特許第6973883号(P6973883)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6973883
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】巾木
(51)【国際特許分類】
   E04F 19/04 20060101AFI20211118BHJP
【FI】
   E04F19/04 101A
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-54924(P2017-54924)
(22)【出願日】2017年3月21日
(65)【公開番号】特開2018-155073(P2018-155073A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2020年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000221580
【氏名又は名称】東都積水株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 誠
【審査官】 津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−047045(JP,U)
【文献】 特開昭62−137353(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0092790(US,A1)
【文献】 特開2012−026111(JP,A)
【文献】 特開2004−107877(JP,A)
【文献】 特開2016−191192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁に沿って配置され、該壁に沿う一方向に延びる巾木本体を有し、
該巾木本体の前記壁側を向く裏面には、上下方向に延びる溝部が前記一方向の端部から他端に亘って等間隔複数形成されており、
前記溝部の上端は、前記巾木本体の上端よりも僅かに下方に位置しており、
前記巾木本体は、発泡性樹脂から形成されていることを特徴とする巾木。
【請求項2】
前記溝部は、前記裏面側から表面側に向かうにしたがって次第に幅寸法が狭くなることを特徴とする請求項1に記載の巾木。
【請求項3】
前記裏面には、表面側に凹むとともに前記一方向に延びる凹部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の巾木。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巾木に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、住宅等の建築物の壁と床との取り合い部分には、壁に沿って長尺状の巾木が設置されている(下記特許文献1参照)。巾木は樹脂製や木製であることが多く、建築現場で卓上丸鋸等により所望の長さに切断されて、接着剤等で壁に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−26111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば集合住宅のリフォーム工事で巾木を交換する際には、卓上丸鋸等の切断装置で巾木を切断する際の音が隣接する住戸に響き、騒音上の問題となることがある。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、騒音を伴わずに切断可能な巾木を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る巾木は、壁に沿って配置され、該壁に沿う一方向に延びる巾木本体を有し、該巾木本体の前記壁側を向く裏面には、上下方向に延びる溝部が前記一方向に間隔を有して複数形成されていることを特徴とする。
【0007】
このように構成された巾木では、一方向に延びる巾木を施工時に所望の長さに切断する際には、複数の溝部のうち所望の溝部に沿って切断する。溝部が上下方向に沿って形成されているため、手で切断することができる。よって、切断の際に卓上丸鋸のような大きな音を伴う切断装置を使用しなくてよいため、騒音を伴わずに巾木を切断することができる。
【0008】
また、本発明に係る巾木では、前記溝部の上端は、前記巾木本体の上端よりも僅かに下方に位置していることが好ましい。
【0009】
このように構成された巾木では、溝部の上端は巾木本体の上端よりも僅かに下方に位置しているため、巾木を壁に設置した状態で、巾木本体の上端から溝部は見えず、外観を良好とすることができる。また、巾木を壁に固定する際に使用する接着剤が、巾木の上端からはみ出すことが抑制される。
【0010】
また、本発明に係る巾木では、前記溝部は、前記裏面側から表面側に向かうにしたがって次第に幅寸法が狭くなっていてもよい。
【0011】
このように構成された巾木では、溝部は裏面側から表面側に向かうにしたがって次第に幅寸法が狭くなるため、溝部の底部(表面側)に沿って見た目良く切断することができる。
【0012】
また、本発明に係る巾木では、前記裏面には、表面側に凹むとともに前記一方向に延びる凹部が形成されていてもよい。
【0013】
このように構成された巾木では、裏面には表面側に凹むとともに一方向に延びる凹部が形成されているため、当該凹部に接着剤を塗布して、巾木を壁に固定することができる。接着剤は当該凹部内に納まりやすいため、接着剤の巾木の端部からのはみ出しが抑制される。
【0014】
また、本発明に係る巾木では、前記巾木本体は、発泡性樹脂から形成されていてもよい。
【0015】
