(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0013】
図1は、実施形態に係る直流遮断装置を例示する回路図である。
図1に示すように、実施形態の直流遮断装置10は、遮断回路20を備える。直流遮断装置10は、端子11a〜11cを有しており、端子11a,11bに遮断すべき直流配線が接続される。端子11cには、直流配線に流れる電流値のデータが入力され、直流遮断装置10は、電流値があらかじめ設定されたしきい値以上となった場合に、遮断動作を開始する。直流遮断装置10は、直流配線に流れる電流がしきい値よりも小さい場合には、回路を閉じて、直流電流を流す。
【0014】
遮断回路20は、半導体スイッチ回路21と、スナバ回路23と、複数のアレスタ26〜29と、を含む。半導体スイッチ回路21は、端子22a,22bを有する。半導体スイッチ回路21は、端子22aを介して、直流遮断装置10の端子11aに接続され、端子22bを介して、直流遮断装置10の端子11bに接続されている。
【0015】
スナバ回路23は、半導体スイッチ回路21に並列に接続されている。なお、詳細には、後述するように、半導体スイッチ回路21では、複数個の半導体スイッチ素子が直列に接続され、半導体スイッチ素子ごとに並列に接続されたスナバ回路が設けられている。半導体スイッチ素子の直列数は、半導体スイッチ素子の耐圧と直流遮断装置10が設けられる直流回路の直流電圧に応じて決定される。
【0016】
アレスタ26〜29は、並列に接続されている。並列に接続されたアレスタ26〜29は、半導体スイッチ回路21に並列に接続されている。
【0017】
アレスタ26〜29では、電流を流して電圧の上昇を制限する制限電圧は、半導体スイッチ回路21およびスナバ回路23の耐圧よりも低い値に設定されている。アレスタ26〜29の制限電圧は、同一の電流値において、たとえばすべて同一の値を有する。アレスタ26〜29の制限電圧は、同一の値に限らず、異なる値であってもよい。
【0018】
アレスタ(第1アレスタ)26は、他のアレスタ(第2アレスタ)27〜29よりも半導体スイッチ回路21の近傍に配置されている。アレスタ26は、配線31aおよび配線31b(第1配線)を介して、半導体スイッチ回路21の一方の端子22aおよび他方の端子22bに接続されている。
【0019】
アレスタ26と、アレスタ27〜29とでは、外形寸法が異なっている。好ましくは、アレスタ26は、アレスタ27〜29よりも小形の外形寸法を有している。アレスタ26の外形寸法をより小さいものとすることによって、アレスタ26を半導体スイッチ回路21のよい近傍に配置することができる。
【0020】
アレスタ27〜29は、この例では、すべて同じ外形サイズを有している。アレスタ27aは、配線32a,32bを介して他のアレスタ28,29に接続されている。アレスタ28は、配線33a,33bを介して他のアレスタ27,29に接続されている。アレスタ29は、配線34a,34bを介して他のアレスタ27,28に接続されている。
【0021】
アレスタ26は、配線35a,35bを介して、他のアレスタ27〜29に接続されている。したがって、小形のアレスタ26は、配線31a,31bで半導体スイッチ回路21に接続され、他のアレスタ27〜29は、それぞれの自己の配線に加えて、配線31a,31bおよび配線(第2配線)35a,35bを介して、半導体スイッチ回路21に接続されている。
【0022】
図では、各配線に破線でインダクタンスの回路図記号が示されている。破線のインダクタンスの記号は、各配線の長さに応じて発生する寄生インダクタンスであることを表している。アレスタ26と半導体スイッチ回路21との間の配線の長さは、他のアレスタ27〜29と半導体スイッチ回路21との間の配線の長さに比べて短い。そのため、アレスタ26と半導体スイッチ回路21との間の配線31a,31bによる寄生インダクタンスを他の配線による寄生インダクタンスよりも低い値とすることができる。
【0023】
