【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、本出願の内容に対して具体的に説明する。一方、本出願で開示した一態様の説明及び実施の形態は、共通した事柄に対して他の態様の説明及び実施の形態にも適用され得る。また、本出願で開示された多様な要素の全ての組み合わせが本出願の範疇に属する。併せて、下記に記述された具体的な敍述によって本出願の範疇が制限されるとみることができない。
【0010】
出願の目的を達成するため、本出願は一つの態様として、
X
a1−X
a2−X
a3−DPLDG−X
a4のモチーフAと、
Y
a1−D−Y
a2−W
a1−Y
a3−W
a2−Y
a4−W
a3のモチーフBとを含むプシコース−6−リン酸脱リン酸化酵素を提供し、
前記モチーフAで、X
a1は、W、F、V、I、またはAであり、X
a2は、I、F、V、A、または無しであり、X
a3は、V、I、またはLであり、X
a4は、TまたはSであり、
前記モチーフBで、Y
a1は、W、Y、T、L、またはVであり、Y
a2は、V、I、C、F、またはAであり、W
a1は、AAG、AAS、SAG、APG、APF、AGG、APL、またはAGAであり、Y
a3は、W、I、P、M、V、Y、F、R、L、T、またはSであり、W
a2は、LLV、LIV、LLI、LII、ILI、FIA、ALV、IIA、VLV、VIL、TIG、NFC、またはPIFであり、Y
a4は、E、R、S、T、L、K、またはPであり、W
a3は、EAGG、EGGG、EAKG、KAGG、AAGG、YVDG、EAGA、またはRLGVである。
【0011】
具体的に、前記モチーフAで、X
a1は、WまたはFであり、X
a2は、IまたはVであり、X
a3は、VまたはIであり、X
a4はTであり、前記モチーフBで、Y
a1はWであり、Y
a2は、VまたはIであり、W
a1はAAGであり、Y
a3は、W、I、またはVであり、W
a2は、LLV、LIV、LII、またはLLIであり、Y
a4は、E、R、またはSであり、W
a3は、EAGGまたはEGGGであってよい。
【0012】
前記モチーフAと前記モチーフBの間、前記モチーフAの末端、または前記モチーフBの末端には1個以上のアミノ酸が含まれてよく、モチーフAとモチーフB以外のアミノ酸配列は、公知のイノシトール−モノ−ホスファターゼの配列(例えば、配列番号1から20の配列の中でモチーフAとモチーフBを除いた配列)から定義されてよい。
【0013】
前記モチーフA及び/またはモチーフBは、イノシトール−モノ−ホスファターゼの配列の中で活性部位として、前記酵素の基質であるイノシトールホスフェートの結合部位として知られている(参照文献:Federation of European Biochemical Societies、Volume 294、number 1、2、16−18、December 1991)。本出願では、イノシトール−モノ−ホスファターゼがプシコース−6−リン酸脱リン酸酵素としての活性を示すことと、イノシトール−モノ−ホスファターゼのモチーフA及び/またはモチーフBはまた前記脱リン酸酵素の基質結合部位であり得ることとを明かした。
【0014】
プシコース−6−リン酸脱リン酸酵素は、具体例として、配列番号1から20のいずれか一つのアミノ酸配列を含むプシコース−6−リン酸脱リン酸酵素(psicose−6−phosphate phosphatase)であってよい。
【0015】
本出願のプシコース−6−リン酸脱リン酸酵素は、従来のイノシトール−モノホスファターゼとしての機能が公知の酵素であってよい。
【0016】
本出願のプシコース−6−リン酸脱リン酸酵素は、プシコース−6−リン酸に一層選択的に脱リン酸化反応を行い、ブドウ糖−1−リン酸(D−glucose−1−phosphate)、ブドウ糖−6−リン酸(D−glucose−6−phosphate)または果糖−6−リン酸(D−fructose−6−phosphate)には非特異的であってよい。
【0017】
本出願のプシコース−6−リン酸脱リン酸酵素は、前記酵素自体またはこれを発現するDNA(例えば、本出願の配列番号21から40)を菌株に形質転換させ、これを培養して培養物を得、前記培養物を破砕し、カラムなどを介して精製したものであってよい。前記形質転換用菌株には、大腸菌(Escherichia coli)、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterum glutamicum)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、またはバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)などがある。
