(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
冗長構成を備えた電子デバイス設備において部品の故障があった際、該電子デバイス設備の冗長構成を管理する管理サーバより故障部品に対する冗長設定による切替部品を確認する冗長構成確認部と、
前記冗長構成確認部により前記故障部品に対する前記切替部品が確認された際、保守員の使用する携帯機器に対して、前記切替部品に関する情報を通知するとともに、前記故障部品の交換が可能であることを通知する交換補助部と、
を備える保守支援システム。
前記携帯機器より読み取られたコードであって、前記電子デバイス設備の部品に付されたコードを取得し、前記取得したコードを用いて前記管理サーバに問い合わせることで、前記コードの読み取りを行った部品が前記故障部品であるかを確認し、確認できた際に前記コードの読み取りを行った部品の交換指示を前記携帯機器に通知する部品確認部、
をさらに備える請求項1に記載の保守支援システム。
前記管理サーバより、前記電子デバイス設備を構成する電子デバイスであって、前記故障部品を含む電子デバイスの配置図および前記配置図内の前記故障部品の位置を示す情報を取得し、前記携帯機器に前記配置図を表示させるとともに、表示させた前記配置図内に前記故障部品の位置を表示させる位置通知部、
をさらに備える請求項1または2に記載の保守支援システム。
前記電子デバイス設備は、複数のストレージ装置からなる冗長構成をもつ設備であり、前記部品は、冗長化されたコネクタ部、電源、ファン、物理ドライブのいずれかである、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の保守支援システム。
冗長構成を備えた電子デバイス設備において部品の故障があった際、該電子デバイス設備の冗長構成を管理する管理サーバより故障部品に対する冗長設定による切替部品を確認し、
前記故障部品に対する前記切替部品が確認された際、保守員の使用する携帯機器に対して、前記切替部品に関する情報を通知するとともに、前記故障部品の交換が可能であることを通知する、
保守支援方法。
冗長構成を備えた電子デバイス設備において部品の故障があった際、該電子デバイス設備の冗長構成を管理する管理サーバより故障部品に対する冗長設定による切替部品を確認し、
前記故障部品に対する前記切替部品が確認された際、保守員の使用する携帯機器に対して、前記切替部品に関する情報を通知するとともに、前記故障部品の交換が可能であることを通知する、
ことをコンピュータに実行させる、保守支援用コンピュータプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態による保守支援システムについて図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態による保守支援システムが用いられる装置構成の概要を示す図である。
図1において、符号1は保守支援システムを、符号2は管理サーバを、符号3はARグラスを、符号4は電子デバイス設備を示す。さらに、符号5はアクセスポイント装置を、符号6はネットワークを、符号7は屋内測位機器を示す。
【0011】
保守支援システム1は、電子デバイス設備4の保守のために必要な情報を、管理サーバ2から取得し、ARグラス3を介して保守を行う保守員の保守支援を行うシステムである。
管理サーバ2は、電子デバイス設備4の管理のため、電子デバイス設備4に関する各種情報を管理するシステムである。
ARグラス3は、保守を行う保守員が電子デバイス設備4の保守の際に用いる装置で、保守に用いられる携帯機器となる。なお、ARグラス3は、頭部装着型表示装置の一例となる。
電子デバイス設備4は、保守対象となる冗長構成を備えた設備である。本実施の形態では、データセンタ等に設けられる設備であって、複数のストレージ装置から構成される設備を一例とする。
【0012】
アクセスポイント装置5は、ARグラス3がネットワーク6を介して保守支援システム1と保守のためのデータのやり取りを行うために用いられる。
ネットワーク6は、各種装置を接続するために設けられ、保守支援システム1、管理サーバ2、電子デバイス設備4、アクセスポイント装置5が接続される。
屋内測位機器7は、屋内の位置情報を送信するための機器である。屋内測位機器7としては、Wi-Fiのアクセスポイント、インパルスUWB(Ultra Wide Band)を用いた無線装置、IMES(Indoor MEssaging System)送信機等であってよい。
【0013】
ARグラス3は、保守の際に参照される情報を透過表示する表示部31と、カメラ32と、屋内測位機器7から位置情報を受信する測位通信部33と、保守支援システム1や管理サーバ2と通信するデータ通信部34とを備える。なお、測位通信部33における測位の方法は、Wi-Fiのアクセスポイントの電波強度により距離を計測して3点測位する方法や、インパルスUWBのパルス信号到来時間により距離を計測して3点測位する方法がある。さらには、IMES送信機の絶対位置座標をGPSと同等の信号として送信する方法などがある。これら測位の方法は、それぞれ精度に差があるため組み合わせて使ってもよい。
