特許第6973894号(P6973894)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6973894
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】作業機の油圧システム
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/16 20060101AFI20211118BHJP
   E02F 9/22 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   F15B11/16 Z
   E02F9/22 E
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-171757(P2018-171757)
(22)【出願日】2018年9月13日
(65)【公開番号】特開2020-41672(P2020-41672A)
(43)【公開日】2020年3月19日
【審査請求日】2020年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】福田 祐史
【審査官】 吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−026402(JP,A)
【文献】 特開平10−220408(JP,A)
【文献】 特開2010−270527(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0236233(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/16
F15B 11/08
E02F 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動油を吐出する油圧ポンプと、
第1油圧アクチュエータと、
第2油圧アクチュエータと、
前記第1油圧アクチュエータに供給する作動油の流量を制御する第1制御弁と、
前記第2油圧アクチュエータに供給する作動油の流量を制御する第2制御弁と、
前記第1制御弁と前記第2制御弁とを接続し且つ、前記第1油圧アクチュエータから前記第1制御弁に戻る作動油である戻り油が流れる戻り油路と、
前記戻り油とは別に前記第1制御弁と前記第2制御弁とを接続し且つ、中途部で前記戻り油路が連通する供給油路と、
前記第2制御弁に接続された排出油路と、
前記第2制御弁を操作する操作部材と、
前記操作部材の操作に応じて前記第2制御弁を制御する制御装置と、
を備え、
前記第2制御弁は、前記供給油路と前記排出油路とを遮断し且つ前記戻り油を前記第2油圧アクチュエータに供給する作動位置と、前記供給油路と前記排出油路とを連通し且つ前記戻り油を前記第2油圧アクチュエータに供給しない停止位置と、前記供給油路と前記排出油路とを連通し且つ前記戻り油を前記第2油圧アクチュエータに供給する中途位置とに切り換え可能であり、
前記制御装置は、前記第1制御弁が前記第1油圧アクチュエータに作動油を供給していない非作動状態で前記操作部材が第1操作位置である場合には前記第2制御弁を前記作動位置に切り換え、前記第1制御弁が前記非作動状態で前記操作部材が第2操作位置である場合には前記第2制御弁を前記停止位置に切り換え、前記第1制御弁が前記第1油圧アクチュエータに作動油を供給している作動状態で前記操作部材が前記第1操作位置である場合は前記第2制御弁を前記中途位置に切り換える作業機の油圧システム。
【請求項2】
前記第2制御弁は、前記戻り油路が接続される第1供給ポートと、前記供給油路が接続される第2供給ポートと、前記第2油圧アクチュエータに連通する出力ポートと、前記排出油路が接続される排出ポートとを含み、
前記第2制御弁は、前記作動位置では前記第1供給ポートと前記出力ポートとを連通し且つ前記第2供給ポートと前記排出ポートとの経路を閉鎖し、前記停止位置では前記第1供給ポートと前記出力ポートとの経路を閉鎖し且つ前記第2供給ポートと前記排出ポートとの経路を開放し、前記中途位置では前記第1供給ポートと前記出力ポートとを連通し且つ前記第2供給ポートと前記排出ポートとを連通する請求項1に記載の作業機の油圧システム。
【請求項3】
前記第2制御弁は、当該第2制御弁の受圧部に供給されたパイロット油の圧力であるパイロット圧に応じて前記作動位置、前記停止位置及び中途位置に切り換わる切換弁であり、
前記制御装置は、前記第1制御弁が前記非作動状態で前記操作部材が第1操作位置である場合には、前記受圧部に作用する前記パイロット圧を前記作動位置に対応する第1圧力に設定し、前記第1制御弁が前記非作動状態で前記操作部材が第2操作位置である場合には、前記受圧部に作用する前記パイロットを前記停止位置に対応する第2圧力に設定し、前記第1制御弁が前記作動状態で前記操作部材が前記第1操作位置である場合は、前記受圧部に作用する前記パイロット圧を前記中途位置に対応する第3圧力に設定する請求項1又は2に記載の作業機の油圧システム。
【請求項4】
前記第2制御弁の受圧部に作用する前記パイロット圧を設定可能な比例弁と、
前記操作部材の第1操作位置及び第2操作位置のいずれかを検出可能な操作検出装置と、
前記第1制御弁が前記非作動状態及び作動状態のいずれかを検出可能な状態検出装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記操作検出装置が検出した第1操作位置及び第2操作位置のいずれかの操作位置と、前記状態検出装置が検出した前記非作動状態及び作動状態のいずれかの状態とに基づいて前記比例弁の開度を設定することで、前記第1圧力、第2圧力及び前記第3圧力を設定する請求項3に記載の作業機の油圧システム。
【請求項5】
前記第1圧力をPS1、第2圧力をPS2、前記第3圧力をPS3にした場合に、PS1>PS3>PS2である請求項3又は4に記載の作業機の油圧システム。
【請求項6】
前記第1油圧アクチュエータは、伸縮自在な油圧シリンダであり、
前記第1制御弁は、前記油圧シリンダを伸縮させる切換弁であり、
