(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般的に熱硬化性樹脂組成物に比べて硬化プロセスが短縮できることや、フォトリソグラフィーの手法を用いることにより微細加工が可能なこと等から、感光性樹脂組成物は有機半導体素子、液晶表示素子及びプリント配線板等の様々な分野で用いられている。
【0003】
特に、画素ごとに有機半導体素子である薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transister)を設けてスイッチング素子とするアクティブマトリクス型の表示装置は、高いコントラスト比を有すると共に高精細の画像表示が可能であり、表示品位に優れている。そのため、アクティブマトリクス型の表示装置は、テレビ、モニター及びノートパソコン等のみならず、スマートフォン等の携帯情報機器の表示装置に用いられており、近年特にその市場規模が拡大している。
【0004】
アクティブマトリクス型の表示装置に用いられるアレイ基板上には、複数の走査線とこれらの走査線に絶縁膜を介して交差する複数の信号線とが形成されており、走査線と信号線との交差部近傍に画素をスイッチングするスイッチング素子となるTFTが設けられている。
アクティブマトリクス型の表示装置に用いられるTFTは、絶縁性の基板上に走査信号線(ゲート線)、ゲート絶縁膜及び半導体層が順次設けられ、更に半導体層上にドレイン電極(データ線)及びソース電極が設けられた構造を有する。ソース電極には透明な画素電極が接続されており、ドレイン電極(データ線)には映像信号電圧が供給されている。基板上にまずゲート電極が形成されているTFT構造は、一般に逆スタガ構造(ボトムゲート構造)と呼ばれている。尚、ドレイン電極とソース電極と半導体層とを設けた後、半導体層の上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を重畳するTFT構造は、正スタガ構造(トップゲート構造)と呼ばれている。
【0005】
このように、従来のアクティブマトリクス型の表示装置に用いられるTFTにおいては、ゲート絶縁膜がトランジスタ特性を確保するための重要な構成要素となっている。即ち、ゲート絶縁膜の性能が、TFTのトランジスタ特性に大きな影響を与えることがある。
【0006】
TFTに用いるゲート絶縁膜については多様な材料が検討されてきたが、高分子化合物からなる絶縁膜には耐熱性の低いものが多く、特にポリメタクリル酸メチル(PMMA)に代表されるアクリル系高分子のみを使用した絶縁膜は、例えば、有機EL表示装置の作製時における有機EL素子の形成時のプロセス温度等、TFT形成後の工程のプロセス温度にしばしば耐えることができない。
【0007】
そのため、ゲート絶縁膜の形成には、無機材料である酸化珪素(SiO
2)や窒化珪素(SiN)等が従来用いられてきた。これらの中でも、窒化珪素は緻密な高い耐性の膜を形成することができることから、高い絶縁性が求められるゲート絶縁膜に好ましい材料とされている。
【0008】
例えば、特許文献1および2には、二種の異なる材料を用いた二層絶縁構造化を実現して、トランジスタ特性やゲート電極とソース・ドレイン電極間の電気的短絡の防止能の向上を図る技術が開示されている
【0009】
また、特許文献3には、二層構造のゲート絶縁膜においては、一層を窒化珪素からなる膜とし、もう一層をより誘電率の低い酸化珪素からなる膜とする技術が開示されている。このような構成材料の選択を行うことにより、ゲート絶縁膜の誘電特性を制御しながら厚膜化を実現し、その結果、短絡防止能を向上させるとともに配線遅延の増大を防止することができる。
【0010】
しかしながら、二種の異なる材料を用いてゲート絶縁膜を二層構造化することは、ゲート絶縁膜の製造工程数の増大を招くことになる。その結果、半導体素子の生産性、ひいてはそれを用いた表示装置の生産性が低下する。
【0011】
特許文献4には、有機塗布型の絶縁層としてノルボルネン樹脂(日本ゼオン株式会社製 商品名「ゼオコート」)を用いたことが記載されているが、ノルボルネン樹脂はパターニング性(感光性)を有していないため、生産性を考慮すると好ましくない。
【0012】
そのため、製造工程数を増大させることなく誘電特性の制御されたゲート絶縁膜を得ること、即ち、絶縁性に優れた材料からなる感光性樹脂組成物を用いたパターニングの手法で、後続の工程に耐える耐熱性を有し、かつリーク電流密度が低いといった誘電特性を制御できるゲート絶縁膜を形成する技術が求められている。
【0013】
特許文献5には、加水分解性シラン化合物の加水分解縮合体と感放射線性酸発生剤または感放射線性塩基発生剤から選ばれる少なくとも一種を含有する組成物を用いてゲート絶縁膜を形成する技術が開示されている。
この感光性樹脂組成物からは活性エネルギー線の照射により酸が発生し、組成物中の加水分解性シラン化合物の加水分解縮合反応が加速するため、パターニング性を備え、耐熱性に優れるゲート絶縁膜が得られる。
【0014】
しかしながら、特許文献5で用いられているような感放射線性酸発生剤を使用すると、硬化後も絶縁膜中に残存する感放射線性酸発生剤から発生する強酸の影響により、金属配線の腐食や樹脂の変性が起こり、良好な誘電特性を得られないことが懸念される。
この問題を解決するために、感放射線性酸発生剤の代りに感放射線性塩基発生剤を用いる方法が提案されている。感放射線性塩基発生剤はSiO結合を含む無機材料などをパターニングできる性能を有し、感放射線性酸発生剤で懸念される金属配線の腐食や樹脂の変性が無い点では有利なものの、感放射線性酸発生剤と比べると汎用光源に対応した吸収波長を有する化合物が少なく、かつ光分解効率が低いため実用に足る感放射線性塩基発生剤はほとんど見出されていない。
しかも感放射線性酸発生剤または感放射線性塩基発生剤を含有する感光性樹脂組成物は強力な酸または塩基触媒を潜在化させるのが困難なため、組成物の保存安定性が悪いことが懸念される。
【0015】
非特許文献1には本発明と類似骨格の感放射線性塩基発生剤とシロキサン化合物からなる組成が開示されているが、吸収波長が短いため汎用光源に対応しておらず、光分解の効率が低い。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[成分(A) 式(1)で表される化合物を含む光重合開始剤]
本発明の絶縁膜形成用感光性組成物が含有する光重合開始剤は、下記式(1)で表される化合物を含む。
【0032】
式(1)中、R
1は水素原子、水酸基、アルコキシ基又は前記の置換基以外の有機基を表す。
式(1)のR
1が表すアルコキシ基としては炭素数1乃至18のアルコキシ基であることが好ましく、その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、iso−ペントキシ基、neo−ペントキシ基、n−ヘキシルオキシ基及びn−ドデシルオキシ基等が挙げられる。
【0033】
式(1)のR
1が表す有機基の具体例としては、炭素数1乃至18のアルキル基、炭素数2乃至18のアルケニル基、炭素数2乃至18のアルキニル基、炭素数6乃至12のアリール基、炭素数1乃至18のアシル基、炭素数7乃至18のアロイル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1乃至18のアルキルチオ基及びハロゲン原子等が挙げられる。
【0034】
式(1)のR
1が表す有機基の具体例としての炭素数1乃至18のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基及びn−ドデシル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、並びにシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等の環状のアルキル基が挙げられ、炭素数2乃至6のアルキル基であることが好ましく、炭素数2乃至6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
【0035】
式(1)のR
1が表す有機基の具体例としての炭素数2乃至18のアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、1−ブテニル基、iso−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、2−メチル−1−ブテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、2,2−ジシアノビニル基、2−シアノ−2−メチルカルボキシルビニル基及び2−シアノ−2−メチルスルホンビニル基等が挙げられる。
式(1)のR
