(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。なお、実施形態において、同一又は同等の要素には、同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0013】
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る無線通信装置の一構成例を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る無線通信装置1は、制御部1a及び無線通信部1bを有する。無線通信装置1は、その子機(無線子機)となる無線通信装置と無線通信が可能な装置であり、無線親機と称することができる。無線通信装置1と、1又は複数の無線子機とで、通信システム(無線通信システム)を構築することができる。
【0014】
無線通信部1bは、無線ネットワークを介して無線子機と通信する部位であり、無線通信インタフェースを有することができる。上記無線ネットワークとしては、無線LANを採用することができるが、これに限ったものではない。換言すれば、無線親機と無線子機との間の無線通信で採用する規格は問わない。
【0015】
無線LANとしては、例えば、IEEE(The Institute Electrical and Electronics Engineers,Inc.)802.11規格の無線LANを採用することができる。IEEE802.11a規格の場合の無線チャネルは、W52帯(5150−5250MHz)、W53帯(5250−5350MHz)、W56帯(5470−5725MHz)を使用して、最大19チャネルが利用可能となっている。その他、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11n等の様々な無線LAN規格を採用することができる。また、Bluetooth(登録商標。以下同様。)等のIEEE 802.15規格をはじめとする他の無線通信規格を採用することもできる。なお、Bluetoothとしては、Bluetooth Basic Rate/Enhanced Data Rate (BR/EDR)、Bluetooth Low Energy (LE)が挙げられる。
【0016】
制御部1aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、作業用メモリ、及び無線通信装置1の全体を制御するためのプログラムを記憶した不揮発性の記憶装置などによって実現することができる。また、制御部1aは、例えば集積回路(Integrated Circuit)によって実現することもできる。
【0017】
制御部1aは、無線通信部1bで通信に用いる無線チャネルを変更する(切り替える)部位である。この変更のトリガは問わず、最も単純な例がユーザによる設定の変更となる。また、無線チャネルの変更は、異なる規格間でなされてもよい。
【0018】
そして、制御部1aは、無線チャネルの変更前後で帰属できなくなった(つまり変更前には帰属できていたが変更後に帰属できなくなった)無線子機が存在した場合、再度無線チャネルを変更する再変更処理を実行する。制御部1aは、このような無線子機の存在を確認するために、無線チャネルの変更前後で、無線通信部1bを介して無線子機の帰属状態を検出するように構成しておくことができる。
【0019】
このように、本実施形態に係る無線通信装置1では、子機帰属状態を考慮して無線チャネルを設定するものであり、無線チャネル変更前後の帰属子機を確認して、チャネル変更により帰属できなくなった子機の有無を検出することができる。そして、本実施形態に係る無線通信装置1では、帰属できなくなった子機が検出された場合は再度チャネルを変更して、最初のチャネル変更前に帰属できていた子機が再帰属できるようにする。
【0020】
より具体的に、W56帯及びW52帯で無線通信装置1に帰属できる無線子機を例に挙げて説明する。無線通信装置1において、W56帯が使用されその無線子機が帰属している場合に、W53帯への変更要求を受けて無線チャネルの変更を実行した場合、その無線子機が帰属できないため、その無線子機が帰属できるW52帯に自動設定するようにする。なお、再変更する際には、基本的に元の無線チャネルを使用しないようにしてもよいが、元の無線チャネル(この例ではW56帯)に戻すようにしてもよい。
【0021】
以上に説明したように、本実施形態に係る無線通信装置1では無線チャネル変更前後の帰属子機を確認し、無線チャネル変更により帰属できなくなった子機が存在した場合には、再度チャネルを変更することで、チャネル変更前の帰属子機が再帰属できるようにする。よって、本実施形態に係る無線通信装置1によれば、無線チャネル変更後に無線子機が再帰属できないままになってしまうことを防止することが可能になる。
【0022】
<実施形態2>
実施形態2について、
