(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
【0012】
図1は、本発明の情報処理システムの第1の実施の形態を示す図である。本形態における情報処理システムは
図1に示すように、情報処理装置100と、車両200とを有する。情報処理装置100は、検知部110と、出力部120とを有する。車両200は、回転速度測定部210と、情報送信部220とを有する。なお、
図1には、本形態における情報処理装置100および車両200が具備する構成要素のうち、本実施の形態に関わる主要な構成要素の一例を示す。
【0013】
回転速度測定部210は、車両200に具備された車輪の回転速度を測定する。情報送信部220は、回転速度測定部210が測定した車輪の回転速度を示す回転速度情報を情報処理装置100へ送信する。検知部110は、情報送信部220から送信されてきた回転速度情報が示す回転速度に基づいて、車両200が走行している道路の状況を検知する。出力部120は、検知部110における検知の結果を出力する。
【0014】
以下に、
図1に示した情報処理システムにおける道路状況検知方法について説明する。
図2は、
図1に示した情報処理システムにおける道路状況検知方法の一例を説明するためのシーケンス図である。
【0015】
まず、回転速度測定部210は、車両200に具備された車輪の回転速度を測定する(ステップS1)。続いて、情報送信部220は、回転速度測定部210が測定した車輪の回転速度を示す回転速度情報を情報処理装置100へ送信する(ステップS2)。すると、検知部110は、情報送信部220から送信されてきた回転速度情報が示す回転速度に基づいて、車両200が走行している道路の状況を検知する(ステップS3)。出力部120は、検知部110における検知の結果を出力する(ステップS4)。
【0016】
このように、車輪の回転速度に基づいて、車両が走行している道路の状況を検知するため、細かな道路の状況の変化を判定することができる。
(第2の実施の形態)
【0017】
図3は、本発明の情報処理システムの第2の実施の形態を示す図である。本形態における情報処理システムは
図1に示すように、情報処理装置101と、車両201とを有する。
【0018】
図4は、
図3に示した車両201に搭載されている構成要素の一例を示す図である。
図3に示した車両201は
図4に示すように、回転速度測定部211と、情報送信部221と、車輪位置情報取得部231と、車速計241と、温度計251と、雨滴センサ261と、ヨーレートセンサ271とを有する。なお、
図4には、
図3に示した車両201が具備する構成要素のうち、本実施の形態に関わる主要な構成要素の一例を示す。
【0019】
回転速度測定部211は、車両201に具備された車輪の回転速度を測定するセンサである。回転速度測定部211は、例えば、車両201に4つの車輪が具備されている場合、4つの車輪それぞれについてその回転速度を測定する。また、回転速度測定部211は、車輪それぞれについて1つずつ設けられていても良い。回転速度測定部211は、ABS(Antilock Brake System)やTCS(Traction Control System)向けに用いられる、車輪の速度を計測するセンサであっても良い。
車輪位置情報取得部231は、地表における車輪の位置を示す車輪位置情報を取得する。この取得方法は、例えば、GPS(Global Positioning System)機能を用いて、車両201の現在位置を取得し、取得した車両の現在位置、車両201の向き、車両201のトレッド、ホイールベースおよび車輪のサイズに基づいて、地表における車輪の位置を算出する方法であっても良い。また、車輪位置情報取得部231は、車両201に搭載された撮像装置(カメラ)を用いて撮影された道路の画像(例えば、車線内における車両201の位置)と、車両201のトレッド、ホイールベースおよび車輪のサイズとに基づいて、地表における車輪の位置を算出しても良い。
車速計241は、車両201の速度である車速を測定する。車速計241は、トランスミッションのアウトプットシャフトの回転をセンサを用いて読み取り、読み取った回転の回転数から車速を算出するもので良い。
温度計251は、車両201の外気温を測定する。
雨滴センサ261は、雨滴を検知する。
ヨーレートセンサ271は、横滑り防止向けに用いられ、車両201が進んでいく方向と、車両201が向いている方向との角度(以下、βアングルと称する)を検出するセンサである。
情報送信部221は、上述した車両201に具備されたセンサが検知した結果を情報処理装置101へ送信する。具体的には、情報送信部221は、回転速度測定部211が測定した回転速度を情報処理装置101へ送信する。また、情報送信部221は、車輪位置情報取得部231が取得した車輪位置情報を情報処理装置101へ送信する。また、情報送信部221は、車速計241が測定した車速を示す車速情報を情報処理装置101へ送信する。また、情報送信部221は、温度計251が測定した外気温を示す外気温情報を情報処理装置101へ送信する。また、情報送信部221は、雨滴センサ261が雨滴を検知した場合、その旨を示す雨滴検知情報を情報処理装置101へ送信する。また、情報送信部221は、ヨーレートセンサ271が検出したβアングルを示す情報を情報処理装置101へ送信する。また、情報送信部221は、車輪のサイズや、車両201の位置を示す位置情報、日時情報、車両201の諸元(メーカー、車種、グレード、ボディサイズ、形状、車軸数、駆動方式など)または諸元を表す車台番号、天候、道路の形状(カーブ/直線、交差点、勾配、車線数など)情報も情報処理装置101へ送信する。また、情報送信部221は、車両201に搭載された撮像装置(例えば、カメラ)が撮像した画像データを情報処理装置101へ送信するものであっても良い。
なお、
図4に示した車両201が具備する構成要素は、温度計251、雨滴センサ261、車輪位置情報取得部231およびヨーレートセンサ271を用いた構成としたが、検出する路面状況の種類に応じて、いずれかを省略することが可能である。
【0020】
図5は、
図3に示した車両201のそれぞれのサイズの一例を示す図である。
図5に示すように、車両201には4つの車輪であるタイヤ2011−1〜2011−4が具備されている。タイヤ2011−1の中心とタイヤ2011−2の中心との間の距離がトレッドdt1である。また、タイヤ2011−3の中心とタイヤ2011−4の中心との間の距離がトレッドdt2である。また、タイヤ2011−1とタイヤ2011−2とを接続している回転軸からタイヤ2011−3とタイヤ2011−4とを接続している回転軸までの距離がホイールベースdwである。
【0021】
図6は、
図3に示した情報処理装置101の内部構成の一例を示す図である。
図3に示した情報処理装置101は
図6に示すように、検知部111と、出力部121とを有する。
検知部111は、車両201から送信されてきた各種情報を収集し、収集した情報に基づいて、車両201が走行している道路の状況を検知(不具合を判断)する。具体的には、検知部111は、車両201から送信されてきた車速情報が示す車速と車輪のサイズとに基づいて、車輪の推定回転速度を算出する。そして、検知部111は、算出した推定回転速度と車両201から送信されてきた回転速度情報が示す回転速度とに基づいて、車両201が走行している道路の状況を検知する。このとき、検知部111は、推定回転速度と回転速度情報が示す回転速度との差分が、所定の第1の閾値を超えた場合、道路に異常があることを検知する。また、検知部111は、車両201に具備された複数の車輪のそれぞれの回転速度の互いの差分が、所定の第2の閾値を超えた場合、道路に異常があることを検知する。また、検知部111は、車両201から送信されてきた外気温情報が示す外気温が所定の温度閾値以下であり、且つ車両201に具備された複数の車輪のそれぞれの回転速度の互いの差分が、第2の閾値を超えた場合、道路が凍結していることを検知する。また、検知部111は、車両201から雨滴検知情報が送信されてきて、且つ車両201に具備された複数の車輪のそれぞれの回転速度の互いの差分が、第2の閾値を超えた場合、路面が濡れていることを検知する。