スナバ回路23は、半導体スイッチ回路21の近傍に設けられており、したがって、十分に短い配線長で接続されている。この図では、スナバ回路23の両端の配線36a,36bのみが描かれているが、半導体スイッチ回路21を構成する各半導体スイッチへの配線も短い配線長となる。
【0024】
アレスタ26と他のアレスタ27〜29とは、好ましくは、近接して配置され、互いを接続する配線長は短く寄生インダクタンスも小さく設定される。これによって、アレスタ26で吸収した遮断エネルギーの余剰分は、遮断電流として他のアレスタ27〜29に容易に転流される。
【0025】
アレスタ26〜29の制限電圧を異ならせる場合には、半導体スイッチ回路21との配線長が短く、寄生インダクタンスが小さく設定されているアレスタ26の制限電圧を他のアレスタ27〜29の制限電圧よりも低く設定することができる。このように設定することによって、より確実に遮断電流をアレスタ26に最初に転流することができる。
【0026】
アレスタ26の制限電圧を他のアレスタ27〜29の制限電圧よりも低く設定する場合には、好ましくは、アレスタ26の制限電圧比を他のアレスタ27〜29よりも大きく設定する。これによって、確実にアレスタ26に遮断電流を転流した後、他のアレスタ27〜29に余剰の遮断電流を円滑に転流することができる。アレスタの制限電圧比とは、異なる電流値における制限電圧の比であり、制限電圧比は、大電流時の制限電圧/小電流時の制限電圧と定義される。
【0027】
図2(a)は、実施形態の直流遮断装置を例示するブロック図である。
図2(b)は、
図2(a)の直流遮断装置を備えた直流送電システムを例示するブロック図である。
図2(a)には、より具体的な直流遮断装置10の構成例が示されている。
図2(a)に示すように、実施形態の直流遮断装置10は、遮断回路20のほか、主スイッチ回路40と、機械遮断器50と、制御部60と、をさらに備える。
【0028】
主スイッチ回路40および機械遮断器50は、直列に接続されている。主スイッチ回路40および機械遮断器50の直列回路は、端子11a,11b間に接続されている。
【0029】
主スイッチ回路40は、たとえばIGBT等の自己消弧型の半導体素子である。主スイッチ回路40は、通常には導通しており、直流配線において短絡事故等を生じた場合には、遮断される。なお、主スイッチ回路40は、この例のように遮断後には、遮断電流は、遮断回路20に流れ、両端に高電圧が印加されないので、多くの場合には、直列数は1つとされる。
【0030】
機械遮断器50は、通常には閉じており、直流配線において短絡事故等を生じた場合には、遮断電流が半導体スイッチ回路21に転流された後に開放される。
【0031】
遮断回路20は、主スイッチ回路40および機械遮断器50の直列回路に並列に接続されている。遮断回路20の半導体スイッチ回路21は、通常には導通している。半導体スイッチ回路21は、直流配線2において短絡事故等を生じた場合に、遮断される。主スイッチ回路40が遮断されたときには、両端に直流回路1a,1bが入出力する直流電圧に加えて、アーク放電による電圧が印加される。そのため、上述したように、半導体スイッチ回路21を構成する半導体スイッチは、多数個が直列接続されている。
【0032】
図2(b)に示すように、直流遮断装置10は、直流回路1a,1bの間の直流配線2に直列に接続されて用いられる。直流回路1a,1bは、たとえば電力系統等の交流電圧を直流電圧に変換する交直電力変換器や、太陽光発電パネル、蓄電池等の直流電源等である。直流回路1a,1bは、直流電源で動作する直流負荷を含んでもよい。直流配線2は、たとえば直流送電線である。直流配線2には、電流検出器3が設けられており、直流遮断装置10は、電流検出器3によって検出された電流値Isを入力して、電流値Isがあらかじめ設定されたしきい値以上の場合に、遮断動作を開始する。
【0033】
制御部60において、電流値Isがしきい値以上であると判定した場合には、まず遮断信号S1を生成して、主スイッチ回路40を遮断する。主スイッチ回路40が遮断されたことによって、遮断電流は、半導体スイッチ回路21に転流される。
【0034】
その後、制御部60は、遮断信号S2を生成して、機械遮断器50を遮断する。機械遮断器50が遮断された後に制御部60は、遮断信号S3を生成して、遮断回路20の半導体スイッチ回路21を遮断する。