図2〜
図4を併せて参照しながら、実施形態1との相違点を中心に説明するが、実施形態1で説明した様々な例が適用できる。
図2は、実施形態2に係る無線通信装置を備えた通信システムの一構成例を示すブロック図で、
図3は、実施形態2に係る無線通信装置の一構成例を示す機能ブロック図である。
【0023】
図2に示すように、本実施形態に係る通信システムは、無線親機1、無線子機2、及びPC(Personal Computer)3を備えている。無線親機1は、
図1において無線通信装置1として説明した装置であり、
図3に示すように、制御部1aに相当する制御部13及び記憶部14と、無線通信部1bに相当する無線通信部11と、を備える。また、無線親機1は、PC3と有線で接続するための有線通信部12を有することができる。
【0024】
無線通信部11は高周波信号を送受信し、有線通信部12は有線LANにて信号を送受信する。制御部13は、無線親機1の各機能を制御する。記憶部14は、制御部13で使用する各種データやプログラムを格納する他、変更前帰属子機情報14a及び変更後帰属子機情報14bも格納する。ここで、変更前帰属子機情報14aは、帰属中の無線子機を示す子機情報(無線子機情報)を含む情報であり、変更後帰属子機情報14bは、チャネル変更後に帰属した無線子機情報を含む情報である。このような無線子機情報としては、例えばMAC(Media Access Control)アドレスが挙げられるが、これに限ったものではなく、無線子機を特定できる情報であればよい。
【0025】
無線子機2は、無線子機2の全体を制御する制御部2aと、無線親機1と無線通信する無線通信部2bと、を有することができる。無線通信部2bは高周波信号を送受信する。PC3は、PC3の全体を制御する制御部3aと、無線親機1に有線で接続する通信部3bと、を有することができる。通信部3bは有線LANにて信号を送受信する。
【0026】
そして、この通信システムでは、無線子機2が無線親機1と無線通信できている状態であり、換言すれば無線子機2が無線親機1に帰属している。また、本実施形態では、無線通信に用いる規格がIEEE802.11a規格である場合を例に挙げて説明するが、他の1又は複数の無線通信規格を採用することもできる。
【0027】
本実施形態に係る無線親機1は、実施形態1で説明したように、子機帰属状態を考慮した無線親機のチャネル設定処理、つまり、無線チャネル変更前後の無線子機帰属状態に応じた無線親機のチャネル設定処理を行う。
【0028】
無線チャネルの変更について説明する。ユーザは、PC3を使用して、無線親機1の各種設定を行うことができる。無線親機1は、PC3を介したユーザ設定により意図的にチャネルを変更することもあれば、IEEE802.11a規格のDFS機能により、自動的にチャネルを変更することもある。無線チャネルの変更はこれら以外をトリガとすることもできる。
【0029】
次に、
図2、
図3に示す無線親機1の動作例について、
図4を併せて参照しながら説明する。
図4は、無線親機1における無線チャネル変更処理の一例を説明するためのフロー図である。
【0030】
まず、制御部13は、無線チャネルを変更するチャネル変更イベントを検出すると(ステップS1でYESの場合)、現在帰属中の無線子機を示す情報(無線子機情報)を確認し、変更前帰属子機情報14aに含めるように記憶する(ステップS2)。なお、無線子機が帰属した時点でこのような記憶を実行することもできるが、その場合には帰属しなくなった場合に除外する処理を行う必要がある。
【0031】
次に、制御部13は、ステップS1で検出されたチャネル変更イベントに基づき無線通信部11にて使用する無線チャネルを変更する(ステップS3)。次に、制御部13は、無線チャネル変更後に帰属した無線子機を示す無線子機情報を変更後帰属子機情報14bに含めるように記憶する。そして、制御部13は、変更後帰属子機情報14bと変更前帰属子機情報14aとを比較することで、無線チャネル変更前に帰属していた無線子機が再帰属したか否かを確認する(ステップS4)。確認の結果、ステップS4でYESの場合には処理を終了する。
【0032】
確認の結果、無線チャネル変更前に帰属していた無線子機が再帰属していない場合(ステップS4でNOの場合)、制御部13は、他の無線チャネルに再変更する(ステップS3へ戻る)。無線チャネルの再変更処理(ステップS4からステップS3へ戻りステップS3を実行する処理)を一定数(例えば2回)行っても無線子機が再帰属しない場合がある。
図4ではその手順を省略するが、その場合には、制御部13は、他の無線親機へ帰属した(若しくは通信エリア外に移動した)とみなし、処理を終了する。
【0033】
以上に説明した本実施形態に係る無線通信装置によれば、実施形態1と同様の効果を奏する。つまり、本実施形態に係る無線通信装置によれば、チャネル変更前後の帰属子機を無線親機が確認しているため、チャネル変更後に無線子機が再帰属していない場合に、自動的にチャネルを再変更することができる。チャネルを自動的に再変更することで、帰属していた無線子機が再帰属できないままになってしまうことを防ぐことができる。
