特許第6973961号(P6973961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6973961
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】電気機器収納箱
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/06 20060101AFI20211118BHJP
   H02B 1/28 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   H05K5/06 D
   H02B1/28 B
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-97356(P2020-97356)
(22)【出願日】2020年6月4日
(62)【分割の表示】特願2017-3011(P2017-3011)の分割
【原出願日】2017年1月12日
(65)【公開番号】特開2020-161826(P2020-161826A)
(43)【公開日】2020年10月1日
【審査請求日】2020年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 聡
(72)【発明者】
【氏名】塚原 正浩
【審査官】 小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−200477(JP,A)
【文献】 特開2001−085868(JP,A)
【文献】 特開2012−007697(JP,A)
【文献】 特開2015−082625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00− 5/06
H02B 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を備える箱本体と、開口部を覆う覆い部と、箱本体と覆い部材との間の開口部周縁に位置するパッキンとを備えた電気機器収納箱であって、
開口部の周縁に水切辺が設けられており、材質の違いにより反発力が異なるパッキンを幅方向に二列になるように形成し、並列配置されたパッキンに対して、水切辺が当接する構成であり、かつ、水切辺とパッキンとの接触箇所において、内方側に設けられたパッキンと外方側に設けられたパッキンとの接触面積の比率を変えて水切辺とパッキンが当接する構成とした電気機器収納箱。
【請求項2】
水切辺と並列配置されたパッキンとの接触箇所において、水切辺は、主として内方側に設けられたパッキンに当接する請求項に記載の電気機器収納箱。
【請求項3】
水切辺と並列配置されたパッキンとの接触箇所において、水切辺は、主として外方側に設けられたパッキンに当接する請求項に記載の電気機器収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器収納箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、電気機器収納箱の箱本体と箱本体の開口部を覆う部材(扉)との隙間を塞ぐためにパッキンを配置し、内部に塵や水などが侵入することを防ぐことが知られている。このような部位で用いられるパッキンは、反発力がすべて均一となるようなものが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−36454号公報
【0004】
ところで、防塵性能や防水性能を向上させるためにパッキン全体の反発力を高めると、従来から十分な反発力をもたらしている部位においても反発力を高めることになる。この結果、扉を閉めるときにパッキンを押しつぶすには大きな力が必要になり、開閉作業が行いづらくなる。また、電気機器収納箱が薄い鋼板を用いて構成されている場合には、筐体などが歪んでしまう虞もある。開閉作業の作業性を重視してパッキン全体の反発力を弱めると、扉の締結力が弱い部分から箱本体内に塵や水が侵入する虞がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明の課題は、電気機器収納箱の覆い部材を閉める際に押圧力を受けるパッキンについて、パッキンの反発力を異なるものとすることによって、防塵性能や防水性能を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、次のような手段を採用する。第一の手段は、開口部を備える箱本体と、開口部を覆う覆い部材と、箱本体と覆い部材との間の開口部周縁に位置するパッキンとを備えた電気機器収納箱であって、開口部の周縁に水切辺が設けられており、反発力が異なるパッキンを幅方向に二列になるように形成し、並列配置されたパッキンに対して、水切辺が当接する構成とした電気機器収納箱である。
【0007】
第一の手段において、水切辺とパッキンとの接触箇所において、内方側に設けられたパッキンと外方側に設けられたパッキンとの接触面積の比率を変えて水切辺が当接する構成とすることが好ましい。
【0008】
第二の手段において、水切辺と並列配置されたパッキンとの接触箇所において、水切辺は、主として内方側に設けられたパッキンに当接する構成とすることが好ましい。
【0009】
第二の手段において、水切辺と並列配置されたパッキンとの接触箇所において、水切辺は、主として外方側に設けられたパッキンに当接する構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、電気機器収納箱の覆い部材を閉める際に押圧力を受けるパッキンについて、パッキンの反発力を異なるものとすることによって、防塵性能や防水性能を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】扉が開いた状態の電気機器収納箱の斜視図である。
図2】扉が閉じた状態の電気機器収納箱の斜視図である。