1が表す有機基の具体例としての炭素数2乃至18のアルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基及び1−ブチニル基等が挙げられる。
式(1)のR
1が表す有機基の具体例としての炭素数6乃至12のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基及びトリル基等が挙げられ、炭素数6乃至10のアリール基であることが好ましい。
【0036】
式(1)のR
1が表す有機基の具体例としての炭素数1乃至18のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、iso−プロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、n−ペンチルカルボニル基、iso−ペンチルカルボニル基、neo−ペンチルカルボニル基、2−メチルブチルカルボニル基及びニトロベンジルカルボニル基等が挙げられる。
式(1)のR
1が表す有機基の具体例としての炭素数7乃至18のアロイル基としては、ベンゾイル基、トルオイル基、ナフトイル基及びフタロイル基等が挙げられる。
【0037】
式(1)のR
1が表す有機基の具体例としての炭素数1乃至18のアルキルチオ基としてはメチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、iso−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、iso−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、iso−ペンチルチオ基、2−メチルブチルチオ基、1−メチルブチルチオ基、neo−ペンチルチオ基、1,2−ジメチルプロピルチオ基及び1,1−ジメチルプロピルチオ基等が挙げられる。
式(1)のR
1が表す有機基の具体例としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0038】
式(1)におけるR
1としては、水酸基又はアルコキシ基であることが好ましく、水酸基又は炭素数1乃至18のアルコキシ基であることがより好ましく、水酸基又は炭素数1乃至6のアルコキシ基であることが更に好ましく、水酸基又はメトキシ基であること特に好ましく、水酸基であることが最も好ましい。
【0039】
式(1)中、R
2乃至R
6はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基又は前記の置換基以外の有機基を表し、複数存在するそれぞれのR
2乃至R
6は互いに同じでも異なっていてもよい。また、同一のベンゼン環上に存在するR
2乃至R
6から選択される2つ以上が結合して環構造を形成してもよく、該環構造はヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。
【0040】
式(1)のR
2乃至R
6が表すハロゲンとしては、式(1)のR
1が表す有機基の具体例としてのハロゲン原子と同じものが挙げられる。
式(1)のR
2乃至R
6が表すアルコキシ基としては、式(1)のR
1が表すアルコキシ基と同じものが挙げられる。
【0041】
式(1)のR
2乃至R
6が表す有機基の具体例としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、ヒドロキシイミノ基等が挙げられる。
式(1)のR
2乃至R
6が表す有機基の具体例としてのアルキル基、アリール基及びアシル基としては、例えば、炭素数1乃至18のアルキル基、炭素数6乃至20のアリール基及び炭素数1乃至20のアシル基と同じものが挙げられる。
【0042】
これらの有機基は、その構造中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでよく、これらは、直鎖状でも分岐状でもよい。R
2乃至R
6が表す有機基は、通常一価の有機基であるが、後述する環状構造を形成する場合等には、二価以上の有機基となり得る。尚、ここで言う炭化水素基以外の結合とは、飽和又は不飽和の、炭素原子と水素原子からなる二価の連結基(例えばアルキレン基)以外の二価の連結基を意味し、炭化水素基以外の置換基とは、飽和又は不飽和の、炭素原子と水素原子からなる置換基(例えばアルキル基)以外の置換基を意味する。
【0043】
式(1)のR
2乃至R
6が表す有機基がその構造中に含んでいてもよい炭化水素基以外の結合は、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されず、例えばエーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合、アゾ結合等が挙げられる。一例としては、有機基であるアルキル基がチオエーテル結合を含む場合の「炭化水素基以外の結合を含む有機基」としては、アルキルチオ基、アルキルチオアルキレン基及びチオール置換アルキル基が挙げられる。耐熱性の点から、有機基中の炭化水素基以外の結合としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−:ここでRは水素原子又は有機基、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合が好ましい。
【0044】
式(1)のR
2乃至R
6が表す有機基がその構造中に含んでいてもよい炭化水素基以外の置換基は、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されず、例えばハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ヒドロキシイミノ基、飽和又は不飽和アルキルエーテル基、飽和又は不飽和アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、及びアリールチオエーテル基、アミノ基(−NH
2、−NHR、−NRR’:ここで、R及びR’はそれぞれ独立に炭化水素基) 、アンモニオ基等が挙げられる。上記置換基に含まれる水素原子は、炭化水素基によって置換されていてもよい。また、上記置換基に含まれる炭化水素基は、直鎖、分岐、及び環状のいずれでもよい。中でも、R
2乃至R
6が表す有機基がその構造中に含んでいてもよい炭化水素基以外の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ヒドロキシイミノ基、飽和又は不飽和アルキルエーテル基、飽和又は不飽和アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、及びアリールチオエーテル基が好ましい。
【0045】
また、R
2乃至R
6のうち2つ以上が結合して環状構造になっていてもよい。
環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環、並びに当該脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であってもよい。例えば、R
2乃至R
6の2つ以上が結合して、R
2乃至R
6が結合しているベンゼン環上の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成していてもよい。
【0046】
本発明においては置換基R
2乃至R
6に、置換基を1つ以上導入すること(換言すれば、R
2乃至R
6の全てが水素原子でないこと)が好ましい。すなわち、R
2乃至R
6の少なくとも1つが、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基又は前記の置換基以外の有機基の置換基を有することができる。置換基R
2乃至R
6に、上記のような置換基を少なくとも1つ導入することにより、吸収する光の波長を調整することが可能であり、置換基を導入することで所望の波長を吸収させるようにすることもできる。また、芳香族環の共役鎖を伸ばすような置換基を導入することにより、吸収波長を長波長にシフトすることができる。特に硫黄原子を含むメルカプト基、スルフィド基を置換基R
2乃至R
6として導入した場合は、吸収を大幅に長波長シフトできる点から好ましい。また、溶解性や組み合わせる高分子前駆体との相溶性が向上するようにすることもできる場合がある。これにより、組み合わせる高分子前駆体の吸収波長も考慮しながら、絶縁膜形成用感光性組成物の感度を向上させることが可能な場合もある。
【0047】
式(1)のR
2乃至R