前記制御装置は、前記作動状態として前記第1制御弁が前記油圧シリンダに作動油を供給して収縮させる場合に前記第2制御弁を前記中途位置に切り換える請求項1〜5のいずれかに記載の作業機の油圧システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキッドステアローダ、コンパクトトラックローダ等の作業機の油圧システム及び制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業機の油圧システムとして特許文献1が知られている。特許文献1の作業機は、ブームと、バケットと、ブームを作動させるブームシリンダと、バケットを作動させるバケットシリンダと、予備アタッチメントを作動させる予備アクチュエータと、ブームシリンダの伸縮を制御する第1制御弁と、バケットシリンダの伸縮を制御する第2制御弁と、予備アクチュエータを作動させる第3制御弁を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−270527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の作業機では、第1制御弁のスプールを操作していない場合には、ポンプから吐出した作動油は、第1制御弁の内部を通過して第2制御弁及び第3制御弁に供給することが可能である。一方、第1制御弁のスプールを操作した場合では、ブームシリンダから第1制御弁に戻ってきた作動油(戻り油)を、第2制御弁及び第3制御弁に供給することが可能である。即ち、特許文献1の作業機の油圧回路では、上流側の制御弁(第1制御弁)から戻って来た戻り油を下流側の制御弁(第2制御弁、第3制御弁)に供給するシリーズ回路を採用している。しかしながら、シリーズ回路では、上流側の制御弁の作動時などに、下流側の第2制御弁や第3制御弁等を作動させることが難しくなる場合があった。
【0005】
本発明は、上記したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、シリーズ回路において、複数の制御弁(油圧アクチュエータ)を容易に作動させることができる作業機の油圧システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下の通りである。
作業機の油圧システムは、作動油を吐出する油圧ポンプと、第1油圧アクチュエータと、第2油圧アクチュエータと、前記第1油圧アクチュエータに供給する作動油の流量を制御する第1制御弁と、前記第2油圧アクチュエータに供給する作動油の流量を制御する第2制御弁と、前記第1制御弁と前記第2制御弁とを接続し且つ、前記第1油圧アクチュエータから前記第1制御弁に戻る作動油である戻り油が流れる戻り油路と、前記戻り油とは別に前記第1制御弁と前記第2制御弁とを接続し且つ、中途部で前記戻り油路が連通する供給油路と、前記第2制御弁に接続された排出油路と、前記第2制御弁を操作する操作部材と、前記操作部材の操作に応じて前記第2制御弁を制御する制御装置と、を備え、前記第2制御弁は、前記供給油路と前記排出油路とを遮断し且つ前記戻り油を前記第2油圧アクチュエータに供給する作動位置と、前記供給油路と前記排出油路とを連通し且つ前記戻り油を前記第2油圧アクチュエータに供給しない停止位置と、前記供給油路と前記排出油路とを連通し且つ前記戻り油を前記第2油圧アクチュエータに供給する中途位置とに切り換え可能であり、前記制御装置は、前記第1制御弁が前記第1油圧アクチュエータに作動油を供給していない非作動状態で前記操作部材が第1操作位置である場合には前記第2制御弁を前記作動位置に切り換え、前記第1制御弁が前記非作動状態で前記操作部材が第2操作位置である場合には前記第2制御弁を前記停止位置に切り換え、前記第1制御弁が前記第1油圧アクチュエータに作動油を供給している作動状態で前記操作部材が前記第1操作位置である場合は前記第2制御弁を前記中途位置に切り換える。
【0007】
前記第2制御弁は、前記戻り油路が接続される第1供給ポートと、前記供給油路が接続される第2供給ポートと、前記第2油圧アクチュエータに連通する出力ポートと、前記排出油路が接続される排出ポートとを含み、前記第2制御弁は、前記作動位置では前記第1供給ポートと前記出力ポートとを連通し且つ前記第2供給ポートと前記排出ポートとの経路を閉鎖し、前記停止位置では前記第1供給ポートと前記出力ポートとの経路を閉鎖し且つ前記第2供給ポートと前記排出ポートとの経路を開放し、前記中途位置では前記第1供給ポートと前記出力ポートとを連通し且つ前記第2供給ポートと前記排出ポートとを連通する。
【0008】
前記第2制御弁は、当該第2制御弁の受圧部に供給されたパイロット油の圧力であるパイロット圧に応じて前記作動位置、前記停止位置及び中途位置に切り換わる切換弁であり、前記制御装置は、前記第1制御弁が前記非作動状態で前記操作部材が第1操作位置である場合には、前記受圧部に作用する前記パイロット圧を前記作動位置に対応する第1圧力に設定し、前記第1制御弁が前記非作動状態で前記操作部材が第2操作位置である場合には、前記受圧部に作用する前記パイロットを前記停止位置に対応する第2圧力に設定し、前記第1制御弁が前記作動状態で前記操作部材が前記第1操作位置である場合は、前記受圧部に作用する前記パイロット圧を前記中途位置に対応する第3圧力に設定する。
【0009】
作業機の油圧システムは、前記第2制御弁の受圧部に作用する前記パイロット圧を設定可能な比例弁と、前記操作部材の第1操作位置及び第2操作位置のいずれかを検出可能な操作検出装置と、前記第1制御弁が前記非作動状態及び作動状態のいずれかを検出可能な状態検出装置と、を備え、前記制御装置は、前記操作検出装置が検出した第1操作位置及び第2操作位置のいずれかの操作位置と、前記状態検出装置が検出した前記非作動状態及び作動状態のいずれかの状態とに基づいて前記比例弁の開度を設定することで、前記第1圧力、第2圧力及び前記第3圧力を設定する。
【0010】
前記第1圧力をPS1、第2圧力をPS2、前記第3圧力をPS3にした場合に、PS1>PS3>PS2である。
前記第1油圧アクチュエータは、伸縮自在な油圧シリンダであり、前記第1制御弁は、前記油圧シリンダを伸縮させる切換弁であり、前記制御装置は、前記作動状態として前記第1制御弁が前記油圧シリンダに作動油を供給して収縮させる場合に前記第2制御弁を前記中途位置に切り換える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シリーズ回路において、複数の制御弁(油圧アクチュエータ)を容易に作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】作業機の油圧システム(油圧回路)を示す図である。
図2】操作部材の操作量(位置)とパイロット圧との関係を示す図である。
図3】作業機として例示するスキッドステアローダの全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る作業機の油圧システムの好適な実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。
まず、作業機から説明する。
図3は、本発明に係る作業機の側面図を示している。図3では、作業機の一例として、スキッドステアローダを示している。但し、本発明に係る作業機はスキッドステローダに限定されず、例えば、コンパクトトラックローダ等の他の種類のローダ作業機であってもよい。また、ローダ作業機以外の作業機であってもよい。
