【実施例1】
【0015】
(実施例1の構成)
図1は、本発明の実施例1におけるDC/DCコンバータ(例えば、三相DAB方式の双方向DC/DCコンバータ)を示す回路図である。
この三相DAB方式の双方向DC/DCコンバータは、従来の
図17と同様に、双方向に使用できるコンバータであり、1次側(例えば、蓄電池側)電力P1の第1DC電圧E1が印加される平滑用のコンデンサ61と、2次側(例えば、直流リンク側)電力P2の第2DC電圧E2が印加される平滑用のコンデンサ62と、を有している。コンデンサ61の両電極間には、DC電圧とAC電圧とを相互に変換する共振機能付きの第1ブリッジ回路(例えば、1次側ブリッジ回路)70−1が接続され、コンデンサ62の両電極間にも、AC電圧とDC電圧とを相互に変換する共振機能付きの第2ブリッジ回路(例えば、2次側ブリッジ回路)70−2が接続されている。
【0016】
1次側ブリッジ回路70−1は、6つの第1スイッチング素子(例えば、MOS型FET)71,72,73,74,75,76と、u相の接続点u1、v相の接続点v1及びw相の接続点w1と、を有し、それらがフルブリッジ形に接続されている。即ち、FET71、u相の接続点u1及びFET72が直列に接続され、FET73、v相の接続点v1及びFET74が直列に接続され、更に、FET75、w相の接続点w1及びFET76が直列に接続され、それらの各直列回路が、コンデンサ61に対して並列に接続されている。各FET71〜76のドレイン・ソース間には、ボディダイオード71a〜76aがそれぞれ逆並列に接続されると共に、寄生容量71b〜76bがそれぞれ並列に接続されている。
【0017】
2次側ブリッジ回路70−2も、6つの第2スイッチング素子(例えば、MOS型FET)77,78,79,80,81,82と、u相の接続点u2、v相の接続点v2及びw相の接続点w2と、を有し、それらがフルブリッジ形に接続されている。即ち、FET77、u相の接続点u2及びFET78が直列に接続され、FET79、v相の接続点v2及びFET80が直列に接続され、更に、FET81、w相の接続点w2及びFET82が直列に接続され、それらの各直列回路が、コンデンサ62に対して並列に接続されている。各FET77〜82のドレイン・ソース間には、ボディダイオード77a〜82aがそれぞれ逆並列に接続されると共に、寄生容量77b〜82bがそれぞれ並列に接続されている。
【0018】
1次側ブリッジ回路70−1内の接続点u1,v1,w1と2次側ブリッジ回路70−2内の接続点u2,v2,w2との間には、インダクタンス値Lの共振用の三相インダクタ91,92,93と入出力間絶縁用の三相トランス100と、が接続されている。各FET71〜76側の寄生容量71b〜76bと各インダクタ91〜93とにより、LC共振回路が構成されている。
【0019】
三相トランス100は、3つの1次巻線111,112,113と3つの2次巻線121,122,123とを有し、それらがY−Y結線方式で接続されている。各1次巻線111,112,113の巻き始め(
図1中の黒丸点)は、各インダクタ91,92,93に接続され、各1次巻線111,112,113の巻き終わりが、相互に接続されている。各2次巻線121,122,123の巻き始めは、2次側ブリッジ回路70−2内の各接続点u2,v2,w2にそれぞれ接続され、各2次巻線121,122,123の巻き終わりが、相互に接続されている。各2次巻線121,122,123のインダクタンスと各FET77〜82側の寄生容量77b〜82bとにより、LC共振回路が構成されている。
【0020】
この双方向DC/DCコンバータには、1次側ブリッジ回路70−1及び2次側ブリッジ回路70−2内のFET71〜82のオン/オフ動作を制御するための第1制御信号S11〜S16及び第2制御信号S17〜S22を生成する制御装置200が設けられている。制御装置200は、FET71〜82のスイッチング周波数を制御して周波数制御信号S210を生成する周波数制御部210と、DC電圧E1側の1次側電力P1又はDC電圧E2側の2次側電力P2を一定電力に制御するための定電力制御信号S220を生成する定電力制御部220と、その周波数制御部210及び定電力制御部220の出力側に接続され、周波数制御信号S210又は定電力制御信号S220を駆動してスイッチング用の制御信号S11〜S22を生成する駆動部230と、を有している。
【0021】