6が表す有機基の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1乃至20のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数4乃至23のシクロアルキル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数4乃至23のシクロアルケニル基;フェノキシメチル基、2−フェノキシエチル基、4−フェノキシブチル基等の炭素数7乃至26のアリールオキシアルキル基(−ROAr基);ベンジル基、3−フェニルプロピル基等の炭素数7乃至20のアラルキル基;シアノメチル基、β−シアノエチル基等のシアノ基をもつ炭素数2乃至21のアルキル基;ヒドロキシメチル基等の水酸基をもつ炭素数1乃至20のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1乃至20のアルコキシ基、アセトアミド基、ベンゼンスルホナミド基(C
6H
5SO
2NH
2−)等の炭素数2乃至21のアミド基、メチルチオ基、エチルチオ基等の炭素数1乃至20のアルキルチオ基(−SR基)、アセチル基、ベンゾイル基等の炭素数1乃至20のアシル基、メトキシカルボニル基、アセトキシ基等の炭素数2乃至21のエステル基(−COOR基及び−OCOR基)、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、トリル基等の炭素数6乃至20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換した炭素数6乃至20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換したベンジル基、シアノ基、及びメチルチオ基(−SCH
3)であることが好ましい。また、上記のアルキル部分は直鎖でも分岐状でも環状でもよい。
また、式(1)のR
2乃至R
6としては、それらの2つ以上が結合して、R
2乃至R
6が結合しているベンゼン環上の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン又はインデン等の縮合環を形成している場合も、吸収波長が長波長化する点から好ましい。
【0048】
また、本発明に係る光重合開始剤において、R
2乃至R
6の少なくとも1つが水酸基である場合、R
2乃至R
6に水酸基を含まない化合物と比べ、塩基性水溶液等に対する溶解性の向上、および吸収波長の長波長化が可能な点から好ましい。
【0049】
式(1)におけるR
2乃至R
6としては、全てが水素原子であるか、R
2、R
3、R
5及びR
6が水素原子でR
4がアルキルチオ基又はアルコキシ基であることが好ましく、全てが水素原子であるか、R
2、R
3、R
5及びR
6が水素原子でR
4がアルキルチオ基であることがより好ましい。
【0050】
式(1)中、Zは一級アミン化合物又は二級アミン化合物から水素原子を一つ除いた残基(以下、Zが表す一級アミン化合物又は二級アミン化合物から水素原子を一つ除いた残基を単に「Zが表す残基」と記載する)を表す。換言すれば、Zは一級アミノ基又は二級アミノ基である。
Zが表す残基としては、1乃至18個の炭素原子を有する残基が好ましく、6乃至12個の炭素原子を有する残基がより好ましい。
Zが表す残基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基を包含していてもよい。
Zが表す残基が包含していてもよいアルキル基としては、例えば、エチル、プロピル、ブチル及びヘキシル等が挙げられる。
Zが表す残基が包含していてもよいシクロアルキル基としては、通常炭素数5乃至10、好ましくは5乃至8のシクロアルキル基であり、具体的には、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロオクチル等が挙げられる。
【0051】
Zが表す残基が包含していてもよいアリール基としては、通常炭素数6乃至14、好ましくは6乃至10のアリール基であり、具体的には、フェニル、トリル及びナフチル等が挙げられる。
Zが表す残基が包含していてもよアラルキル基としては、通常炭素数7乃至15、好ましくは7乃至11のアラルキル基であり、具体的には、ベンジル、フェネチル及びナフチルメチル等が挙げられる。
Zが表す残基が包含していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基は置換基を有していてもよく、該有していてもよい置換基の具体例としては、アミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基及びヒドロキシ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Zが表す残基は含窒素環から水素原子を一つ除いた残基であってもよい。この場合、含窒素環の環を構成する原子数は通常3乃至12個、好ましくは5乃至8個である。また、含窒素環は環を構成する原子に複数のヘテロ原子(N、O、S等)を含有していてもよい。
【0052】
式(1)で表される化合物としては、下記式(1−1)で表される化合物がより好ましい。
【0054】
式(1−1)中、R
1乃至R
6は式(1)におけるR
1乃至R
6と同じ意味を表し、好ましいものも式(1)におけるR
1乃至R
6と同じである。
式(1−1)中、Xは環構造を含む飽和炭化水素からn個の水素原子を除いた残基(以下、単に「飽和炭化水素残基」とも記載する)を表す。飽和炭化水素残基に含まれる環構造としては三から十員環の飽和炭化水素が挙げられ、該飽和炭化水素残基に含まれる環構造は一つでも複数でも構わない。飽和炭化水素残基に含まれる環構造の具体例としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、アダマンタン環、等の構造が挙げられる。
【0055】
式(1−1)中、nは1乃至6の整数を表し、1乃至2の整数であることが好ましく、2であることがより好ましい。即ち、式(1−1)で表される化合物としては、下記式(1−2)で表される化合物がより好ましい。
【0057】
式(1−2)中、R
1乃至R
6は式(1−1)におけるR
1乃至R
6と同じ意味を表し、好ましいものも式(1−1)におけるR
1乃至R
6と同じである。Aはシクロアルキレン基を表す。Dはアルキレン基を表す。
式(1−2)のAが表すシクロアルキレン基とは、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環及びアダマンタン環等の飽和の環状炭化水素から2つの水素原子を除いた二価の連結基であり、1,3−シクロペンチレン基又は1,4−シクロヘキシレン基であることが好ましく、1,4−シクロヘキシレン基であることがより好ましい。
【0058】
式(1−2)のDが表すアルキレン基とは、飽和の脂肪族炭化水素(例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン及びオクタン等)から2つの水素原子を除いた二価の連結基であり、炭素数1乃至18のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1乃至12のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数1乃至8の直鎖状のアルキレン基(具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基及びオクチレン基)であことが更に好ましく、炭素数1乃至4のアルキレン基であることが特に好ましく、炭素数1のアルキレン基(即ち、メチレン基)であることが最も好ましい。
即ち、式(1−2)で表される化合物としては、下記式(1−3)で表される化合物がより好ましい。
【0060】
式(1−3)中、R
1乃至R
6は式(1−2)におけるR
1乃至R
6と同じ意味(即ち、(1)におけるR
1乃至R
6と同じ意味)を表し、好ましいものも式(1−2)におけるR
1乃至R
6と同じ(即ち、(1)におけるR
1乃至R
6と同じ)である。
【0061】
式(1)で表される化合物は、活性エネルギー線が照射されることにより下記式で示されるように開裂反応と脱炭酸反応をともなってラジカルと塩基性化合物を生成し、該発生したラジカルによってラジカル重合性基を有する高分子前駆体のラジカル重合を開始することができるため、光重合開始剤として作用するものである。またラジカルと同時に発生した塩基性化合物は、後述する高分子前駆体と架橋反応し得るのみならず、該発生した塩基の触媒作用により、高分子前駆体の硬化開始温度を下げることができる。
【0063】
式(1)で表される化合物は、特開2017−105749号に記載の方法に準じて合成することが可能である。合成後の精製法は結晶性の高い化合物に関しては晶析法が適している。あるいは溶剤などで洗浄することによっても精製することができる。