【0018】
本出願の一具現例によれば、本出願のプシコース−6−リン酸脱リン酸酵素は、モチーフA及び/またはモチーフBの配列と90%以上、95%以上、97%以上、99%以上または100%の相同性、類似性または同一性を有し、プシコース−6−リン酸脱リン酸酵素活性を示す酵素を含むことができる。さらに、モチーフA及びモチーフBを除いた配列とは70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、97%以上、99%以上または100%の配列相同性、類似性または同一性を有する酵素であってよい。具体例において、配列番号1から20の中で、モチーフA及び/またはモチーフBの配列と90%以上、95%以上、97%以上、99%以上または100%の相同性、類似性または同一性を有するとともに、モチーフA及び/またはモチーフB以外の部分とは70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、97%以上、99%以上または100%、若しくは、前記数値の中で任意の2個の数値によって定められる範囲内の相同性、類似性または同一性を有する配列からなるタンパク質を含むことができる。例えば、前記相同性、類似性または同一性を有するとともに、前記プシコース−6−リン酸脱リン酸酵素タンパク質、例えば、前記配列番号1から20のいずれか一つのアミノ酸配列からなるタンパク質と相応する効能を示すアミノ酸配列であれば、一部の配列が欠失、変形、置換または付加されたアミノ酸配列を有するとしても、本出願の範囲内に含まれることは自明である。
【0019】
また、本出願のモチーフA及びモチーフBを含むプシコース−6−リン酸脱リン酸酵素と相応する活性を有するタンパク質であれば、前記モチーフA及び前記モチーフBの配列の中で配列前後の無意味な配列の追加または自然的に発生し得る突然変異、あるいはその潜在性突然変異(silent mutation)を除くことではなく、特に、配列番号1から20のいずれか一つのアミノ酸配列前後の無意味な配列の追加または自然発生の突然変異、あるいはその潜在性突然変異を除くことではなく、モチーフA及びモチーフBを含むタンパク質または配列番号1から20のアミノ酸配列を含むタンパク質もまた本出願の範囲内に属する。
【0020】
本出願は、他の一つの態様として、本出願のプシコース−6−リン酸脱リン酸化酵素を暗号化する核酸を提供する。
【0021】
本出願における用語『核酸』は、DNAまたはRNA分子を包括的に含む意味を有し、核酸において基本構成単位であるヌクレオチドは、天然のヌクレオチドだけでなく、糖または塩基部位が変形された類似体も含むことができる(参照文献:Scheit、Nucleotide Analogs、John Wiley、New York(1980);Uhlman及びPeyman、Chemical Reviews、90:543−584(1990))。
【0022】
具体的に、本出願のプシコース−6−リン酸脱リン酸化酵素を暗号化する核酸は、モチーフA及びモチーフBに翻訳され得るそれぞれのヌクレオチドを含む配列を含むことができ、具体例において、配列番号21から40のいずれか一つのヌクレオチド配列からなるものであってよく、より具体的に、本出願のモチーフA及びモチーフBに翻訳され得るそれぞれのヌクレオチドと90%以上、95%以上、97%以上、99%以上または100%の相同性、類似性または同一性を有するとともに、翻訳されて目的とする酵素活性を示すことができる核酸を含むことができる。具体的に、配列番号21から40の中でモチーフA及びモチーフBに翻訳され得るそれぞれのヌクレオチドと90%以上、95%以上、97%以上、99%以上または100%の相同性、類似性または同一性を有する核酸を含むことができ、これに加え、配列番号21から40の中でモチーフA及びモチーフB以外の部分に翻訳され得るヌクレオチドと少なくとも80%、90%、95%、97%または99%の相同性、類似性または同一性を有する核酸であってよい。コドンの縮退性(codon degeneracy)により、前記モチーフA及びモチーフBを含むタンパク質、具体的に配列番号1から20のいずれか一つのアミノ酸配列からなるタンパク質、またはこれと相同性、類似性または同一性を有するタンパク質に翻訳され得るポリヌクレオチドもまた本出願の範囲に含まれ得ることは自明である。
【0023】