周波数制御部210は、図示しない電圧検出器等で検出された1次側DC電圧E1、図示しない電圧検出器等で検出された2次側DC電圧E2、図示しない位相検出器等で検出された1次−2次間位相差φ、図示しない周波数検出器等で検出されたスイッチング周波数f、及びインダクタ91〜93のインダクタンス値Lに基づき、FET71〜82がオフする時のドレイン・ソース間を流れる電流iを計算し、電力変換効率が最大になるようなスイッチング周波数fを求めて周波数制御信号S210を出力する機能を有している。定電力制御部220は、1次側電力P1又は2次側電力P2と目標電力Prefとの誤差電力ΔPを零にするような1次−2次間位相差φのフィードバック制御演算(例えば、比例・積分(PI)制御演算等)を行い、1次側電力P1又は2次側P2が目標電力Prefに一致するような定電力制御信号S220を生成する機能を有している。周波数制御部210及び定電力制御部220は、例えば、中央処理装置(CPU)を用いたプログラム制御可能なデジタルシグナルプロセッサ(DSP)等のプロセッサ、或いは、個別回路により構成されている。
【0022】
駆動部230は、周波数制御信号S210又は定電圧制御信号S220を駆動してスイッチング用の制御信号S11〜S22を生成し、FET71〜82のゲートへ供給する機能を有している。駆動部230は、トランジスタ等により構成されている。
【0023】
図2は、
図1中の周波数制御部210の構成を示す機能ブロック図である。
周波数制御部210は、1次−2次間の電力変換効率を計算する電力変換効率計算部211と、FET71〜82がオフする時に流れるオフ電流値の正負を判定する電流値正負判定部212と、スイッチング周波数fを一定値αだけ増減する周波数調整部213と、電力変換効率が上昇しているか否かを判定する効率変動判定部214と、を有し、それらがバス210aを介して相互に接続されている。
【0024】
電力変換効率計算部211は、第1、第2、第2電力変換効率計算部211a,211b,211cを有している。第1電力変換効率計算部211aは、図示しない電流検出器や電圧検出器等で検出された1次側DC電圧E1側及び2次側DC電圧E2側の電流及び電圧に基づき、第1電力変換効率を計算して第1電力変換効率計算結果を出力する機能を有している。第2電力変換効率計算部211bは、スイッチング周波数fを一定値αだけ下げた時の第2電力変換効率を、DC電圧E1,E2側の電流及び電圧に基づいて計算する機能を有している。更に、第3電力変換効率計算部211cは、スイッチング周波数fを一定値αだけ上げた時の第3電力変換効率を、DC電圧E1,E2側の電流及び電圧に基づいて計算する機能を有している。
【0025】
電流値正負判定部212は、第1電力変換効率計算結果が出力された時のオフ電流値を、1次側DC電圧E1、2次側DC電圧E2、位相差φ、スイッチング周波数f、及び各インダクタ91〜93のインダクタンス値Lに基づいて計算し、計算されたオフ電流値の正負を判定して正負判定結果を求め、この正負判定結果が負の場合には、第1電力変換効率計算部211aに対して第1電力変換効率を計算させる機能を有している。
【0026】
周波数調整部213は、第1、第2周波数調整部213a,213bを有し、更に、効率変動判定部214は、第1、第2効率変動判定部214a,214bを有している。
【0027】
第1周波数調整部213aは、正負判定結果が正の場合には、スイッチング周波数fを一定値αだけ下げる機能を有している。第2周波数調整部213bは、第1効率変動判定部214aによる効率変動結果が下降の場合には、スイッチング周波数fを一定値αだけ上げる機能を有している。第1効率変動判定部214aは、第2電力変換効率計算部211bによる第2電力変換効率の上昇又は下降を判定して第1効率変動判定結果を求め、この第1効率変動判定結果が上昇の場合には、第1周波数調整部213aに対してスイッチング周波数fを一定値αだけ下げさせる機能を有している。
【0028】
更に、第2効率変動判定部214bは、第3電力変換効率の上昇又は下降を判定して第2効率変動判定結果を求め、この第2効率変動判定結果が上昇の場合には、第2周波数調整部213bに対してスイッチング周波数fを一定値αだけ上げさせ、第2効率変動判定結果が下降の場合には、第1電力変換効率計算部211aに対して第1電力変換効率を計算させる機能を有している。
【0029】
(実施例1の定電力制御動作)
例えば、DC電圧E1側の1次側電力P1を入力してDC電圧E2側の一定の2次側電力P2を負荷へ供給する場合の定電力動作を説明する。
【0030】
DC/DCコンバータの起動後、制御装置200内の定電力制御部220は、図示しない電圧検出器及び電流検出器により検出された2次側DC電圧E2及び2次側DC電流から求められた2次側電力P2と、1次側から2次側へ伝達する目標電力Prefと、の誤差電力ΔPを零にするような1次−2次間位相差φのフィードバック制御演算(例えば、PI制御演算等)を行い、2次側電力P2が目標電力Prefに一致するような定電力制御信号S220を駆動部230へ出力する。駆動部230は、定電力制御信号S220を駆動してスイッチング用の制御信号S11〜S22を生成し、FET71〜82をオン/オフ動作させる。これにより、1次−2次間位相差φが変化し、目標電力Prefに一致する2次側電力P2が2次側の負荷へ供給される、という定電力制御が実施される。