出力部121は、検知部111における検知の結果を出力する。また、出力部121は、車両201から送信されてきた車輪位置情報を出力する。
なお、情報処理装置101は、記憶部(不図示)を有し、記憶部が、車両201から送信されてきた情報を記憶して管理するものであっても良い。
【0022】
以下に、
図3に示した情報処理システムにおける道路状況検知方法について説明する。
図7は、
図3に示した情報処理システムにおける道路状況検知方法の一例を説明するためのシーケンス図である。
【0023】
まず、回転速度測定部211が、車両201に具備された車輪の回転速度を測定する(ステップS11)。また、車速計241が、車両201の速度である車速を測定する(ステップS12)。また、車輪位置情報取得部231が、車両201に具備された車輪の地表における位置を示す車輪位置情報を取得する(ステップS13)。また、温度計251が、車両201の外気温を測定する。また、雨滴センサ261が、雨滴を検知する。すると、情報送信部221が、これらの構成要素が検知(測定)した情報を、情報処理装置101へ送信する(ステップS14)。
続いて、検知部111は、車両201から送信されてきた情報に基づいて、スリップ判定処理を実施する(ステップS15)。
【0024】
図8は、
図7のステップS15のスリップ判定処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【0025】
検知部111は、車両201から送信されてきた車速情報が示す車速と、車輪(タイヤ)のサイズとに基づいて、推定回転速度を算出する(ステップS31)。ここで、車速をha[km/h]とし、車輪(タイヤ)の半径をr[m]とすると、検知部111は、推定回転速度hv[rpm]を、以下に示す(式1)を用いて算出する。
【数1】
【0026】
推定回転速度hvと、車両201から送信されてきた実際の車輪の回転速度hrの差分が第1の閾値htよりも大きい場合、検知部111は、その車輪の地表における位置を記憶する(ステップS32)。例えば、車両201の左前に設置された回転速度測定部211が測定した値であれば、検知部111は、「左前の車輪の地表における位置」を記憶する。検知部111は、これを全車輪分繰り返す(ステップS33)。
【0027】
続いて、検知部111は、回転速度測定部211が検知した回転速度のうち、極端に他の車輪の回転速度と異なる車輪があれば、その車輪の地表における位置を記憶する(ステップS34)。このとき、検知部111は、あらかじめ閾値(第2の閾値)を設定しておき、回転速度測定部211が検知した回転速度のうち、他の車輪の回転速度との差分が第2の閾値を超えた場合、その車輪の回転速度が、他の車輪の回転速度と極端に異なると判定するものであっても良い。
検知部111は、記憶された車輪位置がなければ(ステップS35のNo)、検知結果を「スリップ無し」とする(ステップS36)。
一方、記憶された車輪位置があれば(ステップS35のYes)、検知部111は、車両201から送信されてきた外気温情報が示す外気温が所定の温度閾値以下、ここでは0℃以下であるかどうか判定する(ステップS37)。車両201から送信されてきた外気温情報が示す外気温が0℃以下である場合、検知部111は、検知結果を「凍結によるスリップ」とする(ステップS38)。
一方、車両201から送信されてきた外気温情報が示す外気温が0℃以下でない場合、検知部111は、車両201から雨滴検知情報が送信されてきたかどうか判定する(ステップS39)。車両201から雨滴検知情報が送信されてきた場合、検知部111は、検知結果を「雨によるスリップ」とする(ステップS40)。
一方、車両201から雨滴検知情報が送信されてきていない場合、検知部111は、検知結果を「その他要因によるスリップ」とする(ステップS41)。
続いて、検知部111は、検知結果、スリップ量および発生位置を記憶する(ステップS42)。発生位置については、車輪位置情報取得部231が取得した車輪の地表における位置である。詳細な車輪の地表における位置が不明である場合は、検知部111は、発生位置をおよその位置(左側なのか右側なのか、両側なのか)とする。また、スリップ量は、推定回転速度hvと、車両201から送信されてきた実際の車輪の回転速度hrの差分に基づいて算出するもので良い。
【0028】
続いて、検知部111は、路面凸凹判定処理を実施する(ステップS16)。
【0029】
図9は、
図7のステップS16の路面凸凹判定処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【0030】
車両201から送信されてきた車速情報が示す車速をha[km/h]とし、ホイールベースをdw[m]として、検知部111は、これらの情報に基づいて、前輪が通過してから後輪が通過するまでの推定遅延時間td[s]を、以下に示す(式2)を用いて算出する(ステップS51)。
【数2】
【0031】
検知部111は、推定遅延時間経過後、後輪と前輪とに同様の車速の変化に起因しない車輪速の変化があったかどうかを判定する(ステップS52)。車速の変化とは、車両201が加速や減速などを行うことで車輪速に与える影響である。例えば、ブレーキをかければ、車輪速は加速度に応じて徐々に減少し、アクセルを踏めば、車輪速は加速度に応じて徐々に増加する。この関係をあらかじめ記憶するなどしておけば、車速の変化に起因しない車輪速の変化を判定することが可能である。そして、検知部111は、前輪に変化があり、かつ、後輪にも同様の変化があるかどうかを判定する。ここで同様とは、全く同じ変化でなくても、例えば、後輪のサスペンションのスプリングレートが小さな場合、後輪側が全体的に大きな変化となっていても良く、検知部111は、一般的な相関を求める関数を用いて判定する。
【0032】
後輪と前輪とに同様の車速の変化に起因しない車輪速の変化がなければ、検知部111は、検知結果を変化なしとする(ステップS56)。一方、後輪と前輪とに同様の車速の変化に起因しない車輪速の変化があった場合、検知部111は、車輪側の変化が増速なのか減速なのかを判定する(ステップS53)。車輪側の変化が増速である場合、検知部111は、検知結果を段差を降りたとし、その変異量を高さとする(ステップS54)。一方、車輪側の変化が減速である場合、検知部111は、検知結果を段差を上ったとし、その変異量を高さとする(ステップS55)。
段差を降りる場合は車輪の空転が多くなるため、車輪速が増える傾向がある。一方、段差を上る場合は車輪を止めようする力が多くなり、瞬間的に車輪速が減る傾向がある。この現象を利用して、検知部111は、上述した(式1)に示す推定回転速度hvと実際に測定した車輪速(回転速度)hrとの差(hv−hr)を算出し、算出した値が一定時間内に変動する量を変異量とする。
【0033】