【0014】
作業機1は、機体(車体)2と、キャビン3と、作業装置4と、走行装置5A、5Bとを備えている。
機体2上にはキャビン3が搭載されている。キャビン3内の後部には運転席8が設けられている。本発明の実施形態において、作業機1の運転席8に着座した運転者の前側(図3の左側)を前方、運転者の後側(図3の右側)を後方、運転者の左側(図3の手前側)を左方、運転者の右側(図3の奥側)を右方として説明する。また、前後の方向に直交する方向である水平方向を機体幅方向として説明する。機体2の中央部から右部或いは左部へ向かう方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向であって、機体2から離れる方向である。機体外方とは反対の方向を、機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向であって、機体2に近づく方向である。
【0015】
キャビン3は、機体2に搭載されている。作業装置4は、作業を行う装置で、機体2に装備されている。走行装置5Aは、機体2を走行させる装置であって、機体2の左側に設けられている。走行装置5Bは、機体2を走行させる装置であって、機体2の右側に設けられている。機体2内の後部には原動機7が設けられている。原動機7は、ディーゼルエンジン(エンジン)である。なお、原動機7は、エンジンに限定されず、電動モータ等であってもよい。
【0016】
運転席8の左側には、走行レバー9Lが設けられている。運転席8の右側には、走行レバー9Rが設けられている。左側の走行レバー9Lは、左側の走行装置5Aを操作するものであり、右側の走行レバー9Rは、右側の走行装置5Bを操作するものである。
作業装置4は、ブーム10と、バケット11と、リフトリンク12と、制御リンク13と、ブームシリンダ14と、バケットシリンダ17とを有する。ブーム10は、機体2の側方に設けられている。バケット11は、ブーム10の先端(前端)に設けられている。リフトリンク12及び制御リンク13は、ブーム10の基部(後部)を支持する。ブームシリンダ14は、ブーム10を上又は下に駆動する。
【0017】
詳しくは、リフトリンク12、制御リンク13及びブームシリンダ14は、機体2の側方に設けられている。リフトリンク12の上部は、ブーム10の基部の上部に枢支されている。リフトリンク12の下部は、機体2の後部の側部に枢支されている。制御リンク13は、リフトリンク12の前方に配置されている。制御リンク13の一端は、ブーム10の基部の下部に枢支され、他端が機体2に枢支されている。
【0018】
ブームシリンダ14は、ブーム10を昇降する油圧シリンダである。ブームシリンダ14の上部は、ブーム10の基部の前部に枢支されている。ブームシリンダ14の下部は、機体2の後部の側部に枢支されている。ブームシリンダ14を伸縮すれば、リフトリンク12及び制御リンク13によってブーム10が上下に揺動する。バケットシリンダ17は、バケット11を揺動する油圧シリンダである。バケットシリンダ17は、バケット11の左部と左のブームとの間を連結すると共に、バケット11の右部と右のブームとの間を連結する。なお、ブーム10の先端(前部)には、バケット11の代わりに、油圧圧砕機,油圧ブレーカ,アングルブルーム,オーガー,パレットフォーク,スイーパー,モア,スノウブロア等の予備アタッチメント、即ち、作業具が装着可能とされている。
【0019】
走行装置5A,5Bは、本実施形態では前輪5F及び後輪5Rを有する車輪型の走行装置5A,5Bが採用されている。なお、走行装置5A,5Bとしてクローラ型(セミクローラ型を含む)の走行装置5A,5Bを採用してもよい。
次に、スキッドステアローダ1に設けられた作業系油圧回路(作業系油圧システム)について説明する。
【0020】
作業系油圧システムは、ブーム10、バケット11、予備アタッチメント等を作動させるシステムであって、図1に示すように、複数の制御弁20と、作業系の油圧ポンプ(第1油圧ポンプ)P1を備えている。また、第1油圧ポンプP1とは異なる第2油圧ポンプP2を備えている。
第1油圧ポンプP1は、原動機7の動力によって作動するポンプであって、定容量型のギヤポンプによって構成されている。第1油圧ポンプP1は、タンク(作動油タンク)15に貯留された作動油を吐出可能である。第2油圧ポンプP2は、原動機7の動力によって作動するポンプであって、定容量型のギヤポンプによって構成されている。第2油圧ポンプP2は、タンク(作動油タンク)15に貯留された作動油を吐出可能である。なお、第2油圧ポンプP2は、油圧システムにおいて、信号用の作動油、制御用の作動油を吐出する。信号用の作動油及び制御用の作動油のことをパイロット油という。
【0021】
複数の制御弁20は、作業機1に設けられた様々な油圧アクチュエータを制御する弁である。油圧アクチュエータとは、作動油によって作動する装置で、油圧シリンダ、油圧モータ等である。この実施形態では、複数の制御弁20は、ブーム制御弁20A、バケット制御弁20B、予備制御弁20Cである。
ブーム制御弁20Aは、ブーム10を作動する油圧アクチュエータ(ブームシリンダ)14を制御する弁である。ブーム制御弁20Aは、直動スプール形3位置切換弁である。ブーム制御弁20Aは、中立位置20a3、中立位置20a3とは異なる第1位置20a1、中立位置20a3及び第1位置20a1とは異なる第2位置20a2に切り換わる。ブーム制御弁20Aにおいて、中立位置20a3、第1位置20a1、第2位置20a2の切換は、操作部材の操作によりスプールを動かすことによって行う。なお、ブーム制御弁20Aの切換は、操作部材を手動操作することによってスプールを直接移動させることにより行っているが、スプールを油圧操作(パイロットバルブによる油圧操作、比例弁による油圧操作)で移動させてもよいし、電気操作(ソレノイドを励磁することによる電気操作)で移動させてもよいし、その他の方法で移動させてもよい。
【0022】
ブーム制御弁20Aと、第1油圧ポンプP1とは吐出油路27により接続されている。吐出油路27であって、ブーム制御弁20Aと第1油圧ポンプP1との間の区間には、作動油タンク15に繋がる油路26が接続されている。油路26の中途部にリリーフ弁(メインリリーフ弁)25が設けられている。第1油圧ポンプP1から吐出した作動油は、吐出油路27を通過してブーム制御弁20Aに供給される。また、ブーム制御弁20Aと、ブームシリンダ14とは、油路21で接続されている。
【0023】
詳しくは、ブームシリンダ14は、筒体14aと、筒体14aに移動自在に設けられたロッド14bと、ロッド14bに設けられたピストン14cとを備えている。筒体14aの基端部(ロッド14b側とは反対側)には、作動油を給排する第1ポート14dが設けられている。筒体14aの先端(ロッド14b側)には、作動油を給排する第2ポート14eが設けられている。