【0031】
例えば、制御信号S11,S14が高レベル(以下「Hレベル」という。)、制御信号S12,S13,S15,S16が低レベル(以下「Lレベル」という。)になると共に、制御信号S17,S20がHレベル、制御信号S18,S19,S21,S22がLレベルになる。
【0032】
入力された1次側電力P1のDC電圧E1がコンデンサ61で平滑され、このコンデンサ61の+電極→1次側のFET71のドレイン・ソース→接続点u1→インダクタ91→トランス100の1次巻線111,112→インダクタ92→接続点v1→FET74のドレイン・ソース→コンデンサ61の−電極へ、電流i1が流れる。トランス100の1次巻線111,112に電流i1が流れると、2次巻線121,122に励磁電流が誘起され、この2次巻線121の巻き初め→接続点u2→2次側のFET77→コンデンサ62→FET80→接続点v2→2次巻線122の巻き初めから巻終わり→2次巻線121の巻終わりへ、電流i2が流れる。これにより、一定の2次側電力P2が2次側の負荷へ供給される。
【0033】
次に、制御信号S12,S13がHレベル、制御信号S11,S14,S15,S16がLレベルになると共に、制御信号S18,S19がHレベル、制御信号S17,S20,S21,S22がLレベルになる。
【0034】
コンデンサ61の+電極→1次側のFET73→接続点v1→インダクタ92→1次巻線112の巻き初めから巻終わり→1次巻線111の巻終わりから巻き初め→インダクタ91→接続点u1→FET72→コンデンサ61の−電極へ、電流i1が流れる。トランス100の1次巻線111,112に電流i1が流れると、2次巻線121,122に励磁電流が誘起され、この2次巻線121の巻終わり→2次巻線122の巻終わりから巻き初め→接続点v2→2次側のFET79→コンデンサ62→FET78→接続点u2→2次巻線121の巻き初めへ、電流i2が流れる。これにより、一定の2次側電力P2が2次側の負荷へ供給される。
【0035】
(実施例1の周波数制御動作)
図1のDC/DCコンバータにおいて、例えば、トランス100の1次巻線111〜113と2次巻線121〜123との巻数比を1:1とすると、変換される入力電力Pは、1次巻線111〜113側のAC電圧と2次巻線121〜123側のAC電圧との1次−2次間位相差φの関数となり、次式(1)、(2)にて与えられる。
【0036】
(φ=0〜60°の時)
P=[(E1×E2)/(360×f×L)]×[φ(240−φ)/360]
・・・(1)
(φ=60°〜120°の時)
P=[(E1×E2)/(360×f×L)]×[(−φ
2+180φ−1800)/180] ・・・(2)
但し、f;FET71〜82のスイッチング周波数
L;インダクタ91〜93の各インダクタンス値
【0037】
DC電圧E1,E2、スイッチング周波数f、及びインダクタンス値Lが固定とすると、位相差φにより電力制御が可能となる。又、FET71〜82がオフする時にドレイン・ソース間に流れる電流iは、
1次側のFET71〜76の場合
(φ=0〜60°の時)
i=[1/(360×f×L)]×[(120E1+(φ−120)E2)/3] ・・・(3)
(φ=60〜120°の時)
i=[1/(360×f×L)]×[(120E1+(2φ−180)E2)/3] ・・・(4)
2次側のFET77〜82の場合
(φ=0〜60°の時)
i=[1/(360×f×L)]×{[(120−φ)E1−120E2]/3} ・・・(5)
(φ=60〜120°の時)
i=[1/(360×f×L)]×{[(2φ−180)E1+120E2]/3} ・・・(6)
で表される。
【0038】
図3は、
図1のY−Y結線方式のトランス100を有するDC/DCコンバータにおける1次−2次間位相差φ(°)に対する入力電力Pを示す特性図である。
図3では、DC電圧E2=E1、位相差φ=90°の入力電力Pを1とした時の電圧比d(=E2/E1)のd1〜d7曲線が描かれている。電圧比dにおいて、d1曲線=0.14、d2曲線=0.29、d3曲線=0.5、d4曲線=0.57、d5曲線=1、d6曲線=1.43、d7曲線=2である。電圧比dが大きくなるほど、入力電力Pが大きくなっている。
【0039】
1次側FET71〜76及び2次側FET77〜82のZVS動作範囲において、1次側FET71〜76のZVS動作条件は、
