【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段は、液体ポンプであって、
第1吸入流路と、
前記第1吸入流路に接続された第1圧力室と、
前記第1圧力室に接続された第1吐出流路と、
第2吸入流路と、
前記第2吸入流路に接続された第2圧力室と、
前記第2圧力室に接続された第2吐出流路と、
液体が流入する流入口に接続され、前記第1吸入流路と前記第2吸入流路とを接続する吸入側接続流路と、
前記第1吐出流路と前記第2吐出流路とを接続し、前記液体が流出する流出口に接続された吐出側接続流路と、
モータと、
前記モータの回転に基づいて、前記第1圧力室の縮小及び前記第2圧力室の拡大と、前記第1圧力室の拡大及び前記第2圧力室の縮小とを交互に行う駆動機構と、
前記吸入側接続流路及び前記吐出側接続流路の少なくとも一方に取り付けられ、取り付けられた流路内を流通する前記液体に含まれる気泡を検出する気泡センサと、
前記気泡センサにより前記気泡が検出されていないことを条件として、前記モータの回転速度を調節して前記液体の吐出量を制御する制御部と、
を備える。
【0007】
上記構成によれば、吸入側接続流路は、液体が流入する流入口に接続され、第1吸入流路と第2吸入流路とを接続している。また、吐出側接続流路は、第1吐出流路と第2吐出流路とを接続し、液体が流出する流出口に接続されている。そして、駆動機構により、モータの回転に基づいて、第1圧力室の縮小及び第2圧力室の拡大と、第1圧力室の拡大及び第2圧力室の縮小とが交互に行われる。このため、第1圧力室及び第2圧力室から交互に液体を吐出することができ、1つの圧力室のみから液体を吐出する場合と比較して、液体の脈動を抑制することができる。すなわち、2つの圧力室から異なる液体をそれぞれ吐出するのではなく、あえて同一の液体を吐出することにより、液体の脈動を抑制することができる。
【0008】
さらに、吸入側接続流路により流入口から第1吸入流路及び第2吸入流路へ液体を流通させることができるため、吸入側の流路を配置するスペースを小さくすることができる。同様に、吐出側接続流路により第1吐出流路及び第2吐出流路から流出口へ液体を流通させることができるため、吐出側の流路を配置するスペースを小さくすることができる。しかも、共通の駆動機構により、第1圧力室及び第2圧力室が縮小及び拡大される。したがって、液体ポンプを小型化することができる。
【0009】
ここで、気泡センサが、吸入側接続流路及び吐出側接続流路の少なくとも一方に取り付けられ、取り付けられた流路内を流通する液体に含まれる気泡を検出する。そして、制御部は、気泡センサにより気泡が検出されていないことを条件として、モータの回転速度を調節して液体の吐出量を制御する。このため、液体に気泡が含まれていない状態で、モータの回転速度を調節して液体の吐出量を正確に制御することができる。したがって、流量計を用いない場合であっても、液体の吐出量を正確に制御することができる。一方、液体に気泡が含まれている場合は、モータの回転速度の調節による液体の吐出量の制御が行われないため、液体の吐出量が不正確になることを抑制することができる。
【0010】
なお、吸入側接続流路を流通する液体に含まれる気泡は、第1圧力室及び第2圧力室へ交互に吸入されて吐出される。このため、基本的には、吸入側接続流路及び吐出側接続流路の少なくとも一方に取り付けられた気泡センサにより、液体に含まれる気泡を検出することができる。
【0011】
第2の手段では、前記吸入側接続流路及び前記吐出側接続流路の少なくとも一方は、透明な樹脂チューブにより形成されたチューブ部を含み、前記気泡センサは、光学式の気泡センサであり、前記チューブ部に取り付けられており、前記チューブ部は、紫外線を遮る筐体内に収納されている。
【0012】