【0024】
油路21は、ブーム制御弁20Aの第1ポート31とブームシリンダ14の第1ポート14dとを接続する油路21aと、ブーム制御弁20Aの第2ポート32とブームシリンダ14の第2ポート14eとを接続する油路21bとを有している。
したがって、ブーム制御弁20Aを第1位置(上昇位置)20a1にすれば、油路21aからブームシリンダ14の第1ポート14dに作動油を供給することができると共に、ブームシリンダ14の第2ポート14eから油路21bに作動油を排出することができる。これによって、ブームシリンダ14は伸長し、ブーム10は上昇する。ブーム制御弁20Aを第2位置(下降位置)20a2にすれば、油路21bからブームシリンダ14の第2ポート14eに作動油を供給することができると共に、ブームシリンダ14の第1ポート14dから油路21aに作動油を排出することができる。これによって、ブームシリンダ14は収縮し、ブーム10は下降する。
【0025】
バケット制御弁20Bは、バケット11を制御する油圧シリンダ(バケットシリンダ)17を制御する弁である。バケット制御弁20Bは、パイロット方式の直動スプール形3位置切換弁である。バケット制御弁20Bは、中立位置20b3、中立位置20b3とは異なる第1位置20b1、中立位置20b3及び第1位置20b1とは異なる第2位置20b2に切り換わる。バケット制御弁20Bにおいて、中立位置20b3、第1位置20b1及び第2位置20b2の切換は、レバー等の操作部材111を手動操作することによりスプールを動かすことによって行う。なお、バケット制御弁20Bの切換は、操作部材を手動操作することによってスプールを直接移動させることにより行っているが、スプールを油圧操作(パイロットバルブによる油圧操作、比例弁による油圧操作)で移動させてもよいし、電気操作(ソレノイドを励磁することによる電気操作)で移動させてもよいし、その他の方法で移動させてもよい。
【0026】
バケット制御弁20Bと、バケットシリンダ17とは、油路22で接続されている。詳しくは、バケットシリンダ17は、筒体17aと、筒体17aに移動自在に設けられたロッド17bと、ロッド17bに設けられたピストン17cとを備えている。筒体17aの基端部(ロッド17b側と反対側)には、作動油を給排する第1ポート17dが設けられている。筒体17aの先端(ロッド17b側)には、作動油を給排する第2ポート17eが設けられている。
【0027】
油路22は、バケット制御弁20Bの第1ポート35とバケットシリンダ17の第2ポート17eとを接続する連通油路22aと、バケット制御弁20Bの第2ポート36とバケットシリンダ17の第1ポート17dとを接続する連通油路22bとを有している。
したがって、バケット制御弁20Bを第1位置(掬い位置)20b1にすれば、連通油路22aからバケットシリンダ17の第2ポート17eに作動油を供給することができると共に、バケットシリンダ17の第1ポート17dから連通油路22bに作動油を排出することができる。これによって、バケットシリンダ17は収縮し、バケット11は掬い動作する。
【0028】
また、バケット制御弁20Bを第2位置(ダンプ位置)20a2にすれば、連通油路22bからバケットシリンダ17の第1ポート17dに作動油を供給することができると共に、バケットシリンダ17の第2ポート17eから連通油路22aに作動油を排出することができる。これによって、バケットシリンダ17は伸長し、ダンプ動作する。
予備制御弁20Cは、予備アタッチメント、即ち、作業具に装着された油圧アクチュエータ(油圧シリンダ、油圧モータ等の油圧機器)16を制御する弁である。予備制御弁20Cは、パイロット方式の直動スプール形3位置切換弁である。予備制御弁20Cは、第1入力ポート44a、第2入力ポート44b、第3入力ポート44cを有している。第1供給ポートである第1入力ポート44及び第2入力ポート44bには、後述する戻り油路81が接続され、戻り油路81の作動油が供給される。第2供給ポートである第3入力ポート44cには、後述する中央油路(供給油路)72が接続され、中央油路72の作動油が供給される。
【0029】
予備制御弁20Cは、第1出力ポート82a、第2出力ポート82bを有している。出力ポートである第1出力ポート82a、第2出力ポート82bには、給排油路83a、83bが接続されている。給排油路83a、83bには、接続部材18が接続され、当該接続部材18には、予備アタッチメントの油圧アクチュエータ16に接続された油路が接続される。即ち、出力ポート(第1出力ポート82a、第2出力ポート82b)は、油圧アクチュエータ16に連通している。
【0030】
予備制御弁20Cは、排出ポート84を有している。排出ポート84には、排出油路24が接続されている。排出油路24は、作動油を作動油タンク15等の排出部に排出する油路であって、作動油タンク15に向けて延びている。
予備制御弁20Cは、中立位置20c3、中立位置20c3とは異なる第1位置20c1、中立位置20c3及び第1位置20c1とは異なる第2位置20c2に切り換わる。予備制御弁20Cが第1位置20c1である場合、第1入力ポート44aと第1出力ポート82aとを連通し且つ第3入力ポート44cと排出ポート84との経路を閉鎖する。予備制御弁20Cが第2位置20c2である場合、第2入力ポート44bと第2出力ポート82bとを連通し且つ第3入力ポート44cと排出ポート84との経路を閉鎖する。即ち、予備制御弁20Cは、作動位置(第1位置20c1、第2位置20c2)である場合は、第1供給ポート(第1入力ポート44a、第2入力ポート44b)と出力ポート(第1出力ポート82a、第2出力ポート82b)とを連通し且つ第2供給ポート(第3入力ポート44c)と排出ポート84との経路を遮断する。
【0031】
予備制御弁20Cは、中立位置(停止位置)20c3では、第1供給ポート(第1入力ポート44a、第2入力ポート44b)と出力ポート(第1出力ポート82a、第2出力ポート82b)との経路を遮断し、第2供給ポート(第3入力ポート44c)と排出ポート84との経路を開放する。
予備制御弁20Cは、パイロット油を受圧する受圧部86a、86bを有している。受圧部86a、86bには、それぞれパイロット油路87a、87bに接続されている。また、パイロット油路87a、87bは、第2油圧ポンプP2が接続されている。受圧部86a、86bには、比例弁88a、88bが内蔵されていて、当該比例弁88a、88bによって受圧部86a、86bに作用する作動油の圧力[パイロット油の圧力(パイロット圧)]が変更することができる。具体的には、比例弁88a、88bは、励磁によって開度が変更可能な電磁弁である。比例弁88a、88bの開度を変更することによって、予備制御弁20Cの受圧部86a、86bに作用するパイロット圧が変化し、これにより、予備制御弁20Cのスプールが任意の方向に移動する。