(φ=0〜60°の時)
φ>120(1−1/d)
(φ60〜120°の時)
φ>90(1−2/(3d))
で表される。
【0040】
2次側FET77〜82のZVS動作条件は、
(φ=0〜60°の時)
φ>120(1−d)
(φ=60〜120°の時)
φ>90(1−(2d)/3)
で表される。
【0041】
図4は、
図1のY−Y結線方式のトランス100を有するDC/DCコンバータにおける1次−2次間位相差φ(°)に対する電圧比d(=E2/E1)のZVS動作条件を示す特性図である。
図4において、符号241は1次側境界Y−Y曲線、符号242は2次側境界Y−Y曲線である。2本の1次側境界Y−Y曲線241,241で囲まれた谷形の領域は、1次側FET71〜76のZVSを外れる領域であり、2本の2次側境界Y−Y曲線242,242で囲まれた山形の領域は、2次側FET77〜82のZVSを外れる領域である。1次側境界Y−Y曲線241と2次側境界Y−Y曲線242とで囲まれた左右の2つの三角形の領域は、1次、2次側FET71〜76,77〜82のZVS動作領域である。
【0042】
図4において、1次側DC電圧E1と2次側DC電圧E2において、電圧が低い側のFET77〜82がZVS外れを起こすが、式(5)、(6)における電流iの符号が正となる条件の時、FET77〜82はZVS動作となる。
【0043】
FET71〜76,77〜82がZVS動作を行う条件において、変換される入力電力Pを増やすためには、式(1)、(2)より位相差φを大きくする必要があるが、この時、式(3)、(4)、(5)、(6)より、FET71〜76,77〜82がオフする時の電流(オフ電流)iも増える。オフする時の電流i(例えば、インダクタ91〜93からの流出電流)は、DC電圧E1側へ回生されるが、回生する際、巻線111〜113やFET71〜76を通過する。そのため、導通損が発生し、FET71〜76がオフする時の電流iが大きい場合、その電流iの二乗に比例して損失が発生するので、従来の課題で説明したように、電力変換効率を悪化させる原因となってしまう。
【0044】
そこで、本実施例1では、FET71〜76,77〜82がZVS動作を行う条件において、従来の課題である、FET71〜76,77〜82がオフする時の電流増加による電力変換効率悪化の問題を改善するために、周波数制御部210により、スイッチング周波数fを変化させるようにしている。
【0045】
式(1),(2)より、同一の変換電力であれば、スイッチング周波数fを低くすることにより、位相差φを小さくすることができる。位相差φを小さくすることで、式(3),(4),(5),(6)により、DC電圧E1,E2の条件によってはFET71〜76,77〜82がオフする時の電流iを小さくすることができる。
【0046】
例えば、1次側DC電圧E1=264V、2次側DC電圧E2=350V、スイッチング周波数f=55kHz、インダクタンス値L=13μHとし、入力電力P=11kWとすると、位相差φ=62°となる。この時の1次側のFET71〜76がオフする時の電流iはφ=60〜120°なので、式(4)で与えられ、電流i=15.6Aとなる。2次側のFET77〜82がオフする時の電流iは、式(6)より、i=35.2Aとなる。
【0047】
ここで、スイッチング周波数f=50kHzとすると、位相差φ=53.9°となり、1次側のFET71〜76がオフする時の電流iは、位相差φ=0〜60°なので、式(3)で与えられ、i=12.2Aとなる。2次側のFET77〜82がオフする時の電流iは、式(5)より、i=35.0Aとなる。
【0048】
使用するDC電圧E1,E2、位相差φ、スイッチング周波数f、インダクタタンス値Lにより、FET71〜76,77〜82がオフする時の電流iが決まり、この電流値が正の時、周波数制御部210によってスイッチング周波数fを制御することにより、FET71〜76,77〜82がオフする時の電流iを減らすことができ、電流iがDC電圧E1,E2側へ回生する時に発生する損失を軽減することができる。式(3)、(4)又は式(5)、(6)の電流iが0になるようにスイッチング周波数fを制御することにより、DC電圧E1,E2側へ回生する電流iを0にすることができ、スイッチング周波数fを制御することによる損失を最小にすることができる。
【0049】
図5は、
図2の周波数制御部210におけるスイッチング周波数fの制御動作例を示すフローチャートである。
この
図5のフローチャートでは、周波数制御部210により、ステップST1〜ST9を実行してスイッチング周波数fを制御し、損失を軽減させる動作例が示されている。
【0050】