【0064】
式(1)で表される化合物の具体例を下記式(a)乃至(m)に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0068】
成分(A)は本発明の感光性樹脂組成物に単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。2種類以上を混合して用いる場合は、式(1)に包含される2種類以上の化合物を混合して用いてもよいし、本発明の効果を損なわない範囲であれば、式(1)以外の光重合開始剤を混合して用いても構わない。
式(1)で表される化合物に混合して用い得る光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュアー184;BASF製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173;BASF製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(イルガキュアー2959;BASF製)、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル(ダロキュアMBF;BASF製)等が挙げられる。
【0069】
また、式(1)で表される化合物に水素引抜型光ラジカル重合開始剤を混合して用いてもよい。水素引抜型光ラジカル重合開始剤とは、紫外線や可視光の照射によって、他の分子の水素を引抜いてラジカルを発生させる光重合開始剤であり、式(1)で表される化合物のような開裂型の光ラジカル重合開始剤とはラジカルが発生するメカニズムが異なる。この様なラジカルの発生メカニズムの異なる光重合開始剤を混合して用いることにより、本発明のディスプレイ用接着剤の光反応性を高めることができる。
水素引抜型光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、アクリドン、2−エチルアントラキノン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン等を挙げることができる。
更に、例えば国際公開2012/011220に記載されている分子内に反応性基を有するチオキサントン化合物も式(1)で表される化合物に混合して用いることができる。
【0070】
本発明の感光性樹脂組成物における成分(A)の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分(溶剤を除く成分)中に通常0.1乃至20質量%、好ましくは1乃至10質量%である。光重合開始剤の含有量が1質量%未満であると露光部と未露光部の溶解性のコントラストを十分に大きくできない恐れがあり、10質量%を超えると感光性樹脂組成物の硬化物の諸特性が発現しにくくなる恐れがある。
また、後述するエポキシ化合物と組み合わせる場合等、式(1)で表される化合物を含む成分(A)から光照射により発生した塩基性化合物が硬化剤として作用し得る場合の成分(A)の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分中に通常0.1乃至20質量%、好ましくは1乃至10質量%である。
【0071】
[成分(B) 光重合性化合物]
本発明の感光性樹脂組成物は、成分(B)として、光重合性化合物を含有する(以下、単に「成分(B)」ともいう。)。
成分(B)としては、光や熱等によって硬化する化合物であれば特に限定されないが、(B−1)(メタ)アクリル化合物であることが好ましい。成分(B−1)としては、例えば、(メタ)アクリレートモノマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリイソプレン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリブタジエン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマー、(メタ)アクリルエステル化合物及びエポキシ(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
尚、本明細書において「(メタ)アクリル」とは「アクリル及び/又はメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル基」とは「アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基」を意味する。
【0072】
[(B−1)(メタ)アクリル化合物]
(メタ)アクリレートモノマーは、一分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート及び一分子中に複数個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートの何れでもよい。
一分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等の炭素数5〜25のアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、フェニルグリシジル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、2−エチル−2−アダマンチルアクリレート、1−アダマンチルメタクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンオキシエチル(メタ)アクリレート、等の環状骨格を有する(メタ)アクリレート、水酸基を有する炭素数5乃至7のアルキル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性フェノキシ化リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ブトキシ化リン酸(メタ)アクリレート及びエチレンオキシド変性オクチルオキシ化リン酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラフルフリル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0073】
一分子中に複数個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート及びエチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート等のトリメチロール炭素数2乃至10アルカントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート等のトリメチロールC2〜C10アルカンポリアルコキシトリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクロイルオキシエチル]イソシアヌレ−ト、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のアルキレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートペンタエリスリトールポリエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリプロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0074】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは多価アルコール、ポリイソシアネート及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させることによって得られる。
【0075】