【0032】
例えば、比例弁88aを開くと、パイロット油は予備制御弁20Cの受圧部86aに作用し、当該比例弁88aの開度によって受圧部86aに付与(作用)するパイロット圧が決まる。受圧部86aに付与されたパイロット圧が所定値以上になると、予備制御弁20Cのスプールは、中立位置20c3から第1位置20c1側へ移動する。また、比例弁88bを開くと、パイロット油は予備制御弁20Cの受圧部86bに作用し、当該比例弁88bの開度によって受圧部86bに付与(作用)するパイロット圧が決まる。受圧部86bに付与されたパイロット圧が所定値以上になると、予備制御弁20Cのスプールは、中立位置20c3から第2位置20c2側へ移動する。
【0033】
比例弁88a、88bの励磁等は、制御装置90で行う。制御装置90は、CPU等から構成されている。制御装置90には、操作部材93が接続されている。制御装置90には、操作部材93の操作量(例えば、スライド量、揺動量等)が入力される。操作部材93は、例えば、揺動自在なシーソ型スイッチ、スライド自在なスライド型スイッチ、或いは、押圧自在なプッシュ型スイッチで構成されている。操作部材93を一方向に操作すると、一方向の操作量(第1操作量)が制御装置90に入力され、当該制御装置90は第1操作量に応じて比例弁88aの開度を変更する。なお、第1操作量が最大である場合、比例弁88aの開度が最大であり、第1操作量が最小である場合、比例弁88aの開度が最小である。即ち、第1操作量と比例弁88aの開度とが略比例関係にある。
【0034】
また、操作部材93を他方向に操作すると、他方向の操作量(第2操作量)が制御装置90に入力され、当該制御装置90は第2操作量に応じて比例弁88bの開度を変更する。なお、第2操作量が最大である場合、比例弁88bの開度が最大であり、第2操作量が最小である場合、比例弁88bの開度が最小である。即ち、第2操作量と第2比例弁60Bの開度とが略比例関係にある。なお、操作部材93の操作量(第1操作量、第2操作量)は、操作部材93の揺動量等を検出する操作検出装置110によって検出することができる。操作検出装置110は、例えば、ポテンショメータ等で構成されている。
【0035】
以上、作業機の油圧システムによれば、操作部材93を操作することによって、比例弁88a、88bの開度を設定して、予備制御弁20Cのスプールを移動させることで、予備アクチュエータに供給する作動油の流量を変更することができる。つまり、予備制御弁20Cを第1位置20c1にすれば、給排油路83aから予備アタッチメントの油圧アクチュエータ16に作動油を供給することができる。予備制御弁20Cを第2位置20c2にすれば、給排油路83bから予備アタッチメントの油圧アクチュエータ16に作動油を供給することができる。このように、給排油路83a又は給排油路83bから油圧アクチュエータ16に作動油を供給することにより、当該油圧アクチュエータ16(予備アタッチメント)を作動させることができる。
【0036】
さて、油圧システムにおいては、シリーズ回路(シリーズ油路)が適用されている。シリーズ回路では、油圧アクチュエータから上流側の制御弁に戻った作動油が、下流側の制御弁に供給可能である。例えば、バケット制御弁20Bと、予備制御弁20Cとに着目すると、バケット制御弁20Bが上流側の制御弁であり、予備制御弁20Cが下流側の制御弁である。
【0037】
以下、上流側の制御弁を「第1制御弁」、下流側の制御弁を「第2制御弁」という。第1制御弁及び第2制御弁以外の制御弁であって第2制御弁の下流側に設けられた制御弁のことを「第3制御弁」という。
また、第1制御弁に対応する油圧アクチュエータのことを「第1油圧アクチュエータ」、第2制御弁に対応する油圧アクチュエータのことを「第2油圧アクチュエータ」、第3制御弁に対応する油圧アクチュエータのことを「第3油圧アクチュエータ」という。第1油圧アクチュエータから第1制御弁に戻る作動油である戻り油を、第2制御弁に供給する油路のことを、「第1油路」という。
【0038】
この実施形態では、バケット制御弁20Bが「第1制御弁」、予備制御弁20Cが「第2制御弁」、ブーム制御弁20Aが「第3制御弁」である。また、バケットシリンダ17が「第1油圧アクチュエータ」、予備アタッチメントの油圧アクチュエータ16が「第2油圧アクチュエータ」、ブームシリンダ14が「第3油圧アクチュエータ」である。
まず、ブーム制御弁20Aについて説明する。
【0039】
第3制御弁20Aと第1油圧ポンプP1の吐出部とは、吐出油路27により接続されている。吐出油路27は中途部27aで分岐している。吐出油路27の分岐後の油路は、第3制御弁20Aの第1入力ポート46a及び第2入力ポート46bに接続されている。また、吐出油路27は、第3制御弁20Aの第3入力ポート46cに接続されている。したがって、第1油圧ポンプP1から吐出した作動油は、吐出油路27、第1入力ポート46a、第2入力ポート46b、第3入力ポート46cを通じて、第3制御弁20A内に供給することが可能である。第3制御弁20Aと第1制御弁20Bとは、中央油路51により接続されている。中央油路51は、第3制御弁20Aの第3出力ポート41cと、第1制御弁20Bの第3入力ポート42cとを接続している。
【0040】
第3制御弁20Aを中立位置20a3にした場合、第3入力ポート46cと第3出力ポート41cとを結ぶ中央油路53cの連通によって、吐出油路27から第3制御弁20Aに供給された作動油である供給油は、当該第3制御弁20Aを通過して中央油路51に供給される。
第3制御弁20Aと第1制御弁20Bとは、中央油路51とは別に、油路61により接続されている。油路61は、第3油圧アクチュエータ14から第3制御弁20Aに戻る戻り油を、第3制御弁20Aを通過させて第1制御弁20Bに供給する油路である。
【0041】
油路61は、第3制御弁20Aの第1出力ポート41aと第1制御弁20Bの第1入力ポート42aとを接続し、且つ、第3制御弁20Aの第2出力ポート41bと第1制御弁20Bの第2入力ポート42bとを接続している。油路61の中途部は、中央油路51に接続されている。
以上によれば、第3制御弁20Aを第2位置20a2にした場合、第2入力ポート46bへ導入された供給油は、第2ポート32及び油路21bを通過して第3油圧アクチュエータ14の第2ポート14eに入ることになる。第2ポート14eに供給油が供給されると、例えば、第3油圧アクチュエータ14は収縮する。第3油圧アクチュエータ14が収縮すると、当該第3油圧アクチュエータ14の第1ポート14dから排出された戻り油が、油路21aを通過して第3制御弁20Aに流れ、当該第3制御弁20Aの戻り油は、油路61を通って、第1制御弁20Bに向けて流れる。したがって、第3油圧アクチュエータ14の戻り油を第1制御弁20Bに供給することができる。