【0014】
図2は、本発明の一実施形態による電子デバイス設備4での保守対象となる部品の一例を示した図である。符号8は、電子デバイス設備4を構成するストレージ装置に設けられるホストインタフェースの光ケーブルとのコネクタ部8であり、一例としては、SFP(Small Form factor Pluggable)である。このコネクタ部8を保守の対象となる部品の一例として説明する。コネクタ部8には、タグ81が付加され、このタグ81には、コネクタ部8に関する各種情報を格納したコード、一例として2次元コード82が印刷されている。
なお、「故障」とは、電子デバイス設備4の機能に何らかの不具合を生じさせる、あるいは、生じさせる恐れのある状況を意味する。
【0015】
図3は、本発明の一実施形態による保守支援システム1において用いられる管理サーバ2の機能ブロック図である。管理サーバ2は、部品障害管理部21、通報処理部22、ロケーション管理部23、部品情報テーブル処理部24、冗長構成管理部25、代替パス処理部26を備える。さらに、管理サーバ2は、これら処理部のためのデータを記憶する記憶部27を備える。記憶部27には、電子デバイス設備4の管理に必要となる各種情報が記憶される。
【0016】
以下、
図4から
図6を用いて、管理サーバ2の各処理部の動作を説明する。
図4は、管理サーバ2の部品障害管理部21と通報処理部22の処理フローを示す図である。
部品障害管理部21は、電子デバイス設備4を構成するストレージ装置からの部品故障通知を検出すると(ステップS41)、ストレージログの収集を行う(ステップS42)。さらに、部品障害管理部21は、通報処理部22を通じて、
図1にて図示しない保守センターに通報を上げる(ステップS42)。
【0017】
続いて、通報処理部22は、故障した部品の種別やロケーションを示す通報メールを作成し(ステップS44)、保守センターへ送信する(ステップS45)。通報処理部22は、故障に関する通知処理が完了したら(ステップS46:Yes)処理を完了し、障害監視に戻るよう制御を移す。一方、通報処理部22は、故障に関する通知処理においてエラーが生じた場合、すなわち通知処理が成功しなかった場合(ステップS46:No)、通報エラーログにエラー内容を保存し、障害監視に戻るよう制御を移す。
【0018】
図5は、管理サーバ2のロケーション管理部23と部品情報テーブル処理部24の処理フローを示す図である。
ロケーション管理部23は、電子デバイス設備4が設けられるデータセンタ内のストレージ装置の位置を配置図として保存する(ステップS51)。また、ロケーション管理部23は、ストレージ装置のログからそのストレージ装置の構成情報を吸い上げ、部品の種別や数、その位置情報を部品情報テーブルとして保存する(ステップS52)。ロケーション管理部23は、データセンタ内のストレージ装置の台数が変化する(ステップS53)、または、ストレージ装置内の構成情報が変化したときには(ステップS54)、配置図や各ストレージの部品情報テーブルを再構成する。
【0019】
保守員が保守する際に用いる保守デバイスとなる携帯機器から部品情報テーブルの参照要求があれば(ステップS55)、部品情報テーブル処理部24を通じて携帯機器に部品に関する情報を送信するために制御を部品情報テーブル処理部24に移す。
部品情報テーブル処理部24は、要求の行われた部品種別に応じた情報テーブルを作成し(ステップS56)、保守員の携帯機器に送信する(ステップS57)。コネクタ部8(SFP)の例では、情報テーブルとしては、ストレージ装置のデータセンタ内でのロケーション、ストレージ装置内部でのSFPのロケーション、SFPの種類、SFPのサポートレート等に関する情報で構成される。部品情報テーブル処理部24は、送信処理においてエラーが生じた場合、すなわち送信処理が成功しなかった場合(ステップS59:No)、送信エラーログにエラー内容を保存し、処理を終了する。
【0020】
図6は、管理サーバ2の冗長構成管理部25と代替パス処理部26の処理フローを示す図である。
冗長構成管理部25は、ストレージ装置のログから、物理ドライブに関してのRAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)の冗長構成を管理する(ステップS61)。また、冗長構成管理部25は、ホストパス異常に備えてマルチパス設定や有効パス情報を管理する(ステップS62)。冗長構成管理部25は、それ以外の部品についても2重化もしくはそれ以上の多重化された冗長情報を管理する(ステップS63)。ストレージ装置内の構成情報が変化したとき(ステップS64:Yes)、冗長構成管理部25は、各冗長構成情報を再構成するために、処理をステップS61に戻す。