図3】扉に取り付けたパッキンの構成例を示した図である。
図4】扉に取り付けたパッキンの構成例を示した図である。
図5】扉に取り付けたパッキンの構成例を示した図である。
図6】扉に取り付けたパッキンの構成例を示した図である。
図7】扉に取り付けたパッキンの構成例を示した図である。
図8】扉に取り付けたパッキンの構成例を示した図である。
図9】扉に取り付けたパッキンの構成例を示した図である。
図10図9のX−X断面を示した図である。
図11図9のXI−XI断面を示した図である。
図12図9のXII−XII断面を示した図である。
図13】パッキンの変形例を示した図である。
図14】パッキンの反発力の強弱を図11と逆転させた状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に発明を実施するための形態を示す。図1乃至図2に示すことから理解されるように、本実施形態の電気機器収納箱1は、開口部21を備える箱本体2と、開口部21を覆う覆い部材3と、箱本体2と覆い部材3との間の開口部21周縁に位置することが可能なパッキン4とを備えている。また、パッキン4は、少なくとも一部の反発力が他の部位の反発力とは異なるものとしている。したがって、パッキン4の反発力の均一性に基づく不具合を解消することが可能となる。また、パッキン4の各部位を適切な反発力とすることで、覆い部材3として形成した扉の開閉の作業性が改善される。なお、少なくともパッキン4の一部が覆い部材3にもたらす力は、パッキン4の他の部位が覆い部材3にもたらす力とは異なるものものとしている。
【0013】
ここで、パッキン4の反発力を変える具体的な手段の例を説明する。例えば、硬い材質のものと、軟らかい材質のものを使い分けるなど、パッキン4の材質を変えることでパッキン4の反発力は変えることができる。また、ゴム製のパッキン4と、スポンジ製のパッキン4を使い分けるなど、パッキン4の材料を変えることでもパッキン4の反発力を変えることができる。
【0014】
材質や材料によるものではなく、パッキン4の形態によって反発力を変えることもできる。例えば、パッキン4を中空形状とするのか、中実形状(ソリッド形状)にするのかによって反発力が変わる。また、パッキン4のサイズを変えても反発力を変えることができる。例えば、厚さが厚いものと、薄いものでは反発力が変わる。
【0015】
パッキン4の反発力を他の箇所と異ならせる手段として、パッキン4として機能する部材の上に部材を貼り付けて重ねたものとしても良い。ただし、この場合は、部材を重ねて貼り付けるという作業が必要となる。同様に、部材の一部に液状物などを塗り付けて固めることにより、所定の部位の反発力を変えるようにすることも可能である。これに対して、パッキン4が一体的に形成されていれば、そのような作業は不要となるため、作業の効率があがる。また、貼り付け箇所のずれなどにより生じ得る防塵性能及び/又は防水性能の製品毎の個体差も抑制されるため、品質を確保しやすくなる。
【0016】
なお、反発力の異なる部位を組み合わせてパッキン4を設ける場合、反発力の異なる部位を積層させることが考えられる。この場合、積層する部位の比率を変えれば反発力を調整することができる。
【0017】
パッキン4の反発力を他の箇所と変えるのが好ましい部位としては、図3に示すように、ヒンジ13やハンドル12といった締付部の周辺が挙げられる。なお、本実施形態のパッキン4は四辺を備えた矩形状に一体的に形成されているが、図3に黒色で着色した部位と斜線を付した部位では、反発力が異なるように形成されている。図3に示すように、箱本体2と覆い部材3とを締め付ける締付部の周辺に対応するパッキン4の反発力を、他の部位のパッキン4の反発力とは異なるものとすれば、締付力の影響を考慮した構成とすることができ、より好適な電気機器収納箱1とすることが可能となる。
【0018】
また、パッキン4が概略枠状に形成された場合、図4に示すように、ヒンジ13やハンドル12といった締付部が隣接する辺に関し、反発力を他の箇所と変えることが好ましい。なお、パッキン4は四辺を備えた矩形状に一体的に形成されているが、図4に黒色で着色した部位と斜線を付した部位における反発力が異なるように形成されている。このように、複数の辺を備えたパッキン4が、少なくとも一つの辺の反発力を、他の辺の反発力とは異なるものとすれば、各辺に適した反発力を選択することが可能となり、より好適な電気機器収納箱1とすることが可能となる。
【0019】
また、図5に示すように、枠状のパッキン4のコーナー部に関し、反発力を他の箇所と変えることが好ましい。なお、パッキン4は四辺を備えた矩形状に一体形成されているが、図5に黒色で着色した部位と斜線を付した部位における反発力が異なるように形成されている。
【0020】
図示はしないが、パッキン4が概略枠状に形成された場合、設置時に上側に位置する辺におけるパッキン4の反発力を他の辺におけるパッキン4の反発力と変えるものとしても良い。水などは、通常、電気機器収納箱1の上部側から侵入してきやすいため、その部分の防水性を高めることで機能性を十分に確保することができる場合がある。
【0021】
図3乃至図5に示した例においては、一体的に形成された一続きのパッキン4を扉の背面に取り付けているが、別体の部材を互いに接するように配置して封止構造を形成しても良い。また、防塵性及び/又は防水性を確保できる範囲においては、図6に示すように、別体の部材間に隙間を設けた構造とすることも可能である。図6においても黒色で着色した部位と斜線を付した部位における反発力は異なるように形成されている。
【0022】