多価アルコールとしては、例えば、ポリブタジエングリコール、水添ポリブタジエングリコール、ポリイソプレングリコール、水添ポリイソプレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1、6−ヘキサンジオール等の炭素数1〜10のアルキレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のトリオール、トリシクロデカンジメチロール、ビス−〔ヒドロキシメチル〕−シクロヘキサン等の環状骨格を有するアルコール等;及びこれら多価アルコールと多塩基酸(例えば、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等)との反応によって得られるポリエステルポリオール、多価アルコールとε−カプロラクトンとの反応によって得られるカプロラクトンアルコール、ポリカーボネートポリオール(例えば1,6−ヘキサンジオールとジフェニルカーボネートとの反応によって得られるポリカーボネートジオール等)又はポリエーテルポリオール(例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA等)等が挙げられる。接着強度と耐湿性の観点から、上記多価アルコールとしては、プロピレングリコール、ポリブタジエングリコール、水添ポリブタジエングリコール、ポリイソプレングリコール、水添ポリイソプレングリコールが好ましく、透明性と柔軟性の観点から重量平均分子量が2000以上のプロピレングリコール、水添ポリブタジエングリコール、水添ポリイソプレングリコールが特に好ましい。耐熱着色性等の変色性、相溶性の観点から水添ポリブタジエングリコールが好ましい。このときの重量平均分子量の上限は特に限定されないが、10000以下が好ましく、5000以下がより好ましい。また、必要に応じて二種以上の多価アルコールを併用してもよい。
【0076】
有機ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート又はジシクロペンタニルイソシアネート等が挙げられる。中でも、強靭性の観点からイソホロンジイソシアネートが好ましい。
【0077】
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ炭素数2乃至4アルキル(メタ)アクリレート、ジメチロールシクロヘキシルモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシカプロラクトン(メタ)アクリレート、ヒドロキシル基末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等を使用することができる。
【0078】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを得るための反応は、例えば、以下のようにして行う。即ち、多価アルコールにその水酸基1当量あたり有機ポリイソシアネートをそのイソシアネート基が好ましくは1.1乃至2.0当量、さらに好ましくは1.1乃至1.5当量になるように混合し、反応温度を好ましくは70乃至90℃で反応させ、ウレタンオリゴマーを合成する。次いで、ウレタンオリゴマーのイソシアネート基1当量あたり、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物をその水酸基が好ましくは1乃至1.5当量となるように混合し、70乃至90℃で反応させて目的とするウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを得ることができる。
【0079】
上記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量としては7,000乃至100,000程度が好ましく、10,000乃至60,000がより好ましい。重量平均分子量が7,000より小さいと収縮が大きくなり、重量平均分子量が100,000より大きいと硬化性が乏しくなる。
【0080】
ポリイソプレン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリイソプレン分子の末端又は側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する。ポリイソプレン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーは「UC−203」(クラレ社製)等として入手することができる。
同様に、ポリブタジエン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリブタジエン分子の末端又は側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する。ポリブタジエン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーは「BAC−45」(大阪有機化学工業社製)等として入手することができる。
ポリイソプレン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリブタジエン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリスチレン換算の数平均分子量が1000乃至50,000のものが好ましく、25,000乃至45,000程度のものがより好ましい。
【0081】
尚、本発明においては、ポリイソプレン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーの範疇には水添ポリイソプレン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーも包含され、ポリブタジエン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーの範疇には水添ポリブタジエンン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーも包含される。
【0082】
(メタ)アクリルエステル化合物の具体例としては、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルポリエトキシ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールモノエトキシ(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールポリエトキシ(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリプロポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールとヒドロキシピバリン酸のエステルジアクリレートやネオペンチルグリコールとヒドロキシピバリン酸のエステルのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート等のモノマー類を挙げることができる。好ましくは、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0083】
エポキシ(メタ)アクリレート化合物は、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応により公知の方法で得られる。原料となるエポキシ化合物としては、特に限定されるものではないが、2官能以上のエポキシ化合物が好ましく、例えば、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールFノボラック型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族鎖状エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、ヒダントイン型エポキシ化合物、イソシアヌレート型エポキシ化合物、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ化合物、その他、カテコール、レゾルシノール等の二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、およびそれらのハロゲン化物、水素添加物などが挙げられる。これらのうち液晶汚染性の観点から、ビスフェノールA型エポキシ化合物やレゾルシンジグリシジルエーテルが好ましい。また、エポキシ基と(メタ)アクリロイル基との比率は限定されるものではなく、工程適合性の観点から適切に選択される。なおエポキシ基の一部をアクリルエステル化する部分エポキシ(メタ)アクリレートが好適に使用される。この場合のアクリル化の割合は、30乃至70%程度が好ましい。
【0084】
[(B−2)エポキシ化合物]
また、成分(B)としては、(B−2)エポキシ化合物であることも好ましい。
エポキシ化合物としては特に限定されるものではないが、2官能以上のエポキシ化合物が好ましく、例えば、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂、その他、カテコール、レゾルシノール等の二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、およびそれらのハロゲン化物、水素添加物などが挙げられる。これらのうち液晶汚染性の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やレゾルシンジグリシジルエーテルが好ましい。