ステップS40にて、検知部111が、検知結果を「雨によるスリップ」とし、車輪側の変化が増速である場合、例えば、路面の凹んだ部分に雨水が溜まったことによるスリップと判断するものであっても良い。また、ステップS40にて、検知部111が、検知結果を「雨によるスリップ」とし、車輪側の変化が減速である場合、例えば、滑りやすいマンホール等の路面から出っ張った部分でのスリップと判断するものであっても良い。
【0034】
続いて、検知部111は、検知の結果、高さおよび発生位置を記憶する(ステップS57)。発生位置については、車輪位置情報取得部231が取得した車輪の地表における位置である。詳細な車輪の地表における位置が不明である場合は、検知部111は、発生位置をおよその位置(左側なのか右側なのか、両側なのか)とする。
【0035】
すると、出力部121は、検知部111における検知結果を出力する(ステップS17)。
【0036】
本形態においては、車輪速センサ(回転速度測定部211)を用いた場合を例に挙げて説明したが、車輪の動きと関連するセンサであればなんでも良く、例えば、ヘッドライトのレベリングやエアサスペンションの減衰力調整などに用いる車高センサを用いるものであっても良い。
【0037】
一般的には、道路インフラの不具合判定が可能であるが、その判定精度が低くなってしまうという問題点がある。特に、路面が劣化してひび割れがある/穴が開いている以外に、路面が凍結しているか、冠水しているかなど、車にとって危険な他の状況が分からない。また、これらの技術では道路インフラの車線幅内のどのあたりに不具合があるか、また、幅や大きさなどはわからない。また、車種あるいは同一車種でもグレードによってサスペンション構造や、タイヤサイズが異なり、道路インフラからうける影響が異なるため、判定結果が変わってしまうという問題点がある。
【0038】
そこで、本発明においては、情報処理装置101は、車両201から送信されてきた車速、車輪の回転速度、車輪の地表における位置、外気温および雨滴の検出の有無に基づいて、スリップ判定処理を行い、その結果から、スリップ有無とスリップ発生要因、スリップ量および発生位置を知ることができる。また、情報処理装置101は、車両201から送信されてきた車速、車輪の回転速度、車輪の地表における位置、外気温および雨滴の検出の有無に基づいて、路面凸凹判定処理を行い、その結果から、路面上出っ張りがあるのか窪みがあるのか、その高さと長さ、発生位置を知ることができる。
【0039】
本形態は、以下のような効果を奏する。第1の効果は、道路インフラ不具合の位置とその大きさとがわかる点である。その理由は、車両201の位置と、車輪の位置との関係を利用するからである。第2の効果は、高価なセンサを用いることなく、アスファルト上の陥没や凍結など、道路インフラの不具合がわかる点である。その理由は、既に車に備え付けられているセンサを用いることができるからである。
(第3の実施の形態)
【0040】
図10は、本発明の情報処理システムの第3の実施の形態を示す図である。本形態における情報処理システムは
図10に示すように、車両202−1,202−2を有する。
【0041】
図11は、
図10に示した車両202−1に搭載されている構成要素の一例を示す図である。
図10に示した車両202−1は
図11に示すように、回転速度測定部212と、車輪位置情報取得部232と、車速計242と、温度計252と、雨滴センサ262と、ヨーレートセンサ272と、情報処理装置102−1とを有する。なお、
図11には、
図10に示した車両202−1が具備する構成要素のうち、本実施の形態に関わる主要な構成要素の一例を示す。また、
図10に示した車両202−2にも
図11に示した構成要素と同様の構成要素が搭載されている。
回転速度測定部212、車輪位置情報取得部232、車速計242、温度計252、雨滴センサ262およびヨーレートセンサ272それぞれは、第2の実施の形態における、回転速度測定部211、車輪位置情報取得部231、車速計241、温度計251、雨滴センサ261およびヨーレートセンサ271それぞれと同じものである。
情報処理装置102−1は、検知部112と、出力部122と、無線通信部132とを有する。
検知部112および出力部122それぞれは、第2の実施の形態における、検知部111および出力部121それぞれと同じものである。
無線通信部132は、検知部112における検知の結果を、車両202−2に搭載された情報処理装置102−2へ無線を介して送信する車両外通信部である。また、無線通信部132は、車両202−2に搭載された情報処理装置102−2から無線を介して送信されてきた情報を受信する。無線通信部132は、例えば、文献「IEEE 802.11-2016 (IEEE Standard for Information technology--Telecommunications and information exchange between systems Local and metropolitan area networks--Specific requirements - Part 11: Wireless LAN Medium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) Specifications)」に記載されているような、実際に無線通信を行う装置であり、車両1台につき1つまたはそれ以上搭載される。車両202−1に搭載された無線通信部132と車両202−2に搭載された無線通信部132とは、互いに異なる仕様であっても、異なる仕様の通信ネットワーク同士がインフラ側でインターネットを介して接続されている等、車両202−1と車両202−2とが互いに通信を行うことができるものであれば問題ない。
【0042】
図12は、
図10に示した車両202−1と車両202−2との関係の一例を示す図である。
図12に示すように、互いに近くを走行している車両202−1に搭載された情報処理装置102−1と、車両202−2に搭載された情報処理装置102−2との間で、無線回線を介して情報の送受信が行われる。
【0043】
以下に、
図10に示した車両202−1における道路状況検知方法について説明する。
図13は、
図10に示した車両202−1における道路状況検知方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0044】
まず、回転速度測定部212が、車両202−1に具備された車輪の回転速度を測定する(ステップS61)。また、車速計242が、車両202−1の速度である車速を測定する(ステップS62)。また、車輪位置情報取得部232が、車両202−1に具備された車輪の地表における位置を示す車輪位置情報を取得する(ステップS63)。また、温度計252が、車両202−1の外気温を測定する。また、雨滴センサ262が、雨滴を検知する。
続いて、検知部112は、各センサが検知した情報に基づいて、スリップ判定処理を実施する(ステップS64)。このスリップ判定処理は、第2の実施の形態におけるものと同じである。また、検知部112は、路面凸凹判定処理を実施する(ステップS65)。この路面凸凹判定処理は、第2の実施の形態におけるものと同じである。すると、無線通信部132は、ステップS64のスリップ判定処理およびステップS65の路面凸凹判定処理の結果を車両202−2へ送信する(ステップS66)。このとき、無線通信部132は、車両202−2から路面状況調査結果が送信されてきた場合、その情報を受信する。これらの情報は、具体的には、例えば、スリップ有無とスリップ発生要因、スリップ量、発生の位置、路面上出っ張りがあるのか窪みがあるのか、その高さと長さ、発生の位置それぞれを示す情報である。
図12において、自車が車両202−1であり、交換先が車両202−2である場合、車両202−2に搭載された情報処理装置102−2は、車両202−1の路面状況調査結果を入手することができる。