ところで、図3乃至図6に示した例においては、パッキン4の反発力が弱い箇所と強い箇所の、2種に分ける構造としている。図3図4及び図6に示した例においては、ハンドル12やヒンジ13といった締付部が隣接する箇所若しくは、当該締付部が隣接する辺においては比較的反発力が弱めに構成し、それ以外の部位においては、パッキン4の反発力が比較的強めとなるように構成している。図5に示す例においては、枠状のパッキン4のコーナー部について、比較的反発力が弱めに構成し、それ以外の部位においては、パッキン4の反発力が比較的強めとなるように構成している。これにより、コーナー部における締付力がやや弱くても開口部21を閉じた状態とすることができる。なお、図5に示す例においては、止水性を重視して、コーナー部のパッキン4の反発力を他の箇所のパッキン4の反発力よりも強くしても良い。
【0023】
このようにパッキン4の強弱を2種に分けて構成することにより、不具合を改善することも可能であるが、パッキン4の強弱を3種以上に分けて構成することも可能である。図7及び図8に示す例においては、パッキン4の反発力を3種に分ける構造としている。なお、図7及び図8に示す例においてもパッキン4は四辺を備えた矩形状に一体的に形成されているが、黒色で着色した部位と、斜線を付した部位と、灰色で着色した部位と、における反発力が異なるように形成されている。
【0024】
図7に示した例においては、ヒンジ13が隣接する箇所においては、パッキン4の反発力は弱く構成し、ハンドル12が隣接する箇所におけるパッキン4の反発力はそれよりも強く構成している。また、それ以外の部位におけるパッキン4の反発力は更に強く構成している。これは、締付力に対応させた構成である。締付力は、ヒンジ13周りに最も働き、ハンドル12周り、その他の部位の順に弱くなっていく。締付力の働きにくい箇所においてパッキン4の反発力を高め、逆に締付力の働きやすい箇所においてはパッキン4の反発力を抑えることで、扉の開閉操作と防塵性及び/又は防水性の両立を高めている。
【0025】
同様に図8に示す例においては、ヒンジ13が隣接する辺においては、パッキン4の反発力は弱く構成し、ハンドル12が隣接する辺におけるパッキン4の反発力はそれよりも強く構成している。また、それ以外の辺におけるパッキン4の反発力は更に強く構成している。
【0026】
図3乃至図8に示す例においては、パッキン4の反発力は幅方向においては概略同一であり、長手方向において他所と異なる部位があるように構成している。これに対して図9に示す例においては、長手方向において概略同様に構成しており、幅方向に反発力の異なる部位があるように構成している。
【0027】
図9に示す例においては、幅方向に二列になるようにパッキン4の反発力が異なる部位を形成している。このパッキン4は水切辺15に接することが可能な箇所に設けられているが、水切辺15とパッキン4が接する状態によってパッキン4からもたらされる力が異なるものとなる。この点について、図9乃至図12に示した例を用いて説明する。なお、図9乃至図14においては、黒色で着色した部位の方が、着色していない部位よりも反発力が弱くなるように構成されている。
【0028】
図10に示すように箱本体2に備えられた水切辺15が、主として内方側に設けられた比較的反発力の弱い部位に接する場合、覆い部材3にもたらす力は比較的弱くなる。これに対して図11に示すように、内方側に設けられた部位と外方側に設けられた部位の双方に同等に接する場合、覆い部材3にもたらす力はやや強くなる。更には、図12に示すように、主として外方側に設けられた比較的反発力の強い部位に接する場合、覆い部材3にもたらす力は図11に示す例よりも強くなる。つまり、水切辺15とパッキン4との接触箇所において、反発力の弱い部位と反発力の強い部位との接触面積の比率を変えることで、覆い部材3にもたらす力の調整を行うことができる。また、この接触面積の比率の調整は、パッキン4の貼り付け位置を変えることで行うことができる。このように反発力の異なる部位が並列配置されたパッキン4に対して、開口部21の周縁に設けられた水切辺15が当接する構成とすれば、比較的容易に覆い部材3にもたらす力の調整が可能となる。
【0029】
図10乃至図12に示す例においては、パッキン4は断面視半円形状であるが、扉の閉塞時の箱本体2と扉の隙間を埋めることができればどのような形状としても良く、例えば、図13に示すように断面視四角形状としても良い。また、図14に示すように、内方側に比較的反発力の強い部位を設け、外方側に比較的反発力の弱い部位を設ける構成とすることも可能である。また、図9乃至図14に示す例においては、パッキン4の強弱を2種に分けて構成することにより、不具合を改善するものあるが、パッキン4の強弱を3種以上に分けて構成することも可能である。
【0030】
以上、いくつかの例を中心に実施形態を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、パッキンの強弱は実施形態の例とは異なるものとすることも可能である、例えば、実施形態に具体的に記載した強弱関係とは逆の強弱関係とすることも可能である。
【0031】
また、回動可能な扉を備えた構成とするものではなく、ねじ止めなどがなされる蓋などに適用することも可能である。この場合、ねじ止めする箇所が締結部である。例えば四隅をねじ止めする場合は、この四隅の箇所に対応するパッキンの反発力を他所と異なるものとすることも可能である。
【0032】
電気機器収納箱は、扉が一つのみのものとするだけではなく、複数の扉を備えたものとすることができる。この場合、パッキンは二つ若しくはそれ以上の扉と箱本体の間の隙間を埋めるように配置するものとすることができる。
【0033】
パッキンは覆い部材に取り付けたものではなく、箱本体に取り付けるものとしても良い。この際、水切部に取り付けることも可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 電気機器収納箱
2 箱本体
3 覆い部材
4 パッキン
12 ハンドル
13 ヒンジ
15 水切辺
21 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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