【0085】
成分(B)は本発明の感光性樹脂組成物に単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよいが、成分(B)として上記した成分(B−1)及び成分(B−2)からなる群より選択される一種以上用いることが好ましく、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリイソプレン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリブタジエン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマー及びエポキシ化合物からなる群より選択される一種以上と(メタ)アクリレートオリゴマーを混合して用いることがより好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物における成分(B)の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分(溶剤を除く成分)中に通常0.1乃至20質量%、好ましくは1乃至20質量%、より好ましくは5乃至20質量%である。
【0086】
[成分(C) シロキサン化合物]
本発明の感光性樹脂組成物は成分(C)としてシロキサン化合物を含有する(以下、単に「成分(C)」ともいう。)。
本発明の感光性樹脂組成物が含有する成分(C)は、その構造中に−SiO−結合を有する化合物でありさえすれば特に限定されず、例えばテトラアルコキシシラン等の低分子量の化合物は勿論のこと、テトラアルコキシシラン等の加水分解性シロキサン化合物の加水分解縮合物である分子量の大きいシロキサン化合物も本発明における成分(C)の範疇に含まれるが、下記式(4)で表されるシロキサン化合物が好ましい。
【0088】
式(4)中、R
7はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1乃至18のアルキル基、炭素数6乃至20のアリール基又は炭素数7乃至20のアラルキル基を表し、該炭素数1乃至20のアルキル基はビニル基、(メタ)アクリロイル基又はエポキシを置換基として有していてもよい。R
8はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数1乃至6のアシル基又は炭素数6乃至15のアリール基を表す。mは0乃至3の整数を表し、0であることが好ましい。
式(4)のR
7が表す炭素数1乃至18のアルキル基の具体例としては、式(1)のR
1が表す有機基の具体例としての炭素数1乃至18のアルキル基の項に記載したのと同じものが挙げられ、それぞれ独立に炭素数1乃至6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましく、それぞれ独立に炭素数1乃至4のアルキル基がより好ましい。
式(4)のR
7が表す炭素数6乃至12のアリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基及びトリル基等が挙げられる。
式(4)のR
7が表す炭素数7乃至20のアラルキル基の具体例としては、ベンジル基及びフェネチル基等が挙げられる。
【0089】
式(4)のR
8が表す炭素数1乃至6のアルキル基の具体例としては、式(1)のR
1が表す有機基の具体例としての炭素数1乃至18のアルキル基の項に記載した炭素数1乃至6のアルキル基と同じものが挙げられる。
式(4)のR
8が表す炭素数1乃至6のアシル基の具体例としては、式(1)のR
1が表す有機基の具体例としての炭素数1乃至18のアシル基の項に記載した炭素数1乃至6のアシル基と同じものが挙げられる。
式(4)のR
8が表す炭素数6乃至15のアリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基及びトリル基等が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物における成分(C)の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分(溶剤を除く成分)中に通常0.1乃至100質量%、好ましくは1乃至80質量%、より好ましくは10乃至70質量%である。
【0090】
[成分(D) シランカップリング剤]
本発明の感光性樹脂組成物には、成分(D)としてシランカップリング剤を添加して、接着強度や耐湿性の向上を図ることができる(以下、単に成分(E)ともいう。)。
成分(E)としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのシランカップリング剤はKBMシリーズ、KBEシリーズ等として信越化学工業株式会社等によって販売されている為、市場から容易に入手可能である。
本発明の感光性樹脂組成物における成分(D)の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分(溶剤を除く成分)中に通常10質量%以下、好ましくは0.1乃至1質量%である。
【0091】
本発明の感光性樹脂組成物には、必要によりその他の任意成分として、熱硬化剤、硬化促進剤、熱ラジカル重合開始剤、光重合開始助剤、有機溶剤、充填剤、酸化防止剤、ラジカル重合防止剤、光安定剤及び柔軟化成分等の各種添加剤や、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂等の樹脂成分を併用してもよい。式(1)で表される化合物に活性エネルギー線が照射されることにより生成される塩基によって反応が促進されるポリアミック酸やチオール等の化合物を併用したり、成分(B)がエポキシ樹脂の場合にエポキシ樹脂の硬化剤と成る化合物を併用することは、硬化物の架橋密度を高めるために効果的である。これらの任意成分は、目的に応じて従来公知のものを特に制限なく用いることができる。
本発明の感光性樹脂組成物におけるこれら任意成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば何ら限定されるものではないが、感光性樹脂組成物の固形分(溶剤を除く成分)中に通常75質量%以下、好ましくは0.1乃至75質量%程度である。
【0092】
本発明の感光性樹脂組成物は、前記した必須成分及び必要により加えられる任意成分を常温乃至80℃で混合し、必要により夾雑物をろ過等の操作により取り除くことにより得られる。混合の際は、必要により三本ロール、サンドミル、ボールミル等の公知の混合装置を用いてもよく、濾過の方法は感光性樹脂組成物の組成内容を考慮した上で、公知の方法から適宜選択すればよい。また、混合の際は、感光性樹脂組成物の具体的な用途や用いる際のハンドリング等を考慮して、各成分の配合量を適宜調節することが好ましい。
【0093】
本発明の感光性樹脂組成物の硬化物からなる絶縁膜(以下、「本発明の絶縁膜」と記載する)は、電気的な絶縁性の要求されるいずれの用途にも用いることが可能であるが、具体的用途として例えば、電気回路等の電極間の絶縁膜、電界効果トランジスタ素子、有機発光ダイオード素子、有機エレクトロルミネッセンス素子及び有機光起電力デバイス、有機薄膜太陽電池等の有機半導体素子の絶縁膜が挙げられる。以下に本発明の絶縁膜を有する有機半導体素子の一例である電界効果トランジスタについて説明する。
【0094】
[電界効果トランジスタ用絶縁膜]
本発明の絶縁膜を有する電界効果トランジスタ(Field effect transistor、以下、「本発明の電界効果トランジスタ」と記載する)は、本発明の絶縁膜からなるゲート絶縁膜を有する。
本発明の電界効果トランジスタは半導体層に接してソース電極及びドレイン電極の2つの電極があり、該2つの電極間に流れる電流を、ゲート絶縁層を介してゲート電極と呼ばれるもう一つの電極に印加する電圧で制御することができる。
図1は本発明の電界効果トランジスタのいくつかの態様を示したものであるが、各層や電極の配置は素子の用途により適宜選択することができる。先ず
図1に示した本発明の電界効果トランジスタの各構成要素及びその製造方法について説明する。
【0095】
基板1は、その上に形成される各層が剥離することなく保持できることが必要である。例えば、樹脂板や樹脂フィルム、紙、ガラス、石英、セラミック等の絶縁性材料;金属や合金等の導電性基板上に絶縁層をコーティングした形成物;樹脂と無機材料等の各種組合せからなる材料等が使用できる。中でも一般に使用される樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、ポリエーテルイミド等が挙げられる。樹脂フィルムや紙を用いると、半導体素子に可撓性を持たせることができ、フレキシブルで、軽量となり、実用性が向上する。基板の厚さは、通常1μm乃至10mm、好ましくは5μm乃至3mmである。