【0035】
なお、実施形態の直流遮断装置10は、半導体スイッチ回路21を備えていればよく、上述の
図2(a)の構成例に限られない。また、直流遮断装置が電流検出器を含んでいてもよいし、直流遮断装置が制御部を含まず、たとえば、交直電力変換器を制御する制御装置によって、遮断制御を行うようにしてもよい。
【0036】
図3(a)および
図3(b)は、
図1の直流遮断装置の各要素を実体的に例示した模式的な配線図である。
図3(a)は、遮断回路20の正面図であり、
図3(b)は、遮断回路20の平面図である。
図3(a)に示すように、遮断回路20では、基板30上に、コンデンサ24a〜24dおよびダイオード25a〜25dを含むスナバ回路、半導体スイッチ回路21およびアレスタ26〜29が設けられている。基板30は、絶縁性の材料で形成された板状の部材である。
【0037】
遮断回路20の実体的な配置を説明するために、XYZの三次元座標を用いることがある。X軸およびY軸は、基板30が設けられる面に平行な面を含むように設定される。X軸は、コンデンサ24a〜24d、ダイオード25a〜25d、半導体スイッチ回路21およびアレスタ26〜29が配列された方向に沿って設定されている。Y軸は、X軸に直交する軸であり、Y軸に沿って、半導体スイッチ回路21の半導体スイッチ21a〜21dが直列に接続されて配置されている。
【0038】
半導体スイッチ回路21の各半導体スイッチ21a〜21dは、たとえば圧接型の半導体素子であり、パッケージの円形の圧接電極の面がX軸に平行に、パッケージの円形の中心軸がY軸に平行になるように配置されている。各半導体スイッチ21a〜21dは、各電極間にたとえばヒートシンクを挟んで、直列接続され、Y軸方向に延伸するスタックとして、基板30上に配置されている。
【0039】
半導体スイッチ21a〜21dは、好ましくは、自己消弧型の半導体素子である。たとえば、半導体スイッチ21a〜21dは、IGBTやMOSFET等である。
【0040】
アレスタ26〜29は、円筒形状の外形を有しており、円筒が延伸する方向がY軸方向とほぼ平行するように配置されている。アレスタ26〜29は、X軸方向に沿って、この例では、基板上に2個配置され、配置された2個のアレスタ28,29の上方(Z軸の正方向)にさらに2個のアレスタ26,27が配置されている。
【0041】
好ましくは、アレスタ26〜29は、無接点型である。無接点型のアレスタ26〜29は、たとえば、ZnOの焼結体を含むZnOサージアブソーバ(ZnO素子)である。
【0042】
ZnO素子によるアレスタ26〜29では、円盤形状を有するZnO素子をその円形面が平行かつ円形面の中心をそろえて、重ねて配列されたものが円筒状のケースに収納されている。アレスタ26〜29のそれぞれのケース内には、すべて同一の直径および厚さを有する同一特性のZnO素子が収納されている。ケース内のZnO素子は、電気的には並列に接続されている。つまり、ZnO素子の並列数が多いものほど、円筒形状の高さが高くなり、吸収できる遮断エネルギーも大きい。この例では、半導体スイッチ回路21にもっとも近接して配置されたアレスタ26は、他のアレスタ27〜29よりもZnO素子の並列数が少ない分、小形形状とすることができる。
【0043】
各アレスタ26〜29の制限電圧は、ほぼ等しく設定されている。また、各アレスタ26〜29の制限電圧比もほぼ等しく設定されている。ここで、アレスタの制限電圧は、内蔵されるZnO素子の制限電圧であり、あらかじめ設定された電流値におけるZnO素子の両端電極間の電圧である。ZnO素子は、制限電圧において電流特性を有しており、電流が大きいほど制限電圧は高くなる。アレスタ26〜29の制限電圧比は、内蔵されるZnO素子の制限電圧比であり、ZnO素子の制限電圧比とは、あらかじめ設定された異なる電流値におけるZnO素子の制限電圧の比である。制限電圧比を設定する電流値は、たとえば数mA程度の小電流および数kAの大電流に設定されており、制限電圧比は、大電流時の制限電圧/小電流時の制限電圧と定義される。
【0044】