本出願のモチーフA及びモチーフBを含む酵素は、耐熱性を有するか好熱性の菌株から由来された酵素であってよい。具体的に、配列番号1から20のいずれか一つのアミノ酸配列からなる酵素は、それぞれロドサーマス・マリナス(Rhodothermus marinus)、サーモトガ・レティンガエ(Thermotoga lettingae)、メイオサーマス・ルバー(Meiothermus ruber)、ディクチオグロムス・ツルギダム(Dictyoglomus turgidum)、ピロバクルム・フェリレデューセンス(Pyrobaculum ferrireducens)、サーモアナエロバクター・ウィエジェリイ(Thermoanaerobacter wiegelii)、サームス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)、サーモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)、アナエロリネア・サーモフィラ(Anaerolinea thermophila)、スルホロブス・アシドカルダリウス(Sulfolobus acidocaldarius)、サーモスルフィディバクター・タカイ(Thermosulfidibacter takaii)、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)、アーキオグロブス・フルギダス(Archaeoglobus fulgidus)、アリサイクロバチルス・アシドカルダリウス(Alicyclobacillus acidocaldarius)、メイオサーマス・シルバヌス(Meiothermus silvanus)、メイオサーマス・ルーファス(Meiothermus rufus)、メイオサーマス・タイワンエンシス(Meiothermus taiwanensis)、メイオサーマス・クリアロファイルス(Meiothermus chliarophilus)、またはメイオサーマス・セルベレウス(Meiothermus cerbereus)由来の酵素であってよい。
【0024】
本出願における用語『相同性』または『同一性』は、二つの与えられたアミノ酸配列または塩基配列と係わる程度を意味し、百分率で表示されてよい。
【0025】
『類似性』及び『同一性』の用語は、度々相互交換的に利用されてよい。
【0026】
保存されている(conserved)ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列相同性または同一性は、標準配列アルゴリズムによって決定され、用いられるプログラムによって確立されたデフォルトギャップペナルティが共に利用されてよい。実質的に、相同性を有するか(homologous)、または同一の(identical)配列は、一般に配列全体または全長の少なくとも約50%、60%、70%、80%または90%に沿って中間の、若しくは高い厳しい条件(stringent conditions)でハイブリッドすることができる。ハイブリッドするポリヌクレオチドにおいて、コドンの代わりに縮退コドンを含有するポリヌクレオチドも考慮される。
【0027】
任意の二つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列が相同性、類似性または同一性を有するのか否かは、例えば、Pearson et al(1988)[Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85]:2444でのようなデフォルトパラメータを利用し、『FASTA』プログラムのような公知のコンピュータアルゴリズムを利用して決定され得る。または、EMBOSSパッケージのニードルマンプログラム(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite、Rice et al.、2000、Trends Genet.16:276−277)(バージョン5.0.0または以後のバージョン)で行われるところのような、ニードルマン・ウンシュ(Needleman−Wunsch)アルゴリズム(Needleman and Wunsch、1970、J.Mol.Biol.48:443−453)が用いられて決定され得る(GCGプログラムパッケージ(Devereux、J.、et al、Nucleic Acids Research 12:387(1984))、BLASTP、BLASTN、FASTA(Atschul、[S.][F.,][ET AL、J MOLEC BIOL 215]:403(1990);Guide to Huge Computers、Martin J.Bishop、[ED.,]Academic Press、San Diego、1994、及び[CARILLO ETA/.](1988)SIAM J Applied Math 48:1073を含む)。例えば、国立生物工学情報データベースセンターのBLAST、またはClustalWを利用して相同性、類似性または同一性を決定することができる。