【0021】
例えば、コネクタ部8(SFP)の保守において、保守員の携帯機器からホスト代替パス情報の要求があれば(ステップS65:Yes)、冗長構成管理部25は、制御を代替パス処理部26に移す。
代替パス処理部26は、SFP情報テーブルに代替パスに関する情報を追加して(S366)、保守員の携帯機器に送信する(ステップS67)。代替パス処理部26は、送信処理においてエラーが生じた場合、すなわち送信処理が成功しなかった場合(ステップS68:No)、送信エラーログにエラー内容を保存し(ステップS70)、処理を終了する。一方、送信処理が成功し場合(ステップS68:Yes)、処理をステップS69に移行する。交換予定のSFPのパスがまだ有効なままであり、そのためのパスの切り替え指示があった場合(ステップS69:Yes)、代替パス処理部26は、業務サーバのマルチパスソフトにパスを切り替える指示を行う(ステップS71)。これにより、業務に影響を与えることのなく保守作業を支援することができる。代替パス処理部26は、一連の処理が終了した後、制御を冗長構成管理部25に戻す。
【0022】
図7は、本発明の一実施形態による保守支援システム1の機能ブロック図である。保守支援システム1は、位置通知部11、冗長構成確認部12、交換補助部13、部品確認部14を備える。
【0023】
位置通知部11は、保守員を故障のあった故障部品(コネクタ部)に誘導するために、管理サーバ2より、電子デバイス設備を構成する電子デバイスであって、故障部品を含む電子デバイスの配置図および配置図内の故障部品の位置を示す情報を取得する処理を行う。そして、位置通知部11は、保守員の携帯機器に配置図を表示させ、さらに、表示させた配置図内に故障部品の位置が特定できるよう表示させるための処理を行う。
【0024】
冗長構成確認部12は、冗長構成を備えた電子デバイス設備4において部品の故障があった際、電子デバイス設備4の冗長構成を管理する管理サーバ2より故障部品に対する冗長設定による切替部品を確認する処理を行う。
【0025】
交換補助部13は、冗長構成確認部12により故障部品に対する切替部品の冗長設定が確認された際、保守員の使用する携帯機器に対して、切替部品に関する情報を通知するとともに、故障部品の交換が可能であることを通知する処理を行う。
【0026】
部品確認部14は、交換しようとする部品に付されたコードを取得し、取得したコードを用いて管理サーバ2に問い合わせることで、コードの読み取りを行った部品が故障部品であるかを確認する処理を行う。さらに、部品確認部14は、故障部品であることの確認ができた際、コードの読み取りをした部品の交換指示を、保守員の携帯機器に通知する処理を行う。
【0027】
図8は本発明の一実施形態による保守支援システム1および管理サーバ2のハードウェア構成を示す図である。保守支援システム1、管理サーバ2は、CPU(Central Processing Unit)81、ROM(Read Only Memory)82、RAM(Random Access Memory)83、HDD(Hard Disk Drive)84、入出力装置85、通信モジュール86を備える。
CPU81は、ROM82またはHDD84等の記録媒体に記憶されるプログラムを実行することで、保守支援システム1の各機能、管理サーバ2の各機能を実現する。
HDD84には、保守支援システム1の機能、管理サーバ2の機能を実現するため必要となるデータ等も記憶する。なお、HDD84は他の記憶媒体、例えばSSD(Solid State Drive)であってもよい。
【0028】
入出力装置85は、キーボード、マウス、タッチパネル、表示装置等の機器であり、必要に応じて備えられる。
通信モジュール86は、ネットワーク6へ接続して通信の制御を行うモジュールである。あるいは、保守支援システム1において、BLUETOOTH(登録商標)等の近距離無線通信規格に沿った通信制御、あるいは、他のプロトコルに沿った無線通信制御を行うように構成してもよい。
【0029】
図9は、本発明の一実施形態による保守支援システム1の処理フローを示す図である。保守支援システム1の動作について処理フローを追って説明する。なお、以下での処理は、データセンタ内で電子デバイス設備4を構成する複数のストレージ装置のいずれかのコネクタ部8(SFP)が故障した場合を例とする。なお、電子デバイス設備4は複数のストレージ装置で構成され、ストレージ装置は物理ドライブとなる複数のストレージから構成されるものとする。
【0030】
保守支援システム1による
図9の処理フローの開始前には、ストレージ装置がSFPの故障を検出したことにより、管理サーバ2から電子デバイス設備4を保守する保守センターへSFPの故障が通報される。そして、保守員は保守現場に到着すると、ARグラス3を装着し、保守支援システム1に対して保守作業開始を通知することにより、保守支援システム1による