【0034】
また、ステップS4からステップS3へ戻る処理に関して説明したように、本実施形態では、一定数で再変更処理を打ち切る。つまり、本実施形態における制御部13は、上記再変更処理を、予め定められた回数を上限として(その回数以内に限り)、無線チャネルの変更前後で帰属できなくなった無線子機が存在しなくなるまで実行する。これにより、無線子機2が他の無線親機へ帰属した(若しくは通信エリア外に移動した)場合においても繰り返し上記再変更処理を行う必要がなくなる。
【0035】
<実施形態3>
実施形態3について、
図5及び
図6を併せて参照し、実施形態2との相違点を中心に説明する。但し、実施形態3は、適宜、実施形態1,2で説明した様々な例が適用できる。
図5は、実施形態3に係る無線通信装置の一構成例を示す機能ブロック図である。
【0036】
図5に示すように、本実施形態に係る無線通信装置(無線親機)1は、
図3に示した無線親機1において、記憶部14内に変更前帰属子機情報14aの代わりに指定帰属子機情報14c及び設定不可チャネル情報14dを記憶するものである。その他の構成については、基本的に実施形態2について説明した通りである。
【0037】
記憶部14に記憶される指定帰属子機情報14cは、無線チャネル変更後も再帰属させたい無線子機を示す無線子機情報を含む。このような無線子機情報としては、例えばMACアドレスが挙げられるが、これに限ったものではなく、無線子機を特定できる情報であればよい。指定帰属子機情報14cは、PC3等を介して制御部13が設定する情報であり、無線チャネルの変更によっても帰属を維持する無線子機を示す帰属維持情報である。
【0038】
設定不可チャネル情報14dは、指定帰属子機情報14cに無線子機情報が含まれる無線子機について、その無線子機が過去に帰属できなかった無線チャネルを示すチャネル情報を含む。つまり、設定不可チャネル情報14dは、指定帰属子機情報14cの対象となる無線子機が帰属できなかった無線チャネルを示す変更不可チャネル情報である。なお、変更後帰属子機情報14bは、上述した通り、無線チャネル変更後に帰属した無線子機情報を含む。
【0039】
次に
図5に示す無線親機1の動作例について、
図6を併せて参照しながら説明する。
図6は、
図5に示す無線親機1における無線チャネル変更処理の一例を説明するためのフロー図である。
【0040】
まず、ユーザは
図2に示すPC3を使用して無線親機1にアクセスし、無線チャネル変更後も再帰属させたい無線子機のMACアドレスを指定する設定を行う。この設定に従い、制御部13は、そのMACアドレスを指定帰属子機情報14cに含めるように記憶する(ステップS11)。
【0041】
次に、制御部13は、無線チャネルを変更するチャネル変更イベントを検出すると(ステップS12でYESの場合)、指定帰属子機情報14cを読み出す。そして、制御部13は、読み出した指定帰属子機情報14cに無線子機情報が含まれる無線子機が現在帰属中であるか否かを確認する(ステップS13)。
【0042】
確認の結果、指定した無線子機が帰属中ではない場合(ステップS13でNOの場合)、制御部13は、ステップS12で検出されたチャネル変更イベントに基づき無線通信部11にて使用する無線チャネルを変更し(ステップS16)、そのまま処理を終了する。
【0043】
一方で、指定した無線子機が帰属中である場合(ステップS13でYESの場合)、制御部13は、ステップS12で検出されたチャネル変更イベントに基づき無線通信部11にて使用するチャネルを変更する(ステップS14)。
【0044】
但し、ステップS14では、設定不可チャネル情報14dにチャネル情報が格納されている場合、そのチャネル情報が示す無線チャネル以外の無線チャネルに変更する。このように、制御部13は、指定帰属子機情報14cの対象となる無線子機が帰属できなかった無線チャネルを示す設定不可チャネル情報14dを履歴格納等により設定しておくことが好ましい。そして、制御部13は、無線チャネルを変更するに際し、設定不可チャネル情報14dが示す無線チャネル以外への無線チャネルの変更を実行することが好ましい。
【0045】
次に、制御部13は、無線チャネル変更後に帰属した無線子機を示す無線子機情報を変更後帰属子機情報14bに含めるように記憶し、変更後帰属子機情報14bと指定帰属子機情報14cとを比較する。制御部13は、この比較により、指定した無線子機が再帰属したか否かを確認する(ステップS15)。
【0046】
確認の結果、指定した無線子機が再帰属していない場合(ステップS15でNOの場合)、その無線チャネルを示すチャネル情報を設定不可チャネル情報14dに含めるように追加し、他の無線チャネルに再変更する(ステップS14へ戻る)。このように、本実施形態では、無線チャネルの変更前後で帰属できなくなった無線子機が指定帰属子機情報14cに示される無線子機であった場合、再変更処理を実行する。