【0096】
ソース電極2、ドレイン電極3、ゲート電極6には導電性を有する材料が用いられる。例えば、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、タングステン、タンタル、ニッケル、コバルト、銅、鉄、鉛、錫、チタン、インジウム、パラジウム、モリブデン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、リチウム、カリウム、ナトリウム等の金属及びそれらを含む合金;InO
2、ZnO
2、SnO
2、ITO等の導電性酸化物;ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン(PEDOT・PSSなど)、ポリアセチレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリジアセチレン等の導電性高分子化合物;BED−TTFなどの有機電荷移動錯体;シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素等の半導体;カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素材料等が使用できる。また、カーボンブラックや金、白金、銀及び銅等の金属粒子を分散した導電性の複合材料を電極として用いることもできる。これらの電極には、接触抵抗を低下させるために酸化モリブデンをドーピングしたりチオール等による表面処理を施してもよい。
各電極2、3、6には配線が連結されるが、配線も電極とほぼ同じ材料で作製される。ソース電極2及びドレイン電極3の材料は同じでも異なっても良い。
【0097】
電極を形成する方法としては、例えば真空蒸着法、スパッタ法、塗布法、熱転写法、印刷法、ゾルゲル法等が挙げられる。成膜時又は成膜後、所望の形状になるよう必要に応じてパターニングを行うのが好ましい。パターニングの方法としても各種の方法を使用できるが、例えばフォトレジストのパターニングとエッチングを組み合わせたフォトリソグラフィー法等が挙げられる。また、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィー法、及びこれらの手法を複数組み合わせて、パターニングすることも可能である。ソース電極2、ドレイン電極3、ゲート電極6の膜厚は、材料によって異なるが、通常0.1nm乃至100μmであり、好ましくは0.5nm乃至10μmであり、より好ましくは1nm乃至5μmである。ソースとドレイン電極間の距離(チャネル長)は、素子の特性を決める重要なファクターとなるが、通常100nm乃至2μmであり、300nm乃至0.5μmであることが好ましい。ソースとドレイン電極間の幅(チャネル幅)は通常5000nm乃至10μmであり、3000nm乃至100μmが好ましいが、チャネル幅は必要な電流量やデバイスの構造等により最適化すれば良い
【0098】
半導体層4は、公知の有機半導体材料を用いて形成された層であり、このような有機半導体材料としては、π電子共役系の芳香族化合物、鎖式化合物、有機顔料、有機ケイ素化合物、電荷移動錯体等が挙げられ、例えばジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[3,2−b]チオフェン類またはベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェン類及びそれらの誘導体、ペンタセンやテトラセン等のポリアセン化合物やそれらに可溶化基を結合させたポリアセン誘導体、チオフェンオリゴマー誘導体、フェニレン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリアリールアミン誘導体、シアニン色素等が挙げられる。半導体層4は1種類の半導体材料から形成しても、複数の半導体材料を混合物から形成してもよいが、高い移動度や大気中で安定な化合物が好ましく、中でもジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[3,2−b]チオフェン類またはベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェン類及びそれらの誘導体が特に好ましい。
【0099】
本発明の電界効果トランジスタが必要な機能を示すための半導体層4の膜厚は、通常、0.1nm乃至10μm、好ましくは0.5nm乃至5μm、より好ましくは1nm乃至3μmである。半導体層4の成膜方法としては、例えばスパッタリング法、CVD法、分子線エピタキシャル成長法、真空蒸着法等の真空プロセスでの形成方法やディップコート法、ダイコーター法、ロールコーター法、バーコーター法、スピンコート法等の塗布法;インクジェット法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、マイクロコンタクト印刷法等の塗布印刷プロセス、等の形成方法があげられ、これら手法を複数組み合わせて、パターニングすることも可能である。
【0100】
このように作製された半導体層4に後処理を施すことにより半導体特性を改良することができる。例えば、半導体層を形成した後に基板を熱処理することによって、成膜時に生じた膜中の歪みが緩和され、膜中の配列・配向を制御できる等の理由により、半導体特性の向上や安定化を図ることができ、ピンホール等も低減できる。熱処理は半導体層が形成されていればどの段階で行ってもよい。また、その他の半導体層の後処理方法として、膜中のキャリア密度の増減を目的に、酸素や水素等の酸化性あるいは還元性の気体や、酸化性あるいは還元性の液体で処理し、酸化、または還元により特性の変化を誘起する手法がある。すなわち、微量の元素、原子団、分子、高分子を半導体層に加えることにより、半導体層中のキャリア密度が増減し、半導体特性である電気伝導度、キャリア極性(p型−n型変換)、フェルミ準位等を変化させる手法である。
半導体層4にはドーピングを行ってもよく、ドーパントとしては、例えば、塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸;PF
5、AsF
5、FeCl
3等のルイス酸;ヨウ素等のハロゲン原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等の金属原子等が用いられる。
【0101】
絶縁膜5は前述の通り、本発明の感光性樹脂組成物の硬化物からなり、例えば本発明の感光性樹脂組成物を溶剤に溶解又は分散して得られる組成物溶液を、絶縁膜を設けたい部分に塗布した後に溶剤を乾燥除去して得られた組成物層に、活性エネルギー線を照射することにより、またその後必要により加熱処理を施すことにより得ることができる。絶縁層5の膜厚は、その機能を損なわない範囲で薄い方が好ましく、通常0.1nm乃〜100μmであり、好ましくは0.5nm乃至50μmであり、より好ましくは5nm乃至10μmである。
【0102】
保護膜層7の材料は特に限定されないが、酸素透過率や吸水率の低い樹脂が好ましく用いられる。保護層7の材料としては、例えばエポキシ樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリウレタン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂及びポリオレフィン等の各種樹脂;酸化珪素及び酸化アルミニウム等の無機酸化物;窒化珪素等の窒化物等が挙げられる。また、有機ELディスプレイ用に開発されている保護材料も使用が可能である。保護膜層の膜厚は、その目的に応じて任意の膜厚を採用できるが、通常100nm乃至1mmである。保護膜層を形成すると、湿度等の外気の影響を小さくすることができ、また、デバイスのON/OFF比を上げることができる等、電気的特性を安定化できる利点もある。保護層を成膜するには各種の方法を採用できるが、保護層が樹脂からなる場合は、例えば、樹脂を含有する溶液を塗布後に乾燥させて樹脂膜とする方法、樹脂モノマーを塗布あるいは蒸着した後に重合する方法等が挙げられ、成膜後に架橋処理を行ってもよい。保護層が無機物からなる場合は、例えば、スパッタリング法、蒸着法等の真空プロセスでの形成方法や、ゾルゲル法等の塗布印刷プロセスでの形成方法を用いることができる。本発明の電界効果トランジスタは、保護層を半導体層表面の他に、各層の間にも必要に応じて設けることができる。設置された保護層は、電界効果トランジスタの電気的特性の安定化に役立つ場合がある。