ステップST1において、周波数制御部210が動作を開始すると、ステップST2の効率計算処理へ進む。ステップST2において、第1電力変換効率計算部211aは、FET71〜76,77〜82がオフする時の電流値(i)を、現時のDC電圧E1,E2、位相差φ、スイッチング周波数f、及びインダクタタンス値Lにより計算して第1電力変換効率を求め、ステップST3の電流値(i)の正負判定処理へ進む。ステップST3において、電流値正負判定部212は、電流値(i)の正負を判定し、その電流値(i)が正であった場合(Yes)、FET71〜76(又は77〜82)がZVSで動作しているので、ステップST4のスイッチング周波数減算処理へ進み、その電流値(i)が正でない場合(No)、FET71〜76(又は77〜82)がZVS動作から外れているので、ステップST1に戻る。
【0051】
ステップST4において、第1周波数調整部213aは、FET71〜76(又は77〜82)がZVSで動作しているので、スイッチング周波数fを一定値αだけ下げ、ステップST5の効率計算処理へ進む。ステップST5において、第2電力変換効率計算部211bは、スイッチング周波数fを一定値αだけ下げた時の第2電力変換効率を、DC電圧E1,E2側の電流及び電圧にて計算し、ステップST6の第2電力変換効率の上昇判定処理へ進む。ステップST6において、第1効率変動判定部214aは、第2電力変換効率が上昇しているか否かを判定し、上昇している場合(Yes)、ステップST4に戻り、第1周波数調整部213aによって再度スイッチング周波数fを下げ、ステップST5において第2電力変換効率計算部211bにより第2電力変換効率を計算する。
【0052】
ステップST6の判定の結果、電力変換効率が下がっている場合(No)、ステップST7のスイッチング周波数加算処理へ進む。ステップST7において、第2周波数調整部213bは、スイッチング周波数fを一定値αだけ加算してスイッチング周波数fを上昇させ、ステップST8の効率計算処理へ進む。ステップST8において、第3電力変換効率計算部211cは、スイッチング周波数fを一定値αだけ上げた時の第3電力変換効率を、DC電圧E1,E2側の電流及び電圧にて計算し、ステップST9の第3電力変換効率の上昇判定処理へ進む。
【0053】
ステップST9において、第2効率変動判定部214bは、第3電力変換効率が上昇しているか否かを判定し、上昇している場合(Yes)、ステップST7に戻り、第2周波数調整部213bによって再度スイッチング周波数fを上げ、ステップST8において第3電力変換効率計算部211cにより第3電力変換効率を計算する。ステップST9の第2効率変動判定結果に基づき、第3電力変換効率が下がっている場合(No)、ステップST1に戻り、ステップST2〜ST9の処理を繰り返す。
このように、周波数制御部210でスイッチング周波数fを制御することにより、最も電力変換効率が高い状態で電力変換動作を行わせることができる。
【0054】
(実施例1の効果)
図6は、
図1のDC/DCコンバータを用い、DC電圧E1=264V、DC電圧E2=350V、入力電力P=11kW、スイッチング周波数f=55kHzとした時の1次側FET71,72の電流・電圧波形図である。
図7は、
図6と同様に、
図1のDC/DCコンバータを用い、DC電圧E1=264V、DC電圧E2=350V、入力電力P=11kWとし、
図6とは異なるスイッチング周波数f=50kHzとした時の1次側FET71,72の電流・電圧波形図である。
【0055】
図6及び
図7において、横軸の時間軸は5μsec/1目盛(div)である。縦軸の電流・電圧値において、波形CH1はFET71のドレイン・ソース間電圧Vds=200V/div、波形CH2はFET71のドレイン電流Id=20A/div、波形CH3はFET72のドレイン・ソース間電圧Vds=200V/div、及び、波形CH4はFET72のドレイン電流Id=20A/divである。
図6と
図7を対比すると、スイッチング周波数fを
図6の55kHzから、
図7の50kHzに下げると、
図7のドレイン電流Idの波形CH2が、符号250の箇所で低下しているのが分かる。
【0056】
図8は、
図6及び
図7の周波数変化による電力変換効率の比較を示す静特性図である。
図8に示すように、スイッチング周波数fを55kHzから50kHzへと低くすることにより、位相差φが75°から61.3°へと小さくなっている。更に、
図7のドレイン電流Idの波形CH2の符号250箇所に示すように、FET71がオフする時のドレイン電流Idが低下している。これにより、電力変換効率が94.60%から95.34%へと改善していることが確認できる。
このように、本実施例1の制御装置200によれば、FET71〜82がオフする時の電流iを低下させているので、電力変換効率を向上できる。
