88質量%以下が更に好ましい。
【0022】
アルキル(メタ)アクリレートの含有量は、原料モノマー中、低温定着性の観点から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、12質量%以上が更に好ましく、耐熱保存性の観点から、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましく、25質量%以下が更に好ましい。
【0023】
<非晶質樹脂A>
樹脂Aとしては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂セグメントと付加重合樹脂セグメントとを有する複合樹脂等の非晶質ポリエステル系樹脂が挙げられる。
【0024】
〔ポリエステル樹脂〕
(アルコール成分)
アルコール成分としては、例えば、芳香族ポリオール化合物、脂肪族ポリオール化合物が挙げられる。これらの中でも、芳香族ポリオール化合物が好ましい。
【0025】
芳香族ポリオール化合物としては、好ましくはビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物であり、より好ましくは式(I):
【化1】
〔式中、RO及びORはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及びプロピレン基から選ばれる少なくとも1種であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上であり、好ましくは1.5以上であり、そして、16以下であり、好ましくは8以下、より好ましくは4以下である。〕
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物である。
【0026】
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのプロピレンオキサイド付加物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0027】
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下、そして、更に好ましくは100モル%である。
【0028】
脂肪族ポリオール化合物としては、炭素数2以上20以下の脂肪族ジオール、グリセリン等の3価以上の脂肪族アルコール等が挙げられる。
脂肪族ジオールの炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上、更に好ましくは9以上、更に好ましくは11以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下である。
【0029】
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブテンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0030】
(カルボン酸成分)
カルボン酸成分としては、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が挙げられる。これらの中では、テレフタル酸又はイソフタル酸がより好ましく、テレフタル酸が更に好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
芳香族ジカルボン酸の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは10モル%以上、より好ましくは30モル%以上、更に好ましくは50モル%以上であり、そして、100モル%以下、好ましくは90モル%以下である。
【0031】
脂肪族ジカルボン酸の炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは6以上、更に好ましくは9以上、更に好ましくは10以上であり、そして、好ましくは26以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは16以下である。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、セバシン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。これらの中でも、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸が好ましく、ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸がより好ましく、ドデセニルコハク酸が更に好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0032】
脂肪族ジカルボン酸の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、更に好ましくは15モル%以上であり、そして、100モル%以下であり、好ましくは80モル%以下、より好ましくは60モル%以下、更に好ましくは40モル%以下である。
【0033】
カルボン酸成分は、好ましくは3価以上のカルボン酸を含む。
3価以上のカルボン酸としては、好ましくは3価のカルボン酸であり、より好ましくはトリメリット酸である。
3価以上のカルボン酸の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは3モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは8モル%以上であり、そして、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは20モル%以下である。
【0034】
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸が、分子量調整の観点から、適宜含有されていてもよい。
【0035】
カルボン酸成分とアルコール成分との当量比(COOH基/OH基)は、末端基を調整する観点から、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上であり、そして、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.2以下である。
【0036】
アルコール成分とカルボン酸成分の重縮合は、例えば、不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じて、エステル化触媒、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下、180℃以上250℃以下程度の温度で行うことができる。エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2−エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられる。エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。重合禁止剤としては、ターシャリーブチルカテコール等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。重合禁止剤の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