図9の処理フローを開始する。なお、管理サーバ2から電子デバイス設備4を保守する保守センターへのSFPの故障の通報処理は、
図4で説明したように行われる。
【0031】
位置通知部11は、故障した部品となるSFPの情報を取得する(ステップS91)。具体的には、位置通知部11は、電子デバイス設備4を保守する保守センターへ送られた通報に含まれる故障したSFPを特定する情報を利用して、管理サーバ2に故障したSFPに関する情報の要求を行う。管理サーバ2の部品情報テーブル処理部24は、要求のあったSFPに関するSFPの情報を記憶部27から取得し、取得した情報をもとに構成したSFP情報テーブルを、保守支援システム1に送信する。このようにして、位置通知部11は、故障した部品となるSFPの情報を取得する。なお、ここでの管理サーバ2の処理は
図5で説明したように行われる。
図5にて説明したように、SFP情報テーブルには、対象となるSFPを含むストレージロケーション、SFPロケーションに関する情報も含まれる。
【0032】
位置通知部11は、管理サーバ2より取得したSFP情報テーブルを利用して、保守員を故障したSFPに誘導するために、故障部品を含むストレージ装置の配置図の表示をARグラス3に行わせるための処理を行う。また、位置通知部11は、表示させた配置図内に故障部品の位置が特定できる表示をARグラス3に行わせるための処理を行う(ステップS92)。
図10は、この処理により、ARグラス3における、故障部品を含むストレージ装置の配置図の一例である。
図10の符号101が、故障したSFPを含むストレージ装置の位置の強調表示の例を示す。
【0033】
ARグラス3は測位通信部33を備え、ARグラス3を装着した保守員の位置を特定できる。ARグラス3は、随時、位置情報を求め、求めた位置情報を保守支援システム1に通知する。これにより、保守支援システム1は、
図10に示す配置図において、保守員がどこにいるか把握することができる。位置通知部11は、保守員が故障したSFPを含むストレージ装置に近づいたことを認識すると、表示させた配置図内に故障部品の位置が特定できる表示をARグラス3に行わせるための処理を行う。
図11は、この処理によるARグラス3への表示例である。符号101に示すように故障したSFPを含むストレージ装置の強調表示が行わるととともに、符号111に示すように故障したSFPを含むストレージの位置の強調表示が行われる。これにより、同一または類似する装置を複数備えたデータセンタ内においても、保守員は、迷うことなく、保守対象の装置まで向かうことができる。
【0034】
位置通知部11は、ARグラス3より送られたイメージ画像を解析することでイメージ画像内における故障したSFPの位置を特定し、特定した部品をARグラス3に透過表示させる処理を行う(ステップS93)。ステップS93の処理は、位置通知部11が、ARグラス3からの位置情報により、保守員が、十分に保守対象の部品に近づいたことを確認することで行われる。イメージ画像内から故障したSFPの位置や拡張現実のための透過表示の技術は、画像認識の技術を用いることで実現する。なお、他の技術によりイメージ画像内から故障したSFPの位置や拡張現実のための透過表示を実現してもよい。
図12の符号121は、この処理により、ARグラス3において、故障したSFPの拡張現実のための透過表示の一例を示す。これにより、保守員は、どのSFPが故障したか容易に特定できる。
【0035】
冗長構成確認部12は、ステップS91で取得したSFP情報テーブルを確認することで、故障したSFPが使用中であるかを確認する(ステップS94)。故障したSFPが使用中でなければ(ステップS94:No)、制御をステップS97に移す。
【0036】
一方、故障したSFPが使用中の場合(ステップS94:Yes)、冗長構成確認部12は、管理サーバ2より故障したSFPに対する冗長設定による切替SFPを確認する処理を行う(ステップS95)。具体的には、冗故障したSFPが使用中の場合、冗長構成確認部12が、代替パスが有効でない際に、管理サーバ2にパス切り替えを指示する。冗長構成確認部12は、管理サーバ2より、代替パスに関する情報が更新されたSFP情報テーブルを取得する。この際、管理サーバ2は、業務サーバのマルチパスソフトウェアを用いてパスの切り替えを行う。
【0037】
交換補助部13は、冗長構成確認部12により故障したSFPに対するパスの切り替えが確認された際、保守員の使用するARグラス3に対して、パスの切り替えに関する情報を通知する。さらに、交換補助部13は、ARグラス3に対して、故障したSFPの交換が可能であることを通知する(ステップS96)。
【0038】