その後、出力部122は、検知部111における検知結果を出力する(ステップS67)。ここで、交換して入手した路面状況調査状況と、自車の路面状況調査結果を集計する。
【0045】
図12において、車両202−1と車両202−2とでは、トレッドが異なるために、第2の実施の形態におけるものよりも精度が向上する。
【0046】
図14は、トレッドが互いに異なる2台の車両それぞれの車輪の地表における位置の一例を示す図である。
図14に示すように、路面状況陥没箇所は、車両202−1の左前輪と左後輪とにおいて検出されるが、車両202−2の左前輪と左後輪とでは検出されない。つまり、路面状況陥没箇所は、車両202−2の左前輪および左後輪よりも左側の位置に存在することがわかる。同様に落下物については、車両202−1の右前輪と右後輪、車両202−2の右前輪と右後輪とにて検出される。したがって、落下物は、車両202−1の右前輪および右後輪を含む右側の位置に存在し、車両202−2の左前輪および左後輪を含む左側までの間に存在することがわかる。これにより、落下物の位置および大きさの検知精度が向上する。
【0047】
このように、複数の各車両が検知した結果をそれらの車両間で交換することで、より高精度で路面状況を判断することができる。
(第4の実施の形態)
【0048】
図15は、本発明の情報処理システムの第4の実施の形態を示す図である。本形態における情報処理システムは
図15に示すように、車両203−1,203−2と、情報収集装置303と、無線基地局403とを有する。情報収集装置303と無線基地局403とは、例えば、インターネット等の通信ネットワーク503を介して接続されている。
【0049】
図16は、
図15に示した車両203−1に搭載されている構成要素の一例を示す図である。
図15に示した車両203−1は
図16に示すように、回転速度測定部213と、車輪位置情報取得部233と、車速計243と、温度計253と、雨滴センサ263と、ヨーレートセンサ273と、情報処理装置103−1とを有する。なお、
図16には、
図15に示した車両203−1が具備する構成要素のうち、本実施の形態に関わる主要な構成要素の一例を示す。また、
図15に示した車両203−2にも
図16に示した構成要素と同様の構成要素が搭載されている。
回転速度測定部213、車輪位置情報取得部233、車速計243、温度計253、雨滴センサ263およびヨーレートセンサ273それぞれは、第2の実施の形態における、回転速度測定部211、車輪位置情報取得部231、車速計241、温度計251、雨滴センサ261およびヨーレートセンサ271それぞれと同じものである。
情報処理装置103−1は、検知部113と、出力部123と、無線通信部133とを有する。
検知部113および出力部123それぞれは、第2の実施の形態における、検知部111および出力部121それぞれと同じものである。
無線通信部133は、検知部113における検知の結果を、無線基地局403および通信ネットワーク503を介して情報収集装置303へ送信する車両外通信部である。
【0050】
情報収集装置303は、車両203−1,203−2それぞれに搭載されている情報処理装置の調査結果を集めて管理する。情報収集装置303は、収集した車両の情報を統計して、路面状況を判断する。具体的には、情報収集装置303は、車両203−1,203−2それぞれから送信されてきた情報を収集し、取集した情報のうちの車両の走行日時、走行位置およびトレッドが互いに異なる車両の情報に基づいて、道路の状況を判断する。ここで、道路の状況とは、道路の異常個所の位置、大きさ、凹んだ深さあるいは出っ張った高さ等である。
【0051】
以下に、
図15に示した車両203−1における道路状況検知方法について説明する。
図17は、
図15に示した車両203−1における道路状況検知方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0052】
まず、回転速度測定部213が、車両203−1に具備された車輪の回転速度を測定する(ステップS71)。また、車速計243が、車両203−1の速度である車速を測定する(ステップS72)。また、車輪位置情報取得部233が、車両203−1に具備された車輪の地表における位置を示す車輪位置情報を取得する(ステップS73)。また、温度計253が、車両203−1の外気温を測定する。また、雨滴センサ263が、雨滴を検知する。
続いて、検知部113は、各センサが検知した情報に基づいて、スリップ判定処理を実施する(ステップS74)。このスリップ判定処理は、第2の実施の形態におけるものと同じである。また、検知部113は、路面凸凹判定処理を実施する(ステップS75)。この路面凸凹判定処理は、第2の実施の形態におけるものと同じである。すると、無線通信部133は、ステップS74のスリップ判定処理およびステップS75の路面凸凹判定処理の結果を情報収集装置303へ送信する(ステップS76)。これらの情報は、具体的には、日時情報、スリップ有無、スリップ発生要因、スリップ量、その発生位置、路面上出っ張りがあるのか窪みがあるのか、その高さと長さ、その発生位置それぞれを示す情報である。また、無線通信部133は、車両203−1の諸元(メーカー、車種、グレード、ボディサイズ、形状、車軸数、駆動方式など)または諸元を表す車台番号、天候、道路の形状(カーブ/直線、交差点、勾配、車線数など)情報、走行日時や走行位置も同時に送信する。諸元、諸元を表す車台番号、天候、道路の形状情報は、毎回送信する必要はなく、1回送信すれば、それ以降は車両203−1を識別できる情報(車台番号、ナンバープレートなど)と関連付けて管理しておけば、車両203−1を識別できる情報のみ送信すれば良い。
情報収集装置303は、車両203−1から送信されてきた情報を用いて、対象となる複数の車両を選択する。選択は条件を指定して行う。例えば、情報収集装置303は、位置情報を利用して同じ車線を通過した車両であり、かつ1時間以内に通過した車両を範囲として選択し、路面状況調査状況と、路面状況調査結果とを統計して最終的な路面状況調査結果として判断する。統計する手法は、多数決や標準偏差利用等の一般的な技術を用いたものであっても良く、特に規定しない。
その後、情報処理装置103−1は、情報収集装置303から送信されてきた判断結果を受信する(ステップS77)。また、出力部123は、検知部113における検知結果を出力する。また、出力部123は、受信した判断結果を出力するものであっても良い。
【0053】
なお、情報収集装置303は、車両203−1,203−2から送信されてきた情報を収集する装置と、収集された情報に基づいて道路状況を判断する装置との2つの装置に分かれているものであってもかまわない。
【0054】
このように、各車両で検知された情報をサーバ等の他の装置が収集して道路状況を判断することで、走行日時や走行位置、車輪の位置(ホイルベース、トレッド)が異なる様々な種類の車両の情報を集めて統計することができ、より高精度で路面状況を判断することができる。
(第5の実施の形態)
【0055】
図18は、本発明の情報処理システムの第5の実施の形態を示す図である。本形態における情報処理システムは
図18に示すように、情報処理装置104と、車両204とを有する。
【0056】
図19は、
図18に示した車両204に搭載されている構成要素の一例を示す図である。
図18に示した車両204は
図19に示すように、回転速度測定部214と、情報送信部224と、車輪位置情報取得部234と、車速計244と、温度計254と、雨滴センサ264と、ヨーレートセンサ274とを有する。なお、