【0037】
〔複合樹脂〕
複合樹脂は、ポリエステル樹脂セグメント及び付加重合樹脂セグメントを有する。
【0038】
(ポリエステル樹脂セグメント)
ポリエステル樹脂セグメントは、ポリエステル樹脂よりなり、当該ポリエステル樹脂としては上述のポリエステル樹脂の例示と同様のものが好ましい例として挙げられる。
【0039】
(付加重合樹脂セグメント)
付加重合樹脂セグメントとしては、スチレン系化合物を含む原料モノマーの付加重合物が好ましい。
スチレン系化合物としては、例えば、スチレン、又はα−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体(以下、スチレンとスチレン誘導体をまとめて単に「スチレン系化合物」という)が挙げられる。
【0040】
スチレン系化合物の含有量は、付加重合樹脂の原料モノマー中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、更に好ましく75質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
【0041】
スチレン系化合物以外に用いられる付加重合樹脂の原料モノマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;エチレン、プロピレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等のジオレフィン類;塩化ビニル等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルメチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニリデンクロリド等のビニリデンハロゲン化物;N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物類等が挙げられる。
【0042】
スチレン系化合物以外に用いられる付加重合樹脂の原料モノマーは2種以上を使用することができる。
【0043】
スチレン系化合物以外に用いられる付加重合樹脂の原料モノマーの中では、樹脂特性の制御を容易にする観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおけるアルキル基の炭素数は、好ましくは1以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは6以上であり、そして、好ましくは22以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは12以下、更に好ましくは10以下である。なお、該アルキルエステルの炭素数は、エステルを構成するアルコール成分由来の炭素数をいう。
【0044】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで、「(イソ又はターシャリー)」、「(イソ)」は、これらの接頭辞が存在している場合とそうでない場合の双方を意味し、これらの接頭辞が存在していない場合には、ノルマルであることを示す。
【0045】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、付加重合樹脂セグメントの原料モノマー中、樹脂特性の制御の観点から、好ましくは3質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは12質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
【0046】
付加重合樹脂の原料モノマーの付加重合反応は、例えば、ジクミルパーオキサイド等の重合開始剤、架橋剤等の存在下、有機溶媒存在下又は無溶媒下で、常法により行うことができるが、温度条件としては、好ましくは110℃以上、より好ましくは120℃以上、更に好ましくは130℃以上であり、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、更に好ましくは170℃以下である。
【0047】
付加重合反応の際に有機溶媒を使用する場合、キシレン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等を用いることができる。有機溶媒の使用量は、付加重合樹脂の原料モノマー100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下が好ましい。
【0048】
(両反応性モノマー)
複合樹脂は、ポリエステル樹脂セグメントと付加重合樹脂セグメントとを連結する両反応性モノマー由来の単位を有することが好ましい。例えば、当該複合樹脂は、ポリエステル樹脂セグメントの原料モノマー及び付加重合樹脂セグメントの原料モノマーを重合させて複合樹脂を得る際に、重縮合反応又は付加重合反応を、両反応性モノマーの存在下で行うことで得られる。
【0049】
複合樹脂は、(i)アルコール成分とカルボン酸成分とを含むポリエステル樹脂セグメントの原料モノマー、(ii)付加重合樹脂セグメントの原料モノマー、又は(iii)ポリエステル樹脂セグメントの原料モノマー及び付加重合樹脂セグメントの原料モノマーのいずれとも反応し得る両反応性モノマーを重合させることにより得られる樹脂であることが好ましい。
【0050】
両反応性モノマーとしては、分子内に、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基、好ましくは水酸基及びカルボキシ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基、より好ましくはカルボキシ基とエチレン性不飽和結合とを有する化合物が好ましい。
両反応性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が挙げられる。これらの中でも、重縮合反応及び付加重合反応の反応性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸がより好ましい。ただし、重合禁止剤と共に用いた場合は、フマル酸等のエチレン性不飽和結合を有する多価カルボン酸は、ポリエステル樹脂セグメントの原料モノマーとして機能する。この場合、フマル酸等は両反応性モノマーではなく、ポリエステル樹脂セグメントの原料モノマーである。
【0051】