【0042】
次に、第1制御弁20Bと第2制御弁20Cとの関係について、詳しく説明する。
第1制御弁20Bと第2制御弁20Cとは、中央油路(供給油路)72により接続されている。供給油路72は、第1制御弁20Bの第3出力ポート43cと、第2制御弁20Cの第3入力ポート(第2供給ポート)44cとを接続している。したがって、第1制御弁20Bを中立位置20b3にした場合、第1制御弁20Bに供給された作動油である供給油は、第3入力ポート42cと第3出力ポート43cとを結ぶ中央油路73cを通って、第3出力ポート43cに接続された供給油路72に供給される。
【0043】
第1制御弁20Bと第2制御弁20Cとは、供給油路72とは別に、戻り油路81により接続されている。戻り油路81は、第1油圧アクチュエータ17から第1制御弁20Bに戻る戻り油を、第2制御弁20Cに供給する油路である。詳しくは、第2制御弁20Cの第1入力ポート44a及び第2入力ポート44bに戻り油路81の一端が接続されている。また、戻り油81の他端は、第1制御弁20Bの第1出力ポート43a及び第2出力ポート43bに接続されている。戻り油路81の中途部には、供給油路72が合流していて、これにより、戻り油路81と供給油路72とが連通している。
【0044】
以上によれば、第1制御弁20Bを第2位置20b2にした場合、第2入力ポート42bへ導入された供給油は、第2ポート36及び連通油路22bを通過して第1油圧アクチュエータ17の第1ポート17dに入ることになる。第1ポート17dに供給油が供給されると、例えば、第1油圧アクチュエータ17は伸長する。第1油圧アクチュエータ17が伸長すると、当該第1油圧アクチュエータ17の第2ポート17eから排出された戻り油が、連通油路22aを通過して戻り油路81aに流れ、戻り油路81aの戻り油は、第2制御弁20Cに向けて流れる。したがって、第1油圧アクチュエータ17の戻り油を第2制御弁20Cに供給することができる。
【0045】
第2制御弁20Cは、第1位置20c1である場合は、第1入力ポート44aと第1出力ポート82aとの経路を連通するため、第1油圧アクチュエータ17の戻り油を、第2油圧アクチュエータ16に供給する。第2制御弁20Cは、第2位置20c2である場合も第2入力ポート44bと第2出力ポート82bとの経路を連通するため、第1油圧アクチュエータ17の戻り油を、第2油圧アクチュエータ16に供給する。つまり、第2制御弁20Cが作動位置(第1位置20c1、第2位置20c2)である場合は、戻り油を第2油圧アクチュエータ16に供給することができる。
【0046】
また、第2制御弁20Cは、第1位置20c1である場合及び第2位置20c2である場合のいずれも、第2供給ポート(第3入力ポート44c)と排出ポート84との経路を遮断することから、中央油路(供給油路)72と排出油路24とを遮断する。
予備制御弁20Cは、停止位置20c3である場合、第1入力ポート44aと第1出力ポート82aとの経路、及び、第2入力ポート44bと第2出力ポート82bとの経路を遮断することから、戻り油を第2油圧アクチュエータ16に供給しない。また、予備制御弁20Cは、停止位置20c3である場合、第2供給ポート(第3入力ポート44c)と排出ポート84との経路を開放することから、中央油路(供給油路)72と排出油路24とを連通する。
【0047】
さて、作業機の油圧システムでは、第1制御弁20Bの作動に応じて、第2制御弁20Cの作動を変化させている。
図2は、操作部材93の操作量(位置)と、第2制御弁20Cの受圧部86a、86bに作用するパイロット圧との関係を示している。なお、第2制御弁20Cの受圧部86a、86bに作用するパイロット圧は、比例弁88a、88bの開度、即ち、制御装置90から比例弁88a、88bのソレノイドに出力する電流に置き換えることが可能である。そのため、説明の便宜上、第2制御弁20Cの受圧部86a、86bに作用するパイロット圧の代わりに、比例弁88a、88bの開度(電流値)を用いて説明することがある。図2に示すように、操作部材93を中立状態から徐々に一方向に操作すると、パイロット圧(開度、電流値)は、操作部材93の操作量に応じて徐々に増加する。また、操作部材93を中立状態から徐々に他方向に操作すると、パイロット圧(開度、電流値)は、操作部材93の操作量に応じて徐々に増加する。即ち、操作部材93の操作量と、パイロット圧(開度、電流値)は比例関係にある。
【0048】
以下、図1図2を用いて、第1制御弁20Bが第1油圧アクチュエータ17に作動油を供給していない非作動状態における第2制御弁20Cの作動について説明する。
非作動状態とは、第1制御弁20Bが中立位置30b3である場合、言い換えれば、第1制御弁20Bが第1位置20b1及び第2位置20b2のいずれかの位置に切り換えられておらず、実質的に第1油圧アクチュエータ17を伸縮させるための作動油が第1制御弁20Bから出力されていない状態である。第1制御弁20Bが非作動状態であるか否かは、制御装置90に接続された状態検出装置112によって検出することができる。状態検出装置112は、例えば、第1制御弁20Bを操作する操作部材111の位置を検出するポテンショメータであって、操作部材111の位置が中立位置30b3に対応する位置である場合、非作動状態であることを検出する。なお、状態検出装置112は、一例であり、第1制御弁20Bが非作動状態であるか否かは、第1制御弁20Bのスプールの移動により検出してもよいし、第1制御弁20Bが受圧部に作用したパイロット圧で切り換えられる場合は受圧部に作用したパイロット圧により検出してもよいし、第1制御弁20Bが電気操作で切り換わる場合は当該第1制御弁20Bに出力される電気信号により検出してもよい。
【0049】
図2に示すように、第1制御弁20Bが非作動状態である状況下で、操作部材93を一方向又は他方向に操作したとする。ここで、操作検出装置110が検出した操作部材93の第1操作量が最大値である場合、制御装置90は、比例弁88aの開度を最大にする、即ち、受圧部86aに作用するパイロット圧を最も高い第1圧力PS1に設定することで、第2制御弁20Cを第1位置20c1にする。また、操作検出装置110が検出した操作部材93の第2操作量が最大値である場合、制御装置90は、比例弁88bの開度を最大にする、即ち、受圧部86bに作用するパイロット圧を最も高い第1圧力PS1に設定することで、第2制御弁20Cを第2位置20c2にする。つまり、制御装置90は、第1制御弁20Bが非作動状態である状況下において、操作検出装置110によって操作部材93の第1操作量及び第2操作量のいずれかが最大であることを検出することで、操作部材93がフルストロークした第1操作位置(第1操作量が最大に達する位置、第2操作量が最大に達する位置)であると判断した場合、第2制御弁20Cを作動位置(第1位置20c1、第2位置20c2)にする。