このように構成された巾木では、巾木本体は発泡性樹脂から形成されているため、所望の形状に少ない樹脂原料で成形することができ、低コストである。また、内部に気泡を有しているため、少ない力で切断が可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る巾木によれば、騒音を伴わずに切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る巾木の設置例を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る巾木を表面側(設置された状態で室内側)から見た斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る巾木を裏面側(設置された状態で壁側)から見た正面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る巾木の断面図(設置された状態での水平断面図)である。
図5】本発明の一実施形態に係る巾木の断面図(設置された状態での鉛直断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態に係る巾木について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る巾木の設置例を示す斜視図である。
図1に示すように、壁Wと床Fとの取り合い部分には、巾木1が設置されている。
【0019】
図2は、巾木1を表面20f側(設置された状態で室内側)から見た斜視図である。
図2に示すように、巾木1は、基部10(巾木本体)と、基部10に設けられた化粧部20と、を有している。巾木1は、一方向(図2に示す紙面左下から紙面右上に向かう方向)に延びる長尺状をなしている。
【0020】
図3は、巾木1を裏面10b側(設置された状態で壁側)から見た正面図である。図4は、巾木1の断面図(設置された状態での水平断面図)である。図5は、巾木1の断面図(設置された状態での鉛直断面図)である。
図3から図5に示すように、基部10の裏面(設置された状態で壁側の面)10bには、複数の溝部11が形成されている。
【0021】
溝部11は、(設置された状態で)上下方向に延びている。換言すると、溝部11は巾木1の巾木1の長尺方向と直交する方向に延びている。各溝部11の上端11tは、基部10の上端10tよりも僅かに下方に位置している。溝部11は、一方向に間隔を有して複数形成されていれる。
【0022】
図4に示すように、溝部11は、その延在方向(上下方向)に直交する断面において、V字状をなしている。換言すると、溝部11は、裏面10b側から表面20f側に向かうにしたがって次第に幅寸法(図4に示す紙面左右方向の寸法)が狭くなっている。
【0023】
図3に示すように、基部10の裏面10bには、固定用凹部(凹部)16が設けられている。固定用凹部16は、基部10における上下方向の略中間に位置している。固定用凹部16は、基部10の裏面10bから表面20f側に凹むとともに、一方向に延びている。
【0024】
化粧部20は、基部10の上面側から表面側(設置された状態で室内側)にわたって設けられている。
【0025】
図5に示すように、基部10の表面10fには、裏面10b側に凹む第一化粧凹部12が形成されている。化粧部20には、第一化粧凹部12に沿って凹む第二化粧凹部21が形成されている。
【0026】
本実施形態では、溝部11の配置間隔寸法P(図3参照)は、約5.0mmである。溝部11の底部11bと化粧部20の表面20fとの間の寸法A1(図4参照)は約2.0mmである。第二化粧凹部21の深さ寸法A2(図5参照)は約1.5mmである。
【0027】
巾木1は、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ABS樹脂等の発泡体で構成されている。基部10を構成する樹脂と化粧部20を構成する樹脂とを断面が巾木1の形状をした押出金型から共押出法により長尺に押出して成形した後に、溝部11をプレスやローレット、切削加工などの後加工により形成している。溝部11を設ける後加工は、巾木1を押出した直後でも良く、所定の長さに切断した後でも良い。
なお、固定用凹部16、第一化粧凹部12および第二化粧凹部21は巾木1の製造時の押出し金型により賦形されているが、溝部11と同様に後加工により形成しても良い。
【0028】
このように構成された巾木1では、一方向に延びる巾木1を施工時に所望の長さに切断する際には、複数の溝部11のうち所望の溝部11に沿って切断する。溝部11が上下方向に沿って形成されているため、例えば手で折り曲げるようにして切断することができる。よって、切断の際に卓上丸鋸のような大きな音を伴う切断装置を使用しなくてよいため、騒音を伴わずに巾木1を切断することができる。なお、溝部11に沿ってカッターナイフ等で切断することもできる。
【0029】
また、溝部11の上端11tは基部10の上端10tよりも僅かに下方まで達しているため、巾木1を壁Wに設置した状態で、化粧部20の上端20tから溝部11は見えず、外観を良好とすることができる。また、巾木1を壁Wに固定する際に使用する接着剤が、巾木1の上端20tからはみ出すことが抑制される。
【0030】
また、溝部11は裏面10b側から表面20f側に向かうにしたがって次第に幅寸法が狭くなっており、切断する際の応力は溝部11の底部11bから化粧部20の表面20fに最も近い箇所にかけて集中するため、切断面は溝部11の底部11bに沿った形状となり見た目良く切断することができる。
【0031】
また、巾木1の裏面10bには表面20f側に凹むとともに一方向に延びる固定用凹部16が形成されているため、固定用凹部16に接着剤を塗布して、巾木1を壁Wに固定することができる。接着剤は固定用凹部16内に納まりやすいため、接着剤の巾木1の端部からのはみ出しが抑制される。
【0032】
また、基部10は発泡性樹脂から形成されているため、少ない樹脂原料で所望の形状に成形することができる。また、内部に気泡を有するため、少ない力で切断が可能である。
【0033】
なお、上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0034】
1…巾木
10…基部(巾木本体)
11…溝部
12…第一化粧凹部
16…固定用凹部(凹部)
20…化粧部
21…第二化粧凹部
W…壁
図1
図2
図3
図4
図5