両反応性モノマーの使用量は、樹脂特性の制御の観点から、ポリエステル樹脂セグメントのアルコール成分の合計100モル部に対して、好ましくは1モル部以上、より好ましくは2モル部以上、更に好ましくは3モル部以上であり、そして、好ましくは20モル部以下、より好ましくは10モル部以下、更に好ましくは7モル部以下である。
【0052】
複合樹脂におけるポリエステル樹脂セグメントと付加重合樹脂セグメントとの質量比(ポリエステル樹脂セグメント/付加重合樹脂セグメント)は、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは60/40以上、より好ましくは70/30以上、更に好ましくは75/25以上であり、そして、耐熱保存性を向上させる観点から、好ましくは95/5以下、より好ましくは90/10以下、更に好ましくは85/15以下である。なお、上記の計算において、ポリエステル樹脂セグメントの質量は、用いられるポリエステル樹脂の原料モノマーの質量から、重縮合反応により脱水される反応水の量(計算値)を除いた量であり、両反応性モノマーの量は、ポリエステル樹脂セグメントの原料モノマー量に含める。また、付加重合樹脂セグメントの量は、付加重合樹脂セグメントの原料モノマー量であるが、重合開始剤の量は付加重合樹脂セグメントの原料モノマー量に含める。
【0053】
〔樹脂Aの物性〕
樹脂Aの軟化点は、カブリの発生を抑制する観点から、好ましくは75℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは85℃以上であり、そして、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは145℃以下、更に好ましくは140℃以下である。
【0054】
樹脂Aのガラス転移温度は、カブリの発生を抑制する観点から、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは55℃以上であり、そして、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下、更に好ましくは70℃以下、更に好ましくは65℃以下である。
【0055】
樹脂Aの酸価は、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは3mgKOH/g以上、更に好ましくは5mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは20mgKOH/g以下である。
【0056】
トナー中の樹脂Aの含有量は、結着樹脂の合計量100質量%に対して、カブリの発生を抑制する観点から、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは97質量%以下、更に好ましくは96質量%以下である。結着樹脂の合計量とは、樹脂A及び樹脂C等のトナー中に含まれる樹脂成分の合計量を意味する。
【0057】
<結晶性樹脂C>
結着樹脂は、樹脂Aに加えて、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは結晶性樹脂Cを含む。
樹脂Cとしては、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂セグメント及び付加重合樹脂セグメントを有する複合樹脂等の結晶性ポリエステル系樹脂が挙げられる。これらの中でも、カブリの発生を抑制する観点から、ポリエステル樹脂セグメント及び付加重合樹脂セグメントを有する複合樹脂が好ましい。
以下、樹脂Cの好適態様として、樹脂Aにおける例示と共通する箇所については説明を省略し、樹脂Cの態様として好ましい態様についてのみ説明する。
【0058】
(アルコール成分)
アルコール成分は、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは、脂肪族ポリオール化合物である。
【0059】
脂肪族ポリオール化合物としては、炭素数2以上20以下の脂肪族ジオール、グリセリン等の3価以上の脂肪族アルコール等が挙げられる。これらの中でも、脂肪族ジオールが好ましく、α,ω−脂肪族ジオールがより好ましい。
脂肪族ジオールの炭素数は、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上、更に好ましくは9以上、更に好ましくは11以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下である。
【0060】
α,ω−脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等が挙げられる。これらの中でも1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールが好ましく、1,12−ドデカンジオールがより好ましい。
α,ω−脂肪族ジオールの含有量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上、更に好ましくは100モル%である。
【0061】
(カルボン酸成分)
カルボン酸成分は、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは、脂肪族ジカルボン酸である。
【0062】
脂肪族ジカルボン酸の炭素数は、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは4以上、より好ましくは6以上、更に好ましくは9以上、更に好ましくは10以上であり、そして、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは16以下、更に好ましくは14以下である。
脂肪族ジカルボン酸としては、セバシン酸、フマル酸が好ましく、セバシン酸がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは65モル%以上、更に好ましくは80モル%以上であり、そして、100モル%以下である。
【0063】
樹脂Cは、カブリの発生を抑制する観点から、好ましくは、アルコール成分として、炭素数9以上14以下の脂肪族ジオールを含有し、カルボン酸成分として、炭素数9以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有する。
【0064】
〔樹脂Cの物性〕
樹脂Cの融点は、カブリの発生を抑制する観点から、好ましくは65℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは75℃以上、更に好ましくは80℃以上であり、そして、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは135℃以下、更に好ましくは120℃以下である。
【0065】