【0028】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの相同性、類似性または同一性は、例えば、Smith and Waterman、Adv.Appl.Math(1981)2:482に公知の通り、例えば、Needleman et al.(1970)、J Mol Biol.48:443のようなGAPコンピュータプログラムを利用して配列情報を比べることで決定され得る。要約すると、GAPプログラムは、二つの配列の中でより短いものでの記号の総数で、類似の配列された記号(すなわち、ヌクレオチドまたはアミノ酸)の数を割算した値と定義する。GAPプログラムのためのデフォルトパラメータは、(1)単項比較マトリックス(同一性のために1、そして非同一性のために0の値を含有する)及びSchwartz and Dayhoff、eds.、Atlas Of Protein Sequence And Structure、National Biomedical Research Foundation、pp.353−358(1979)によって開示されている通り、Gribskov et al(1986)Nucl.Acids Res.14:6745の加重された比較マトリックス(またはEDNAFULL(NCBI NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換マトリックス);(2)各ギャップのための3.0のペナルティ、及び各ギャップで各記号のための更なる0.10ペナルティ(またはギャップ開放ペナルティ10、ギャップ延長ペナルティ0.5);及び(3)末端ギャップのためのノーペナルティを含むことができる。よって、本願で用いられたものであって、『相同性』または『同一性』の用語は、配列同士の関連性(relevance)を表す。
【0029】
本出願は、また他の態様として、本願に記載のプシコース−6−リン酸脱リン酸酵素を暗号化する核酸を含むベクター、若しくは、本願のプシコース−6−リン酸脱リン酸酵素を暗号化する核酸または本願のプシコース−6−リン酸脱リン酸酵素を暗号化する核酸を含むベクターを含む形質転換体を提供する。
【0030】
本出願における用語『ベクター』は、有機体、例えば、宿主細胞への塩基のクローニング及び/または転移のための任意の媒介物をいう。ベクターは、他のDNA断片が結合し、結合された断片の複製をもたらし得る複製単位(replicon)であってよい。ここで、『複製単位』とは、生体内でDNA複製の自己ユニットとして機能する、すなわち、自らの調節によって複製可能な、任意の遺伝的単位(例えば、プラスミド、ファージ、コスミド、染色体、ウイルス)をいう。『ベクター』の用語は、試験管内、生体外または生体内で有機体、例えば、宿主細胞へ塩基を取り込むためのウイルス及び非ウイルス媒介物を含む。『ベクター』の用語はまた、ミニサークルDNAを含むことができる。具体的に、本出願のプシコース−6−リン酸脱リン酸酵素を暗号化する核酸を含むベクターは、pET21a−CJ_Rma、pET21a−CJ_Tle、pET21a−CJ_Mrub、pET21a−CJ_Dtu、pET21a−CJ_Msi、pET21a−CJ_Mruf、pET21a−CJ_Mta、pET21a−CJ_Mch、pET21a−CJ_Mce、pBT7−C−His−CJ_Pfe、pBT7−C−His−CJ_Twi、pBT7−C−His−CJ_Tth、pBT7−C−His−CJ_Tli、pBT7−C−His−CJ_Gst、pBT7−C−His−CJ_Ath、pBT7−C−His−CJ_Sac、pBT7−C−His−CJ_Tta、pBT7−C−His−CJ_Pfu、pBT7−C−His−CJ_Afu、またはpBT7−C−His−CJ_Aacであってよい。
【0031】
本出願における用語『形質転換』は、標的タンパク質を暗号化する核酸を含むベクターを宿主細胞内に取り込み、宿主細胞内で前記核酸が暗号化するタンパク質が発現できるようにすることを意味する。形質転換された核酸は、宿主細胞内で発現さえできれば、宿主細胞の染色体内に挿入されて位置するか染色体外に位置するかはともかく、これら全てを含むことができる。また、前記核酸は、標的タンパク質を暗号化するDNA及びRNAを含む。前記核酸は、宿主細胞内に取り込まれて発現できるものであれば、如何なる形態で取り込まれるものであっても構わない。例えば、前記核酸は、自主的な発現に必要な全ての要素を含む遺伝子構造体である発現カセット(expression cassette)の形態で宿主細胞に取り込まれ得る。前記発現カセットは、通常、前記核酸に作動可能に連結されているプロモーター(promoter)、転写終結信号、リボソーム結合部位及び翻訳終結信号を含むことができる。前記発現カセットは、自己複製が可能な発現ベクターの形態であってよい。また、前記核酸は、その自らの形態で宿主細胞に取り込まれ、宿主細胞で発現に必要な配列と作動可能に連結されているものであってもよく、これに限定されない。