上記構成によれば、吸入側接続流路及び吐出側接続流路の少なくとも一方は、透明な樹脂チューブにより形成されたチューブ部を含んでいる。そして、光学式の気泡センサは、透明なチューブ部に取り付けられている。このため、気泡センサは、透明なチューブ部を透過させた光に基づいて、気泡を検出することができる。透明な樹脂チューブによれば、光学式の気泡センサに必要な光の透過部を容易に形成することができる。
【0013】
しかしながら、一般に透明な樹脂チューブは、紫外線に長期間晒されることで白化する性質がある。その場合、気泡センサによる気泡検出の精度が低下するおそれがある。この点、チューブ部は紫外線を遮る筐体内に収納されているため、チューブ部が白化することを抑制することができる。また、光学式の気泡センサは、マイクロ波式の気泡センサや超音波式の気泡センサ等と比べて、小型化することができる。
【0014】
透明な樹脂チューブで形成されたチューブ部が可撓性である場合は、チューブ部が撓んで垂れ下がるおそれがある。その場合、チューブ部の取り付けに支障をきたしたり、チューブ部の接続部から液体が漏れ易くなったりするおそれがある。
【0015】
この点、第3の手段では、前記チューブ部において、前記気泡センサが取り付けられた部分以外の部分の外周に金属管が嵌められている。このため、金属管によりチューブ部を支えることができ、チューブ部が垂れ下がることを抑制することができる。さらに、金属管を固定することで、チューブ部を容易に固定することができる。しがって、チューブ部の取り付けを容易に行うことができるとともに、チューブ部の接続部から液体が漏れ易くなることを抑制することができる。
【0016】
第4の手段では、前記吸入側接続流路及び前記吐出側接続流路は、前記チューブ部をそれぞれ含んでおり、前記気泡センサは、前記吸入側接続流路の前記チューブ部において前記流入口と前記第2吸入流路との間に取り付けられた第1気泡センサと、前記吐出側接続流路の前記チューブ部において前記第1吐出流路と前記流出口との間に取り付けられた第2気泡センサとを含んでいる。
【0017】
上記構成によれば、気泡センサは、吸入側接続流路のチューブ部において流入口と第2吸入流路との間に取り付けられた第1気泡センサと、吐出側接続流路のチューブ部において第1吐出流路と流出口との間に取り付けられた第2気泡センサとを含んでいる。このため、流入口から吸入側接続流路、第2吸入流路、第2圧力室、第2吐出流路、吐出側接続流路、流出口へ順に流通する液体に含まれる気泡を、第1気泡センサにより検出することができる。一方、流入口から吸入側接続流路、第1吸入流路、第1圧力室、第1吐出流路、吐出側接続流路、流出口へ順に流通する液体に含まれる気泡を、第2気泡センサにより検出することができる。したがって、気泡が第1吸入流路及び第2吸入流路の一方にのみ流れた場合でも、気泡を漏れなく検出することができる。
【0018】
第5の手段では、前記駆動機構は、前記第1圧力室を縮小及び拡大するように往復動する第1往復動部材と、前記第2圧力室を拡大及び縮小するように往復動する第2往復動部材と、前記第1往復動部材及び前記第2往復動部材を連結する連結部材と、を備え、前記モータの回転に基づいて、前記第1圧力室と前記第2圧力室とを結ぶ方向へ前記連結部材が往復動させられ、前記吸入側接続流路において前記第1吸入流路と前記第2吸入流路とを接続する部分の長手方向、及び前記吐出側接続流路において前記第1吐出流路と前記第2吐出流路とを接続する部分の長手方向は、前記連結部材の往復動方向に平行である。
【0019】
上記構成によれば、第1圧力室を縮小及び拡大するように往復動する第1往復動部材と、第2圧力室を拡大及び縮小するように往復動する第2往復動部材とが、連結部材により連結されている。そして、モータの回転に基づいて、第1圧力室と第2圧力室とを結ぶ方向へ連結部材が往復動させられる。このため、モータの回転に基づいて、第1往復動部材により第1圧力室が縮小されるとともに、第2往復動部材により第2圧力室が拡大される。また、モータの回転に基づいて、第1往復動部材により第1圧力室が拡大されるとともに、第2往復動部材により第2圧力室が縮小される。このため、第1圧力室及び第2圧力室から交互に液体を吐出することができる。