樹脂Cの軟化点は、カブリの発生を抑制する観点から、好ましくは75℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは85℃以上であり、そして、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは135℃以下、更に好ましくは120℃以下である。
【0066】
トナー中の樹脂Cの含有量は、結着樹脂の合計量100質量%に対して、カブリの発生を抑制する観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
【0067】
<離型剤>
本発明に用いられる離型剤は、良好な正帯電性を有し、カブリの発生を抑制し、転写性に優れるトナーを得る観点から、ジペンタエリスリトール単位を構成成分として有するエステルワックス(W)を含有する。
【0068】
〔エステルワックス(W)〕
エステルワックス(W)は、良好な正帯電性を有し、カブリの発生を抑制し、転写性に優れるトナーを得る観点から、構成成分としてジペンタエリスリトール単位を有する。
エステルワックス(W)は、好ましくはジペンタエリスリトールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル縮合物である。
【0069】
エステルワックス(W)において、ジペンタエリスリトールの脂肪族モノカルボン酸によるエステル置換数は、良好な正帯電性を有し、カブリの発生を抑制し、転写性に優れるトナーを得る観点から、好ましくは4以上、より好ましくは5以上であり、そして、好ましくは6以下、そして、更に好ましくは6である。
【0070】
脂肪族モノカルボン酸の炭素数は、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上、更に好ましくは14以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは26以下、更に好ましくは24以下、更に好ましくは20以下である。また、脂肪族モノカルボン酸は、直鎖脂肪族モノカルボン酸であっても分岐鎖脂肪族モノカルボン酸であってもよく、好ましくは直鎖脂肪族モノカルボン酸である。すなわち、脂肪族モノカルボン酸は、炭素数8以上30以下の直鎖脂肪族モノカルボン酸であることが好ましい。
【0071】
脂肪族モノカルボン酸の具体例としては、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イコサン酸、テトラコサン酸が挙げられる。これらは1種又は2種以上であってもよい。これらの中でも、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、ステアリン酸が更に好ましい。
【0072】
エステルワックス(W)の製造方法は、特に限定されないが、例えばジペンタエリスリトールと脂肪族モノカルボン酸とを、不活性ガス雰囲気下で、160℃以上270℃以下の温度で、縮合させることで得られる。
【0073】
エステルワックス(W)の融点は、良好な正帯電性を有し、カブリの発生を抑制し、転写性に優れるトナーを得る観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは65℃以上、更に好ましくは70℃以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは135℃以下、更に好ましくは120℃以下、更に好ましくは100℃以下である。
【0074】
離型剤中のエステルワックス(W)の含有量は、良好な正帯電性を有し、カブリの発生を抑制し、転写性に優れるトナーを得る観点から、離型剤100質量%に対して、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、そして、更に好ましくは100質量%である。
【0075】
〔他の離型剤〕
トナーは、本発明の効果を損なわない範囲で、エステルワックス(W)の他に、他の離型剤(エステルワックス(W)以外の離型剤)を含有していてもよい。
他の離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス;マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックス等の炭化水素系ワックス又はそれらの酸化物;カルナウバワックス、モンタンワックス又はそれらの脱酸ワックス、エステルワックス(W)以外の脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス;脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0076】
他の離型剤の融点は、カブリの発生をより抑制し、転写性をより向上させる観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上であり、そして、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下、更に好ましくは140℃以下である。
【0077】
トナー中の離型剤の含有量は、良好な正帯電性を有し、カブリの発生を抑制し、転写性に優れるトナーを得る観点から、結着樹脂の合計量100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、更に好ましくは1質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上であり、そして、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
【0078】
トナー中のエステルワックス(W)の含有量は、良好な正帯電性を有し、カブリの発生を抑制し、転写性に優れるトナーを得る観点から、結着樹脂の合計量100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、更に好ましくは1質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上であり、そして、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
【0079】
トナー中の他の離型剤の含有量は、カブリの発生をより抑制し、転写性をより向上させる観点から、結着樹脂の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。
【0080】
<荷電制御樹脂>
本発明に用いられる荷電制御樹脂としては、スチレンアクリル樹脂、ポリアミン樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。これらの中で、粉砕時に粉砕圧を低減し、微粉量の発生を抑制し、粉砕分級収率を向上させる観点から、スチレンアクリル樹脂が好ましく、4級アンモニウム塩基含有スチレンアクリル系共重合体がより好ましい。
【0081】
4級アンモニウム塩基含有スチレンアクリル系共重合体としては、下記式(II)で表される単量体、下記式(III)で表される単量体及び下記式(IV)で表される単量体の混合物を重合して得られる4級アンモニウム塩基含有スチレンアクリル系共重合体が好ましい。