図19には、
図18に示した車両204が具備する構成要素のうち、本実施の形態に関わる主要な構成要素の一例を示す。
回転速度測定部214、車輪位置情報取得部234、車速計244、温度計254、雨滴センサ264およびヨーレートセンサ274それぞれは、第2の実施の形態における、回転速度測定部211、車輪位置情報取得部231、車速計241、温度計251、雨滴センサ261およびヨーレートセンサ271それぞれと同じものである。
情報送信部224は、車両204の状態(車両状態指標)を示す状態情報を情報処理装置104へ送信する。また、情報送信部224は、車両204の運転手の技量レベル(運転技量指標)を示す技量レベル情報を情報処理装置104へ送信する。ここで、車両204は、状態情報および技量レベル情報をあらかじめ記憶しているものであっても良いし、車両の状態を判断して指標を返す車両状態判断部と、運転者の技量を判断して指標を返す運転技量判断部とを有するものであっても良い。車両状態判断部は、例えば、車両204内の配線の断線や故障、通常と異なる動作が行われたか否かに基づいて、車両204に不具合があるかないかを指標として算出する。この指標は、ある/なしの2値、あるいは、不具合の度合いを段階的に変化する値として算出する。ここでは、不具合最大を0、不具合なしを100とするような指標とする。運転技量判断部は、例えば、特許第5867524号に示されるような技術を用いて、運転の上手/下手の2値、あるいは、運転の技量レベルを段階的に変化する値として算出する。ここでは、運転技量レベルが最低(下手)を0、最高(上手)を100とするような指標とする。
【0057】
図20は、
図18に示した情報処理装置104の内部構成の一例を示す図である。
図18に示した情報処理装置104は
図20に示すように、検知部114と、出力部124とを有する。
検知部114は、第2の実施の形態における、検知部111と同じものである。
出力部124は、第2の実施の形態における検知部111が具備する機能に加え、情報送信部224から送信されてきた状態情報が示す車両の状態に応じた信頼度を算出する。出力部124は、算出した信頼度を出力する。また、出力部124は、検知部114における検知の結果に、情報送信部224から送信されてきた技量レベル情報が示す技量レベルに応じた信頼度を算出する。また、出力部124は、算出した信頼度を出力する。
【0058】
以下に、
図18に示した情報処理システムにおける道路状況検知方法について説明する。
図21は、
図18に示した情報処理システムにおける道路状況検知方法の一例を説明するためのシーケンス図である。
【0059】
まず、回転速度測定部214が、車両204に具備された車輪の回転速度を測定する(ステップS81)。また、車速計244が、車両204の速度である車速を測定する(ステップS82)。また、車輪位置情報取得部234が、車両204に具備された車輪の地表における位置を示す車輪位置情報を取得する(ステップS83)。また、温度計254が、車両204の外気温を測定する。また、雨滴センサ264が、雨滴を検知する。
また、情報送信部224が、信頼度元情報を取得する(ステップS84)。この信頼度元情報は、上述した状態情報および技量レベル情報である。すると、情報送信部224が、これらの構成要素が検知、測定、取得した情報を、情報処理装置104へ送信する(ステップS85)。
続いて、検知部114は、車両204から送信されてきた情報に基づいて、スリップ判定処理を実施する(ステップS86)。このスリップ判定処理は、第2の実施の形態におけるものと同じである。また、検知部114は、路面凸凹判定処理を実施する(ステップS87)。この路面凸凹判定処理は、第2の実施の形態におけるものと同じである。
【0060】
続いて、出力部124は、情報送信部224から送信されてきた状態情報が示す車両の状態、または、情報送信部224から送信されてきた技量レベル情報が示す技量レベルに基づいて、信頼度を算出する(ステップS88)。出力部124は、例えば、信頼度をp、車両状態指標をa、運転技量指標をbとすると、以下に示す(式3)を用いて信頼度を算出する。
【数3】
【0061】
ここでは、出力部124(車両状態判断部および転技量判断部)は、情報処理装置104の内部にある構成として説明したが、これに限定するものではなく、情報処理装置104の外部にあっても良い。
【0062】
すると、出力部124は、検知部114における検知結果および出力部124が算出した信頼度を出力する(ステップS89)。これにより、スリップ判定処理の結果から、スリップ有無とスリップ発生要因、スリップ量、その発生位置を知ることができる。また、路面凸凹判定処理の結果から、路面上出っ張りがあるのか窪みがあるのか、その高さと長さ、その発生位置を知ることができる。また、情報の信頼性を表す信頼度を知ることができる。
【0063】
一般的な技術では、同じ車両での走行は考慮されているが、運転者が変わる場合、また、車種が変わる場合が考慮されていない。具体的には、人の車両の走らせ方、すなわち運転技量に依存して判定結果が変わってしまうという問題がある。
【0064】
そこで、本発明においては、車両の状態や、運転手の技量レベルに応じた信頼度を算出し、出力することで、検知結果がどの程度信頼できるデータなのかを判断することができる。
【0065】
本形態においては、第1〜4の実施の形態で奏する第1〜3の効果以外に、以下のような第4,5の効果を奏する。第4の効果は、車両204がインフラから受ける影響を用いてインフラ不具合を判断するにあたり、運転者の技量による影響を抑えることができる点である。その理由は、運転技量のレベルを信頼度として算出し、インフラ不具合を判断する際に信頼度が閾値を超えた場合のみインフラ不具合と判断する方法、また、複数のインフラ不具合情報を統計する際に、信頼度が低い人が運転する車両ほど統計量として加える量を減らすからである。第5の効果は、車両がインフラから受ける影響を用いてインフラ不具合を判断するにあたり、車両に不具合があった場合の影響を抑えることができる点である。その理由は、車両の不具合状況を表す車両の健康状態を信頼度として算出し、インフラ不具合を判断する際に信頼度が閾値を超えた場合のみインフラ不具合と判断する方法、また、複数のインフラ不具合情報を統計する際に、信頼度が低い車ほど統計量として加える量を減らすからである。
(第6の実施の形態)
【0066】
図22は、本発明の情報処理システムの第6の実施の形態を示す図である。本形態における情報処理システムは
図22に示すように、車両205−1,205−2を有する。
【0067】
図23は、
図22に示した車両205−1に搭載されている構成要素の一例を示す図である。
図22に示した車両205−1は
図23に示すように、回転速度測定部215と、車輪位置情報取得部235と、車速計245と、温度計255と、雨滴センサ265と、ヨーレートセンサ275と、情報処理装置105−1とを有する。なお、
図23には、
図22に示した車両205−1が具備する構成要素のうち、本実施の形態に関わる主要な構成要素の一例を示す。また、
図22に示した車両205−2にも
図23に示した構成要素と同様の構成要素が搭載されている。
回転速度測定部215、車輪位置情報取得部235、車速計245、温度計255、雨滴センサ265およびヨーレートセンサ275それぞれは、第2の実施の形態における、回転速度測定部211、車輪位置情報取得部231、車速計241、温度計251、雨滴センサ261およびヨーレートセンサ271それぞれと同じものである。