【0032】
さらに、前記における用語『作動可能に連結』されていることとは、本出願の目的タンパク質を暗号化する核酸の転写を開示及び媒介するようにするプロモーター配列と前記遺伝子配列が機能的に連結されていることを意味する。
本願におけるアミノ酸は、下記の通りの略語またはアミノ酸名で表示されてよい:
【0033】
【表1】
【0034】
本出願のベクターを形質転換させる方法には、核酸を細胞内に取り込む如何なる方法も含まれ、宿主細胞に従い、当分野で公知のところのような好適な標準技術を選択して行うことができる。例えば、電気穿孔法(electroporation)、リン酸カルシウム(CaPO
4)沈澱、塩化カルシウム(CaCl
2)沈澱、レトロウイルス感染(retroviral infection)、ミクロ注入法(microinjection)、ポリエチレングリコール(PEG)法、DEAE−デキストラン法、カチオン性リポソーム法、及び酢酸リチウム−DMSO法などがあるが、これらに制限されない。
【0035】
前記宿主細胞には、DNAの取込み効率が高く、取り込まれたDNAの発現効率が高い宿主を用いることがよく、例えば、コリネバクテリウム属微生物、エスケリキア属微生物またはセラチア属微生物であってよく、具体的に大腸菌(E.coli)であってよいが、これらに制限されることではない。
【0036】
本出願の形質転換体は、E.coli BL21(DE3)/pET21a−CJ_Rma(E.coli_P1_CJ_Rma,KCCM12057P)、E.coli BL21(DE3)/pET21a−CJ_Tle(E.coli_P2_CJ_Tle,KCCM12058P)、E.coli BL21(DE3)/pET21a−CJ_Mrub(E.coli_P3_CJ_Mrub,KCCM12059P)、E.coli BL21(DE3)/pET21a−CJ_Dtu(E.coli_P4_CJ_Dtu,KCCM12060P)、E.coli BL21(DE3)/pBT7−C−His−CJ_Pfe(E.coli_P5_CJ_Pfe,KCCM12061P)、E.coli BL21(DE3)/pBT7−C−His−CJ_Twi(E.coli_P6_CJ_Twi,KCCM12062P)、E.coli BL21(DE3)/pBT7−C−His−CJ_Tth(E.coli_P7_CJ_Tth,KCCM12063P)、E.coli BL21(DE3)/pBT7−C−His−CJ_Tli(E.coli_P8_CJ_Tli,KCCM12064P)、E.coli BL21(DE3)/pBT7−C−His−CJ_Gst(E.coli_P9_CJ_Gst,KCCM12065P)、E.coli BL21(DE3)/pBT7−C−His−CJ_Ath(E.coli_P10_CJ_Ath,KCCM12066P)、E.coli BL21(DE3)/pBT7−C−His−CJ_Sac(E.coli_P11_CJ_Sac,KCCM12067P)、E.coli BL21(DE3)/pBT7−C−His−CJ_Tta(E.coli_P12_CJ_Tta,KCCM12068P)、E.coli BL21(DE3)/pBT7−C−His−CJ_Pfu(E.coli_P13_CJ_Pfu,KCCM12069P)、E.coli BL21(DE3)/pBT7−C−His−CJ_Afu(E.coli_P14_CJ_Afu,KCCM12070P)、E.coli BL21(DE3)/pBT7−C−His−CJ_Aac(E.coli_P15_CJ_Aac,KCCM12071P)、E.coli BL21(DE3)/pET21a−CJ_Msi(E.coli_P16_CJ_Msi,KCCM12072P)、E.coli BL21(DE3)/pET21a−CJ_Mruf(E.coli_P17_CJ_Mruf,KCCM12073P)、E.coli BL21(DE3)/pET21a−CJ_Mta(E.coli_P18_CJ_Mta,KCCM12074P)、E.coli BL21(DE3)/pET21a−CJ_Mch(E.coli_P19_CJ_Mch,KCCM12075P)、E.coli BL21(DE3)/pET21a−CJ_Mce(E.coli_P20_CJ_Mce,KCCM12076P)であってよい。
【0037】
本出願は、また他の一つの態様として、イノシトール−モノ−ホスファターゼ、前記イノシトール−モノ−ホスファターゼを発現する微生物、または前記イノシトール−モノ−ホスファターゼを発現する微生物の培養物を含むプシコース生産用組成物を提供する。