【化2】
(式中、R
2は水素原子又はメチル基を示す。)
【化3】
(式中、R
3は水素原子又はメチル基、R
4は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
【化4】
(式中、R
5は水素原子又はメチル基であり、R
6、R
7及びR
8は炭素数1〜4のアルキル基である。)
【0082】
式(II)において、トナーの帯電性を向上させる観点から、R
2は水素原子が好ましい。
式(III)において、トナーの帯電性を向上させる観点から、R
3は水素原子が好ましく、R
4はブチル基が好ましい。
また、式(IV)において、トナーの帯電性を向上させる観点から、R
5はメチル基が好ましく、R
6、R
7及びR
8はエチル基が好ましい。
【0083】
良好な正帯電性を有し、カブリの発生を抑制し、転写性に優れるトナーを得る観点から、式(II)で表される単量体の含有量は、単量体混合物中、60〜95質量%が好ましく、70〜95質量%がより好ましく、78〜90質量%が更に好ましい。
【0084】
良好な正帯電性を有し、カブリの発生を抑制し、転写性に優れるトナーを得る観点から、式(III)で表される単量体の含有量は、単量体混合物中、2〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましく、10〜15質量%が更に好ましい。
【0085】
良好な正帯電性を有し、カブリの発生を抑制し、転写性に優れるトナーを得る観点から、式(IV)で表される単量体の含有量は、単量体混合物中、3〜35質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましく、10〜25質量%が更に好ましい。
【0086】
単量体混合物の重合は、例えば、単量体混合物をアゾビスジメチルバレロニトリル等の重合開始剤の存在下で不活性ガス雰囲気下、50〜100℃に加熱することにより、行うことができる。なお、重合法としては、溶液重合、懸濁重合又は塊状重合のいずれでもよいが、好ましくは溶液重合である。
溶媒としては、トルエン、キシレン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、メチルエチルケトン等の有機溶媒、及びこれらとメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコールとの混合溶媒が挙げられる。
【0087】
4級アンモニウム塩基含有スチレンアクリル系共重合体の軟化点は、良好な正帯電性を有し、カブリの発生を抑制し、転写性に優れるトナーを得る観点から、100℃以上が好ましく、105℃以上がより好ましく、110℃以上が更に好ましく、また、140℃以下が好ましく、135℃以下がより好ましい。
【0088】
4級アンモニウム塩基含有スチレンアクリル系共重合体としては、例えば、「FCA−201PS」(藤倉化成株式会社製)が挙げられる。
【0089】
その他のスチレンアクリル樹脂として、4級アンモニウム塩基を含有しないスチレンアクリル系共重合体である「FCA−1001NS」(藤倉化成株式会社製)等が挙げられる。また、ポリアミン樹脂として、「AFP−B」(オリヱント化学工業株式会社製)等が挙げられ、フェノール樹脂として、「FCA−2521NJ」、「FCA−2508N」(以上、藤倉化成株式会社製)等が挙げられる。
【0090】
トナー中の荷電制御樹脂の含有量は、良好な正帯電性を有し、カブリの発生を抑制し、転写性に優れるトナーを得る観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは4質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、そして、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。
【0091】
荷電制御樹脂に対する離型剤の質量比(離型剤/荷電制御剤)は、好ましくは0.05以上であり、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上であり、そして、好ましくは1以下、より好ましくは0.8以下、更に好ましくは0.6以下、更に好ましくは0.4以下である。
【0092】
<荷電制御剤>
本発明の方法により得られるトナーは、荷電制御剤を更に含有していてもよい。
荷電制御剤は、特に限定されず、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれも用いることができる。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN−01」、「ボントロンN−04」、「ボントロンN−07」、「ボントロンN−09」、「ボントロンN−11」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP−51」(オリヱント化学工業株式会社製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP−B」(オリヱント化学工業株式会社製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ−2001」、「PLZ−8001」(以上、四国化成工業株式会社製)等;スチレン−アクリル系樹脂、例えば「FCA−701PT」(藤倉化成株式会社製)等が挙げられる。
【0093】
また、負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、例えば「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS−31」、「ボントロンS−32」、「ボントロンS−34」、「ボントロンS−36」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」、「T−77」(保土谷化学工業株式会社製)等;ベンジル酸化合物の金属化合物、例えば、「LR−147」、「LR−297」(以上、日本カーリット株式会社製)等;サリチル酸化合物の金属化合物、例えば、「ボントロンE−81」、「ボントロンE−84」、「ボントロンE−88」、「ボントロンE−304」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)、「TN−105」(保土谷化学工業株式会社製)等;銅フタロシアニン染料;4級アンモニウム塩、例えば「COPY CHARGE NX VP434」(クラリアント社製)、ニトロイミダゾール誘導体等;有機金属化合物等が挙げられる。
【0094】
トナー中の荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。
【0095】
<着色剤>