この際、交換補助部13は、ARグラス3より送られたイメージ画像を解析することでイメージ画像内の切り替え対象となったSFPの位置を特定する。そして、交換補助部13は、特定したSFPをARグラス3に透過表示させることで、切り替えるSFPに関する情報の通知を行う。イメージ画像内からの切り替えるSFPの位置や拡張現実のための透過表示の技術は、画像認識の技術を用いることで実現する。また、他の技術によりイメージ画像内からの切り替えるSFPの位置や拡張現実のための透過表示を実現してもよい。
図12の符号122は、この処理により、ARグラス3において、切り替えるSFPの拡張現実のための透過表示の一例である。交換補助部13は、
図12に示すように、符号122で示すパスを切り替えるSFPとともに、符号121で示す故障したSFPの拡張現実による透過表示のための処理をすることが好ましい。これにより、保守員は、SFPのパスの切り替えができたことを容易に確認できる。
【0039】
部品確認部14は、交換しようとするSFPに付されたコードをARグラス3から受け取り、取得したコードを用いて管理サーバ2に問い合わせることで、コードの読み取りを行った部品が故障部品であるかを確認する処理を行う(ステップS97)。この処理は、保守員が交換するSFPに付されたタグ81に印字されている2次元コード82をARグラス3のカメラ32で読み取り、保守支援システム1に送信することで開始する。この2次元コードには、一例として
図13に示すような、部品ごとの種別、部品に関するスペック等の情報が含まれる。部品がSFPの場合、2次元コードには、その種別のほか、サポート速度に関する情報等が含まれる。管理サーバ2は、保守支援システム1から送られてくるSFPの種類やサポート速度等の情報と、自己の管理する故障の生じたSFPの種類やサポート速度等の情報とを照合する。このようにして、管理サーバ2は、保守員がARグラス3を利用してコードの読み取りを行った部品が故障部品であるかを確認し、結果を保守支援システム1に通知する。
【0040】
部品確認部14は、管理サーバ2への問い合わせにより、コードの読み取りをしたSFPが、故障したSFPであることを確認すると、保守員がコードの読み取りをしたSFPの交換指示を、ARグラス3に通知する処理を行う(ステップS98)。
【0041】
保守支援システム1より、コードの読み取りをしたSFPの交換指示を受けた保守員が、SFPの交換をすることで、保守作業は終了する。
【0042】
以上により、保守員は、データセンタのように多数のストレージ装置が設置されるような環境の保守作業において、冗長設定を確認し、冗長設定されていたら切り替えを行うことができる。これにより、電子デバイス設備の提供する業務を停止させることなく、保守員は、安全かつ効率のよい部品交換作業を実施できるようになる。
【0043】
なお、一実施の形態として保守員の持つ携帯機器としてARグラス3を例にした。この場合、保守員は両手が空くと共に、現実拡張により作業効率を高めることができるが、これに限定されるものではない。例えば、保守員の持つ携帯機器として、タブレット装置であってもよい。
【0044】
一実施の形態として、保守支援システム1は、ARグラス3のような携帯機器とは別の装置として説明した。携帯機器が十分な処理能力を持つようであれば、携帯機器に保守支援システム1の機能を持たせてもよい。
【0045】
一実施の形態として、主にコネクタ部となるSFPを例にして説明を行ったが、これに限定されるものではない。SFPに限らず、RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)を構築している物理ドライブの交換や、冗長化(2重化)された電源やファンの交換にも応用可能である。
【0046】
一実施の形態として、電子デバイス設備のストレージ装置を例にして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、冗長構成を持つコンピュータシステムの部品交換にも応用可能である。
【0047】
図14は、本発明の一実施形態による保守支援システム1の最小構成図を示す図である。保守支援システム1は、冗長構成確認部12と交換補助部13とを備える。
冗長構成確認部12は、冗長構成を備えた電子デバイス設備4において部品の故障があった際、電子デバイス設備4の冗長構成を管理する管理サーバ2より故障部品に対する冗長設定による切替部品を確認する。
交換補助部13は、冗長構成確認部12により故障部品に対する切替部品の冗長設定が確認された際、保守員の使用する携帯機器に対して、切替部品に関する情報を通知するとともに、故障部品の交換が可能であることを通知する。
【0048】
なお、
図7における保守支援システムの各処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより保守支援のための処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0049】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。