【0103】
基板1の表面を塩酸や硫酸、酢酸等による酸処理;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等によるアルカリ処理;オゾン処理、フッ素化処理、酸素やアルゴン等のプラズマ処理;ラングミュア・ブロジェット膜の形成処理、その他の絶縁体や半導体の薄膜の形成処理、機械的処理、コロナ放電などの電気的処理等を施すことにより、基板1上に各層を設ける際の印刷性を改善することができるが、その他、上記した各層の間や、半導体素子の外面に必要に応じて他の層を設けてもよい。また半導体層4が積層される基板または絶縁体層上等に予め表面処理を行うことにより、基板、電極等とその後に成膜される半導体層との界面部分の分子配向や結晶性の制御、電極界面や絶縁体層上のトラップ部位の低減によりキャリア移動度等の特性を改良したり、基板表面の親水性/疎水性のバランスを調製することにより、その上に成膜される膜の膜質や基板への塗れ性の改良によってデバイスの均一性を更に向上させることが可能である。このような基板処理としては、例えばシランカップリング処理、チオール処理や繊維等を利用したラビング処理等が挙げられる。
【0104】
本発明の電界効果トランジスタにおいて絶縁膜以外の上記各層を設ける方法としては、例えば真空蒸着法、スパッタ法、塗布法、印刷法、ゾルゲル法等が適宜使用できるが、生産性を考慮すると、塗布法や、インクジェット印刷等の印刷法が好ましい。
【0105】
本発明の電界効果トランジスタにおける絶縁膜5(ゲート絶縁膜)の形成方法としては、例えばキャスティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ブレードコーティング、ワイヤバーコーティング、スプレーコーティング等のコーティング法;インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷、グラビア印刷等の印刷法;マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィー法等、さらにはこれらの手法を複数組み合わせた方法を採用できる。これらの印刷法により薄膜を形成したのち、300℃未満、好ましくは250℃以下、より好ましくは180℃以下で加熱乾燥及び/又は硬化させて、耐熱性の優れたポリアミド薄膜とすることができる。加熱乾燥及び/又は硬化温度は、絶縁性能を阻害しない限りにおいて特に制限は無く、より低温であっても問題は無いが、80℃以上とするのが好ましい。使用する基板の性能に合わせて調製することが可能である。このようにして形成された本発明の絶縁層は、特に耐熱性、耐湿性、電気特性、耐薬品性等に非常に優れたものとなる。
【実施例】
【0106】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではなく、有機半導体素子のゲート絶縁膜、プリント配線板の層間絶縁膜、MEMS用レジスト、パワー半導体のイオン注入マスクレジスト、カラーレジスト用途への応用が想定される。尚、特別の記載のない限り、本文中「部」及び「%」とあるのは質量基準である。
【0107】
合成例1(式(1)で表される化合物(成分(A))の合成)
特開2017−105749号公報の実施例6の記載に準じて、式(1)で表される化合物(A−1)を得た。
【0108】
【化14】
【0109】
合成例2(比較用の化合物(成分(A−3))の中間体の合成)
拌機、還流冷却管及び撹拌装置を備えたフラスコに、4, 5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルアルデヒド12.5部、テトラヒドロホウ酸ナトリウム1.5部及びメタノール250部を入れ、室温(23℃)で3時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム溶液38部を加えた。その後、析出した黄色固体をろ過回収し、ろ液にクロロホルム120部を加えて抽出操作を行った後、溶媒を留去して灰色固体を得た。得られた固体を酢酸エチルで再結晶することにより、中間体化合物4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルアルコールの黄色固体を8.4部得た。
【0110】
【化15】
【0111】
合成例3(比較用の化合物(成分(A−3))の合成)
合成例2で得られた4,5−ジメトキシ−2−オルトニトロベンジルアルコール2.00部及びオクチル酸スズ0.04部をフラスコに入れて均一になるまで80℃で撹拌を行った。続いて室温下でジシクロヘキシルメタン4、4−ジイソシアナート1.71部を加え、2時間撹拌を続けた後、冷却してエバポレーターで溶媒を留去した。得られた溶液をシクロヘキサン中に滴下し、30分間撹拌して洗浄して白色固体を回収した。この固体をメタノールの再結晶により精製し下記式(A−7)で表される本発明の化合物(光重合開始剤8)を1.3部得た。
【0112】
【化16】
【0113】
合成例4(比較用の化合物(成分(A−4))の中間体の合成)
1,1,3,3−テトラメチルグアニジン11.9部にN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド13.1部を加え、100℃で2時間加熱攪拌した。反応終了後、反応液にヘキサンを加え、5℃まで冷却し、得られた結晶をろ過することにより、中間体化合物3(1,2−ジイソプロピル−4,4,5,5−テトラメチルビグアニド)8.3部の白色固体を得た。
【0114】
合成例5(比較用の化合物(成分(A−4))の合成)
ケトプロフェン7.6部と合成例4で得られた中間体化合物3 7.2部を、メタノール30mLに溶解させ、室温で30分間攪拌した。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をヘキサンで洗浄後、減圧乾燥することにより、下記式で表される化合物(成分(A−4)の白色固体を12.2部得た
【0115】
【化17】
【0116】
実施例1及び2、比較例3乃至5(感光性樹脂組成物の調製)
下記表1に示す割合で成分(A)とシクロペンタノンを混合して90℃まで昇温して溶解させた後、成分(B)、成分(C)及び成分(D)を加えて混合溶解させた。前記で得られた混合溶液を室温まで冷却した後、フィルターで濾過することにより本発明の感光性樹脂組成物及び比較用の感光性樹脂組成物を得た。
【0117】
〔硬化膜の耐電圧・誘電率の評価〕
実施例1及び2、比較例3乃至5の各組成物を、スピンコーターを用いてクロムを蒸着したガラス基板上に塗布した後、ホットプレート上で100℃にて2分間プレベークすることにより膜厚約1.0μmの塗膜を形成した。得られた各膜に対し、ウシオ電機(株)製コンタクトアライナー(高圧水銀灯)を用い、積算照射量が3000mJ/cm
2となるようにそれぞれ露光を行った後、ホットプレートにて120℃で1時間加熱することにより、基板上に硬化膜を形成した。この硬化膜上に、蒸着法によりAu電極を形成し、耐電圧・誘電率測定用サンプルを作成した。得られたサンプルについて、Agilent Technologies社製 半導体デバイスアナライザーB1500Aおよびsolartron社製 Modulab xmを用い、耐電圧性と周波数1kHzの周波数における誘電率を測定した。結果を表1に示した。
【0118】
〔硬化膜の耐熱性の評価〕
前記で得られた硬化物のサンプル3mgを切り出した後、日立ハイテクサイエンス社製 熱分析装置TG/DTA 6200を用いて毎分100mlの空気流中で質量が5%減少する温度を測定した。
【0119】
〔パターニング特性〕
実施例1及び2、比較例3乃至5の各組成物を、スピンコーターを用いてシリコンウェハー上に塗布することにより膜厚約1.0μmの塗膜を形成した後、100℃で2分間加熱して溶媒を乾燥させた。この膜にウシオ電機(株)製のコンタクトアライナー(高圧水銀灯)を用いて、マスクを介して露光を行った。露光後の膜を120℃で10分間加熱した後、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)で30秒間現像し、パターンを作成した。得られたパターンの膜厚を触針式膜厚測定器で測定し、各露光量における残膜率(露光前の膜厚を1とした場合の、パターニング後に得られたパターンの膜厚)を測定した。露光量を変えて前記の操作を繰り返すことにより、現像後の残膜率が1となる最少露光量とその時の最高解像度を評価した。結果を表1に示した。
【0120】
【表1】
【0121】
表1の結果より、本発明の感光性樹脂組成物は、比較例の感光性樹脂組成物に比べて、優れた耐電圧性と誘電特性を有し、また耐熱性とパターニング性能も良好であった。