本発明の方法により得られるトナーは、着色剤を更に含有していてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾイエロー等が用いることができ、本発明の方法により得られるトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
【0096】
トナー中の着色剤の含有量は、トナーの画像濃度を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
【0097】
本発明では、トナー材料として、さらに、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を適宜使用してもよい。
【0098】
<トナーの製造方法>
本発明の方法は、結着樹脂と離型剤と荷電制御樹脂とをエステルワックス(W)の融点以上の温度で溶融混練する工程を含む。エステルワックス(W)の融点以上の温度で溶融混練することで、結着樹脂のマトリックス中に離型剤及び荷電制御樹脂を細かく均一に分散させることができる。その結果として得られるトナーは、良好な正帯電性を有し、カブリの発生を抑制し、転写性に優れる。
【0099】
結着樹脂、離型剤及び荷電制御樹脂、更に必要に応じて着色剤、荷電制御剤等のトナー原料は、あらかじめヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機で混合した後、混練機に供給することが好ましい。
【0100】
結着樹脂、離型剤及び荷電制御樹脂、更に必要に応じて着色剤、荷電制御剤等を含む混合物の溶融混練は、溶融混練機を用いた溶融混練が好ましい。溶融混練時間は、用いる混練機のスケールにも拠るが、好ましくは1時間以下、より好ましくは30分以下、更に好ましくは10分以下、更に好ましくは5分以下であり、例えば、1分以上である。
【0101】
溶融混練には、密閉式ニーダー、一軸押出機、又は二軸押出機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて行うことができる。結晶を溶融混練する観点から、高温条件に設定することのできる二軸押出機が好ましい。二軸押出機としては、軸の回転方向が同方向に回転できるタイプが好ましい。二軸押出機の市販品としては、生産性を向上させる観点から高速での2軸の噛み合わせが良好な、二軸押出機PCMシリーズ(株式会社池貝製)が好ましく例示される。
【0102】
二軸押出機は、混練部が密閉されており、混練の際に発生する混練熱により各材料を容易に溶融することができる。
二軸押出機の設定温度は、押出し機の構造上、材料の溶融特性に影響されず、意図した温度にて溶融混練することが容易である。本発明において、二軸押出機の設定温度(バレル設定温度)は、エステルワックス(W)の融点以上の温度である。離型剤、荷電制御樹脂、着色剤、荷電制御剤等の結着樹脂中での分散性を向上させる観点、溶融混練時の機械力を低減し、発熱を抑制する観点、及びトナーの生産性を向上させる観点から、例えば、好ましくは65℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは90℃以上であり、そして、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下である。
【0103】
回転周速度は、離型剤、荷電制御樹脂、着色剤、荷電制御剤等の結着樹脂中での分散性を向上させる観点、溶融混練時の機械力を低減し、発熱を抑制する観点から、同方向回転二軸押出機の場合、好ましくは5m/min以上、より好ましくは10m/min以上、更に好ましくは15m/min以上であり、そして、好ましくは50m/min以下、より好ましくは40m/min以下、更に好ましくは30m/min以下である。
【0104】
本発明の方法は、得られた溶融混練物を粉砕し、分級する工程を更に含むことが好ましい。
【0105】
粉砕工程は、多段階に分けて行ってもよい。例えば、樹脂混練物を1〜5mm程度に粗粉砕した後、さらに所望の粒径に微粉砕してもよい。
粉砕工程に用いられる粉砕機は特に限定されないが、例えば、粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、ハンマーミル、アトマイザー、ロートプレックス等が挙げられる。また、微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、流動層式ジェットミル、衝突板式ジェットミル、回転型機械式ミル等が挙げられる。粉砕効率の観点から、流動層式ジェットミル、及び衝突板式ジェットミルを用いることが好ましく、衝突板式ジェットミルを用いることがより好ましい。
【0106】
分級工程に用いられる分級機としては、気流式分級機、慣性式分級機、篩式分級機等が挙げられる。分級工程の際、粉砕が不十分で除去された粉砕物は再度粉砕工程に供してもよく、必要に応じて粉砕工程と分級工程を繰り返してもよい。
【0107】
粉砕し、分級して得られる粉体(トナー粒子)の体積中位粒径(D
50)は、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下、更に好ましくは10μm以下である。
【0108】
本発明のトナーの製造方法において、トナーの帯電性や流動性、及び転写性を向上させる観点から、粉砕、分級工程後、得られたトナー粒子(トナー母粒子)を外添剤と混合する工程を更に含むことが好ましい。
【0109】
〔外添剤〕
外添剤としては、疎水性シリカ、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子及びポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等が挙げられ、これらの中でも、疎水性シリカが好ましい。
【0110】
外添剤を用いてトナー粒子の表面処理を行う場合、外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
【0111】
トナー粒子と外添剤との混合には、回転羽根等の攪拌具を備えた混合機を用いることが好ましく、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高速混合機が好ましく、ヘンシェルミキサーがより好ましい。
【0112】
トナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる。また、当該トナーは、そのまま一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して用いられる二成分現像用トナーとして、それぞれ一成分現像方式又は二成分現像方式の画像形成装置に用いることができる。
【実施例】
【0113】
樹脂等の各物性値については次の方法により測定、評価した。
【0114】
[物性の測定方法]
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT−500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