ZnO素子の制限電圧を異ならせることによって、すべてのアレスタ26〜29において等しい場合に限らず、異なる制限電圧とすることができる。たとえば、半導体スイッチ回路21にもっとも近接して配置されるアレスタ26のZnO素子の制限電圧を、他のアレスタ27〜29の制限電圧よりも低く設定することによって、より確実にアレスタ26によって、電圧吸収することができるようになる。
【0045】
アレスタ26のZnO素子の並列数を他のアレスタ27〜29のZnO素子の並列数よりも少なく設定することによって、アレスタ26の制限電圧比を他のアレスタ27〜29の制限電圧比よりも大きくすることができる。アレスタ26の制限電圧比を、他のアレスタ27〜29の制限電圧比よりも大きく設定することによって、アレスタ26による電圧吸収を確実にすることができる。
【0046】
図3(b)に示すように、スナバ回路23は、コンデンサ24a〜24dとダイオード25a〜25dとを含む。コンデンサ24aおよびダイオード25aの組は、半導体スイッチ21aに接続されている。コンデンサ24bおよびダイオード25bの組は、半導体スイッチ21bに接続されている。コンデンサ24cおよびダイオード25cの組は、半導体スイッチ21cに接続されている。コンデンサ24dおよびダイオード25dの組は、半導体スイッチ21dに接続されている。
【0047】
この例では、コンデンサ24aおよびダイオード25aは、直列に接続され、半導体スイッチ21aのコレクタ−エミッタ間の電圧上昇を抑制するように接続されている。より具体的には、コンデンサ24aの一方の端子にダイオード25aのカソード端子が接続されており、ダイオード25aのアノード端子が半導体スイッチ21aのコレクタ端子に接続され、コンデンサ24aの他方の端子が半導体スイッチ21aのエミッタ端子に接続されている。コンデンサ24b〜24dおよびダイオード25b〜25dの各組も、半導体スイッチ21b〜21dと同様に接続されている。
【0048】
コンデンサ24a〜24dは、この例では、直方体形状の外形を有しており、Y軸方向に沿って配置されている。ダイオード25a〜25dも、Y軸方向に沿って配置されている。コンデンサ24aおよびダイオード25aの組は、半導体スイッチ21aに近接して配置され、同様に、コンデンサ24b〜24dおよびダイオード25b〜25dの各組も、半導体スイッチ21b〜21dにそれぞれ近接するように配置されている。
【0049】
図3(b)には、各回路素子同士の配線に引き回しの様子が模式的だが実体的に表されている。スナバ回路23のコンデンサ24aおよびダイオード25aの組は、半導体スイッチ21aに近接して配置され、配線も短く設定されている。そのため、半導体スイッチ21a、ダイオード25aおよびコンデンサ24aによって形成される電流のループL1の長さおよび面積を小さくすることができ、ループL1に流れる電流の寄生インダクタンスによる影響を小さくすることができる。半導体スイッチ21aが遮断したときには、スナバ回路23に十分な遮断電流が転流される。スナバ回路23の他のコンデンサ24b〜24dおよびダイオード25b〜25dの組についても同様に、十分な遮断電流を転流することができる。したがって、半導体スイッチ21a〜21dのコレクタ−エミッタ間に過大なサージ電圧が印加されるおそれが少なくなる。
【0050】
アレスタ26は、半導体スイッチ回路21にもっとも近接して配置され、短い配線31a,31bによって半導体スイッチ回路21の双方の端子22a,22bに接続されている。このため、アレスタ26、半導体スイッチ回路21および配線31a,31bによって形成される電流のループL2は、他のアレスタ27〜29と半導体スイッチ回路21およびそれぞれの配線によって形成される電流のループよりも小さくすることができる。したがって、ループL2に流れる電流の配線31a,31bによる寄生インダクタンスの影響を小さくすることができる。そのため、半導体スイッチから転流される電流を十分に流すことができ、半導体スイッチ回路21に印加される電圧は、抑制される。
【0051】
実施形態の直流遮断装置10の効果について、比較例の直流遮断装置と比較しつつ説明する。