情報処理装置105−1は、検知部115と、出力部125と、無線通信部135とを有する。
検知部115および無線通信部135それぞれは、第3の実施の形態における、検知部112および無線通信部132それぞれと同じものである。
出力部125は、第3の実施の形態における出力部122が具備する機能に、以下の機能がさらに備わっている。出力部125は、車両204の状態(車両状態指標)を取得し、取得した車両状態指標に基づいて信頼度を算出する。出力部125は、算出した信頼度を出力する。また、出力部125は、車両204の運転手の技量レベル(運転技量指標)を取得し、取得した運転技量指標に基づいて信頼度を算出する。出力部125は、算出した信頼度を出力する。ここで、車両205は、車両状態指標を示す状態情報および運転技量指標を示す技量レベル情報をあらかじめ記憶しているものであっても良いし、車両の状態を判断して指標を返す車両状態判断部と、運転者の技量を判断して指標を返す運転技量判断部とを有するものであっても良い。車両状態判断部は、例えば、車両205内の配線の断線や故障、通常と異なる動作が行われたか否かに基づいて、車両205に不具合があるかないかを指標として算出する。この指標は、ある/なしの2値、あるいは、不具合の度合いを段階的に変化する値として算出する。ここでは、不具合最大を0、不具合なしを100とするような指標とする。運転技量判断部は、例えば、特許第5867524号に示されるような技術を用いて、運転の上手/下手の2値、あるいは、運転の技量レベルを段階的に変化する値として算出する。ここでは、運転技量レベルが最低(下手)を0、最高(上手)を100とするような指標とする。
【0068】
以下に、
図22に示した車両205−1における道路状況検知方法について説明する。
図24は、
図22に示した車両205−1における道路状況検知方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0069】
まず、回転速度測定部215が、車両205−1に具備された車輪の回転速度を測定する(ステップS91)。また、車速計245が、車両205−1の速度である車速を測定する(ステップS92)。また、車輪位置情報取得部235が、車両205−1に具備された車輪の地表における位置を示す車輪位置情報を取得する(ステップS93)。また、温度計255が、車両205−1の外気温を測定する。また、雨滴センサ265が、雨滴を検知する。また、出力部125が、信頼度を算出するための信頼度元情報を取得する(ステップS94)。この信頼度元情報が、車両205−1の状態(車両状態指標)を示す情報および車両205−1の運転手の技量レベル(運転技量指標)を示す情報である。
続いて、検知部115は、各センサが検知した情報に基づいて、スリップ判定処理を実施する(ステップS95)。このスリップ判定処理は、第2の実施の形態におけるものと同じである。また、検知部115は、路面凸凹判定処理を実施する(ステップS96)。この路面凸凹判定処理は、第2の実施の形態におけるものと同じである。
続いて、出力部125は、取得した信頼度元情報に基づいて、信頼度を算出する(ステップS97)。この算出方法は、第5の実施の形態におけるものと同じで良い。すると、無線通信部135は、ステップS95のスリップ判定処理の結果、ステップS96の路面凸凹判定処理の結果およびステップS97で算出した信頼度を車両205−2へ送信する(ステップS98)。このとき、無線通信部135は、車両205−2から路面状況調査結果が送信されてきた場合、その情報を受信する。これらの情報は、具体的には、例えば、スリップ有無とスリップ発生要因、スリップ量、発生の位置、路面上出っ張りがあるのか窪みがあるのか、その高さと長さ、発生の位置、信頼度それぞれを示す情報である。
図22において、自車が車両205−1であり、交換先が車両205−2である場合、車両205−2に搭載された情報処理装置は、車両205−1の路面状況調査結果を入手することができる。なお、情報を交換する車両は、自車両よりも先を走行している車両が好ましい。
その後、出力部125は、検知部115における検知結果および信頼度を出力する(ステップS99)。ここで、交換して入手した路面状況調査状況や、自車の路面状況調査結果を信頼度とともに集計する。この集計時に、出力部125は、信頼度を用いることができる。例えば、出力部125は、閾値を設けて一定の信頼度を超えた情報のみ集計する、または、出力部125は、調査結果に信頼度の値を乗算して集計する。
【0070】
このように、情報処理装置が、車両の状態や運転手の技量レベルに応じた信頼度を算出し、出力する。さらに、算出した信頼度および複数の各車両が検知した結果をそれらの車両間で交換することで、検知結果がどの程度信頼できるデータなのかを判断することができ、より高精度で路面状況を判断することができる。
(第7の実施の形態)
【0071】
図25は、本発明の情報処理システムの第7の実施の形態を示す図である。本形態における情報処理システムは
図25に示すように、車両206−1,206−2と、情報収集装置306と、無線基地局406とを有する。情報収集装置306と無線基地局406とは、例えば、インターネット等の通信ネットワーク506を介して接続されている。
【0072】
図26は、
図25に示した車両206−1に搭載されている構成要素の一例を示す図である。
図25に示した車両206−1は
図26に示すように、回転速度測定部216と、車輪位置情報取得部236と、車速計246と、温度計256と、雨滴センサ266と、ヨーレートセンサ276と、情報処理装置106−1とを有する。なお、
図26には、
図25に示した車両206−1が具備する構成要素のうち、本実施の形態に関わる主要な構成要素の一例を示す。また、
図25に示した車両206−2にも
図26に示した構成要素と同様の構成要素が搭載されている。
回転速度測定部216、車輪位置情報取得部236、車速計246、温度計256、雨滴センサ266およびヨーレートセンサ276それぞれは、第2の実施の形態における、回転速度測定部211、車輪位置情報取得部231、車速計241、温度計251、雨滴センサ261およびヨーレートセンサ271それぞれと同じものである。
情報処理装置106−1は、検知部116と、出力部126と、無線通信部136とを有する。
検知部116および無線通信部136それぞれは、第4の実施の形態における、検知部113および無線通信部133それぞれと同じものである。
出力部126は、第4の実施の形態における出力部123が具備する機能に、以下の機能がさらに備わっている。出力部126は、車両206−1の状態(車両状態指標)を取得し、取得した車両状態指標に基づいて信頼度を算出する。出力部126は、算出した信頼度を出力する。また、出力部126は、車両206−1の運転手の技量レベル(運転技量指標)を取得し、取得した運転技量指標に基づいて信頼度を算出する。出力部126は、算出した信頼度を出力する。ここで、車両206−1は、車両状態指標を示す状態情報および運転技量指標を示す技量レベル情報をあらかじめ記憶しているものであっても良いし、車両の状態を判断して指標を返す車両状態判断部と、運転者の技量を判断して指標を返す運転技量判断部とを有するものであっても良い。車両状態判断部は、例えば、車両206−1内の配線の断線や故障、通常と異なる動作が行われたか否かに基づいて、車両206−1に不具合があるかないかを指標として算出する。この指標は、ある/なしの2値、あるいは、不具合の度合いを段階的に変化する値として算出する。ここでは、不具合最大を0、不具合なしを100とするような指標とする。運転技量判断部は、例えば、特許第5867524号に示されるような技術を用いて、運転の上手/下手の2値、あるいは、運転の技量レベルを段階的に変化する値として算出する。ここでは、運転技量レベルが最低(下手)を0、最高(上手)を100とするような指標とする。