【実施例2】
【0057】
(実施例2の構成)
図9は、本発明の実施例2におけるDC/DCコンバータ(例えば、三相DAB方式の双方向DC/DCコンバータ)を示す回路図である。
この三相DAB方式の双方向DC/DCコンバータでは、実施例1の
図1中のY−Y結線方式の三相トランス100に代えて、Δ−Δ結線方式の三相トランス100Aが設けられている。三相トランス100Aは、実施例1の三相トランス100と同様に、3つの1次巻線111〜113と3つの2次巻線121〜123を有している。
【0058】
1次巻線111の巻き始めは、インダクタ91の他端に接続され、その1次巻線111の巻き終わりが、インダクタ92の一端に接続されている。1次巻線112の巻き初めは、インダクタ92の他端に接続され、その1次巻線112の巻き終わりが、インダクタ93の一端に接続されている。1次巻線113の巻き始めは、インダクタ93の他端に接続され、その1次巻線113の巻き終わりが、インダクタ91の一端に接続されている。更に、2次巻線121の巻き始めは、2次巻線123の巻き終わりに接続され、その2次巻線121の巻き終わりが、2次巻線122の巻き始めに接続されている。2次巻線122の巻き終わりは、2次巻線123の巻き始めに接続されている。
その他の構成は、実施例1と同様である。
【0059】
(実施例2の周波数制御動作)
図9のDC/DCコンバータにおいて、例えば、トランス100Aの1次巻線111〜113と2次巻線121〜123との巻数比を1:1とすると、変換される入力電力Pは、1次巻線111〜113側のAC電圧と2次巻線121〜123側のAC電圧との1次−2次間位相差φの関数となり、次式(7)、(8)にて与えられる。
【0060】
(φ=0〜60°の時)
P=[(E1×E2)/(360×f×L)]×[φ(240−φ)/120]
・・・(7)
(φ=60°〜120°の時)
P=[(E1×E2)/(360×f×L)]×[(−φ
2+180φ−1800)/60] ・・・(8)
但し、f;FET71〜82のスイッチング周波数
L;インダクタ91〜93の各インダクタンス値
実施例1と同様に、DC電圧E1,E2、スイッチング周波数f、及びインダクタンス値Lが固定とすると、位相差φにより電力制御が可能となる。
【0061】
図10は、
図9のΔ−Δ結線方式のトランス100Aを有するDC/DCコンバータにおける1次−2次間位相差φ(°)に対する入力電力Pを示す特性図である。
図10では、
図3と同様に、DC電圧E2=E1、位相差φ=90°の電力を1とした時の電圧比d(=E2/E1)のd1〜d7曲線が描かれている。電圧比dにおいて、d1曲線=0.14、d2曲線=0.29、d3曲線=0.5、d4曲線=0.57、d5曲線=1、d6曲線=1.43、d7曲線=2である。電圧比dが大きくなるほど、入力電力Pが大きくなっている。
1次側FET71〜76及び2次側FET77〜82のZVS動作範囲において、1次側FET71〜76のZVS動作条件と、2次側FET77〜82のZVS動作条件と、は実施例1と同様である。
【0062】
図11は、
図9のΔ―Δ結線方式のトランス100Aを有するDC/DCコンバータにおける1次−2次間位相差φ(°)に対する電圧比d(=E2/E1)のZVS動作条件を示す特性図である。
この
図11は、実施例1の
図4と略同様の特性になっている。
【0063】
本実施例2では、実施例1と同様に、FET71〜76,77〜82がZVS動作を行う条件において、従来の課題である、FET71〜76,77〜82がオフする時の電流増加による電力変換効率悪化の問題を改善するために、実施例1と同様の周波数制御部210により、スイッチング周波数fを可変するようにしている。
【0064】
(実施例2の効果)
本実施例2では、実施例1と同様に、周波数制御部210でスイッチング周波数fを制御しているので、最も電力変換効率が高い状態で電力変換動作を行わせることができる。
【実施例3】
【0065】
(実施例3の構成)
図12は、本発明の実施例3におけるDC/DCコンバータ(例えば、三相DAB方式の双方向DC/DCコンバータ)を示す回路図である。
この三相DAB方式の双方向DC/DCコンバータでは、実施例1の
図1中のY−Y結線方式の三相トランス100に代えて、Y−Δ結線方式の三相トランス100Bが設けられている。三相トランス100Bは、実施例1の三相トランス100と同様に、3つの1次巻線111〜113と3つの2次巻線121〜123を有している。
【0066】