【0050】
第1制御弁20Bが非作動状態である状況下で、操作検出装置110が検出した操作部材93の操作量が最小値である場合、制御装置90は、比例弁88aの開度を最小にする、即ち、受圧部86a、86bに作用するパイロット圧を最も低い第2圧力PS2に設定することで、第2制御弁20Cを停止位置20c3にする。つまり、制御装置90は、第1制御弁20Bが非作動状態である状況下において、操作検出装置110によって操作部材93の操作量が最小であることを検出することで、操作部材93が中立位置(第2操作位置)であると判断した場合は、第2制御弁20Cを停止位置20c3にする。
【0051】
したがって、第1制御弁20Bが非作動状態である場合においては、操作部材93をフルストロークにすることにより、第2制御弁20Cを作動位置(第1位置20c1、第2位置20c2)にしている。
次に、第1制御弁20Bが第1油圧アクチュエータ17に作動油を供給する作動状態(第1制御弁20Bが第1位置20b1及び第2位置20b2のいずれかである場合)における第2制御弁20Cの作動について説明する。なお、第1制御弁20Bが作動状態であるか否かは、状態検出装置112によって検出することができる。状態検出装置112が非作動状態を検出している場合は、第1制御弁20Bが作動状態でないことを検出したのに相当し、非作動状態を検出していない場合は、第1制御弁20Bが作動状態を検出していることに相当する。つまり、状態検出装置112によって、非作動状態及び作動状態のいずれかであるかを検出することができる。
【0052】
第1制御弁20Bが作動状態である場合において、操作検出装置110が検出した操作部材93の第1操作量が最大値である場合、制御装置90は、比例弁88aの開度を最大よりも小さな開度にする、即ち、受圧部86aに作用するパイロット圧を第1圧力PS1よりも低く第2圧力PS2よりも高い第3圧力PS3に設定する。言い換えれば、第1制御弁20Bが作動状態で且つ第1操作量が最大値である場合、制御装置90は、比例弁88aに出力する電流値を、作動位置(第1位置20c1)である場合の電流値よりも低くする。より詳しくは、比例弁88aに出力する電流値の最大値(上限値)を、非作動状態よりも小さくする。これにより、制御装置90は、第2制御弁20Cを第1位置20c1と停止位置20c3との間の中途位置(第1中途位置)に切り換える。第2制御弁20Cが第1中途位置では、第1入力ポート44aと第1出力ポート82aとが連通し且つ、第2供給ポート(第3入力ポート44c)と排出ポート84とも連通する。即ち、第2制御弁20Cが第1中途位置である場合、供給油路72と排出油路24とを連通し且つ第1制御弁20Bの戻り油を給排油路83aを介して第2油圧アクチュエータ16に供給する。
【0053】
第1制御弁20Bが作動状態である場合において、操作検出装置110が検出した操作部材93の第2操作量が最大値である場合、制御装置90は、比例弁88bの開度を最大よりも小さな開度にする、即ち、受圧部86bに作用するパイロット圧を第1圧力PS1よりも低く第2圧力PS2よりも高い第3圧力PS3に設定する。言い換えれば、第1制御弁20Bが作動状態で且つ第2操作量が最大値である場合、制御装置90は、比例弁88bに出力する電流値を、作動位置(第2位置20c2)である場合の電流値よりも低くする。より詳しくは、比例弁88bに出力する電流値の最大値(上限値)を、非作動状態よりも小さくする。これにより、制御装置90は、第2制御弁20Cを第2位置20c2と停止位置20c3との間の中途位置(第2中途位置)に切り換える。第2制御弁20Cが第2中途位置では、第2入力ポート44bと第2出力ポート82bとが連通し且つ、第2供給ポート(第3入力ポート44c)と排出ポート84とも連通する。即ち、第2制御弁20Cが第2中途位置である場合、供給油路72と排出油路24とを連通し且つ第1制御弁20Bの戻り油を給排油路83bを介して第2油圧アクチュエータ16に供給する。
【0054】
作業機の油圧システムは、作動油を吐出する油圧ポンプP1と、第1油圧アクチュエータ17と、第2油圧アクチュエータ16と、第1油圧アクチュエータ17に供給する作動油の流量を制御する第1制御弁20Bと、第2油圧アクチュエータ16に供給する作動油の流量を制御する第2制御弁20Cと、第1制御弁20Bと第2制御弁20Cとを接続し且つ、戻り油が流れる戻り油路81と、戻り油とは別に第1制御弁20Bと第2制御弁20Cとを接続し且つ、中途部で戻り油路81が連通する供給油路72と、第2制御弁20Cに接続された排出油路24と、第2制御弁20Cを操作する操作部材93と、操作部材93の操作に応じて第2制御弁20Cを制御する制御装置90と、を備えている。
【0055】
また、第2制御弁20Cは、供給油路72と排出油路24とを遮断し且つ戻り油を第2油圧アクチュエータ16に供給する作動位置(第1位置20c1、第2位置20c2)と、供給油路72と排出油路24とを連通し且つ戻り油を第2油圧アクチュエータ16に供給しない停止位置20c3と、供給油路72と排出油路24とを連通し且つ戻り油を第2油圧アクチュエータ16に供給する中途位置とに切り換え可能である。
【0056】
制御装置90は、第1制御弁20Bが第1油圧アクチュエータ17に作動油を供給していない非作動状態で操作部材93が第1操作位置である場合には第2制御弁20Cを作動位置(第1位置20c1、第2位置20c2)に切り換え、第1制御弁20Bが非作動状態で操作部材93が第2操作位置である場合には第2制御弁20Cを停止位置20c3に切り換え、第1制御弁20Bが第1油圧アクチュエータ17に作動油を供給している作動状態で操作部材93が第1操作位置である場合は第2制御弁20Cを中途位置に切り換える。
【0057】
これによれば、第1油圧アクチュエータ17が第1制御弁20Bによって作動していない状態(非作動状態)において、操作部材93を第1操作位置に操作した場合には、第1制御弁20Bから当該第2制御弁20Cに供給された戻り油によって第2油圧アクチュエータ16を作動させることができ、操作部材93が第2操作位置である場合には第2油圧アクチュエータ16を停止することができる。その一方で、第1油圧アクチュエータ17が第1制御弁20Bによって作動している状態(作動状態)において、操作部材93を第1操作位置に操作した場合には、非作動状態と同様に第1制御弁20Bから当該第2制御弁20Cに供給された戻り油によって第2油圧アクチュエータ16を作動させることができるだけでなく、何らかの事情で第2制御弁20Cが作動しなくなった場合には、第1制御弁20Bから当該第2制御弁20Cに向かう戻り油を、供給油路72から排出油路24に排出することができる。即ち、第1油圧アクチュエータ17と第2油圧アクチュエータ16とを複合操作する場合において、第1油圧アクチュエータ17から第2制御弁20Cに向かう戻り油を供給油路72から排出油路24に流すことができるため、上流側である第1油圧アクチュエータ17を容易に作動させることができる。