図4(a)は、比較例の直流遮断装置を例示する回路図である。
図4(b)は、
図4(a)の直流遮断装置の各要素を実体的に例示した模式的な配線図である。
図4(a)に示すように、比較例の直流遮断装置110は、遮断回路120を有している。直流遮断装置110は、端子111a,111bを介して、直流配線に直列に接続され、直流配線に流れる電流値のデータを端子111cを介して入力する。遮断回路120の構成は、実施形態の場合と同様であるが、アレスタの構成および配置が相違している。
【0052】
アレスタ126〜129は、すべて同じ外形寸法を有し、同じ特性を有している。アレスタ126は、配線131a,131bを介して、半導体スイッチ回路21の端子22a,22bにそれぞれ接続されている。アレスタ127は、配線132a,132bを介して、半導体スイッチ回路21の端子22a,22bにそれぞれ接続されている。アレスタ128は、配線133a,133bを介して、半導体スイッチ回路21の端子22a,22bにそれぞれ接続されている。アレスタ129は、配線134a,134bを介して、半導体スイッチ回路21の端子22a,22bにそれぞれ接続されている。
【0053】
図4(b)に示すように、アレスタ126〜129からのそれぞれの配線の長さは、半導体スイッチ回路21の周囲を取り巻くようにアレスタ126〜129を配置することによって、ほぼ等しい長さとし、配線長を短くすることができる。図に示したように、配線133a,133b、アレスタ127および半導体スイッチ回路21からなる電流のループL2’は、配線長、ループの面積とも比較的小さくすることができる。
【0054】
しかし、スナバ回路23は、アレスタ126〜129に比べて相対的に離れた位置に配置せざるを得ず、各ダイオード25a〜25dのアノード端子から半導体スイッチ21a〜21dのコレクタ端子への配線136a,136bが相対的に長くなる。
【0055】
半導体スイッチ、ダイオード、コンデンサからなる経路L1’が長くなり、寄生インダクタンスが相対的に大きくなる。そのため、遮断電流がスナバ回路23に転流されるときの電流が制限され、半導体スイッチの両端に過大なサージ電圧が印加され得る。
【0056】
本実施形態の直流遮断装置10では、スナバ回路23を半導体スイッチ回路21の近傍に配置し、並列に接続されるアレスタのうち少なくとも1つを半導体スイッチ回路21の近傍に配置する。これによって、スナバ回路23と半導体スイッチ回路21との間の経路を最短にしつつ、アレスタと半導体スイッチ回路21との間の経路も最短にすることができる。そのため、半導体スイッチ回路21が遮断され、遮断電流がスナバ回路23に容易に転流することができる。スナバ回路23への転流によって電圧が上昇しアレスタの降伏電圧を超えたときに、余剰の遮断エネルギーによる電流は、最近傍のアレスタに流れ、つづいて、他のアレスタに転流される。したがって、半導体スイッチ回路21には過大な電圧が印加されることなく、遮断電流が転流されることができる。
【0057】
半導体スイッチ回路21の最近傍に配置するアレスタは、初期の遮断エネルギーを吸収できればよいので、他のアレスタよりもエネルギー容量の小さい小形のものを用いることができる。そのため、遮断回路20を小形形状とすることができ、直流遮断装置10全体の外形サイズを削減することが可能になる。
【0058】
半導体スイッチ回路21の最近傍に配置するアレスタは、他のアレスタよりも若干低い降伏電圧を有するものとすることができる。最近傍のアレスタの降伏電圧を他のアレスタよりも低く選定することによって、確実に初期の遮断電流を転流させることができる。あるいは、最近傍に配置するアレスタと端アレスタの降伏電圧をそろえた場合であっても、最近傍のアレスタについて降伏後の電圧の電流に対する動作抵抗を他のアレスタよりも大きく選定することによって、同様の効果を得ることができる。
【0059】
以上説明した実施形態によれば、半導体スイッチ素子へのサージ電圧を抑制する直流遮断装置を実現することができる。
【0060】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。