1次巻線111の巻き始めは、インダクタ91に接続され、その1次巻線111の巻き終わりが、1次巻線112,113の巻き終わりに接続されている。1次巻線112の巻き初めは、インダクタ92に接続され、1次巻線113の巻き始めも、インダクタ93に接続されている。更に、2次巻線121の巻き始めは、2次巻線123の巻き終わりに接続され、その2次巻線121の巻き終わりが、2次巻線122の巻き始めに接続されている。2次巻線122の巻き終わりは、2次巻線123の巻き始めに接続されている。
その他の構成は、実施例1と同様である。
【0067】
(実施例3の周波数制御動作)
図12のDC/DCコンバータにおいて、例えば、トランス100Bの1次巻線111〜113と2次巻線121〜123との巻数比を1:1とすると、変換される入力電力Pは、1次巻線111〜113側のAC電圧と2次巻線121〜123側のAC電圧との1次−2次間位相差φの関数となり、次式(9)、(10)にて与えられる。
【0068】
(φ=0〜60°の時)
P=[(E1×E2)/(360×f×L)]×[φ−30] ・・・(9)
(φ=60°〜120°の時)
P=[(E1×E2)/(360×f×L)]×[(−φ
2+240φ−7200)/120] ・・・(10)
但し、f;FET71〜82のスイッチング周波数
L;インダクタ91〜93の各インダクタンス値
実施例1と同様に、DC電圧E1,E2、スイッチング周波数f、及びインダクタンス値Lが固定とすると、位相差φにより電力制御が可能となる。
【0069】
図13は、
図12のY−Δ結線方式のトランス100Bを有するDC/DCコンバータにおける1次−2次間位相差φ(°)に対する入力電力Pを示す特性図である。
図13では、
図3と同様に、DC電圧E2=E1、位相差φ=90°の電力を1とした時の電圧比d(=E2/E1)のd1〜d7曲線が描かれている。電圧比dにおいて、d1曲線=0.14、d2曲線=0.29、d3曲線=0.5、d4曲線=0.57、d5曲線=1、d6曲線=1.43、d7曲線=2である。位相差φが30°以上の領域において、電圧比dが大きくなるほど、入力電力Pが大きくなっている。
【0070】
1次側FET71〜76及び2次側FET77〜82のZVS動作範囲において、1次側FET71〜76のZVS動作条件と、2次側FET77〜82のZVS動作条件と、は実施例1と同様である。
【0071】
図14は、
図12のY―Δ結線方式のトランス100Bを有するDC/DCコンバータにおける1次−2次間位相差φ(°)に対する電圧比d(=E2/E1)のZVS動作条件を示す特性図である。
図14において、符号243は1次側境界Δ−Y曲線、符号244は2次側境界Δ−Y曲線である。
【0072】
トランス100Bの1次/2次巻線比1:0.583、電圧比d=E1/0.583E2、位相差φが(φ−30°)へ遷移する。1次側境界Δ−Y曲線243で囲まれた逆台形の領域は、1次側FET71〜76のZVSを外れる領域であり、2次側境界Δ−Y曲線244で囲まれた台形の領域は、2次側FET77〜82のZVSを外れる領域である。その逆台形の領域と台形の領域とに挟まれた領域は、1次、2次側FET71〜76,77〜82のZVS動作領域である。出力電圧が±14%範囲で全域ZVS動作をする。
【0073】
図14において、1次側DC電圧E1と2次側DC電圧E2において、電圧が低い側のFET77〜82がZVS外れを起こすが、実施例1と同様に。式(5)、(6)における電流iの符号が正となる条件の時、FET77〜82はZVS動作となる。
【0074】
本実施例3では、実施例1と同様に、FET71〜76,77〜82がZVS動作を行う条件において、従来の課題である、FET71〜76,77〜82がオフする時の電流増加による電力変換効率悪化の問題を改善するために、実施例1と同様の周波数制御部210により、スイッチング周波数fを変化させるようにしている。
【0075】
(実施例3の効果)
本実施例3では、実施例1と同様に、周波数制御部210でスイッチング周波数fを制御しているので、最も電力変換効率が高い状態で電力変換動作を行わせることができる。
【0076】
[実施例1〜3の比較]
Y−Y結線方式のトランス100を有する実施例1のDC/DCコンバータと、Δ−Δ結線方式のトランス100Aを有する実施例2のDC/DCコンバータと、Y−Δ結線方式のトランス100Bを有する実施例3のDC/DCコンバータと、を比較する。
【0077】
(1) 電力変換比について
同じ回路及びスイッチング周波数fにおいて、Δ−Δ結線方式の実施例2が、Y−Y結線方式の実施例1よりも3倍の電力変換が可能である。同じ入力電力Pを得る場合、実施例1に比べて実施例2のインダクタ91〜93を1/3まで小型化が可能である。Y−Δ結線方式の実施例3の場合、位相差φ>30°から正方向の電力変換を行う。実施例3の場合、ZVS条件を最適化すると、トランス100Bの1次巻線111〜113/2次巻線121〜123の巻数比を1:0.583にする必要がある。この場合、実施例3では、Y−Y結線方式の実施例1と略同じ入力電力Pが得られる。