【0038】
本出願のイノシトール−モノ−ホスファターゼは、X
a1−X
a2−X
a3−DPLDG−X
a4のモチーフAと、Y
a1−D−Y
a2−W
a1−Y
a3−W
a2−Y
a4−W
a3のモチーフBとを含むイノシトール−モノ−ホスファターゼであってよく、前記モチーフAで、X
a1は、W、F、V、I、またはAであり、X
a2は、I、F、V、A、または無しであり、X
a3は、V、I、またはLであり、X
a4は、TまたはSであり、前記モチーフBで、Y
a1は、W、Y、T、L、またはVであり、Y
a2は、V、I、C、F、またはAであり、W
a1は、AAG、AAS、SAG、APG、APF、AGG、APL、またはAGAであり、Y
a3は、W、I、P、M、V、Y、F、R、L、T、またはSであり、W
a2は、LLV、LIV、LLI、LII、ILI、FIA、ALV、IIA、VLV、VIL、TIG、NFC、またはPIFであり、Y
a4は、E、R、S、T、L、K、またはPであり、W
a3は、EAGG、EGGG、EAKG、KAGG、AAGG、YVDG、EAGA、またはRLGVである。すなわち、本出願におけるイノシトール−モノ−ホスファターゼはプシコース−6−リン酸脱リン酸酵素と互換して用いられてよく、そのため、プシコース−6−リン酸脱リン酸酵素に対する前述の説明はイノシトール−モノ−ホスファターゼに適用されてよい。具体例において、イノシトール−モノ−ホスファターゼは、配列番号1から20のいずれか一つのアミノ酸配列からなる酵素であってよい。
【0039】
本出願のプシコース生産用組成物は、本出願のプシコースの製造経路(
図1参照)に関与する酵素及び/または基質[(i)澱粉、マルトデキストリン、スクロースまたはその組み合わせ;(ii)ホスフェート(phosphate);(iii)果糖−6−リン酸−3−エピマー化酵素;(iv)ブドウ糖−6−リン酸−異性化酵素;(v)ホスホグルコムターゼまたはブドウ糖リン酸化酵素;及び/または(vi)α−グルカンホスホリラーゼ、澱粉ホスホリラーゼ、マルトデキストリンホスホリラーゼ、スクロースホスホリラーゼ、α−アミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、グルコアミラーゼまたはスクラーゼ];前記プシコースの製造経路に関与する酵素を発現する微生物;または、前記プシコースの製造経路に関与する酵素を発現する微生物の培養物をさらに含むことができる。ただし、これは例示的なものであって、本出願のプシコース−6−リン酸脱リン酸化酵素を利用してプシコースを生産することができれば、本出願のプシコース生産用組成物に含まれる酵素、及びプシコースの生産に利用される基質が制限されない。
【0040】
本出願の澱粉/マルトデキストリンホスホリラーゼ(starch/maltodextrin phosphorylase、EC 2.4.1.1)及びα−グルカンホスホリラーゼは、ホスフェート(phosphate)をブドウ糖にリン酸化転移させて澱粉またはマルトデキストリンからブドウ糖−1−リン酸を生産する活性を有するタンパク質であれば、如何なるタンパク質も含むことができる。具体的に、前記澱粉またはマルトデキストリンからブドウ糖−1−リン酸を生産する活性を有するタンパク質は、配列番号59のアミノ酸配列からなるタンパク質であってよい。また、前記澱粉またはマルトデキストリンからブドウ糖−1−リン酸を生産する活性を有するタンパク質は、配列番号60の塩基配列によって暗号化されてよい。
【0041】
本出願のスクロースホスホリラーゼ(sucrose phosphorylase、EC 2.4.1.7)は、ホスフェートをブドウ糖にリン酸化転移させてスクロースからブドウ糖−1−リン酸を生産する活性を有するタンパク質であれば、如何なるタンパク質も含むことができる。
【0042】
本出願の澱粉液糖化酵素であるα−アミラーゼ(α−amylase、EC 3.2.1.1)、プルラナーゼ(pullulanse、EC 3.2.1.41)、グルコアミラーゼ(glucoamylase、EC 3.2.1.3)及びイソアミラーゼ(isoamylase)は、澱粉またはマルトデキストリンをブドウ糖に転換させる活性を有するタンパク質であれば、如何なるタンパク質も含むことができる。
【0043】
本出願のスクラーゼ(sucrase、EC 3.2.1.26)は、スクロースをブドウ糖に転換させる活性を有するタンパク質であれば、如何なるタンパク質も含むことができる。
【0044】