【0073】
情報収集装置306−1は、車両206−1,206−2それぞれに搭載されている情報処理装置の調査結果を集めて管理する。情報収集装置306−1は、収集した車の情報を統計して、路面状況を判断する。
【0074】
以下に、
図25に示した車両206−1における道路状況検知方法について説明する。
図27は、
図25に示した車両206−1における道路状況検知方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0075】
まず、回転速度測定部216が、車両206−1に具備された車輪の回転速度を測定する(ステップS101)。また、車速計246が、車両206−1の速度である車速を測定する(ステップS102)。また、車輪位置情報取得部236が、車両206−1に具備された車輪の地表における位置を示す車輪位置情報を取得する(ステップS103)。また、温度計256が、車両206−1の外気温を測定する。また、雨滴センサ266が、雨滴を検知する。また、出力部126が、信頼度を算出するための信頼度元情報を取得する(ステップS104)。この信頼度元情報が、車両206−1の状態(車両状態指標)を示す情報および車両206−1の運転手の技量レベル(運転技量指標)を示す情報である。
続いて、検知部116は、各センサが検知した情報に基づいて、スリップ判定処理を実施する(ステップS105)。このスリップ判定処理は、第2の実施の形態におけるものと同じである。また、検知部116は、路面凸凹判定処理を実施する(ステップS106)。この路面凸凹判定処理は、第2の実施の形態におけるものと同じである。
続いて、出力部126は、取得した信頼度元情報に基づいて、信頼度を算出する(ステップS107)。この算出方法は、第5の実施の形態におけるものと同じで良い。すると、無線通信部136は、ステップS105のスリップ判定処理の結果、ステップS106の路面凸凹判定処理の結果およびステップS107で算出した信頼度を情報収集装置306へ送信する(ステップS108)。これらの情報は、具体的には、日時情報、スリップ有無、スリップ発生要因、スリップ量、その発生位置、路面上出っ張りがあるのか窪みがあるのか、その高さと長さ、その発生位置、信頼度それぞれを示す情報である。また、無線通信部136は、車両206−1の諸元(メーカー、車種、グレード、ボディサイズ、形状、車軸数、駆動方式など)または諸元を表す車台番号、天候、道路の形状(カーブ/直線、交差点、勾配、車線数など)情報も同時に送信する。後者の情報は、毎回送信する必要はなく、1回送信すれば、それ以降は車両206−1を識別できる情報(車台番号、ナンバープレートなど)と関連付けて管理しておけば、車両206−1を識別できる情報のみ送信すれば良い。
情報収集装置306は、車両206−1から送信されてきた情報を用いて、対象となる複数の車両を選択する。選択は条件を指定して行う。例えば、情報収集装置306は、位置情報を利用して同じ車線を通過した車両であり、かつ1時間以内に通過した車両を範囲として選択し、路面状況調査状況と、路面状況調査結果とを統計して最終的な路面状況調査結果として判定する。統計する手法は、多数決や標準偏差利用等の一般的な技術を用いたものであっても良く、特に規定しない。情報収集装置306は、この統計時に信頼度を用いることができる。例えば、情報収集装置306は、閾値を設けて一定の信頼度を超えた情報のみ統計する、または、調査結果に信頼度の値を乗算して統計する。
その後、情報処理装置106−1は、情報収集装置306から送信されてきた判断結果を受信する(ステップS109)。また、出力部126は、検知部116における検知結果を出力する。また、出力部126は、受信した判断結果を出力するものであっても良い。
【0076】
なお、情報収集装置306は、車両206−1,206−2から送信されてきた情報を収集する装置と、収集された情報に基づいて道路状況を判断する装置との2つの装置に分かれているものであってもかまわない。
【0077】
このように、情報処理装置が、車両の状態や運転手の技量レベルに応じた信頼度を算出し、出力する。さらに、算出した信頼度および複数の各車両が検知した結果をサーバ等の他の装置が収集して道路状況を判断することで、検知結果がどの程度信頼できるデータなのかを判断することができ、詳細な情報を取得するこができる。
【0078】
以上説明した本発明には、以下に示す特徴がある。
【0079】
本発明に関わる第1の調査方法の特徴は、車両の車輪または懸架装置に取り付けられたセンサを用いて、その車両の車輪または懸架装置の位置関係(例えば左前、右前、左後、右後)と、車道に対する車両の進行方向、速度の情報を合わせて、車道に対する道路インフラ不具合の第1の位置と大きさ(幅、長さ、深さ)を判定する点である。
【0080】
本発明に関わる第2の調査方法の特徴は、車道に対する道路インフラ不具合の存在有無を、前輪と後輪との間の距離と車両の速度とに基づいて、前輪の変化が生じてから後輪の変化が生じるまでの時間を算出し、その時間が経過した前後で後輪が前輪の変化と同様に変化したことを検出して、インフラ不具合の長さを判定する点である。
【0081】
本発明に関わる第3の調査方法の特徴は、(調査を行う調査装置の内部に情報収集装置と通信部とを備え)、自車両の周囲一定の範囲に存在する自車両以外の車両に対して、自車両の位置と、第1の道路インフラ不具合の位置と大きさとを通知し、互いに情報収集して統計処理することで道路インフラ不具合の第2の位置と大きさ(幅、長さ、深さ)を判定する点である。
【0082】
本発明に関わる第4の調査方法の特徴は、(調査を行う調査装置の外部に情報収集装置を備える構成において)、自車両の位置と、第1または第2の不具合位置と大きさを、調査装置から情報収集装置へ通知し、この情報収集装置上で、複数の不具合位置と大きさを統計処理することで、第3の道路インフラ不具合位置と大きさ(幅、長さ、深さ)を判定する点である。
【0083】
本発明に関わる第5の調査方法の特徴は、情報収集装置において、不具合位置を判断した際の条件ごとに分類して収集しておく点である。分類条件として、車両の位置(場所)、日時情報に加えて、車両の諸元(メーカー、車種、グレード、ボディサイズ、形状、車軸数、駆動方式など)または諸元を表す車台番号、天候、道路の形状(カーブ/直線、交差点、勾配、車線数など)情報を利用する。
【0084】
本発明に関わる第6の調査方法の特徴は、道路インフラ不具合判定結果に信頼度を設け、調査方法を用いて道路インフラ不具合の判定を行う際に運転技量情報を利用し、運転技量のレベルに応じて判定結果の信頼度を変える点である。具体的には、運転技量レベルが高いほど信頼度を高い値に設定する。
【0085】
本発明に関わる第7の調査方法の特徴は、道路インフラ不具合判定結果に信頼度を設け、調査方法を用いて道路インフラ不具合の判定を行う際に、車両に異常がないかどうかの度合いを示す車両の状態情報(健康指標)を利用し、健康指標のレベルにおじて判定結果の信頼度を変える点である。具体的には、健康指標レベルが高いほど信頼度を高く設定する。
【0086】
本発明に関わる第8の調査方法の特徴は、情報収集装置において、統計する際に元のデータに新しいデータを加える際の重みとして信頼度を用いる点である。具体的には、信頼度の高い/低いを、重みの高い/低いとする。
【0087】