【0078】
(2) ZVS動作条件について
Δ−Δ結線方式の実施例2の場合、Y−Y結線方式の実施例1と同じZVS動作領域である。Y−Δ結線方式の実施例3の場合は、出力電圧±14%以内の範囲において全域でZVS動作を行う。電力変換特性及びZVS動作領域と特性は、シミュレーションにて検証できた。電力P−位相差φ特性及びZVS動作領域特性は、各ブリッジ回路70−1,70−2内の上下FETのデッドタイムの影響を受けるため、ZVS動作を外れる条件付近では、位相差φが変動しても入力電力Pが変動しない。上記の特性はデッドタイムの影響を考慮していない。
【0079】
図15は、Y−Y、Y−Δ、Δ−Δ結線方式の電力比較を示す特性図である。
図15の横軸は1次−2次間位相差φ(°)、縦軸は入力電力Pである。Δ−Δ結線方式の入力電力をP(Δ−Δ)、Y−Δ結線方式の入力電力をP(Y−Δ)、Y−Y結線方式の入力電力をP(Y−Y)とすると、P(Δ−Δ)=3P(Y−Δ)、P(Y−Δ)=P(Y−Y)となる。Y−Δ結線方式の場合、位相差φがφ−30°へ遷移してリセット、トランス1次/2次巻数比を1:0.583とする。符号245はY−YE1=E2曲線、符号246はΔ−ΔE1=E2曲線、及び符号247はY−ΔE1=E2(トランス1次/2次巻線比=1:0.583)曲線である。
【0080】
図15から分かるように、同じ回路及びスイッチング周波数fにおいて、Δ−Δ結線方式は、Y−Y結線方式よりも3倍の電力を変換できる。そのため、Δ−Δ結線方式では、インダクタ91〜93を小型化できる。Y−Δ結線方式は、Y−Y結線方式と略同じ電力変換ができる。
【0081】
図16は、Y−Y、Y−Δ、Δ−Δ結線方式におけるZVS動作条件の比較を示す特性図である。
図16の横軸は1次−2次間位相差φ(°)、縦軸は電圧比d(E2=E1)である。符号241は1次側境界Y−Y曲線、符号242は2次側境界Y−Y曲線、符号243は1次側境界Y−Δ曲線、及び符号244は2次側境界Y−Δ曲線である。Y−Δ結線方式の場合、トランス1次/2次巻線比は1:0.583、位相差φはφ−30°へ遷移、出力電圧が±14%範囲で全域ZVS動作をする。
【0082】
図16から分かるように、Δ−Δ結線方式のZVS動作領域は、Y−Y結線方式と同じである。Y−Δ結線方式の場合は、入力又は出力電圧±14%変動範囲において全域ZVS動作をする。
図15及び
図16から明らかなように、Y−Δ結線方式は、ZVS動作条件においてY−Y結線方式とΔ−Δ結線方式に比べて利点(メリット)がある。しかし、Y−Δ結線方式の方が無効電流が増えるので、FET71〜82及び巻線111〜113,121〜123の導通損失が増えることが予想される。電力変換効率の観点から見た場合、ZVS動作条件だけではなく、各部品(デバイス)のストレスの比較を行い、総合的に判断する必要がある。
【0083】
最適なDC/DCコンバータを実現するためには、例えば、次の(A)〜(C)の比較検討を行うことが望ましい。
(A) 入出力コンデンサ61,62のリプル電流比較
(B) FET71〜82の導通電流の平均値及び実効値の比較
(C) トランス巻線の電圧、電流分析によって損失の大小の比較
従って、(A)〜(C)の比較検討により、電力変換効率、サイズ、コストの観点から総合的に評価してDC/DCコンバータを実現することが望ましい。
【0084】
(変形例)
本発明は、上記実施例1〜3に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(d)のようなものがある。
【0085】
(a)
図1等において、各インダクタ91〜93は、各寄生容量71b〜76bと共に、それぞれLC共振回路を構成するものであるが、そのインダクタ91〜93を省略して、各1次巻線111〜113のインダクタンスと各寄生容量71b〜76bとでLC共振回路を構成しても良い。
(b) 実施例1〜3では、三相DAB(Y−Y)、(Δ−Δ)、(Y−Δ)結線方式について説明したが、他の結線方式(例えば、単相のDAB方式)についても本発明を適用できる。
(c) FET71〜82は、他のスイッチング素子(例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、SiC(炭化ケイ素、シリコンカーバイト)素子、GaN(窒化ガリウム、ガリウムナイトライド)素子等)を使用しても良い。
(d) 実施例1〜3では、双方向のDC/DCコンバータについて説明したが、一方向のDC/DCコンバータについても、本発明を適用できる。