本出願のホスホグルコムターゼ(phosphoglucomutase、EC 5.4.2.2)は、ブドウ糖−1−リン酸をブドウ糖−6−リン酸に転換させる活性を有するタンパク質であれば、如何なるタンパク質も含むことができる。具体的に、前記ブドウ糖−1−リン酸をブドウ糖−6−リン酸に転換させる活性を有するタンパク質は、配列番号61のアミノ酸配列からなるタンパク質であってよい。また、前記ブドウ糖−1−リン酸をブドウ糖−6−リン酸に転換させる活性を有するタンパク質は、配列番号62の塩基配列によって暗号化されてよい。
【0045】
ブドウ糖リン酸化酵素(glucokinase)は、ブドウ糖にリン酸を転移させてブドウ糖−6−リン酸に転換する活性を有するタンパク質であれば、如何なるタンパク質も含むことができる。具体的に、前記ブドウ糖リン酸化酵素は、ポリホスフェート依存型ブドウ糖リン酸化酵素であってよく、より具体的に、配列番号77または78のアミノ酸配列からなるタンパク質であってよい。本出願のブドウ糖−6−リン酸−異性化酵素は、ブドウ糖−6−リン酸を果糖−6−リン酸に転換させる活性を有するタンパク質であれば、如何なるタンパク質も含むことができる。具体的に、前記ブドウ糖−6−リン酸−異性化酵素は、配列番号63のアミノ酸配列からなるタンパク質であってよい。また、前記ブドウ糖−6−リン酸−異性化酵素は、配列番号64の塩基配列によって暗号化されてよい。
【0046】
本出願の果糖−6−リン酸−3−エピマー化酵素は、果糖−6−リン酸をプシコース−6−リン酸に転換させる活性を有するタンパク質であれば、如何なるタンパク質も含むことができる。具体的に、本出願の果糖−6−リン酸−3−エピマー化酵素は、配列番号65のアミノ酸配列からなるタンパク質であってよい。また、本出願の果糖−6−リン酸−3−エピマー化酵素は、配列番号66のヌクレオチド配列によって暗号化されてよい。
【0047】
本出願のプシコース生産用組成物は、ブドウ糖を澱粉、マルトデキストリンまたはスクロースに転換させる活性を有するタンパク質(例えば、4−α−グルカノトランスフェラーゼなど)をさらに含むことができる。前記ブドウ糖を澱粉、マルトデキストリンまたはスクロースに転換させる活性を有するタンパク質は、配列番号67のアミノ酸配列からなる酵素であってよく、具体的に、配列番号68のヌクレオチド配列によって暗号化されてよい。本願のプシコース生産用組成物は、当該プシコース生産用組成物に通常用いられる任意の好適な賦形剤をさらに含むことができる。このような賦形剤には、例えば、保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、緩衝剤、安定剤及び等張剤などが含まれてよいが、これらに限定されることではない。
【0048】
本願のプシコース生産用組成物は、金属イオンまたは金属塩をさらに含むことができる。一具現例において、前記金属イオンは2価の陽イオンであってよく、具体的に、Ni、Mg、Mg、Ni、Co、Mn、Fe及びZnからなる群より選択される1種以上の金属イオンであってよい。より具体的に、本出願のプシコース生産用組成物は金属塩をさらに含んでよく、さらに具体的に、前記金属塩は、NiSO
4、MgSO
4、MgCl
2、NiCl
2、CoSO
4、CoCl
2、MnCl
2、FeSO
4及びZnSO
4からなる群より選択される1種以上であってよい。
【0049】
本出願は、また他の一つの態様として、プシコース−6−リン酸にイノシトール−モノ−ホスファターゼ、これを発現する微生物または前記微生物の培養物を接触させて前記プシコース−6−リン酸をプシコースに転換するステップを含むプシコースの製造方法を提供する。
【0050】
本出願の製造方法において、イノシトール−モノ−ホスファターゼは、X
a1−X
a2−X
a3−DPLDG−X
a4のモチーフAと、Y
a1−D−Y
a2−W
a1−Y
a3−W
a2−Y
a4−W
a3のモチーフBとを含むイノシトール−モノ−ホスファターゼであってよい。本出願において、イノシトール−モノ−ホスファターゼはプシコース−6−リン酸脱リン酸酵素と互換して用いられてよく、そのため、プシコース−6−リン酸脱リン酸酵素に対する前述の態様における説明はイノシトール−モノ−ホスファターゼに適用されてよい。
【0051】
本出願の方法は、プシコース−6−リン酸をプシコースに転換するステップ以前に、果糖−6−リン酸(fructose−6−phosphate)に果糖−6−リン酸−3−エピマー化酵素、前記果糖−6−リン酸−3−エピマー化酵素を発現する微生物または前記果糖−6−リン酸−3−エピマー化酵素を発現する微生物の培養物を接触させ、前記果糖−6−リン酸をプシコース−6−リン酸に転換するステップをさらに含むことができる。
【0052】
本出願の方法は、前記果糖−6−リン酸をプシコース−6−リン酸に転換するステップ以前に、ブドウ糖−6−リン酸(Glucose−6−phosphate)にブドウ糖−6−リン酸−異性化酵素、前記ブドウ糖−6−リン酸−異性化酵素を発現する微生物または前記ブドウ糖−6−リン酸−異性化酵素を発現する微生物の培養物を接触させ、前記ブドウ糖−6−リン酸を果糖−6−リン酸に転換するステップをさらに含むことができる。