本発明に関わる第9の調査装置の特徴は、センサとして懸架装置の変化量をみる変異センサを使用する点である。
【0088】
本発明に関わる第10の調査装置の特徴は、車輪の回転速度を測定する車輪速度センサを使用する点である。
【0089】
本発明に関わる第11の調査装置の特徴は、加速度やアクセル開度やエンジン回転数および速度など、車両の速度と相関関係がある情報を使用する点である。
(変形例)
【0090】
信頼度を算出する際、例えば、車両の場所(北の方の地方か南の方の地方か等)、季節、タイヤの使用期間、時刻(昼間か夜間か)に基づいて、算出するものであっても良い。また、車両が走行している道路の舗装時期等の道路情報や、車両に乗車している人数、車両に搭載している荷物の重量も、道路状況を算出するパラメータに用いるものであっても良い。
【0091】
以上、各構成要素に各機能(処理)それぞれを分担させて説明したが、この割り当ては上述したものに限定しない。例えば、
図1に示した回転速度測定部210と、検知部110とが車両200に搭載されているものであっても良い。また、構成要素の構成についても、上述した形態はあくまでも例であって、これに限定しない。また、各実施の形態を組み合わせたものであっても良い。
【0092】
上述した各構成要素が行う処理は、目的に応じてそれぞれ作製された論理回路で行うようにしても良い。また、処理内容を手順として記述したコンピュータプログラム(以下、プログラムと称する)を各構成要素を具備した装置(以下、情報処理装置と称する)にて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを情報処理装置に読み込ませ、実行するものであっても良い。情報処理装置にて読取可能な記録媒体とは、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)、Blu−ray(登録商標) Discなどの移設可能な記録媒体の他、情報処理装置に内蔵されたROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリやHDD(Hard Disc Drive)等を指す。この記録媒体に記録されたプログラムは、情報処理装置に設けられたCPUにて読み込まれ、CPUの制御によって、上述したものと同様の処理が行われる。ここで、CPUは、プログラムが記録された記録媒体から読み込まれたプログラムを実行するコンピュータとして動作するものである。
【0093】
上記の実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記1)車両と、情報処理装置とを有し、
前記車両は、
当該車両に具備された車輪の回転速度を測定する回転速度測定部と、
前記回転速度測定部が測定した前記車輪の回転速度を示す回転速度情報を前記情報処理装置へ送信する情報送信部とを有し、
前記情報処理装置は、
前記情報送信部から送信されてきた前記回転速度情報が示す回転速度に基づいて、前記車両が走行している道路の状況を検知する検知部と、
前記検知部における検知の結果を出力する出力部とを有する情報処理システム。
(付記2)前記車両は、
地表における前記車輪の位置を示す車輪位置情報を取得する車輪位置情報取得部を有し、
前記情報送信部は、前記車輪位置情報取得部が取得した車輪位置情報を前記情報処理装置へ送信し、
前記出力部は、前記情報送信部から送信されてきた車輪位置情報を出力する、付記1に記載の情報処理システム。
(付記3)
前記検知部は、前記車両に具備された車輪のサイズに基づいて、前記車輪の推定回転速度を算出し、該算出した推定回転速度と前記情報送信部から送信されてきた前記回転速度情報が示す回転速度とに基づいて、該車両が走行している道路の状況を検知する、付記1または付記2に記載の情報処理システム。
(付記4)前記車両は、
当該車両の速度である車速を測定する車速計を有し、
前記情報送信部は、前記車速計が測定した車速を示す車速情報を前記情報処理装置へ送信し、
前記検知部は、前記情報送信部から送信されてきた前記車速情報が示す車速と前記車両に具備された車輪のサイズとに基づいて、前記車輪の推定回転速度を算出し、該算出した推定回転速度と前記情報送信部から送信されてきた前記回転速度情報が示す回転速度とに基づいて、該車両が走行している道路の状況を検知する、付記1から3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
(付記5)前記検知部は、前記推定回転速度と前記回転速度情報が示す回転速度との差分が、所定の第1の閾値を超えた場合、前記道路に異常があることを検知する、付記3または4に記載の情報処理システム。
(付記6)前記検知部は、前記車両に具備された複数の車輪のそれぞれの回転速度の互いの差分が、所定の第2の閾値を超えた場合、前記道路に異常があることを検知する、付記1から5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
(付記7)前記車両は、
当該車両の外気温を測定する温度計を有し、
前記情報送信部は、前記温度計が測定した外気温を示す外気温情報を前記情報処理装置へ送信し、
前記検知部は、前記情報送信部から送信されてきた外気温情報が示す外気温が所定の温度閾値以下であり、且つ前記車両に具備された複数の車輪のそれぞれの回転速度の互いの差分が、前記第2の閾値を超えた場合、前記道路が凍結していることを検知する、付記6に記載の情報処理システム。
(付記8)前記車両は、
雨滴を検知する雨滴センサを有し、
前記情報送信部は、前記雨滴センサが雨滴を検知した旨を示す雨滴検知情報を前記情報処理装置へ送信し、
前記検知部は、前記情報送信部から前記雨滴検知情報が送信されてきて、且つ前記車両に具備された複数の車輪のそれぞれの回転速度の互いの差分が、前記第2の閾値を超えた場合、前記道路の路面が濡れていることを検知する、付記6または付記7に記載の情報処理システム。
(付記9)前記情報送信部は、当該車両の状態を示す状態情報を前記情報処理装置へ送信し、
前記出力部は、前記情報送信部から送信されてきた状態情報が示す車両の状態に応じた信頼度を算出し、該信頼度を出力する、付記1から8のいずれか1項に記載の情報処理システム。
(付記10)前記情報送信部は、当該車両の運転手の技量レベルを示す技量レベル情報を前記情報処理装置へ送信し、
前記出力部は、前記検知部における検知の結果に、前記情報送信部から送信されてきた技量レベル情報が示す技量レベルに応じた信頼度を算出し、該信頼度を出力する、付記1から9のいずれか1項に記載の情報処理システム。
(付記11)前記情報処理装置は、前記車両に搭載されており、
前記検知部における検知の結果を他の車両へ送信する車両外通信部を有する、付記1から10のいずれか1項に記載の情報処理システム。
(付記12)複数の車両における前記車両外通信部それぞれから送信されてきた情報を収集し、該情報のうちの車両の走行日時、走行位置およびトレッドが互いに異なる車両の情報に基づいて、前記道路の状況を判断する情報収集装置を有する、付記11に記載の情報処理システム。
(付記13)車両に具備された車輪の回転速度に基づいて、該車両が走行している道路の状況を検知する検知部と、
前記検知部における検知の結果を出力する出力部とを有する情報処理装置。
(付記14)車両に具備された車輪の回転速度に基づいて、該車両が走行している道路の状況を検知する処理と、
前記検知した結果を出力する処理とを行う道路状況検知方法。
(付記15)コンピュータに、
車両に具備された車輪の回転速度に基づいて、該車両が走行している道路の状況を検知する手順と、
前記検知した結果を出力する手順とを実行させるためのプログラム。