【0058】
第2制御弁20Cは、戻り油路81が接続される第1供給ポート(第1入力ポート44a、第2入力ポート44b)と、供給油路72が接続される第2供給ポート(第3入力ポート44c)と、第2油圧アクチュエータ16に連通する出力ポート(第1出力ポート82a、第2出力ポート82b)と、排出油路24が接続される排出ポート84とを含んでいる。また、第2制御弁20Cは、作動位置(第1位置20c1、第2位置20c2)では第1供給ポート(第1入力ポート44a、第2入力ポート44b)と出力ポート(第1出力ポート82a、第2出力ポート82b)とを連通し且つ第2供給ポート(第3入力ポート44c)と排出ポート84との経路を閉鎖し、停止位置20c3では第1供給ポート(第1入力ポート44a、第2入力ポート44b)と出力ポート(第1出力ポート82a、第2出力ポート82b)との経路を閉鎖し且つ第2供給ポート(第3入力ポート44c)と排出ポート84との経路を開放し、中途位置では第1供給ポート(第1入力ポート44a、第2入力ポート44b)と出力ポート(第1出力ポート82a、第2出力ポート82b)とを連通し且つ第2供給ポート(第3入力ポート44c)と排出ポート84とを連通する。これによれば、作動位置(第1位置20c1、第2位置20c2)、停止位置20c3、中途位置の切換に応じて、第1供給ポート(第1入力ポート44a、第2入力ポート44b)、第2供給ポート(第3入力ポート44c)、出力ポート(第1出力ポート82a、第2出力ポート82b)及び排出ポート84のそれぞれの連通を簡単に切り換えることができる。
【0059】
第2制御弁20Cは、当該第2制御弁20Cの受圧部86a、86bに供給されたパイロット油の圧力であるパイロット圧に応じて作動位置(第1位置20c1、第2位置20c2)、停止位置20c3及び中途位置に切り換わる切換弁であり、制御装置90は、第1制御弁20Bが非作動状態で操作部材93が第1操作位置である場合には、受圧部86a、86bに作用するパイロット圧を作動位置(第1位置20c1、第2位置20c2)に対応する第1圧力に設定し、第1制御弁20Bが非作動状態で操作部材93が第2操作位置である場合には、受圧部86a、86bに作用するパイロットを停止位置20c3に対応する第2圧力に設定し、第1制御弁20Bが作動状態で操作部材93が第1操作位置である場合は、受圧部86a、86bに作用するパイロット圧を中途位置に対応する第3圧力に設定する。
【0060】
これによれば、操作部材93の位置(第1操作位置、第2操作位置)に応じて簡単にパイロット圧(第1圧力、第2圧力、第3圧力)の設定を行うことができ、操作部材93の位置に応じてスムーズに第2制御弁20を切り換えることができる。
作業機の油圧システムは、第2制御弁20Cの受圧部86a、86bに作用するパイロット圧を設定可能な比例弁88a、88bと、操作部材93の第1操作位置及び第2操作位置のいずれかを検出可能な操作検出装置110と、第1制御弁20Bが非作動状態及び作動状態のいずれかを検出可能な状態検出装置112と、を備え、制御装置90は、操作検出装置110が検出した第1操作位置及び第2操作位置のいずれかの操作位置と、状態検出装置112が検出した非作動状態及び作動状態のいずれかの状態とに基づいて比例弁88a、88bの開度を設定することで、第1圧力、第2圧力及び第3圧力を設定する。
【0061】
これによれば、操作検出装置110が検出した位置(第1操作位置、第2操作位置)及び状態検出装置112が検出した状態(非作動状態、作動状態)に応じて簡単に比例弁88a、88bの開度を設定することができる。
第1圧力をPS1、第2圧力をPS2、第3圧力をPS3にした場合に、PS1>PS3>PS2である。 これによれば、第1制御弁20Bが非作動状態の場合に第2制御弁20Cの受圧部に作用する第1圧力に比べて、第1制御弁20Bが作動状態の場合に第2制御弁20Cの受圧部に作用する第2圧力を低くすることにより、第2制御弁20Cによる第2油圧アクチュエータ16を作動させている状況でありながら、簡単に、供給油路72と排出油路24とを連通することができる。
【0062】
作業機の油圧システムは、第1油圧アクチュエータ17は、伸縮自在な油圧シリンダであり、第1制御弁20Bは、油圧シリンダを伸縮させる切換弁であり、制御装置90は、作動状態として第1制御弁20Bが油圧シリンダに作動油を供給して収縮させる場合に第2制御弁20Cを中途位置に切り換える。これによれば、第2制御弁20Cへの戻り油が供給できないような状況になったとしても、第1油圧アクチュエータ17を収縮させることができる。
【0063】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。第1制御弁及び第2制御弁は上述した実施形態に限定されず、作業機に設けられた制御弁であれば何でもよい。
【0064】
上述した実施形態では、作動油の排出は、作動油タンクにしていたが、その他の場所であってもよい。即ち、作動油を排出するための油路は、作動油タンク以外に接続されていてもよく、例えば、油圧ポンプの吸込部(作動油を吸い込む部分)に接続してもよいし、その他の個所に接続してもよい。
上述した実施形態では、制御弁は、3位置切換弁であったが、切換の位置の数は限定されず、2位置切換弁であっても、4位置切換弁であっても、その他の切換弁であってもよい。上述した実施形態では、油圧ポンプは定容量ポンプであったが、例えば、斜板の変更によって吐出量が変化する可変容量ポンプであっても、その他の油圧ポンプであってもよい。
【0065】
また、第1油圧アクチュエータ、第2油圧アクチュエータ、第3油圧アクチュエータ、第1制御弁、第2制御弁、第3制御弁は、上述した実施形態に限定されず、作業機1に設けられるものであればよい。
【符号の説明】
【0066】
1 作業機
17 第1油圧アクチュエータ(バケットシリンダ)
18 第2油圧アクチュエータ(予備アクチュエータ)
20B 第1制御弁(バケット制御弁)
20C 第2制御弁(予備制御弁)
20c1 作動位置(第1位置)
20c2 作動位置(第2位置)
20c3 停止位置
24 排出油路
44a 第1供給ポート(第1入力ポート)
44b 第1供給ポート(第2入力ポート)
44c 第2供給ポート(第3入力ポート)
72 供給油路
84 排出ポート
86a、86b 受圧部
88a、88b 比例弁
90 制御装置
93 操作部材
110 操作検出装置
112 状態検出装置
P1 油圧ポンプ
PS1 第1圧力
PS2 第2圧力
PS3 第3圧力
図1
図2
図3