【0047】
そして、このような再変更処理においても、ステップS14では、設定不可チャネル情報14dにチャネル情報が格納されている場合、そのチャネル情報が示す無線チャネル以外の無線チャネルに変更する。このように、制御部13は、指定帰属子機情報14cの対象となる無線子機が帰属できなかった無線チャネルを示す設定不可チャネル情報14dを履歴格納等により設定しておくことが好ましい。そして、制御部13は、無線チャネルを変更するに際し、設定不可チャネル情報14dが示す無線チャネル以外への無線チャネルの変更を実行することが好ましい。
【0048】
また、本実施形態においても一定数で再変更処理を打ち切ることが望ましい。つまり、制御部13は、無線チャネルの再変更処理(ステップS15からステップS14へ戻りステップS14を実行する処理)を一定数(例えば2回)行っても指定された無線子機が再帰属しない場合は、処理を終了することが望ましい。処理を終了する理由は、実施形態2と同様に、他の無線親機へ帰属した若しくは通信エリア外に移動したとみなすためである。また、その際、確定したチャネル情報は設定不可チャネル情報14dに含めるような記憶は実行しない。
【0049】
このように、制御部13は、無線チャネルの変更前後で帰属できなくなった無線子機が指定帰属子機情報14cに示される無線子機であった場合、上記再変更処理を、予め定められた回数を上限とし当該無線子機が帰属するようになるまで実行することが好ましい。
【0050】
以上に説明した本実施形態に係る無線通信装置によれば、実施形態2と同様の効果を奏するだけでなく、指定した無線子機が再帰属できなかった無線チャネルを記憶し、これを履歴として活用するため、無線チャネルの再変更処理の回数を減らすことができる。
【0051】
<他の実施形態>
[a]
実施形態1では、
図1に示す無線通信装置1の制御部1a及び無線通信部1bの機能について説明したが、無線通信装置1としてこれらの機能が実現できればよい。同様に、実施形態2,3では、
図3,
図5に示す無線通信装置1の各構成要素の機能について説明したが、無線通信装置としてこれらの機能が実現できればよい。
【0052】
[b]
実施形態1〜3に係る無線通信装置1は、次のようなハードウェア構成を有することができる。
図7は、実施形態1〜3に係る無線通信装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。なお、上記他の実施形態[a]についても同様である。
【0053】
図7に示す無線通信装置100は、プロセッサ101、メモリ102、及び通信インタフェース103を有する。通信インタフェース103は無線通信インタフェースを含む。実施形態1〜3で説明した制御部等の各部の機能は、プロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを読み込んで、通信インタフェース103を利用しながら実行することにより実現される。なお、
図2における無線子機2及びPC3も同様のハードウェア構成を有することができる。
【0054】
上述の例において、上記プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)を含む。さらに、この例は、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/Wを含む。さらに、この例は、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、上記プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0055】
[c]
さらに、上述した様々な実施形態において、無線通信装置又は通信システムにおける通信処理(主に子機帰属状態を考慮した無線親機のチャネル設定処理)の手順を例示したように、本開示は、無線通信方法としての形態も採り得る。この無線通信方法は、次のような、無線通信ステップ及び変更ステップを有する。無線通信ステップは無線子機と通信する。変更ステップは、無線通信ステップで通信に用いる無線チャネルを変更する。そして、変更ステップは、無線チャネルの変更前後で帰属できなくなった無線子機が存在した場合、再度無線チャネルを変更する再変更処理を実行する。なお、その他の例については、上述した様々な実施形態で説明した通りである。また、上記プログラムは、無線通信が可能なコンピュータに上述した無線通信方法を実行させるためのプログラムであると言える。
【0056】
なお、本開示は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本開示は、それぞれの実施形態を適宜組み合わせて実施されてもよい。