【0053】
本出願の方法は、前記ブドウ糖−6−リン酸を果糖−6−リン酸に転換するステップ以前に、ブドウ糖−1−リン酸(Glucose−1−phosphate)にホスホグルコムターゼ、前記ホスホグルコムターゼを発現する微生物または前記ホスホグルコムターゼを発現する微生物の培養物を接触させ、前記ブドウ糖−1−リン酸をブドウ糖−6−リン酸に転換するステップをさらに含むことができる。
【0054】
本出願の方法は、前記ブドウ糖−6−リン酸を果糖−6−リン酸に転換するステップ以前に、ブドウ糖(Glucose)にブドウ糖リン酸化酵素、前記ブドウ糖リン酸化酵素を発現する微生物または前記ブドウ糖リン酸化酵素を発現する微生物の培養物、及びホスフェートを接触させ、前記ブドウ糖をブドウ糖−6−リン酸に転換するステップをさらに含むことができる。
【0055】
本出願の方法は、前記ブドウ糖−1−リン酸をブドウ糖−6−リン酸に転換するステップ以前に、澱粉、マルトデキストリン、スクロースまたはその組み合わせに、α−グルカンホスホリラーゼ、澱粉ホスホリラーゼ、マルトデキストリンホスホリラーゼまたはスクロースホスホリラーゼ;前記ホスホリラーゼを発現する微生物;または前記ホスホリラーゼを発現する微生物の培養物、及びホスフェートを接触させ、前記澱粉、マルトデキストリン、スクロースまたはその組み合わせをブドウ糖−1−リン酸に転換するステップをさらに含むことができる。
【0056】
本出願の方法は、前記ブドウ糖をブドウ糖−6−リン酸に転換するステップ以前に、澱粉、マルトデキストリン、スクロースまたはその組み合わせに、α−アミラーゼ、プルラナーゼ、グルコアミラーゼ、スクラーゼまたはイソアミラーゼ;前記α−アミラーゼ、プルラナーゼ、グルコアミラーゼ、スクラーゼまたはイソアミラーゼを発現する微生物;または前記α−アミラーゼ、プルラナーゼ、グルコアミラーゼ、スクラーゼまたはイソアミラーゼを発現する微生物の培養物を接触させ、前記澱粉、マルトデキストリン、スクロースまたはその組み合わせをブドウ糖に転換するステップをさらに含むことができる。
【0057】
本出願は、また他の一態様として、澱粉、マルトデキストリン、スクロースまたはその組み合わせ、及びホスフェートに、(a)イノシトール−モノ−ホスファターゼ;果糖−6−リン酸−3−エピマー化酵素;ブドウ糖−6−リン酸−異性化酵素;ホスホグルコムターゼまたはブドウ糖リン酸化酵素;及びα−グルカンホスホリラーゼ、澱粉ホスホリラーゼ、マルトデキストリンホスホリラーゼ、スクロースホスホリラーゼ、α−アミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、グルコアミラーゼまたはスクラーゼ;または(b)前記項目(a)の酵素を発現する微生物または前記微生物の培養物を接触させるステップを含む、プシコースの製造方法を提供する。
【0058】
本出願の製造方法において、本出願の接触は、pH 5.0から9.0、具体的にpH 6.0から8.0で実施することができる。
【0059】
本出願の製造方法において、本出願の接触は、40℃から80℃の温度、具体的に40℃から60℃または50℃から60℃の温度で実施することができる。
【0060】
本出願の製造方法において、本出願の接触は、2時間から24時間、具体的に6時間から24時間実施することができる。
【0061】
本出願の製造方法において、本出願の接触は、pH 5.0から9.0、40℃から80℃の温度で、及び/または2時間から24時間実施することができる。具体的に、前記接触は、pH 6.0から8.0、40℃から60℃または50℃から60℃の温度で、及び/または6時間から24時間実施することができる。
【0062】
本出願の製造方法は、プシコースを精製するステップをさらに含むことができる。本出願の精製は特に制限されることなく、本出願の技術分野で通常用いる方法を用いることができる。非制限的な例として、クロマトグラフィー、分別晶析及びイオン精製などが挙げられる。前記精製方法は、一つだけ実施されてもよく、二つ以上の方法を共に実施してもよい。例えば、クロマトグラフィーを介してプシコース生成反応物を精製してよく、前記クロマトグラフィーによる糖の分離は、分離を望む糖とイオン樹脂に付着された金属イオンとの間の弱い結合力の差異を利用して行われてよい。
【0063】
また、本出願は、本出願の精製するステップの前または後に脱色、脱塩、または両方を実施することをさらに含むことができる。前記脱色及び/または脱塩を実施することにより、不純物がなく、より精製されたプシコース反応物を得ることができる。