【0115】
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「Q−20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し測定した。
吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
【0116】
〔樹脂の吸熱の最高ピーク温度及び融点〕
示差走査熱量計「Q−100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、室温(20℃)から降温速度10℃/分で0℃まで冷却しそのまま1分間保持させた。その後、昇温速度50℃/分で測定した。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側に現れるピークの温度を樹脂の吸熱の最高ピーク温度とした。最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば融点とした。
【0117】
〔樹脂の酸価〕
樹脂の酸価は、JIS K0070の方法に基づき測定した。ただし、測定溶媒のみ、JIS K0070規定のエタノールとエーテルとの混合溶媒から、アセトンとトルエンとの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
【0118】
〔荷電制御樹脂の重量平均分子量〕
荷電制御樹脂の重量平均分子量は、以下のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により求めた。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、試料をテトラヒドロフランに、40℃で溶解させた。次いで、この溶液を孔径0.20μmのPTFEタイプメンブレンフィルター「DISMIC−25JP」(東洋濾紙株式会社製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とした。
(2)分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させた。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行った。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出した。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(「A−500」(5.0×10
2)、「A−1000」(1.01×10
3)、「A−2500」(2.63×10
3)、「A−5000」(5.97×10
3)、「F−1」(1.02×10
4)、「F−2」(1.81×10
4)、「F−4」(3.97×10
4)、「F−10」(9.64×10
4)、「F−20」(1.90×10
5)、「F−40」(4.27×10
5)、「F−80」(7.06×10
5)、「F−128」(1.09×10
6);いずれも東ソー株式会社製。括弧内は分子量を示す。)を標準試料として作成したものを用いた。
測定装置:「HLC−8220GPC」(東ソー株式会社製)
分析カラム:「TSKgel GMHXL」及び「TSKgel G3000HXL」(いずれも東ソー株式会社製)
【0119】
〔離型剤(ワックス)の融点〕
示差走査熱量計「Q−20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて昇温速度10℃/分で200℃まで昇温し、そこで得られた融解吸熱カーブから観察される吸熱の最高ピーク温度を離型剤の融点とした。
【0120】
〔外添剤の個数平均粒径〕
外添剤の平均粒径は、個数平均粒径を指し、走査型電子顕微鏡(SEM)写真から500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの数平均値とした。
【0121】
〔トナー粒子の体積中位粒径(D
50)〕
トナー粒子の体積中位粒径(D
50)は以下の方法で測定した。
測定機:「コールターマルチサイザーII」(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:「コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19」(ベックマンコールター社製)
電解液:「アイソトンII」(ベックマンコールター社製)
分散液:「エマルゲン109P」(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5重量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させた。
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製した。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D
50)を求めた。
【0122】
[非晶質複合樹脂の製造例]
製造例A1〜A3〔樹脂A1〜A3〕
表1に示す無水トリメリット酸以外の重縮合系樹脂の原料モノマー、エステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃にて12時間反応を行った後、8.3kPaにて1時間反応させた。その後、160℃に降温し、付加重合系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及びジクミルパーオキサイドを滴下ロートにより1時間かけて滴下した。160℃に保持したまま1時間付加重合反応を熟成させた後、210℃に昇温し、8.3kPaにて1時間付加重合系樹脂の原料モノマーの除去を行った。さらに、210℃にて、無水トリメリット酸を添加し、所望の軟化点に達するまで反応させて、非晶質複合樹脂A1〜A3を得た。得られた樹脂の物性を表1に示す。
【0123】
【表1】
【0124】
[非晶質樹脂の製造例]
製造例A4〜A5〔樹脂A4〜A5〕
表2に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマー及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、200℃に昇温して6時間反応させた。さらに、210℃に昇温した後、無水トリメリット酸を添加し、常圧(101.3kPa)にて1時間反応させ、さらに40kPaにて所望の軟化点に達するまで反応させて、非晶質樹脂A4〜A5を得た。得られた樹脂の物性を表2に示す。
【0125】
【表2】
【0126】
[結晶性樹脂の製造例]
製造例C1、C3〔樹脂C1、C3〕