【0020】
さらに、吸入側接続流路において第1吸入流路と第2吸入流路とを接続する部分の長手方向、及び吐出側接続流路において第1吐出流路と第2吐出流路とを接続する部分の長手方向は、連結部材の長手方向に平行である。このため、連結部材が往復動するスペースの側方に、吸入側接続流路、吐出側接続流路、及び気泡センサを配置することができる。したがって、連結部材、吸入側接続流路、吐出側接続流路、及び気泡センサを効率的に配置することができ、液体ポンプを小型化することができる。
【0021】
第6の手段では、前記連結部材は、矩形板状に形成された板状部を含んでおり、前記板状部の第1主面の対角にそれぞれ第1摺動部材が取り付けられ、前記板状部の第2主面における前記第1摺動部材と重ならない対角にそれぞれ第2摺動部材が取り付けられており、前記第1摺動部材は、前記第1主面に対向して前記板状部に平行に配置された第1被摺動部材と摺動し、前記第2摺動部材は、前記第2主面に対向して前記板状部に平行に配置された第2被摺動部材と摺動する。
【0022】
上記構成によれば、連結部材は、矩形板状に形成された板状部を含んでおり、板状部の第1主面の対角にそれぞれ第1摺動部材が取り付けられ、板状部の第2主面における第1摺動部材と重ならない対角にそれぞれ第2摺動部材が取り付けられている。すなわち、板状部において、第1摺動部材が取り付けられた対角と、第2摺動部材が取り付けられた対角とは異なっている。このため、第1摺動部材と第2摺動部材とは、板状部を介して重なり合っておらず、第1摺動部材を取り付ける取付部材(例えばねじ)と第2摺動部材を取り付ける取付部材とが干渉することを防ぐことができる。したがって、板状部、第1摺動部材、及び第2摺動部材を組み付けた構成を薄くすることができ、液体ポンプを小型化することができる。なお、第1主面及び第2主面は、矩形板状の板状部の面のうち最も大きい2つの面であり、第2主面は第1主面の裏面である。
【0023】
そして、第1摺動部材は、第1主面に対向して板状部に平行に配置された第1被摺動部材と摺動し、第2摺動部材は、第2主面に対向して板状部に平行に配置された第2被摺動部材と摺動する。このため、第1主面の4つの角のうち2つの角に第1摺動部材が取り付けられ、第2主面の4つの角のうち2つの角に第2摺動部材が取り付けられた構成であっても、連結部材の中心線を中心とした連結部材の回転を抑制することができる。
【0024】
第7の手段では、前記第1吸入流路、前記第1吐出流路、前記第2吸入流路、前記第2吐出流路、前記吸入側接続流路、及び前記吐出側接続流路は、共通の平面に沿って配置されている。このため、液体ポンプの流路を共通の平面に沿って効率的に配置することができ、液体ポンプを薄型化することができる。
【0025】
第8の手段では、弁入口、第1弁出口、及び第2弁出口を有する3方向切換弁を備え、前記弁入口は、前記流出口に直接接続されており、前記第1弁出口は、前記液体を吐出する出口であり、前記第2弁出口は、前記液体に含まれる気泡を排出する出口であり、上方に向けて開口している。
【0026】
上記構成によれば、3方向切換弁の弁入口は、液体が流出する流出口に直接接続されている。このため、流出口と弁入口とを接続する配管が不要であり、液体ポンプを小型化することができる。第1弁出口は、液体を吐出する出口であるため、3方向切換弁により弁入口と第1弁出口とを接続することで、第1弁出口から液体を吐出することができる。また、第2弁出口は、液体に含まれる気泡を排出する出口であり、上方に向けて開口している。このため、3方向切換弁により弁入口と第2弁出口とを接続することで、上方に向けて開口した第2弁出口から気泡を容易に排出することができる。
【0027】