表3に示す重縮合系樹脂の原料モノマー及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、160℃まで加熱し、6時間反応させた。その後、表3に示す付加重合系樹脂の原料モノマー及び両反応性モノマーを滴下ロートにより1時間かけて滴下した。160℃に保持したまま1時間付加重合反応を熟成させた後、8.3kPaにて1時間付加重合系樹脂の原料モノマーの除去を行った。さらに、200℃まで8時間かけて昇温、8.3kPaにて2時間反応させて、結晶性樹脂C1、C3を得た。得られた樹脂の物性を表3に示す。
【0127】
製造例C2〔樹脂C2〕
表3に示す原料モノマー、エステル化触媒及び重合禁止剤を、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、130℃から200℃まで10時間かけて昇温を行い、200℃で8kPaにて1時間反応させて、結晶性樹脂C2を得た。得られた樹脂の物性を表3に示す。
【0128】
【表3】
【0129】
[荷電制御樹脂の製造例]
製造例D1〔樹脂D1〕
メタノール250g、トルエン200g、スチレン500g、アクリル酸ブチル40g、メタクリル酸ジメチルアミノエチル60g及びアゾビスジメチルバレロニトリル12gの混合物を、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下にてマントルヒーター中で、常圧で70℃にて10時間重合させ、得られた反応溶液を冷却し、トルエン150g、エタノール100g、p−トルエンスルホン酸メチル71gを添加し、常圧で70℃にて5時間撹拌して4級化反応を行った。その後、反応溶液を100℃に加熱し、減圧(8.3kPa)下で溶媒を留去した後、ジェットミルで粉砕し、荷電制御樹脂(重量平均分子量:15000、軟化点:114℃)を得た。
【0130】
[ワックスの製造例]
製造例W1〜W3〔ワックスW1〜W3〕
アルコール成分としてジペンタエリスリトール254g(1.0mol)、モノカルボン酸成分としてステアリン酸1707g(6.0mol)を、5リットル容の4つ口フラスコに入れ、窒素気流下、生成水を留去しながら、220℃で10時間反応した。生成物の酸価は7.2mgKOH/gであった。生成物に、トルエン500g、2−プロパノール330g及び10質量%水酸化カリウム水溶液267gを加え、70℃で1時間撹拌し、30分間静置後、水層部を除去した。イオン交換水を用い、70℃でpHが7になるまで洗浄した。得られたワックス含有溶液から減圧下で溶媒を留去し、ろ過、固化、粉砕を経て、ワックスW1を得た。
また、モノカルボン酸成分を表4に記載の成分に代えた以外は、製造例W1と同様にして、ワックスW2又はW3を得た。
【0131】
表4に、製造例W1〜W3で得られたワックスW1〜W3及び実施例で使用した市販品のワックスw4及びw5の融点を示す。
【0132】
【表4】
【0133】
〔トナーの製造例〕
実施例1〜19及び比較例1〜3
表5に示す所定量の結着樹脂(非晶質樹脂及び結晶性樹脂)、離型剤(ワックス)及び荷電制御樹脂と、荷電制御剤「ボントロンN−04」(オリヱント化学工業株式会社製)1.0質量部及び着色剤「REGAL 330R」(キャボット・スペシャリティー・ケミカルズ・インク社製)6.0質量部とを、ヘンシェルミキサーを用いて1分間混合した後、同方向回転二軸押出機「PCM−30」(株式会社池貝製、軸の直径:2.9cm、軸の断面積:7.06cm
2)を使用して溶融混練した。なお、同方向回転二軸押出機の運転条件は、バレル設定温度120℃、軸回転数200r/min(軸の回転の周速:0.30m/sec)、混合物供給速度10kg/h(軸の単位断面積あたりの混合物供給量:1.42kg/h・cm
2)とした。
【0134】
得られた樹脂混練物を冷却し、粉砕機「ロートプレックス」(ホソカワミクロン株式会社製)により粗粉砕し、目開きが2mmのふるいを用いて体積中位粒子径が2mm以下の粗粉砕物を得た。得られた粗粉砕物を、IDS−2型ジェットミル(衝突板式、日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて体積中位粒径が8.0μmになるように粉砕圧を調整して微粉砕した。得られた微粉砕物を、DSX−2型気流分級機(日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて体積中位粒径(D
50)が8.5μmになるように静圧(内部圧力)を調整して分級を行い、トナー粒子を得た。
【0135】
得られたトナー粒子100質量部と、外添剤として疎水性シリカ「TG−820F」(キャボット・スペシャリティー・ケミカルズ・インク社製、個数平均粒径:8nm)0.5質量部、疎水性シリカ「NA−50H」(日本アエロジル株式会社製、個数平均粒径:30nm)1.0質量部、及びポリテトラフルオロエチレン微粒子「KTL−500F」(株式会社喜田村製、個数平均粒径:500nm)0.4質量部を、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて2100r/min(周速度29m/sec)で3分間混合して、トナーを得た。
得られたトナーについて以下の評価を行った。結果を表5に示す。
【0136】
試験例1〔カブリ〕
クリーナーレス現像システムを具備するプリンター「HL−2040」(ブラザー工業株式会社製)にトナーを充填し、温度30℃、湿度85%の条件下で、1ページ20秒間欠の条件で印字率1%の画像を2000枚印字した。500枚毎に白ベタ画像を印刷し、その印刷途中で電源を切断した。その後、感光体表面のトナーを「Scotch(登録商標)メンディングテープ 810」(住友スリーエム株式会社製、幅:18mm)にて付着させ、画像濃度測定器「GRETAG SPM50」(GRETAG社製)にて着色濃度の測定を行い、トナーを付着させる前のテープ自身の着色濃度との差を求め、500枚目から2000枚目までの4回の測定値の平均を求めた。値が小さいほど、カブリが抑制されていることを示す。
【0137】
試験例2〔転写性〕
プリンター「HL−2040」(ブラザー工業株式会社製)用トナーカートリッジにトナーを実装し、温度30℃、湿度50%の条件下で24時間放置した後、プリンター「HL−2040」(ブラザー工業株式会社製)にて黒ベタ画像をはがき用紙に印字し、はがき上のトナー質量(T
0)を計量した。その後、70r/min(36ppm相当)で0.5時間の空回し運転を行った後、黒ベタ画像をはがき用紙に印字し、はがき上のトナー質量(T
P)を計量した。T
P/T
0×100で求められた値を転写効率とし、転写効率が65%以下になるまで0.5時間の空回しと転写効率の測定を継続した。転写効率65%以上を維持できる時間(合計空回し時間)を転写カスレの評価結果とした。転写効率65%以上を維持できる時間が長いほど、転写カスレが少なく転写性に優れることを示す。
【0138】
【表5】
【0139】
表5から、本発明の製造方法によって得られる実施例1〜19のトナーが、良好な正帯電性を有し、カブリの発生を抑制し、転写性に優れることが分かる。