第9の手段では、前記制御部は、前記気泡センサにより前記気泡が検出された場合に、前記3方向切換弁により前記弁入口と前記第2弁出口とを接続させ、前記気泡センサにより前記気泡が検出された期間が所定期間を超えた場合に異常であると判定する。
【0028】
上記構成によれば、制御部は、気泡センサにより気泡が検出された場合に、3方向切換弁により弁入口と第2弁出口とを接続させる。このため、液体に一時的に気泡が含まれた場合に、気泡を排出することができる。さらに、制御部は、気泡センサにより気泡が検出された期間が所定期間を超えた場合に異常であると判定する。このため、液体の流入口に接続された配管等の端部が液体タンクの液面よりも上方にある場合等、気泡の混入を防げない場合には、異常であると判定することができる。
【0029】
第10の手段は、液体ポンプであって、
液体が流入する流入口に接続された吸入流路と、
前記吸入流路に接続された圧力室と、
前記圧力室と前記液体が流出する流出口とを接続する吐出流路と、
モータと、
前記モータの回転に基づいて、前記圧力室の縮小及び拡大を交互に行う駆動機構と、
前記吸入流路及び前記吐出流路の少なくとも一方に取り付けられ、取り付けられた流路内を流通する前記液体に含まれる気泡を検出する気泡センサと、
前記気泡センサにより前記気泡が検出されていないことを条件として、前記モータの回転速度を調節して前記液体の吐出量を制御する制御部と、
を備え、
前記吸入流路及び前記吐出流路の少なくとも一方は、透明な樹脂チューブにより形成されたチューブ部を含み、
前記気泡センサは、光学式の気泡センサであり、前記チューブ部に取り付けられており、
前記チューブ部は、紫外線を遮る筐体内に収納されている。
【0030】
上記構成によれば、吸入流路は、液体が流入する流入口に接続され、圧力室に接続されている。また、吐出流路は、圧力室と、液体が流出する流出口とを接続している。そして、駆動機構により、モータの回転に基づいて、圧力室の縮小及び拡大が交互に行われる。このため、圧力室への液体の吸入と、圧力室からの液体の吐出とを行うことができる。
【0031】
ここで、気泡センサが、吸入流路及び吐出流路の少なくとも一方に取り付けられ、取り付けられた流路内を流通する液体に含まれる気泡を検出する。そして、制御部は、気泡センサにより気泡が検出されていないことを条件として、モータの回転速度を調節して液体の吐出量を制御する。このため、液体に気泡が含まれていない状態で、モータの回転速度を調節して液体の吐出量を正確に制御することができる。したがって、流量計を用いない場合であっても、液体の吐出量を正確に制御することができる。一方、液体に気泡が含まれている場合は、モータの回転速度の調節による液体の吐出量の制御が行われないため、液体の吐出量が不正確になることを避けることができる。
【0032】
さらに、吸入流路及び吐出流路の少なくとも一方は、透明な樹脂チューブにより形成されたチューブ部を含んでいる。そして、光学式の気泡センサは、透明なチューブ部に取り付けられている。このため、気泡センサは、透明なチューブ部を透過させた光に基づいて、気泡を検出することができる。透明な樹脂チューブによれば、光学式の気泡センサに必要な光の透過部を容易に形成することができる。
【0033】
しかしながら、一般に透明な樹脂チューブは、紫外線に長期間晒されることで白化する性質がある。その場合、気泡センサによる気泡検出の精度が低下するおそれがある。この点、チューブ部は紫外線を遮る筐体内に収納されているため、チューブ部が白化することを抑制することができる。また、光学式の気泡センサは、マイクロ波式の気泡センサや超音波式の気泡センサ等と比べて、小型化することができる。
【0034】
第11の手段では、前記チューブ部において、前記気泡センサが取り付けられた部分以外の部分の外周に金属管が嵌められている。
【0035】
上記構成によれば、第3の手段と同様の作用効果を奏することができる。